タイトル: | 公開特許公報(A)_慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物 |
出願番号: | 2013072191 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/198,A61P 11/00,A61K 35/74,A61K 31/702,A61K 31/715,A23L 1/302,A23L 1/308,A23L 1/30,A23L 1/305 |
友田 恒一 久保 薫 吉川 雅則 木村 弘 清水 金忠 小田巻 俊孝 JP 2014196260 公開特許公報(A) 20141016 2013072191 20130329 慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物 公立大学法人奈良県立医科大学 507126487 森永乳業株式会社 000006127 後藤 幸久 100101362 羽明 由木 100152559 友田 恒一 久保 薫 吉川 雅則 木村 弘 清水 金忠 小田巻 俊孝 A61K 31/198 20060101AFI20140919BHJP A61P 11/00 20060101ALI20140919BHJP A61K 35/74 20060101ALI20140919BHJP A61K 31/702 20060101ALI20140919BHJP A61K 31/715 20060101ALI20140919BHJP A23L 1/302 20060101ALI20140919BHJP A23L 1/308 20060101ALI20140919BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140919BHJP A23L 1/305 20060101ALI20140919BHJP JPA61K31/198A61P11/00A61K35/74 AA61K31/702A61K31/715A23L1/302A23L1/308A23L1/30 ZA23L1/305 6 OL 14 4B018 4C086 4C087 4C206 4B018MD19 4B018MD23 4B018MD31 4B018MD47 4B018MD87 4B018ME14 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA01 4C086EA20 4C086MA03 4C086MA04 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA59 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC59 4C087BC60 4C087MA02 4C087NA05 4C087NA14 4C087ZA59 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA53 4C206MA03 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA59 本発明は、グルタミン、食物繊維、オリゴ糖、及びビフィズス菌を少なくとも含有し、長期間継続的に摂取することにより慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療効果が得られる組成物に関する。 慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:以後「COPD」と称する場合がある)は喫煙と喫煙感受性を規定する先天的な要因(遺伝的素因)の関連により発症すると考えられる慢性呼吸器疾患であり、本邦では気腫型(肺気腫タイプ)が多くを占める。また近年ではCOPDは全身性炎症を基盤とした様々な併存症を伴う全身性疾患として広く認識されている。とくに栄養障害(体重減少)や骨粗鬆症はCOPDの併存症として知られ、COPD患者の生活の質(QOL)低下の主な要因として認識されているが、これらの併存症の有効な治療法はCOPDの治療法と同様に未だ確立されていない。 COPDおよび併存症を改善すべく全身性炎症を軽減させる目的で各種薬剤が開発され、投与が行われてきたが、効果は十分ではなく副作用も多く、本邦では臨床応用には至っていない。一方、栄養障害にはエネルギー補充療法が行われ、高脂肪食の摂取が推奨された。脂肪は炭水化物やタンパク質に比べ、摂取した栄養素をエネルギーに変換する際に消費される酸素量が少ないため(=呼吸商が低いため)、肺の負担を軽減することができると考えられたからである。しかし、継続的に高脂肪食を摂取することにより食欲不振や腹部膨満感の症状が引き起こされることが多く、長期に摂取し続けることは困難でありCOPDに伴う栄養障害を改善する有用な食材は未だ開発されていない。 更に、COPDの治療若しくは予防について、特許文献1にはオリゴ糖の摂取が有効であると記載されている。また、非特許文献1には食物繊維の摂取が有効であると記載されている。しかし、オリゴ糖や食物繊維の摂取では十分な効果は得られなかった。 前記全身性炎症や栄養障害はCOPDの病態と密接に関連しているだけでなく、独立した予後因子となることも知られている。しかし、これらを改善する有効な手段が未だ確立されていないのが現状である。すなわち、COPDの発症・進展を抑制する有効な方法だけでなく併存症を軽減する方法も確立されていない。特表2008−510803号公報R. Varraso et al.,“Prospective Study of Dietary Fiber and Risk of Chronic Obstructive Pulmonary Disease among US Women and Men" American Journal of Epidemiology 2010, vol.171, p776-784 従って、本発明の目的は、継続的に摂取することにより、COPDの発症および進展を抑制し、併存症である栄養障害や骨粗鬆症を改善する組成物を提供することにある。 本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、COPDは喫煙と喫煙感受性を規定する先天的な要因(遺伝的素因)だけでなく、後天的要因である食生活との関連により発症すると考え、エネルギー吸収の観点からCOPDにおける併存症の標的臓器を消化管とした。