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タイトル:公開特許公報(A)_吸収液に含まれる熱安定性塩の量を分析する方法および被処理ガスから二酸化炭素を回収する方法
出願番号:2013060263
年次:2014
IPC分類:G01N 31/00,B01D 53/62,B01D 53/14,G01N 31/16,C01B 31/20


特許情報キャッシュ

厚朴 美穂 ▲高▼本 成仁 横山 公一 小林 和樹 島村 潤 JP 2014185913 公開特許公報(A) 20141002 2013060263 20130322 吸収液に含まれる熱安定性塩の量を分析する方法および被処理ガスから二酸化炭素を回収する方法 バブコック日立株式会社 000005441 菊間 忠之 100109508 厚朴 美穂 ▲高▼本 成仁 横山 公一 小林 和樹 島村 潤 G01N 31/00 20060101AFI20140905BHJP B01D 53/62 20060101ALI20140905BHJP B01D 53/14 20060101ALI20140905BHJP G01N 31/16 20060101ALI20140905BHJP C01B 31/20 20060101ALI20140905BHJP JPG01N31/00 ZB01D53/34 135ZB01D53/14 103B01D53/14 102G01N31/16 ZC01B31/20 B 5 1 OL 9 2G042 4D002 4D020 4G146 2G042AA01 2G042AA05 2G042BE10 2G042DA02 2G042EA05 2G042FA01 2G042FB03 4D002AA09 4D002AC10 4D002BA02 4D002BA16 4D002CA01 4D002CA07 4D002DA32 4D002EA03 4D002EA05 4D002EA08 4D002EA13 4D002EA14 4D002FA01 4D002GA01 4D002GA03 4D002GB20 4D002HA08 4D002HA10 4D020AA03 4D020BA16 4D020BA19 4D020BB03 4D020BC01 4D020BC06 4D020CB08 4D020CB25 4D020CC09 4D020DA01 4D020DA03 4D020DB09 4D020DB20 4G146JA02 4G146JC08 4G146JC17 4G146JC28 4G146JC37 4G146JD10 本発明は、ボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収するために使用した吸収液に含まれる熱安定性塩の量を簡便且つ迅速に分析する方法およびボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する方法に関する。 火力発電所等においては化石燃料を燃焼させるので、二酸化炭素(CO2)が大量に発生する。二酸化炭素は、温暖化原因物質の一つとして、その排出量の抑制が各国で進められている。二酸化炭素を回収する方法として、現在、最も実用化に近い方法としてアルカノールアミンなどのアミン類を含む液による吸収方法が知られている(例えば、特許文献1など参照)。 燃焼排ガスは、CO2以外に、HCl(塩化水素)、NOx(窒素酸化物)、SOx等の酸性ガス成分; 酸素、窒素、水蒸気などを含んでいる。この燃焼排ガスをアミン類を含む吸収液に接触させると、CO2の他に酸性ガス成分も吸収液に吸収される。酸性ガス成分がアミン類と結合すると無機酸塩を形成する。例えば、HClは塩酸塩を、NOxは硝酸塩を、SO2は硫酸塩を形成する。また、アミン類の分解によって副生するギ酸、蓚酸、酢酸などの有機酸がアミン類と結合すると有機酸塩を形成する。このような有機酸塩や無機酸塩などは熱的に安定な塩(以後、熱安定性塩(Heat Stable Salt)ということがある。)である。熱安定性塩は、金属を腐食させたり、CO2の吸収能力を低下させたりする。 熱安定性塩の生成によるアルカノールアミン水溶液のCO2吸収能力の低下を補うために、例えば、特許文献1は、アルカノールアミン水溶液中の硫酸イオンと亜硫酸イオンを中和するだけの量のアルカノールアミンを補給しながら行う、二酸化炭素の回収方法を提案している。特許文献2は、熱安定性塩を含有するアルカノールアミン吸収液をリクレーミングして劣化物をスラッジとして効率的に除去してアルカノールアミン吸収液の損失を低減できる方法を開示している。 