タイトル: | 公開特許公報(A)_水中油型乳化組成物 |
出願番号: | 2013119932 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/73,A61K 8/06,A61K 8/34,A61Q 19/00,A61K 8/31,A61K 8/89,A61K 8/37 |
脇田 和晃 飯塚 宗明 河内 順一 JP 2014237600 公開特許公報(A) 20141218 2013119932 20130606 水中油型乳化組成物 日油株式会社 000004341 細田 益稔 100097490 青木 純雄 100097504 脇田 和晃 飯塚 宗明 河内 順一 A61K 8/73 20060101AFI20141121BHJP A61K 8/06 20060101ALI20141121BHJP A61K 8/34 20060101ALI20141121BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20141121BHJP A61K 8/31 20060101ALI20141121BHJP A61K 8/89 20060101ALI20141121BHJP A61K 8/37 20060101ALI20141121BHJP JPA61K8/73A61K8/06A61K8/34A61Q19/00A61K8/31A61K8/89A61K8/37 1 OL 13 4C083 4C083AC021 4C083AC022 4C083AC071 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC112 4C083AC122 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC351 4C083AC352 4C083AC482 4C083AD171 4C083AD172 4C083AD281 4C083AD282 4C083AD301 4C083AD302 4C083BB11 4C083CC05 4C083DD33 4C083EE01 4C083EE07 本発明は、水中油型乳化組成物に関する。 乳化とは、水と油など、互いに混ざり合わない二種の液体のうち、一方の液体が微粒子となって(分散質)、他方の液体(分散媒)中に分散させることをいう。乳化物は、繊維工業、塗料、印刷業、化粧品工業、食品工業などをはじめとする様々な産業界で広く用いられている。通常、乳化を行う場合には、比較的低分子の界面活性剤を乳化剤として用いて所望の乳化を行う。 ところが、低分子乳化剤を化粧料に使用した場合、使用者によっては肌に合わない場合があったり、防腐剤が可溶化され防腐効力が低下したりする場合があった。このような場合、アルキル化セルロースのような天然由来の疎水化多糖誘導体が高分子乳化剤として使用されてきた。このような高分子乳化剤は、種々の油に対する乳化安定性が良好で、経皮吸収しにくいことから皮膚に対する負担が比較的小さく、さらに防腐剤が可溶化されないため防腐剤の配合量を低減できるという利点がある。 ところが、疎水化多糖誘導体として調製されたエマルションは、乳化力に乏しく安定なエマルションが得られないため、低分子乳化剤と併用する必要があった。 疎水化多糖誘導体に関する問題に取り組んだ乳化組成物として、例えば、特許文献1では、アルキル基とスルホン酸基で修飾された特定の多糖誘導体、その製造方法及びそれを含有する化粧料が提案されている。また、特許文献2では乳化安定剤の一種としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有した水中油型気泡含有化粧料が含有されている。特開平9−235301号公報特開2012−206994号公報 しかしながら、上記特許文献1の特定の多糖誘導体を含有する化粧料は塗付時に曳糸性があり、使用者によっては敬遠される場合があった。また、特許文献2のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有した水中油型気泡含有化粧料は、塗付時の肌なじみが悪いという課題があった。 このように、多糖類誘導体を高分子乳化剤として使用した系において、種々の油を安定に乳化することが可能であり、防腐剤の配合量を低減でき、塗付時の肌なじみを演出でき、さらに使用時の曳糸性がない水中油型乳化組成物はこれまで開示されていなかった。 本発明の課題は、種々の油を安定に乳化することが可能であり、防腐剤の配合量を低減でき、塗付時の肌なじみを演出でき、さらに使用時の曳糸性がない水中油型乳化組成物を提供することである。 すなわち、本発明は以下に示されるものである。 下記の成分(A)0.01〜20質量%、成分(B)0.001〜5質量%、成分(C)1〜60質量%および残部として成分(D)を含有することを特徴とする、水中油型乳化組成物。(A) 1,9,10−オクタデカントリオール(B) 疎水化多糖誘導体(C) 炭化水素油、シリコーン油およびエステル油からなる群より選ばれた一種以上の油剤(D) 少なくとも水を含む溶媒 本発明の水中油型乳化組成物は、種々の油を安定に乳化することが可能であり、防腐剤の配合量を低減でき、塗付時の肌なじみを演出でき、さらに使用時の曳糸性がなく、産業上極めて有用である。