タイトル: | 公開特許公報(A)_加工安定性に優れ溶剤抽出性の低い新規ゴム用架橋剤 |
出願番号: | 2013132071 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07D 251/46,C08K 5/37,C08L 15/02 |
酢谷 麻紀 JP 2014237623 公開特許公報(A) 20141218 2013132071 20130607 加工安定性に優れ溶剤抽出性の低い新規ゴム用架橋剤 川口化学工業株式会社 000199681 酢谷 麻紀 C07D 251/46 20060101AFI20141121BHJP C08K 5/37 20060101ALI20141121BHJP C08L 15/02 20060101ALI20141121BHJP JPC07D251/46 BC08K5/37C08L15/02 2 書面 6 4J002 4J002AC121 4J002BB181 4J002EV346 4J002FD146 本発明は含ハロゲンゴムの架橋剤に関し、詳しくは新規トリアジンジチオール誘導体である架橋剤に関する。 ゴム工業分野においてs−トリアジン−2,4,6−トリチオールを始めとするs−トリアジンチオール類はゴム用架橋剤として知られ、特に含ハロゲン系ゴムの架橋剤として使用される。このs−トリアジンチオール類を用い架橋し得られる架橋ゴムは、架橋密度が高く、且つ架橋構造がタイトであることから永久歪が小さく、耐熱性に優れる特徴を有することが知られている(特許文献1)。 またs−トリアジン−2,4,6−トリチオールのチオール基のうち、1つをアミノ基で置換した6−アミノ−トリアジンジチオール類、例えば6−(ジブチルアミノ)−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジチオールは、s−トリアジン−2,4,6−トリチオールと比較して架橋反応が早く、更には塩素化ブチルゴムや臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴムに用いると接触溶剤に対する溶出性の低い架橋ゴムを得られることが知られている(例えば特許文献2)。 しかしながら例として挙げた6−(ジブチルアミノ)−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジチオールは、架橋反応が早い反面、加工安定性に問題が生じる場合がある。具体的には6−(ジブチルアミノ)−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジチオールが添加されたハロゲン化ブチルゴム組成物は、成型加工する際に受ける熱によりスコーチが起こり易く、成型条件が限定されてしまう場合がある。 特公昭48−36926号公報特開2002−301133号公報 加工安定性に優れ、かつ溶剤抽出性の低いゴム用架橋剤およびその架橋剤を用いたゴム組成物を提供することを課題とした。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、化1で表わされる6−(ジイソブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを架橋剤として用いることで、加工安定性に優れ、溶剤抽出性の低い含ハロゲンゴム組成物を提供することができる。具体的には従来の6−(ジブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール等のトリアジン系架橋剤を化1で表わされる化合物で代替することで課題を解決する。 本発明に従えば、ゴム100重量部に対して化1で表わされる化合物を0.01〜10重量部配合することで、加工安定性に優れ、かつ溶剤抽出性の低い含ハロゲンゴム組成物を提供することができる。 実施例1及び実施例2のゴム組成物を170℃で測定した加硫曲線を示す。 以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。本発明におけるベースとなるゴム成分とはトリアジン架橋が可能である含ハロゲンゴムを指し、例えば塩素化ブチルゴム(CIIR)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO,GECO)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、架橋サイトがハロゲンであるアクリルゴム(ACM)等を指し、これら単独もしくは複数の混合物を指すが、好ましくはCIIR,BIIR等ハロゲン化ブチルゴムを指す。 架橋可能なゴム組成物を得るためには、架橋剤(A)、加硫速度や加硫ゴム物性を向上させる架橋助剤(B)が添加される。架橋剤(A)は化1で表わされるトリアジン化合物単独、もしくはその他ハロゲン化ブチルゴムを架橋可能な架橋剤を併用しても構わない。また化1で表わされるトリアジン化合物は、含ハロゲンゴム100重量部対し0.01〜10重量部配合されるが、好ましくは0.5〜5.0重量部配合される。架橋助剤(B)は金属酸化物、具体的には酸化マグネシウム、酸化亜鉛およびハイドロタルサイト類などを示し、これらを単独もしくは併用しても構わない。 以下、実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明が実施例によって何ら限定されないことは勿論である。まず、化1で表わされる化合物の合成例を示す。 6−(ジイソブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールの合成例塩化シアヌル9.22g(50mmol)とトルエン16gをフラスコへ入れ、10℃以下に冷却、撹拌した。そこに30wt%ジイソブチルアミントルエン溶液21.53g(50mmol)を10℃で滴下し、30分間撹拌した。撹拌終了後、水11mL添加し、30wt%水酸化ナトリウム水溶液でpH4程度まで中和し、有機相を分液、濃縮し、中間体13.58g(収率97.9%)を得た。この中間体13.58g(50mmol)と2−プロパノール33.5gをフラスコに加え、撹拌しながら50℃まで昇温した。31.2%水硫化ナトリウム水溶液31.05g(160mmol)を滴下し、1時間撹拌した。その後、30wt%硫酸を滴下し、結晶を析出させた。得られた結晶はろ過、洗浄を行い、50℃で一晩乾燥させた。目的物である白色結晶を11.90g(収率87.4%,分解点220℃)を得た。 次に、ゴム試験結果について示す。表1にゴム組成物の配合内容を示す。 本発明における各配合は密閉型混合機およびオープンロールミルによる、一般的な混練り方法に従って作製し、詳しくはバンバリーミキサーにおいてゴム、充てん剤などA工程までの薬品を投入し、混練りを行い、その後にオープンロールにてB工程の薬品を添加し、各ゴム組成物を得た。 実施例1は本発明における化1で表わされるトリアジン化合物が含まれた架橋系である。一方、比較例1は従来のトリアジン架橋剤が含まれた架橋系である。 得られた各組成物の未加硫ゴム物性はまず、JIS K6300未加硫ゴム試験方法に記載されているムーニースコーチ試験及び振動式加硫試験機による加硫試験を行った。結果を表2に示す。 表2及び図1を見ると、実施例1は比較例1と比べて、加硫試験における架橋が開始するまでの誘導期間tc(10)が長く、スコーチタイムも明らかに長い。従って従来のトリアジン系架橋剤よりも化1で表わされるトリアジン化合物の方が加工安定性に優れていることが示された。 また加硫ゴム物性においても、実施例1は比較例1と比べて同等であり、化1で表わされるトリアジン化合物は従来のトリアジン系架橋剤と同等な架橋ゴムを得ることが示された。 一方、耐水溶出性は厚さ2mmの加硫ゴムシートを直径4.5cmの円形に打ち抜き、このサンプルを60℃の純水60mLで1時間抽出した後、ただちにサンプルを取り出した。これを検水とし、CODを測定し、耐水溶出性の指標とした。 耐水溶出性において、実施例1は比較例1と比較してCODが低く、耐水溶出性の低い架橋ゴムが得られることが確認された。 化1で表わされる6−ジイソブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール。 ゴム100重量部に対して、請求項1に記載の化1で表わされる化合物を0.01〜10重量部配合することを特徴とするゴム組成物。 【課題】加工安定性に優れ、かつ溶剤抽出性の低いゴム用架橋剤及びそれを用いたゴム組成物の提供。【解決手段】6−ジイソブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールをゴム用架橋剤として用いることで、加工安定性に優れ、かつ溶剤抽出性の低いゴム組成物が得られる。【選択図】なし