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タイトル:公開特許公報(A)_アルカリ金属ハロゲン化物を用いたベンジルアミン類及びベンジルエーテル類の酸化的脱ベンジル化反応
出願番号:2013161110
年次:2015
IPC分類:C07C 29/10,C07C 311/16,C07C 303/40,C07C 49/413,C07C 45/00,C07C 49/04,C07C 49/67,C07C 49/76,C07C 49/786,C07C 49/807,C07C 49/80,C07C 33/20,C07C 33/24,B01J 27/08


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森山 克彦 東郷 秀雄 田原 寛之 JP 2015030699 公開特許公報(A) 20150216 2013161110 20130802 アルカリ金属ハロゲン化物を用いたベンジルアミン類及びベンジルエーテル類の酸化的脱ベンジル化反応 マナック株式会社 000113780 特許業務法人 津国 110001508 津国 肇 100078662 柳橋 泰雄 100131808 伊藤 佐保子 100119079 小澤 圭子 100135873 田中 洋子 100122747 森山 克彦 東郷 秀雄 田原 寛之 C07C 29/10 20060101AFI20150120BHJP C07C 311/16 20060101ALI20150120BHJP C07C 303/40 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/413 20060101ALI20150120BHJP C07C 45/00 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/04 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/67 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/76 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/786 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/807 20060101ALI20150120BHJP C07C 49/80 20060101ALI20150120BHJP C07C 33/20 20060101ALI20150120BHJP C07C 33/24 20060101ALI20150120BHJP B01J 27/08 20060101ALI20150120BHJP JPC07C29/10C07C311/16C07C303/40C07C49/413C07C45/00C07C49/04 AC07C49/67C07C49/76 AC07C49/786C07C49/807C07C49/80C07C33/20C07C33/24B01J27/08 Z 11 OL 21 特許法第30条第2項適用申請有り (1)平成25年3月8日 公益社団法人 日本化学会発行「日本化学会第93春季年会 2013年講演予稿集IV」第1346頁に発表 (2)平成25年3月25日 日本化学会第93春季年会において文書をもって発表 4G169 4H006 4G169AA06 4G169BB08A 4G169BB08B 4G169BC01A 4G169BC02A 4G169BC03A 4G169BC03B 4G169BD13B 4G169CB35 4G169CB71 4G169CB77 4H006AA02 4H006AC41 4H006AC44 4H006AC52 4H006AC61 4H006BB21 4H006BB22 4H006BC10 4H006BE61 4H006BE90 4H006FE11 本発明は、アルカリ金属ハロゲン化物を用いたベンジルアミン類及びベンジルエーテル類の酸化的脱ベンジル化反応に関する。具体的には、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物の製造方法に関するものである。 水酸基及びアミノ基の非置換若しくは置換ベンジル保護基は、様々な試薬の存在下及び/又は反応条件下において優れた安定性を有することから、アミン及びアルコール化合物の官能基の保護基として幅広く用いられており、これらの効率的な脱保護(脱ベンジル化)は依然として重要な課題である。従来の脱ベンジル化反応としては、例えば、パラジウムなどの重金属触媒を用いる加水素分解や液体アンモニア/金属ナトリウムを用いるBirch還元などの還元的脱ベンジル化反応;硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN)や2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)などの有機反応試薬を用いる酸化的脱ベンジル化反応(例えば、非特許文献1乃至2参照);及びBCl3などの強いルイス酸を用いる反応が知られている。Journal of Medicinal Chemistry, 55(18), 8110-8127 (2012)Organometallics, 31(14), 5039-5048 (2012) 従来の脱ベンジル化反応は、重金属触媒や有機反応試薬を用いることから廃棄物などの環境への負荷が問題であった。また重金属触媒や有機反応試薬は、高価であり、その取り扱いも煩雑であることから、工業的スケールへの応用に問題があった。 本発明者らは、これまでにアルカリ金属ハロゲン化物の酸化を利用した分子変換法を達成している。かかる変換法の脱ベンジル化法への応用を鋭意検討した結果、アルカリ金属ハロゲン化物を用いたベンジルアミン類及びベンジルエーテル類の酸化的脱ベンジル化反応を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである:1. 非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物の製造方法。2. 下記式(1):〔式中、R1は、1価の有機基であり、Xは、NR2又はOであり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2):〔式中、R1及びXは、上記と同義である(但し、XがOであり、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアミン又はアルコール化合物、あるいは下記式(3):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基であり、そしてXは、Oである〕で表されるケトン化合物の製造方法。