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タイトル:公開特許公報(A)_可溶化剤
出願番号:2013177950
年次:2015
IPC分類:A61K 8/37,A61Q 19/00,A61Q 11/00,A61Q 13/00,A61K 9/08,A61K 47/14,A23L 1/035


特許情報キャッシュ

渡邉 勇也 原田 夏海 JP 2015044780 公開特許公報(A) 20150312 2013177950 20130829 可溶化剤 株式会社コスモステクニカルセンター 301068114 日光ケミカルズ株式会社 000226437 日本サーファクタント工業株式会社 000228729 渡邉 勇也 原田 夏海 A61K 8/37 20060101AFI20150213BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150213BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20150213BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20150213BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150213BHJP A61K 47/14 20060101ALI20150213BHJP A23L 1/035 20060101ALI20150213BHJP JPA61K8/37A61Q19/00A61Q11/00A61Q13/00 102A61K9/08A61K47/14A23L1/035 6 OL 15 4B035 4C076 4C083 4B035LC16 4B035LG09 4B035LK13 4B035LK17 4C076AA12 4C076BB01 4C076BB31 4C076DD47E 4C076FF15 4C083AA122 4C083AC112 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC302 4C083AC421 4C083AC422 4C083AC582 4C083AC612 4C083AC622 4C083AC692 4C083AD042 4C083AD642 4C083CC04 4C083CC41 4C083DD01 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD33 4C083EE01 4C083EE03 4C083EE09 4C083FF01 4C083KK03 本発明は、油溶性物質の可溶化剤に関する。より詳細には、食品、医薬品、化粧品において、油溶性物質を容易に可溶化することができる特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを必須成分とする可溶化剤に関する。 可溶化剤組成物は、水に溶解しない油溶性物質を、水と界面活性剤存在下、ミセルや液晶中に取り込み、透明に調製することが可能であり、食品、医薬品、化粧品等に幅広く利用されている。この現象は可溶化と言われ、またこの用途の界面活性剤は可溶化剤と言われている。可溶化剤組成物は、水相と油相に界面活性剤を加え、撹拌して得られるエマルジョンとは異なり、熱力学的に安定であり経時安定性が高い組成物である。 従来、この可溶化剤としては、非イオン性界面活性剤が主に使用されており、特にポリオキシエチレン系が使用されてきた。しかし、ポリオキシエチレン系界面活性剤はエチレングリコールの残存や、それに起因する皮膚刺激性等の問題があり、また食品添加物として認可されておらず、食品分野での使用は不可能であった。医薬品、化粧品市場では安全性に優れ、皮膚刺激性が少ない、高親水性の乳化剤及び可溶化剤が望まれている。また水溶性高分子と親水性界面活性剤は相互作用して親油化するため、水溶性高分子を配合する場合の乳化可溶化剤は高親水性であればあるほど好ましい。 一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルは安全性の高い医薬用又は化粧用乳化剤及び可溶化剤として使用されている。また、水溶性界面活性剤は一般に味が悪く、微量で苦味、刺激感、痺れ感を感じるものが多いが、ポリグリセリン脂肪酸エステルや蔗糖脂肪酸エステルは、比較的そのような不快感が少ないため、各種食品、マウスウォッシュ等の医薬用又は化粧品の親水性界面活性剤として有用であるが、その効果は必ずしも十分ではなかった。 そこで、従来より、ポリグリセリン脂肪酸エステルを利用して油溶性物質を可溶化させる方法が種々検討されてきた。例えば、特許文献1には、ポリグリセリンラウリン酸エステルとポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの混合物を用いて油溶性物質を可溶化する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、油溶性物質の極性によっては、油溶性物質を微細に分散する性能(可溶化性能)が極端に悪くなり、十分な透明性を有する安定な可溶化組成物を得ることは困難であった。 特許文献2には、ポリリシノール酸と、ラウリン酸等の混合ポリグリセリンエステルの混合物を用いて油溶性物質を可溶化する方法が開示されている。しかしながら、この方法も、油溶性物質が多量に配合されている場合、十分な透明性を有する安定な可溶化組成物を得ることは困難であった。 特許文献3には、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルと糖類または糖アルコール類を用いて油溶性物質を可溶化する方法が、また特許文献4には、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルを用いて油溶性物質を可溶化する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3及び4に開示されている方法では、可溶化には超高圧ホモジナイザー等の乳化機を使用して均質化処理を行う必要があり、その応用は操作が非常に煩雑で、実用性に欠けるという問題があった。