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タイトル:公開特許公報(A)_アントラキノン系化合物、及び光硬化性樹脂組成物
出願番号:2013075332
年次:2014
IPC分類:C07C 323/62,C07C 323/22


特許情報キャッシュ

山下 義弘 山口 亮二 和田 勝 詫摩 啓輔 JP 2014198699 公開特許公報(A) 20141023 2013075332 20130329 アントラキノン系化合物、及び光硬化性樹脂組成物 山本化成株式会社 000179904 森岡 博 100085202 山下 義弘 山口 亮二 和田 勝 詫摩 啓輔 C07C 323/62 20060101AFI20140926BHJP C07C 323/22 20060101ALI20140926BHJP JPC07C323/62C07C323/22 5 OL 29 4H006 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB40 4H006AB48 4H006TA04 4H006TB37 4H006TB54 4H006TC25 本発明は、新規なアントラキノン系化合物、ならびにそれを光重合開始剤として含有する光硬化性樹脂組成物、もしくは光カチオン重合の光増感剤として含有する光硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、フォトレジスト材料、印刷製版材料、接着材料、シール材料、コーティング材料、成形材料などに使用可能な光重合開始剤もしくは光カチオン重合の光増感剤と、青色LEDランプの光源によって硬化する光硬化性樹脂組成物に関する。 光硬化反応は、光によって開始される化学反応を利用した技術であり、省資源、省エネルギー、生産性向上、作業環境などの実用的な観点で優れていることから、塗料、製版材料、印刷材料、金属表面加工などの用途に加え、近年では、電子材料分野や記録表示材料分野においても、プリント配線板用のフォトレジスト材料、液晶パネルのシール材料など広範囲な用途で利用されている。 一般に、光硬化反応に用いられる光硬化性樹脂組成物は、光によって活性種を発生する光重合開始剤と、発生した活性種によって重合可能なモノマーやオリゴマーとからなっており、光硬化反応が、光重合開始剤の光吸収から始まることから、光重合開始剤は、光源に対して効率よく活性種を発生できる化合物であることが必須となっている。このように、光重合開始剤は、光硬化反応及び最終生成物(光硬化物)の特性を決定する大きな要因の一つとなっており、光硬化反応としては、主にラジカル重合あるいはカチオン重合に大別される。 一方、光源に関して言えば、水銀ランプやメタルハライドランプのような広い波長範囲に発光域を持つ光源が、非常に使いやすいという大きなメリットを有する為、幅広く用いられてきたが、製品品質の不安定化要因をもたらしうるというデメリットも有することから、最近では、UV硬化塗料やコーティング、光硬化型接着剤、UVインキ、レジストなどの光硬化反応技術を活用した様々な製品製造において、波長域が400〜460nmの青色LEDランプが光源として使用されるようになって来ている。 しかしながら、この青色LEDランプを光源とした場合においては、省電力、省スペース及び長寿命というメリットも有するが、従来の光重合開始剤では、充分な硬化特性が得られないという状況にある。 例えば、ラジカル重合の際に使用される光重合開始剤としてはアセトフェノン型の光ラジカル重合開始剤が良く知られている(特許文献1)。特に、現在市販されているアセトフェノン型の光重合開始剤としては、ベンジルケタール類やα−ヒドロキシアセトフェノン類があるが、これら光重合開始剤は、波長300nm以上の吸光係数が小さいので、高圧水銀ランプのような、広い波長範囲に発光をもつ光源を用いて光硬化する場合には問題ないが、400nmの近辺までの比較的波長の長い紫外線を使う光源などを用いて光硬化した場合には、硬化特性は高くなく、結果として未反応の光重合開始剤が残存し、それらが光硬化物から染み出し(ブリードアウト)たりする為に、安全性が重視される食品用の缶製品や、微量の不純物が問題となる電子部品用途では問題になることがある。 又、光によって酸を発生するカチオン型光重合開始剤としては、主にスルホニウム塩およびヨードニウム塩などの、オニウム塩系の化合物が広く使用されているが、例えば、ヨードニウム塩は波長250nm付近の遠紫外領域の光によってしか、光硬化機能を発揮することができず、スルホニウム塩も波長360nm付近の光でしか、光硬化機能を発揮する事ができないので、波長が400nm未満の波長の光線照射では、チオキサントンやジアルコキシアントラセン(アントラセンジエーテル)などの増感剤を併用しなければならない。 そのため、このような問題を解決するために、波長400nm以上の可視領域の光線に合った光重合開始剤が望まれており、幾つか化合物が報告されているが、未だ十分な光重合開始剤は報告されていなかった(特許文献2)。特表2003−253225号公報特開2001−235858号公報 本発明の課題は、特定の構造を有するアントラキノン系化合物を利用することで、波長400nm以上の可視領域の光線に対して高感度な光硬化性樹脂組成物を提供することである。 本発明者等は、光重合開始剤としてのアントラキノン系化合物に関し鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(i)下記一般式(1)で表されるアントラキノン系化合物〔式中、X及びAは互いに独立に、二価の有機残基を表し、Yは炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から構成される二価の連結基を表し、nは1または2の整数を表す。ただし、nが1である場合、Aは直鎖状または分岐状のアルキル基を表す〕(ii)二価の有機残基が、直鎖状または分岐状アルキレン基、脂環式アルキレン基から選択される基である上記(i)のアントラキノン系化合物(iii)二価の連結基が、フェニレン基、メチレン基、置換または未置換のイミノ基、エステル基、置換または未置換のアミド基、置換または未置換のウレタン基、エーテル基から選択される基である上記(i)又は(ii)のアントラキノン系化合物さらに、(iv)上記(i)〜(iii)のアントラキノン系化合物から選ばれる1種を光重合開始剤として含む、光硬化性樹脂組成物(v)上記(i)〜(iii)のアントラキノン系化合物から選ばれる1種を光カチオン重合の光増感剤として含む、光硬化性樹脂組成物に関するものである。 本発明により、従来の光硬化性樹脂組成物と比較して波長400nm以上の可視領域の光線に対して高感度であるため、電子材料分野や記録表示材料分野において有利な光硬化性樹脂組成物を提供することが可能となった。 