3. 下記式(1a):〔式中、R1は1価の有機基であり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2a):〔式中、R1及びR2は、上記と同義である〕で表されるアミン化合物の製造方法。4. 下記式(1b):〔式中、R1は1価の有機基であり、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2b):〔式中、R1は、上記と同義である(但し、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアルコール化合物、又は下記式(3b):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基である〕で表されるケトン化合物の製造方法。5. アルカリ金属ハロゲン化物が、カリウム又はナトリウムの臭化物又は塩化物である、上記1〜4のいずれか1に記載の方法。6. 溶媒の存在下で実施される、上記1〜5のいずれか1に記載の方法。7. 溶媒が、ニトロメタン又はアセトニトリルである、上記6に記載の方法。8. 60℃以下の温度で実施される、上記1〜7のいずれか1に記載の方法。9. 遮光下で実施される、上記1〜8のいずれか1に記載の方法。10. 非置換若しくは置換ベンジル基で保護された酸素原子又は窒素原子を含む基質を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、非置換若しくは置換ベンジル基の脱保護方法。11. ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物のベンジル基の脱保護試薬。 本発明の方法は、従来の脱ベンジル化反応とは異なり重金属触媒や有機反応試薬を用いないことから、反応後の有機廃棄物を排出しない、環境低負荷型酸化的脱ベンジル化反応であり、環境調和に適している。また、本発明の方法で用いるアルカリ金属ハロゲン化物及びオキソン(登録商標)は、いずれも安価で取り扱いが容易であることから、工業的スケールへの応用にも適している。 本発明は、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、アルカリ金属ハロゲン化物と、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤、典型的にはオキソン(Oxone)(登録商標)で処理することを特徴とする、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物の製造方法に関する。[非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物] 本発明において「非置換若しくは置換ベンジル」は、非置換のベンジルであるか、あるいはそのベンゼン環上又はα位の炭素原子上で、1以上の任意の置換基によって置換されたベンジルであって、水酸基、アミノ基などの保護基として使用できるものであれば特に制限はなく、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」(T.W.Greene et.al, John Wiley & Sons, inc.)などの有機合成化学における参考書により当業者に公知のものを使用することができる。「非置換若しくは置換ベンジル」として、具体的に、下記式:[式中、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数であり、そして*は、酸素原子又は窒素原子との結合点である]で表される非置換若しくは置換ベンジルを挙げることができる。より具体的には、ベンジル;4−tert−ブチルベンジルのような炭素数1〜6のアルキル置換ベンジル;4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、3,4,5−トリメトキシベンジルのような炭素数1〜6のアルコキシ置換ベンジル;4−ブロモベンジル、4−クロロベンジル、2,6−ジクロロベンジルのようなハロ置換ベンジル;2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジルのようなニトロ置換ベンジル;4−シアノベンジルのようなシアノ置換ベンジル;又は4−フェニルベンジルのようなフェニル置換ベンジル;あるいはα−メチルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルのようなα置換ベンジルを挙げることができる。好ましくは、ベンジル、炭素数1〜6のアルキル置換ベンジル、炭素数1〜6のアルコキシ置換ベンジル、ハロ置換ベンジル又はα置換ベンジルであり、より好ましくは、ベンジル、C1〜6アルキル置換ベンジル、ハロ置換ベンジル又はα置換ベンジルであり、最も好ましくは、ベンジル(すなわち、非置換ベンジル)である。 本発明の製造方法における反応基質である「非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物」は、上述のような非置換若しくは置換ベンジルで置換されたアミン類又は非置換若しくは置換ベンジルで置換されたアルコール類を意味する。例えば、「非置換若しくは置換ベンジルアミン化合物」は、一般式:RR′R″Nで表され、R、R′及びR″の1つが、上述のような非置換若しくは置換ベンジルであり、かつR、R′及びR″の残りの2つが、水素原子又は一価の有機基である(但し、2つ共に水素原子ではない)化合物であれば特に制限はない。同様に、「非置換若しくは置換エーテル化合物」は、一般式:R−O−R′で表され、R及びR′の一方が、上述のような非置換若しくは置換ベンジルであり、かつR及びR′の他方が、一価の有機基である化合物であれば特に制限はない。 具体的に、本発明の「非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物」は、下記式(1):〔式中、R1は、1価の有機基であり、Xは、NR2又はOであり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される。 具体的に、本発明の「非置換若しくは置換ベンジルアミン化合物」は、下記式(1a):〔式中、R1は1価の有機基であり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される。 具体的に、本発明の「非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物」は、下記式(1b):〔式中、R1は1価の有機基であり、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される。 