タイトル: | 公開特許公報(A)_微細藻類の培養方法および培養装置 |
出願番号: | 2013102808 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 1/12,C12M 1/00 |
山田 巧 丸尾 容子 猪股 宏 大田 昌樹 JP 2014223024 公開特許公報(A) 20141204 2013102808 20130515 微細藻類の培養方法および培養装置 日本電信電話株式会社 000004226 国立大学法人東北大学 504157024 山川 政樹 100064621 山川 茂樹 100098394 小池 勇三 100153006 山田 巧 丸尾 容子 猪股 宏 大田 昌樹 C12N 1/12 20060101AFI20141107BHJP C12M 1/00 20060101ALI20141107BHJP JPC12N1/12 AC12M1/00 E 8 1 OL 10 4B029 4B065 4B029AA02 4B029BB04 4B029CC01 4B029DB11 4B029DB13 4B065AA83X 4B065BC01 4B065BC07 4B065BC12 4B065BD22 4B065BD24 4B065CA54 本発明は、微細藻類の培養方法および培養装置に関するものである。 近年、地球温暖化を抑制するため、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出量の削減が課題とされている。 二酸化炭素を削減する手段として、植物の光合成を利用する方法がある。植物の中でも、特に微細藻類は、陸生植物と比較して高い増殖力を有するため、有望な二酸化炭素の削減手段として注目されている。例えば、特許文献1では、従来よりも増殖速度が速く大量培養が可能な微細藻類が報告されている。 ここで藻類とは、一般に、光合成を行う生物のうち、陸上植物(コケ植物、シダ植物、種子植物)を除いたものの総称であり、このうち拡大鏡を使わなければ見えないような小さな藻類は「微細藻類」と呼ばれている。いわゆる植物プランクトンは微細藻類の一例である。 この微細藻類の光合成を利用した培養装置も検討されている。例えば、特許文献2では太陽光を間欠的に遮光することにより藻類の増殖による光阻害を防ぎ、藻類の光合成の効率をあげる装置の構成が提案されている。また、油成分を内部で生成し蓄積する微細藻類を用いて、発電所や工場で二酸化炭素の排出量を抑えながら燃料を合成するプロセス等も検討されている。 二酸化炭素の固定に用いられる微細藻類には淡水性のものと海産性のものがある。海産性の藻類では、たとえばクロロコッカムリトラーレのように高濃度の二酸化炭素でも培養可能で、かつ脂質を生成するものがある(非特許文献1参照)。二酸化炭素の耐性が高いと燃料電池などの高濃度二酸化炭素を排出する装置からの直接導入が可能となるばかりか、その濃度では生存できない他の微生物のコンタミネーションを避けることができるという利点がある。特開2000−050861号公報特表2000−504924号公報M.Ota et.al., Bioresource Technology 100 (2009), 5237-5242 しかしながら、海産性の微細藻類は文字通り海水中で生息するため、培地には塩分が含まれる。一般に海水中には3.5%程度の塩分が含まれている。塩分は培養システムそのものの金属を腐食させるばかりか、培養システムを設置する周辺の他の機器類にも悪影響を及ぼしかねない。通常、海水に被爆する恐れのある装置にはチタンやSUS316Lなどの耐腐食性の高い金属性部品が使われるが、周辺の機器すべてに耐腐食性金属部品を用いることはコスト高になってしまい現実的ではない。 そこで、本発明は、培養装置の金属腐食を抑制しつつ効率的に二酸化炭素を固定化することができる海産性微細藻類の培養方法および培養装置を提供することを目的とする。 上述したような課題を解決するために、本発明に係る微細藻類の培養方法は塩分濃度を海水塩分濃度よりも低く、かつ少なくとも海水塩分濃度の5%以上に設定した培地と微細藻類とからなる培養液を生成し、培養液に炭酸ガスを供給して微細藻類の培養を行うものである。 上記微細藻類の培養方法における培地の塩分濃度は海水塩分濃度の50%以下にしてもよい。 上記微細藻類の培養方法における培養液の全有機炭素量及び細胞濃度を測定し、測定した全有機炭素量及び細胞濃度に基づき所定の塩分濃度を有する培地の供給量を制御し、全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持するようにしてもよい。 