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タイトル:公開特許公報(A)_レスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法
出願番号:2013093899
年次:2014
IPC分類:A23L 1/30,A61P 39/06,A61P 29/00,A61K 36/28,A61K 36/00


特許情報キャッシュ

益岡 典芳 井上 淳詞 村上 崇幸 JP 2014212748 公開特許公報(A) 20141117 2013093899 20130426 レスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法 学校法人加計学園 599035627 株式会社あじかん 000125912 磯野 道造 100064414 多田 悦夫 100111545 益岡 典芳 井上 淳詞 村上 崇幸 A23L 1/30 20060101AFI20141021BHJP A61P 39/06 20060101ALI20141021BHJP A61P 29/00 20060101ALI20141021BHJP A61K 36/28 20060101ALN20141021BHJP A61K 36/00 20060101ALN20141021BHJP JPA23L1/30 BA61P39/06A61P29/00A61K35/78 TA61K35/78 XA61K35/78 Y 4 1 OL 15 4B018 4C088 4B018MD53 4B018MD61 4B018ME06 4B018ME10 4B018MF04 4C088AB26 4C088AC05 4C088AC11 4C088BA02 4C088BA08 4C088BA11 4C088BA13 4C088BA23 4C088BA32 4C088CA02 4C088CA05 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZB11 4C088ZC21 4C088ZC52 本発明は、レスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法に関する。 昨今の健康向上を目的とした消費者の機能性食品へのニーズが高まっているなか、レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子に作用して抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの様々な効能を発揮する物質として注目されている。 従来、このレスベラトロールは、ぶどうの皮や赤ワイン、ピーナッツの赤皮、メリンジョ(グネツム)、イタドリの根から得られることが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許第4744447号公報特許第5120553号公報特開2012−201638号公報特開2012−100589号公報 しかしながら、従来のぶどう由来のレスベラトロールは原料の単価が高く、メリンジョ由来のレスベラトロールは原料の国内生産が難しいという問題がある。また、イタドリ(根茎)は医薬品区分に属するため(厚生労働省「医薬品の範囲に関する基準」)、イタドリ由来のレスベラトロールは医薬品扱いとなり飲食品用には利用できないという問題がある。 そこで、本発明の課題は、安価で利用性に富むレスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法を提供することにある。 本発明者らは、生のごぼうにトランス−レスベラトロールが含まれていることを新規に見出した。さらに、本発明者らは、ごぼうに所定の処理を施すことによって、トランス−レスベラトロールを増加させることができるとともに、比較的不安定なトランス−レスベラトロールを安定なレスベラトロール配糖体に変換できることを見出し、本発明に到達した。 すなわち、前記課題を解決する本発明に係るレスベラトロール類含有組成物は、ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することを特徴とする。 また、前記課題を解決する本発明に係るレスベラトロール類含有飲食品は、前記レスベラトロール類含有組成物を含有することを特徴とする。 また、前記課題を解決する本発明に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法は、ごぼうを50〜250℃で加熱する加熱工程を含み、前記加熱工程における加熱処理は、焙煎処理、蒸気加熱処理、乾燥処理、油加熱処理のうちの少なくとも1つの処理で行うことを特徴とする。 