吸収液に含まれる熱安定性塩の量の測定は、イオンクロマトグラフによって通常行われる。この測定法においてはクロマトカラムへの負荷を低減するために、測定対象の吸収液を希釈する必要がある。また、分析に長い時間を要するので、データのフィードバックに遅れが生じ、熱安定性塩の量を制御するのが難しい。そのために、二酸化炭素の回収効率が低下したり、高価なアルカノールアミンを廃液とともに大量に損失したりすることがある。特許第3529855号公報特開2011−104580号公報 本発明の目的は、ボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収するために使用した吸収液に含まれる熱安定性塩の量を簡便且つ迅速に分析する方法およびボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する方法を提供することである。 本発明者らは上記目的を達成するために検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。〔1〕 二酸化炭素、アルカノールアミンおよび熱安定性塩を含有する吸収液に、吸収液に含まれる二酸化炭素の当量以上の量の鉱酸を添加して二酸化炭素を追い出し、 二酸化炭素が追い出された吸収液をアルカリ水溶液を用いて中和滴定し、 次いで、中和に要したアルカリの当量から、添加した鉱酸の当量を差し引くことを含む、 吸収液に含まれる熱安定性塩の量を分析する方法。〔2〕 二酸化炭素を含む被処理ガスとアルカノールアミンを含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、 CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、 再生されたCO2リーン吸収液を冷却し、次いで二酸化炭素を吸収させる工程(I)に戻す工程(III)、 CO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液中の熱安定性塩の量を〔1〕に記載の方法で算定する工程(IV)、 再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、および 算定された熱安定性塩の量と所定値とを対比し、その対比結果に基づいて工程(V)の開始および停止を判断する工程(VI)を有する被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。〔3〕 工程(IV)にて用いるCO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液が、工程(III)にて冷却されたCO2リーン吸収液である〔2〕に記載の被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。〔4〕 所定値が全アルカノールアミン量に対して10質量%以下のいずれかの値である〔2〕または〔3〕に記載の被処理ガスから二酸化炭素を回収する方法。〔5〕 工程(VI)は、算定された熱安定性塩の量が全アルカノールアミン量に対して10質量%を超える場合に工程(V)を開始すると判断し、算定された熱安定性塩の量が全アルカノールアミン量に対して3質量%未満の場合は工程(V)を停止すると判断することを含む、〔2〕または〔3〕に記載の被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。 本発明の方法によれば、吸収液に含有する熱安定性塩の量を迅速且つ容易に分析することができる。本発明の方法を採用することによって、リクレーミング装置の運転を最適に制御することができるので、アルカノールアミンの損失を低く抑え、吸収液の組成比を一定にすることができる。本発明の二酸化炭素を回収する方法を実施するための装置の一実施形態を示す系統図である。 本発明の一実施形態に係る吸収液に含まれる熱安定性塩の量を分析する方法は、二酸化炭素、アルカノールアミンおよび熱安定性塩を含有する吸収液に、吸収液に含まれる二酸化炭素の当量以上の量の鉱酸を添加して二酸化炭素を追い出し、二酸化炭素が追い出された吸収液をアルカリ水溶液を用いて中和滴定し、次いで、中和に要したアルカリの当量から、添加した鉱酸の当量を差し引くことを含む。 本発明に使用される吸収液は、二酸化炭素を含む被処理ガスから二酸化炭素を回収するために使用したアルカノールアミンを含有する水溶液であることが好ましい。 アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン(以下、MEA、分子量61.08)、2−(メチルアミノ)エタノール(以下、MAE、分子量:75.12)、2−(エチルアミノ)エタノール(以下、EAE、分子量:89.14)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(以下、AMP、分子量:89.14)、2−(イソプロピルアミノ)エタノール(以下、IPAE、分子量:103.16)のようなアルコール性水酸基を1つ有するアミン類および/またはこれらの混合物が挙げられる。 熱安定性塩は、アルカノールアミンが、二酸化炭素を含む被処理ガス、例えば、ボイラの燃焼排ガスに含まれるNOx、SOx、塩化水素などと反応することによって生成する塩である。 アルカノールアミン水溶液を二酸化炭素回収装置の二酸化炭素吸収液として用いると、アルカノールアミンの一部が燃焼排ガス中の酸成分、例えば、SOxのような無機酸成分と、式(1)〜(5)に示すような反応をして、熱安定性塩を生成する。 SO2 + H2O = H2SO3 (1) H2SO3 + 1/2O2 = H2SO4 (2) H2SO3 + 2RNHCHR'CH2OH = [RNH2CHR'CH2OH]2SO3 (3) [RNH2CHR'CH2OH]2SO3 + 1/2O2 = [RNH2CHR'CH2OH]2SO4 (4) H2SO4 + 2RNHCHR'CH2OH = [RNH2CHR'CH2OH]2SO4 (5) 一方、吸収液に吸収された二酸化炭素は吸収液中に炭酸イオンの形態で存在する。 本発明の方法においては、先ず、前記吸収液に鉱酸を添加する。鉱酸は、水溶液中にて水素イオンを遊離する無機化合物で二酸化炭素を追い出すことができるものであれば特に限定されない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸などが挙げられる。該吸収液に、例えば塩酸を添加すると(6)に示すような反応が起こり、炭酸イオンは二酸化炭素ガスとして放出される。鉱酸は、吸収液に含まれる二酸化炭素の当量以上の量、具体的には、吸収液から二酸化炭素が発泡しなくなるまで、添加する。なお、吸収液中に含まれる二酸化炭素の当量は、アルカリによる滴定で算定してもよいし、ガスクロマトグラフやイオンクロマトグラフによる分析で算定してもよい。なお、当量は、当該物質のモル量と当該物質の価数との積で表わされる量である。例えば、二酸化炭素の当量は、炭酸イオンのモル量に炭酸イオンの価数2を乗じた値である。 CO32- + 2HCl = CO2↑ + H2O + 2Cl- (6) さらに、該吸収液中のアルカノールアミン(RNHCHR'CH2OH)は、(6)で生成した塩素イオン(Cl-)または過剰に添加した塩酸に由来する塩素イオンと(7)に示すような反応をする。 Cl- + RNHCHR'CH2OH = [RNH2CHR'CH2OH]Cl (7) 次に、二酸化炭素が追い出された吸収液に、アルカリ水溶液を加える。アルカリ水溶液は酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。アルカリ水溶液としてはアルカリ金属水酸化物の水溶液、アルカリ土類金属水酸化物の水溶液などが挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムなどが挙げられる。鉱酸によって二酸化炭素が追い出された吸収液に、例えば、アルカリ水溶液としてNaOH水溶液を加えると、上記の(3)または(5)で生成した熱安定性塩が、(8)または(9)に表わされるような反応をして、アルカノールアミンを生成する。 [RNH2CHR'CH2OH]2SO3 + 2NaOH = 2RNHCHR'CH2OH + Na2SO3 (8) [RNH2CHR'CH2OH]2SO4 + 2NaOH = 2RNHCHR'CH2OH + Na2SO4 (9) また、(7)で生成した化合物は(10)に表わされるような反応をして、アルカノールアミンを生成する。 [RNH2CHR'CH2OH]Cl + NaOH = RNHCHR'CH2OH + NaCl (10) (8)〜(10)の反応は中和反応である。中和点の検出は、呈色指示薬を用いて行ってもよいし、pH計を用いて検出してもよい。pHは温度に依存するので、pHの測定は所定の温度にて行うか、またはpHの測定と同時に温度を測定し、測定されたpH値を温度補償することが好ましい。 次に、中和に要したアルカリの当量から、二酸化炭素の追い出しのために添加した鉱酸の当量を差し引く。この差は、熱安定性塩との反応に使用されたアルカリの量に相当するので、これから熱安定性塩の量を算出することができる。 