本発明において「1価の有機基」は、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応条件下において、不活性であるものであれば特に制限はない。そのような1価の有機基の例としては、炭化水素基、複素環式基、カルボキシル基、置換カルボニル基、スルホ基、置換スルホニル基などを挙げることができる。 前記「炭化水素基」の例としては、炭素数1〜30の飽和又は不飽和の鎖式脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和又は不飽和の脂環族炭化水素基又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を挙げることができる。 炭素数1〜30の飽和又は不飽和の鎖式脂肪族炭化水素基は、好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基又は炭素数2〜30のアルキニル基を挙げることができ、より好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基など;又は炭素数2〜12のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル基などを挙げることができる。 炭素数3〜30の飽和又は不飽和の脂環族炭化水素基は、単環式、多環式、橋かけ環式、環集合又はスピロ炭化水素基であってよく、好ましくは、炭素数3〜30のシクロアルキル、炭素数3〜30のシクロアルケニル、又は炭素数3〜30のシクロアルキニルを挙げることができ、より好ましくは、炭素数3〜12のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルなどを挙げることができる。また炭素数3〜30の飽和又は不飽和の脂環族炭化水素基は、下記「炭素数6〜30の芳香族炭化水素基」又は「複素環式基」と縮合又は結合して、多環式又は環集合炭化水素基を形成したものであってもよい。 炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、単環式、多環式又は環集合炭化水素基であってよく、好ましくは、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、例えば、フェニル、ビフェニリル、インデニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリルなどを挙げることができる。また炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、前記「炭素数3〜30の飽和若しくは不飽和の脂環族炭化水素基」又は下記「複素環式基」と縮合又は結合して、多環式又は環集合炭化水素基を形成したものであってもよい。 前記「複素環式基」の例としては、酸素、窒素及び硫黄原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、飽和、部分不飽和又は不飽和の3〜20員の環式基を挙げることができる。このような複素環式基は、単環式、多環式、環集合又はスピロ化合物であってよく、好ましくは、酸素原子を含む3〜20員の環式基、窒素原子を含む3〜20員の環式基、硫黄原子を含む3〜20員の環式基、酸素原子及び窒素原子を含む3〜20員の環式基、酸素原子及び硫黄原子を含む3〜20員の環式基又は窒素原子及び硫黄原子を含む3〜20員の環式基などを挙げることができる。より好ましくは、酸素原子を含む3〜10員の環式基、例えば、オキシラニル、オキセタニル、フリル、テトラヒドロフリル、ベンゾフリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、クロメニル基など;窒素原子を含む3〜10員の環式基、例えば、アジリジニル、アゼチジニル、アゼピニル、アゼパニル、ピロリル、ベンゾピロリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピラジニル、キノキサリニル、ピリミジニル、キナゾリニル、ピリダジニル、カルバゾリル基など;硫黄原子を含む3〜10員の環式基、例えば、チエニル、ベンゾチエニル基など;酸素原子及び窒素原子を含む3〜10員の環式基、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、モルホリニル基など;酸素原子及び硫黄原子を含む3〜10員の環式基、例えばフェノキサチイニル基など;又は窒素原子及び硫黄原子を含む3〜10員の環式基、例えば、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアジニルなどを挙げることができる。また複素環式基は、前記「炭素数3〜30の飽和若しくは不飽和の脂環族炭化水素基」又は「炭素数6〜30の芳香族炭化水素基」と縮合又は結合して、多環式又は環集合炭化水素基を形成したものであってもよい。 前記「カルボキシル基」は、−COOH基を意味する。前記「置換カルボニル基」の例としては、炭素数2〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基、炭素数7〜30のアラルキルオキシカルボニル基を挙げることができる。好ましくは、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアラルキルオキシカルボニル基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数2〜13のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル、ラウロイル、ベンゾイル、ナフトイル、トルイル、フロイル、ニコチノイル基など;炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル基など;炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェニルオキシカルボニル基など;炭素数7〜12のアラルキルオキシカルボニル基、例えば、ベンジルオキシカルボニル基などを挙げることができる。 前記「スルホ基」は、−SO3H基を意味する。前記「置換スルホニル基」の例としては、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30のアリールスルホニル基、炭素数7〜30のアラルキルスルホニル基を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数7〜20のアラルキルスルホニル基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ブタンスルホニル、ドデカンスルホニル基など;炭素数6〜12のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル基など;炭素数7〜12のアラルキルスルホニル基、例えば、ベンジルスルホニル基などを挙げることができる。 