また、本発明のアントラキノン系化合物は、光ラジカル重合においては光重合開始剤として、光カチオン重合においては光増感剤として優れた効果を示すとともに、硬化物からの溶出性がなく環境面でも優れた光硬化性樹脂組成物を提供することが可能となった。 本発明者等は、前記した課題を鋭意検討した結果、特定の構造をもつ新規なアントラキノン系化合物を光硬化性樹脂組成物に含有させることにより解決できることを発見し、本発明を完成するに至った。 以下、本発明に関し詳細に説明するが、まず、本発明に係るアントラキノン系化合物について説明する。<アントラキノン系化合物> 本発明のアントラキノン系化合物は、一般式(1)で表される化合物である。〔式中、X及びAは互いに独立に、二価の有機残基を表し、Yは炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から構成される二価の連結基を表し、nは1または2の整数を表す。ただし、nが1である場合、Aは直鎖状または分岐状のアルキル基を表す〕 一般式(1)で表される化合物において、X及びAは、二価の有機残基を表す。なお、本明細書においては、脂肪族炭化水素化合物の異なる2個の炭素原子が有する水素原子をそれぞれ1個ずつ除去することにより生成される二価基を総じて「二価の有機残基」と表わす。 X及びAは、好ましくは、直鎖状または分岐状アルキレン基、または脂環式アルキレン基である。 X及びAは、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキレン基、または炭素数4〜12の脂環式アルキレン基である。 一般式(1)における、X及びAが、直鎖状のアルキレン基であるものの具体例としては、例えば、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−CH2−CH2−]、n−プロピレン基[−CH2−CH2−CH2−]、n−ブチレン基[−CH2−CH2−CH2−CH2−]などの炭素原子と水素原子のみからなる直鎖状のアルキレン基が挙げられる。 X及びAが、分岐状のアルキレン基であるものの具体例としては、例えば、1,2−ジメチルエチレン基[−CH(CH3)−CH(CH3)−]、エチリデン基[−CH(CH3)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]などの直鎖状アルキレン基の水素がアルキル基で置換された分岐状のアルキレン基が挙げられる。 X及びAが、脂環式アルキレン基であるものの具体例としては、例えば、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2.5−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2,6−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2,6−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、1,3−アダマンチレン基などの単環式または架橋環式の脂環式アルキレン基が挙げられる。 一般式(1)で表される化合物において、Yは炭素原子、酸素原子、及び窒素原子から構成される二価の連結基を表す。 Yは、好ましくは、フェニレン基、メチレン基、置換または未置換のイミノ基、エステル基、置換または未置換のアミド基、置換または未置換のウレタン基、エーテル基である。Yは、より好ましくは、フェニレン基、メチレン基、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基で置換されていてもよいイミノ基、エステル基、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基で置換されていてもよいアミド基、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基で置換されていてもよいウレタン基、またはエーテル基である。 一般式(1)における、フェニレン基の例としては、−Y−が、ベンゼン環の異なる2個の炭素原子が有する水素原子をそれぞれ1個ずつ除去することにより生成される連結基であり、具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。メチレン基の例としては、−Y−が、[−CH2−]の、炭素原子と水素原子のみからなる連結基である。 未置換のイミノ基の例としては、−Y−が、[−NH−]の、窒素原子と水素原子のみからなる連結基であり、置換されていてもよいイミノ基の具体例としては、−Y−が、例えば、メチルイミノ基[−N(CH3)−]、エチルイミノ基[−N(C2H5)−]、プロピルイミノ基[−N(C3H7)−]などのイミノ基の水素原子が直鎖のアルキル基で置換されたイミノ基が挙げられる。 エステル基の具体例としては、−Y−が、[−CO−O−]、[−O−CO−]などの、炭素原子と酸素原子のみからなるエステル結合が挙げられる。未置換のアミド基の例としては、−Y−が、[−CO−NH−]の、炭素原子、窒素原子と水素原子からなる連結基であり、置換されていてもよいアミド基の具体例としては、−Y−が、例えば、メチルアミド基[−CO−N(CH3)−]、エチルアミド基[−CO−N(C2H5)−]などのアミド基の水素原子が直鎖のアルキル基で置換されたアミド基が挙げられる。 未置換のウレタン基の例としては、−Y−が、[−O−CO−NH−]の、炭素原子、窒素原子と水素原子からなる連結基であり、置換されていてもよいウレタン基の具体例としては、−Y−が、例えば、メチルウレタン基[−O−CO−N(CH3)−]、エチルウレタン基[−O−CO−N(C2H5)−]などのウレタン基の水素原子が直鎖のアルキル基で置換されたウレタン基が挙げられる エーテル基の例としては、−Y−が、[−O−]の、酸素原子のみからなる連結基である。 また、一般式(1)で表される化合物において、nが1である場合、Aは直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。nが1である場合、Aは、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基である。nが1である場合、Aは、より好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基である。 一般式(1)における、Aが直鎖状または分岐状のアルキル基である場合の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、1−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基が挙げられる。 なお、一般式(1)で表される化合物において、nが1である場合の好ましい具体例としては、例えば以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。 