そして、消化管、特に腸管及び腸内細菌叢を含めた腸内環境の変化が栄養障害の発症、及びCOPDの進展に関与するとの仮説を立て、肺−消化管ネットワークを想定してラットを使用した実験を行って、下記事項を見いだした。 1.喫煙曝露によって腸内細菌の代謝物であり腸内環境維持に重要な役割を果たす短鎖脂肪酸やビフィズス菌が減少すること 2.胃から産生されるペプチドホルモンであり、摂食促進因子として作用するグレリンの血中濃度が、喫煙曝露によって上昇すること 3.腸内環境維持に重要な食物繊維が欠乏した給餌により血中抗酸化ストレス活性が低下し、前記血中抗酸化ストレス活性は喫煙曝露により更に低下すること 以上の結果を基盤とし、喫煙に加え、現代社会で問題視される食習慣(特に、食物繊維摂取量の低下)がCOPDの発症・進展の後天的要因であることを見いだした。しかし、従来、有効性が指摘されているオリゴ糖と食物繊維に、小腸の機能改善作用を有すグルタミンを併せて肺気腫ラットモデルに給餌した場合ではCOPDの発症・進展を防止する効果が見られなかった。そこで、オリゴ糖、食物繊維、グルタミンに更にビフィズス菌を併せて肺気腫ラットモデルに給餌すると、これらの相乗効果により、腸内環境の改善とともに組織学には肺気腫病変が軽減し、肺機能においても過膨張の指標である残気量の増加が軽減した。また肺内の炎症細胞の増加も軽減した。さらには併存症である栄養障害、及び骨粗鬆症は、いずれも改善した。以上より、オリゴ糖、食物繊維、グルタミン、及びビフィズス菌を併せて使用すると、COPDの発症・進展の抑制だけでなくその併存症をも改善させる効果が得られることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。 すなわち、本発明は、下記成分を少なくとも含有する慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を提供する。 成分(A):グルタミン 成分(B):ビフィズス菌 成分(C):食物繊維 成分(D):オリゴ糖 本発明は、また、成分(B)のビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、及びビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)からなる群から選択される少なくとも1種である前記の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を提供する。 本発明は、また、成分(C)の食物繊維が不溶性食物繊維及び/又は水溶性食物繊維を含む前記の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を提供する。 本発明は、また、成分(D)のオリゴ糖が、D−グルコース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−キシロース、及びD−マンノースからなる群から選択される少なくとも1種の単糖がグリコシド結合により結合されてなる化合物である前記の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を提供する。 本発明は、また、各成分の含有量が下記の通りである前記の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を提供する。 成分(A):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に0.5〜50g 成分(B):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に1×107〜1×109CFU 成分(C):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に0.5〜50g 成分(D):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に1〜50g 本発明は、また、前記の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を含む栄養組成物を提供する。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物は上記構成を有するため、高脂肪食とは異なって長期的に摂取しても食欲不振や腹部膨満感を引き起こすことが無い。そのため、長期に継続的に摂取することが可能であり、継続摂取により腸内環境の著しい改善効果が得られ、COPDの発症を予防し、進展を抑制する効果が得られる。また、COPDにおける主な併存症である栄養障害、及び骨粗鬆症を改善することもできる。 そして、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物は上記のようにCOPDの発症・進展を抑制するだけでなく生活の質(QOL)の低下につながる併存症である全身性炎症、栄養障害、及び骨粗鬆症を改善することができるため、医療費の増加抑制に大いに貢献することができる。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が肺気腫病変を抑制する効果を有することを示す図である。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が肺機能の低下(残気量の増加)を抑制する効果を有することを示す図である。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が肺胞洗浄液中好中球数の増加を抑制する効果を有することを示す図である。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が併存症である栄養障害を抑制する効果を有することを示す図である。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が骨塩量の低下を抑制する効果を有することを示す図である。