「1価の有機基」として挙げた、炭化水素基、複素環式基、カルボキシル基、置換カルボニル基、スルホ基、置換スルホニル基は、さらに置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応条件下において、不活性であるものであれば特に制限はない。例としては、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基などが挙げられる。前記ヒドロキシル基又はアミノ基は、有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。さらに、前記炭化水素基、複素環式基、カルボキシル基、置換カルボニル基、スルホ基、置換スルホニル基が置換基として存在してもよい。 さらにR1とR2が一緒になって形成する環としては、前記「複素環式基」の中でも、窒素原子を含む3〜20員の環式基、酸素原子及び窒素原子を含む3〜20員の環式基、又は窒素原子及び硫黄原子を含む3〜20員の環式基などを挙げることができる。より好ましくは、窒素原子を含む3〜10員の環式基、例えば、アジリジニル、アゼチジニル、アゼピニル、アゼパニル、ピロリル、ベンゾピロリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピラジニル、キノキサリニル、ピリミジニル、キナゾリニル、ピリダジニル、カルバゾリル基など;酸素原子及び窒素原子を含む3〜10員の環式基、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、モルホリニル基など;又は窒素原子及び硫黄原子を含む3〜10員の環式基、例えば、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアジニルなどを挙げることができる。特に好ましくは、飽和若しくは部分不飽和の窒素原子を含む3〜10員の環式基、例えば、アジリジニル、アゼチジニル、アゼピニル、アゼパニルなどを挙げることができる。前記環式基は、さらに置換基を有していてもよい。そのような置換基は、前記「1価の有機基」で挙げた置換基と同じである。[酸化的脱ベンジル化反応の条件] 本発明は、上述のような、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、アルカリ金属ハロゲン化物と、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤、典型的にはオキソン(Oxone)(登録商標)で処理することを特徴とする。 本発明はアルカリ金属ハロゲン化物を酸化剤により酸化させ、ハロゲンラジカルを発生させることにより、脱ベンジル化反応を進行させるものと考えられる。したがって、本発明の「アルカリ金属ハロゲン化物」は、酸化剤により、ハロゲンラジカルが発生するものであればよいが、好ましくは、アルカリ金属の塩化物又は臭化物であり、より好ましくは、アルカリ金属の臭化物、具体的には、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム又は臭化セシウムであり、特に好ましくは、臭化ナトリウム又は臭化カリウムである。アルカリ金属ハロゲン化物の使用量は、反応基質に対して、0.1〜10当量(倍モル量)、好ましくは0.5〜3当量、より好ましくは0.5〜1.5当量である。 同様に、本発明の「酸化剤」は、上記「アルカリ金属ハロゲン化物」を酸化させ、ハロゲンラジカルを発生させることができる、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤であればよい。ペルオキシ一硫酸塩は、HSO5−の無機塩である。したがって、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤は、好ましくはペルオキシ一硫酸カリウムのような、ペルオキシ一硫酸のアルカリ金属塩である。特に好ましくは、2KHSO5・KHSO4・K2SO4で表される、ペルオキシ一硫酸カリウムの硫酸イオンと硫酸水素イオンからなる複塩であって、例えばデュポン社よりオキソン(Oxone)(登録商標)との商品名で市販されている酸化剤である。ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤の使用量は、反応基質に対して、0.8〜10当量(倍モル量)、好ましくは0.9〜5当量、より好ましくは1〜3当量である。 本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応は、溶媒の存在下又は非存在下で実施してもよいが、好ましくは溶媒の存在下で実施される。溶媒は、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に不活性なものであればよいが、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、アルコール系溶媒、ウレア系溶媒、エステル系溶媒又は水などの極性溶媒、あるいは炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒などの非極性溶媒であってもよい。好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、N,N−ジメチルプロピレン尿素などのウレア系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒又は水などの極性溶媒又はそれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ系溶媒、水又はそれらの混合物が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定はないが、通常、反応基質に対して2倍〜100倍量(重量基準)、好ましくは5倍〜20倍量である。 本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応は、任意の温度範囲で実施してもよいが、好ましくは、60℃以下の温度、より好ましくは0〜60℃の温度範囲で実施される。温度は、反応の間、一定の温度を保持してもよいが、上記の温度範囲内で適宜変動させてもよい。反応時間は、薄層クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの慣用の手段で反応の進行をモニターし、その進行に応じて適宜設定すればよいが、通常、30分から48時間、好ましくは1〜36時間、より好ましくは2〜24時間である。 