生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_トロンビン含有試薬及び測定方法
出願番号:2013093360
年次:2014
IPC分類:C12Q 1/56,G01N 33/86


特許情報キャッシュ

門脇 淳 楊 宇航 日裏 久英 JP 2014212736 公開特許公報(A) 20141117 2013093360 20130426 トロンビン含有試薬及び測定方法 株式会社LSIメディエンス 591122956 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 門脇 淳 楊 宇航 日裏 久英 C12Q 1/56 20060101AFI20141021BHJP G01N 33/86 20060101ALI20141021BHJP JPC12Q1/56G01N33/86 9 OL 9 2G045 4B063 2G045AA10 2G045CA25 2G045DA40 2G045DA41 4B063QA01 4B063QQ03 4B063QQ36 4B063QR16 4B063QR41 4B063QR49 4B063QR52 4B063QR72 4B063QX01 本発明は、トロンビン含有試薬、とりわけトロンビン活性を介する血中成分測定試薬に関する。 トロンビンは血液凝固反応の最終段階で働く酵素で、その主な作用はフィブリノゲンをフィブリンに変換して止血血栓の生成に重要な働きをしている。このような止血作用に寄与する他、逆に凝固を抑制する作用にも重要な役割を演じている。生体で生じたトロンビンは通常アンチトロンビンの作用で不活化されて、その役割を終える。このような多岐にわたる機能を有するトロンビンは止血目的の治療薬に使われるだけでなく、血液凝固関連因子の活性検査にも使われている。その代表的なものが、Clauss(非特許文献1)によって開発されて、ルーチンの凝固検査として汎用されている、フィブリノゲン測定試薬である。この方法は、一定量のトロンビンを被検検体に作用させて、凝固時間を測定することによって検体中のフィブリノゲン濃度を定量するものである。凝固時間の測定は、自動分注装置を有する自動凝固時間測定装置で測定するのが一般的である。凝固時間の測定は、検体の粘度或いは流動性の変化を物理的に検出する方法もあるが、多くの場合、光学的変化を検出することによって凝固時間を計測している。このような装置では、検体中のフィブリノゲン濃度が低い場合には、光学的信号の変化が少なく、再現性良く測定できなくなり、一方フィブリノゲン濃度が高濃度の場合には十分な光学的信号は得られるものの、凝固点を検出するまでの時間が極端に短くなり正確な凝固時間が検出できないといった問題があった。凝固時間を延長させる物質を添加して、凝固時間が所望の長さになるよう調節する必要がある。血液凝固時間延長剤として、特許文献1では塩化ナトリウムを始めとするアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩が、特許文献2ではプロピオン酸ナトリウムが例示されている。しかし、このような従来の血液凝固時間延長剤は、同時に添加量依存的に光学的信号低下をさせる負の効果が大きく根本的に、凝固時間の延長と光学的信号の維持の両立が困難であり問題となっていた。それらを補うために、ポリビニルアルコール、高分子多糖などの高分子物質を添加する方法が提案されている(特許文献3、4)。しかし、このような合成ポリマーの添加は、低濃度検体の測定には効果を示すものの、さらなる凝固時間の短縮を引き起こすため、高濃度領域の検体での課題を解決するどころかより課題を助長することになっていた。特許文献5にはベンザミジンを添加することにより凝固時間を延長させるとともに光学的信号の低下を防止する方法が開示されている。しかしながら、凝固時間の延長と光学的信号の低下防止効果が示されているが、測定再現性の向上効果に関してのデータは開示されていない。 一方、上述の自動凝固時間測定装置では、物理的検出と光学的検出に拘わらず、フィブリノゲン測定以外に、プロトロンビン時間(PT)測定や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定も一連の検査として行うことができるように設計されている。しかし、トロンビンを含むフィブリノゲン測定試薬(トロンビン含有試薬)を分注した直後に、続いてPT測定試薬やAPTT測定試薬を分注すると、トロンビン含有試薬がPT試薬やAPTT試薬に汚染(キャリーオーバー)し、検査結果を不正確にするといった問題があった。