生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メイラード反応生成物濃度低下剤
出願番号:2013099428
年次:2014
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61P 17/16,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

伊澤 直樹 丹羽 大輔 曽根 俊郎 JP 2014218467 公開特許公報(A) 20141120 2013099428 20130509 メイラード反応生成物濃度低下剤 株式会社ヤクルト本社 000006884 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 伊澤 直樹 丹羽 大輔 曽根 俊郎 A61K 8/97 20060101AFI20141024BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20141024BHJP A61K 36/18 20060101ALI20141024BHJP A61P 17/16 20060101ALI20141024BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141024BHJP JPA61K8/97A61Q19/08A61K35/78 CA61P17/16A61P43/00 111 14 OL 13 4C083 4C088 4C083AA082 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC242 4C083AC432 4C083AC442 4C083AC482 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD22 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE12 4C088AB11 4C088AC05 4C088BA10 4C088CA04 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC20 本発明は、メイラード反応生成物濃度低下剤およびメイラード反応抑制剤に関する。 身体を若い健全な状態で維持することは、多くの人にとっての希望であり、健康や美容維持を標榜する化粧品や食品が数多く提供されている。 生体の機能低下は様々な要因によって進展するが、生体内においてタンパク質と糖が非酵素的に結合するメイラード反応が原因の一つであることが知られている。このメイラード反応の初期生成物はアマドリ化合物と呼ばれるタンパク質と糖の結合物であり、アマドリ化合物がさらに重合することによって終末糖化産物 (Advanced Glycation End products; AGEs)が形成される。 このメイラード反応によるタンパク質の糖化は、体内においては動脈硬化や糖尿病合併症を招き、皮膚ではコラーゲンやエラスチンなどの弾力性を低下させ、また、皮膚のくすみの原因となる着色を起こす。さらに、メイラード反応は、紫外線を浴びた場合やストレス等により起こり得るため、年齢を問わず、メイラード反応を抑制することは健康や美容の維持のため非常に重要であると考えられる。 このため、メイラード反応を抑制する素材の探究が求められており、現在までに、アミノグアニジンがメイラード反応阻害剤として知られている。しかしこのものは安全性に問題があるという欠点がある。 また、フラバン類を有効成分とするメイラード反応抑制外用剤(特許文献1)、加水分解性タンニンやその分解物を有効成分とするメイラード反応抑制剤(特許文献2)、ルチン、ケルセチン等を有効成分とする製剤で、メイラード反応の終末糖化産物の生成を抑制する方法(特許文献3)等が知られているが、何れも効果や使用性等に問題があるものであり、何れも十分に満足の行くものではない。 一方で、メイラード反応により生成したメイラード反応生成物を分解する技術の開発も求められている。すなわち、上記したように、メイラード反応生成物は、皮膚のコラーゲンやエラスチンなどの弾力性を低下させるものであるため、このものを分解除去することで、皮膚を元の状態に戻すことが可能となるためである。 しかしながら、現在までメイラード反応生成物に対する強力な分解活性を有する化合物は見出されていないのが現状である。特開平7−324025特開平9− 40519特開2009−96731特開2002−179581 従って本発明は、メイラード反応生成物に対して作用し、その濃度を低下させる物質やメイラード反応を有効に抑制し得る物質を見出し、これを利用して皮膚の柔軟性の保持、くすみの改善等に有用な、メイラード反応生成物濃度低下剤やメイラード反応抑制剤を提供することをその課題とするものである。 本発明者らは、安全性の高い天然物質の有するメイラード反応あるいはその生成物に対する作用を広く検索していたところ、水丁香と呼ばれる生薬の抽出物が、メイラード反応生成物に対して作用し、その濃度を低下させる分解活性を有し、かつメイラード反応を有効に抑制する作用を有することを見出し本発明を完成した。 すなわち本発明は、水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応生成物濃度低下剤である。 また、本発明は、水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応抑制剤である。 また更に、本発明は、1,3−ブチレングリコールもしくはこれを含む溶媒による水丁香の抽出物である。 本発明で用いる水丁香の抽出物は、メイラード反応生成物濃度低下作用とメイラード反応抑制作用を併有する物質であり、しかも安全性の高いものである。 従って、このものを配合した皮膚外用剤等は、メイラード反応に起因ないし関連する症状の改善、治療等に極めて有効なものである。 本明細書においてメイラード反応生成物濃度低下剤とは、既に皮膚等に生成した終末糖化産物やアマドリ化合物などの終末糖化産物に至るまでの一連の化合物に作用し、その濃度を低下ないし分解する製剤を意味する。また、本発明のメイラード反応生成物濃度低下剤は、特に、対象となるメイラード反応生成物がペントシジンであることを特徴とする。ペントシジンは皮膚や硬脳膜等のコラーゲンを含有する多数の組織に認められる主要な終末糖化産物であり、また、炎症性疾患にも関与が示唆されていることから、ペントシジンの濃度を低下させることは皮膚の柔軟性の保持や炎症性疾患の予防等に非常に重要であると考えられる。 