特許文献5は分子膜精製により低分子化合物を除去したポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを可溶化剤とする方法を開示しているが、可溶化能は十分とは言い難い。 そこで、前記の方法の問題を解決し、油溶性物質が多量に配合された場合であっても、油性成分の極性に可溶化能が左右されず、また、特殊な乳化機を使用する等の煩雑な操作を用いる必要のない、透明性が非常に高い可溶化組成物を得る方法が望まれており、この方法に使用するための可溶化剤の開発が望まれている。特開昭61−066752号公報特開2008−119568号公報特開平11−005712号公報特開2009−143834号公報特開2010−100574号公報 本発明の課題は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用い、食品、医薬品、化粧品の用途に利用することができる可溶化剤であって、油溶性物質が多量に配合された場合であっても、油性成分の極性に可溶化能が左右されず、また、特殊な乳化機を使用する等の煩雑な操作を用いる必要のない、透明性が高い可溶化組成物を与えることができる可溶化剤を提供することにある。本発明は、さらにこの可溶化剤を利用した食品、医薬品または化粧品を提供することを課題とする。 本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸として、特定範囲の長さを有する炭素鎖同士のポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物を得ることで前記課題を解決する可溶化剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、油溶性物質を可溶化する可溶化剤であって、炭素数が6〜11の脂肪酸から選択される一種以上の中鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20であるポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)及び炭素数が12〜22の脂肪酸から選択される一種以上の長鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を必須成分として含有することを特徴とする可溶化剤である。 本発明は、さらに、前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を構成するポリグリセリンが、水溶性低分子量有機物を除去し、ガスクロマトグラフィーによる定量値で、グリセリンを含まず、ジグリセリンの含量が3質量%以下のポリグリセリンである場合、非常に優れた可溶化効果を発揮する可溶化剤を提供する。 本発明者は、さらに、前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を特定の重量比で用いることにより、より優れた可溶化性能が得られることを見出した。すなわち、ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)の配合比率が、質量比で(A)/(B)=5/95〜95/5の範囲内にあるときに、より優れた可溶化効果を発揮する可溶化剤を提供する。 請求項1〜請求項3の発明により、2種以上の可溶化剤(界面活性剤)を用いて、特殊な乳化機等を使用することなく簡便な方法により油溶性物質を可溶化できる技術、及びこの技術により得られる透明性が高い可溶化組成物が提供される。 本発明者は、さらに、前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)ないしポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)のけん化価が特定の範囲にあるとき、より優れた可溶化性能が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づき完成された、より好ましい態様の可溶化剤も提供する。 すなわち、前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)のけん化価が10〜100であることを特徴とする請求項1に記載の可溶化剤であり、ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)のけん化価が10〜200であることを特徴とする請求項1に記載の可溶化剤を提供する。 前記の本発明の可溶化剤は、食品添加物として認可された原料から構成されるものであり、食品、医薬品、化粧品の製造に利用することができる。本発明は、前記の可溶化剤に加えて、さらに、前記の可溶化剤により可溶化された可溶化組成物を含有することを特徴とする食品、医薬品または化粧品も提供するものである。 本発明の2種類以上の可溶化剤を組み合わせた混合物を用いることにより、多量に配合されている油溶性物質を、油性成分の極性に影響を受けることなく、水相中に微細に分散して透明可溶化することができる。また、これらの可溶化剤は、食品添加物としても認可された原料から構成されるものであるので、食品、医薬品、化粧品にも利用できる。 以下、本発明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではない。 