そのため、トロンビン試薬専用の分注ノズルを設置した測定装置や、トロンビン濃度を極端に低く調製した試薬がある。しかし、これらでは、複雑な機構の測定装置となる他、トロンビン含有試薬に含まれるトロンビン濃度が低く抑えるために、検体中のヘパリン等の薬剤の影響を受けて正確なフィブリノゲン定量ができなくなるといった課題があった。特許第2994557号公報特許第3330685号公報特許第3074611号公報国際公開第2001/023536号特開2011−69718号公報Acta Haematol 17:237-246、(1957) 本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、トロンビンを含有するトロンビン活性を介する血中成分測定試薬のキャリーオーバーの抑制と同時再現性を向上したトロンビン含有試薬及び測定方法を提供するものである。 本発明者らは、上記のような課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、アニオン性ポリアミノ酸を含有することによって、高精度に測定可能なトロンビン含有試薬及び測定方法を見出した。アニオン性ポリアミノ酸の添加は、光学的凝固時間測定方法において、従来の合成ポリマーで認められた凝固時間の短縮を抑制することができ、かつ光学的信号の変化量の増大をもたらすといった、予見できない効果を見出した。さらに、分注ノズルによる試薬のキャリーオーバーを低減できる効果も併せ持つことを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。 本発明は、以下の発明に関する:[1]アニオン性ポリアミノ酸を含有することを特徴とする、トロンビン含有試薬。[2]前記アニオン性ポリアミノ酸が、高分子量のアニオン性ポリアミノ酸である、[1]のトロンビン含有試薬。[3]前記アニオン性ポリアミノ酸が、少なくとも2つのアニオン性モノアミノ酸を含む、[1]又は[2]のトロンビン含有試薬。[4]前記アニオン性ポリアミノ酸が、少なくとも1つ以上のアスパラギン酸又はグルタミン酸を含む、[1]〜[3]のいずれかのトロンビン含有試薬。[5]前記アニオン性ポリアミノ酸が、測定時の反応液中の最終濃度として0.01(W/V)%〜10(W/V)%で含有される、[1]〜[4]のいずれかのトロンビン含有試薬。[6]非イオン性界面活性剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかのトロンビン含有試薬。[7]トロンビン含有試薬が、フィブリノゲン測定試薬、トロンビン時間測定試薬、アンチトロンビン測定試薬、直接トロンビン阻害剤濃度測定試薬の中から選択される、[1]〜[6]のいずれかのトロンビン含有試薬。[8]トロンビンを含有し、且つ、トロンビン活性を介する血中成分測定試薬を用いる測定方法において、トロンビン活性を介する測定反応系にアニオン性ポリアミノ酸を共存させることを特徴とする、前記測定方法。[9]トロンビン含有試薬を用いる血中成分測定において、前記トロンビン含有試薬がアニオン性ポリアミノ酸を含有することを特徴とする、キャリーオーバーの抑制方法。 本発明のトロンビン含有試薬及び測定方法によれば、高精度にトロンビン活性を介する血中成分を測定することができる。更に、自動凝固時間測定装置などによる、トロンビン含有試薬とトロンビン不含試薬の連続的な血液凝固能の測定の場合にも、トロンビン不含試薬へのトロンビンのコンタミネーションを抑制することが可能となり、安価で簡便に血液凝固能を測定することができる。 本発明において用いる用語「アニオン性ポリアミノ酸」とは、アミノ酸が少なくとも2個ペプチド結合したポリアミノ酸であり、同一種のアミノ酸からなるもの、又は異種のアミノ酸からなるものを適宜選択して使用することができ、ポリアミノ酸全体の電荷がアニオン性である。これらのアニオン性ポリアミノ酸を構成するアミノ酸はL体D体のどちらでもよい。具体的にはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、グルタミン酸とアスパラギン酸の共重合体、或いはポリグルタミン酸とポリアスパラギン酸の混合物が例示される。 アニオン性ポリアミノ酸は、高分子量のアニオン性ポリアミノ酸が好ましい。アニオン性ポリアミノ酸の分子量の上限は、400万以下が好適で、さらに、300万以下がより好適であり、さらに200万以下が特に好適である。また、下限については、2000以上、好ましくは5万以上、更に好ましくは10万以上が好適である。 