生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤
出願番号:2013098702
年次:2014
IPC分類:A61K 31/795,A61K 45/00,A61K 31/785,A61P 27/02,A61P 33/04,A61K 31/14,A61K 31/4425,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

縄瀬 寛之 柳川 芳徳 大竹 秀幸 JP 2014218461 公開特許公報(A) 20141120 2013098702 20130508 アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤 株式会社シード 000131245 森本 敏明 100149032 縄瀬 寛之 柳川 芳徳 大竹 秀幸 A61K 31/795 20060101AFI20141024BHJP A61K 45/00 20060101ALI20141024BHJP A61K 31/785 20060101ALI20141024BHJP A61P 27/02 20060101ALI20141024BHJP A61P 33/04 20060101ALI20141024BHJP A61K 31/14 20060101ALI20141024BHJP A61K 31/4425 20060101ALI20141024BHJP A61P 43/00 20060101ALI20141024BHJP JPA61K31/795A61K45/00A61K31/785A61P27/02A61P33/04A61K31/14A61K31/4425A61P43/00 121 4 OL 11 4C084 4C086 4C206 4C084AA17 4C084MA16 4C084MA58 4C084NA20 4C084ZA332 4C084ZB382 4C084ZC752 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC17 4C086FA03 4C086FA04 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA10 4C086MA16 4C086MA58 4C086NA14 4C086ZA33 4C086ZB38 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA41 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA29 4C206MA36 4C206MA78 4C206NA14 4C206ZA33 4C206ZB38 4C206ZC75本発明は、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤に関する。アカントアメーバ(Acanthamoeba)は、自然界に広く存在する原生生物の一種であるアカントアメーバ属微生物の総称であり、土壌や水中などに生息し、水道水にも生息している。アカントアメーバが角膜に感染して起こる病気として、アカントアメーバ角膜炎がある。アカントアメーバ角膜炎は、眼に強い痛みを伴うだけではなく、重症化すると角膜に穴があき失明するおそれがある。アカントアメーバ角膜炎は、多くの場合、アカントアメーバに汚染されたコンタクトレンズを使用することにより発症する。例えば、コンタクトレンズの保存を、水道水で洗浄したコンタクトレンズケースを使用して行う場合において、ケースを完全に乾燥させていない状態で使用するなどの不適切な状態で使用すると、コンタクトレンズが水道水からもたらされたアカントアメーバに汚染することがある。このアカントアメーバに汚染されたコンタクトレンズを装用することでアカントアメーバ角膜炎が引き起こされる。また、アカントアメーバ角膜炎は早期診断が難しいうえに、治療後も角膜に潰瘍が残る等の眼障害が続くおそれのある難治性の感染症である。そこで、アカントアメーバの汚染を防ぐ薬剤について、これまでに検討がなされている。例えば、ラクトフェリン又はラクトフェリシンを有効成分として含有する抗アカントアメーバ用組成物が開示されている(特許文献1)。また、ポリリジンを含有するコンタクトレンズ用抗アカントアメーバ消毒・保存剤が開示されている(特許文献2)。さらに、非特許文献1には、アカントアメーバ角膜炎について有効な薬物療法がないとしながらも、フルコナゾールやミコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬及びPHMB(ポリヘキサメチレンビグアニド)の併用が記載されている。特開2011−246458号公報特開2002−143277号公報http://www.santen.co.jp/medical/commons/pdf/infcoi04.pdf特許文献1の抗アカントアメーバ用組成物は、有効成分として糖タンパク質であるラクトフェリン又はその酵素分解物のペプチドであるラクトフェリシンを含む。その結果、糖タンパク質又はその分解物であるペプチドを配合した組成物をアカントアメーバ角膜炎の予防又は治療に用いた場合、眼組織へのタンパク質やペプチドの沈着が生じ、視覚障害や眼障害が生じ得るという問題がある。特許文献2のコンタクトレンズ用抗アカントアメーバ消毒・保存剤は、有効成分とされるポリリジンによって、高含水・イオン性の含水性ソフトコンタクトレンズ(グループ4レンズ)には適用できないものであり、コンタクトレンズに対する汎用性が乏しいという問題がある。非特許文献1に記載のアゾール系抗真菌薬であるフルコナゾール及びミコナゾールは抗菌スペクトルが狭く、アカントアメーバの殺滅に適した薬剤ではないことから、これらの薬剤を使用してアカントアメーバ角膜炎を予防又は治療することは難しい。したがって、これまでに知られているアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、抗アカントアメーバ効果、眼組織への安全性及び適用コンタクトレンズの汎用性のいずれかについて問題があるものである。