本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応は、可視光照射下に、又は遮光条件下に実施してもよい。あるいは、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に、又は酸化反応を促進するために、酸素雰囲気下に実施してもよい。[脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物] 本発明では、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、アルカリ金属ハロゲン化物と、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤、典型的にはオキソン(Oxone)(登録商標)で処理することにより、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物が得られる。したがって得られる「脱ベンジル化されたアミン化合物」は、一般式:RR′NHで表され、R及びR′が、水素原子又は一価の有機基である(但し、2つ共に水素原子ではない)アミン化合物である。また得られる「脱ベンジル化されたエーテル化合物」は、一般式:R−OHで表され、Rが、一価の有機基であるアルコール化合物であるか、あるいは一般式R=Oで表され、Rが、遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基であるケトン化合物である。 すなわち、上記式(1)で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に付すことにより、下記式(2):〔式中、R1及びXは、上記と同義である(但し、XがOであり、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアミン又はアルコール化合物、あるいは下記式(3):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基であり、そしてXは、Oである〕で表されるケトン化合物を得ることができる。 具体的には、上記式(1a)で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン化合物を、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に付すことにより、下記式(2a):〔式中、R1及びR2は、上記と同義である〕で表されるアミン化合物を得ることができる。 また具体的には、上記式(1b)で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物を、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に付すことにより、下記式(2b):〔式中、R1は、上記と同義である(但し、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアルコール化合物、又は下記式(3b):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基である〕で表されるケトン化合物を得ることができる。 上記式(1b)で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物の脱ベンジル化の結果、式(2b)で表されるアルコール化合物が得られるか、あるいは式(3b)で表されるケトン化合物が得られるかは、その反応基質である式(1b)で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物において、酸素に結合するR1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有するか否かに依存する。すなわち、R1の遊離原子価が炭素原子に存在しないか、又はR1の遊離原子価が炭素原子に存在するが、該炭素原子が第2級炭素原子構造を有しない場合、上記式(1b)で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物を、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に付すことにより、式(2b)で表されるアルコール化合物が得られる。一方、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、上記式(1b)で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物を、本発明に係る酸化的脱ベンジル化反応に付すことにより、脱ベンジル化に止まらず、直接的酸化反応が進行し、式(3b)で表されるケトン化合物が得られる。 ここで「第2級炭素原子の2価の有機基」としては、典型的には、前記「炭化水素基」の同一炭素原子(第2級炭素原子)からの2価基、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜30のアルキリデン基、炭素数2〜30のアルケニリデン基又は炭素数2〜30のアルキニリデン基、あるいは炭素数3〜30のシクロアルキリデン基、炭素数3〜30のシクロアルケニリデン基、又は炭素数3〜30のシクロアルキニリデン基を挙げることができる。好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキリデン基、例えば、メチレン、イソプロピリデン基など;又は炭素数2〜12のアルケニリデン基、例えば、ビニリデン基など;炭素数3〜12のシクロアルキリデン基、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロオクチリデン、シクロデシリデン、シクロドデシリデン基などを挙げることができる。前記2価基は、さらに置換基を有していてもよい。そのような置換基は、前記「1価の有機基」で挙げた置換基と同じである。 本発明はまた、非置換若しくは置換ベンジル基で保護された酸素原子又は窒素原子を含む基質を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、非置換若しくは置換ベンジル基の脱保護方法に関する。「非置換若しくは置換ベンジル基で保護された酸素原子又は窒素原子を含む基質」は、上記の「非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物」と同義であり、「ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤」及び「アルカリ金属ハロゲン化物」は、上記に記載のとおりである。 