本発明においては、前記アニオン性ポリアミノ酸は、トロンビン含有試薬を用いた測定において、トロンビン活性が関与する反応系中に存在させることを特徴とする。本発明のトロンビン含有試薬においては、前記アニオン性ポリアミノ酸は、トロンビン含有試薬に含有され得る。少なくとも、検体を測定する際に該試薬に含有されていれば良く、予め該試薬に含有されていても、用時調製して該試薬に添加されても良い。当業者であれば、使用可能なトロンビン含有試薬や試薬形態を適宜選択して適用することができる。 該試薬に含有されるアニオン性ポリアミノ酸の濃度は、測定時の反応液中の最終濃度として0.01(W/V)%〜10(W/V)%が好適であり、さらに0.05(W/V)%〜5(W/V)%がより好適であり、さらに、0.1(W/V)%〜3(W/V)%が特に好適である。 本発明のトロンビン含有試薬は、トロンビンを含有するトロンビン活性を介する血中成分測定試薬であって、少なくともトロンビンとアニオン性ポリアミノ酸を、測定時には共存するように含有して成る。トロンビンを含有するトロンビン活性を介する血中成分測定試薬とは、例えば、フィブリノゲン測定試薬、トロンビン時間測定試薬、アンチトロンビン測定試薬、直接トロンビン阻害剤濃度測定試薬等が挙げられる。 また、本発明のトロンビン含有試薬は、トロンビンを含有する一つの測定試薬で構成することもできる(1試薬系)し、トロンビンを含有する測定試薬と検体希釈液などの試薬の複数の試薬で構成することもできる(2試薬で構成される場合を2試薬系という)。 例えば、2試薬系の場合、アニオン性ポリアミノ酸は、検体希釈液に含有しても良いし、トロンビンを含有する測定試薬に含有しても良いし、その両方に含有しても良い。また、トロンビン含有試薬を分注した直後に、続いてトロンビン非含有試薬を分注する場合には、少なくともトロンビンを含有する測定試薬に含有することが好ましい。従って、アニオン性ポリアミノ酸は、少なくともトロンビンを含有する測定試薬に共存できると汎用性が高く好ましい。 これらの試薬の構成及び利用方法等は、当業者であれば、適宜選択でき、容易に本発明のトロンビン含有試薬を構成し利用することができる。 例えば、トロンビン含有試薬は溶液状態において、通常緩衝液が使用される。その種類は、pH4〜9の範囲に緩衝能をもつ緩衝剤を適宜選択して用いる。例えば、HEPES、MOPS、BIS−TRIS、TRIS、MOPSO、ADA、MES等から1種もしくは2種以上が選択され用いられる。またトロンビン含有試薬には適当な防腐剤や、アミノ酸や糖等の一般的な安定化剤を添加してもよい。また、フィブリン生成に効果的な塩化ナトリウムやカルシウム化合物等や、高分子多糖類や合成高分子類を含ませることもできる。さらにアルブミン、ゼラチン、グロブリン等のタンパク質を含有させることもできる。これらタンパク質は1種もしくは2種以上を組み合わせて選択して用いることができる。 また、本発明のトロンビン含有試薬の好適態様として、非イオン性界面活性剤と組み合わせることができる。非イオン性界面活性剤として、例えば、オクチルグルコシド、ペプチルチオグルコシド、デカノイル−N−メチルグルカミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプタメチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル(トライトンXシリーズ:例えば、商品名TritonX−100)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールエステル(Tweenシリーズ)等を例示することができる。選択される非イオン性界面活性剤は、本発明の効果を妨げないものであれば良く、中でもポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル(特に、商品名:TritonX−100が好ましい)は、アニオン性ポリアミノ酸による測定精度が向上する効果をより高めることができるため好ましい。 本発明のトロンビン含有試薬に含有される非イオン性界面活性剤の濃度は、商品名Triton X−100場合、測定時の反応液中の最終濃度として0.01(W/V)%〜5(W/V)%が好適であり、さらに0.1(W/V)%〜3(W/V)%がより好適であり、さらに、0.1(W/V)%〜2(W/V)%が特に好適である。当業者であれば、該非イオン性界面活性剤の性質等に合わせて、適宜、使用濃度を選択して使用することができる。 また、前記非イオン性界面活性剤は、前記アニオン性ポリアミノ酸と同様にトロンビン含有試薬に添加することができる。 