生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ポリビニルアルコール樹脂用可塑剤
出願番号:2013070011
年次:2014
IPC分類:C07H 15/08,C08L 3/12,C08L 29/04


特許情報キャッシュ

畑 俊一郎 蓑内 裕 藤瀬 圭一 JP 2014193815 公開特許公報(A) 20141009 2013070011 20130328 ポリビニルアルコール樹脂用可塑剤 第一工業製薬株式会社 000003506 河村 洌 100098464 藤森 洋介 100149630 加藤 敬子 100110984 三嶋 眞弘 100111279 畑 俊一郎 蓑内 裕 藤瀬 圭一 C07H 15/08 20060101AFI20140912BHJP C08L 3/12 20060101ALI20140912BHJP C08L 29/04 20060101ALI20140912BHJP JPC07H15/08C08L3/12C08L29/04 D 6 OL 11 4C057 4J002 4C057AA18 4C057BB02 4C057BB03 4C057BB04 4C057CC01 4C057DD01 4C057JJ08 4J002AB04X 4J002AB05X 4J002BE02W 4J002FD02X 4J002GG00 4J002GK00 4J002GK04 4J002GN01 本発明は、ポリビニルアルコール(以下、適宜、「PVA」という)樹脂の可塑剤として有用な糖誘導体、該糖誘導体を含んでなるPVA樹脂組成物、および、該樹脂組成物から形成されたPVA樹脂フィルムに関する。 ポリビニルアルコール樹脂は、水溶性高分子であり、透明性、光沢性、耐油性、造膜性、ガスバリア性に優れ、さらに帯電性が低く汚れにくいため、紙用サイジング剤、合成繊維の原料などとして利用され、特に、繊維製品等の包装材料フィルムとして広く利用されている。PVA樹脂フィルムは、高湿度下では水の可塑化効果のために柔軟で強固なフィルムであるが、低湿度下では柔軟性を失い、それにより強度が落ちて破れやすくなる。そこで、低湿度下におけるPVA樹脂フィルムの硬化や、それによる強度低下を防止するために、可塑剤を用いるのが一般的である。 従来から、PVA樹脂フィルムの可塑剤として、グリセリンやジグリセリンなどの多価アルコールが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、グリセリンは良好な可塑化効果を示すものの、PVA樹脂フィルムからの移行性が大きく、さらに揮散しやすいため、効果の持続性に劣り、PVA樹脂フィルムの柔軟性が低下する欠点を有している。また、ジグリセリンは、効果の持続性はグリセリンよりも優れているものの、柔軟性の向上という、本来求められる効果が不十分という欠点を有している。 さらに、3〜6価アルコール(糖アルコール等)のアルキレンオキサイド付加物や(例えば、特許文献2)、炭素数6以上の糖のアルキレンオキサイド付加物(例えば、特許文献3)も知られているが、これらは、効果の持続性においては、グリセリンやジグリセリンより優れているものの十分ではなく、さらに、柔軟性の向上という本来求められる効果において不十分という欠点を有している。特開平7−18145号公報特開平9−296088号公報特開2005−272620号公報 本発明は、PVA樹脂用可塑剤として、PVA樹脂の柔軟性向上効果が大きく、PVA樹脂組成物からの移行性が少なく、PVA樹脂組成物の経時的な物性低下を抑えることのできる糖誘導体、該糖誘導体を含んでなるPVA樹脂組成物、および、該樹脂組成物から形成されたPVA樹脂フィルムを提供しようとするものである。 本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意研究を進めた結果、糖の末端水酸基にアルキレンオキサイドを付加重合し、さらにその末端水酸基をアリールアルキル基でエーテル化(封鎖)した化合物が、上記課題を解決する優れた特性を示すことを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。 すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される糖誘導体に関する。 R1{−(A−O−)nR2}m (1)(式中、R1は糖を表し、Aは糖の水酸基に結合したアルキレン基を表し、R2はアリールアルキル基を表し、mは糖1分子あたりの水酸基数を表し、nは糖の水酸基1個あたりの、ポリオキシアルキレン基の付加数であって、0.1〜10.0の範囲の数を表す。) 