そこで、本発明の目的は、これらの課題を解決すべく、アカントアメーバへの消毒効果のみならず、眼組織に対する安全性及び適用コンタクトレンズの汎用性を併せ持つ、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び/又は治療剤を提供することにある。本発明者らは、消毒効果、眼組織への安全性及び適用コンタクトレンズの汎用性を考慮しつつ、化合物の分子量と配合量に着目して、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤に適した消毒成分について研究開発を進めたところ、有機窒素系消毒剤と一定の分子量を有するジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体とを配合してなるものは、アカントアメーバ角膜炎予防剤及び治療剤に適した消毒効果、眼組織への安全性及び適用コンタクトレンズの汎用性を有するものであることを見出した。ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体は単独で一定の消毒効果を発現するが、それ単独ではアカントアメーバ角膜炎を予防及び/又は治療することは難しい。しかし、ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体と有機窒素系消毒剤とを配合してなるものは、眼組織に対する安全性が高く、細菌類や真菌類に対する消毒効果は勿論のこと、さらに驚くべきことにアカントアメーバに対する消毒効果も有する。そして、これらの成分を配合してなるものは、高含水・イオン性の含水性ソフトコンタクトレンズ(グループ4レンズ)に対して悪影響を及ぼさず、コンタクトレンズに対して汎用性を有することから、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤として非常に適したものである。本発明は以上の知見に基づいて完成された発明である。したがって、本発明によれば、有機窒素系消毒剤及びジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を含むアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤が提供される。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記有機窒素系消毒剤がビグアニド系消毒剤又は第四級アンモニウム系消毒剤である。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記ビグアニド系消毒剤又は第四級アンモニウム塩系化合物の配合量が1.0×10−4〜1.0W/V%であり、かつ、前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の配合量が0.005〜1.0W/V%である。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の分子量が1000〜150000である。本発明の別の側面によれば、有機窒素系消毒剤及び分子量が15000〜150000であるジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を含むアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤が提供される。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記有機窒素系消毒剤1.0×10−4に対し、前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を0.005〜1.0の割合で配合する。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドと二酸化硫黄とマレイン酸との共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。好ましくは、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、前記有機窒素系消毒剤が、ビグアニド系消毒剤及び第四級アンモニウム系消毒剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の消毒剤である。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、有機窒素系消毒剤を眼科治療における適用範囲内の配合量で配合することができ、該有機窒素系消毒剤を一定分子量のジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体と組み合わせて配合することにより、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤として適した消毒効果を有しつつ、眼組織に対する高い安全性やコンタクトレンズに対する汎用性を有するものである。したがって、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤を、コンタクトレンズ用の洗浄剤や保存剤、点眼剤などに適用して使用することによって、アカントアメーバに起因する角膜炎の危険性を低減又は回避することができる。以下、本発明の詳細について説明する。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は有機窒素系消毒剤とジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体、特に分子量が1000〜150000であるジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体とを組み合わせて配合することにより、アカントアメーバに対する消毒効果を増強させつつ、眼組織への安全性が高いものである。ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の分子量は1000〜150000であり、好ましくは2000〜25000であり、より好ましくは2000〜5000である。