タイトル: | 公開特許公報(A)_化粧品用組成物 |
出願番号: | 2013174048 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/73,A61Q 19/00 |
秋山 亜希子 松本 拓矩 上田 佳宏 JP 2015042616 公開特許公報(A) 20150305 2013174048 20130825 化粧品用組成物 ソマール株式会社 000108454 秋山 亜希子 松本 拓矩 上田 佳宏 A61K 8/73 20060101AFI20150206BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150206BHJP JPA61K8/73A61Q19/00 1 OL 6 4C083 4C083AC102 4C083AC122 4C083AD281 4C083AD282 4C083AD351 4C083AD352 4C083CC04 4C083EE01 4C083EE06 4C083EE07 本発明は、粘弾性を必要とする化粧品用組成物に関する。 従来、化粧品に増粘効果を付与する成分として天然多糖類であるキサンタンガムが多く使われている。しかしながら、キサンタンガムなどの多糖類は粘性を付与させるために多量に配合する必要があり、べたつきが残るなど肌触りが悪くなる欠点がある。 一方、近年、体温による触感の変化を目的として、低温領域において弾性特性が急激に変化するような化粧品について検討がなされている。 本発明者らにおいて、少量配合で低粘性物質の粘度を向上させ、かつ低温領域において高い弾性特性を得ることができる、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムを含有する天然多糖類組成物を提案している(特許文献1)。この組成物を化粧品に使用した場合には、キサンタンガム単独で用いた場合のような肌触りが悪くなる欠点を改善できるとともに、低温領域における急激な弾性変化を付与することができる。国際公開第2013/108909号 しかし、本発明者らによりさらなる検討を行ったところ、上記のようなキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムを含有する天然多糖類組成物は、低温から常温への温度変化を何度も繰り返すうちに弾性特性が徐々に変化していくことが判明した。この温度変化の繰り返しによる弾性特性の変化は、使用時における触感が当初のものと異なることになり望ましくない。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガムを化粧品に添加することにより、少量配合で低粘性物質の粘度を向上させ、かつ低温領域において高い弾性特性を得ることができるとともに、これらとヒドロキシエチルセルロースを併用することにより、低温から常温への温度変化を繰り返す場合にも弾性特性が安定することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下のとおりである。 (A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム、(C)グァーガム及び(D)ヒドロキシエチルセルロースガムを含有することを特徴とする化粧品用組成物。 本発明はキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム及びヒドロキシエチルセルロースガムを含有する組成物であり、この組成物を化粧品に添加した場合には、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガムにより低温領域における高い弾性特性を得ることができる。さらに、これらとヒドロキシエチルセルロースガムを併用することにより、低温から常温への温度変化を繰り返す場合にも安定した弾性特性を得ることができるため、化粧品用組成物として非常に有用である。実施例1の貯蔵弾性率と温度の関係を示した図である。比較例1の貯蔵弾性率と温度の関係を示した図である。比較例2の貯蔵弾性率と温度の関係を示した図である。 本発明は、(A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム、(C)グァーガム及び(D)ヒドロキシエチルセルロースガムを含有することを特徴とする化粧品用組成物である。 以下に、本発明について詳細を説明する。 前記(A)成分として用いるキサンタンガム(Xanthan gum)は、トウモロコシなどのデンプンを細菌により発酵させて得られる水溶性の天然多糖類で、D−グルコースがβ−1,4結合した主鎖及び主鎖のアンヒドログルコースにD−マンノース、D−グルクロン酸からなる側鎖が結合した構造を有する物質である。 前記(B)成分として用いるローカストビーンガム(Locust bean gum)は、カロブガム(Carob gum)とも呼ばれている。地中海沿岸地域及びカナリア諸島に生息するマメ科の常緑樹であるカロブ(学名 Ceratonia siliqua L.)の種子の胚乳を分離粉砕した多糖類である。ローカストビーンガムの構造は、主としてβ−D−マンノースとα−D−ガラクトースからなるガラクトマンナンである。主鎖は1,4結合のβ−D−マンノースであり、側鎖に1,6結合のα−D−ガラクトースが結合し、D−マンノースに対するD−ガラクトースの割合は、およそD−マンノース:D−ガラクトース=4:1である。ローカストビーンガムの製造方法は、カロブの実から外皮を取り除き、粉砕したものを高温の水で抽出し、ろ過後、イソプロピルアルコールなどのアルコール類にて沈殿させ、そのアルコールを取り除き、乾燥、粉砕する方法などがある。 前記(C)成分として用いるグァーガムは、マメ科植物であるグァーの種子の腔乳部に含有される粘液物質である。主成分はガラクトマンナンであり、ガラクトースに対するマンノースの割合は、およそガラクトース:マンノース=1:2である。 前記(D)成分として用いるヒドロキシエチルセルロースガムは、植物から抽出した天然植物繊維(セルロース)にエチレンオキシドを付加させることにより得られる水溶性高分子化合物である。 一般的に、化粧品などにキサンタンガムを単独で配合した場合にはゲル状に固化することはなく、配合量に依存して増粘効果を付与し、高温時に比較して低温時にわずかに粘度上昇がみられる粘性挙動を示す。