上記糖誘導体において、糖は、単糖であるアミロース、アルトース、グルコース、およびマンノース;二糖であるトレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、およびツラノース;三糖であるゲンチアノース、ラフィノース、およびパノース;四糖であるスタキオース;並びに、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルオリゴ糖、およびマトオリゴ糖からなる群から選択される1または2以上であることが好ましい。 上記糖誘導体において、糖は、二糖であることが好ましい。 また、本発明は、ポリビニルアルコール樹脂と、上記糖誘導体とを含んでなるポリビニルアルコール樹脂組成物に関する。 上記ポリビニルアルコール樹脂組成物において、糖誘導体の含有量は、ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。 さらに、本発明は、上記ポリビニルアルコール樹脂組成物から形成された厚さ10〜100μmのPVA樹脂フィルムに関する。 本発明の糖誘導体(1)は、PVA樹脂の可塑剤として、PVA樹脂の柔軟性を向上させることができるほか、これを配合したPVA樹脂組成物からの移行性が少なく、PVA樹脂組成物の経時的な物性低下を抑えることができるという、優れた効果を奏する。 本発明を構成する各要素について、以下説明する。(糖誘導体) 本発明の糖誘導体(1)において、R1の糖としては、アミロース、アルトース、グルコース、マンノース等の単糖、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノース等の二糖、ゲンチアノース、ラフィノース、パノース等の三糖、スタキオース等の四糖が挙げられる。また、砂糖、大豆、乳糖、でん粉等の天然物を、酵素変換(加水分解や脱水縮合を含む)や異性化を経て分離・精製することにより得られる、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルオリゴ糖、マトオリゴ糖などの天然物由来の混合物も利用することができる。これらのうち、二糖が好ましく、特に、スクロースが好ましい。 R1の糖は、1種または2種以上の糖であってもよい。 糖誘導体(1)において、A(糖の水酸基に結合したアルキレン基)としては、例えばC2-4のアルキレン基が挙げられ、好ましい具体例としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。 糖誘導体(1)において、付加させるアルキレンオキサイドの重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイドの単独重合体、または、2種類以上のアルキレンオキサイドのランダム共重合体、ブロック共重合体もしくはランダム/ブロック共重合体等のいずれであってもよい。 こうして付加されたポリオキシアルキレン基の付加数は、糖の水酸基1個当たりの付加数として、「n」で表される。かかるnの値は、0.1〜10.0の範囲の数であり、好ましくは1.0〜8.0、より好ましくは1.0〜7.0である。nが10.0より大きくなると、PVA樹脂に対する相溶性が不十分になる場合があり、0.1より小さくなると、これを添加したPVA樹脂フィルムの柔軟性が不十分になる場合がある。 糖誘導体(1)のR2のアリールアルキル基において、「アリール基」としては、例えば、6〜10員の置換または非置換アリール基(該アリール基の置換基としては、C1-4のアルキル基等が挙げられる)を挙げることができ、具体的には、置換または非置換フェニル基、置換または非置換ナフチル基等を挙げることができる。より具体的には、フェニル基、トリル基(オルト−、メタ−もしくはパラ−トリル基のいずれの異性体をも含む)、キシリル基(2,3−ジメチルフェニル等のオルト−キシリル基、2,4−ジメチルフェニル等のメタ−キシリル基、もしくは2,5−ジメチルフェニル等のパラ−キシリルなどのいずれの異性体をも含む)、または、α−もしくはβ−ナフチル基等があげられ、このうち、フェニル基が好ましい。 アリールアルキル基の「アルキル基」としては、C1-4のアルキル基が挙げられ、好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられ、このうち、メチル基、エチル基が好ましい。 R2のアリールアルキル基としては、ベンジル基が好ましい。 R2のアリールアルキル基は、1種または2種以上のアリールアルキル基であってもよい。 糖誘導体(1)において、m(糖1分子あたりの水酸基数)は、R1で表される糖が1種類の場合には、その糖が有する水酸基の数を表し、2種類以上の場合には、それらのモル比に応じて加重平均して得られる糖1分子あたりの水酸基数を表す。