本明細書においてメイラード反応抑制剤とは、皮膚等において、メイラード反応を抑制する製剤を意味する。また、本発明のメイラード反応抑制剤は、特に、ペントシジン生成抑制作用を有することを特徴とする。 本発明のメイラード反応生成物濃度低下剤ないしメイラード反応抑制剤で有効成分として使用される水丁香は、アカバナ科の生薬であり、その学名は、Ludwigia octovalvisである。 このものについては、そのエタノール抽出物に抗酸化作用や活性酸素除去作用があることが知られており、生体の老化に効果があることが特許文献4に記載されている。 しかしながら、この水丁香抽出物がメイラード反応生成物濃度低下作用やメイラード反応抑制作用を有することは、全く知られていなかった。 また、水丁香抽出物による上記作用のメカニズムの詳細は解明されていないが、メイラード反応抑制作用を有していても、既に生成したメイラード反応生成物の濃度低下作用は示さない組成物も存在することから、水丁香抽出物は2つの効果をそれぞれ別のメカニズムによって発揮しているものと考えられる。なお、本発明者は活性酸素除去作用を有していてもメイラード反応生成物濃度低下作用を示さない化合物を見出しており、メイラード反応生成物濃度低下作用と活性酸素除去作用は相関していないものと考えられる。 本発明で用いられる水丁香の抽出物(以下、「水丁香抽出物」という)は、その植物体の、全草、花、葉、枝根茎、根皮、種子などの部位を、そのままあるいは乾燥、細断、粉砕等した後、適切な溶媒で抽出することにより得られる。このうち、特に茎を使用することが好ましい。 その抽出法は、通常使われる方法で実施することができるが、好ましい方法としては、例えば、細断、粉砕等を施した水丁香原末に、適切な抽出溶媒を2ないし50倍量、好ましくは10ないし30倍量加え、4℃以上の温度、好ましくは4℃〜50℃、特に好ましくは10℃〜35℃一定時間静置または攪拌することが挙げられる。抽出時間は特に制限されないが、抽出温度が10℃〜35℃であれば、3日間以上行うことが好ましく、特に1週間〜2週間行うことが好ましい。 このようにして得られる抽出液は、必要により濾過や遠心分離等を行うことができる。また、抽出液やろ液等をそのまま使用することもできるが、凍結乾燥や濃縮乾固を施してもよい。 この抽出法において、使用される抽出溶媒としては、例えば水、酸性または塩基性の水性溶媒等の水性溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコールまたはこれらと水の混合溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールまたはこれと水との混合溶媒、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒が挙げられ、これらは、単独で、あるいは2種類以上の混液として使用することができる。 水丁香抽出物のうち好ましいものとしては、多価アルコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物が挙げられ、グリコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物がより好ましく、1,3−ブチレングリコールもしくはこれを含む溶媒による抽出物が特に好ましい。具体的には、多価アルコールと水を組み合わせた溶媒による抽出物が挙げられ、特に好ましいものとしては、多価アルコールと水を、100:0〜30:70の割合で含む溶媒による抽出物が挙げられる。 上記製剤中の水丁香抽出物の配合量は、その目的に応じて適宜調製できるが、一般的には水丁香抽出物(乾燥固形分)として、0.0001ないし1質量%(以下、「%」で示す)程度であり、好ましくは、0.0005ないし0.1%である。なお、上記配合量は原生薬換算としては、0.00135〜13.5%、好ましくは0.00675〜1.35%である。 本発明のメイラード反応生成物濃度低下剤ないしメイラード反応抑制剤では、上記した水丁香抽出物をそのまま使用しても良いが、通常は常法に従い、薬学的に、あるいは化粧品成分として許容される担体と組み合わせ、皮膚外用剤等として使用することが好ましい。 上記皮膚外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品等の分野で使用される公知成分を、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。これらの公知成分としては、例えば水、アルコール類、油成分、界面活性剤、防腐剤、香料、色素、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、発泡剤、紫外線吸収・散乱剤、粉体、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌剤、海藻抽出物、各種薬剤等を挙げることができる。 このうち、油成分の具体例としては、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類;ミンク油、卵黄油等の動物油脂類;蜜ロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の天然および合成脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の天然および合成高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等を例示することができる。 また、界面活性剤の具体例としては、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル、親油型グリセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンアルキレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリ等のアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤;塩酸アルキルアミノエチルグリシン液、レシチン等の両性界面活性剤等を例示することができる。 