一般式(1)で表される化合物において、nが2である場合の好ましい具体例としては、例えば以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。<アントラキノン系化合物の製造法> 本発明に係る一般式(1)で表されるアントラキノン系化合物は、種々の有機化学的手法で製造することが可能である。 すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に、塩基の存在下、一般式(3)で表されるメルカプト化合物を反応させることにより1段階で製造することができる。〔式中、Zはハロゲン原子を表し、X、Y、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕 なお、上記一般式(2)において、Zは塩素原子であることが好ましい。 又、一般式(3)で表されるメルカプト化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができるが、例えば、Xがメチレン基、−Y−がエステル基である場合のチオグリコール酸メチル、チオグリコール酸ブチル、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコラート)、例えば、Xがエチレン基、−Y−がエーテル基である場合の3,6−ジオキサー1,8−オクタンジチオールなど、一部は市販品として入手可能であり、例えば、東京化成工業、和光純薬工業から容易に入手することができる。 例えば、一般式(4)で表されるハロゲン化誘導体を、硫化水素もしくはチオ硫酸と反応させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2342142号公報、米国特許4355185号公報、Journal of the American Chemical Society、1930、vol,52、P655に記載の方法に従って製造することができる〕。〔式中、X、Y、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕 さらに、一般式(3)で示される化合物の製造例を、化学反応式を参照して説明する。例えば、一般式(3a)として示される、−Y−がエステル基である場合の製造例としては、例えば、下記一般式(5)で表されるカルボン酸誘導体と、下記一般式(6)で表されるアルコール誘導体とを脱水縮合させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2832750号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。〔式中、X、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕次いで、例えば、一般式(3b)として示される、−Y−が未置換のアミド基である場合、下記一般式(7)で表されるカルボン酸誘導体と、下記一般式(8)で表されるアミン誘導体とを脱水縮合させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2832750号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。〔式中、X、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕 一般式(3)で表されるメルカプト化合物の使用量は特に制限されるものではなく、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に対して、一般に、0.5〜2.5モル程度使用することが好ましく、0.5〜1.5モル程度使用することがより好ましい。 塩基の使用量は特に制限されるものではなく、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に対して、一般に、1.0〜3.0モル程度使用することが好ましく、1.0〜2.0モル程度使用することがより好ましい。 係る溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、2−メチル−2−ブタノール等のアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドを挙げることができる。 これらの溶媒は反応の起こりやすさにしたがって適宜選択され、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。 溶媒を用いる場合、一般に、溶媒の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起り易くなる。したがって、溶媒の量を重量比で化合物全体の100倍まで、好ましくは5〜50倍にするのが望ましい。 係る塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基、例えば、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどの金属アルコキシド、例えば、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基などを挙げることができる。 塩基 の使用量は特に制限されるものではなく、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に対して、一般に、0.01〜10.0モル程度使用することが好ましく、0.1〜2.0モル程度使用することがより好ましい。 反応温度は、0〜200℃の範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは室温〜溶媒還流温度の範囲である。 反応時間は、反応スケール、反応温度により一定しないが、1〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。 反応終了後、水に溶解する溶媒を用いた場合は、水中に反応溶液を排出して析出物を濾別してメタノールで洗浄する。水に不溶の溶媒を用いた場合は、減圧下溶媒を留去し、水を加えて析出物を濾別してメタノールで洗浄する。必要に応じて析出物を、再結晶等の方法で精製することができる。 又、一般式(1)で表される化合物において、一般式(1a)として示される、−Y−がエステル基である場合の製造法としては、前記の製造法以外に、例えば、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に、塩基の存在下、一般式(9)で表されるメルカプト化合物を反応させることにより合成した一般式(10)で表される中間体に、次いで、一般式(11)で表される酸ハロゲン化物を反応させることにより、2段階で製造することもできる。