そして、本発明に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法は、前記加熱工程における加熱処理が、焙煎処理であることが好ましい。 本発明によれば、安価で利用性に富むレスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法を提供することができる。(a)および(b)は、本発明の実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法を説明するフローチャートである。 次に、本発明に係るレスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法を実施するための形態(実施形態)について、詳細に説明する。[レスベラトロール類含有組成物] 本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物(以下、適宜「組成物」という)は、後記する製造方法を使用してごぼうから得られるものであり、ごぼう由来のレスベラトロール類を含んで構成される。 まず、本実施形態に係る組成物の原料となる「ごぼう」について説明する。(ごぼう) 本実施形態で原料として使用する「ごぼう(学名:Arctium lappa L.)」は、原産地や種類に特に制限はなく、根菜として市販されるものを好適に使用することができる。 使用するごぼうの部位としては、葉、茎、および根のいずれであってもよいが、中でも根が好ましく、根の皮部、根の先端部(末端部)が特に好ましい。 そして、本実施形態に係る組成物は、ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することから、ぶどう由来のものやメリンジョ由来のものと比較し、原料の単価を低く抑えることができるとともに、イタドリ由来のもののように、用途が制限されてしまうような事態も回避できる。 つまり、本実施形態に係る組成物は、ごぼう由来のものであることにより、安価に製造することができるため、経済性の点で優れるとともに、様々な飲食品に幅広く適用することができるため、利用性の点でも優れる。(レスベラトロール類) 本実施形態に係るレスベラトロール類とは、後記する製造方法を使用してごぼうから得られる物質であり、レスベラトロールおよびレスベラトロール誘導体(配糖体も含む)で構成される。 そして、ごぼう由来のレスベラトロールは、トランス−レスベラトロールが主であり、当該トランス−レスベラトロールは、以下の構造式(1)により表される。 そして、本実施形態に係るレスベラトロール誘導体とは、前記したトランス−レスベラトロールと糖とが結合した配糖体であり、例えば、レスベラトロール−3−グルコシド(以下の構造式(2)参照)、レスベラトロール−4´−グルコシド(以下の構造式(3)参照)である。 本実施形態に係るトランス−レスベラトロールは、揮発性という特徴を有するとともに、シス型に転換し易いなど若干不安定な化合物である。一方、本実施形態に係るレスベラトロール配糖体は、トランス−レスベラトロールと比較して、安定性(特に光安定性)に優れるとともに、水溶性という特徴を有することから、様々な飲食品に好適に適用することができる。 なお、本実施形態に係る組成物におけるレスベラトロール類の含有量については、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの機能を確実に発揮させるために、多いほど好ましいが、特に限定されず、消費者が求める機能や嗜好に合わせて、任意に決定すればよい。 また、本実施形態に係る組成物におけるトランス−レスベラトロールとレスベラトロール配糖体との含有比率については、レスベラトロール類としての安定性を向上させるため、レスベラトロール配糖体の含有比率が大きいほうが好ましいが、特に限定されず、任意に決定すればよい。(その他の含有物) 本実施形態に係る組成物は、前記したレスベラトロール類以外にも、ごぼうの成分(残渣)を含んで構成される。そして、この残渣には、例えば、カフェオイルキナ酸、クエルセチン、リグナン等のポリフェノールおよびこれらの誘導体が含まれる。なお、カフェオイルキナ酸の誘導体としては、例えば、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、イソクロロゲン酸、トリカフェオイルキナ酸、ロスマリン酸を挙げることができる。