本発明の可溶化剤を構成するポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)は、炭素数が6〜11の脂肪酸から選択される一種以上の中鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20であるポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン中鎖脂肪酸エステルであることを特徴とし、ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)は、炭素数が12〜22の脂肪酸から選択される一種以上の長鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20であるポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルであることをその特徴とする。 ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)の重量比率は特に限定されるものではないが、(A)/(B)=5/95〜95/5の重量比の範囲内とすることにより、可溶化性能がより顕著に発揮される。好ましくは(A)/(B)=15/85〜85/15であり、より好ましくは(A)/(B)=30/60〜60/30である。ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)ないしポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)の一方のみからなるポリグリセリン脂肪酸エステルでは、優れた可溶化性能は得られない。 ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)中の中鎖脂肪酸は、炭素数6〜11の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上からなる。炭素数が6〜11の範囲の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸を使用することにより、優れた可溶化性能が得られる。ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)中の中鎖脂肪酸を構成する炭素数6〜11の脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸を挙げることができ、中でも、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸及びウンデシレン酸が好適である。なお、ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)中の中鎖脂肪酸を構成する脂肪酸には、本発明の目的とする効果が達成される範囲で、炭素数が6〜11の範囲の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸以外の脂肪酸が少量含まれていてもよい。ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、太陽化学製のサンソフト M−10Y(ポリグリセリンカプリン酸エステル)、理研ビタミン製のポエム C−781(ポリグリセリンカプリン酸エステル)等が挙げられる。 ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)中の長鎖脂肪酸は、炭素数12〜22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上からなる。炭素数が12〜22の範囲の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸を使用することにより、優れた可溶化性能が得られる。ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)中の長鎖脂肪酸を構成する炭素数12〜22の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸及びエルカ酸を挙げることができ、中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸が好適である。なお、ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)中の長鎖脂肪酸を構成する脂肪酸には、本発明の目的とする効果が達成される範囲で、炭素数が12〜22の範囲の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸以外の脂肪酸が少量含まれていてもよい。ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ製のNIKKOL DECAGLYN 1−LV(ポリグリセリンステアリン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−MV(ポリグリセリンミリスチン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−PV(ポリグリセリンパルミチン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−OV(ポリグリセリンオレイン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−SV(ポリグリセリンステアリン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−ISV(ポリグリセリンイソステアリン酸エステル)等が挙げられる。 ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を構成するポリグリセリンとしては、その平均重合度が5〜20であることが必須である。好ましくはポリグリセリンの平均重合度が5〜15であり、さらに好ましくは平均重合度が5〜15であり、重合度1〜3の低分子量ポリグリセリンを分子蒸留や分子膜により除去することにより、ガスクロマトグラフィーによる定量値で、グリセリンを含まず、ジグリセリンの含量が3質量%以下に精製したポリグリセリンである。