生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_食品の離水および/または吸水を測定する方法
出願番号:2013089300
年次:2014
IPC分類:G01N 5/00,G01N 5/04


特許情報キャッシュ

成田 一義 JP 2014211416 公開特許公報(A) 20141113 2013089300 20130422 食品の離水および/または吸水を測定する方法 イーエヌ大塚製薬株式会社 502138359 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 成田 一義 G01N 5/00 20060101AFI20141017BHJP G01N 5/04 20060101ALI20141017BHJP JPG01N5/00 BG01N5/04 Z 8 OL 12 本発明は、食品の離水および/または吸水を測定する方法に関する。 豆腐等の様々な食品に含まれる水分は、食品の食感や風味等に大きく作用する。そのため、食品の製造において食品の離水を調整することが重要となる。 また、食品が摂取される際、咀嚼等により構造が破壊されることで食品から離水が生じたり、唾液等の水分が食品に吸水されたりする。離水によって食品から生じた水分は、食品の嚥下を助けるが、誤嚥を招く原因となる場合もある。特に咀嚼・嚥下機能が低下した高齢者や、これらの機能が未発達の幼児等においては、この危険性が高まる。また、食品が唾液等を吸水した場合、咀嚼・嚥下が円滑に進まず、口腔内に含まれた食品によって窒息等を起こす危険性も高まる。 そこで、食品の食感や風味、物性の評価や咀嚼・嚥下への影響等を調べることを目的として、様々な離水率、吸水率の測定方法が開示されている。 特許文献1では、新規の充填豆腐の提供において、豆腐の離水率が9%以下である場合に水分が維持されるため、風味と食感の日持ちが良い豆腐となることが記載されている。そして、離水率測定方法として、豆腐を入れた容器を密封し、5℃で25時間静置した後に水を除去し、水を除去する前後における容器の内容物の質量から離水率(質量%)を求めることが記載されている。 特許文献2は、本出願人が開示した軟質化植物性食品に関する技術であるが、提供される該食品の物性の評価にあたり、該食品等の試料を篩の上に載置した後、30分間放置したときの離水量を求め、この離水量に対する軟質化前の植物性食材の割合を離水率とすることが記載されている。特許文献3も同様である。 特許文献4では、医薬品、医薬材料、化粧品、家庭用品などに使用される透明水性弾性体として、透明性が高く、且つ柔軟で壊れにくい歪みに対する強度に優れた水性弾性体を得ること、冷凍変性が少なく、離水の少ない耐冷凍特性に優れた水性弾性体を得ること等が記載されている。そして、製造した発明品等について−20℃まで冷却させた後、10℃に復元させたものの表面をろ紙で拭き取ることによって離水量を測定し、冷凍前の重量に対する百分率で離水率を示すことが記載されている。 また、非特許文献1では、米飯の食味評価法として、精米の浸漬時の吸水率を指標とすることが記載されており、白米を一定時間蒸留水に浸漬した後、遠心分離によって白米粒の表面の水分を除去し、浸漬前の精米重量と浸漬後の精米重量から精米吸水率を測定することが記載されている。 非特許文献2では、嚥下障害者に提供する食品の離水測定方法において、食品の離水を表面離水と内部離水に分けて測定し、これらの総合離水から離水率を算定することが記載されている。この文献では、ろ紙にゼリーを静置した後、ろ紙に吸収された水分量を表面離水とし、ゼリーをクリープメータで圧縮した際にゼリー内部から滲出し、ろ紙に吸収された水分量を内部離水とすることが記載されている。 さらに、特許文献5では、嚥下困難者の水分補給用にも適するゼリー飲料の提供において、飲食に際し、ゼリー及び/又はゼリーから離水した液体に、糖含有物等を加えることにより経時的に離水率を上昇し食感を変化させることが記載されている。そして、ゼリー飲料検体に砂糖液又は黒蜜などの糖含有物をかけた場合の離水率を測定し、ゼリーの食感の変化を確認している。 特許文献6では、離水率が0.5〜10%である卵白及びリゾリン脂質を含有する麺類品質改良剤が記載されており、この離水率の測定方法として卵白等を含むゲルを一定の厚さに切り、ろ紙の上にのせ、ゲルの重量を測定し1時間、風の当たらないところに放置後、再び重量を測定する方法であることが記載されている。 これらの方法によって食品表面や食品内部等、食品自体から生じる離水等を測定することは可能であるが、これらの方法では、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水や、食品への吸水を測定することはできない。 食品を摂取する際は、口腔内に食品を含んだ段階で食品が唾液を吸水する場合もあれば、咀嚼されたり、唾液に含まれる酵素によって分解されたりすることによって食品から離水が起こる場合もある。しかし、これらの方法はいずれも口腔内で生じる現象については検討しておらず、食品の摂取に伴う咀嚼・嚥下への影響を適切に予測し、把握することは不可能であった。特開2008−188004号公報特開2011−24490号公報特開2010−115164号公報特開2002−60546号公報特開2006−197838号公報特開平6−92502号公報日本食品科学工学会誌 49巻1号 (2002/1)日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 14(3):467 2010 本発明は、食品の摂取に伴う咀嚼・嚥下への影響を適切に予測し、把握することが可能な食品の離水および/または吸水を測定する方法の提供を課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、次の1)〜3)により食品を処理する工程を含む食品の離水および/または吸水を測定する方法によって、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測できることを見出し、本発明を完成するに至った。