クエルセチンの誘導体は、例えば、配糖体としてクエルシトリン、イソクエルシトリン、クエルシメリトリン、アビクラリン、ヒペリン、レイノウトリン、クエルシツロン、ルチンを挙げることができる。リグナンの誘導体は、例えば、アルクチゲニン、ジアルクチゲニン、アルクチイン、lappaol A〜F、isolappaol Cを挙げることができる。また、これらの成分以外にも、後記する製造工程において生成した、あるいは、増加したごぼう由来の成分が含有され得る。 なお、本実施形態に係る組成物は、これらの成分が含有されていることにより、レスベラトロール類が発揮する抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの効能をさらに向上させている可能性がある。 また、本実施形態に係る組成物は、後記するレスベラトロール類含有飲食品の素材(材料)として好適に用いる形態とするため、例えば、粉末状、顆粒状、カプセル型、または、液体状とすることができる。[レスベラトロール類含有飲食品] 本実施形態に係るレスベラトロール類含有飲食品(以下、適宜「飲食品」という)は、ごぼうから得られる前記のレスベラトロール類含有組成物を、所定の飲食品のベースとなる材料(以下、適宜「飲食品ベース材料」という)に配合したものである。 そして、本実施形態に係る飲食品は、ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することから、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの機能を発揮する機能性飲食品として利用することができる。 ここで、飲食品ベース材料としては、特に制限はなく、例えば、果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、茶、コーヒー等の飲料、パン、めん類、ごはん、菓子類(ビスケット、ケーキ、キャンデー、チョコレート、和菓子)、豆腐およびその加工品等の農産食品、清酒、薬用酒、みりん、食酢、醤油、味噌等の発酵食品、ドレッシング、マヨネーズ、バター、マーガリン、ショートニング、食用油脂等の油脂食品、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ等の畜農食品、かまぼこ、揚げ天、はんぺん等の水産食品等、ペットフード等の動物用食品などが挙げられる。 また、飲食品ベース材料は、いわゆるサプリメントのベース材料であってもよく、レスベラトロール類の生理活性を妨げない材料、例えば、抗老化素材、抗酸化素材、美容素材(チロシナーゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤など)、抗炎症素材、内臓脂肪蓄積抑制剤、IgA産生促進剤、整腸剤、腸内環境改善食品を挙げることができる。 本実施形態に係る飲食品におけるレスベラトロール類の含有量や、トランス−レスベラトロールとレスベラトロール配糖体との含有比率については、本実施形態に係る組成物と同様、特に限定されず、消費者が求める機能や嗜好に合わせて、任意に決定すればよい。[レスベラトロール類含有組成物の製造方法] 次に、本実施形態に係るレスベラトロール類配糖体含有組成物の製造方法について、図1(a)を用いて説明する。 本実施形態に係る組成物の製造方法は、ごぼうを所定温度で加熱する加熱工程S2を含むことを特徴とし、加熱工程S2の前にごぼうを所定の大きさに切断する切断工程S1を含むことが好ましい。(切断工程) 切断工程S1とは、ごぼうを所定の形状および大きさに切断(カット)する工程である。そして、この切断工程S1では、ごぼうを所定の大きさに切断とすることにより、後の加熱工程S2においてごぼうが内部まで十分に加熱され、トランス−レスベラトロールを適切に増加させることができるとともに、後の各工程における作業性を向上させることができる。 切断工程S1におけるごぼうの切断は、市販の自動野菜加工機、例えば、電動ごぼう切り機等を使用して行うことができる。ごぼうの切断態様としては、特に制限はないが、例えば、薄切り、輪切り、半月切り、いちょう切り、短冊切り、斜め切り、ささがき等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ごぼうの切断は、自動野菜加工機によることなく作業員の手作業であってもよい。(加熱工程) 加熱工程S2とは、ごぼうを所定温度で加熱する工程であり、当該工程における加熱処理は、焙煎処理、蒸気加熱処理、乾燥処理、油加熱処理のうちの少なくとも1つの処理で行う。そして、この加熱工程S2では、ごぼうに熱が加えられることで、トランス−レスベラトロールが増加する。