更に、防腐剤の例としては、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等を例示することができ、保湿剤としては、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マルチトールグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール等の多価アルコール類、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分、キシログルカン、クインスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質、ジメチルポリシロキサン、メチフェニルシロキサン等のシリコーン類、乳酸菌・ビフィズス菌等の培養上清等を挙げることができる。 更にまた、増粘剤の例としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、アラビアガム、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、トラガントガム、デンプン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等の天然高分子物質;セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体等の合成高分子物質等を挙げることができる。 また更に、酸化防止剤の例としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸等を、キレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等を、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウム等をそれぞれ挙げることができる。 紫外線吸収・散乱剤の例としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。 また、ビタミン類としては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩、アスコルビン酸ジパルミテート類、アスコルビン酸グルコシド、アシルアスコルビン酸グルコシド等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸およびそれらの誘導体等を例示することができる。 アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、タウリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジンおよびそれらの誘導体等を例示することができる。 抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、ヘキサクロロフェン等を例示することができる。 海藻抽出物としては、褐藻、紅藻、緑藻、藍藻等からの抽出液があり、具体的にはコンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、テングサ、サンゴモ、パルマリア、ツノマタ、ノリ、アオサ、アナアオサ、アスコフィラム、ヒバマタ、モズク、オキナワモズク、ヒマンタリア等からの抽出物を例示することができる。 各種薬剤としては、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等を例示することができる。 本発明のメイラード反応生成物分解剤ないしメイラード反応抑制剤の好ましい形態としては、具体的に、化粧水、乳液、保湿クリーム、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、洗顔クリーム、パック、美容液等の基礎化粧品、入浴剤等の浴用化粧品、ファンデーション等のメーキャップ化粧品、日焼け止め等の特殊化粧品等の種々の形態を挙げることができる。 更に、本発明のメイラード反応抑制剤ないしメイラード反応生成物分解剤は、食経験のある植物抽出物を有効成分としていることから、各種飲食品にも配合することができる。例えば水丁香抽出物に、適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また各種の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子などに添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用しても良い。 次に実施例を挙げ、更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。実 施 例 1 水丁香抽出物の製造: 水丁香(水丁香の茎を、裁断したもの)100gに2000gの50%1,3−ブチレングリコール水溶液を加え、25℃で2週間抽出を行ったのち濾過して抽出液を得た。この抽出液中には、乾燥固形分として0.37%(3,700μg/mL)の水丁香抽出物(以下、「水丁香1,3BG抽出物」ということがある)が含まれていた。実 施 例 2 メイラード反応生成物濃度低下効果: メイラード反応生成物として知られているペントシジンを試料とし、実施例1で調製した水丁香抽出物(水丁香1,3BG抽出物)について、ペントシジン濃度低下作用を以下のようにして調べた。 まず、5μg/mlのペントシジン5μlに100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)45μlを加えた。これに下表となるように、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を用いて実施例1の水丁香1,3BG抽出物を希釈した被験試料溶液5μlを加え、60℃で24時間加熱した。比較としては、水丁香1,3BG抽出物の代わりに1mMのアミノグアニジン塩酸塩溶液を、コントロールとしては水丁香1,3BG抽出物の代わりに水を用いて同様に反応を行なった。なお、ブランクはペントシジンを含まない緩衝液を用いた。 加熱終了後、各検体に330nmの励起光を照射して、生じる390nmの蛍光強度を測定しペントシジンの残存量を蛍光量として算出した。この蛍光強度から、以下の式によってペントシジン濃度低下率を計算した。この結果を表1に示す。 ペントシジン濃度低下率(%)= ((Ec−Eb)−(Es−Eb))/(Ec−Eb)×100 Es:試料の蛍光強度 Ec:コントロールの蛍光強度 Eb:ブランクの蛍光強度 < 結 果 > この結果、水丁香抽出物により、濃度依存的にペントシジンが消失することが確認され、この水丁香抽出物にメイラード反応生成物濃度低下活性があることが明らかになった。