ここでの平均重合度とは、高速液体クロマトグラフィーにより、分子量既知のポリエチレングリコールを基準として算定したものである。 ここでのポリグリセリンの低分子量有機物の除去方法は特に限定されるものではないが、例えば特許文献5の方法で得ることができる。低分子量有機物を除去したポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ製のNIKKOL DECAGLYN 1−LV EX(ポリグリセリンステアリン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−MV EX(ポリグリセリンミリスチン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−PV EX(ポリグリセリンパルミチン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−OV EX(ポリグリセリンオレイン酸エステル)、NIKKOL DECAGLYN 1−SV EX(ポリグリセリンステアリン酸エステル)等が挙げられる。 本発明におけるポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)は、目的とする用途により特に限定されるものではないが、エステル化は、公知の方法でおこなうことができる。この際のポリグリセリン脂肪酸エステル(A)のけん化価が10〜100の範囲にあるとき、より優れた可溶化能を有する。より好ましくは10〜90であり、さらに好ましくは20〜70である。 本発明におけるポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)は、目的とする用途により特に限定されるものではないが、エステル化は、公知の方法でおこなうことができる。ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)のけん化価が10〜200の範囲にあるとき、より優れた可溶化能を有する。より好ましくは30〜200であり、さらに好ましくは30〜150である。 前記けん化価とは、油脂中のエステル度の指標となる数値であり、1gの油脂を加水分解するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいい、水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。 本発明の可溶化剤を使用する場合は、先ずポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)と油溶性物質を混合し、この混合物を水相に添加して使用することができる。また、可溶化物の組成によっては水相に直接添加してもその効果を発揮する。可溶化剤と油溶性物質の混合物が添加された水相を撹拌することにより、透明性の高い可溶化組成物を得ることができる。 本発明の可溶化剤は、植物性油脂、動物性油脂及びこれらの混合物等、いずれの油溶性物質の可溶化にも使用できる。植物性油脂としては、例えば、オリーブ油、からし油、小麦胚芽油、米ぬか油、ごま油、サフラワー油、大豆油、コーン油、菜種油、パーム油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、落花生油、ツバキ油、カカオ油等が挙げられる。動物性油脂としては、例えば、EPA油、DHA油、牛脂、鶏脂、豚脂、羊脂、まいわし油、さば油、たら油、鯨油等が挙げられる。 本発明の可溶化剤により可溶化される油溶性物質としては、さらに、着色料、精油、香料、脂溶性ビタミン類、脂溶性薬剤、酸化防止剤、保存料、飽和または不飽和の高級アルコール、炭化水素類を例示することができる。 着色料としては、例えば、カカオ色素、βカロチン、パプリカ色素、アナトー色素、サフロールイエロー、リボフラビン、ラック色素、クルクミン、クロロフィル、ウコン色素等が挙げられる。精油及び香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブ油、ジンジャー油、ハッカ油、ローズマリー油、スパイス油、ピネン、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、シトラール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、カンフェン、ボルネオール、メントール等が挙げられる。 脂溶性ビタミン類及び脂溶性薬剤としては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、あるいはこれらビタミン類の酢酸、酪酸、ニコチン酸、パルミチン酸等のエステル、βカロチン、CoQ10(ユビデカレノン)、エリスロマイシン、キサンタマイシン等の抗生物質、γ-オリザノール等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ミックストコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピリドキシンイソパルミチン酸エステル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸イソパルミチン酸エステル、γ-オリザノール、カテキン類等が挙げられる。 保存料としては、例えば、デヒドロ酢酸、モノグリセリン中鎖脂肪酸エステル等が挙げられる。飽和または不飽和の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールオクタコサノール等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、セレシン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。