上記微細藻類の培養方法における微細藻類はクロロコッカムリトラーレとしてもよい。 また、本発明にかかる微細藻類の培養装置は塩分濃度を海水塩分濃度よりも低く、かつ少なくとも海水塩分濃度の5%以上に設定した培地と微細藻類とからなる培養液を貯える培養容器と、培養液に炭酸ガスを供給する手段とを有するものである。 上記微細藻類の培養装置における培地の塩分濃度は海水塩分濃度の50%以下にしてもよい。 上記微細藻類の培養装置における培養液の全有機炭素量及び細胞濃度を測定する手段と、測定した全有機炭素量及び細胞濃度に基づき所定の塩分濃度を有する培地の供給量を制御する手段とを有し、全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持するようにしてもよい。 上記微細藻類の培養装置における微細藻類はクロロコッカムリトラーレとしてもよい。 本発明によれば、塩分濃度を海水の塩分濃度よりも低く設定した状態でも二酸化炭素を効率よく固定化できる条件で微細藻類を培養し続けることができるので、塩分による金属腐食を抑制しつつ効率よく二酸化炭素を固定化することができる。 また、本発明によれば、微細藻類の培養液における全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持しつつ微細藻類を培養し続けることができるので、塩分による金属腐食を抑制しつつ二酸化炭素を高い割合で固定化し続けることができる。図1は、本発明の実施の形態に係る微細藻類の培養装置の概要を表す図である。図2は、本発明の培養液の塩分濃度比と微細藻類の比増殖速度の関係を示すグラフである。図3は、本発明における培養液の塩分濃度比をパラメータとして培養液の全有機炭素量の時間変化を測定したグラフである。図4は、本発明における培養液の濁度の時間変化を細胞濃度の時間変化に変換したグラフである。図5は、本発明の実施の形態に係る培養装置の構成例を表す図である。図6は、本発明の実施の形態に係る培養液制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。<培養液> 図1は本発明の実施の形態に係る微細藻類の培養装置の概要を表す図面である。微細藻類が水等の培地中に分散したものが微細藻類の培養液であり、透明な材料からなる培養容器に貯留されている。この培養容器に自然光または照明光を照射しかつ二酸化炭素を供給して、微細藻類に光合成を行なわせることにより、微細藻類を培養して二酸化炭素の固定化を行う。 本実施の形態では微細藻類として、クロロコッカムリトラーレを用いた。クロロコッカムリトラーレは海産微細藻類の一つで高濃度の二酸化炭素でも培養可能で、かつ脂質を生成するものである。また、培地としては日本製薬(株)の人工海水SP「ダイゴ」とIMK培地「ダイゴ」を用いた。人工海水SP「ダイゴ」は塩化ナトリウムの20747mg/Lを筆頭に海水成分の無機塩を含む人工海水である。一方、IMK培地「ダイゴ」は窒素やリンなどの栄養塩を含む培地である。一般的にはこれら2種類の培地を混合して培養を行うが、本実施例においては、IMK培地ダイゴは通常濃度にして、人工海水SP「ダイゴ」の濃度を薄めることにより培養液の塩分濃度を調整し培養を行った。<培養方法> 本発明の実施の形態に係る微細藻類の培養方法について説明する。本発明では塩分を含む培地の塩分濃度を極力抑えることにより塩分による培養装置や周辺機器に対する被爆を抑えるようにしている。すなわち、IMK培地「ダイゴ」と人工海水SP「ダイゴ」を混合する際の人工海水SP「ダイゴ」の濃度を薄めることにより塩分濃度を海水塩分濃度よりも低くなるように培養液を生成し培養を行う。人工海水SP「ダイゴ」の濃度を調整することにより海水よりも塩分濃度が低い所望の塩分濃度比(海水塩分濃度に対する塩分濃度の比率)の培養液を生成し、各塩分濃度比の培養液で培養を行い、全有機炭素量や細胞濃度の時間変化を測定することにより各塩分濃度比における培養の状況を把握することが可能である。ここで、全有機炭素量は培養液の一部を取り出すことにより直接測定可能であり、細胞濃度の変化は培養液の濁度を測定することにより測定することができる。 図2は培養液の塩分濃度比を変化させて比増殖速度を測定した結果である。ここで比増殖速度とは微細藻類の濃度が指数関数的に増加する対数増殖期における細胞濃度の対数軸での傾きであり、増殖の状態を測る尺度の一つである。