タイトル: | 公開特許公報(A)_エンジンオイル潤滑剤のための清浄剤としてのカルシウム中性及びカルシウム超塩基性マンニッヒ並びに無水付加物 |
出願番号: | 2013156610 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 235/00,C10M 159/20,C10M 159/16,C10N 10/02,C10N 10/04,C10N 30/04,C10N 40/25 |
マイケル・ジエイ・マクローリン ナレシユ・マトウール JP 2014037409 公開特許公報(A) 20140227 2013156610 20130729 エンジンオイル潤滑剤のための清浄剤としてのカルシウム中性及びカルシウム超塩基性マンニッヒ並びに無水付加物 アフトン・ケミカル・コーポレーション 391007091 Afton Chemical Corporation 特許業務法人小田島特許事務所 110000741 マイケル・ジエイ・マクローリン ナレシユ・マトウール US 61/684,167 20120817 US 13/915,965 20130612 C07C 235/00 20060101AFI20140131BHJP C10M 159/20 20060101ALI20140131BHJP C10M 159/16 20060101ALI20140131BHJP C10N 10/02 20060101ALN20140131BHJP C10N 10/04 20060101ALN20140131BHJP C10N 30/04 20060101ALN20140131BHJP C10N 40/25 20060101ALN20140131BHJP JPC07C235/00C10M159/20C10M159/16C10N10:02C10N10:04C10N30:04C10N40:25 10 OL 24 4H006 4H104 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB61 4H006BV22 4H104DB03C 4H104DB05C 4H104FA01 4H104FA02 4H104LA02 4H104PA41 本開示は、潤滑油添加剤、特にクランクケース用潤滑剤組成物のための無イオウ清浄添加剤に関する。 自動車及びトラックの内燃エンジン及びトランスミッションにおいて使用されるような潤滑油組成物は、厳しい環境に曝される。この環境は、鉄化合物などの潤滑油組成物中の不純物の存在によって触媒される酸化を潤滑油組成物が被る結果をもたらす。更に、潤滑油組成物の酸化は、使用中の潤滑油組成物の高温によって促進される。 使用中の潤滑油組成物の酸化は、通常、特に許容できない粘度増加を低減又は防止することによって、潤滑油組成物の有効寿命を延ばすことができる酸化防止剤又は酸中和剤などの添加剤の使用によってある程度までは制御される。 潤滑油組成物において一般的に使用される酸中和剤は、金属アルキルフェネート、及び金属アルキルアリールスルホン酸塩から選択され得る。金属フェネート及びスルホン酸塩の金属は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、又はバリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択され得る。 近年、エンジン潤滑剤由来のリン化合物及びイオウ(スルホン酸塩、イオウ含有フェネート、及び金属含有ジチオリン酸塩からの)は、一部には微粒子排出の一因となってきた。また、イオウ及びリンは、触媒変換装置(catalytic converter)内で使用される触媒を汚染する傾向があり、これが、触媒の性能における低減をもたらす。 結果的に、イオウ及びリンの濃度を低減した改善された潤滑剤組成物への要求が存在する。低減された濃度とは、潤滑剤組成物の総重量に基づいて、1.0重量%未満のリン及び0.5重量%未満のイオウを意味する。 上述を考慮して、本開示の実施形態は、無イオウ金属又はアンモニウム塩化合物、この化合物の製造方法、並びに潤滑剤添加剤濃縮物、及びこの化合物を含有する潤滑剤組成物を提供する。この化合物は、アルデヒド及びアミンと反応されたフェノール化合物を、アシル化剤又は求電子的化合物からなる群から選択される化合物と反応させることによって生成される。この反応生成物が、次いで金属又はアンモニウム化合物で中和されるか超塩基化される。 別の実施形態では、本開示は、潤滑油添加剤成分として使用するための無イオウの金属又はアンモニウム塩化合物を製造するための方法を提供する。この方法は、フェノール化合物(a)を、アルデヒド(b)、及びアミン(c)と反応させて、中間体生成物をもたらすことを含む。この中間体生成物が、アシル化剤又は求電子的化合物からなる群から選択される化合物(d)と反応されて、反応生成物をもたらす。この反応生成物が、次いで中和され又は超塩基化されて、潤滑剤添加剤成分をもたらす。 上記記載のように、本開示は、中和され又は過塩基化されて、無イオウ潤滑剤添加剤をもたらす、アシル化剤又は求電子的化合物と反応された、フェノール化合物、アミン、及びアルデヒドの縮合生成物に由来の特定の無イオウ潤滑剤添加剤成分を目的とする。 用語「超塩基性」又は「超塩基化」は、その中で反応生成物の当量数に対するアルカリ土類金属部分の当量数の比が1を超える反応生成物のアルカリ土類金属アルキル塩を説明するよう使用される。この比は、通常1.2を超えるが、4.5を超えてもよい。これと比較して、従来のアルカリ土類金属フェネート中のフェノール部分に対するアルカリ土類金属部分の当量比は1:1である。 用語「中和された」又は「中和する」は、その中で反応生成物の当量数に対する窒素含有部分の当量数の比が1に等しい反応生成物のアンモニウム塩を説明するために使用される。 本明細書で使用するとき、用語「TBN」は、ASTM D2896の方法によって測定されるようなmgKOH/gにおける総塩基数を示すために使用される。 本明細書で使用するとき、用語「ヒドロカルビル」とは、1〜100個の炭素原子の、線状及び分岐状の飽和、不飽和、及び/又は置換鎖基を指す。 本明細書で使用するとき、用語「アルキル」とは、1〜100個の炭素原子の、線状、分岐状の、及び/又は置換された飽和鎖基を指す。 本明細書で使用するとき、用語「アルケニル」とは、3〜10個の炭素原子の、線状、分岐状の、及び/又は置換された不飽和鎖基を指す。 本明細書で使用するとき、用語「アリール」とは、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アミノ、ヒドロキシル、及びアルコキシ置換基を有し得る単環式又は多環式芳香族化合物を指す。 用語「可溶性」又は「分散性」とは、油から成分又は組成物が明白に沈殿することなく、これが油中に実質的に懸濁又は溶解されたままでいる、潤滑基油中に懸濁され得る成分又は組成物を指す。フェノール化合物 アルデヒド及びアミンと反応されるフェノール化合物は、以下の式によって表され得る:式中、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、1〜24個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミン(aminic)基、及び6〜24個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される。R1、R2、及びR3の少なくとも1つは、フェノール化合物で生成される反応生成物が、潤滑油組成物中で実質的に可溶性又は分散性であるように、十分な数の炭素原子を有する。