本発明の他の一実施形態に係る被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法は、二酸化炭素を含む被処理ガスとアルカノールアミンを含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、再生されたCO2リーン吸収液を冷却し、次いで二酸化炭素を吸収させる工程(I)に戻す工程(III)、CO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液中の熱安定性塩の量を上述の分析方法で算定する工程(IV)、再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、および算定された熱安定性塩の量と所定値とを対比し、その対比結果に基づいて工程(V)の開始および停止を判断する工程(VI)を有する。 本発明において、工程(I)〜工程(III)は、通常、連続的に且つ同時に行われる。例えば、図1に示すような装置にて行うことができる。 工程(I):被処理ガス11はブロワ12にて吸収塔1の底部3に供給され、充填層2を上昇し、頂部から処理済みガス4として放出される。被処理ガス11はその圧力が常圧以上になっていてもよいし、常圧であってもよい。被処理ガス11の温度は100℃以下が好ましい。充填層2の上部にアルカノールアミンを含むCO2リーン吸収液がノズル6から降り注がれ、充填層2にて被処理ガスと接触し、被処理ガス中の二酸化炭素を吸収し、吸収塔底部に溜まる。底部に溜まった液は、二酸化炭素を豊富に含み、CO2リッチ吸収液と呼ばれる。 工程(II):底部からライン10で抜き出されたCO2リッチ吸収液は熱交換器22にて加熱されて再生塔(脱離塔)13の充填層15の上部にノズル14から降り注がれる。注がれた液は充填層15を下降し、脱離塔の底部に溜まる。脱離塔の底部に溜まる液は、二酸化炭素の含有量が少なく、CO2リーン吸収液と呼ばれる。塔底にはリボイラ23が設置されている。リボイラで気化された蒸気が充填層2を上昇し、充填層2を下降するCO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させる。脱離した二酸化炭素は、水洗部26にてミスト除去され、脱離塔の頂部から排出される。さらに分離器17にて水が回収され、二酸化炭素はライン18にて次工程に送られ、回収した水は脱離塔の水洗部26または吸収塔の頂部のノズル9に供給される。 工程(III):脱離塔の底部に溜まったCO2リーン吸収液は熱交換器22にて冷却されて、吸収塔1に戻される。 工程(IV):装置を循環するCO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液をサンプリングしてそれに含まれる熱安定性塩の量を上述した分析方法で算定する。サンプリングされる吸収液は特に制限されないが、吸収液中のCO2および分解物の含有量が少なく、精度よく分析することができ、且つ高温による分析装置の不具合を避けられるという観点から、熱交換器22にて冷却された後のCO2リーン吸収液が好ましい。図1の装置では、工程(III)にて冷却されたCO2リーン吸収液を少量サンプリングして分析装置に送っている。サンプリング分析は、連続的に行ってもよいし、一定の時間間隔にて行ってもよい。 図1に示す分析装置は脱CO2装置27および中和装置28を備えている。脱CO2装置27ではCO2リーン吸収液に二酸化炭素が発泡放出しなくなるまで鉱酸が添加され、添加された鉱酸の量が計測される。計測された鉱酸の量はデジタル信号またはアナログ信号などに変換して制御装置29に送ることができる。中和装置28では二酸化炭素を放出させたCO2リーン吸収液にアルカリ水溶液を加えて中和する。中和点はpH測定によって検出することができる。pH測定は所定の温度にて行うことが好ましい。そして、該中和に要するアルカリ水溶液の量が計測される。計測されたアルカリ水溶液の量はデジタル信号またはアナログ信号などに変換して制御装置29に送ることができる。 工程(V)および(VI):制御装置29にて、送られてきた信号を処理して、中和に要したアルカリの当量から二酸化炭素放出のために添加した鉱酸の当量を差し引き、その差から全アルカノールアミン量に対する熱安定性塩の量を推算する。なお、全アルカノールアミン量とは、二酸化炭素の回収のために使用する吸収液に含まれるアルカノールアミンの総量である。そして、該熱安定性塩の推算量と事前に設定された値(所定値)とを比較する。その比較に基づいてバルブ30の開度を制御する。