塩分濃度比を約30%〜50%に下げた場合でも比増殖速度の低下は15%程度である。また、塩分濃度比を16%にした場合でも比増殖速度の低下は20%程度であり培養は順調に行なわれることがわかる。 次に、培養液の塩分濃度比をパラメータとして全有機炭素量の時間変化を測定した結果を図3に示す。ここで、全有機炭素量とは、微細藻類を含む培養液中に含まれる有機炭素を直接測定したものであり、微細藻類が固定した二酸化炭素の総量を表している。190時間経過した場合でも塩分濃度比50%における全有機炭素量は塩分濃度比が100%の場合より10%程度低いだけであり、培養が順調に行われていることが確認できる。 図3において、塩分濃度比が5%の場合の190時間経過時の全有機炭素量は塩分濃度比が100%の場合の半分程度である。しかし、100時間から200時間の間では全有機炭素量が順調に増加しており、この時間帯における全有機炭素量の増加率は全時間帯におけるほぼ最大値を示していることがわかる。したがって、この時間帯における細胞濃度を維持するように培養液の調整、すなわち培地の供給を行なえば、全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持しつつ連続培養を行うことが可能である。 図3では、塩分濃度比が5%の場合の経過時間が100時間から200時間の時間領域における全有機炭素量の増加率は、塩分濃度比100%の場合の50時間から100時間の時間領域における増加率の半分程度にはなるが、塩分濃度比が5%の場合でも経過時間が100時間から200時間の時間領域における細胞濃度を維持するように培地の供給量を制御すれば連続培養により二酸化炭素の固定化が可能であることがわかる。 細胞濃度の測定は培養液の濁度を測定することにより行う。図4は全有機炭素量の測定と並行して行った培養液の濁度の時間変化を細胞濃度の時間変化に変換したグラフである。培養液の濁度と細胞濃度は培養が進むと時間とともに変化しており、この濁度と細胞濃度の相関関係を利用して、全有機炭素量の増加率が最大値付近を維持するような濁度の範囲を測定する。例えば、全有機炭素量の増加率を図3における塩分濃度比が5%の場合の経過時間が100時間から200時間の時間領域の値に維持したければ、培養液の濁度がその時間領域の間になるように培養液の調整を行えばいいことになる。他の塩分濃度比でも同様に全有機炭素量の増加率が最大値付近を維持するような濁度の範囲を決定することができる。このように培養液の濁度を用いれば細胞濃度を全有機炭素量の増加率が最大値付近を維持するような所望の値に維持することが可能となる。<培養装置> 次に、本実施の形態に係る培養装置の構成例について図5を用いて詳細に説明する。本構成例における培養装置は、光合成をおこなうための光源10及び塩分を含む培地12と微細藻類からなる培養液11とそれを保持する培養容器13、二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給装置20、塩分を含む培地を供給する培地供給装置30、培養液の一部を回収する培養液回収装置40、有機炭素量を測定する有機炭素量測定装置50、培養液の濁度を測定する濁度測定装置60、及び培地の供給量や回収する培養液の量を制御する培養液制御装置70から構成されている。(1)培養液、培養容器 本実施の形態において用いる培養液11は塩分を含む培地12と微細藻類から構成されており、微細藻類として、海産微細藻類の一つで、高濃度二酸化炭素でも培養可能なクロロコッカムリトラーレを用いた。培養液の塩分濃度は金属腐敗を極力抑制するために海水塩分濃度よりも低い値になるように設定し、少なくとも海水塩分濃度の5%以上の値になるように設定され、培養容器13に貯留されている。光源10からの光と二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素を用いて光合成を行い二酸化炭素を固定化する。(2)二酸化炭素供給装置 本構成例の二酸化炭素供給装置20は燃料電池や発電設備等の二酸化炭素供給元21とバルブ22から構成される。二酸化炭素供給装置20が二酸化炭素を培養液に供給することにより二酸化炭素の固定化を行う。今回用いたクロロコッカムリトラーレは高濃度の二酸化炭素濃度下でも培養が可能で燃料電池や火力発電所等の高濃度二酸化炭素を排出する装置から直接二酸化炭素を供給することも可能である。(3)培地供給装置 本構成例の培地供給装置30は所定の塩分濃度の培地12及び培地を保管する培地容器31、培地容器から培地をくみ上げて培養容器13に供給するポンプ32から構成され、ポンプ32の流量はコンピュータ(培養液制御装置70)からの制御信号71により制御可能に構成されている。