(乳化助剤) 本発明の成分(A)である1,9,10−オクタデカントリオールは、界面活性剤と会合体を形成することで乳化安定性の向上をもたらす乳化助剤であって、下記の式(I)で表される。 式(I)において、9位と10位の炭素原子は、不斉炭素であるが、何れの光学異性体でも構わない。 1,9,10−オクタンデカントリオールは、公知の製造方法で得ることができる。例えば、9−オクタデセノールをギ酸や酢酸など低級カルボン酸存在下、過酸化水素水と反応することで、不飽和結合にオキシラン環を導入し、さらに、アルカリもしくは酸存在下、オキシラン環を加水分解することで得ることができる。この9−オクタデセノールとしては、cis−9−オクタデセノール、すなわち、オレイルアルコールが特に好ましい。 1,9,10−オクタンデカントリオールには、本願の効果を損なわない範囲で、未反応の9−オクタデセノールが残存しても構わないが、ヨウ素価は、10以下であることが好ましい。 なお、ヨウ素価とは、「試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値」であり、JISK−0070によって求めることができる。単位は、「I2g/100g」で表す。 本発明の成分(A)の含有量は、乳化組成物の全質量(100質量%)に対して、0.01〜20質量%である。成分(A)の含有量が0.01質量%未満の場合、乳化組成物の耐塩性が低下するとともに、塗付時のリッチでクリーミィな使用感を演出できない。一方、成分(A)の含有量が20質量%を超える場合は、成分(A)の粗大結晶が乳化組成物中で発生する場合があり、保存安定性が低下する。こうした観点からは、成分(A)の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、成分(A)の含有量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。(疎水化多糖誘導体) 本発明の成分(B)は、疎水化多糖誘導体である。疎水化多糖誘導体とは、多糖類の持つ水酸基又はカルボキシル基をアルキル基で修飾した誘導体であり、具体的には、多糖類と、炭素数3〜18の1,2−エポキシアルカン、および/または、アルキルの炭素数が4〜24であるアルキルグリシジルエーテルと反応させて得られる多糖誘導体である。 成分(B)の出発原料である多糖類は、海藻、種子、樹液、果実、微生物、そして繊維等から得られる天然の多糖類、又はこれらの誘導体を用いることができる。具体的には、アルギン酸、アラビアガム、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、イヌリン、キトサン、デキストリン、セルロース、グアーガム、スターチ、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。 多糖類と反応させる炭素数3〜18の1,2−エポキシアルカンは、通常α‐オレフィンの酸化によって製造され、例えば、1,2−エポキシプロパン(プロピレンオキシド)、1,2−エポキシブタン(1,2−ブチレンオキシド)、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシドデカン等が挙げられる。本発明に用いる1,2−エポキシアルカンの炭素数は3〜18であり、好ましくは3〜16、より好ましくは3〜14である。炭素数が3未満の場合、界面張力低下能が不十分であるため乳化安定性が悪い。また炭素数が18を超える場合、多糖類との反応性が低下する傾向がある。 多糖類と反応させるアルキル基の炭素数が4〜24のアルキルグリシジルエーテルは、通常エピクロルヒドリンとアルコールとのエーテル化によって得られ、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。本発明に用いるアルキルグリシジルエーテルのアルキル基の炭素数は4〜24であり、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜20である。アルキル基の炭素数が4未満の場合、界面張力低下能が不十分であるため乳化安定性が悪い。また炭素数が24を超える場合、多糖類との反応性が低下するばかりでなく、得られた疎水化多糖誘導体の水溶性が低下するため好ましくない。 疎水化多糖誘導体の具体例としては、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリド、ラウレス−13−プロピレングリコールヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましい。 本発明の疎水化多糖誘導体は通常、多糖類の水溶液に触媒の存在下、炭素数C3〜18の1,2−エポキシアルカン又は炭素数4〜24のアルキルグリシジルエーテルを滴下・反応して得られるが、構造が同じであれば他の方法によって得られたものを用いても良い。 