本発明の可溶化剤により可溶化される油溶性物質は、前記例示したような油溶性物質の1種類のみからなるものでもよいし、2種類以上の油溶性物質からなるものでも良い。 本発明の可溶化剤を使用した可溶化組成物を含有する食品としては、例えば、パン、ケーキ、ビスケット、キャラメル、チューインガム、チョコレート、キャンディー、アイスクリーム、マーガリン、チーズ、乳飲料、マヨネーズ、サラダドレッシング等を挙げることができる。この他にも、本発明の可溶化剤は、清涼飲料水やアルコール飲料の香料、ビタミン等の可溶化にも用いることができる。また、本発明の食品には、健康食品や機能性食品も包含される。具体的には、粉剤、タブレット、細粒、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、流動食等の各種形態の食品が挙げられる。 本発明の可溶化剤は、脂溶性医薬品や難水溶性医薬品等の医薬品の可溶化に使用することができる。本発明の可溶化剤を使用した可溶化組成物を含有する医薬品としては、カプセル、軟膏、例えば乳化型基剤等を挙げることができる。 本発明の可溶化剤を使用した可溶化組成物を含有する化粧品としては、シャンプー、洗顔剤、歯磨き、ボディシャンプー等の洗浄を目的とするもの、コールドクリーム、バニシングクリーム等のクリーム状化粧品、乳液、化粧水等の基礎化粧品、仕上げ化粧品、例えばパーマネントウェーブ、整髪料、ヘアーリキッド、ヘアーリンス等の頭髪用化粧品、バスオイル等が挙げられる。 本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの医薬品又は化粧品に対する配合量については、特に限定するものではないが一般的には化粧品、医薬品または食品に対して0.1〜10.0%の範囲で添加される。 以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成法1) ポリグリセリンと、ポリグリセリンの分子量を758.8と仮定した場合の等モル相当の脂肪酸を混合した。ここで使用される脂肪酸の種類は、後記の実施例、ないし表中に示されている。この混合物に水酸化ナトリウムを0.1%(混合物に対する質量%)添加し、その後、240〜250℃に昇温、脱水してエステル化反応を行い、実施例で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを調製した。また、ここで使用されるポリグリセリンは、特許実施例5の方法に基づいて低分子化合物の除去を行ったものを用いた。なお、エステル化反応は、窒素気流下において撹拌しながら、酸価が1以下となるまで行った。 実施例2(ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成法2) ポリグリセリンと、脂肪酸を混合した。脂肪酸の量は、ポリグリセリンの分子量を758.8と仮定して計算したとき、反応後のけん化価が55〜400に範囲になるように調整した。ここで使用される脂肪酸の種類は、後記の実施例、ないし表中に示されている。この混合物に水酸化ナトリウムを0.1%(混合物に対する質量%)添加し、その後、240〜250℃に昇温、脱水してエステル化反応を行い、実施例で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを調製した。また、ここで使用されるポリグリセリンは、重合度1〜3の低分子量ポリグリセリンを分子膜により除去したものを用いた。なお、エステル化反応は、窒素気流下において撹拌しながら、酸価が1以下となるまで行った。(ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成法3) 重合度の異なる各種ポリグリセリン及び脂肪酸の等モル相当混合物を調製した。ここで使用される脂肪酸の種類は、後記の実施例に示されている。この混合物に水酸化ナトリウムを0.1%(混合物に対する質量%)添加し、その後、240〜250℃に昇温、脱水してエステル化反応を行い、実施例及び比較例で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを調製した。ポリグリセリンは必要に応じて分子膜による低分子化合物の除去を行ったものを用いた。ポリグリセリン中の低分子化合物除去の有無は、後記の表中に示されている。(可溶化能の評価方法) 後記の実施例及び表に示される0.3質量部相当の油溶性物質と、0.9質量部相当の可溶化剤混合物(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)及び/またはポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)の任意の割合の混合物)と、88.8質量部相当のエタノールを室温で均一に混合した。得られた混合物を室温中、脱イオン水中に10質量%となるように添加し、マグネチックスターラーにて撹拌を行い、可溶化組成物を調製した。この可溶化組成物の透明度を目視で確認した。なお、下記の表1〜6中では以下の基準に基づき評価結果を表した。評価に関しては、1は完全に透明、2は透明度が高いがくすみが見られる、3は白濁しているが光の透過が肉眼で確認できる、4は乳化物となっているもの、5は油層の分離が確認されることを示す。(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステルとポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルの併用による可溶化効果) 油溶性物質としてレモン油を用いて、実施例1の方法に基づき合成したポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)及び市販品のポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)(ラウリン酸エステル=DEGAGLYN 1−LV EX、パルミチン酸エステル=DEGAGLYN 1−PV EX、オレイン酸エステル=DEGAGLYN 1−OV EX、ステアリン酸エステル=DEGAGLYN 1−SV EX すべて日光ケミカルズ製)の等量混合物を可溶化剤として用い、実施例4の方法により評価を行った。