本発明のCOPDの予防又は治療用組成物が血中グルタミン濃度の上昇を抑制する効果を有することを示す図である。 [慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物] 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物は下記成分を少なくとも含有する。 成分(A):グルタミン 成分(B):ビフィズス菌 成分(C):食物繊維 成分(D):オリゴ糖 (成分(A):グルタミン) グルタミンはアミノ酸の1つであり、小腸上皮細胞や腸管付属リンパ節細胞にエネルギーを供給して機能を改善する作用を有する。 グルタミンの含有量としては、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に、例えば0.5〜50gである。グルタミンの含有量の上限は、好ましくは40g、特に好ましくは20gである。下限は、好ましくは0.8g、特に好ましくは1gである。 (成分(B):ビフィズス菌) 本発明においては、プロバイオティクスとして乳酸菌のなかでも特にビフィズス菌を使用することを特徴とする。ビフィズス菌は腸に届くと、そこで糖を分解して乳酸と短鎖脂肪酸の1つである酢酸を産生するが、産生された酢酸は腸粘膜上皮の増殖促進や保護作用を有し、炎症性サイトカインの抑制作用等による抗炎症、抗潰瘍作用を有するからである。尚、本発明において「ビフィズス菌」とはビフィドバクテリウム属に属する細菌を意味する。 本発明のビフィズス菌としてはビフィドバクテリウム属に属する細菌であればよく、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、及びビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 本発明のビフィズス菌としては胃酸に曝露しても死滅することなく腸まで生きて届くことが好ましく、胃酸耐性を元々有していているビフィズス菌、又は胃酸耐性が付与されたビフィズス菌を使用することが好ましい。 本発明においては、なかでも、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)が、耐酸性及び耐酸素性に優れる点で好ましい。本発明においては、例えば、商品名「BB536」((株)クリニコ製)等の市販品を使用することができる。 ビフィズス菌の含有量としては、COPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に、例えば1×107〜1×109CFU程度である。ビフィズス菌の含有量の上限は、好ましくは5×108CFU、特に好ましくは1×108CFUである。下限は、好ましくは2×107CFUである。 (成分(C):食物繊維) 食物繊維とはヒトの消化酵素で分解されない食品由来の炭水化物ポリマーであり、不溶性食物繊維及び/又は水溶性食物繊維が含まれる。食物繊維は胃で消化されずに腸まで届き、ビフィズス菌の栄養源となる。 食物繊維の構成単位としては、例えばD−グルコース、D−キシロース、D−マンノース、D−ガラクツロン酸、L−ラムノース、D−ガラクトース等を挙げることができる。前記構成単位の重合度は、例えば3以上、好ましくは3〜10である。 前記不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の植物系不溶性食物繊維;キチン、キトサン等の動物又は菌類系不溶性食物繊維等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 前記水溶性食物繊維としては、例えば、ペクチン、グアーガム酵素分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、イヌリン、カラギーナン等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 食物繊維の含有量としては、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に、例えば0.5〜50gである。食物繊維の含有量の上限は、好ましくは40g、特に好ましくは30gである。下限は、好ましくは0.7g、特に好ましくは1gである。 (成分(D):オリゴ糖) 本発明のオリゴ糖は、D−グルコース、D−フラクトース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−マンノース等から選択される少なくとも1種の単糖がグリコシド結合により結合されてなる化合物である。前記単糖の重合度は、例えば2以上、好ましくは2〜10である。オリゴ糖は胃で消化されずに腸まで届き、ビフィズス菌の栄養源となる。 本発明のオリゴ糖の具体例としては、ラクチュロース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等の二糖類;メレジトース、ラフィノース、マルトトリオース等の三糖類;アカルボース、スタキオース等の四糖類等;乳糖果糖オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、デキストリン等の5個以上の単糖が結合されてなる化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のオリゴ糖としては、なかでもラクチュロース(=フラクトース(果糖)とガラクトースからなる二糖類)を少なくとも含有することが好ましい。 オリゴ糖の含有量としては、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に、例えば1〜50gである。オリゴ糖の含有量の上限は、好ましくは40g、特に好ましくは35gである。下限は、好ましくは2gである。オリゴ糖の含有量が上記範囲を上回ると、軟便になる傾向がある。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物には、上記成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲内で他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、ビフィズス菌以外のプロバイオティクスを挙げることができる。