さらに本発明は、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む、非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物のベンジル基の脱保護試薬に関する。本発明により、従来の脱ベンジル化反応に用いる重金属触媒や有機反応試薬とは異なる、新たなベンジル基の脱保護試薬を提供することができる。 以下に本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。なお、かかる実施例は、本発明の説明のために示されるものであって、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。[アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応]実施例1 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミン(65.3mg、0.25mmol)と臭化カリウム(29.8mg、0.25mmol)のニトロメタン(1.5mL)溶液にオキソン(登録商標)(230.5mg、0.375mmol)を室温で加えて、30 ℃に昇温し、24時間撹拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えて、酢酸エチル(15mL)で3回分液した。集めた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過した後、減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、N−ベンゼンスルホニル−N−メチルアミン(42.6mg、>99%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.66 (d, J = 5.5 Hz, 3H), 4.72 (brs, 1H), 7.50-7.56 (m, 2H), 7.57-7.62 (m, 1H), 7.86-7.90 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 29.3, 127.2 (2C), 129.1 (2C), 132.7, 138.7.実施例2 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルエチルアミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−エチルアミンを収率87%で得た。実施例3 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルイソプロピルアミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−イソプロピルアミンを収率88%で得た。実施例4 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルイソブチルアミンに置き換え、可視光の照射下に撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−イソブチルアミンを収率97%で得た。実施例5 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルペンチルアミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−ペンチルアミンを収率93%で得た。実施例6 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル−(2−オクチル)アミンに置き換え、室温で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(2−オクチル)アミンを収率78%で得た。実施例7 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルシクロペンチルアミンに置き換え、可視光の照射下、室温で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−シクロペンチルアミンを収率65%で得た。実施例8 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルシクロヘキシルアミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−シクロヘキシルアミンを収率96%で得た。実施例9 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルシクロヘプチルアミンに置き換え、オキソン(登録商標)の添加量を1.2当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−シクロヘプチルアミンを収率62%で得た。実施例10 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルアミンに置き換え、ニトロメタンに換えて、ニトロメタン:水(9:1)を用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニルアミンを収率94%で得た。実施例11 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル(3−クロロプロピル)アミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(3−クロロプロピル)アミンを収率98%で得た。実施例12 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−(3−アセトキシプロピル)−N−ベンゼンスルホニルベンジルアミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−(3−アセトキシプロピル)−N−ベンゼンスルホニルアミンを収率95%で得た。実施例13 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル(2−エトキシカルボニルエチル)アミンに置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量、オキソン(登録商標)の添加量を1.8当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(2−エトキシカルボニルエチル)アミンを収率91%で得た。