これによって、食品の摂取に伴う咀嚼・嚥下への影響を適切に予測し、把握することが可能となる。1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する すなわち、本発明は次の(1)〜(8)の食品の離水および/または吸水を測定する方法、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測する方法等に関する。(1)次の1)〜3)により食品を処理する工程を含む食品の離水および/または吸水を測定する方法。1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する(2)水分を加えた食品を平均粒径0.01mm以上1cm以下に破砕する、上記(1)に記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。(3)破砕された食品を合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力で圧搾する、上記(1)または(2)に記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。(4)次の式において重量減少率を算出し、算出された数値が正の場合は食品からの離水率とし、負の場合は食品の吸水率とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。[式]重量減少率=(処理前重量※1―処理後重量※2)/処理前重量※1×100※1処理前重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程前の食品の重量※2処理後重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程後の食品の重量1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する(5)食品に加える水分の重量を食品の重量の0.2倍以上100倍以下とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。(6)破砕が、手破砕、ホモジナイザー破砕、ミキサー破砕、機械圧縮破砕から選ばれる少なくとも一種以上の方法で行われる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。(7)圧搾が機械圧搾、手圧搾、または遠心分離から選ばれる少なくとも一種以上の方法で行われる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法を含む、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測する方法。 本発明の食品の離水および/または吸水を測定する方法によって、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測することが可能となる。これによって、食品の摂取による咀嚼・嚥下への影響を事前に評価することができ、咀嚼・嚥下機能が低下した高齢者や、これらの機能が未発達の幼児等の摂取者に対する適切な食品の選択が可能となる。また、本発明の方法によって測定される離水、吸水の傾向を、咀嚼において生じる食品の食感や風味等の指標とし、果物、野菜、魚介類、畜肉等における品種改良、パン、クッキー等の食品の原料配合の検討等に役立てることも可能となる。 本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」とは、食品が破壊等されることにより、その表面や内部に有する水分を外部に放出する際の離水の程度や、添加された液体等の外部に存在する水分を食品がその表面や内部に取り込む際の吸水の程度を測定する方法のことをいう。本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」は、次の1)〜3)により食品を処理する工程を含むものである。1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する 本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」は、食品を処理する工程のうち、「水分を加えた食品を破砕する」場合において、水分を加えた食品を平均粒径0.01mm以上1cm以下に破砕する「食品の離水および/または吸水を測定する方法」であることが好ましい。 また、「破砕された食品を圧搾する」場合において、破砕された食品を合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力で圧搾する「食品の離水および/または吸水を測定する方法」であることが好ましい。 本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」はさらに、次の式において重量減少率を算出し、算出された数値が正の場合は食品からの離水率とし、負の場合は食品の吸水率とする、「食品の離水および/または吸水を測定する方法」であることが好ましい。