分子量が1000より小さいと、消毒効果は向上するものの、眼組織に対する安全性は著しく低下する。また、分子量が150000を超えると得られる溶剤の粘性が高くなり、取扱い性に不具合が生じる。本発明に使用するジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体としては、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体、又はジアリルジアルキルアンモニウム塩とその他の重合性官能基(―C=C―)を有する化合物若しくは重合性化合物などとを共重合させた重合体であれば特に限定されない。ジアリルジアルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アミド硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びジアリルメチルエチルアンモニウムクロリドの共重合体、並びにジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びジアリルメチルエチルアンモニウムクロリドとこれらと共重合可能な化合物、具体的には、二酸化硫黄、アクリルアミド、エピクロロヒドリン、マレイン酸などとの共重合体などが挙げられる。各重合成分は、単体又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において特に好ましく用いられるのは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体、並びにジアリルジメチルアンモニウムクロリド二酸化硫黄共重合体及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド二酸化硫黄導入型共重合体である。ジアリルジメチルアンモニウムクロリド二酸化硫黄導入型共重合体の具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと二酸化硫黄とマレイン酸との共重合体が挙げられ、例えば、下記一般式(1)により示される。(式中、l、m及びnは、重合体の分子量が上記に示す範囲内にある限りにおいて決定されるものである。)分子量が1000〜150000であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体は、例えば、ニットーボーメディカル株式会社によって製品名「PAS−A−1」として提供されている。また、特開2000−063435号公報の段落0080〜0082の記載を参照して適当な分子量になるように重合条件等を改変することにより製造可能である。ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと二酸化硫黄とマレイン酸との共重合体は、たとえば、ニットーボーメディカル株式会社によって製品名「PAS−84」として提供されているが、特開2010−248460号公報の段落0038の記載を参照して適当な分子量になるように重合条件等を改変することにより製造可能である。本発明において使用する有機窒素系消毒剤は、眼科治療において用いられている有機窒素系消毒剤であれば特に限定されないが、例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリアミノプロピルビグアニドなどのビグアニド系消毒剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム系消毒剤などが挙げられる。本発明においては、ビグアニド系消毒剤が好ましく用いられ、特に好ましくは、ポリヘキサメチレンビグアニドである。有機窒素系消毒剤は市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤において、ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を、有機窒素系消毒剤の配合量に対し、一定の割合となるよう調整し使用することが好ましい。例えば、有機窒素系消毒剤の配合量1.0×10−4〜1.0に対し、ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の配合量を好ましくは0.0001〜1.0、より好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.1とすることにより、アカントアメーバに対し消毒効果を奏し得るものを得ることが可能である。より具体的には、有機窒素系消毒剤の配合量が1.0×10−4〜1.0W/V%であり、かつ、ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の配合量が0.0001〜1.0W/V%であるものである。有機窒素系消毒剤の配合量が1.0×10−4〜1.0W/V%であることに対し、ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の配合量が0.0001W/V%未満である場合は消毒効果の増強が十分でなく、また1.0W/V%を超える場合は眼細胞に対する刺激が強く、安全性を保つことができない。有機窒素系消毒剤の配合量は、眼科領域で使用される範囲内であれば特に限定されないが、消毒性を考慮した場合、5.0×10−5W/V%以上が好ましく、より好ましくは9.0×10−5W/V%以上である。また、眼刺激等の安全性を考慮した場合2.0W/V%以下が好ましく、より好ましくは1.5W/V%以下である。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、有機窒素系消毒剤及びジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体に加え、涙液などに由来する脂質やタンパク質などの汚れに対する除去能を向上させるために、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の中から選択した界面活性剤を添加することができる。