ポンプ32の流量を制御することにより培養容器13中の培養液11の細胞濃度が所望の値になるように制御することが可能である。また、培地容器31中の培地12の塩分濃度を調整することにより、培養容器13中の培養液11の塩分濃度を最初に設定した塩分濃度を維持するように設定することも、また、塩分濃度を所望の値に変更することも可能である。(4)培養液回収装置 連続培養を行う場合には微細藻類の濃度を所定の値に維持するために培地の供給を行うので、必要に応じて培養液の回収を行う。本構成例の培養液回収装置40は培養液を保管する培養液容器41と培養容器から培養液をくみ上げるポンプ42から構成されている。培地供給装置と同様にポンプの流量はコンピュータ(培養液制御装置70)からの制御信号71により制御可能である。また、有機炭素量を直接測定するために後述する有機炭素量測定装置50に回収した培養液の一部を供給する機能も有する。(5)有機炭素量測定装置 有機炭素量測定装置50は全有機炭素量の増加率の変化を把握するために培養液の全有機炭素量の時間変化を測定する。全有機炭素量は培養液回収装置40で得られた培養液の一部を用いて直接測定することができる。測定した全有機炭素量の情報51は後述する培養液制御装置70に送られて、全有機炭素量の増加率が最大値付近となるように制御するための基礎データとなる。(6)濁度測定装置 濁度測定装置60は全有機炭素量の時間変化の測定と並行して培養液11の濁度を測定する。培養器の濁度は培養液回収装置40で得られた培養液の一部を用いて固定波長の吸収度を測ることにより測定することができる。全有機炭素量の時間変化と培養液の濁度を並行して測定することにより、全有機炭素量の増加率が最大値付近となるような濁度の範囲を把握することができる。測定した培養液の濁度データ61は後述する培養液制御装置70に送られて、全有機炭素量の増加率が最大値付近となる濁度を特定するための基礎データとなる。(7)培養液制御装置 培養液制御装置70は、有機炭素量測定装置50で測定された培養液の全有機炭素量51および培養液の濁度データ61に基づき全有機炭素量の増加率が最大値付近を維持するように培地の供給量及び培養液の回収量を制御する。<培養液の制御> 以下では培養液制御装置70の動作を含めた培養液の制御方法について説明する。図6は本発明の培養液制御方法を説明するためのフローチャートである。 まず、所定の塩分濃度になるように培地を混合する際の人工海水SP「ダイゴ」の混合比を下げることにより塩分濃度を海水塩分濃度よりも低くなるように培養液を生成し(S1)、培養液を培養容器13に貯留する(S2)。そこに二酸化炭素供給装置20により二酸化炭素を供給し二酸化炭素の固定化を開始する(S3)。 二酸化炭素の固定化が進み培養が順調に進むと微細藻類の細胞濃度が増大するがやがて増殖速度が低下するので適宜培地を供給して細胞濃度を調整する。前述したように、培養装置の所定の塩分濃度における全有機炭素量の時間変化とその増加率が最大値付近となる培養液の濁度の範囲をあらかじめ測定しておき、濁度がその範囲を維持するように培養液を調整する。 まず、図3のように使用する培養装置の所定の塩分濃度における全有機炭素量の時間変化を有機炭素量測定装置50により測定し、並行して濁度測定装置60により培養液の濁度を測定し濁度データを得る(S4)。そして、この全有機炭素量の情報51と濁度データ61は培養液制御装置70に提供される。培養液制御装置70は得られた濁度データ61から、全有機炭素量の増加率が最大値付近となる濁度の範囲を決定しそのデータを保存する(S5)。例えば、塩分濃度比が5%の場合は経過時間が100時間から200時間の時間領域における濁度の範囲である。 次に、培地の供給と培養液の回収を行いながら連続培養を行う(S6)。連続培養においては培養液の濁度のみを測定し濁度データ61を培養液制御装置70に提供する(S7)。培養液制御装置70は、培養液の濁度が上記で決定した濁度の範囲であるか判定し(S8)、その範囲から逸脱しないように培地供給装置30、培養液回収装置40に制御信号71を送り、培地の供給量及び培養液の回収量を制御する(S9)。 図3に示したように全有機炭素量の増加率の時間変化は培養液の塩分濃度によって異なるので、測定した濁度の値があらかじめ測定しておいたデータに基づく所定の範囲を逸脱しないように、所望の塩分濃度の培地を供給するように制御すれば塩分濃度を所望の値に保ちながら、金属腐食を抑制しつつ連続培養を行うことができる。 