一実施形態では、このフェノール化合物は、式によって表され得、式中、R1、R2、及びR3は、上記のように定義される。別の実施形態では、R2は、水素原子である。更に別の実施形態では、R1及びR2は水素原子であり、R3は1〜24個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。例示的フェノール化合物としては、p−クレゾール、4−エチルフェノール、4−t−ブチル−フェノール、4−t−アミルフェノール、4−t−オクチルフェノール、4−ドデシル−フェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−アミルフェノール、及び4−ノニルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。アルデヒド アルデヒド成分は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプタアルデヒド等を含むことができるが、最も望ましいものは、そのモノマー形態で使用されるか、より好都合にはそのポリマー形態(すなわち、パラホルムアルデヒド)で使用されるホルムアルデヒドである。アミン マンニッヒ塩基縮合生成物を調製するために使用されるアミン又は窒素含有化合物としては、アンモニア、第1級アミン、第2級アミン、又はアミドが挙げられる。ヒドロキシを含有する脂肪族アミン、アミン又はポリアミン(ジエチレントリアミン、トリアミン、テトラミン及びペンタアミンなど)もまた使用されてもよい。一実施形態では、このアミンは、エチレンジアミンであってもよい。例えば、このアミンは、線状又は環状のC2〜C6アルキレンジエチレントリアミン、トリアミン、テトラミン、ペンタアミン、ポリアミン、及びこれらの置換多官能性誘導体であってもよい。本明細書で使用するとき、「置換誘導体」とは、置換基での置換を指し、これら置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトリル、チオ、アルコキシカルボニル及びアルキルチオなどである。 中間体生成物を調製するための縮合反応は、約75℃〜175℃を好適な温度範囲として、約50℃〜約200℃の温度で進めることができる。この反応の完成に必要とされる時間は、通常、約1時間から約8時間まで変化し、選択される特定の反応体、反応のスケール、及び反応温度のコースで変化する。 中間体生成物を調製するために使用され得る成分のモル範囲(a):(b):(c)については、この範囲は0.5〜5:1:0.5〜5内に入ることができる。例示的中間体生成物は、2:1:2のモル比で使用する、ノニルフェノール:エチレンジアミン:パラホルムアルデヒドの縮合生成物であり得る。この縮合反応は、触媒の存在下で実行され得る。好適な触媒としては、任意のアミン含有触媒又は酸が挙げられるが、これらに限定されない。有用な触媒の例としては、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、エチレンジアミン、及び硫酸が挙げられる。一実施形態では、この触媒は、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミンである。 縮合反応において使用される触媒の量は、反応混合物中の全ての成分の重量に基づいて、約0.2〜約2重量%である。触媒の有用な量は、反応混合物中の全ての成分の重量に基づいて、約0.5〜約1重量%である。 反応の第2の工程において、中間体生成物は、アシル化剤又は求電子的化合物と反応されて、反応生成物をもたらすことができ、この反応生成物が、無イオウ潤滑剤添加剤をもたらすよう中和又は超塩基化され得る。アシル化剤は、ヒドロカルビル置換基を含有し得るモノ−、ジ−、トリ−及びテトラカルボン酸及び無水物から選択され得る。一実施形態では、このアシル化剤は、32個までの炭素原子を含有する無水アルケニルコハク酸であることができる。アシル化剤として使用され得る不飽和カルボン酸試薬は、脂肪酸及び不飽和カルボン酸それ自体並びに無水物、エステル、アミド、イミド、塩、アシルハライド、及びニトリルなどのその官能性誘導体を含む。有用な不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、及び2−フェニルプロペン酸が挙げられるが、これらに限定されない。多塩基性不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、及びシトラコン酸が挙げられるが、これらに限定されない(これらの無水物が使用されてもよい)。例えば、ある実施形態では、無水マレイン酸が使用され得る。このような無水物の反応性等価物としては、上述の誘導体、例えば、アシル化剤としても働き得る、酸、エステル、半エステル、アミド、イミド、塩、アシルハライド、及びニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。別の好適な酸は、グリオキシル酸であってもよい。エステル及びラクトンを含むグリオキシル酸の反応性等価物もまた、使用されてもよい。アシル化剤中の炭素原子の総数は、2〜51個、又は3〜31個、又は5〜23個、又は9、11個、若しくは13〜21個であることができる。 好適な求電子的化合物は、酸素、イオウ及び窒素からなる部類のヘテロ原子に二重結合した炭素原子を有する化合物から選択され得、これによって、求電子性化学構造部分又は基が、中間体生成物のアミン基のアニオンと反応するよう存在する。その有機化合物分類において、前記終結化合物は、一般的には、1〜60個の炭素原子からなり、式>C=Xの求電子性基を含有し、式中、Xは酸素、イオウ及び窒素(NH又は置換されたNのいずれかとして)、セレン又はテルルであり、所望の場合、(官能性をもたらすために)窒素、酸素、イオウ、ホウ素、リン、ケイ素、リチウム等の追加的ヘテロ原子を含有してもよい。結果的に、求電子的化合物は、ケトン、ヒドロキシル、エーテル、メルカプト、スルフィド、スルホキシド、スルホニル等の置換基を含有し得る。一般的に、このような求電子的化合物は、約1〜60個の、例えば1〜30個の炭素原子と、求電子的部位を作成するための少なくとも1つ以上の求電子性基とを含有するであろう。 求電子的化合物の1つの部類は、式によって表されることができ、式中、Xは、O、S又はNR9を表し、R7、R8、及びR9は、同一又は異なってもよく、これらは、独立して、水素、C1〜C30の、例えばC1〜C6の線状及び分岐状鎖のアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール−アルケニル、及びシクロアルケニル部分からなる群から選択されるか、及び/又はアルキル不飽和物、カルボキシル、エポキシド、チオール、カルボニル、イソシアネート、チオニル、アミド、ヒドロキシ、イミノ、アシルハライド、ハロ、無水ジカルボン酸、無水チオール酸(thiolic acid)、無水チオン酸(thionic anhydride)、無水ジチオン酸、二置換アミノ、三置換アミノ、ウレイド、イソ尿素及び無水ジカルボキシルアミド酸又は無水マレイン酸におけるような環式無水ジカルボン酸の半分、又は環式無水チオール酸の半分又は環式無水ジカルボキシルアミド酸の半分、若しくはN−ドデシルマレイミドなどの環式NC1−18ヒドロカルビルイミドの半分からなる部類の1つ以上の反応性基である。 求電子的化合物の別の有用な部類としては、カルボニル(>C=O)、チオカルボニル(>C=S)、カルボンイミドイル(>C=NH)及び置換カルボンイミドイル(>C=NR10、式中R10は、2〜8個の炭素と1〜4個の窒素とを含有するポリアルキレン−ポリアミノ置換基)からなる部類の単一の求電子性基を有するC1〜C20非環式化合物を挙げることができる。 