ビフィズス菌以外のプロバイオティクスとしては、例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)、ラクトバチルス・プランタラム(L. plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L. buchneri)、ラクトバチルス・ガリナラム(L. gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L. amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L. brevis)、ラクトバチルス・ラムノーサス(L. rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L. kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L. paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L. crispatus)、ラクトバチルス・ゼアエ(L. zeae)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L. helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(L. salivalius)、ラクトバチルス・ガセリ(L. gasseri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L. fermentum)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)、ラクトバチルス・クリスパータス(L. crispatus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ ブルガリカス(L. delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ デルブルッキィ(L. delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L. johnsonii)、ラクトバチルス・ペントサス(L. pentosus)、ラクトバチルス・マリ(L. mali)等のラクトバチルス属細菌;ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌;ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)等のラクトコッカス属細菌;エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)等のエンテロコッカス属細菌;バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌;サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyses cerevisiae)等のサッカロマイセス属に属する酵母;トルラスポラ・デルブルッキィ(Torulaspora delbrueckii)等のトルラスポラ属に属する酵母;キャンジダ・ケフィア(Candida kefyr)等のキャンジダ属に属する酵母等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 更に、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ドロマイト等のミネラル又はその塩;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、リン酸等の酸又はその塩;グルタミン以外のアミノ酸;グルタチオン、フィチン、フィチン酸、リグニン、サポニン、フェルラ酸、γ−アミノ酪酸、γ−オリザノール、カルコン、フラバノン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、アントシアン、カテキン、プロアントシアニジン、茶葉ポリフェノール、クルクミド、カプサイシノイド、セサミノール、ゴマリグナン、テアフラビン、β−ジケトン類、カロチノイド類、アリルイオウ化合物、イソチオシアナート類、テルペン類、クロロフィル類、飽和脂肪酸類、多価不飽和脂肪酸類、共役リノール酸類、リン脂質類、植物ステロール類、卵タンパク、乳タンパク、米タンパク、大麦タンパク、小麦タンパク、魚肉タンパク、コラーゲン等の天然物成分;ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD類、ビタミンE、ビタミンK類、β−カロチン、レチノイン酸、葉酸等のビタミン;イチョウ葉、ドクダミ、ナツメ、クコシ、甘草、霊芝、高麗ニンジン等のエキス又はその抽出成分等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。 更にまた、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の、若しくは将来的に見出され得るCOPDの予防又は治療効果を有する薬剤を併用することができる。併用する薬剤は、本発明のCOPDの予防又は治療用組成物中に含有させてもよいし、含有させなくてもよい。 上記他の成分の含有量(2種以上を含有する場合はその総量)は、COPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に、例えば94g以下である。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物は、上記成分を混合することにより調製することができる。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物(不揮発分)の1日の有効摂取量としては、例えば6〜20g程度である。有効摂取量の上限は、好ましくは18g、特に好ましくは15gである。下限は、好ましくは10g、特に好ましくは13gである。