生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_カールフィッシャー容量滴定装置と滴定方法
出願番号:2013081611
年次:2014
IPC分類:G01N 31/00,G01N 31/16,G01N 31/18


特許情報キャッシュ

市島 孝之 森本 雅之 萩原 正東 JP 2014186016 公開特許公報(A) 20141002 2013081611 20130322 カールフィッシャー容量滴定装置と滴定方法 平沼産業株式会社 000240042 市島 孝之 森本 雅之 萩原 正東 G01N 31/00 20060101AFI20140905BHJP G01N 31/16 20060101ALI20140905BHJP G01N 31/18 20060101ALI20140905BHJP JPG01N31/00 BG01N31/16 AG01N31/18 2 2 書面 5 2G042 2G042AA01 2G042BB01 2G042CB03 2G042DA03 2G042FB03 2G042HA04 本発明はカールフィッシャー容量滴定装置と滴定方法に関するものである。 水分定量法としてのカールフィッシャー滴定法は、よう素(I2)、二酸化硫黄(SO2)、塩基性物質(R’N)で構成されるカールフィッシャー試薬がアルコール(ROH)溶液中で[化1]の反応に基づき、水分と定量的に反応することを利用した滴定法である。このカールフィッシャー滴定法には、大別して以下の二つの方法がある。ひとつはカールフィッシャー試薬を滴定液として用いることにより測定が進められる容量滴定法であり、もう一方はカールフィッシャー試薬を含む電解液の電気分解によってよう素を発生させて測定を進める電量滴定法である。これらの滴定法は日本工業規格や日本薬局方に採用され、水分測定法として広く用いられている。本発明は容量滴定装置と滴定方法に関するものである。容量滴定法は従来多用されてきた方法であり、10ppm〜100%水準までの水分測定に適用できるが、容量滴定法は使用されるカールフィッシャー滴定液の微量滴加には物理的に限界があるため、カールフィッシャー試薬は力価の異なる試薬が市販されており必要とする分解能を力価により選択できるようになっている。(カールフィッシャー試薬の力価とは、水分を滴定するために要した滴定液の体積から水分量に換算するための係数で、単位はmgH2O/mL) 先行技術文献としては、特許文献1に示したものがある。この文献によれば、被滴定物は水性塩基現像剤で酸による中和滴定の場合で記述されている。滴定方法は、予想滴定値から若干少なめの酸を手作業で加え残りの微量分を希薄な酸で滴定するものである。この方法では、被滴定物の含有量が不明の場合は適用できない。 特表2004−520585号公報 カールフィッシャー容量滴定法において分解能を良くする場合は、滴定液の力価が低い試薬を使うことにより達成できるが、滴定量も増加する。例えば、力価5の滴定液で2mLの滴定量であれば、力価1ではおよそ10mLの滴定量になり滴定液の消費量が5倍となる。その結果有害物質であるカールフィッシャー試薬の廃液も増加することになる。本発明は、滴定液の消費量を抑えた上で分解能を同等とするための滴定装置と滴定方法を提供することを目的とする。 カールフィッシャー容量滴定法では、滴定の初期段階においては滴定槽の中に水分が多く含まれているため滴定液の滴加量が多く、力価が大きい試薬を使用しても力価の小さい試薬を使用しても分解能としては差が無いことに着目した。すなわち、滴定の初期段階は高い力価のカールフィッシャー試薬により滴定液の消費量を抑え、終点検出付近において力価の小さいカールフィッシャー試薬で滴定を行うようにビュレットを制御することにより上記課題が解決できる。 カールフィッシャー滴定において、分解能を上げた測定を行っても、有害廃液の増加を抑えることができる。 従来法のビュレット動作説明図本発明のビュレット動作説明図 以下に本発明によるカールフィッシャー容量滴定装置と滴定方法により試料中の水分を測定した実施例を記載する。 水分の測定においては、先ず滴定槽にアルコールを含む溶媒を50mL程度入れておき、溶媒中の水分を予備滴定としてカールフィッシャー試薬で滴定を実施し無水状態にしておく。この状態の滴定槽に試料を加え滴定を開始する。 従来の滴定制御は、図1のビュレット動作説明図のようになる。縦軸は、指示電極が検出した電位を示し、横軸は経過時間を示す。縦軸は、検出電位が高いときは水分が多いことを示し、このときのビュレットは連続的にカールフィッシャー試薬を滴定槽へ滴加する。縦軸中のコントロール点は、滴定槽中の水分が微量になった領域を示し、検出電位がこのコントロール点より小さくなった場合はビュレットの動作を連続滴加から一旦停止し、1滴ずつ数秒おきに断続滴加するように動作を制御する。