なお、離水も吸水も起きなかった場合や、離水率、吸水率のいずれも測定できなかった場合には、算出される数値は0となる。[式]重量減少率=(処理前重量※1―処理後重量※2)/処理前重量※1×100※1処理前重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程前の食品の重量※2処理後重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程後の食品の重量1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する 上記の「食品を処理する工程」において「食品に水分を加える」場合には、食品に加える水分の重量を食品の重量の0.2倍以上100倍以下とすることが好ましく、特に0.5倍以上50倍以下、さらに1倍以上10倍以下とすることが好ましい。 水分は、水、調味液、油、唾液、酒等が挙げられるが、本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」において利用できる水分であればどのようなものであってもよい。 また「水分を加えた食品を破砕する」場合には、食品が破砕できる方法であればいずれの方法であってもよく、例えば、手破砕、ホモジナイザー破砕、ミキサー破砕、機械圧縮破砕等による破砕方法が挙げられる。 ここで本発明における“手破砕”とは食品を薬さじ等で切る、潰す等することをいい、“ホモジナイザー破砕”とは、食品をホモジナイザーにかけて破砕することをいう。“ホモジナイザー破砕”は従来知られているいずれの機器、方法を用いてもよく、例えば、食品と水を入れたチューブに破砕用ボールを加えてチューブホモジナイザーにかける等の方法が挙げられる。 また、本発明における“ミキサー破砕”とは、食品をミキサーにかけて破砕することをいう。“ミキサー破砕”においても、従来知られているいずれの機器、方法を用いてもよい。 さらに、本発明における“機械破砕”とは、食品をクリープメータにかけて圧縮することにより破砕することをいう。“機械破砕”においても、従来知られているいずれの機器、方法を用いてもよく、例えば、クリープメータに底面が円形のプランジャー(φ=40mm)をセットし、食品と水で満たしたシャーレの上から1mm/s、99%圧縮を2回かける等の方法が挙げられる。 この「水分を加えた食品を破砕する」ことが、口腔内の食品が「咀嚼」される際に、歯によって行われる作業に相当する。この破砕は「水分を加えた食品を平均粒径0.01mm以上1cm以下に破砕する」ことであることが特に好ましい。 さらに、「破砕された食品を圧搾する」場合には、破砕された食品を圧搾できる方法であればいずれの方法であってもよい。例えば、機械圧搾、手圧搾、遠心分離等による圧搾方法が挙げられる。 ここで、本発明における“機械圧搾”とは、破砕された食品をテクスチャアナライザによって圧力をかけて搾ることをいう。“機械圧搾”には、破砕された食品を圧搾することが可能なものであれば従来知られているいずれの機器、方法を用いてもよく、例えば、破砕された食品をガーゼにくるみ、底面が円形のプランジャー(φ=48mm)をセットしたテクスチャアナライザの台上に固定し、上から一定荷重(490N)をかけることにより搾る等の方法が挙げられる。 また、“手圧搾”とは、破砕された食品をヒトの手にくるみ、圧力をかけて搾ることをいう。“手圧搾”は片手、または両手で行ってもよく、例えば、破砕された食品をガーゼに包み、これを片手(平均握力25kgw〜50kgw)で約0.5×105Pa〜1.0×105Paの圧力となるように搾る等の方法が挙げられる。 また、“遠心分離”とは、破砕された食品を遠心分離によって搾ることをいう。“遠心分離”には、破砕された食品を圧搾することが可能なものであれば従来知られているいずれの機器、方法を用いてもよく、例えば、破砕された食品を遠心分離用のチューブに入れ、10000xGで遠心分離して搾る等の方法が挙げられる。 この「破砕された食品を圧搾する」ことが、口腔内の食品が「咀嚼」される際に、舌によって行われる作業に相当する。この圧搾は「破砕された食品を合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力で圧搾する」ことであることが特に好ましい。 本発明の圧搾において、「合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力で圧搾する」とは、この数値範囲の圧力となるように、0.5×105Paの圧力を2回以上1000回以下かけて圧搾したり、1×105Paの圧力を1回以上500回以下、好ましくは10回以上100回以下かけて圧搾したり、5×105Paの圧力1回以上100回以下、好ましくは8回以上70回以下かけて圧搾したり、1×106Paの圧力を1回以上50回以下、好ましくは6回以上50回以下かけて圧搾したり、5×106Paの圧力を1回以上10回以下、好ましくは4回以上10回以下かけて圧搾したり、1×107Paの圧力を1回以上5回以下、好ましくは2回以上5回以下かけて圧搾したりすることをいう。また、5×107Paの圧力を1回かけて圧搾することも該当する。 本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」は、同じ種類の食品を試料として咀嚼した際に口腔内で生じる現象をコントロールとして比較した場合、口腔内で生じる離水、吸水のいずれの現象も測定でき、さらにこのコントロールに対し相関係数rが0.9以上であるという要件を満たす方法として評価することが可能である。