さらに、揮発性で不安定なトランス−レスベラトロールに、グルコースが結合したレスベラトロール配糖体(レスベラトロール−3−グルコシドおよびレスベラトロール−4´−グルコシド)が生成される。 加熱工程S2における加熱温度が50℃未満であると、ごぼうが十分に加熱されず、トランス−レスベラトロールが適切に増加しない。また、レスベラトロール配糖体がほとんど生成されない。 一方、加熱工程S2における加熱温度が250℃を超えると、ごぼうが加熱され過ぎてしまい、炭化が進行し、コゲ臭と、過剰な苦味が発生するほか、トランス−レスベラトロールや食物繊維、オリゴ糖等が、高温により分解して減少する虞がある。 したがって、加熱温度は、50〜250℃であることが好ましい。 加熱工程S2における焙煎処理とは、乾煎りすることによりごぼうを加熱する処理である。そして、焙煎方法としては、例えば、直火式、熱風式、半熱風式による方法が挙げられる。なお、切断工程S1を実施した場合は、回転ドラムを用いて焙煎する方法が好ましい。 加熱工程S2における蒸気加熱処理とは、蒸気を用いてごぼうを加熱する処理である。そして、蒸気加熱方法としては、温蔵庫や蒸し庫で加熱すること等によって行うことができる。 加熱工程S2における乾燥処理とは、ごぼうを加熱することにより、ごぼうに含まれる水分量を低下させる処理である。そして、乾燥方法としては、例えば、天日干し、熱風乾燥が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、公知の乾燥方法を使用することができる。 加熱工程S2における油加熱処理とは、油を用いてごぼうを加熱する処理である。そして、油加熱方法としては、例えば、高温の油によりごぼうを揚げる方法や、油を用いて炒めるという方法が挙げられる。 加熱工程S2における加熱時間については、加熱温度および処理方法により、適宜設定すればよい。 焙煎処理であれば、5〜55分で行えばよく、蒸気加熱処理であれば、5〜55分で行えばよい。また、乾燥処理であれば、30分以上、12時間以下で行えばよく、油加熱処理であれば、30秒〜20分で行えばよい。 そして、加熱工程S2における加熱処理は、例えば、焙煎処理のみで行ってもよいし、「乾燥処理+焙煎処理」、「蒸気加熱処理+焙煎処理」というように、1つ以上の処理を組み合わせて行ってもよい。 本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法については、前記の加熱工程S2を含む限り、その他の工程は必須ではない。 ただし、製造される組成物を消費者のニーズに合わせるため、「切断工程S1」の前に、洗浄工程S3、ブランチング工程S4を、「加熱工程S2」の後に、抽出工程S5を、適宜、行ってもよい。また、「加熱工程S2」について、乾燥処理を行う加熱工程S21および焙煎処理を行う加熱工程S22の2つの工程としてもよい。 以下、洗浄工程S3、ブランチング工程S4、乾燥処理を行う加熱工程S21、焙煎処理を行う加熱工程S22、抽出工程S5について、図1(b)を用いて説明する。(洗浄工程) 洗浄工程S3とは、ごぼうを洗浄し、付着している土、泥等の不要物を除去する工程である。そして、この洗浄工程S3では、ブランチング工程S4や加熱工程S2の前の未処理状態の生のごぼうを洗浄することにより、処理後のごぼうを洗浄する場合と比較し、レスベラトロール等が必要以上にごぼうの組織外へ流出することを避けることができる。(ブランチング工程) ブランチング工程S4とは、蒸す・煮る等の処理により、ごぼうを加熱処理する工程である。そして、このブランチング工程S4では、所定の条件でごぼうを加熱処理することにより、ごぼうに含まれるポリフェノールオキシダーゼを失活させ、トランス−レスベラトロールなどのポリフェノールの酸化変性を抑えることができる。 なお、このブランチング工程S4におけるブランチング処理は、前記した加熱工程S2における蒸気加熱処理と同様の方法、または、湯浴等の方法で行うことができる。 ここで、ブランチング工程S4の加熱温度が低すぎたり、加熱時間が短すぎたりすると、ポリフェノールオキシダーゼを十分に失活させることができない。一方、ブランチング工程S4の加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、ごぼうに含まれるトランス−レスベラトロールが減少してしまう。 したがって、ブランチング工程S4の加熱温度は、50〜95℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。また、加熱時間は、5〜150分が好ましく、10〜150分がより好ましい。 