したがって、好適な求電子的化合物は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジメチルケトン、バレロン、パルミトン、ステアロン及びケトオキシム(窒素含有ケトン)等のケトン;アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ラウリルアルデヒド等のアルデヒド;塩化アセチル、ホスゲン、塩化カルバモイル、メチルクロロホルメート、塩化ステアリル、塩化ラウリル、塩化N,N−ジメチルカルバモイル、チオホスゲン、塩化チオアセチル等の酸ハライド;尿素、エチルカルバメート、O−エチルチオカルバメート、ヘキサンチオール、シクロヘキサンカルボチオアルデヒド、チオベンズアミン等の他のカルボニル及びチオカルボニル含有試薬;及び無水酢酸、無水プロピオン酸、無水パルミチン酸等の酸無水物から選択され得る。他の求電子的化合物は、無水マレイン酸及びテトラシアノエチレンから選択されてもよい。 例示的反応生成物としては、以下の構造を有する生成物を挙げることができるが、これらに限定されない。式中、R1、R2、及びR3は、上記のように定義され、R4、R5、及びR6は、H、1〜24個の炭素原子を有するアルキル基、及び6〜24個の炭素原子を有するアリール基から選択される。他の例示的構造としては、(式中、R11は水素である)(式中、R11は水素又は1〜24個の炭素原子を有するアルキル基である)を挙げることができる。 使用可能な無イオウ潤滑剤添加剤を提供するために、反応生成物は、更に中和されるか超塩基化され得る。結果的に、反応生成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物若しくはNH3、1〜18個の炭素原子を有する第1級、第2級、第3級アミン窒素含有化合物で中和されて中性石鹸を形成してもよく、又は反応生成物はアルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物及び二酸化炭素との反応によって超塩基化されてもよい。 アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウムから選択され得る。アルカリ土類金属供給源は、適宜に、アルカリ土類金属酸化物又は水酸化物であってもよいが、水酸化物が特に有用である。有用なアルカリ土類金属は、カルシウム及びマグネシウムから選択され得る。 中和反応又は超塩基化反応における中和化合物又は超塩基化化合物の量は、反応生成物の性質及び超塩基化混合物に必要に応じて添加され得る基油の量を含む、いくつかの因子に依存するであろう。 典型的超塩基化反応において、超塩基化反応中の反応生成物に対するアルカリ土類金属供給源の重量比は、0.1〜1:1である。超塩基化反応中の反応生成物に対するアルカリ土類金属供給源の有用な重量比は、0.2〜0.8:1である。アルカリ土類金属供給源は、初期の反応体に全て一度に添加されてもよく、又は一部が初期の反応体に添加されて、残りがプロセス内の次のステージ又はステージ(複数)で1つ以上の部分で添加されてもよい。 二酸化炭素は、気体又は固体の形態で、超塩基化反応に添加され得る。二酸化炭素の有用な形態は気体である。ガス状の形態で使用される場合、二酸化炭素は、約150〜約300cc/分の流速で、約25〜90分間、超塩基化反応混合物を介して適宜吹き込まれ得る。 存在する場合、C1〜C20の一価アルコールが、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて約30重量%までをもたらすのに十分な量で使用されることができる。C1〜C20の一価アルコールの別の量は、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて約2〜約20重量%である。C1〜C20の一価アルコールの有用な量は、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて約4〜約10重量%である。C1〜C20の一価アルコールの例としては、メタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、及びベンジルアルコールが挙げられる。有用なC1〜C20の一価アルコールは、2−エチルヘキサノールである。 超塩基化反応の別の成分は、C2〜C4多価アルコールであることができ、これは、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて約1〜約10重量%の量で存在することができる。C2〜C4多価アルコールの有用な量は、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて約1.5〜約6重量%である。好適なC2〜C4多価アルコールの例は、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどの二価アルコールである。好適なC2〜C4多価アルコールの別の例は、グリセロールなどの三価アルコールである。有用なC2〜C4多価アルコールは、エチレングリコールである。 一実施形態では、中和又は超塩基化反応は、潤滑油組成物をもたらすために、基油の存在下で実行され得る。 例示的な中和生成物としては、以下の構造を有する化合物が挙げられ、並びに例示的な超塩基化生成物としては、以下の構造を有する化合物が挙げられる。式中、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属若しくは+HN(R12)3であり、R12は水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、zはMの原子価数であり、並びにy及びxは1〜2の整数である。基油 本明細書の潤滑油組成物で使用される基油は、アメリカ石油機構(API)基油互換性ガイドラインに特定されているような群I〜V内の任意の基油から選択され得る。5つの基油群は、以下のようである。 群I、II及びIIIは鉱油プロセス原料である。 本発明の潤滑油組成物で使用される基油は、鉱油、動物油、植物油、合成油又はこれらの混合物であり得る。このような油としては、ヒマシ油、ラード油、オリーブ油、ピーナッツ油、コーン油、大豆油、及びアマニ油、並びにパラフィン系、ナフテン系又は混合されたパラフィン系−ナフテン系型の液体石油及び溶媒処理又は酸処理鉱物潤滑油が挙げられるが、これらに限定されない。このような油は、所望により部分的に又は完全に水素添加されてもよい。石炭又はシェールに由来する油もまた有用である。 必要に応じて中和又は超塩基化反応に添加され得る基油の量は、超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて、約20〜約80重量%をもたらすのに十分であるべきである。基油の有用な量は、中和又は超塩基化反応混合物に添加される全ての成分の重量に基づいて、約40〜70重量%である。 超塩基化された又は中和された反応生成物を含有する潤滑剤添加剤のTBNは、約0〜約500の範囲であり得る。本明細書に記載される無イオウ潤滑剤添加剤の有用なTBNは、約100〜約400の範囲であってもよい。 本明細書に記載される無イオウ潤滑剤添加剤成分に加えて、内燃エンジンでの使用に好適な潤滑剤組成物はまた、高分子粘度改良剤、清浄剤、酸化防止剤、分散剤、錆防止剤、耐摩耗剤、ホウ素含有化合物、摩擦改良剤、流動点降下剤、及び消泡剤などの当該技術分野で周知の添加剤も含むことができる。 