本発明のトロンビン含有試薬は、液状試薬或いは凍結乾燥試薬として調製することができる。液状試薬では、前述のアミノ酸、及び糖等の一般的な安定化剤の他、ベンザミジン、血清アルブミン、酢酸等の有機酸、モルフォリン誘導体、修飾シクロデキストリン、多価アルコール類等の公知の安定化剤を加えることもできる。一方、凍結乾燥試薬では、デキストラン、フィコール、マンニトールの賦形剤を含有させることも一般的である。 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。《実施例1:フィブリノゲン測定試薬の調製》 フィブリノゲン測定試薬の調製は以下の操作によって実施した。 30mmol/L BisTrisからなるpH6.5の緩衝液に、トロンビンを100IU/mLとなるように溶解したものを基本組成(試薬1)とし、それにポリグルタミン酸(分子量150万前後)(ヤクルト薬品工業社製)を0.5(W/V)%になるように添加したもの(試薬2)、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル(商品名:Triton X−100)を0.5(W/V)%となるように添加したもの(試薬3)、さらにポリグルタミン酸(分子量150万前後)とTriton X−100を各0.5(W/V)%になるように添加したもの(試薬4)を調製し、フィブリノゲン測定用試薬とした。 試薬5は、ポリグルタミン酸(分子量20万〜40万)(日本ポリグル社)とTriton X−100を各0.5(W/V)%となるように添加した。 試薬6は、ポリビニルアルコール(分子量約1000)(WAKO)とTriton X−100を各0.5(W/V)%となるように添加した。 測定は、全臨床検査システムSTACIA(三菱化学メディエンス)を用いて、波長405nmにおける濁度変化からフィブリノゲン量を算出した。《実施例2:フィブリノゲン測定試薬の同時再現性》実施例2−1:ポリグルタミン酸含有の効果 実施例1において調製した各フィブリノゲン測定試薬を用いて、血漿中のフィブリノゲン濃度を測定した時の同時再現性を検討した。フィブリノゲン濃度は238mg/dLのSHP(ヒト標準血漿)(SYSMEX)を生理食塩水で1/2希釈した検体をそれぞれ多重度=20で測定し、変動係数を比較した。その結果を表1に示す。 試薬1(比較例)・・・未添加 試薬2(実施例)・・・ポリグルタミン酸(分子量150万前後) 試薬3(比較例)・・・Triton X−100 試薬4(実施例)・・・ポリグルタミン酸(分子量150万前後) +TritonX−100 試薬5(実施例)・・・ポリグルタミン酸(分子量20万〜40万) +TritonX−100 試薬6(比較例)・・・ポリビニルアルコール(分子量約1000) +TritonX−100 なお測定は、サンプル検体10μLを緩衝液90μLで希釈し、さらに各フィブリノゲン試薬50μLを添加したものを使用した。 ポリグルタミン酸を0.5%になるように添加した試薬2(実施例)と試薬4(実施例)は、ポリグルタミン酸無添加の試薬1(比較例)及び試薬3(比較例)に比べて、フィブリノゲン測定における変動係数(CV)が有意に小さく測定再現性が良いことが確認された。更に、非イオン界面活性剤とポリグルタミン酸の両方を加えた試薬4が最も変動係数が小さいことから、非イオン界面活性剤とポリグルタミン酸の併用効果が確認された。 また、分子量約20万のポリグルタミン酸と非イオン界面活性剤を添加した試薬5(実施例)では、試薬4同様、変動係数が小さくなった。一方、アニオン性化合物であるがアミノ酸ではないポリビニルアルコールと非イオン界面活性剤を添加した試薬6(比較例)は効果が無かった。 以上より、ポリグルタミン酸を添加することでCV値が改善でき、ポリグルタミン酸と非イオン界面活性剤を添加することにより更に高いCV値を容易に達成できることは、非常に有用性が高い。 なお、モノマーであるグルタミン酸を添加した試薬(比較例)やカチオン性ポリマーであるポリブレンを添加した試薬(比較例)では、高分子量のポリグルタミン酸(実施例)程の効果を得ることができなかった。《実施例2:フィブリノゲン測定試薬のAPTT試薬に対するキャリーオーバーの抑制効果》 実施例1で調製した試薬1(比較例)、試薬2(実施例)、試薬3(比較例)及び試薬4(実施例)を使用し、前記の全臨床検査システムSTACIAで測定した。試薬分注ノズルは共通である。 試薬1〜4をそれぞれ測定直後に、続いてAPTT試薬(IL社製)の測定を行った。比較として、トロンビン非含有の試薬(トロンビンを含まないこと以外は試薬1と同じ)での測定直後に、APTT試薬の測定を行った(リファレンス)。 