成分(B)の市販品としては、キッコーマンバイオケミファ(株)製のダックロイド、(株)キミカ製のキミロイド等の商品名で販売されているアルギン酸プロピレングリコール;信越化学工業(株)製のメトローズの商品名で販売されているヒドロキシメチルセルロース;アシュランドアクアロン ファンクショナル イングリディエンツ社製のナトロゾール・プラスの商品名で販売されているアルキル変性ヒドロキシエチルセルロース;大同化成工業(株)製のサンジェロースの商品名で販売されているステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等を好適に使用できる。 本発明の成分(B)の含有量は、乳化組成物の全質量(100質量%)に対して、0.001〜5質量%とする。成分(B)の含有量が0.001質量%未満の場合、乳化組成物の保存安定性において不十分である。また、成分(B)の含有量が5質量%を超える場合は、塗付時の肌なじみが著しく悪化する。こうした観点からは、成分(B)の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上が好ましい。また、成分(B)の含有量は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。 [成分(C):油剤] 成分(C)は、炭化水素油、シリコーン油およびエステル油からなる群より選ばれた一種以上の油剤である。 炭化水素油としては、流動パラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、α―オレフィンオリゴマー、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ポリエチレン、セレシン等を挙げることができる。好ましくは、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、スクワランなど25℃で液状の炭化水素油である。これらを1種もしくは2種以上、用いることができる。 シリコーン油としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイルが例示できる。好ましくは、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイルである。 エステル油としては、エステル基を有する油剤であり、脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド、油脂、さらには、脂肪酸と一価以上アルコールのエステルが例示できる。トリグリセリドとしては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、べへン酸、テトラコサン酸、ミリストレン酸、パルミトレン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などのトリグリセリドが例示できる。油脂としては、オリーブ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヤシ油、ツバキ油、カカオ脂、シア脂などの油脂類などが例示できる。脂肪酸と一価以上アルコールのエステルとしては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルへキサン酸ステアリル、2−エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジデシル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、イソステアリン酸フィトステリル、オキシステアリン酸オクチル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン脂肪酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸セチル、コハク酸ジオクチル、乳酸セチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが例示できる。また、ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ、ラノリン、キャンデリラロウ、ホホバ油などロウ類も使用できる。これらを1種もしくは2種以上用いることができる。 エステル油としては、好ましくは、炭素数6以上の脂肪酸のトリグリセリド、油脂類、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミツロウ、モクロウなどである。 本発明の乳化組成物には、成分(C)が1〜60質量%含有される。成分(C)の含有量が1質量%未満又は60質量%を超えると、乳化安定性が悪化する。こうした観点からは、成分(C)の含有量は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、成分(C)の含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下が更に好ましい。(成分(D) 乳化組成物の残部は、少なくとも水を含む溶媒である。溶媒は、水単独であってよく、あるいは、水と、常温(25℃)において水と混和性のある有機溶剤との混合物であってもよい。