一方、メイラード反応抑制作用があることが知られているアミノグアニジンでは、ペントシジン濃度を下げる効果は低かった。実 施 例 3 メイラード反応抑制効果: 次の方法により、水丁香抽出物のメイラード反応抑制効果を調べた。すなわち、基質溶液として、50mMリボース、50mMリジン塩酸塩、50mMアルギニン塩酸塩および100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を、各等量で混合したものを用意した。次に、この基質溶液に、実施例1の水丁香1,3BG抽出物を100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)で希釈した被験試料溶液を、基質溶液:被験試料溶液が1:4となるように混合し、60℃の恒温槽中で24時間反応させた。陽性対象としては水丁香1,3BG抽出物の代わりに1mMのアミノグアニジン塩酸塩溶液を、コントロールとしては水丁香1,3BG抽出物の代わりに水を用いて同様に反応を行なった。なお、ブランクとしては、リボース、リジン、アルギニンを含まない緩衝液を用いた。 反応終了後、各検体に330nmの励起光を照射して、生じる390nmの蛍光強度を測定し、メイラード反応生成物(ペントシジン)の生成量を蛍光量として算出した。さらに、以下の式によってメイラード反応の抑制率を計算した。この結果を表2に示す。 抑制率(%)=((Ec-Eb)−(Es−Eb))/(Ec−Eb)×100 Es:試料の蛍光強度 Ec:コントロールの蛍光強度 Eb:ブランクの蛍光強度 < 結 果 > この結果、水丁香1,3BG抽出物により、濃度依存的にメイラード反応が抑制されることが認められ、水丁香抽出物にメイラード反応抑制活性があることが明らかになった。実 施 例 4 化粧水の調製: 表3に記載の組成で化粧水を調製した。なお、化粧水の調製は、7に1〜6を加えて十分に攪拌することで行った。実 施 例 5 乳液の調製: 表4に記載の組成で乳液を調製した。なお、乳液の調製は、11に7、8及び10を加えて加温し、80℃で1〜6を加えて乳化し、その後、9を加えて攪拌し、25℃まで冷却することで行った。実 施 例 6 クリームの調製: 表5に記載の組成でクリームを調製した。なお、クリームの調製は、13に9、10、12を加えて加温し、80℃で1〜8を加えて乳化し、その後、11を加えて攪拌し、25℃まで冷却することで行った。 本発明で使用する水丁香抽出物は安全性が高いものであり、しかも上記したようにメイラード反応生成物の濃度低下作用と、メイラード反応の抑制作用を併有するものであるため、これを配合した皮膚外用剤等は、メイラード反応に起因ないし関連する症状の改善、治療等に極めて有効なものである。 すなわち、本発明の水丁香抽出物は、これを例えば皮膚上に適用することでメイラード反応を抑制してメイラード反応生成物の発生を防止すると共に、既に発生してしまったメイラード反応生成物については、その濃度を低下させるので、従来のメイラード反応抑制剤と比べ、強力にメイラード反応生成物を除去することができる。つまり、本発明により、メイラード反応の抑制だけでなく、メイラード反応生成物により、既に硬化してしまった皮膚コラーゲン等の弾力性を回復させる効果、皮膚のくすみを改善する効果が期待できるのである。 このように本発明は、メイラード反応抑制剤ないしメイラード反応生成物濃度低下剤として、極めて有効なものである。 水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応生成物濃度低下剤。 水丁香の抽出物が、多価アルコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項1記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 水丁香の抽出物が、グリコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項1または2記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 水丁香の抽出物が、1,3−ブチレングリコールもしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項1ないし3の何れかの項記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 メイラード反応生成物がペントシジンである請求項1ないし4の何れかの項記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 皮膚外用剤である請求項1ないし5の何れかの項記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 更にメイラード反応抑制効果を有するものである請求項1ないし6の何れかの項記載のメイラード反応生成物濃度低下剤。 水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応抑制剤。 水丁香の抽出物が、多価アルコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項8記載のメイラード反応抑制剤。 水丁香の抽出物が、グリコール類もしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項8または9記載のメイラード反応抑制剤。 水丁香の抽出物が、1,3−ブチレングリコールもしくはこれを含む溶媒による抽出物である請求項8ないし10の何れかの項記載のメイラード反応抑制剤。 ペントシジン生成抑制作用を有する請求項8ないし11の何れかの項記載のメイラード反応抑制剤。 皮膚外用剤である請求項8ないし12の何れかの項記載のメイラード反応抑制剤。 1,3−ブチレングリコールもしくはこれを含む溶媒による水丁香の抽出物。 【課題】メイラード反応生成物に対する濃度低下活性を有する物質や、メイラード反応を有効に抑制し得る物質を見出し、これを利用して皮膚の弾力低下やくすみ防止に有用な、メイラード反応生成物分解剤や、メイラード反応抑制剤を提供すること。【解決手段】水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応生成物濃度低下剤および水丁香の抽出物を有効成分とするメイラード反応抑制剤。【選択図】 なし


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