高分子粘度改良剤は、温度に伴う粘度の変化の速度、すなわち、これは低温ではエンジンオイル粘度において最小限の増加を引き起こすが、高温では大幅な増加を引き起こす、を低減する。存在する場合、高分子粘度改良剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約12重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る高分子粘度改良剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.5〜約10重量%である。 高分子粘度改良剤の例としては、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリメタクリレート、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリアクリレート、スチレン/マレイン酸エステルコポリマー、オレフィンコポリマー、及び水素添加スチレン/ブタジエンコポリマーが挙げられる。有用な高分子粘度改良剤は、分散剤オレフィンコポリマーである。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上の清浄剤を含有してもよい。存在する場合、清浄剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約10重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る清浄剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.02〜約2.5重量%である。 オプションの追加的清浄剤としては、脂肪族、脂環式、又はアルキル芳香族鎖、並びに少なくとも1つのアルカリ土類金属イオンを有する数個の金属イオンを伴う、スルホン酸塩、フェネート、カルボン酸塩、サリチル酸塩、又はリン酸塩などの荷電した極性基を含有する金属添加剤が挙げられる。アルカリ土類金属含有清浄剤化合物は、燃料オイル組成物において清浄剤作用を付与するカルシウム、マグネシウム、バリウム及びストロンチウム塩を含む。例としては、中性及び過塩基性アルカリ土類金属スルホン酸塩、中性及び過塩基性アルカリ土類金属サリチル酸塩、及び中性及び過塩基性アルカリ土類金属フェネートが挙げられる。この清浄剤は、石油スルホン酸のアルカリ土類金属塩と、長鎖モノ−又はジ−アルキルアリールスルホン酸(各アルキル基が12〜18個の炭素原子を含み、アリール基がベンジル、トリル、及びキシリルである)とを含んでもよい。この清浄剤はまた、その中で線状又は分岐状アルキル基が4〜50個の炭素原子、より具体的には8〜20個の炭素原子を含む、アルキルフェノール及びアルキルメルカプトフェノールのアルカリ土類金属フェネートを含んでもよい。清浄剤の特定の例は、中性スルホン酸カルシウム、中性C14〜C24アルファオレフィンスルホン酸カルシウム、過塩基性スルホン酸カルシウム、過塩基性C14〜C24アルファオレフィンスルホン酸カルシウム、中性フェネートカルシウム、過塩基性フェネートカルシウム、中性サリチル酸カルシウム、過塩基性サリチル酸カルシウム、中性スルホン酸マグネシウム、過塩基性スルホン酸マグネシウム、中性フェネートマグネシウム、過塩基性フェネートマグネシウム、中性サリチル酸マグネシウム、過塩基性サリチル酸マグネシウム、若しくはこれらの組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるような塩を含む。しかしながら、イオウを含有する清浄剤の使用を回避することが望ましい。 本明細書の潤滑油組成物はまた、必要に応じて1つ以上の酸化防止剤を含有してもよい。存在する場合、酸化防止剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約10重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る酸化防止剤の別の量は、約0.1〜約4重量%である。 潤滑油組成物中での使用のため酸化防止剤の例は周知であり、フェネート、フェネートスルフィド、硫化オレフィン、ホスホ硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、フェノール、及びヒンダードフェノールを含む様々な化学種が挙げられる。有用な抗酸化剤はとしては、ジアリールアミン及び高分子量フェノールが挙げられる。一実施形態では、潤滑油組成物は、ジアリールアミンと高分子量フェノールの混合物を含有することで、各酸化防止剤が、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約5重量%までをもたらすのに十分な量で存在する。別の実施形態では、この酸化防止剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.3〜約1.5重量%のジアリールアミンと、約0.4〜約2.5重量%の高分子量フェノールの混合物である。清浄剤と同様に、無イオウ酸化防止剤であることが望ましい。 本明細書の潤滑油組成物はまた、必要に応じて1つ以上の分散剤を含有してもよい。存在する場合、この分散剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約12重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る分散剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約3〜約10重量%である。一実施形態では、潤滑油組成物は、混合した分散剤系を利用する。 潤滑油組成物中で使用される分散剤は、時には「無灰」分散剤と呼ばれるものを主として含み、これは、潤滑油組成物中での混合の前に、この分散剤は灰形成金属を含有せず、この分散剤が、潤滑油組成物に添加される場合に、通常、いずれの灰形成金属の一因ともならないためである。分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に連結された極性基によって特性化される。 分散剤の1つの部類は、マンニッヒ塩基である。マンニッヒ塩基は、より高い分子量のアルキルで置換されたフェノール、アルキレンポリアミン、及びホルムアルデヒドなどのアルデヒドの縮合によって形成される物質である。マンニッヒ塩基は、米国特許第3,634,515号により詳細に記載されている。 分散剤の別の部類は、スクシンイミド化合物である。この物質は、ヒドロカルビル置換されたコハク酸アシル化剤とアミンとの反応によって形成される。本明細書に記載される潤滑油組成物に好適なスクシンイミド化合物のより詳細な説明が、欧州特許第976814号及び米国特許第4,234,435号に記載されている。 分散剤の第3の部類は、高分子量エステルである。この部類の分散剤は、米国特許第3,381,022号により詳細に記載されている。 他の分散剤としては、一般的に、ポリマーに分散性特性を付与する極性官能基を含有する炭化水素系のポリマーである、ポリマー分散剤の添加剤が挙げられる。 分散剤の有用な部類は、カルボン酸の分散剤である。カルボン酸の分散剤としては、コハク酸系分散剤が挙げられ、これは、ヒドロカルビル置換されたコハク酸のアシル化剤と有機ヒドロキシ化合物、又は好ましくは、窒素原子に連結された少なくとも1つの水素を含有するアミン、若しくは前記ヒドロキシ化合物とアミンの混合物との反応生成物である。用語「コハク酸のアシル化剤」とは、炭化水素置換されたコハク酸又はコハク酸生成化合物を指す。コハク酸のアシル化剤の例としては、ヒドロカルビル置換されたコハク酸、無水物、エステル(半エステルを含める)及びハライドが挙げられる。 