こうした有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールなど炭素数2〜6のポリオール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのアルキル(炭素数1〜4)エーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル類が例示できる。 本発明においては、成分(a)、(b)、(c)および(D)の質量の合計値を100質量%として計算する。(添加成分) 本発明の乳化組成物においては、通常化粧料に用いられる各種の成分を添加しても良い。例えば、紫外線吸収剤、無機粉体、保湿剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、薬剤、抽出液、香料、色素等を配合できる。例えば、紫外線吸収剤としては、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、安息香酸系化合物、サリチル酸系化合物、メトキシケイ皮酸系化合物などが挙げられる。無機粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカなどが挙げられる。保湿剤としては、アミノ酸などのNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどを挙げることができる。pH調整剤、中和剤としては、乳酸、クエン酸、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。酸化防止剤としては、α−トコフェロール、没食子酸などが挙げられる。防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ソルビン酸などが挙げられる。活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、レシノールなどの美白剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール及びそれらの誘導体、ビタミンA酸及びそれらの誘導体などの抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体などを挙げることができる。 本発明の乳化組成物の形態は、液状、クリーム状など何れの形態をとり得る。本発明にかかる乳化組成物の使用用途は特に限定されるものではないが、医薬品、化粧品用途において好適に使用することができる。例えば、乳液、クリーム、ファンデーション、クレンジング料、ヘアリンス、日焼け止め化粧料、ボディクリーム、又は軟膏などの皮膚治療薬などの種々の製品に応用することが可能である。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。[使用した原料]<成分(A)> 実施例ならびに比較例に用いた成分(A)は、ヨウ素価3.6のものを使用した。<成分(B)> 成分(B)としては、下記3種類の疎水化多糖誘導体を使用した。 アルギン酸プロピレングリコール・・・ダックロイド、キッコーマンバイオケミファ(株)製 ヒドロキシメチルプロピルセルロース・・・メトローズ60SH−4000、信越化学工業(株)製 ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース・・・サンジェロース60L、大同化成工業(株)製<成分(B’)> 成分(B)の比較成分としては、以下の成分(B´)を使用した。 アルギン酸Na・・・キミカアルギンI−3、(株)キミカ製 ヒドロキシエチルセルロース・・・HECダイセルSE600、ダイセルファインケム(株)製<成分(C)> 流動パラフィン・・・モレスコホワイトP−70、(株)MORESCO製 デカメチルシクロペンタシロキサン・・・シリコーンKF−995、信越化学工業(株)製 パルミチン酸2−エチルヘキシル・・・サラコスP−8、日清オイリオグループ(株)製[美容液の調製] 表1および表2に示す成分と組成で、美容液を転相乳化法にて調製した。尚、エマルションを調製する前に、メチルパラベンのエタノール溶液を予め調製した。 成分(A)、成分(C)を80℃にて溶解させ油相とした。一方、メチルパラベン、エタノールを除くその他の成分と成分(B)または(B´)を溶解又は分散し、これを水相とした。その後、80℃に加温した水相を油相に徐々に添加し、同温度にて、5000rpm×5分間、ホモジナイザーを用いて乳化した。40℃以下に冷却した後、メチルパラベンのエタノール溶液を加え、十分に攪拌して乳化組成物を得た。[美容液の評価] 調製した美容液について以下の基準にて評価した。尚、評価結果は、表1、表2に併せて示す。<保存安定性> 調製した美容液30gを50mLのスクリュー管に充填し、密閉した後、5℃、25℃、50℃の恒温槽で1ヶ月間保存した。試験後の試料の性状を確認し、以下の基準で評価を行った。 ○ : いずれかの温度においても試料の外観に変化が確認されなかった。 △ : いずれかの温度において相分離など、試料の外観に変化が確認された。 × : 調製直後に相分離等が確認され、エマルションを形成しなかった。 保存安定性における評価が×、つまりエマルションが形成されなかった場合、その他の評価は実施しなかった。