例えば、R1がスクロースである場合、mは8である。(糖誘導体の製造方法) 本発明の糖誘導体(1)は、一般式(2) R1{−(A−O−)nH}m (2)(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される糖ポリオキシアルキレン付加物と、一般式(3) R2−X (3)(式中、Xはハロゲン原子を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示されるハライド化合物とを反応させ、化合物(2)の末端水酸基をエーテル化(封鎖)することにより、製造することができる。 化合物(2)と化合物(3)の反応は、常法に従い、例えば、化合物(2)の末端水酸基を、アルカリ金属の水酸化物を用いて対応するアルコキシドに変換した後、ハライド化合物(3)と接触させることにより、実施することができる。 アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、ペレット状やフレーク状の固体をそのまま用いてもよく、また工業的に取り扱いの容易な水溶液として用いてもよい。水溶液の濃度は特に制限はないが、一般には、10〜60質量%であることが好ましい。アルカリ金属の水酸化物の使用量は、化合物(2)の末端水酸基に対して、通常、1.0当量以上である。一方、使用量の上限値としては、10当量程度である。使用量が多すぎると、反応液の粘度が上昇するなど操作上の問題が生ずる傾向がある。 ハライド化合物(3)の使用量としては、化合物(2)の末端水酸基に対して、通常、1.0当量以上であれば、収率よくアリールアルキル化が進行するので好ましく、より好ましくは1.1当量以上である。一方、使用量の上限値は、化合物(3)由来の不純物の増加を抑制する意味から、1.5当量程度が好ましく、より好ましくは1.3当量程度である。 ハライド化合物(3)の接触は、化合物(2)の末端水酸基をアルコキシドに変換した化合物に、ハライド化合物(3)を滴下することにより実施することができる。滴下は、通常、0〜100℃の温度で実施され、好ましくは0〜70℃、より好ましくは0〜50℃である。 反応は、反応に影響を与えない溶媒中で行うこともできる。そのような溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。 反応は、滴下終了後、さらに熟成させることにより完了する。反応に要する時間は、通常1〜4時間である。反応終了の確認は、原料および生成物を、然るべき分析手段(例えば、核磁気共鳴スペクトルなど)で追跡することにより可能である。例えば、Aがエチレン基やプロピレン基である場合には、13C−NMR測定で、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークの消失あるいは68ppm付近のオキシプロピレン基の末端炭素のピークの消失、および、120〜140ppmのベンゼン環由来のピークの出現を追跡することができる。 反応終了後、反応混合物を所望により酸(例えば、酢酸、乳酸など)で中和し、これに目的物たる糖誘導体(1)を溶解し得る有機溶媒(例えば、アセトン、メタノール、エタノールなど)を注いで目的物を抽出し、さらに溶媒を除去することにより、糖誘導体(1)を得ることができる。(PVA樹脂組成物) 本発明で用いるPVA樹脂は、ビニルエステルモノマーを重合したポリビニルエステルのけん化物である。ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられる。この中でもコスト的に有利な酢酸ビニルが工業的には好ましく使用される。PVA樹脂は、例えば、アルコールなどの溶媒中でビニルエステルモノマーをラジカル開始剤の存在下で重合させた後、アルカリまたは酸触媒を作用させて部分的にあるいは高度にけん化することによって製造することができる。 PVA樹脂の重合度は、特に限定されないが、強度の点から、粘度平均重合度(以下、重合度と略称する)で300〜8000、好ましくは500〜3000であるのがよい。重合度が300未満ではフィルムとした際の強度が弱くなりやすく、重合度が8000より大きいとフィルムを調製するときの溶液粘度が高くなり、作業性に問題が生じる場合がある。PVA樹脂のけん化度は、フィルムの強度や腰の強さ、および製袋性に大きな影響を与える。 PVA樹脂のけん化度は、70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%である。けん化度が70モル%未満ではフィルムの強度が低下し、かつ水に溶けにくくなるため、水溶液からのキャスト成膜が困難となる傾向がある。 