なお、加熱時間は、加熱温度に応じて設定することができ、例えば、加熱温度が50℃である場合には加熱時間は20分とし、加熱温度が95℃である場合には加熱時間は5分とすることができる。 また、ブランチング工程S4の加熱温度と加熱時間は、処理量および設備によっても異なるが、大型の蒸し庫であれば、加熱温度は、50〜95℃が好ましく、60℃以下とするのがより好ましい。また、加熱時間としては、10〜150分である。 なお、このブランチング工程S4は、製造される組成物の甘味を向上させるという側面も有することから、消費者が求める甘味の嗜好に合わせて、前記の条件範囲で任意に加熱温度および加熱時間を設定することができる。 加熱工程S2は、前記した効果(トランス−レスベラトロールの増加、レスベラトロール配糖体の生成)を組成物にもたらす工程であるが、乾燥処理を行う加熱工程S21および焙煎処理を行う加熱工程S22については、それぞれ以下のような効果も発揮する。(乾燥処理を行う加熱工程) 乾燥処理を行う加熱工程S21では、ポリフェノールオキシダーゼによりレスベラトロールなどのポリフェノール成分が酸化されて減少するのを抑制し、ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity;活性酸素吸収能力)値を高い値に維持させるとともに、製造される組成物の色、味、風味といった官能を優れたものにすることができる。 加熱工程S21の乾燥方法として熱風乾燥を使用する場合、乾燥温度が30℃未満であると、乾燥が不十分となり、ごぼうに含まれるポリフェノールオキシダーゼによるレスベラトロールなどのポリフェノール成分の酸化減少が促進する可能性がある。また、製造される組成物が、黒っぽい褐色を呈し、酸味が強く、風味は生臭くなる可能性がある。 一方、乾燥温度が70℃を超えると、ごぼうが乾燥し過ぎてしまい、メイラード反応が過剰に進行して、黒っぽい褐色を呈し、えぐみと酸味が強くなる可能性がある。また、レスベラトロールなどのポリフェノール成分の酸化による減少が促進される可能性もある。 したがって、乾燥温度は、30〜70℃、好ましくは40〜60℃、より好ましくは50〜60℃であり、ごぼうの含水率が2〜15%程度となるまで行うとよい。 特に、加熱工程S21の乾燥温度が50〜60℃程度であると、前記した加熱工程S2の条件を満たすため、レスベラトロール配糖体の収率がより一層向上するとともに、ごぼうの変色をより確実に抑制することができる。また、レスベラトロール類含有飲食品の風味、色合いも一段と良好となる。(焙煎処理を行う加熱工程) 焙煎処理を行う加熱工程S22は、前記した加熱工程S2の条件で行うと、当該工程の前の加熱処理で生成されたフルクトースと、ごぼうに元々含まれている還元糖と、アミノ酸とがメイラード反応することによって、焙煎香(ロースト香)を付与することができる。そのため、ごぼうの灰汁によるえぐ味をマスクすることや、ごぼうの生臭さを低減することができ、芳しく香ばしいごぼうの香りと風味を増強することが可能となる。(抽出工程) 抽出工程S5とは、抽出溶媒として熱水等を用いて、ごぼうからレスベラトロール類を分離する工程である。 熱水による抽出は、例えば、85〜95℃の熱水を用いて行うことができる。抽出時間は、5〜10分程度とすることができるが、適宜にこれよりも長くしたり、短くしたりしてもよい。 なお、この抽出工程S5は、本実施形態に係る組成物のレスベラトロール類の含有量を多くする必要がある場合に行えばよく、そのような必要がない場合は、本実施形態に係る組成物として、加熱工程S2(S22)における加熱処理後のごぼうをそのまま利用してもよいし、加熱処理後のごぼうを所望のサイズになるように切断・粉砕等を行ってから利用してもよい。[レスベラトロール類含有飲食品の製造方法] 本実施形態に係るレスベラトロール類含有飲食品の製造方法については、前記の方法によって製造した組成物を、飲食品ベース材料に混合させ、その後は、当業者に公知の飲食品の製造方法によって製造すればよい。 本発明の実施形態によれば次のような作用効果を奏することができる。 本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物によれば、ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することから、ぶどう由来のものやメリンジョ由来のものと比較し、安価に製造することができるため、経済性の点で優れる。また、イタドリ由来のもののように、用途が制限されることがないため、様々な飲食品に幅広く適用することができ、利用性の点でも優れる。 