生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_4−メチルテトラヒドロピランを反応溶媒とするアルコール化合物の製造方法
出願番号:2013146457
年次:2015
IPC分類:C01F 7/00,C07C 33/22,C07C 29/143,C07C 29/147


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岡部 史彦 藤 純市 JP 2015017021 公開特許公報(A) 20150129 2013146457 20130712 4−メチルテトラヒドロピランを反応溶媒とするアルコール化合物の製造方法 株式会社クラレ 000001085 岡部 史彦 藤 純市 C01F 7/00 20060101AFI20141226BHJP C07C 33/22 20060101ALI20141226BHJP C07C 29/143 20060101ALI20141226BHJP C07C 29/147 20060101ALI20141226BHJP JPC01F7/00 CC07C33/22C07C29/143C07C29/147 8 OL 9 4G076 4H006 4G076AA18 4G076CA15 4G076DA30 4H006AA02 4H006AC41 4H006AD16 4H006BB25 4H006BE22 4H006FC52 4H006FE11 本発明は水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などの水素化アルミニウム化合物と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物、該組成物でアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物、オキシラン化合物を還元してアルコール化合物を製造する方法、及び還元後の溶液に水または酸性水溶液を加えて、生成したアルコール化合物を効率よく単離する方法に関する。 水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)は簡便かつ強力な還元剤として、従来より、広範囲な有機化合物の還元反応に用いられている(例えば非特許文献1参照)。LiAlH4は湿気に鋭敏で水と激しく反応するので、通常は有機化合物や塩類を適度に溶解させた非プロトン性溶媒中で用いる。非プロトン性溶媒の中でも、耐塩基性をもつエーテル系溶媒が好ましく使用され、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などが用いられる。 しかしながらジエチルエーテルは低沸点の特殊引火物であり麻酔性が高く、安全管理上、工業的な製造プロセスにおいて溶媒として用いるには問題がある。 また、LiAlH4を用いた還元反応においては、反応後に水を加えて過剰のヒドリドを分解させると共に、生成物を有機層に、金属塩を水層に分液する必要がある。そのため、水と混和するテトラヒドロフランまたはジグライムを溶媒として用いた場合には、分離が困難であり、生成したアルコール化合物等の回収が難しい。また、反応液を濃縮し、抽出溶媒を加えることによってアルコール化合物を得る場合には、高沸点のジグライムおよび蒸発潜熱の高い水を留去し、さらに反応溶媒と異なる抽出溶媒を用いなければならないため、工程の煩雑化やエネルギーコストが掛かる点が問題となる。 また、還元反応後に水を加えることで生成する水酸化アルミニウムは、ゾルゲル状の物質として析出するため、反応溶媒からの分離が困難である。水酸化アルミニウムの分離には通常ろ過が用いられるが、ゾルゲル状の水酸化アルミニウムはろ過性が悪く、しばしばろ過器の目詰まりを起こし、生産性を低下させる。また、ゾルゲル状の水酸化物に生成したアルコール化合物が取り込まれてしまい、分離が困難となる問題があった。有機合成化学協会誌,52巻,p616(1994) 本発明は、LiAlH4などの水素化アルミニウム化合物を用いた有機化合物の還元反応における上述したような反応溶媒、生成物の分離などの課題を解決することにある。 本発明者らは、鋭意検討の結果、LiAlH4などの水素化アルミニウム化合物と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物を用いて有機化合物を還元すると、反応溶媒と抽出溶媒を同一とすることが可能となって反応工程の簡素化およびエネルギーコストの低減などを達成でき、また毒性の低い4−メチルテトラヒドロピランを溶媒として用いることにより安全性も高まることを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、[1]下記式(1) M(AlH4)x (1)(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される化合物(以下、化合物(1)と称する)と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物;[2]化合物(1)がNaAlH4である、[1]の組成物;[3]化合物(1)がMg(AlH4)2である[1]の組成物;[4]前記[1]の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物またはオキシラン化合物を還元したのち、水を加えて4−メチルテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法;[5]前記[1]の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物またはオキシラン化合物を還元したのち、水および酸を加えて4−メチルテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法;[6]酸がプロトン酸である[5]の製造方法;[7]酸がリンを含む酸である[5]または[6]の製造方法;および[8]酸がリン酸および/またはリン酸塩を含む[5]〜[7]のいずれかの製造方法;である。 