カールフィッシャー試薬と水の反応速度はあまり速くないため、滴定槽中で一旦過剰になった試薬により指示電極電位はコントロール点より低いレベルから高いレベルに戻る。再びビュレットは連続動作となりコントロール点より低くなる。この動作が何回か繰り返され、徐々に水分が無くなり終点を迎える。終点では水分がゼロとなり、終点以下の指示電位では、未反応となったカールフィッシャー試薬が過剰に存在している。図1のグラフは、ビュレットにより滴加されたカールフィッシャー試薬により指示電極電位がどのように変化しているかを示す。 図2は、本発明のビュレット制御を行った場合のビュレット動作説明図である。図1との違いは、ビュレット1とビュレット2の切換点があることである。ここで、ビュレット1には高力価のカールフイッシャー試薬を充填し、ビュレット2には低力価のカールフィッシャー試薬を充填する。ビュレット1とビュレット2の切換点は、滴定槽中の試料の水分がある程度少なくなった点を判定して切換える。本実施例においては、指示電極電位がコントロール点以下を30秒以上連続で保持した状態から最初に終点電位を越えた時点で切換えるように滴定制御部のプログラムを設計し、またこの条件は任意に設定できるようにした。 本実施例において測定した試料は、メタノールに水を添加し水分濃度およそ0.2%に調整したものを用いた。ビュレット1に充填したカールフイッシャー試薬の力価標定結果は、4.8654mgH2O/mL。ビュレット2に充填したカールフイッシャー試薬の力価標定結果は、0.9456mgH2O/mL。比較対象の従来の滴定制御プログラムでは、ビュレット2で滴定を行った。その結果を表1に示した。次に本発明のビュレット1とビュレット2の切換え点を設定したプログラムで滴定した結果を表2に示した。測定結果1と測定結果2から測定精度は同等であり、分解能も同等であることが確認できる。滴定液の消費量に関しては、測定した試料量により異なるため、試料重量1g当たりの滴定液消費量として換算した結果を表3に纏めた。この結果、従来法で滴定した結果では本実施例で測定した試料1g当たりのカールフィッシャー試薬消費量は2.13mL、本発明の滴定法で測定した結果は試料1g当たりカールフィッシャー試薬の消費量は0.51mLとなり、約1/4の消費量で同等の測定精度が得られた。 本実施例においては、ビュレット1とビュレット2の切換点判定を指示電極電位がコントロール点以下を30秒以上連続で保持した状態から最初に終点電位を越えた時点としたが、この判定を終点以下の指示電位を終点判定時間を超えない範囲でできるだけ近づけることによりさらにカールフィッシャー試薬の消費量を少なくすることが可能となる。 以上は、試料の水分を測定する場合について述べたが、カールフィッシャー容量滴定法では、上述したように滴定溶媒を無水化する工程があり、ここでも試料測定同様にビュレット1とビュレット2を切換えて無水化することによりさらにカールフィッシャー試薬の消費量が少なくなる。この消費量を、表3の関係から試算してみると次のようになる。換算の条件は、滴定溶媒の量が50mL,滴定溶媒中の水分が0.2mgH2O/mL含まれているとした。この条件から、滴定溶媒中の水分は10mg存在する。力価0.9456mgH2O/mLのビュレット2だけで予備滴定を実施すると10.58mLのカールフィッシャー試薬を消費する。本発明のビュレット1とビュレット2を併用して予備滴定をすると1/4である2.64mLとなり、試料の水分測定と合わせると大幅に廃液量を減らせることになる。 滴定制御部、滴定槽、検出電極、ビュレット部およびスターラーからなるカールフィッシャー水分滴定装置において、前記ビュレット部を2基備え、異なる濃度の滴定液を併用して水分を測定することを特徴とするカールフィッシャー水分滴定装置。 前記の異なる濃度の滴定液を滴定槽中の水分が多い領域と少ない領域に分けてビュレットを切替えて測定することを特徴とする請求項1に記載のカールフィッシャー水分滴定方法。 【課題】カールフィッシャー容量滴定法において、滴定液の消費量を抑えた上で分解能を同等とするための滴定装置と滴定方法を提供する。【解決手段】カールフィッシャー容量滴定法では、滴定の初期段階においては滴定槽の中に水分が多く含まれているため滴定液の滴加量が多く、力価が大きい試薬を使用しても力価の小さい試薬を使用しても分解能としては差が無いことに着目した。滴定の初期段階は高い力価のカールフィッシャー試薬により滴定液の消費量を抑え、終点検出付近において力価の小さいカールフィッシャー試薬で滴定を行うようにビュレットを制御する。【選択図】図2


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