本発明においては、アカントアメーバに対する消毒効果への影響を考慮して、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポロオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられるが、本発明においては、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーが最も好ましい。配合量は0.01〜5.0W/V%、より好ましくは0.05〜1.0W/V%である。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、眼に対する刺激性を考慮し、例えば、pHを6.4〜8.4、好ましくは6.9〜7.9の範囲となるように緩衝剤を添加する。緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、トリスヒドロキシアミノメタン緩衝剤などが挙げられるが、本発明においては、アカントアメーバへの消毒効果を考慮し、ホウ酸緩衝剤が好ましく用いられる。緩衝剤の濃度が低すぎる場合、目的の緩衝効果が得られず、また、高すぎる場合は目に対する刺激や低温下での析出が懸念されることから、好ましい配合量は、0.01〜5.0W/V%であり、より好ましくは0.05〜2.0W/V%である。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤には、上記成分の他にも、本発明の目的を損なわない限り、キレート剤、等張化剤、増粘剤の他、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素をはじめとする酵素剤等、各種の添加剤をさらに配合することができる。具体的には、キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム、クエン酸;等張化剤として、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール;増粘剤として、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、当業者により知られる眼科領域に用いられる溶剤の製造方法に従って、特に限定なく製造できる。例えば、精製水や緩衝液に有機窒素系消毒剤及びジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を同時に、又はこれらを各々前後して添加することにより製造できる。その他の成分も、同様に、これらと同時に、又はこれらと前後して添加することができる。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、実施例に示す消毒効果及び安全性を総合的に評価して製造され得る。例えば、本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、消毒効果がAcanthamoeba castellaniiについて1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは3.0以上であり、かつ、安全性は10V/V%について80.0%以上、好ましくは85.0%以上である。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、直接眼に点眼する点眼剤の態様は勿論、間接的に感染部位に曝露させる、又は感染物の消毒にも用いるためにコンタクトレンズの洗浄や保存のための溶剤の態様で用いることができる。本発明のアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤は、アカントアメーバによる角膜感染症の原因であるアカントアメーバを殺滅、消毒、除去などをすることができることから、アカントアメーバ角膜炎の予防及び治療に適した溶剤である。以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。表1に示す処方に従って、実施例1〜4及び比較例1〜4の溶剤を調製した。すなわち、表1に記載した各配合成分(ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体は純分換算で秤量)を精製水100mLに量り込み、室温にて各成分が均一になるよう十分に撹拌した。得られた均一溶液を孔径0.2μmのセルロースアセテートにて濾過滅菌し、各溶剤を調製した。[1.アカントアメーバ消毒効果]試験菌株として、アカントアメーバ(Acanthamoeba castellanii ATCC50514)を用いた。アカントアメーバは、液体培地上で25℃にて培養したアカントアメーバ原体を回収し、遠心分離後、リンゲル溶液1/4濃度を加え希釈及び懸濁し、アカントアメーバ濃度を107〜108(cfu/mL)に調整し、これをアカントアメーバ試験液とした。用いた液体培地は、栄養体はATCC712培地である。実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料10mLにアカントアメーバ試験液0.1mLを接種したアカントアメーバ接種液を、25℃インキュベーター中に所定の消毒時間(6時間)静置した。静置後、アカントアメーバ接種液1mLを不活性剤含有培地(Neutralizing Broth)9mLに添加(10倍希釈)した後、さらにATCC712培地にて10倍希釈系列を連続的に調製した。1〜104(cfu/mL)付近のものである適当な希釈倍率の5濃度点の試験液を調製した。96ウェル−カルチャープレートのウェルに、各濃度点の試験液を0.2mLずつ8ウェル分注した。このとき、不活性剤含有培地で希釈された濃度点の試験液にはATCC712培地を0.1mLさらに加えた。分注したカルチャープレートを7日間培養後、Spearman−Karber法にて各試料における種汚毒時間経過後の対数差(生菌数の減少量)を求めた。対数差が1.0以上あるものについて、アカントアメーバに対し消毒効果を有するとした各試料間の消毒能を比較する際には、生菌数の減少量の差が0.5以上あった場合、消毒効果に有意差があるものとした。