本明細書の潤滑油組成物はまた、必要に応じて、1つ以上の錆防止剤を含有してもよい。存在する場合、この錆防止剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約5重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。 この錆防止剤は、単一の化合物であっても又は、鉄系金属表面の腐食を阻害する特性を有する化合物の混合物であってもよい。本明細書で有用な錆防止剤の非限定的例としては、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ベヘン酸、及びセロチン酸、並びにトール油脂肪酸、オレイン酸、及びリノール酸から生成されたものなどの二量体酸及び三量体酸を含む油溶性ポリカルボン酸などの油溶性高分子量有機酸が挙げられる。他の好適な腐食阻害剤としては、600〜3000の分子量範囲での長鎖α、ω−ジカルボン酸並びにテトラプロペニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、及びヘキサデセニルコハク酸などのその中でアルケニル基が10個又はそれ以上の炭素原子を含有するアルケニルコハク酸が挙げられる。酸性腐食阻害剤の別の有用な部類は、ポリグリコールなどのアルコールとの、アルケニル基中に8〜24個の炭素原子を有するアルケニルコハク酸の半エステルである。このようなアルケニルコハク酸の対応する半アミドもまた有用である。有用な錆防止剤は、高分子量有機酸である。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上の耐摩耗剤を含有してもよい。存在する場合、耐摩耗剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約5重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る耐摩耗剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.1〜約5重量%で使用される。 耐摩耗剤の例としては、金属チオリン酸塩、特に亜鉛ジアルキルジチオリン酸塩、リン酸エステル又はこれらの塩、亜リン酸塩、及びリン含有カルボン酸エステル、エーテル、又はアミドが挙げられるが、これらに限定されない。リン含有耐摩耗剤は、欧州特許第612839号により完全に記載されている。有用な耐摩耗剤は、亜鉛ジアルキルチオリン酸塩である。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上のホウ素含有化合物を含有してもよい。存在する場合、ホウ素含有化合物は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約8重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得るホウ素含有化合物の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.5〜約7重量%で使用される。 ホウ素含有化合物の例としては、ボレートエステル、ホウ酸化脂肪アミン、ホウ酸化エポキシド、並びに米国特許第5,883,057号、29〜33段に開示されているようなホウ酸化スクシンイミド分散剤などのホウ酸化分散剤が挙げられる。有用なホウ素含有化合物は、必要に応じてマレイン酸塩でキャッピングされ得るホウ酸化ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤である。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上の摩擦改良剤を含有してもよい。存在する場合、摩擦改良剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約5重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る摩擦改良剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.05〜約1重量%で使用される。 摩擦改良剤の例としては、脂肪アミン、エステル、特にグリセロールのモノオレエートなどのグリセロールエステル、ホウ酸化グリセロールエステル、脂肪亜リン酸塩、脂肪酸アミド、脂肪エポキシド、ホウ酸化脂肪エポキシド、アルコキシル化脂肪アミン、ホウ酸化アルコキシル化脂肪アミン、脂肪酸の金属塩、硫化オレフィン、脂肪イミダゾリン、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンの縮合生成物、アルキルリン酸のアミン塩、並びにモリブデンジチオカルバメート、モリブデンアミド、及びカルボン酸モリブデン(これらに限定されない)などのモリブデン含有酸化防止剤又は摩擦改良剤が挙げられる。この中で、好適なモリブデン摩擦改良剤は、モリブデン及びモリブデン化合物に由来のイオウ含有組成物、塩基性窒素含有化合物、及び二硫化炭素である。この塩基性窒素化合物は、ヒドロカルビルアミン若しくはカルボン酸とアルキレンポリアミンとの反応生成物であることができる。モリブデン化合物は、モリブデン酸などの酸性モリブデン化合物であることができる。モリブデン含有無イオウ化合物もまた、本明細書で有用である。有用な摩擦改良剤は、グリセロールのモノオレエートである。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上の流動点降下剤を含有してもよい。存在する場合、流動点降下剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約1重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る流動点降下剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.04〜約0.5重量%で使用される。有用な流動点降下剤は、ポリメチルメタクリレートである。 本明細書の潤滑油組成物は、必要に応じて1つ以上の消泡剤を含有してもよい。存在する場合、消泡剤は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約1重量%までをもたらすのに十分な量で使用され得る。使用され得る消泡剤の別の量は、潤滑油組成物の最終重量に基づいて、約0.001〜約0.015重量%で使用される。有用な消泡剤は、シロキサンである。 本明細書に記載される任意の添加剤を含有する潤滑油組成物のTBNは、約2〜約20の範囲であり得る。本明細書に記載される任意の添加剤を含有する潤滑油組成物の有用なTBNは、約5〜約12であり得る。 一般論として、好適なエンジン潤滑剤は、以下の表に列挙された範囲で、添加剤成分を含有することができる。 上記各成分のパーセンテージは、最終潤滑油組成物の重量に基づいて、各成分の重量%を表わす。潤滑油組成物の残部は、基油からなる。 本明細書で提示される潤滑油組成物は、約0.2〜約1.8重量%の硫酸灰分(ASTM D874)、約0.03〜約0.1重量%のリン元素、及び約0.2〜約0.4重量%のイオウを有する。 本明細書に提示された潤滑油組成物は、増強した耐摩耗特性を有するエンジン潤滑油として特に有効である。これら潤滑油組成物は、自動車及びトラックエンジン、二サイクルエンジン、航空ピストンエンジン、船用エンジン、低負荷ディーゼルエンジン、及びヘビーデューティーディーゼルエンジンなどの火花点火式及び圧縮点火式内燃エンジンのためのクランクケース潤滑油組成物を含む多様な用途で有効である。 