本発明によれば、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物、オキシラン化合物等の有機化合物を水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物で還元することによるアルコール化合物の製造方法において、4−メチルテトラヒドロピランを反応溶媒および生成するアルコール化合物の分離溶媒とできるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などを達成できる。また、4−メチルテトラヒドロピランは毒性が低いので安全性も高まる。さらに、還元反応後の反応液に水および酸を加えることにより、生成したアルコール化合物を効率的に単離できる。 以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、式(1) M(AlH4)x (1)(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される化合物と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物;前記組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物またはオキシラン化合物を還元したのち、水、または水および酸を加えて4−メチルテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法である。 本発明の組成物を構成する化合物(1)は水素化アルミニウム化合物である。式(1)中、Mが表す金属としては例えばリチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属;マグネシウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。化合物(1)の具体例としては、例えば水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH4)、水素化アルミニウムマグネシウム(Mg(AlH4)2)などを好ましく用いることができ、これらは通常市販されている粉末品を用いることができる。なお、化合物(1)は湿気で分解しやすく、水と激しく反応するので、取り扱いは通常不活性雰囲気下で行う。 4−メチルテトラヒドロピランは、本発明の組成物を構成する必須成分であり、溶媒としての機能を発揮する。本発明の組成物は、4−メチルテトラヒドロピランの他に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒を含有していてもよい。本発明の組成物の主目的である各種有機化合物の還元反応において、溶媒の回収や再利用を効率化する観点からは、4−メチルテトラヒドロピランを単独で用いることが望ましい。4−メチルテトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用される。4−メチルテトラヒドロピランの量に特に制限はないが、化合物(1)に対して通常2〜50質量倍、好適には5〜30質量倍である。 4−メチルテトラヒドロピランは、例えば後述する参考例に従い、3−メチル−1,5−ペンタンジオールより製造することができる。 4−メチルテトラヒドロピランは環状エーテルであるが、従来より広く用いられているテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどに比べて低極性で、23℃における水への溶解度が1.5%であって水との相溶性が低い。そのため、有機合成反応における溶媒として用いた場合、反応後の処理時の分液操作を行う際に別の低極性溶媒をさらに添加したり、または別の低極性溶媒で置換したりする必要がない。また、4−メチルテトラヒドロピランは水と共沸する(共沸点85℃、共沸組成物:水19wt%)ため、エステル化やアセタール化などの、反応の進行に伴って水が発生する平衡反応を追い込む場合に共沸脱水によって水を系外に除去しながら反応を行うことが可能である。また、4−メチルテトラヒドロピランは沸点が105℃と他のエーテル系溶媒に比べて高く、高温が必要な反応に対して適用しやすい。 沸点が比較的高くかつ水溶性の低い他のエーテル系溶媒としてシクロペンチルメチルエーテルが挙げられるが、Grignard反応などの有機金属化合物を用いた反応の場合には溶解性に劣り、反応成績が低い。一方、4−メチルテトラヒドロピランはその構造上酸素原子が金属と配位しやすいことに起因して、反応成績が高いという利点を有する。 本発明の方法で用いる4−メチルテトラヒドロピランと、他の(環状)エーテルに関する基礎物性を表1に示す。 本発明の組成物は、化合物(1)を4−メチルテトラヒドロピラン中に溶解または分散させることにより調製する。本発明の組成物は窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で安定であり、4−メチルテトラヒドロピランの融点から還流温度の温度範囲で使用できる。 続いて、本発明の組成物を用いた還元反応、本明細書においてはアルコール化合物の製造方法について述べる。 本発明の組成物の使用量は、化合物(1)の種類、および還元反応を行う対象となる後述する有機化合物の種類により適宜調節することができる。