本発明においては、キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合には高い弾力を付与することができる。さらにローカストビーンガムとの併用によりゲル状に固化することも可能となる。また、これらにグァーガムを併用することにより、特定の温度範囲において急激に弾性率が上昇し、低温領域において非常に高い弾性を得ることができる。 さらに、ヒドロキシエチルセルロースガムを前記キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムと併用することにより、低温から常温への温度変化を何度も繰り返すうちに弾性特性が変化してしまう問題を改善し、低温領域において安定した弾性特性を得ることができる。 本発明において、弾性率とは貯蔵弾性率を意味する。具体的には、回転式レオメータ(Malvern社製、商品名「Kinexus Pro」)を用いて測定される貯蔵弾性率である。 なお、本発明の組成物には、対象とする化粧品の種類に応じて、各種原材料を配合することができる。 本発明の組成物は、前記(A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム、(C)グァーガム及び(D)ヒドロキシエチルセルロースガムを均一に混合することにより調製する。 本発明の増粘効果を付与することができる化粧品としては、具体例として、石けん、化粧水、乳液、クリームなどのように肌を清潔にして整えることを目的とする基礎用化粧品、ファンデーション、紅、おしろい、アイシャドウ、マニキュアなどのように色調によって肌色や立体感を調節する仕上げ用化粧品、頭髪用化粧品、芳香用化粧品、薬用化粧品などを挙げることができる。 化粧品に対する各成分の配合割合は、対象とする化粧品の種類及びその原料によって適宜選択することができるが、化粧品の全量に対して0.001〜0.2質量%、特には0.01〜0.1質量%が好ましい。この配合割合とすることにより、少量配合で低粘性物質の粘度を向上させ、かつ低温領域において温度変化を繰り返しても安定した弾性特性を得ることができる。 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 (化粧水の作製) (実施例1) 以下に示す成分について撹拌機を使用して5分間撹拌することにより、化粧品用組成物である化粧水を作製した。各成分の配合割合は質量%で示す。 成分 配合割合(質量%) (1) 精製水 全量を100とした残量 (2) グリセリン 6.000% (3) 無水エタノール 7.000% (4) (A)キサンタンガム 0.086% (5) (B)ローカストビーンガム 0.044% (6) (C)グァーガム 0.020% (7) (D)ヒドロキシエチルセルロースガム 0.040% (比較例1) (D)成分を配合しない以外は、実施例1と同様にして化粧水を作製した。 (比較例2) (D)成分に替えてセルロースガムを配合した以外は、実施例1と同様にして化粧水を作製した。 なお、実施例、比較例1及び2において使用した成分として、グリセリンはライオン社製の商品名「化粧品用濃グリセリン」、(A)キサンタンガムはDSP五協フード&ケミカル社製の商品名「エコーガム」、(B)ローカストビーンガムはPOLYGAL社製の商品名「POLYCOS 18/1−85LSC」、(C)グァーガムはHabgen Guargums社製の商品名「PROCOL U」、(D)ヒドロキシエチルセルロースガムはダイセルファインケム社製の商品名「HECダイセル」、セルロースガムはダイセルファインケム社製の商品名「CMCダイセル」である。 (弾性率の測定) 得られた化粧水を−18℃にて48時間静置し、次に25℃にて2.5時間静置した。それについて弾性率を測定し、この1サイクルから連続して10サイクルまでの貯蔵弾性率をそれぞれ測定した。測定は、回転式レオメータ(Malvern社製、商品名「Kinexus Pro」、共軸二重円筒:直径15.4mm)を使用し、昇温速度1℃/分、歪み1.0%、周波数1.0Hzにて、貯蔵弾性率を測定した。サイクル毎に測定した結果を図1、図2及び図3に示す。 図1、図2及び図3の結果から明らかなように、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムのみを含有した組成物を使用した比較例1では特定の温度を境界に弾性挙動が著しく変化し、低温領域において高い弾性特性を得ることができたが、低温領域における貯蔵弾性率には低温から常温への温度変化を繰り返すことによるばらつきがみられる。次に実施例1及び比較例2を比較すると、ヒドロキシエチルセルロースガムを添加することにより低温領域におけるサイクル毎の貯蔵弾性率は非常に安定していることがわかる。また、比較例2では低温領域における弾性特性が低下しており、セルロースガムでは低温における貯蔵弾性率が維持できない。 したがって、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムを化粧水に添加することにより、低温領域において高い弾性特性を得ることができる。さらに、ヒドロキシエチルセルロースガムとこれらを併用することにより、低温から常温への温度変化を繰り返す場合にも安定した弾性特性を得ることができる。特に低温領域において非常に安定していることがわかる。 化粧品の分野における、増粘効果を得るための化粧品用組成物として有用である。 (A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム、(C)グァーガム及び(D)ヒドロキシエチルセルロースガムを含有することを特徴とする化粧品用組成物。 【課題】 本発明は、低温領域において高い弾性特性が低温から常温への温度変化を繰り返す場合にも安定する化粧品用組成物を提供する。【解決手段】 (A)キサンタンガム、(B)ローカストビーンガム、(C)グァーガム及び(D)ヒドロキシエチルセルロースガムを含有することにより、少量配合で低粘性物質の粘度を向上させ、キサンタンガム単独で用いた場合のような肌触りが悪くなる欠点を改善できるとともに、低温領域における高い弾性特性が低温から常温への温度変化を何度も繰り返す場合にも安定して一定範囲にあることを特徴とする化粧品用組成物である。【選択図】なし