上述の無イオウ潤滑剤添加剤は、基油に直接添加されて、潤滑油組成物を形成してもよい。しかしながら、一実施形態では、無イオウ潤滑剤添加剤及び、必要に応じて上記記載の他の添加剤の1つは、潤滑油濃縮物を形成するために、鉱油、合成油、ナフサ、アルキル化(例えば、C10〜C13アルキル)ベンゼン、トルエン又はキシレンなどの実質的に不活性の通常は液体有機希釈剤で希釈される。この潤滑油濃縮物は、通常、約1%〜約99重量%の希釈剤を含有し、一実施形態では、10%〜90重量%の希釈剤を含有する。この潤滑油濃縮物が、基油に添加されて、潤滑油組成物を形成してもよい。 以下の実施例は例示であって、本開示の方法及び組成物の限定ではない。他の好適な修正並びに本分野において通常発生する様々な条件及びパラメータの適応は、当業者には明らかであり、これらは本発明の精神及び範囲内にある。本明細書で引用した全ての特許及び出版物は、その全体で、本明細書に参照により完全に組み込まれるものとする。実施例1無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1a ドデシルフェノール(262グラム、1.00モル)、プロセス油(305グラム)、及びエチレンジアミン(33.1グラム、0.55モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の89.3グラム、1.10モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を150℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を反応混合物に1時間加えた。プロセス油(407グラム)を反応器に添加し、続いて無水アルキルコハク酸(407グラム、1.00モル)を添加し、反応混合物を150℃で1時間にわたって加熱した。真空を反応器に30分間加えた。反応時間の終わりに、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1aの1400グラムを得た。実施例2過塩基性無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1a ヘキサン(170グラム)、72グラムのメタノール(72グラム)、及び酸化カルシウム(35グラム、0.63モル)を、4つ口反応器に充填した。実施例1からの付加物1a(156グラム、0.055モル)をこの反応器に充填した。水酸化アンモニウム(8グラム)と水(3グラム)を反応器に充填し、急速に撹拌しながらCO2を反応混合物中で泡立てた。一旦CO2の取り込みが完了したら、反応温度を150℃まで徐々に上昇させて、溶媒を除去した。真空を反応器に更に15分間加えて、多孔質ガラス繊維フィルターを通して生成物を濾過した。得られた生成物は、142のTBN(ASTM 2896)及び4.61重量%のCaを有した。実施例3無水アルキルコハク酸塩/マンニッヒ付加物1aの中性塩 実施例1からの付加物1a(100グラム、0.035モル)、トルエン(100グラム)、エチレングリコール(2グラム)、水(10グラム)及び水酸化カルシウム(8.0グラム、0.11モル)を、反応器に充填し、100℃まで加熱した。20時間後に、150℃にて減圧下で溶媒を除去した。生成物をフィルターの補助を通して真空濾過した。得られた生成物は、108のTBN(ASTM 2896)及び2.65重量%のCaを有した。実施例4無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1b ドデシルフェノール(262グラム、1.00モル)、プロセス油(305グラム)、及びエチレンジアミン(33.1グラム、0.55モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の89.3グラム、1.10モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を150℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を反応器に1時間加えた。プロセス油(305グラム)を反応器に添加し、続いて無水アルキルコハク酸(305グラム、0.75モル)を添加し、反応混合物を150℃で1時間にわたって加熱した。真空を反応器に30分間加えた。反応時間の終わりに、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1bの1200グラムを得た。実施例5無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物1bのアンモニウム塩 実施例4からの付加物1b(115グラム、0.047モル)を反応器に充填し、750℃まで加熱した。反応器を75℃まで徐々に上昇させると同時に、トリエチルアミン(11.9グラム、0.12モル)を反応器に少量ずつ添加した。2時間後に、温度を100℃まで上昇させた。真空を反応器に30分間加えた。この反応生成物は、1.67重量%のN及び29のTBN(ASTM 2896)を有した。実施例6無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物2 ドデシルフェノール(50グラム、0.19モル)、プロセス油(170グラム)、及びジエチレントリアミン(9.8グラム、0.095モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の16グラム、0.19モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を120℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を1時間加えた。無水アルキルコハク酸(114グラム、0.28モル)を添加し、150℃で1時間にわたって加熱した。真空を反応混合物に30分間加え、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物2の342グラムをもたらした。実施例7無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物2の中性塩 付加物2(86グラム、0.024モル)及びプロセス油(86グラム)を反応器に充填し、トルエン(100グラム)、エチレングリコール(10グラム)、水(10グラム)及び水酸化カルシウム(7.0グラム、0.095モル)を反応器に添加した。反応混合物を105℃まで加熱した。20時間後に、150℃にて減圧下で溶媒を除去した。生成物をフィルターの補助を通して真空濾過した。この反応生成物は、45のTBN(ASTM 2896)及び1.47重量%のCaを有した。実施例8無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物3a ドデシルフェノール(50グラム、0.19モル)、プロセス油(180グラム)、及びオレイルアミン(51グラム、0.19モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の16グラム、0.19モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を120℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を1時間加えた。無水アルキルコハク酸(76グラム、0.19モル)を添加し、反応混合物を150℃で1時間にわたって加熱した。