例えば、ある所定値未満ではバルブ30を閉じ、他のある所定値超過ではバルブ30を開くなどの制御を行う。バルブ30を開くとリクレーミング装置24の伝熱管に水蒸気が送られる。脱離塔13の底部から抜き出されたCO2リーン吸収液がリクレーミング装置24の伝熱管にて加熱される。そして、CO2リーン吸収液に含まれる熱安定性塩がスラッジとして濃縮され、リクレーミング装置24から取り出される。所定値は、全アルカノールアミン量に対して10質量%以下のいずれかの値であることが好ましい。所定値を10質量%を超える値にすると、吸収液の粘度が急激に上昇したり、フラッディング等の装置トラブルが生じやすくなったりする。リクレーミングに消費される水蒸気の量を少なくするために、例えば、熱安定性塩の推算量が10質量%を超える場合にバルブ30を開いてリクレーミングを開始し、熱安定性塩の推算量が3質量%未満の場合にバルブ30を閉じてリクレーミングを停止することが好ましい。 CO2 12%、O2 7%のほかSO2 500ppmを含有する流速2m3/hの被処理ガス11を塔径50mm充填層2を有する高さ1.4mの吸収塔1の塔底3よりブロワ12を用いて供給した。MEA(分子量61.08g/mol)を30質量%含む水溶液(吸収液)を吸収塔1のノズル6から供給して、液ガス比3.0で充填層2において被処理ガス11と向流接触させて、CO2を吸収する試験を計50時間実施した。 処理済みのガスは、吸収塔上部に設置してある水洗部25で吸収液ミストが補集され、塔頂から系外に排出した。MEA水溶液はCO2を吸収し、その吸収による反応熱のためにノズル6における温度よりも高温となる。吸収塔の底部に溜まった吸収液は抜出ライン10を通って熱交換器22にて加熱されノズル14から再生塔13に供給される。再生塔13では、リボイラ23による加熱で吸収液蒸気が充填層15を上昇し、充填層15を下降する吸収液からCO2を脱離させる。再生塔13の底部から抜き出された吸収液は熱交換器22により冷却されライン5を通ってノズル6から吸収塔1へ戻される。吸収液から脱離されたCO2はノズル20より供給される還流水と充填層26で接触し、次いで冷却器19により冷却されCO2に同伴した水蒸気が凝縮される。分離器17にて凝縮水(還流水)とCO2を分離し、ライン18にてCO2回収工程へ供給する。還流水の一部は還流水ポンプ16で再生塔13へ還流される。この還流水の一部をライン21を通ってノズル9から吸収塔1へ供給する。吸収液ミストを含む処理済みガスとこの還流水とを充填層およびトレイで構成される一段または複数段の水洗部25で向流接触させることにより、処理済みガス中のミストを減少させることができる。水洗部25の下部に溜まった水は、水循環ポンプ7により冷却器8を通った後再びノズル9を通して供給することができる。 吸収塔入口ガス温度は30℃、吸収塔入口液温度は30℃、再生塔入口液温度は100℃、再生塔液温度は最高110℃であった。循環する吸収液量は、MEA2.1kgおよび水4.9kgの計7kgで実験を行った。 模擬排ガスを通気させる前に、吸収塔に供給される吸収液2mlをサンプリング点sから抜出した。これを、三角フラスコに入れ、フラスコごと30℃に調整された湯浴に入れた。撹拌しながら0.5N HCl水溶液(F=1.002)10mlを添加した。泡が消失した後、30℃湯浴中で0.5N KOH(F=0.996)をHCl当量(10.06ml)滴下した。この時のpHを記録し、中和pHとした。 次いで、模擬排ガスを通気し、実験装置が定常状態に達した後、吸収塔に供給される吸収液2mlをサンプリング点sから抜出した。これを、三角フラスコに入れ、フラスコごと30℃に調整された湯浴に入れた。撹拌しながら0.5N HCl水溶液を泡がでなくなるまで添加した。続けて、30℃湯浴中で0.5N KOHを滴下しながらpHを測定した。中和pHに達した点で0.5N KOHの適下を止めた。KOH滴下量から熱安定性塩(HSS)の量(全アルカノールアミン量に対するHSS化したアミン量[wt%])を式(11)および(12)で算出した。 (KOH滴下量[ml] − 10.06[ml])×0.5[mol/L] × F = HSS化したアミン量[mol] (11) HSS化したアミン量[mol] × 61.08[g/mol] ÷ 2100[g] × 100 = 全アルカノールアミン量に対するHSS化したアミン量[wt%] (12) 1時間ごとにサンプリングを行って熱安定性塩(HSS)の量を算出した。HSSの量が全アルカノールアミン量に対して10質量%を超えたときに、バルブ30を開いてリクレーミング装置24の運転を開始させた。