結果を表2に示す。[2.真菌と細菌消毒効果]試験菌株として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC6538)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC9027)、霊菌(Serratia marcescens ATCC13880)の細菌3種類;真菌としてカンジダ(Candida albicans ATCC10231)を用いた。細菌類、真菌類共に、寒天培地の斜面培地上で35℃、18時間培養した菌原体に、ダルベッコリン酸緩衝液を加え、懸濁後回収した液を菌原液とした。さらに、菌原液をダルベッコリン酸緩衝液で希釈し、濃度を105〜106cfu/mLに調製し、これを菌試験液とした。用いた寒天培地は、細菌類がソイビーンカゼイン寒天培地、真菌類がブドウ糖ペプトン寒天培地である。試料10mLに菌試験液0.1mLを接種した後、25℃のインキュベーター中に所定の消毒時間(4時間)静置した。静置後、菌試験液を接種させた試料1mLを不活性剤含有培地(Neutralizing Broth)9mLに添加(10倍希釈)した後、さらにダルベッコリン酸緩衝液にて10倍希釈系列を連続的に調製し、適当な希釈倍率の3濃度点の試験液1mLをディスポディッシュに分注し、寒天培地を注ぎ混釈し生菌数を求めた。試験菌液の菌数である初発菌数は、ダルベッコリン酸緩衝液での10倍希釈系列を連続的に調製し、前述と同様に操作した。本寒天混釈平板法における培養条件は、細菌、真菌共に35℃×48時間とした。得られた初発菌数と試験菌液を接種した各試料の生菌数(対数値)から、各試料における消毒時間経過後の対数差(生菌数の減少量)を次式より求めた。生菌数の減少量=初発菌数−試料における生菌数上記式により求めた生菌数の減少量(対数)を消毒効果とした。消毒効果の判定は、通常、ISOスタンドアローン試験の一次基準に従えば、4時間後の消毒時間における生菌数の減少量が、細菌類では3.0以上、真菌類では1.0以上あるものについて、各菌種に対し消毒効果を有するとされている。また、各試料間の消毒能を比較する際には、同一菌種における生菌数の減少量の差が0.5以上あった場合、消毒効果に有意差があるものとした。結果を表2に示す。[3.安全性]37℃のCO2インキュベーターで前培養したチャイニーズハムスター肺由来細胞V79細胞をトリプシン処理後、牛胎児血清含有イーグル最少必須培地に懸濁して細胞懸濁液を得た。カルチャープレートのウェルに試料濃度(V/V%)が20%、10%、5%、2.5%となるよう調製した各培地を分注後、細胞数が100個となるよう細胞懸濁液を加え、37℃のインキュベーター中で7日間培養した。比較対照として、細胞を培地で同条件にて培養したものを用意した。各試料の各濃度点における相対コロニー形成率を次式より求めた:相対コロニー形成率(%)=(各濃度点におけるコロニー数/比較対照のコロニー数)×100相対コロニー形成率(%)をそのまま眼組織への安全性とした。同一濃度における、相対コロニー形成率の比較により、各試料間の安全性を評価した。結果を表2に示す。[4.コンタクトレンズに対する形状安定性]試験レンズとして、2week ACUVUE(グループIV)、ACUVUE ADVANCE(グループI)(共にジョンソン・エンド・ジョンソン社製)を用いた。ブリスターパッケージよりコンタクトレンズを取出し、表面の水分を除去した後、実施例1〜4並びに比較例1〜4の各試料を用い、手指により14回の擦り洗いを行った。その後、各溶剤中において、測定顕微鏡を用いコンタクトレンズの直径を測定した。形状安定性の判定はコンタクトレンズ承認基準に従い、14回の擦り洗い前後の直径の変化量が、製品に表示された数値に対し±0.2mm以内であった場合を合格とし、合格は○、不合格は×とした。結果を表2に示す。PAS−21:ジアリルアミン重合体(ニットーボーメディカル製)PAS−A−1:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル製)PAS−84:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド二酸化硫黄導入型重合体(ニットーボーメディカル製)PAS−21CL:ジアリルアミン塩酸塩重合体(ニットーボーメディカル製)以上、本願発明によれば、アカントアメーバに対する高い消毒効果、眼組織への高い安全性及びコンタクトレンズに対する汎用性を有するアカントアメーバ角膜炎の予防剤及び治療剤が得られる。有機窒素系消毒剤及びジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を含むアカントアメーバ角膜炎の予防剤又は治療剤。前記有機窒素系消毒剤がビグアニド系消毒剤又は第四級アンモニウム系消毒剤である、請求項1に記載のアカントアメーバ角膜炎の予防剤又は治療剤。前記ビグアニド系消毒剤又は第四級アンモニウム塩系化合物の配合量が1.0×10−4〜1.0W/V%であり、かつ、前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の配合量が0.005〜1.0W/V%である、請求項2に記載のアカントアメーバ角膜炎の予防剤又は治療剤。前記ジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体の分子量が1000〜150000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアカントアメーバ角膜炎の予防剤又は治療剤。 【課題】本発明の目的は、アカントアメーバへの消毒効果のみならず、眼組織に対する安全性及び適用コンタクトレンズの汎用性を併せ持つ、アカントアメーバ角膜炎の予防剤及び/又は治療剤を提供することにある。【解決手段】上記目的は、ビグアニド系消毒剤又は第四級アンモニウム系消毒剤である有機窒素系消毒剤及び分子量が1000〜150000であるジアリルジアルキルアンモニウム含有重合体を含むアカントアメーバ角膜炎の予防剤又は治療剤により解決される。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る