真空を30分間加え、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物3aの324グラムをもたらした。実施例9無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物3aの中性塩 付加物3a(116グラム、0.061モル)及びトルエン(100グラム)、エチレングリコール(10グラム)、水(10グラム)並びに水酸化カルシウム(8.0グラム、0.12モル)を反応器に添加した。反応混合物を105℃まで加熱した。20時間後に、150℃にて減圧下で溶媒を除去した。生成物をフィルターの補助を通して真空濾過した。この反応生成物は、70のTBN(ASTM 2896)及び2.32重量%のCaを有した。実施例10無水マレイン酸/マンニッヒ付加物3b ドデシルフェノール(75グラム、0.29モル)、プロセス油(180グラム)及びオレイルアミン(75グラム、0.29モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の24グラム、0.30モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を140℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を1時間加えた。無水マレイン酸(29グラム、0.29モル)を添加し、反応混合物を140℃で1時間にわたって加熱した。真空を30分間加え、以下の式を有する無水マレイン酸/マンニッヒ付加物3bの365グラムをもたらした。実施例11無水マレイン酸/マンニッヒ付加物3bの中性塩 付加物3b(90グラム、0.071モル)及び45グラムのプロセス油、トルエン(100グラム)、エチレングリコール(10グラム)、水(10グラム)並びに水酸化カルシウム(10グラム、0.14モル)を反応器に添加した。反応混合物を105℃まで加熱した。20時間後に、150℃にて減圧下で溶媒を除去した。反応生成物をフィルターの補助を通して真空濾過した。この反応生成物は、68のTBN(ASTM 2896)及び1.67重量%のCaを有した。実施例12無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物4 P−クレゾール(108グラム、1.00モル)、プロセス油(570グラム)及びエチレンジアミン(31.6グラム、0.53モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の85.2グラム、1.05モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を150℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を反応混合物に1時間加えた。無水アルキルコハク酸(407グラム、1.00モル)を添加し、反応混合物を150℃で1時間にわたって加熱した。真空を30分間加えて、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物4の1090グラムをもたらした。実施例13無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物4の中性塩 付加物4(250グラム、0.057モル)を、付加物1aに使用した条件と同様に過塩基化にかけた。しかしながら、68のTBN(ASTM 2896)及び2.07重量%のCaを有する中性カルシウム塩だけが得られた。実施例14無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物5 2,4−ジメチルフェノール(122グラム、1.00モル)、プロセス油(475グラム)、及びエチレンジアミン(33.1グラム、0.55モル)を、反応器に充填した。ホルムアルデヒドの水溶液(37重量%溶液の89.3グラム、1.10モル)を反応器の下部表面に添加した。温度を105℃まで上昇させて、窒素散布を開始した。3時間後に窒素散布装置を取り外し、温度を150℃まで上昇させて、真空(28”Hg)を反応混合物に1時間加えた。無水アルキルコハク酸(305グラム、0.75モル)を反応混合物に添加し、この反応混合物を150℃で1時間にわたって加熱した。真空を30分間加え、以下の式を有する無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物5の920グラムをもたらした。実施例15無水アルキルコハク酸/マンニッヒ付加物5の中性塩 付加物5(152グラム、0.081モル)を、付加物1aに使用した条件と同様に過塩基化にかけた。しかしながら、52のTBN(ASTM 2896)及び1.42重量%のCaを有する中性カルシウム塩だけが得られた。実施例16 高温腐食ベンチ試験(HTCBT)によって銅、スズ及び鉛腐食の比較のために、4つの潤滑油組成物を調製した。流体Aは、基油において従来の添加剤成分を使用する典型的な15W40ヘビーデューティーディーゼルエンジンオイル組成物であった。流体Bが清浄剤添加剤を有さないことを除いては、流体Bは流体Aに同様な組成物であった。流体Cは、4重量%の過塩基性付加物1aが添加された、流体Bに同様な組成物であった。表3に見られるように、流体Cは、従来の添加剤成分を含有する流体Aに比べて、鉛及び銅腐食において著しい改善を示した。結果は以下の表に示されている。Caの重量%及びTBNは、HTCBTにおける試験に先立って決定された。 本開示の他の実施形態は、本明細書の検討及び本明細書に開示された実施形態の実際の実施から当業者には明らかになるであろう。本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されるような「a」及び/又は「an」は、1つ又は1つ以上を指すことができる。特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲内で使用される分子量、パーセント、比、反応条件等々の成分、特性の量を表現する全ての数字は、全ての例で用語「約」によって修正されているものと理解されるべきである。したがって、特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られるよう探索された所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、並びに等価物の原則の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものはなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、並びに通常の切り上げ機能を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を定める数値範囲及びパラメータが近似値であるとはいえ、特定の実施例において記載される数値は、できるだけ正確なものとして報告される。しかしながら、任意の数値は、それらの対応の試験測定値で見出される標準偏差から必然的に得られるある誤差を本質的に含有する。本明細書及び実施例は、例示にすぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。 前述の実施形態は、実際にはかなりの変形を受けやすい。結果的に、この実施形態は上述の特定の例示に限定されるよう意図されるものではない。むしろ、前述の実施形態は、法律上の問題として利用可能であるその等価物を含み、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある。 