また、本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物によれば、レスベラトロール類を含有することから、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの機能を発揮することができる。なお、これまで、ごぼうにレスベラトロール類が含有されているという事実について全く知られていなかったことから、本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物は、ごぼう由来の組成物として新規な用途(抗老化用途、抗酸化用途、抗炎症用途)を提供する発明であるともいえる。 また、本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物によれば、レスベラトロール類として、安定性に優れるとともに水溶性という特徴を有するレスベラトロール配糖体を含有することから、様々な飲食品に適用した際に、前記のような機能を安定して発揮することができる。 本実施形態に係るレスベラトロール類含有飲食品によれば、レスベラトロール類含有組成物を含有することから、前記したレスベラトロール類含有組成物と同様の優れた効果を発揮することができる。 本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法によれば、所定の加熱工程を含むことから、ごぼうのトランス−レスベラトロールを増加させることで、トランス−レスベラトロールの含有量の多い組成物を製造することができる。加えて、トランス−レスベラトロールにグルコースが結合することにより、生ごぼうには殆ど含まれていないレスベラトロール配糖体が含まれた組成物を製造することができる。 また、本実施形態に係るレスベラトロール類含有組成物の製造方法によれば、所定の切断工程を含む場合は、後の加熱工程においてごぼうが十分に加熱されることにより、ごぼうから得られるレスベラトロール類の収率を高めることができる。 次に、実施例を示しながら本発明を更に具体的に説明する。[実施例1](サンプルの調製) 実施例1において使用した各サンプル(No.1−1〜1−4)の調製方法を以下の表1に示す。(分析方法) 前記の方法により調製した各サンプルについて、トランス−レスベラトロールおよびレスベラトロール−3−グルコシドの含有量(μg/g)をHPLCにより分析した。 なお、HPLCの分析条件は以下のとおりである。 まず、前記の方法により調製した各サンプルに凍結乾燥処理(−40℃、48時間)を施し、粉砕することで粉末状とした。そして、粉末状とした各サンプル0.1000gを2.0mlマイクロテストチューブ(エッペンドルフ社製)に精秤したものを4つ用意し、それぞれに50%エタノールを1.0ml加え、60分間ボルテックスミキサーにて撹拌混合しながら抽出した。 6,000rpm、常温の条件で1分間遠心分離して得られた上清を2.0mlマイクロテストチューブ(エッペンドルフ社製)に500μlずつ分取、混合した。その混合溶液1mlをエバポレーターで10分間濃縮した。 残渣に酢酸エチル1mlを加えて撹拌後、酢酸エチル相500μlをエバポレーターで5分間濃縮した。残渣にメタノール500μlを加えて撹拌後、孔径0.45μmのメンブレンフィルター(ADVANCET社製)でろ過したろ液を測定試料として、10μlをインジェクトした。(HPLC条件)カラム:TSKgel ODS100V 3μm移動相:A:0.5%ギ酸B:アセトニトリル流量:1.0 ml/min.温度:40℃(検出条件)検出:紫外・可視検出器(日本分光Jasco UV−2075 plus)ポンプ:日本分光(Jasco PU−2089 plus)検出波長:306nm 得られた測定値は、各サンプルの調製後の凍結乾燥品1g当たりの結果であるため、凍結乾燥処理前後の重量差から、調製後(凍結乾燥前)の各サンプル1g当たりの含有量を計算し、平均値±標準誤差(SE)として、表2に示す。(実験結果の検討) サンプルNo.1−1は、生ごぼうの状態であったため、トランス−レスベラトロールの含有量が少なく、かつ、レスベラトロール−3−グルコシドは全く含まれていなかった。 サンプルNo.1−2は、乾燥処理を行っていたことから、サンプルNo.1−1よりは、トランス−レスベラトロールの含有量が増加していた。しかし、レスベラトロール−3−グルコシドは全く含まれていなかった。 サンプルNo.1−3は、蒸気加熱処理および乾燥処理を行っていたことから、トランス−レスベラトロールの含有量がさらに増加していた。