リファレンスではAPTTの凝固時間の変化は起こらず、前測定試薬の影響は認められなかったが、試薬1の場合はAPTTの凝固時間の短縮が観察され、前測定試薬に含まれるトロンビンのキャリーオーバーが原因であると考えられた。そこで、試薬1〜4を使用し、ポリグルタミン酸の添加により、トロンビン含有試薬中のトロンビンのキャリーオーバーの抑制効果を比較した。その結果を表2に示す。 ポリグルタミン酸を0.5%になるように添加した試薬2(実施例)と試薬4(実施例)は、ポリグルタミン酸無添加の試薬1(比較例)及び試薬3(比較例)に比べて、APTTの凝固時間の変化が著しく小さかった。非イオン界面活性剤とポリグルタミン酸の両方を加えた試薬4では、トロンビン無しの場合とほぼ同程度で効果が非常に高かった。 自動分析装置では、連続的に別の測定試薬を用いて測定することがある。特に同様な疾患では類似の項目を測定することが多く、トロンビン含有試薬を用いて測定した後に、APTT試薬等のトロンビン不含有試薬を測定するニーズは高い。今回の結果より、トロンビン含有試薬中のトロンビンがAPTT試薬に混入することにより(キャリーオーバー)、APTTの凝固時間は、本来の結果よりも短縮することがわかった。そのため、APTTの凝固時間の正しい結果を得ることができないが、少なくともポリグルタミン酸を添加することによりトロンビンのキャリーオーバーは抑制されることがわかった。また、トロンビンのキャリーオーバー量を、トロンビンの濃度とAPTT試薬の凝固時間の短縮度から、概算することができる。 本発明は、トロンビン含有試薬及び測定方法に利用できる。とりわけ、高精度且つ、自動分析装置等でのトロンビンのキャリーオーバーの危険性を低減したトロンビンを含有するトロンビン活性を介する血中成分測定試薬及び測定方法に利用することができることから、該装置等に複雑な機構を設置することもなく、多くの検体の測定を扱う臨床現場での、測定結果の信頼性や作業効率を上昇させることができる。 アニオン性ポリアミノ酸を含有することを特徴とする、トロンビン含有試薬。 前記アニオン性ポリアミノ酸が、高分子量のアニオン性ポリアミノ酸である、請求項1に記載のトロンビン含有試薬。 前記アニオン性ポリアミノ酸が、少なくとも2つのアニオン性モノアミノ酸を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載のトロンビン含有試薬。 前記アニオン性ポリアミノ酸が、少なくとも1つ以上のアスパラギン酸又はグルタミン酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトロンビン含有試薬。 前記アニオン性ポリアミノ酸が、測定時の反応液中の最終濃度として0.01(W/V)%〜10(W/V)%で含有される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトロンビン含有試薬。 非イオン性界面活性剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトロンビン含有試薬。 トロンビン含有試薬が、フィブリノゲン測定試薬、トロンビン時間測定試薬、アンチトロンビン測定試薬、直接トロンビン阻害剤濃度測定試薬の中から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトロンビン含有試薬。 トロンビンを含有し、且つ、トロンビン活性を介する血中成分測定試薬を用いる測定方法において、トロンビン活性を介する測定反応系にアニオン性ポリアミノ酸を共存させることを特徴とする、前記測定方法。 トロンビン含有試薬を用いる血中成分測定において、前記トロンビン含有試薬がアニオン性ポリアミノ酸を含有することを特徴とする、キャリーオーバーの抑制方法。 【課題】トロンビンを含有し、且つ、トロンビン活性を介する血中成分測定試薬のキャリーオーバーの抑制と同時再現性を向上したトロンビン含有試薬及び測定方法を提供する。【解決手段】アニオン性ポリアミノ酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸を含有し、フィブリノゲン測定試薬、トロンビン時間測定試薬、アンチトロンビン測定試薬、直接トロンビン阻害剤濃度測定試薬の中から選択されるトロンビン含有試薬、および、該トロンビン含有試薬を用いることを特徴とするトロンビン活性を介する血中成分測定試薬を用いる測定方法。【選択図】なし


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