実施例14 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル(4−シアノブチル)アミンに置き換えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(4−シアノブチル)アミンを収率78%で得た。実施例15 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル(3−フタルイミジルプロピル)アミンに置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量、オキソン(登録商標)の添加量を2.0当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(3−フタルイミジルプロピル)アミンを収率91%で得た。実施例16 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジル(3−ニトロプロピル)アミンに置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量、オキソン(登録商標)の添加量を1.8当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−(3−ニトロプロピル)アミンを収率83%で得た。 実施例1〜16の結果を以下の表1にまとめて示す。実施例17 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−(4−tert−ブチルベンジル)シクロペンチルアミンに置き換え、室温で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−シクロペンチルアミンを収率64%で得た。実施例18 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゼンスルホニル−N−(α−メチルベンジル)メチルアミンに置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量、オキソン(登録商標)の添加量を1.3当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゼンスルホニル−N−メチルアミンを収率88%で得た。実施例19 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンジル−N−ブタンスルホニルメチルアミンに置き換え、50℃で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ブタンスルホニル−N−メチルアミンを収率>99%で得た。実施例20 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンジル−N−メチル(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミンに置き換え、50℃で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−メチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミンを収率92%で得た。実施例21 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンゾイル−N−ベンジルメチルアミンに置き換え、50℃で撹拌した以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−ベンゾイル−N−メチルアミンを収率87%で得た。実施例22 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−アセチル−N−ベンジルペンチルアミンに置き換え、オキソン(登録商標)の添加量を1.2当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。N−アセチル−N−ペンチルアミンを収率72%で得た。実施例23 N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを、N−ベンジル−2−オキソアゼパンに置き換え、可視光の照射下、オキソン(登録商標)の添加量を1.2当量とした以外は、実施例1に記載の方法に従い、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。2−オキソアゼパンを収率69%で得た。 実施例17〜23の結果を以下の表2にまとめて示す。[エーテル化合物の酸化的脱ベンジル化反応]実施例24 ベンジルシクロドデシルエーテル(68.6mg、0.25mmol)と臭化カリウム(29.8mg、0.25mmol)のアセトニトリル(1.5mL)溶液にオキソン(230.5mg、0.375mmol)を遮光条件下、0℃で加えて、そのまま30分撹拌した。その後、30℃に昇温し、24時間撹拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えて、酢酸エチル(15mL)で3回分液した。集めた有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過した後、減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、シクロドデカノン(43.5mg、95%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.22-1.37 (m, 14H), 1.67-1.76 (m, 4H), 2.44-2.49 (m, 4H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 22.3, 22.5 (2C), 24.2 (2C), 24.6 (2C), 24.7 (2C), 40.3 (2C), 212.9.実施例25−28 ベンジルシクロドデシルエーテルを、下記表3に記載の各エーテル化合物に置き換えた以外は、実施例24に記載の方法に従い、酸化的脱ベンジル化反応を実施した。式(2b)のアルコール化合物又は式(3b)のケトン化合物を下記表3に示す収率で得た。実施例29−30、32、37 ベンジルシクロドデシルエーテルを、下記表3に記載の各エーテル化合物に置き換え、非遮光条件とした以外は、実施例24に記載の方法に従い、酸化的脱ベンジル化反応を実施した。式(3b)のケトン化合物を下記表3に示す収率で得た。