加えて、レスベラトロール−3−グルコシドが含まれていた。 サンプルNo.1−4は、加熱処理として焙煎処理を行っていたことから、他のサンプルと比較して、トランス−レスベラトロールおよびレスベラトロール−3−グルコシドの含有量が大幅に増加していた。 以上の結果から、所定の加熱処理により、トランス−レスベラトロールの含有量が増加することが確認できた。また、加熱処理のなかでも、特に、焙煎処理を行うことにより、トランス−レスベラトロールの含有量を大幅に増加させることができるとともに、レスベラトロール−3−グルコシドを好適に生成できることが確認できた。[実施例2](サンプルの調製) 実施例2において使用した各サンプル(No.2−1〜2−15)の調製方法を以下の表3に示す。(分析方法) 前記の方法により調製した各サンプルについて、トランス−レスベラトロールの含有量(μg/g)をHPLCにより分析した。 なお、HPLCの分析条件は実施例1の条件と同じである。 得られた測定値は、各サンプルの調製後の凍結乾燥品1g当たりの結果であるため、凍結乾燥処理前後の重量差から、調製後(凍結乾燥前)の各サンプル(ごぼう試料)1g当たりの含有量を計算し、平均値±標準誤差(SE)として、表4に示した。(実験結果の検討) サンプルNo.2−1〜2−4は、加熱処理として焙煎処理を行っていたため、トランス−レスベラトロールの含有量が、他の加熱処理を行った場合と比較しても多かった。特に、サンプルNo.2−3、2−4は、所定の大きさ以下に切断処理をした後に焙煎処理を行っていたため、トランス−レスベラトロールの含有量が極めて多くなった。 サンプルNo.2−5、2−6は、加熱処理として乾燥処理を行っており、トランス−レスベラトロールがある程度含まれていた。そして、加熱温度の高かったサンプルNo.2−6の方が、トランス−レスベラトロールの含有量が多かった。 サンプルNo.2−7、2−8、2−9は、加熱処理として電磁波処理(電子レンジによる加熱)を行っていたため、トランス−レスベラトロールが検出下限(0.8μg/g)以下となった。 サンプルNo.2−10、2−11は、加熱処理として茹で処理を行っていたため、サンプルNo.2−10については、トランス−レスベラトロールが検出下限(0.8μg/g)以下となり、サンプルNo.2−10についても、トランス−レスベラトロールの含有量が少なかった。 サンプルNo.2−12〜2−14は、加熱処理として油加熱処理を行っており、トランス−レスベラトロールがある程度含まれていた。そして、加熱時間が長いサンプルほど、トランス−レスベラトロールの含有量が多くなった。 以上の結果から、加熱処理のなかでも、電磁波処理(電子レンジによる加熱)、茹で処理を除いた、焙煎処理、蒸気加熱処理、乾燥処理、油加熱処理を行うことにより、トランス−レスベラトロールの含有量が増加することが確認できた。 そして、加熱処理のなかでも、特に、焙煎処理を行うことにより、トランス−レスベラトロールの含有量を大幅に増加させることができることが確認できた。 本発明に係るレスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法について、実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。 S1 切断工程 S2 加熱工程 S3 洗浄工程 S4 ブランチング工程 S5 抽出工程 S21 乾燥処理を行う加熱工程(加熱工程) S22 焙煎処理を行う加熱工程(加熱工程) ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することを特徴とするレスベラトロール類含有組成物。 請求項1に記載のレスベラトロール類含有組成物を含有することを特徴とするレスベラトロール類含有飲食品。 ごぼうを50〜250℃で加熱する加熱工程を含み、 前記加熱工程における加熱処理は、焙煎処理、蒸気加熱処理、乾燥処理、油加熱処理のうちの少なくとも1つの処理で行うことを特徴とするレスベラトロール類含組有成物の製造方法。 前記加熱工程における加熱処理は、焙煎処理であることを特徴とする請求項3に記載のレスベラトロール類含有組成物の製造方法。 【課題】本発明の課題は、安価で利用性に富むレスベラトロール類含有組成物、レスベラトロール類含有飲食品、およびレスベラトロール類含有組成物の製造方法を提供することにある。【解決手段】ごぼう由来のレスベラトロール類を含有することを特徴とするレスベラトロール類含有組成物により上記課題を解決する。【選択図】図1


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