なお、脂肪酸の種類及び油溶性物質の種類は、表1の本発明品1から本発明品12に示す。 比較例1(ポリグリセリン脂肪酸エステル単独使用による可溶化効果1) 比較例として、油溶性物質としてレモン油を用いて、可溶化剤として、実施例1の方法に基づき合成されたポリグリセリンカプリン酸エステルを0.9質量部相当用いて、実施例4の方法により評価を行った。結果を表1の比較品1に示す。 比較例2(ポリグリセリン脂肪酸単独使用による可溶化効果2) 比較例として、油溶性物質としてレモン油を用いて、可溶化剤としてポリグリセリンステアリン酸エステル(NIKKOL DEGAGLYN 1−SV EX 日光ケミカルズ製を使用)を0.9質量部相当用いて、実施例4の方法により評価を行った。結果を表1の比較品2に示す。 比較例3(ポリグリセリン酪酸エステルとポリグリセリンステアリン酸エステルの併用による可溶化効果) 油溶性物質としてレモン油を用いて、実施例1の方法に基づき、けん化価が20〜70の範囲になるように合成したポリグリセリン酪酸エステル及び市販品のポリグリセリンステアリン酸エステル(NIKKOL DEGAGLYN 1−SV EX 日光ケミカルズ製)の等量混合物を可溶化剤として用い、実施例4の方法により評価を行った。結果を表1の比較品3に示す。 比較例4(ポリグリセリンラウリン酸エステルとポリグリセリンステアリン酸エステルの併用による可溶化効果) 油溶性物質としてレモン油を用いて、市販品のポリグリセリンラウリン酸エステル(NIKKOL DEGAGLYN 1−LV EX 日光ケミカルズ製)及び市販品のポリグリセリンステアリン酸エステル(NIKKOL DEGAGLYN 1−SV EX 日光ケミカルズ製)の等量混合物を可溶化剤として用い、実施例4の方法により評価を行った。結果を表1の比較品4に示す。(結果) 表1の本発明品1〜12に示すように、炭素数が6〜11のポリグリセリン脂肪酸モノエステルと、炭素数が12〜22のポリグリセリン脂肪酸エステルとの併用で、高い可溶化効果が確認された。ポリグリセリン脂肪酸エステルの単独使用や、ポリグリセリン酪酸エステルとポリグリセリンステアリン酸エステルを併用、ポリグリセリンラウリン酸エステルとポリグリセリンステアリン酸エステルを併用したものに関しては白色乳化または分離してしまい、可溶化物は得られなかった。(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステルとポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルの配合比率) 油溶性物質としてレモン油を用いて、可溶化剤として、実施例1の方法で合成したポリグリセリンカプリン酸エステル(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)相当)及びポリグリセリンステアリン酸エステル(ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)相当)を各種混合比で用い、実施例4の方法により評価を行った。結果を表2に示す。なお、カプリン酸ポリグリセリル(A)およびステアリン酸ポリグリセリル(B)の混合比は、表2に示した。(結果) (A)/(B)=5/95〜95/5の範囲の混合により、高い可溶化効果が確認された。また、(A)/(B)=1/99、(A)/(B)=99/1の混合物を用いた系では若干白濁するものの、可溶化が認められた。(けん化価の異なるポリグリセリン脂肪酸エステルの可溶化能評価) 可溶化剤として、実施例2の方法に基づき合成された、けん化価の異なるポリグリセリンカプリン酸エステル(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)相当)及びポリグリセリンステアリン酸エステル(ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)相当)の等量混合物を用い、各種油性成分を用いて実施例4の方法により評価を行った。結果を表3に示す。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価、可溶化に用いた各種油性成分は、表3に示されている。(結果) (A)のけん化価が55〜80、(B)のけん化価が60〜150の範囲のエステルを併用することで、高い可溶化効果が確認された。また、(A)のけん化価が100以上、(B)のけん化価が300以上のエステルを用いた場合は若干白濁するものの、可溶化が認められた。 油溶性物質としてレモン油を用いて、可溶化剤として実施例3の方法に基づき重合度の異なるポリグリセリンを用いて合成された、ポリグリセリンカプリン酸エステル(ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)相当)及びポリグリセリンステアリン酸エステル(ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)相当)の等量混合物を用い、実施例4の方法により評価を行った。結果を表4に示す。なお、ポリグリセリンの重合度、ポリグリセリン中の低分子化合物除去の有無は、表4に示されている。(結果) 平均重合度が8〜20のポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステル、表4に示す本発明品34〜38において、非常に高い可溶化効果が確認された。一方、重合度が4のポリグリセリン、または重合度が30のポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステル、すなわち表4に示す比較品5〜8においては、高い可溶化能は確認できなかった。