例えば、化合物(1)としてLiAlH4を用いる場合、1モルのLiAlH4あたり4モルのヒドリドを有するので、アルデヒド化合物やケトン化合物などのカルボニル化合物を還元する場合には少なくともカルボニル化合物1モルに対してLiAlH4が0.25モル倍の量となるように使用する。エステル化合物を還元する場合は少なくとも0.5モル倍、カルボン酸化合物を還元する場合は少なくとも0.75モル倍、酸ハロゲン化合物を還元する場合は少なくとも0.5モル倍の量となるように使用する。 本発明の還元反応すなわちアルコール化合物の製造は、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で、通常、本発明の組成物に、後述する有機化合物を場合により4−メチルテトラヒドロピランに溶解させて添加することにより行う。この際の反応温度は、−45℃〜添加する有機化合物の還流温度以下の範囲で行い、特に0℃〜反応液の還流温度の範囲が好ましい。 本発明の方法では、還元反応後の反応液に水、好ましくは水及び酸を加えることで、反応液中に場合により残留する過剰のヒドリドを分解すると共に、化合物(1)に由来する無機物を水層に、生成するアルコール化合物を4−メチルテトラヒドロピラン層に分離することができる。すなわち、4−メチルテトラヒドロピランが反応溶媒と抽出溶媒を兼ねるので、反応溶媒を濃縮したり、別途抽出溶媒を加えたりする必要がなく、反応生成物であるアルコール化合物を直接抽出分離できる。 なお、還元反応後の反応液に水を加えた場合には水層は塩基性となり、化合物(1)が分解して生成する水酸化アルミニウムがゾルゲル状となって、水層および生成物(アルコール化合物)を含有する4−メチルテトラヒドロピラン層の両方に分散しやすくなる傾向となって層分離および生成物との分離を妨げる傾向となる。そこで水を加えた後にさらに酸を加えるか、または還元反応後の反応液に最初から酸を水溶液として加えて水層のpHを好適には5以下に調節すると、かかる水酸化アルミニウムは水層に溶解するようになるので、水層に無機物を、4−メチルテトラヒドロピラン層に生成物を効率的に分離できるようになる。 酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸などのプロトン酸;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのプロトンを有する塩を好適に用いることができる。中でも、硫酸およびリン酸が好ましく、リン酸がより好ましい。酸の添加量は、酸の種類、還元反応に用いる組成物中の化合物(1)の種類および量により適宜調節できるが、通常、生成物(アルコール化合物)を含有する4−メチルテトラヒドロピラン層と水層に明瞭な界面ができ、かつ4−メチルテトラヒドロピラン層が透明になるまで添加するのが好ましい。なお、酸はそのままでも、水溶液として添加してもいずれでもよい。 酸を添加した水層のpHは5以下とすることが好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。なお、生成するアルコール化合物が酸により分解したりさらに反応したりしやすい場合には、酸としてリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩を使用し、緩衝作用を利用して水層のpHを4〜5に保つことが好ましい。 本発明の組成物は、種々の有機化合物の還元反応に用いることができる。特に以下のアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物、オキシラン化合物などの有機化合物を還元してアルコール化合物を製造する方法に好適に用いることができる。 アルデヒド化合物としては特に制限はなく、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、プロピオンアルデヒド、バレロアルデヒド、シクロヘキサンカルボアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、バニリン、2−ナフタレンアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、1,2−ナフタレンジカルボアルデヒドなどの芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。 ケトン化合物としては特に制限はなく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルアセトン、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルなどの脂肪族ケトン化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、デオキシベンゾイン、アセトナフトフェノン、ブチロナフトフェノン、インデン−1−オン、フルオレン−9−オンなどの芳香族ケトン化合物などが挙げられる。 エステル化合物としては特に制限はなく、例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクチル酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、フェニル酢酸エチル、アセト酢酸エチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸メジチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジエチルなどの脂肪族エステル化合物;安息香酸エチル、アニス酸メチル、2−ナフタレンカルボン酸メチル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリメチル、ピロメリット酸テトラメチルなどの芳香族エステル化合物などが挙げられる。 