〔式中、Zはハロゲン原子を表し、X、Y、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕 さらに、一般式(1)で表される化合物において、一般式(1b)として示される、−Y−がエーテル基である場合の製造法としては、上記一般式(10)で表されるアントラキノン化合物に、一般式(12)で表されるハロゲン化物を反応させることにより製造することもできる。〔式中、X、Y、A及びnは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕 一般式(9)で表されるメルカプト化合物の使用量は特に制限されるものではないが、本反応は等モル反応であるので、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物に、一般式(9)で表されるメルカプト化合物を、1.0倍モル反応させれば良いが、一般式(9)で表される化合物の使用量としては、1.0〜1.5倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは1.0〜1.3倍モルの範囲である。 一般式(10)で表される中間体を得る反応は有機溶媒中で遂行され、使用できる溶媒に特に制約はない。係る溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられるが、特に、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物の溶解度の高い溶媒、例えばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好適である。 係る塩基としては、例えば水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類及びアンモニア等を挙げることができる。 係る塩基は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。塩基の使用量は特に制限されるものではないが、一般式(2)で表されるハロゲン化アントラキノン化合物1モルに対して、一般に、0.5〜3.0モルであり、好ましくは、0.8〜2.5モル使用する。 反応温度は20℃〜180℃の範囲で選ばれ、好ましくは50℃〜100℃の範囲である。温度が低いと反応速度が低く反応終了までの時間が長くなり、温度が高いと副反応が起こり反応物は汚くなる。反応時間は反応温度に応じて、1時間〜10時間の範囲で選ばれ、好ましくは3時間〜5時間の範囲である。反応終了後、冷却し反応混合物に水を投入して結晶を析出させ、濾過した結晶を乾燥させると、一般式(10)で表される中間体が得られる。 次に、塩基の存在下、一般式(10)で表される中間体と、一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物を有機溶媒中で反応させることにより、一般式(1a)もしくは一般式(1b)で表される化合物を製造することができる。 一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物の使用量は特に制限されるものではないが、nが1である場合、本反応は等モル反応であるので、一般式(10)で表される中間体に、一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物を、1.0倍モル反応させれば良いが、一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物の使用量としては、1.0〜1.5倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは1.0〜1.3倍モルの範囲である。 nが2である場合、本反応は0.5倍モル反応であるので、一般式(10)で表される中間体に、一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物を、0.5倍モル反応させれば良いが、一般式(11)もしくは一般式(12)で表される化合物の使用量としては、0.5〜0.7倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは0.5〜0.6倍モルの範囲である。 係る溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に制約はない。例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられるが、特にケトン類が好適である。 これらの溶媒は反応の起こりやすさにしたがって適宜選択され、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。溶媒を用いる場合、一般に、溶媒の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起り易くなる。したがって、溶媒の量を重量比で化合物全体の100倍まで、好ましくは5〜50倍にするのが望ましい。 係る塩基としては、反応を促進させることができる塩基であれば特に限定されないが、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。 これらのなかでもピリジンが好ましく、ピリジンの使用量は、一般式(11)もしくは一般式(12)に対するモル比で、0.5〜6.0倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは1.5〜4.0倍モルの範囲である。 反応温度は、−30℃〜150℃の範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは10℃〜100℃の範囲であり、反応時間は、反応スケール、反応温度により一定しないが、1〜12時間の範囲で適宜選択すれば良い。反応終了後、冷却し、反応混合物を水、メタノール、もしくは水とメタノールの混合溶液に排出して結晶を析出させ、濾過した結晶を乾燥させると、一般式(1a)もしくは一般式(1b)で表される化合物が得られる。なお、このようにして合成された、本発明に係る一般式(1)で表されるアントラキノン系化合物は、370〜450nmの範囲に最大吸収波長を有している。次いで、本発明のアントラキノン系化合物が含有される光硬化性樹脂組成物について説明する。<光硬化性樹脂組成物> 本発明の光硬化性樹脂組成物は、重合性化合物と光重合開始剤を有効成分として含有するものである。 以下ではまず、重合性化合物について説明し、次いで光重合開始剤について説明する。<重合性化合物> 重合性化合物としては、特に制限はなく、構造中に重合可能な部位を有する低分子量(モノマー性)〜高分子量(オリゴマー性)のいずれであってもよい。