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の1日の有効摂取量におけるグルタミン含有量としては、例えば0.03〜0.6g程度である。グルタミン含有量の上限は、好ましくは0.5g、特に好ましくは0.4gである。下限は、好ましくは0.1g、特に好ましくは0.2gである。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の1日の有効摂取量におけるビフィズス菌含有量としては、例えば1.5×106〜1×109CFU程度である。ビフィズス含有量の上限は、好ましくは5×108CFUである。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の1日の有効摂取量における食物繊維の含有量としては、例えば0.03〜0.6g程度である。食物繊維含有量の上限は、好ましくは0.4gである。下限は、好ましくは0.05g、特に好ましくは0.1gである。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の1日の有効摂取量におけるオリゴ糖含有量としては、例えば0.15〜1g程度である。オリゴ糖含有量の上限は、好ましくは0.8gである。下限は、好ましくは0.3gである。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の摂取方法としては、経口摂取、及び経腸摂取等を挙げることができる。剤型は経口摂取又は経腸摂取可能な剤型であれば特に制限されることがない。 本発明のCOPDの予防又は治療用組成物の経口摂取方法としては、例えば、錠剤(糖衣錠、腸溶性コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(腸溶性カプセル、ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、封入リポソーム剤、液剤、及びこれらの徐放製剤等の剤型に製剤化したものを摂取する方法や、飲食品(例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;そば、うどん、はるさめ、ギョウザの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;惣菜、パン類;健康補助食品等の機能性食品等)に添加して飲食品と共に摂取する方法を挙げることができる。 製剤化においては通常の経口薬剤に汎用される担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、溶剤等の添加剤を使用することができる。 前記担体及び賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、及びゲンチアナ末等を挙げることができる。 前記結合剤としては例えば、澱粉、ゼラチン、グルコース、ガラクトース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。 前記崩壊剤としては、例えば、澱粉、寒天、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等挙げることができる。 前記滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴール等を挙げることができる。 前記着色剤としては、医薬品に添加することが許容されている着色剤を使用することができ、例えば、赤色2号、黄色4号、及び青色1号等を挙げることができる。 前記錠剤及び顆粒剤は、必要に応じて、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、ゼラチン、ソルビトール、グリセリン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、及び(メタ)アクリル酸重合体等により被膜することができる。 本発明のCOPDの予防(例えば発症の予防)又は治療用組成物の経腸摂取方法としては、例えば、経腸栄養剤等に添加して摂取する方法を挙げることができる。 本発明のCOPDの予防(例えば発症の予防)又は治療用組成物は上記成分(A)〜(D)を組み合わせた構成を有するため、摂取することにより腸内環境の改善(回盲部重量の増加:腸内細菌叢の有機酸産生の亢進)と共に、肺気腫病変の軽減、増加した残気量の軽減(肺機能の改善)、肺内の好中球の減少(肺内炎症の軽減)効果を得ることができ、更には併存症である栄養障害および骨粗鬆症を共に軽減することができる。その上、発症前から摂取することでCOPDの発症・進展を抑制、若しくは発症を遅らせる効果も発揮することができる。 [栄養組成物] 本発明の栄養組成物は、上記COPDの予防又は治療用組成物を含む栄養組成物であり、例えば、経腸栄養剤、経口流動食又は経腸流動食、医療食、栄養補給飲食品、サプリメント、及び飲食品等の栄養組成物に上記COPDの予防又は治療用組成物を添加することにより製造することができる。 前記飲食品としては、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、スポーツ飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;そば、うどん、はるさめ、ギョウザの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;惣菜、パン類;健康補助食品等の機能性食品等を挙げることができる。 上記COPDの予防又は治療用組成物の添加量としては、特に制限されることがなく適宜調整することができるが、上記COPDの予防又は治療用組成物の1日の摂取量が上記範囲となる範囲内であることが好ましい。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 実施例1 商品名「オオツカGFO」[不揮発分15g中にグルタミン3.0g、食物繊維(ポリデキストロース)5.0g、オリゴ糖6.01g(乳糖果糖オリゴ糖3g)含有、大塚製薬(株)製]と、商品名「BB536」(不揮発分2g中にタンパク質量0.17gを含み、ビフィズス菌を5×107CFU/g含有。