ここで、「口腔内で生じる離水、吸水のいずれの現象も測定でき」るとは、重量減少率という数値に反映して示すことができることをいう。 このような要件を満たす本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」により、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測することが可能となる。また、本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」を工程として含む機器を提供することも可能となる。 本発明の「食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測する方法」とは、本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」を含むものであれば、その他の公知の方法を含んでいても良い。 本発明の「食品の離水および/または吸水を測定する方法」を工程として含む機器を提供し、これによって得られた結果より、「食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測する」ことも、この方法に含まれる。 以下、実施例、比較例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。食材の処理 本発明の実施例、比較例では、各食材を以下のように処理したものを試料とした。ダイコン:生のダイコンを15mm角程度にカットし、沸騰水中で1時間ほど煮込んだ。ニンジン:生のニンジンを15mm角程度にカットし、沸騰水中で1時間ほど煮込んだ。ジャガイモ:生のジャガイモを15mm角程度にカットし、沸騰水中で20分ほど煮込んだ。カマボコ:市販のカマボコを、厚さ5mm程度にスライスした。クッキー:市販のクッキー(ムーンライト・森永製菓)を装置の形状に合わせてそのまま、あるいは2等分、4等分して使用した。パン:市販の食パン6枚切を、15mm角程度にカットした。15x15の1面にみみ(クラスト部)を残した。リンゴ(フジ・紅玉・王林・シナノゴールド):生のリンゴを8〜16分割のくし形切りにし、芯を除いた。[実施例1]1.試料に水を添加し、破砕し、圧搾する工程 試料の重量(処理前重量)を測定した後、次の1)〜3)のいずれかにより、試料に水を添加し、水を添加した試料を破砕し、破砕された試料を圧搾する工程を行った。 次のように試料を咀嚼したものを、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を示すポジティブコントロールとした。<咀嚼> 1口大の試料を口に含み、30回程度咀嚼し吐き出した。吐き出した試料の重量を測定し、処理後重量とした。1)手破砕・機械圧搾 試料と同重量の水を加えた後、薬さじで破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼにくるみ、底面が円形のプランジャー(φ=48mm)をセットしたテクスチャアナライザの台上に固定し、上から一定荷重(490N)をかけて機械圧搾を行った。この機械圧搾は、合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力となるように行った。機械圧搾によって生じた水分を除いた後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。2)手破砕・手圧搾 試料と同重量の水を加えて薬さじで破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼに包み、これを片手(平均握力25kgw〜50kgw)で絞ることで手圧搾を行った。この手圧搾は、合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力となるように行った。手圧搾によって生じた水分を除いた後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。3)手破砕・遠心分離 試料と同重量の水を加えて薬さじで破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料を遠心分離用のチューブに入れ、10000xGで遠心分離した。この遠心分離は、合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力となるように行った。遠心分離によって生じた水分を除いた後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。2.重量減少率を算出する工程 試料の処理前重量、処理後重量から、次の式に従って重量減少率(%)を算出した。算出された数値が正の場合は食品からの離水率、負の場合は食品の吸水率を示すことになる。算出された重量減少率の数値よって得られた各試料における離水率、または吸水率を表1に示した。[式]重量減少率(w/w%)=(処理前重量−処理後重量)/処理前重量x100[比較例] 次の1〜5の方法によって、試料を処理した後、上記2.と同様に重量減少率を算出した。各試料における離水率、または吸水率を表1に示した。1.密封静置 特許文献1(特開2008−188004号公報)に開示されている技術を参考とした。 即ち、試料の重量(処理前重量)を測定した。その後、試料を密封した容器中(5℃)に25時間静置した。この間に発生した水分を除去した後、試料の重量(処理後重量)を測定した。以下、本明細書においてこの方法およびこの方法によって得られた結果を密封静置として示す場合がある。2.