又、光硬化性樹脂組成物の用途に応じて、構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば光硬化性樹脂組成物を記録材料に利用する場合は、画像部を構成している発色成分の発色反応を促進する部位や、発色を抑制する部位を有していてもよい。 具体的には、例えば、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、オキセタン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、スピロオルソカーボネート化合物等が挙げられる。 分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、特に制限はないが、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリールエーテル類、アリルエステル類、マレイミド類等が挙げられる。 エポキシ化合物としては、特に制限はないが、具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ化ポリブタジエン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロビスフェノールグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる 環状エーテル化合物としては、特に制限はないが、具体的には、ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン等のジオキサン類、トリオキサン、1,3−ジオキセパン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等の化合物を用いることができる。 オキセタン化合物としては、特に制限はないが、具体的には、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオロオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン等が挙げられる。 環状チオエーテル化合物としては、特に制限はないが、具体的には、上記のエポキシ化合物や環状エーテル化合物、オキセタン化合物の酸素が硫黄となる化合物が挙げられる。 スピロオルソエステル化合物としては、特に制限はないが、具体的には、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン等を挙げることができる。 スピロオルソカーボネート化合物としては、特に制限はないが、具体的には、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等の化合物を挙げることができる。 本発明に用いられる重合性化合物としては、これらの中でも、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。 本発明に於ける重合性化合物の含有量としては、光硬化性樹脂組成物の全質量基準で、通常、10〜99.9質量%であり、20〜99質量%が好ましく、30〜95質量%がより好ましい。 <光重合開始剤> 光重合開始剤としては、本発明に係るアントラキノン系化合物を有効成分とする場合と、さらにオニウム塩と組み合わせたものを有効成分とする場合を含むものである。 なお前者の場合では、本発明に係るアントラキノン系化合物が、ラジカル重合を開始させる光重合開始剤として機能し、後者の場合では、本発明に係るアントラキノン系化合物が光増感剤として作用し、光によって酸を発生する機能を有するオニウム塩と組み合わせることで、カチオン重合を開始させる光重合開始剤として機能している。 オニウム塩としては、通常、スルホニウム塩またはヨードニウム塩が使用される。スルホニウム塩としては、S,S,S’、S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルー4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートが挙げられる。 ヨードニウム塩としては、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニルー4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートなどが挙げられる。 本発明に係るアントラキノン系化合物のオニウム塩に対する添加量は、10〜50質量%の範囲で選ぶのが好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%の範囲である。本発明に係るアントラキノン系化合物のオニウム塩に対する添加量が10質量%未満であれは重合が十分に進行しないことがあり、50質量%を超える場合は硬化物の硬度や耐候性が低下することがある。 本発明に係る光重合開始剤の添加量としては、重合性化合物に対し0.01〜10質量%の範囲で選ぶのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。光重合開始剤の添加量が0.01質量%未満であれは重合速度が遅くなり、10質量%を超えると硬化物の物性が悪化する。 <その他の成分> 本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明に係る光重合開始剤以外の光重合開始剤、シランカップリング剤、溶剤、色素、着色剤、界面活性剤、重合禁止剤、消泡剤、酸化防止剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤等の成分を含有していてもよく、目的に応じて用いられる。なお、いずれの成分も、従来公知のものを用いることができる。これら成分は、光硬化性樹脂組成物の全質量基準で、0.01〜20質量%添加されるのが好ましく、0.2〜15質量%添加されるのがより好ましく、0.5〜10質量%添加されるのが特に好ましい。 本発明に係る光重合開始剤以外の光重合開始剤としては、可視光に対して感光性を有するものが好ましく、活性ラジカル生成する活性剤、もしくはカチオン重合を開始させるような開始剤が好ましい。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。シランカップリング剤は、接着性の向上と、硬化時のアウトガス発生量を最小限に抑えるために用いられ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。なお、これらシランカップリング剤は単独または2種以上の組み合わせであってもよい。また、これらのシランカップリング剤は、他のシラン化合物、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランとの脱水縮合によりオリゴマー化処理されていてもよい。 