尚、上述したように連続培養においては培養液の濁度のみを測定して制御を行うが、必要に応じて全有機炭素量測定装置50により全有機炭素量を測定し、全有機炭素量の増加率が最大値付近となるように制御されているか確認するようにしてもよい。 以上説明したように、本発明の実施形態によれば、塩分濃度を海水の塩分濃度よりも低く設定した状態、例えば海水塩分濃度の50%以下に設定した場合でも二酸化炭素を効率よく固定化できる条件で微細藻類を培養することができるので、塩分による金属腐食を抑制しつつ効率よく二酸化炭素を固定化することができる。 また、本発明の実施形態によれば、微細藻類の培養液における全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持しつつ微細藻類を培養し続けることができるので、例えば培養液の塩分濃度を海水塩分濃度の5%に設定した場合でも、塩分による金属腐食を抑制しつつ二酸化炭素を高い割合で固定化することができる。 なお、上述した発明の実施形態においては、培養液の塩分濃度を一定に保ちながら培養を行うようにしたが、塩分による金属腐食を抑制できる範囲で塩分濃度を変更するように構成してもよい。すなわち、培地供給手段により供給される培地の塩分濃度を所望の塩分濃度に調整することにより培養液の塩分濃度を最初の塩分濃度から所望の塩分濃度に変更するようにしてもよい。 本発明は、海産性微細藻類を培養するシステムや火力発電所等の高濃度の二酸化炭素を吸収するシステム等に適用することができる。 10…光源、11…培養液、12…培地、13…培養容器、20…二酸化炭素供給装置、21…二酸化炭素供給元、22…バルブ、30…培地供給装置、31…培地容器、32…ポンプ、40…培養液回収装置、41…培養液容器、42…ポンプ、50…有機炭素量測定装置、51…有機炭素量情報、60…濁度測定装置、61…濁度データ、70…培養液制御装置、71…制御信号。 塩分濃度を海水塩分濃度よりも低く、かつ少なくとも海水塩分濃度の5%以上に設定した培地と微細藻類とからなる培養液を生成し、前記培養液に炭酸ガスを供給して前記微細藻類の培養を行う微細藻類の培養方法。 前記培地の塩分濃度は海水塩分濃度の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の微細藻類の培養方法。 前記培養液の全有機炭素量及び細胞濃度を測定し、測定した全有機炭素量及び細胞濃度に基づき所定の塩分濃度を有する培地の供給量を制御し、前記全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持することを特徴とする請求項1または2に記載の微細藻類の培養方法。 前記微細藻類はクロロコッカムリトラーレである請求項1乃至3のいずれか1つに記載の微細藻類の培養方法。 塩分濃度を海水塩分濃度よりも低く、かつ少なくとも海水塩分濃度の5%以上に設定した培地と微細藻類とからなる培養液を貯える培養容器と、前記培養液に炭酸ガスを供給する手段とを有する微細藻類の培養装置。 前記培地の塩分濃度は海水塩分濃度の50%以下であることを特徴とする請求項5に記載の微細藻類の培養装置。 前記培養液の全有機炭素量及び細胞濃度を測定する手段と、測定した全有機炭素量及び細胞濃度に基づき所定の塩分濃度を有する培地の供給量を制御する手段とを有し、前記全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持することを特徴とする請求項5または6に記載の微細藻類の培養装置。 前記微細藻類はクロロコッカムリトラーレである請求項5乃至7のいずれか1つに記載の微細藻類の培養装置。 【課題】培養装置の金属腐食を抑制しつつ効率的に二酸化炭素を固定化することができる海産性微細藻類の培養方法および培養装置を提供する。【解決手段】塩分濃度を海水塩分濃度よりも低い濃度に設定した培地と微細藻類からなる培養液を生成し、この培養液に炭酸ガスを供給することにより炭酸ガスを固定化させて培養を行う。培養液の全有機炭素量及び培養液の細胞濃度を測定し、測定した全有機炭素量及び細胞濃度に基づき所定の塩分濃度を有する培地の供給量を制御し、全有機炭素量の増加率を最大値付近に維持する。塩分濃度を海水の塩分濃度よりも低く設定した状態でも二酸化炭素を効率よく固定化できる条件で微細藻類を培養し続けることができるので、塩分による金属腐食を抑制しつつ効率よく二酸化炭素を固定化することができる。【選択図】 図1