<防腐効力試験> Association of Official AgriculturalChemists(AOAC)のサニタイザー試験法に準じて行った。詳しくは、各種供試薬剤の原液9.9mLに、Nutrient Broth(NB)培地(MERCK社製)に108〜109個の菌数になるよう調整した菌液を0.1mL加える。30秒接触させた後、その1mLを不活化剤入りリン酸緩衝液9mLに加え、その後すぐに段階希釈を行う。Plate Count Agar(PCA)培地(MERCK社製)で混釈し、37℃で培養後48時間および7日後に生存菌数を測定した。接種菌数と生存菌数の対数差からLog Reductionを算出し、以下の判定基準で評価した。尚、供試菌としては、大腸菌(Escherichia coli IFO−12734)と黄色ブドウ球菌(Staphylococus aureus IFO−12732)を用いた。 判定は、培養7日後の生菌数が検出限界以下で、かつ培養48時間後のLog Reductionが下記の基準でAA、A及びBの試料を合格とした。(判定基準) AA : Log Reductionがいずれの供試菌においても4以上 A : いずれかの供試菌のLog Reductionが3以上〜4未満 B : いずれかの供試菌のLog Reductionが2以上〜3未満 C : いずれかの供試菌のLog Reductionが1以上〜2未満 D : いずれかの供試菌のLog Reductionが1未満<塗付時の肌なじみ> 専門パネラー20名の手の甲にエマルションを塗付した際の肌なじみについて、パネラー各人が下記基準にて4段階で絶対評価を行った。そして、絶対評点の合計からAA〜Dの5段階評価を行い、AA、A、およびBを合格とした。(絶対評価基準) 3:肌なじみがとても良好である。 2:肌なじみが良好である。 1:肌なじみがあまり良好でない。 0:肌なじみが全く良好でない。(評点の合計による5段階評価) AA : 評点の合計が55〜60点 A : 評点の合計が45〜54点 B : 評点の合計が35〜44点 C : 評点の合計が25〜34点 D : 評点の合計が24点未満<曳糸性> 専門パネラー20名の手の甲にエマルションを塗付した際の曳糸性について、パネラー各人が下記基準にて4段階で絶対評価を行った。そして、絶対評点の合計からAA〜Dの5段階評価を行い、AA、A、およびBを合格とした。(絶対評価基準) 3:曳糸性が全くない。 2:曳糸性がほとんどない。 1:やや曳糸性がある。 0:明らかに曳糸性がある。(評点の合計による5段階評価) AA : 評点の合計が55〜60点 A : 評点の合計が45〜54点 B : 評点の合計が35〜44点 C : 評点の合計が25〜34点 D : 評点の合計が24点未満 本発明の実施例1〜6では、種々の油に対してエマルションの保存安定性が良好で、十分な防腐効力を有し、さらに塗付時の肌なじみや曳糸性のなさに優れた水中油型乳化組成物を調製することができた。 一方、比較例1〜10では、十分な効果を得られていない。 比較例1では、成分(A)の代わりにセトステアリルアルコールを使用しているため、保存安定性および塗付時の肌なじみにおいて不十分であった。 比較例2では、成分(A)の代わりにセトステアリルアルコールを使用し、シリコーンのみを油剤としたエマルションであるが、調製直後に相分離が確認され、エマルションを調製することができなかった。 比較例3、4では、成分(B)の代わりに疎水性部位を持たない多糖類を使用しているため、いずれも保存安定性、曳糸性において不十分であった。 比較例5では、成分(B)の代わりに低分子の乳化剤が配合されているため防腐効力において不十分であった。 比較例6では成分(A)が含有されていないため、保存安定性、塗付時の肌なじみ、曳糸性において不十分であった。 比較例7では成分(A)の含有量が20質量%を超えるため、エマルションを調製できなかった。 比較例8では成分(B)の含有量が5質量%を超えるため、エマルションを調製することができなかった。 比較例9では成分(C)が含有されていないため、また比較例10では成分(C)の含有量が60質量%を超えるため、いずれもエマルションを調製できなかった。 下記の成分(A)0.01〜20質量%、成分(B)0.001〜5質量%、成分(C)1〜60質量%および残部として成分(D)を含有することを特徴とする、水中油型乳化組成物。(A) 1,9,10−オクタデカントリオール(B) 疎水化多糖誘導体(C) 炭化水素油、シリコーン油およびエステル油からなる群より選ばれた一種以上の油剤(D) 少なくとも水を含む溶媒 【課題】種々の油を安定に乳化することが可能であり、防腐剤の配合量を低減でき、塗付時の肌なじみを演出でき、使用時の曳糸性がない水中油型乳化組成物を提供する。【解決手段】水中油型乳化組成物は、成分(A)0.01〜20質量%、成分(B)0.001〜5質量%、成分(C)1〜60質量%および残部として成分(D)を含有する。(A)1,9,10−オクタデカントリオール:(B)疎水化多糖誘導体:(C)炭化水素油、シリコーン油およびエステル油からなる群より選ばれた一種以上の油剤:(D)少なくとも水を含む溶媒【選択図】 なし