カルボン酸化合物としては特に制限はなく、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、アセト酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸などの脂肪族カルボン酸化合物;安息香酸、アニス酸、2−ナフタレンカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸化合物などが挙げられる。 酸ハロゲン化物としては特に制限はないが酸クロリド化合物が好ましく、例えばギ酸クロリド、酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、ブタン酸クロリド、酪酸クロリド、ヘキサン酸クロリド、オクチル酸クロリド、シクロヘキサンカルボン酸クロリド、フェニル酢酸クロリド、アセト酢酸クロリド、シュウ酸ジクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリドなどの脂肪酸クロリド化合物;安息香酸クロリド、アニス酸クロリド、2−ナフタレンカルボン酸クロリド、テレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、フタル酸ジクロリド、トリメリット酸トリクロリド、ピロメリット酸テトラクロリドなどの芳香族酸クロリド化合物などが挙げられる。 オキシラン化合物としては特に制限はなく、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンなどが挙げられる。 以下、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されない。なお、実施例における各成分の分析にはガスクロマトグラフ装置(GC−14B、株式会社島津製作所製)を用い、分析カラムとしてDB−1(J&W Scientific社製,長さ30m、直径0.32mm、膜厚1μm)を用いた。参考例1 温度計、滴下漏斗、撹拌装置および単蒸発装置として冷却管と受器を装備した容量1Lの三口フラスコに、p−トルエンスルホン酸23.2g、3−メチル−1,5−ペンタンジオール420gを入れ、オイルバスを155℃に設定して、内温135℃になるまで攪拌しながら加熱した。該温度に達した段階で、冷却管および受器に有機層および水層の留出が確認された。その後、有機層および水層を留出させながら、滴下漏斗から3−メチル−1,5−ペンタンジオール5058gを留出量見合いで41時間かけて連続的に添加したところ、受器に有機層4481gおよび水層679gが留出した。留出した有機層を分離し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、4−メチルテトラヒドロピランの純度は99.6%、カールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製AQ−2200)によって求めた含水率は1.3%であった。得られた有機層を、SUSヘリパックを充填した蒸留塔(径3cm、搭長1m、約20段)の塔頂部にディーンスターク水分離器を取り付け、大気圧下、内温100〜130℃、塔頂温度85〜105℃で共沸脱水を行うことによって液中の含水量を250ppmまで低減させた。その後、ディーンスターク水分離器から蒸留装置に取り替えて還留比5、内温110〜113℃、塔頂温度105℃で蒸留精製することによって、純度99.9%以上、水分50ppm以下の4−メチルテトラヒドロピランを3662g得た。なお、ガスクロマトグラフィーでの分析条件は以下の通りである。 装置:GC−14B(株式会社島津製作所製) 使用カラム:G−300(内径1.2mm×長さ20m)、化学物質評価研究機構社製 分析条件:注入口温度220℃、検出器温度220℃ カラム温度:60℃で5分保持→220℃まで15℃/分で昇温→220℃で5分保持 検出器:水素炎イオン化検出器(FID)実施例1 撹拌子を備えた容量100mlのナスフラスコに氷冷下、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)0.37g(10mmol)および4−メチルテトラヒドロピラン(MTHP)15mlを加え撹拌した。次いで、アセトフェノン2.4g(20mmol)を4−メチルテトラヒドロピラン5mlに溶解させた溶液を氷冷下20分かけて添加し、さらに室温で2時間撹拌した。反応液に水20mlを加え、ゾルゲル状の水酸化アルミニウムを桐山濾紙5Aで分離し、溶液を分液した。生成物の1−フェニルエタノールのMTHP層および水層中の量をガスクロマトグラフィー(GC)で定量した。結果を表2に示す。実施例2 実施例1と同様に反応を行い、反応液に水を添加後、さらに85%リン酸水溶液20gを添加したところ、水酸化アルミニウムはきれいに水層に溶解し、MTHP層と水層はとも無色透明となった。この時の水層のpHは1であった。MTHP層と水層を分液し、生成物の1−フェニルエタノールの量をGCで定量した。結果を表2に示す。比較例1 4−メチルテトラヒドロピランの代わりにテトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。比較例2 4−メチルテトラヒドロピランの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。結果を表2に示す。