篩 特許文献2(特開2011−024490号公報)および特許文献3(特開2010−115164号公報)に開示されている技術を参考とした。 即ち、試料の重量(処理前重量)を測定した。その後、試料を篩の上に30分間放置した。この間に発生した水分を除去した後、試料の重量(処理後重量)を測定した。以下、本明細書においてこの方法およびこの方法によって得られた結果を篩として示す場合がある。3.濾紙拭取り 特許文献4(特開2002−60546号公報)に開示されている技術を参考とした。 即ち、試料の重量(処理後重量)を測定した後、試料の表面を濾紙でふき取り、試料の重量(処理前重量)を測定した。以下、本明細書においてこの方法およびこの方法によって得られた結果を濾紙拭取りとして示す場合がある。4.浸漬遠心 非特許文献1(日本食品科学工学会誌49巻1号(2002/1))に開示されている技術を参考とした。 即ち、試料の重量(処理前重量)を測定した。その後、試料を蒸留水に一定時間浸漬した。これを遠心分離して、水分を除去した後、試料の重量(処理後重量)を測定した。以下、本明細書においてこの方法およびこの方法によって得られた結果を浸漬遠心として示す場合がある。5.機械圧縮 非特許文献2(日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌14(3):367−367 2010)に開示されている技術を参考とした。 即ち、試料の重量(処理前重量)を測定した。その後、濾紙を敷いたメッシュ上に試料を載せ、クリープメータ(1mm/s,φ=40mm,67%)で圧縮した。圧縮された試料の重量(処理後重量)を測定した。以下、本明細書においてこの方法およびこの方法によって得られた結果を機械圧縮として示す場合がある。 これらの咀嚼、実施例、比較例の結果を表1に示した。その結果、実施例の方法では、試料における離水、吸水を測定することが可能であり、咀嚼の結果を1とした場合の相関係数rがいずれも0.9以上であることから、咀嚼の場合と同様に、離水、吸水の傾向を示すことが可能な方法であることが確認できた。なお、相関係数rはExcelにおいて関数correlを用いて算出した(本明細書において以下同様に相関係数を算出した)。 一方、比較例1、2、3および5の方法では、咀嚼において吸水が示されたジャガイモ、カマボコ、クッキー、パンのいずれの試料においても重量減少率が0w/w%であり、離水は測定できるものの、吸水を全く測定できなかった。 また、比較例4の方法では、離水、吸水の測定は可能であるものの、咀嚼の結果を1とした場合の相関係数rが0.9未満であり、咀嚼と同様の離水、吸水の傾向を示すことはできないことが確認できた。 従って、これらの結果より、実施例1の方法であれば、食品を摂取する際に咀嚼等によって口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測できることが確認できた。[実施例2]1.試料に水を添加し、破砕し、圧搾する工程 試料の重量(処理前重量)を測定した後、次の1)〜4)のいずれかにより、試料に水を添加し、水を添加した試料を破砕し、破砕された試料を圧搾する工程を行った。1)手破砕・機械圧搾 試料と同重量の水を加えた後、薬さじで破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼにくるみ、底面が円形のプランジャー(φ=48mm)をセットしたテクスチャアナライザの台上に固定し、上から一定荷重(490N)をかけて機械圧搾を行った。この機械圧搾は、合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力となるように行った。機械圧搾によって生じた水分を除いた後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。2)ホモジナイザー破砕・機械圧搾 チューブに試料5g程度と15gの水、破砕用ボールを加えてチューブホモジナイザーで、試料を破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼにくるみ、これを上記1)と同様の方法で機械圧搾した後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。3)ミキサー破砕・機械圧搾 試料と同重量の水を加えてミキサーで試料を破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼにくるみ、これを上記1)と同様の方法で機械圧搾した後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。4)機械圧縮破砕・機械圧搾 クリープメータに底面が円形のプランジャー(φ=40mm)をセットし、試料と同重量の水で満たしたシャーレの上から1mm/s、99%圧縮を2回かけ、試料を破砕した。この破砕は試料が平均粒径0.01mm以上1cm以下となるように行った。破砕後の試料をガーゼにくるみ、これを上記1)と同様の方法で圧搾した後、試料の重量を測定し、処理後重量とした。2.重量減少率を算出する工程 実施例1と同様の方法により、重量減少率(離水率、吸水率)を算出し、結果を表2に示した。また、表2には、実施例1の咀嚼(ポジティブコントロール)の結果を示し、これを1とした場合の各実施例の相関係数rも示した。 その結果、実施例2の方法はいずれも試料における離水、吸水を測定することが可能であり、咀嚼の結果を1とした場合の相関係数rがいずれも0.9以上であることから、咀嚼の場合と同様に離水、吸水の傾向を示すことが可能な方法であることが確認できた。 