溶剤は、塗布性の改善と粘度調整のために用いられ、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸アルキルエステル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が挙げられる。なお、これら溶剤は単独または2種以上の組み合わせであってもよい。 色素は増感色素として用いられ、従来の光硬化性樹脂組成物に用いられている色素であれば良く、カチオン色素、中性色素又はアニオン色素などが挙げられる。着色剤としては、青色顔料、黄色顔料、赤色顔料、白色顔料、黒色顔料などが挙げられる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。<光硬化性樹脂組成物の調製方法> 本発明の光硬化性樹脂組成物は、少なくとも上記の重合性化合物と光重合開始剤を混合することで得られる。混合の方法としては、分散混合もしくは混練できる公知の方法であれば特に制限はなく、ロールミル法、ボールミル法、サンドミル法などによることができる。 <光硬化性樹脂組成物の用途> 上記方法で得られた光硬化性樹脂組成物は、基材上に塗布したのち、この塗布膜に可視領域の光線を照射することにより硬化させることができる。基材は、寸度的に安定な板状を呈するもののほか、曲面を呈するもの、立体状を呈するものなど、その材質や形状、表面状態等には特に限定されない。例えば寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などのような金属の板、シリコン基盤、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが例示できる 塗布方法としては、光硬化性樹脂組成物を基材表面に塗布できる方法であれば特に制限はなく、バーコート法、スプレーコート法などによることができる。また、基材上に設けた光硬化性樹脂組成物の層の上には、空気中の酸素による重合禁止作用を防止する目的で、例えばポリビニルアルコール、酸性セルロース類などのような酸素遮断性に優れたポリマーよりなる保護層を設けることも任意である。基材表面に塗布した光硬化性樹脂組成物は、波長300nm〜1000nmの光源からの光照射によって硬化させることができる。 本発明の光硬化性樹脂組成物は、300〜 500nmの波長の活性エネルギー線を照射することにより、速やかに硬化させることができる。この波長範囲の活性エネルギー線を照射できる光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、UV−LEDランプ、青色LEDランプ、白色LEDランプ等の光源が挙げられる。また、太陽光線を使用することもできる。 特に、本発明に係るアントラキノン系化合物は、370〜450nmの範囲に最大吸収波長を有しているので、光硬化性樹脂組成物は、400〜460nm の波長の活性エネルギー線に高感度となり、青色LEDランプを用いて重合させることができ、工業的に非常に有用である。 本発明の光硬化性樹脂組成物を、例えば、フィルム状に塗布して硬化させるには、次の手順で行う。すなわち光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルムなどの基材表面に、例えばバーコーターなどを用いて膜厚5〜300μmになるように塗布する。 本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化終了の確認は、タック・フリーテスト(指触テスト)に基づいて行う。すなわち、光照射によりフィルム表面の光硬化性樹脂組成物のタック(べたつき)が取れるまでの時間を硬化時間として測定するのが一般的であり、この時間が短いほど、硬化反応が速いことを意味する。 このように、本発明の光硬化性樹脂組成物は、通常の光硬化性樹脂組成物と同様に、光硬化型塗料、コーティング、光硬化型封止剤、光硬化型接着剤、光硬化型粘着剤、光硬化型インキ、カラーフィルタ、ホログラム記録媒体、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト、ソルダーレジスト、各種金属や樹脂、ガラス、紙、木材等の表面加工等に利用することが可能である。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 なお、全実施例において、本発明のアントラキノン系化合物の評価方法は、吸収スペクトルとTG−DTAの測定を行った。吸収スペクトルの測定は、資料10mg程度を量りとり、100mLメスフラスコに入れ、トルエン又はN−メチルピロリドンで溶解しメスアップする。溶液をホールピペットで5mL抜き取り、新しい100mLメスフラスコに入れてメスアップする。この溶液を1cm石英製セルに入れ、株式会社日立ハイテクフィールディング社製のU−3500型分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定して、最大吸収波長(λmax)を求めた。最大吸収波長は、感度を示す指標とすることができる。 なお、グラム吸光係数は、吸収スペクトルの最大吸収波長における吸光度(Abs)を求め、下記式よりグラム吸光係数(εg)を求めた。C(濃度)=(10/100)×(5/100) (g/mL)εg=Abs/(C×B) (mL/gcm) B=セル長(1cm)TG−DTAの測定は、資料、約5mgをそれぞれ石英製パンにいれ、株式会社リガク社製の示差熱天秤TG8120を用い、リファレンスとして石英製パンにアルミナ、昇温速度10℃/分として800℃まで測定を行った。 [実施例1]例示化合物(1−5)の合成 DMF115gに、2−クロロアントラキノン20gを加え、撹拌しながら95℃まで加熱昇温させた。チオグリコール酸ブチル14.78gと水酸化ナトリウム3.36gも混合溶液を同温で滴下して加え、9時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物を5%塩酸水400gに排出した後、析出物をろ過、水洗及び乾燥し、例示化合物(1−5)を、黄色結晶で得た。得られた結晶の、原料2−クロロアントラキノンに対する収率は37.1モル%であり、吸収スペクトルとTG−DTAを測定した。最大吸収波長:385.5nm εg=11460mL/gcmDTA(融点):74.4℃ [実施例2]例示化合物(1−31)の合成 DMF100gに、2−クロロアントラキノン19.9gを加え、撹拌しながら3,6−ジオキサー1,8−オクタンジチオール7.47g、カリウム−tert−ブトキシド9.2gと、2−メチル−2−ブタノール52gを加え、撹拌しながら100℃まで加熱昇温させ1時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物を水400gに排出した後、析出物をろ過、水とメタノールで洗浄後、乾燥し、例示化合物(1−31)を、黄色結晶で得た。