本発明のPVA樹脂組成物において、糖誘導体(1)の配合量は、PVA樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上である。一方、配合量の上限値は、100質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部である。1質量部未満では、PVA樹脂フィルムに十分な柔軟性を与えることができない場合があり、100質量部を超えると、フィルム強度が低下したり、ブロッキング性に問題が生じたりする場合がある。 本発明のPVA樹脂組成物は、糖誘導体(1)の他に、PVA樹脂の可塑剤として知られている可塑剤を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。これらの可塑剤の例としては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類や、これら多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、水などが挙げられる。 本発明のPVA樹脂組成物は、本発明の効果を失わない範囲内で、この分野で通常使用される添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、無機粉体等が挙げられる。また、必要に応じて、本発明の効果を失わない範囲内で、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を添加しても良い。 本発明のPVA樹脂組成物の用途としては、板紙、印刷用紙、情報用紙、耐油紙、剥離紙等の紙用サイジング剤;タイヤコード、レース布、漁網、ロープ、各種テント、シート等の合成繊維の原料;繊維包装用フィルム、水溶性フィルム、食品包装用フィルム、離形用フィルム等のフィルム原料等が挙げられるが、特に限定されるものではない。(PVA樹脂フィルム) こうして得られるPVA樹脂組成物は、これを製膜することにより、PVA樹脂フィルムとすることができる。製膜方法としては、上記本発明のPVA樹脂組成物の水溶液を、熱ロールへ流延するなど、従来公知の任意の方法を用いることができる。 本発明のPVA樹脂フィルムの厚さは、10〜100μmであり、好ましくは20〜75μmである。10μmより薄い場合は、フィルムの強度が低下し破損する場合があり、100μmより厚くなると、厚みのためフィルムの柔軟性が損なわれる場合がある。(原料合成) 本発明において、原料である糖ポリオキシアルキレン付加物(2)は、公知の方法により製造することができ、例えば、本発明で用いる糖に、酸触媒またはアルカリ触媒の存在下、所定量のアルキレンオキサイドを付加反応させ、必要に応じ、触媒を除去することにより、製造することができる。この場合において、付加させるアルキレンオキサイドの重合形態に応じ、例えば、2種類以上のアルキレンオキサイドのランダム共重合体を得る場合には、該2種類以上のアルキレンオキサイドを同時に反応系に投入して反応させることにより、あるいは、2種類以上のアルキレンオキサイドのブロック共重合体を得る場合には、該2種類以上のアルキレンオキサイドを順次投入して反応させることにより、さらに、ランダム共重合およびブロック共重合の混成体を得る場合には、上記ランダム共重合およびブロック共重合を得るための反応を組み合わせることにより、所望の重合形態でポリオキシアルキレンを付加した化合物(2)を得ることができる。 反応終了の確認は、然るべき分析手段(例えば、核磁気共鳴スペクトルなど)で追跡することにより可能である。例えば、Aがエチレン基やプロピレン基である場合には、13C−NMR測定で、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークの生成あるいは68ppm付近のオキシプロピレン基の末端炭素のピークの生成を追跡することができる。 本明細書において、単に「部」というときは、「質量部」を意味する。 以下、実施例にもとづいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。