従って、これらの結果より、実施例2の方法でも、食品を摂取する際に咀嚼等によって口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測できることが確認できた。[実施例3]1.試料に水を添加し、破砕し、圧搾する工程 試料の重量(処理前重量)を測定した後、実施例1、2)の手破砕・手圧搾と同様の方法、または実施例2、2)のホモジナイザー破砕・機械圧搾と同様の方法により、試料に水を添加し、水を添加した試料を破砕し、破砕された試料を圧搾する工程を行った。実施例1と同様に試料を咀嚼したものを、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を示すポジティブコントロールとした。2.重量減少率を算出する工程 実施例1と同様の方法により、重量減少率(離水率、吸水率)を算出し、結果を表3に示した。また、表3には、各試料を咀嚼した場合の結果(ポジティブコントロール)を示すとともに、これを1とした場合の各実施例の相関係数rも示した。 その結果、フジ、紅玉、王林、シナノゴールド等の各品種のリンゴを試料とした場合においてもいずれも離水、吸水を測定することが可能であり、咀嚼の結果を1とした場合の相関係数rがいずれも0.9以上であることから、実施例3の方法は、咀嚼の場合と同様に、離水、吸水の傾向を示すことが可能な方法であることが確認できた。 また、リンゴという同じ食材であっても紅玉に比べて、王林・シナノゴールドの離水率が高く、フジの離水率がさらに高いという傾向が、咀嚼の場合と同様に、品種の違いに応じて測定できることが確認できた。 従って、これらの結果より、本発明の方法により、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測できることが確認できた。 また、本発明の方法は品種間の違いによる離水、吸水の傾向の違いを示すことも可能であることから、本発明の方法によって測定される離水、吸水の傾向を、咀嚼において生じる食品の食感や風味等の指標とし、果物、野菜、魚介類、畜肉等における品種改良、パン、クッキー等の食品の原料配合の検討等に役立てることが可能であることも示唆された。 本発明の食品の離水および/または吸水を測定する方法によって、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測することで、食品の摂取による咀嚼・嚥下への影響を事前に評価することが可能となる。これにより、咀嚼・嚥下機能が低下した高齢者や、これらの機能が未発達の幼児等の摂取者に対する適切な食品の選択が可能となる。また、本発明の方法によって測定される離水、吸水の傾向を、咀嚼において生じる食品の食感や風味等の指標とし、果物、野菜、魚介類、畜肉等における品種改良、パン、クッキー等の食品の原料配合の検討等に役立てることも可能となる。次の1)〜3)により食品を処理する工程を含む食品の離水および/または吸水を測定する方法。1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する水分を加えた食品を平均粒径0.01mm以上1cm以下に破砕する、請求項1に記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。破砕された食品を合計で1×105Pa以上5×107Pa以下の圧力で圧搾する、請求項1または2に記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。次の式において重量減少率を算出し、算出された数値が正の場合は食品からの離水率とし、負の場合は食品の吸水率とする請求項1〜3のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。[式]重量減少率=(処理前重量※1―処理後重量※2)/処理前重量※1×100※1処理前重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程前の食品の重量※2処理後重量:次の1)〜3)により食品を処理する工程後の食品の重量1)食品に水分を加える2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する3)上記2)により破砕された食品を圧搾する食品に加える水分の重量を食品の重量の0.2倍以上100倍以下とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。食品の破砕が、手破砕、ホモジナイザー破砕、ミキサー破砕、機械圧縮破砕から選ばれる少なくとも一種以上の方法で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。食品の圧搾が機械圧搾、手圧搾、または遠心分離から選ばれる少なくとも一種以上の方法で行われる請求項1〜6のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法。請求項1〜7のいずれかに記載の食品の離水および/または吸水を測定する方法を含む、食品を摂取する際に口腔内で生じる食品からの離水および/または食品の吸水の傾向を予測する方法。 【課題】食品の摂取に伴う咀嚼・嚥下への影響を適切に予測し、把握することが可能な食品の離水および/または吸水を測定する方法の提供。【解決手段】次の1)〜3)により食品を処理する工程を含む食品の離水および/または吸水を測定する方法。1)食品に水分を加える。2)上記1)により水分を加えた食品を破砕する。3)上記2)により破砕された食品を圧搾する。【選択図】なし


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