実施例3 実施例1と同様にして反応を行い、反応液に水20mlを添加し、さらに硫酸2gを添加したところ、MTHP層と水層は無色透明で分液した。この時の水層のpHは1であった。MTHP層中の1−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率94%であった。実施例4 実施例1と同様にして反応を行い、反応液に水20mlを添加し、さらにリン酸二水素ナトリウムを6g添加したところ、MTHP層は無色透明となり、水層は白濁したが分液した。この時の水層のpHは4であった。MTHP層の1−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率95%であった。実施例5 撹拌子を備えた容量100mlのナスフラスコに氷冷下、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)0.37g(10mmol)および4−メチルテトラヒドロピラン(MTHP)15mlを加え撹拌した。次いで、安息香酸エチル1.50g(10mmol)を4−メチルテトラヒドロピラン5mlに溶解させた溶液を氷冷下20分かけて添加し、さらに室温で2時間撹拌した。反応液に水10mlを加え、さらにリン酸を20g添加したところ、MTHP層と水層は無色透明で分液した。この時の水層のpHは1であった。MTHP層中のベンジルアルコールをGCで定量したところ、収率88%であった。実施例6 実施例1においてLiAlH4の代わりに水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH4)0.54g(10mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応後の処理は実施例2と同様の方法で行った。結果を表3に示す。実施例7 実施例1においてLiAlH4の代わりに水素化アルミニウムマグネシウム(Mg(AlH4)2)0.43g(5mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応後の処理は実施例2と同様の方法で行った。結果を表3に示す。実施例8 実施例1と同様にして反応を行い、反応液に水30mlを添加し、さらにリン酸二水素ナトリウム5gを添加したところ、MHTP層は無色透明、水層は白色で分液した。このとき水層のpHは5であった。MTHP層中の1−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率91%であった。 本発明によれば、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物、オキシラン化合物等の有機化合物を水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物で還元することによるアルコール化合物の製造方法において、4−メチルテトラヒドロピランを反応溶媒および生成するアルコール化合物の分離溶媒とできるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などを達成できる。また、4−メチルテトラヒドロピランは毒性が低いので安全性も高まる。さらに、還元反応後の反応液に水および酸を加えることにより、生成したアルコール化合物を効率的に単離できる。 下記式(1) M(AlH4)x (1)(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される化合物と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物。 式(1)で表される化合物がNaAlH4である請求項1記載の組成物。 式(1)で表される化合物がMg(AlH4)2である請求項1記載の組成物。 請求項1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物またはオキシラン化合物を還元したのち、水を加えて4−メチルテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 請求項1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物またはオキシラン化合物を還元したのち、水および酸を加えて4−メチルテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 酸がプロトン酸である請求項5に記載の製造方法。 酸がリンを含む酸である請求項5または請求項6に記載の製造方法。 酸がリン酸および/またはリン酸塩を含む請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。 【課題】水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物を用いた有機化合物の還元反応における反応溶媒、生成物の分離などの課題を解決する。【解決手段】下記式(1)。M(AlH4)x(1)(MはX価の陽イオンとなり得る金属又は原子団、Xは1〜3の整数)で示される化合物と4−メチルテトラヒドロピランからなる組成物でアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸ハロゲン化合物、オキシラン化合物を還元してアルコール化合物を製造し、還元後の溶液に水又は酸性水溶液を加えて、生成したアルコール化合物を効率よく単離する。前記金属が、Na,Li又はMgである組成物。亦、前記酸がプロトン酸であり、リン酸及び/又は、リン酸塩である製造方法。【選択図】なし


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