(使用した「PVA樹脂」と「可塑剤」)<PVA樹脂>樹脂1:重合度2000、けん化度99.9モル%のPVA樹脂樹脂2:重合度500、けん化度99.6モル%のPVA樹脂<可塑剤>本発明品1:スクロースに、プロピレンオキサイド26モル(水酸基1個あたり3.3モル)およびエチレンオキサイド24モル(水酸基1個あたり3.0モル)が、この順序でブロック共重合形態で付加した付加物の末端ベンジル封鎖物(n=6.3)本発明品2:スクロースに、プロピレンオキサイド53モル付加物(水酸基1個あたり6.6モル)およびエチレンオキサイド25モル(水酸基1個あたり3.1モル)が、この順序でブロック共重合形態で付加した付加物の末端ベンジル封鎖物(n=9.7)本発明品3:スクロースに、プロピレンオキサイド14モル(水酸基1個あたり1.8モル)が付加した付加物の末端ベンジル封鎖物(n=1.8)比較品1:グリセリン(東京化成工業株式会社製)比較品2:ジグリセリン(東京化成工業株式会社製)比較品3:スクロースのプロピレンオキサイド14モル付加物(株式会社ADEKA製、「アデカポリオールR395」。以下適宜、「スクロース14PO」ともいう。)製造例1(本発明品1の製造)(1)ステンレス製オートクレーブに、アデカポリオールR395(スクロース14PO)37.48g(0.032モル)、触媒として48%水酸化カリウム0.39g(0.0033モル)を添加後、オートクレーブ内を窒素で置換した。次に、温度を120℃、圧力0.2MPaに維持しながらプロピレンオキサイドを22.37g(0.39モル)導入し、引き続き同温で1時間熟成した。続いて温度を130℃、圧力0.2MPaに維持しながらエチレンオキサイドを33.94g(0.77モル)導入し反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、60℃に冷却した。こうして得た反応物を、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR:CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)にかけ、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークや68ppmのオキシプロピレン基の末端炭素のピーク等の生成を確認した。(2)次に、該反応物に、水酸化カリウム33.20g(0.59モル)を追加し、温度を120℃とし、30分間減圧脱水(20〜30mmHg)を行った。そして塩化ベンジル35.79g(0.28モル)を1時間かけて滴下し、2時間熟成した後40℃に冷却した。この溶液へ、酢酸18.76g(0.31モル)を添加して中和した後、アセトン300mlを加え、不溶物をろ別した後にエバポレーターでアセトンを除去し、本発明品1を得た。該本発明品1について、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR:CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)で、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークの消失、および、120〜140ppmのベンゼン環ピークの出現を確認した。製造例2(本発明品2の製造)(1)アデカポリオールR395の使用量を24.92g(0.022モル)、48%水酸化カリウムの使用量を0.47g(0.0040モル)、プロピレンオキサイドの使用量を49.76g(0.86モル)、および、エチレンオキサイドの使用量を24.20g(0.55モル)とした以外は、製造例1−(1)と同様に処理した。こうして得た反応物を、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR:CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)にかけ、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークや68ppmのオキシプロピレン基の末端炭素のピーク等の生成を確認した。(2)水酸化カリウムの使用量を21.21g(0.38モル)、塩化ベンジルの使用量を22.96g(0.18モル)、および、酢酸の使用量を12.04g(0.20モル)とした以外は、製造例1−(2)と同様に処理して、本発明品2を得た。該本発明品2について、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR:CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)で、60〜61ppmのオキシエチレン基の末端炭素のピークの消失、および、120〜140ppmのベンゼン環ピークの出現を確認した。製造例3(本発明品3の製造) ガラス製容器にアデカポリオールR395(スクロース14PO)100.00g(0.10モル)、水酸化カリウム49.32g(0.88モル)を添加し、温度を120℃とし、30分間減圧脱水(20〜30mmHg)を行った。