実施例31、33−36 ベンジルシクロドデシルエーテルを、下記表3に記載の各エーテル化合物に置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量とし、非遮光条件とした以外は、実施例24に記載の方法に従い、酸化的脱ベンジル化反応を実施した。式(2b)のアルコール化合物又は式(3b)のケトン化合物を下記表3に示す収率で得た。 実施例24〜37の結果を以下の表3にまとめて示す。実施例38 ベンジルシクロドデシルエーテルを、4−ブロモベンジルシクロドデシルエーテルに置き換え、臭化カリウムの添加量を1.2当量、オキソン(登録商標)の添加量を1.8当量とし、非遮光条件とした以外は、実施例24に記載の方法に従い、エーテル化合物の酸化的脱ベンジル化反応を実施した。シクロドデカノンを収率95%で得た。[アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応条件の検討]実施例A N−ベンゼンスルホニル−N−ベンジルメチルアミンを出発原料とし、下記表4のrun No.1−18に記載の反応条件を用いた以外は、実施例1と同様の方法で酸化的脱ベンジル化反応を実施し、アミン化合物の酸化的脱ベンジル化反応の条件を検討した。結果を下記表4に示す。 実施例Aより、本発明の特定の反応条件の組み合わせが、酸化的脱ベンジル化反応に重要であることがわかる。例えば、run No.8−9のように、アルカリ金属ハロゲン化物以外のハロゲン化物を用いた反応は進行せず、ほとんどの原料が回収された。run No.12−15のように、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤以外の酸化剤を用いた反応も進行せず、同様にほとんどの原料が回収された。またrun No.16−18のように、ハロゲン化物又は酸化剤の一方のみを添加しても、十分な反応の進行は確認できなかった。[エーテル化合物の酸化的脱ベンジル化反応条件の検討]実施例B ベンジルシクロドデシルエーテルを出発原料とし、下記表5のrun No.1−22に記載の反応条件を用いた以外は、実施例24と同様の方法で酸化的脱ベンジル化反応を実施し、エーテル化合物の酸化的脱ベンジル化反応の条件を検討した。結果を下記表5に示す。 実施例Bより、本発明の特定の反応条件の組み合わせが、エーテル化合物の酸化的脱ベンジル化反応に重要であること、また本発明の特定の反応条件の組み合わせの中からさらに詳細な反応条件を設定することにより、各基質に対するより好適な反応条件を見出せることがわかる。 非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物の製造方法。 下記式(1):〔式中、R1は、1価の有機基であり、Xは、NR2又はOであり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン又はエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2):〔式中、R1及びXは、上記と同義である(但し、XがOであり、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアミン又はアルコール化合物、あるいは下記式(3):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基であり、そしてXは、Oである〕で表される対応する脱ベンジル化されたケトン化合物の製造方法。 下記式(1a):〔式中、R1は1価の有機基であり、R2は、水素原子又は1価の有機基であるか、あるいはR1とR2は、一緒になって環を形成してもよく、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルアミン化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2a):〔式中、R1及びR2は、上記と同義である〕で表されるアミン化合物の製造方法。 下記式(1b):〔式中、R1は1価の有機基であり、R3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基からなる群より選択され、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はフェニル基であり、nは、0〜3の数である〕で表される非置換若しくは置換ベンジルエーテル化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、下記式(2b):〔式中、R1は、上記と同義である(但し、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合を除く)〕で表されるアルコール化合物、又は下記式(3b):〔式中、R1′は、R1の遊離原子価が炭素原子に存在し、かつ該炭素原子が第2級炭素原子構造を有する場合、該第2級炭素原子の2価の有機基である〕で表される対応する脱ベンジル化されたケトン化合物の製造方法。 アルカリ金属ハロゲン化物が、カリウム又はナトリウムの臭化物又は塩化物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 溶媒の存在下で実施される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 溶媒が、ニトロメタン又はアセトニトリルである、請求項6に記載の方法。 60℃以下の温度で実施される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 遮光下で実施される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 非置換若しくは置換ベンジル基で保護された酸素原子又は窒素原子を含む基質を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理することを特徴とする、非置換若しくは置換ベンジル基の脱保護方法。 ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む、非置換若しくは置換ベンジルエーテル又はアミン化合物のベンジル基の脱保護試薬。 【課題】重金属触媒や、有機反応試薬を使用しない脱ベンジル反応によって、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物の新規な製造方法の提供。【解決手段】非置換若しくは置換ベンジルエーテル又はアミン化合物を、ペルオキシ一硫酸塩を含む酸化剤及びアルカリ金属ハロゲン化物で処理し、脱ベンジル化されたアミン又はエーテル化合物を製造する方法。又はアルコール化合物、ケトン化合物を製造する方法。【選択図】なし


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