化粧水A 香料 0.05(質量%) デカグリセリンモノカプリン酸エステル(成分(A)) 0.05 デカグリセリンモノステアリン酸エステル(成分(B)) 0.05 防腐剤 適量B クエン酸ナトリウム 0.1 ピロリドンカルボン酸ナトリウム 2.0 グリセリン 4.0 1,3−ブチレングリコール 4.0 精製水 残部調製方法:室温で、均一に混合したAを徐々にBにマグネチックスターラーで攪拌しながら加えて、30分攪拌を続けて調製を終了する。結果:透明度の優れた化粧水が得られた。また、5人のモニター評価を行ったことろ、5人共使用感の良いと評価した。マウスウォッシュ 香料 0.1(質量%) セチルピリジニウムクロリド 0.1 デカグリセリンモノカプリン酸エステル(成分(A)) 0.1 デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(成分(B)) 0.1 キシリトール 3.0 プロピレングリコール 5.0 トラネキサム酸 0.01 精製水 残部調製方法:精製水以外の成分を混合して60℃に加温して均一にした。これに精製水を加えて均一溶液とした。結果:発明品を用いることで透明性の高いマウスウォッシュが得られた。これらのマウスウォッシュの味を5人にてモニター評価を行ったところ、発明品を用いたマウスウォッシュは全ての人が味に優れているという評価であった。乳化香料 香料 5.0(質量%) デカグリセリンモノカプリン酸エステル(成分(A)) 2.5 デカグリセリンモノステアリン酸エステル(成分(B)) 2.5 グリセリン 65.0 精製水 残部調製法方法:精製水以外の成分を60℃で均一混合し、これに精製水を加えて均一溶液とした。結果:均一分散性に優れ、50倍量の水で希釈した際にも透明な可溶化液が得られた。化粧水A デカグリセリンモノカプリン酸エステル(成分(A)) 0.6(質量%) デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(成分(B)) 1.4 テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.5 水 10.0B ヒドロキシプロリン 0.2 1,3−ブチレングリコール 0.3 ポリエチレングリコール 4.0 ペンチレングリコール 2.5 クエン酸 0.03 クエン酸ナトリウム 0.04 防腐剤 適量 水 残部調製方法:80℃で均一に混合したAを徐々にBにマグネチックスターラーで攪拌しながら加えて、30分攪拌を続けて調製を終了する。結果:非常に透明度の優れた化粧水が得られた。また、5人のモニター評価を行ったところ、5人共使用感の良いと評価した。 本発明の可溶化剤は、食品添加物として認可されている安全性の高いポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しているため、人体に直接触れる、または摂取される可能性が考えられる用途、例えば、食品、飲料、化粧品、洗剤、香水、医薬品などの添加剤として有効に利用することができる。次の成分(A)、(B)を必須成分として含有することを特徴とする可溶化剤。(A)炭素数が6〜11の脂肪酸から選択される1種以上の中鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20であるポリグリセリンとをエステル化したポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(B)炭素数が12〜22の脂肪酸から選択される1種以上の長鎖脂肪酸と平均重合度が5〜20であるポリグリセリンとをエステル化したポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)およびポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を構成するポリグリセリンが、水溶性低分子量有機物を分子膜により除去し、ガスクロマトグラフィーによる定量値で、グリセリンを含まず、ジグリセリンの含量が3質量%以下のポリグリセリンであることを特徴とする請求項1に記載の可溶化剤。前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)の配合比率が、質量比で(A)/(B)=5/95〜95/5の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の可溶化剤。前記ポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)のけん化価が10〜100であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可溶化剤。前記ポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)のけん化価が10〜200であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可溶化剤。請求項1〜5のいずれか1項に記載の可溶化剤を含有することを特徴とする食品、医薬品または化粧料。 【課題】ポリグリセリン脂肪酸エステルを用い、食品、医薬品、化粧品に利用することができる可溶化剤であって、油溶性物質が多量に配合された場合であっても、特殊な乳化機等用いることなく、油溶性物質を水相中に微細に分散し、透明性が高い可溶化組成物を与えることができる可溶化剤、及びこの可溶化剤を利用した食品、医薬品または化粧品を提供する。【解決手段】炭素数が6〜11の脂肪酸から選択されるポリグリセリン中鎖脂肪酸エステル(A)と炭素数が12〜22の脂肪酸から選択されるポリグリセリン長鎖脂肪酸エステル(B)を必須成分として含有する可溶化剤であって、(A)と(B)の質量比が、(A)/(B)=5/95〜95/5であることを特徴とする可溶化剤、及びこの可溶化剤を利用した食品、医薬品または化粧料。【選択図】なし


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