HSSの量が全アルカノールアミン量に対して3質量%を下回ったときに、バルブ30を閉じてリクレーミング装置24の運転を停止させた。 以上の操作を実施した結果、HSSの量が10質量%を常に下回り、CO2吸収性能を維持でき、安定に運転できた。イオンクロマトグラフを利用してHSSの量を分析した場合と比較して、廃液が1/5程度と大幅に少なく、希釈などの操作も不必要であるため分析時間も約半分となった。この結果から、本発明に係る分析方法を用いて、二酸化炭素の回収を行うと、吸収液組成を簡便に一定に制御できることが実証された。1…吸収塔、2…充填層、6…ノズル、7…水循環ポンプ、8…冷却器、9…ノズル、10…抜出ライン、11…被処理ガス、12…ブロワ、13…再生塔、14…ノズル、15…下部充填層、16…ポンプ、17…CO2分離器、18…CO2排出ライン、19…冷却器、20…ノズル、21…還流水供給ライン、22…熱交換器、23…リボイラ、24…リクレーミング装置、25…水洗部、26…上部充填層、27…脱CO2装置、28…分析装置、29…制御装置、30…バルブ 二酸化炭素、アルカノールアミンおよび熱安定性塩を含有する吸収液に、吸収液に含まれる二酸化炭素の当量以上の量の鉱酸を添加して二酸化炭素を追い出し、 二酸化炭素が追い出された吸収液をアルカリ水溶液を用いて中和滴定し、 次いで、中和に要したアルカリの当量から、添加した鉱酸の当量を差し引くことを含む、 吸収液に含まれる熱安定性塩の量を分析する方法。 二酸化炭素を含む被処理ガスとアルカノールアミンを含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、 CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、 再生されたCO2リーン吸収液を冷却し、次いで二酸化炭素を吸収させる工程(I)に戻す工程(III)、 CO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液中の熱安定性塩の量を〔1〕に記載の方法で算定する工程(IV)、 再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、および 算定された熱安定性塩の量と所定値とを対比し、その対比結果に基づいて工程(V)の開始および停止を判断する工程(VI)を有する被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。 工程(IV)にて用いるCO2リッチ吸収液またはCO2リーン吸収液が、工程(III)にて冷却されたCO2リーン吸収液である請求項2に記載の被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。 所定値が全アルカノールアミン量に対して10質量%以下のいずれかの値である請求項2または3に記載の被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。 工程(VI)は、算定された熱安定性塩の量が全アルカノールアミン量に対して10質量%を超える場合に工程(V)を開始すると判断し、算定された熱安定性塩の量が全アルカノールアミン量に対して3質量%未満の場合は工程(V)を停止すると判断することを含む、請求項2または3に記載の被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。 【課題】ボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収するために使用した吸収液に含まれる熱安定性塩の量を簡便且つ迅速に分析する方法およびボイラなどの燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する方法を提供する。【解決手段】二酸化炭素、アルカノールアミンおよび熱安定性塩を含有する吸収液に、吸収液に含まれる二酸化炭素の当量以上の量の鉱酸を添加して二酸化炭素を追い出し、アルカリ水溶液を用いて中和滴定し、次いで、中和に要したアルカリの当量から、添加した鉱酸の当量を差し引くことを含む方法で吸収液に含まれる熱安定性塩の量を算定し、算定された熱安定性塩の量と予め設定した所定値とを対比し、その対比結果に基づいて、再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)の開始および停止を判断することによって被処理ガス中の二酸化炭素を回収することができる。【選択図】図1


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