得られた結晶の、原料2−クロロアントラキノンに対する収率は92.7モル%であり、吸収スペクトルとTG−DTAを測定した。最大吸収波長:401.5nm εg=15550mL/gcmDTA(融点):212.5℃ [実施例3]例示化合物(1−9)の合成 DMF360gに、2−クロロアントラキノン60gを加え、撹拌しながら90℃まで加熱昇温させた。2−メルカプトエタノール20.85gと水酸化ナトリウム10.0gも混合溶液を同温で滴下して加え、8時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物を水400gに排出した後、析出物をろ過、水洗及び乾燥し、2−ヒドロキシエチルチオアントラキノン64.0gを得た。 次に、メチルエチルケトン170gに、2−ヒドロキシエチルチオアントラキノン25.59g、ピリジン9.49gを加え、撹拌しながら50℃まで加熱昇温させた。さらに、アセチルクロライド8.48gを同温で1時間を要して滴下して加え、その後、80℃まで昇温し、同温で1時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物を水100gとメタノール100gの混合溶液に排出した後、析出物をろ過、メタノールで洗浄後、乾燥し、例示化合物(1−9)を、黄色結晶で得た。得られた結晶の、原料2−クロロアントラキノンに対する収率は75.3モル%であり、吸収スペクトルとTG−DTAを測定した。最大吸収波長:388.5nm εg=12970mL/gcmDTA(融点):131.2℃ [実施例4]例示化合物(1−6)の合成 メチルエチルケトン100gに、実施例3で合成した2−ヒドロキシエチルチオアントラキノン14.22g、ピリジン4.75gを加え、撹拌しながら60℃まで加熱昇温させた。さらに、プロピオン酸クロライド5.09gを同温で30分を要して滴下して加え、その後、80℃まで昇温し、同温で1時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物をメタノール200gに排出した後、析出物をろ過、メタノールで洗浄後、乾燥し、例示化合物(1−6)を、黄色結晶で得た。得られた結晶の、原料2−クロロアントラキノンに対する収率は80.6モル%であり、吸収スペクトルとTG−DTAを測定した。最大吸収波長:389.0nm εg=12730mL/gcmDTA(融点):106.5℃ [実施例5]例示化合物(1−25)の合成 メチルイソブチルケトン160gに、実施例3で合成した2−ヒドロキシエチルチオアントラキノン25.59g、ピリジン7.11gを加え、撹拌しながら60℃まで加熱昇温させた。さらに、プロピオン酸クロライド5.09gを同温で2時間を要して滴下して加え、その後、80℃まで昇温し、同温で1時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物を水100gとメタノール100gの混合溶液に排出た後、析出物をろ過、メタノールで洗浄後、乾燥し、例示化合物(1−25)を、黄色結晶で得た。得られた結晶の、原料2−クロロアントラキノンに対する収率は87.9モル%であり、吸収スペクトルとTG−DTAを測定した。最大吸収波長:389.0nm εg=12210mL/gcmDTA(融点):134.3℃ [実施例6]評価試験重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート5gに、光重合開始剤として実施例1で合成した例示化合物(1−5)10mg加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射した。青色LEDランプを照射しつつ、タックフリーテストを行った。塗布面に青色LEDランプを照射することによりタック(ベタツキ)がなくなるので、フィルム表面の硬化膜を指先で触り、硬化膜のタックが無くなるまでの時間をタックフリータイムとした。この例のタックフリータイムは、12秒であった。 [実施例7]評価試験重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート5gに、光重合開始剤として実施例2で合成した例示化合物(1−31)10mg加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、14秒であった。 [実施例8]評価試験重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート5gに、光重合開始剤として実施例3で合成した例示化合物(1−9)10mg加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、20秒であった。 [実施例9]評価試験重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート5gに、光重合開始剤として実施例4で合成した例示化合物(1−6)10mg加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、24秒であった。 [実施例10]評価試験重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート5gに、光重合開始剤として実施例5で合成した例示化合物(1−25)10mg加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、36秒であった。[比較例1]評価試験実施例6において、光重合開始剤として例示化合物(1−5)を、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンに変更したほかは、実施例6に記載したのと同様の手順で組成物を調整し、ポリエステルフィルム表面に塗布し、同様の手順で青色LEDランプを照射した。同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、59秒であった。上記実施例6〜10及び比較例1より、本発明のアントラキノン系化合物が光ラジカル重合における光重合開始剤として効果を有し、本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、優れた効果速度を有していることが分かる。 [実施例11] 評価試験重合性化合物としてダウ・ケミカル社製UVR6105(脂環式エポキシ化合物)100gに、光重合開始剤として4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート2.5g、光増感剤として実施例1で合成した例示化合物(1−5)1.0gを加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を10mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、15秒であった。 [実施例12] 評価試験重合性化合物としてダウ・ケミカル社製UVR6105(脂環式エポキシ化合物)100gに、光重合開始剤として4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート2.5g、光増感剤として実施例2で合成した例示化合物(1−31)1.0gを加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を10mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、18秒であった。樹脂組成物は、優れた効果速度を有していることが分かる。 [実施例13] 評価試験重合性化合物としてダウ・ケミカル社製UVR6105(脂環式エポキシ化合物)100gに、光重合開始剤として4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート2.5g、光増感剤として実施例3で合成した例示化合物(1−9)1.0gを加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を10mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、23秒であった。 [実施例14] 評価試験重合性化合物としてダウ・ケミカル社製UVR6105(脂環式エポキシ化合物)100gに、光重合開始剤として4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート2.5g、光増感剤として実施例4で合成した例示化合物(1−6)1.0gを加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を10mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、31秒であった。 [実施例15]評価試験重合性化合物としてダウ・ケミカル社製UVR6105(脂環式エポキシ化合物)100gに、光重合開始剤として4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート2.5g、光増感剤として実施例5で合成した例示化合物(1−25)1.0gを加え、常温で均一に混合し光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を、ポリエステルフィルム(商品名:ルミラー、厚さ100ミクロン)の表面に、バーコーター法によって膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、このポリエステルフィルムを窒素雰囲気下に置き、光硬化性樹脂組成物の塗布面に青色LEDランプで、照射強度を10mw/cm2として照射した。実施例6におけると同様の方法でタックフリータイムを測定したところ、35秒であった。[比較例2]評価試験実施例11において、光重合開始剤として例示化合物(1−5)を加えないこと以外は、実施例11に記載したのと同様の手順で組成物を調整し、ポリエステルフィルム表面に塗布し、同様の手順で青色LEDランプを照射した。同様の方法でタックフリータイムを測定したが、30分照射後も硬化しなかった。上記実施例11〜15及び比較例2より、本発明のアントラキノン系化合物が光ラジカル重合における光重合開始剤として効果を有し、本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、優れた効果速度を有していることが分かる。[実施例16]溶出試験実施例6において、光硬化性樹脂組成物を塗布したポリエステルフィルムを2cm×2cmのサイズに切り、窒素雰囲気下、塗布面に青色LEDランプで、照射強度を3mw/cm2として照射しつつ硬化させた。次いで、メチルエチルケトン20mL中に25℃で15時間放置したのち、取り出して乾燥し、UVスペクトルを測定した。なお、実施例6で光重合開始剤として使用した実施例1で合成した例示化合物(1−5)の最大吸収波長である385.5nmにおけるUV吸収強度を比較したところ、変化が認められなかったことから本発明のアントラキノン系化合物は、溶出していないことがわかる。 本発明のアントラキノン系化合物を含む光硬化性樹脂組成物は、従来の光硬化性樹脂組成物と比較して波長400nm以上の可視領域の光線に対して高感度であり、電子材料分野や記録表示材料分野において有利である。また、本発明のアントラキノン系化合物は、光ラジカル重合においては光重合開始剤として用いられると共に、光カチオン重合においては光増感剤として優れた効果を示し、硬化物からの溶出性がなく環境面でも優れた光硬化性樹脂組成物を提供する。下記一般式(1)で表されるアントラキノン系化合物〔式中、X及びAは互いに独立に、二価の有機残基を表し、Yは炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から構成される二価の連結基を表し、nは1または2の整数を表す。ただし、nが1である場合、Aは直鎖状または分岐状のアルキル基を表す〕二価の有機残基が、直鎖状または分岐状アルキレン基、脂環式アルキレン基から選択される基である請求項1記載のアントラキノン系化合物二価の連結基が、フェニレン基、メチレン基、置換または未置換のイミノ基、エステル基、置換または未置換のアミド基、置換または未置換のウレタン基、エーテル基から選択される基である請求項1又は2のアントラキノン系化合物請求項1〜3のアントラキノン系化合物から選ばれる1種を光重合開始剤として含む、光硬化性樹脂組成物。請求項1〜3のアントラキノン系化合物から選ばれる1種を光カチオン重合の光増感剤として含む、光硬化性樹脂組成物。 【課題】 特定構造を有するアントラキノン系化合物を用い、可視領域の光線に対して高感度で電子材料分野や記録表示材料分野において有利な光硬化性樹脂組成物を提供する。光ラジカル重合においては光重合開始剤として、光カチオン重合においては光増感剤として優れた効果を示す。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるアントラキノン系化合物〔式中、X及びAは互いに独立に、二価の有機残基を表し、Yは炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から構成される二価の連結基を表し、nは1または2の整数を表す。ただし、nが1である場合、Aは直鎖状または分岐状のアルキル基を表す〕 【選択図】 なし


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