そして塩化ベンジル105.71g(0.84モル)を1時間かけて滴下し、2時間熟成した後40℃に冷却した。この溶液へ酢酸2.64g(0.04モル)を添加して中和した後、アセトン300mlを加え、不溶物をろ別した後にエバポレーターでアセトンを除去し、本発明品3を得た。該本発明品3について、核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR:CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)で、68ppm付近のオキシプロピレン基の末端炭素のピークの消失、および、120〜140ppmのベンゼン環ピークの出現を確認した。実施例1〜4および比較例1〜3(フィルムの調製方法) 表1の記載に従い、PVA樹脂100質量部と可塑剤10質量部とを水500質量部に溶解し、この水溶液を60℃の熱ロールへ流延し、厚さ40μmのフィルムを調製した。こうして得たフィルムを、以下の評価に用いた。結果を表1に示した。(保存試験) 縦20cm、横20cmのフィルムを、綿100%のタオルと綿100%のさらし布とでフィルムの両面を挟み、温度30℃、湿度65%の条件で2週間保存した。(ヤング率) 保存試験前と保存試験後のフィルムについて、それぞれ、温度20℃、湿度65%の条件にて、株式会社オリエンテック製のテンシロンUTM−4Lを用いて、試料幅15mm、つかみ間隔100mm、引張速度100mm/分で応力歪曲線を描かせ、伸度1%の弾性率を、ヤング率として求めた。(可塑剤残存率) 保存試験前と保存試験後のフィルムについて、それぞれ、50℃の減圧乾燥器で5時間乾燥して、水分を除いた後、メタノールでソックスレー抽出を行い、ソックスレー抽出前後のフィルムの重量減量を可塑剤量として求めた。「保存試験後の可塑剤量」を「保存試験前の可塑剤量」で除した値の百分率を「可塑剤残存率」とした。 結果を表1に示す。 表1記載のとおり、本発明の実施例においては、比較例に比べ、保存試験の前後を通じてヤング率が低く抑えられ、柔軟性が高いという結果が得られた。また、可塑剤残存率についても、優れた値を示した。 本発明によれば、PVA樹脂用可塑剤として、PVA樹脂の柔軟性向上効果が大きく、これを配合したPVA樹脂組成物からの移行性が少なく、PVA樹脂組成物の経時的な物性低下を抑えることのできる糖誘導体、該糖誘導体を含んでなるPVA樹脂組成物、および、該樹脂組成物から形成されたPVA樹脂フィルムを提供することができる。下記一般式(1)で示される糖誘導体。 R1{−(A−O−)nR2}m (1)(式中、R1は糖を表し、Aは糖の水酸基に結合したアルキレン基を表し、R2はアリールアルキル基を表し、mは糖1分子あたりの水酸基数を表し、nは糖の水酸基1個あたりの、ポリオキシアルキレン基の付加数であって、0.1〜10.0の範囲の数を表す。)糖が、単糖であるアミロース、アルトース、グルコース、およびマンノース;二糖であるトレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、およびツラノース;三糖であるゲンチアノース、ラフィノース、およびパノース;四糖であるスタキオース;並びに、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルオリゴ糖、およびマトオリゴ糖からなる群から選択される1または2以上である、請求項1記載の糖誘導体。糖が二糖である、請求項1記載の糖誘導体。ポリビニルアルコール樹脂と、請求項1または2記載の糖誘導体とを含んでなるポリビニルアルコール樹脂組成物。糖誘導体の含有量が、ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して、1〜100質量部である、請求項4記載のポリビニルアルコール樹脂組成物。請求項4または5記載のポリビニルアルコール樹脂組成物から形成された、厚さ10〜100μmのPVA樹脂フィルム。 【課題】PVA樹脂用可塑剤として、PVA樹脂の柔軟性向上効果が大きく、PVA樹脂からの移行性が少なく、PVA樹脂の経時的な物性低下を抑えることのできる糖誘導体を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で示される糖誘導体。 R1{−(A−O−)nR2}m (1)(式中、R1は糖を表し、Aは糖の水酸基に結合したアルキレン基を表し、R2はアリールアルキル基を表し、mは糖が有する水酸基の数を表し、nは糖の水酸基1個当たりの、ポリオキシアルキレン基の付加数であって、0.1〜10.0の範囲の数を表す。)【選択図】なし


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