(株)クリニコ製)を、5:1(前者:後者、重量比)の割合で混合してGFOB組成物(不揮発分100g中に、成分(A)を16.7g、成分(B)を2.7×107CFU、成分(C)を27.8g、成分(D)を33.3g含有)を得た。 評価 実施例で得られたGFOB組成物について下記実験によりCOPDの予防・改善性を評価した。 実施条件 雄SHRラットに、マウスラット用標準飼料(「AIN−93G」、日本クレア(株)製)100重量部に実施例で得られたGFOB組成物を6重量部添加して得られる餌(以後「GFOB食」と称する場合がある)を与えつつ(給餌量:約20g/日)、8週間にわたり喫煙曝露を行った。 8週間後の肺(組織像、肺機能、肺胞洗浄液中の好中球数)、体重、骨塩量、および血中グルタミン濃度の変化について検討した(各試験群あたり5匹)。 対照例として、上記喫煙曝露をすること無く、マウスラット用標準飼料(「AIN−93G」、日本クレア(株)製)のみ(以後「標準食」と称する場合がある)を給餌した例を実施した。 また、比較例として、マウスラット用標準飼料(「AIN−93G」、日本クレア(株)製)から繊維成分を取り除いた餌(以後、「コントロール食」と称する場合がある)を与え、上記喫煙曝露を行ってCOPDを作製した例を実施した。 尚、喫煙曝露は、M.I.P.S.社(大阪市)製の喫煙曝露装置を用いて20分間でタバコ(商品名「マイルドセブン」、日本たばこ産業(株)製)30本を強制喫煙させた。喫煙回数は2回/1日で、1週間に6日間実施した。 評価は以下の方法に従って実施した。 (1)肺組織所見:ラットを解剖し、摘出した肺をHE染色して病理検査を行った。 (2)肺機能:ラットを全身麻酔下で強制換気した後に体重1gあたりの機能的残気量(FRC:functional residual capacity)(mL)を測定した。 (3)肺胞洗浄液中の好中球数:ラットを解剖して摘出した肺を洗浄し、肺胞洗浄液中の好中球数(102/mL)を計測した。 (4)体重:体重計を使用して体重(g)を測定した。 (5)骨塩量:大腿骨の骨塩量(mg)をDEXA法により測定した。 (6)血中グルタミン濃度:血中のグルタミン濃度(nmol/mL)をアミノ酸分析計で測定した。 評価結果 (1)肺組織所見の結果 比較例(COPD(肺気腫)群、図1(a))で認められた肺胞壁破壊を伴う肺胞腔の拡大はGFOB食群により、その抑制が認められた(図1(b))。 (2)肺機能の結果 対照群に比べて比較群(COPD(肺気腫)群)では残気量の増加が認められたが、GFOB食群によって残気量の増加の程度が緩和された(図2)。なお、残気量は肺の過膨張の指標で肺気腫の肺機能低下の指標の一つである。 (3)肺胞洗浄液中好中球数の結果 対照群に比べて比較群(COPD(肺気腫)群)では好中球数が増加したがGFOB食群によって好中球数の増加の程度が緩和された(図3)。 (4)体重の結果 対照群に比べて比較群(COPD(肺気腫)群)では体重が減少したがGFOB食群によって体重の減少が緩和された(図4)。 (5)骨塩量の結果 対照群に比べて比較群(COPD(肺気腫)群)では骨塩量が減少したがGFOB食群によって骨塩量の減少が緩和された(図5)。 (6)血中グルタミン濃度の結果 対照群に比べて比較群(COPD(肺気腫)群)ではグルタミン濃度が上昇したが、GFOB食群によってグルタミン濃度は対照群の濃度まで低下した(図6)。 下記成分を少なくとも含有する慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物。 成分(A):グルタミン 成分(B):ビフィズス菌 成分(C):食物繊維 成分(D):オリゴ糖 成分(B)のビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、及びビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物。 成分(C)の食物繊維が不溶性食物繊維及び/又は水溶性食物繊維を含む請求項1又は2に記載の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物。 成分(D)のオリゴ糖が、D−グルコース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−キシロース、及びD−マンノースからなる群から選択される少なくとも1種の単糖がグリコシド結合により結合されてなる化合物である請求項1〜3の何れか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物。 各成分の含有量が下記の通りである請求項1〜4の何れか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物。 成分(A):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に0.5〜50g 成分(B):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に1×107〜1×109CFU 成分(C):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に0.5〜50g 成分(D):慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物(不揮発分)100g中に1〜50g 請求項1〜5の何れか1項に記載の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を含む栄養組成物。 【課題】継続的に摂取することにより、COPDの発症および進展を抑制し、併存症である栄養障害や骨粗鬆症を改善する慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物、及び前記慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物を含む栄養組成物を提供する。【解決手段】本発明の慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物は、下記成分を少なくとも含有する。 成分(A):グルタミン 成分(B):ビフィズス菌 成分(C):食物繊維 成分(D):オリゴ糖【選択図】なし