本特許権者は、いずれの開示された実施形態も一般に献呈するよう意図しておらず、並びに開示された修正及び変更が文字通り特許請求の範囲の範囲内にあり得る限りにおいて、これらは等価物の原則の下で、この一部であると考えられる。 本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。1. 無イオウ金属又はアンモニウム塩化合物であって、(a)アルデヒドとアミンと反応したフェノール化合物と、(b)アシル化剤、求電子的化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、(c)金属又はアンモニウム化合物と、の反応生成物を含む無イオウ化合物。2. 前記フェノール化合物は、前記式の化合物を含み、式中、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、1〜24個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミン基、及び6〜24個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される、上記1に記載の無イオウ化合物。3. 前記アルデヒドが、ホルムアルデヒドを含む、上記1に記載の無イオウ化合物。4. 前記アミンが、モノ−又はポリアミンを含む、上記1に記載の無イオウ化合物。5. 成分(b)が、マレイン酸又は無水物、コハク酸又は無水物、アルケニルコハク酸又は無水物、及びハロ−カルボン酸からなる群から選択される、上記1に記載の無イオウ化合物。6. 前記金属が、アルカリ及びアルカリ土類金属から選択される、上記1に記載の無イオウ化合物。7. 前記反応生成物が過塩基化されて、前記反応生成物のカルシウム又はマグネシウム塩をもたらす、上記6に記載の無イオウ化合物。8. 前記反応生成物が、塩基性窒素含有化合物で中和されて、前記反応生成物のアンモニウム塩を形成する、上記1に記載の無イオウ化合物。9. 基油と、約1〜約5重量%の上記1に記載の無イオウ化合物とを含む潤滑剤組成物。10. 潤滑剤添加剤成分としての使用のための無イオウの金属又はアルミニウム塩化合物を製造するための方法であって、フェノール化合物(a)を、アルデヒド(b)と、アミン(c)と反応させて、中間体生成物をもたらすことと、前記中間体生成物を、アシル化剤、求電子的化合物、及びその混合物からなる群から選択される化合物(d)と反応させて、反応生成物をもたらすことと、前記反応生成物を中和又は過塩基化して、前記潤滑剤添加剤成分をもたらすこと、とを含む方法。11. 前記フェノール化合物が、式の化合物を含み、式中、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、1〜24個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミン基、及び6〜24個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される、上記10に記載の方法。12. 前記反応生成物を過塩基化して、超塩基性アルカリ又はアルカリ土類金属塩をもたらすことを更に含む、上記10に記載の方法。13. 成分(d)が、マレイン酸又は無水物、コハク酸又は無水物、及びハロ−カルボン酸からなる群から選択される、上記10に記載の方法。14. 前記アミンが、モノ−又はポリアミンを含む、上記10に記載の方法。15. 上記10に記載の潤滑剤添加剤成分と、高分子粘度改良剤、清浄剤、酸化防止剤、分散剤、錆防止剤、耐摩耗剤、ホウ素含有化合物、摩擦改良剤、流動点降下剤、及び消泡剤からなる群から選択される1つ以上の追加的添加剤とを含む潤滑剤組成物。16. 内燃エンジンを潤滑にするための方法であり、上記15に記載の前記潤滑剤組成物を前記エンジンのクランクケースに添加することを含む方法。17. 前記エンジンが、ヘビーデューティーディーゼルエンジンを含む、上記16に記載の方法。18. 上記10に記載の潤滑剤添加剤成分と、高分子粘度改良剤、清浄剤、酸化防止剤、分散剤、錆防止剤、耐摩耗剤、ホウ素含有化合物、摩擦改良剤、流動点降下剤、及び消泡剤からなる群から選択される1つ以上の追加的添加剤とを含む、潤滑油濃縮物。 無イオウ金属又はアンモニウム塩化合物であって、(a)アルデヒドとアミンと反応したフェノール化合物と、(b)アシル化剤、求電子的化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、(c)金属又はアンモニウム化合物と、の反応生成物を含む無イオウ化合物。 前記フェノール化合物は、前記式の化合物を含み、式中、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、1〜24個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミン基、及び6〜24個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される、請求項1に記載の無イオウ化合物。 成分(b)が、マレイン酸又は無水物、コハク酸又は無水物、アルケニルコハク酸又は無水物、及びハロ−カルボン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の無イオウ化合物。 前記金属が、アルカリ及びアルカリ土類金属から選択される、請求項1に記載の無イオウ化合物。 前記反応生成物が過塩基化されて、前記反応生成物のカルシウム又はマグネシウム塩をもたらす、請求項4に記載の無イオウ化合物。 基油と、約1〜約5重量%の請求項1に記載の無イオウ化合物とを含む潤滑剤組成物。 潤滑剤添加剤成分としての使用のための無イオウの金属又はアルミニウム塩化合物を製造するための方法であって、フェノール化合物(a)を、アルデヒド(b)と、アミン(c)とに反応させて、中間体生成物をもたらすことと、前記中間体生成物を、アシル化剤、求電子的化合物、及びその混合物からなる群から選択される化合物(d)と反応させて、反応生成物をもたらすことと、前記反応生成物を中和又は過塩基化して、前記潤滑剤添加剤成分をもたらすこと、とを含む方法。 請求項7に記載の潤滑剤添加剤成分と、高分子粘度改良剤、清浄剤、酸化防止剤、分散剤、錆防止剤、耐摩耗剤、ホウ素含有化合物、摩擦改良剤、流動点降下剤、及び消泡剤からなる群から選択される1つ以上の追加的添加剤とを含む潤滑剤組成物。 内燃エンジンを潤滑にするための方法であり、請求項8に記載の前記潤滑剤組成物を前記エンジンのクランクケースに添加することを含む方法。 請求項7に記載の潤滑剤添加剤成分と、高分子粘度改良剤、清浄剤、酸化防止剤、分散剤、錆防止剤、耐摩耗剤、ホウ素含有化合物、摩擦改良剤、流動点降下剤、及び消泡剤からなる群から選択される1つ以上の追加的添加剤とを含む、潤滑油濃縮物。 【課題】無イオウ金属又はアンモニウム塩化合物、この化合物を製造する方法、及び潤滑剤添加剤濃縮物、並びにこの化合物を含有する潤滑剤組成物である。【解決手段】この化合物は、アルデヒド及びアミンと反応されたフェノール化合物を、アシル化剤及び求電子的化合物からなる群から選択される化合物とをマンニッヒ付加反応させることによって製造される化合物。前記化合物の一例を下記に示す。前記化合物とアシル化剤、求電子的化合物、及びその混合物からなる選択される化合物と反応させて、得られた反応生成物を、中和又は過塩基化して得られる化合物と該化合成を一成分として有する潤滑剤組成物。中和又は超塩基化は金属又はアンモニアを用いて行う。【選択図】なし