タイトル: | 公開特許公報(A)_高感度(メタ)アクリレート及びラジカル硬化材料 |
出願番号: | 2013034935 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 271/12,C07C 271/24,C08F 22/22 |
長谷 達也 中嶋 一雄 溝口 誠 JP 2014162749 公開特許公報(A) 20140908 2013034935 20130225 高感度(メタ)アクリレート及びラジカル硬化材料 株式会社オートネットワーク技術研究所 395011665 住友電装株式会社 000183406 住友電気工業株式会社 000002130 国立大学法人九州大学 504145342 上野 登 100095669 長谷 達也 中嶋 一雄 溝口 誠 C07C 271/12 20060101AFI20140812BHJP C07C 271/24 20060101ALI20140812BHJP C08F 22/22 20060101ALI20140812BHJP JPC07C271/12C07C271/24C08F22/22 6 OL 22 4H006 4J100 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4J100AL08P 4J100AL08Q 4J100AL62R 4J100AL66P 4J100AL66Q 4J100BA02Q 4J100BA38P 4J100BC04P 4J100BC07Q 4J100CA04 4J100CA05 4J100DA50 4J100JA01 4J100JA03 4J100JA28 4J100JA43 本発明は、(メタ)アクリレート化合物[以下、単に(メタ)アクリレートということもある]及び該(メタ)アクリレートを用いたラジカル硬化材料に関するものであり、更に詳しくは、自動車、電機・電子機器、航空機部材等の、接着材料、コーティング材料、封止材料、モールド成型材料等に用いられる(メタ)アクリレート及びラジカル硬化材料に関するものである。尚、本発明において「(メタ)アクリレート」との記載はアクリレート及び/又はメタクリレートの意味である。 (メタ)アクリレートは、ラジカル硬化性を持ち、それのみ又はラジカル重合開始剤との混合物系で硬化材料として広く用いられている。特に、光ラジカル発生剤との混合物は光硬化材料として、また熱ラジカル発生剤との混合物は熱硬化材料として用いられている。 一般的に硬化材料に用いられている(メタ)アクリレートは、ラジカルの発生箇所のみでしか硬化しないため、光や熱が均一に届きにくい形状の材料を均一に硬化させる事は困難である。そのため、特殊な連鎖移動剤を更に添加してその硬化性を向上させている(例えば、特許文献1参照)。特開2012−251034号公報 上記特許文献1に記載の紫外線硬化性組成物は、(メタ)アクリレートと光重合開始剤からなる紫外線硬化材料と連鎖移動剤を組み合わせたものである。例えば上記連鎖移動剤は、分子量400のポリプロピレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートを過剰のモル数で反応させ、更に残存したイソシアネート基を反応させて末端をアクリレート基とした(メタ)アクリレートと、含金属化合物を配合したものが挙げられる(特許文献1の実施例参照)。 しかしながら、上記記載のように(メタ)アクリレートに連鎖移動剤を加える系では、(メタ)アクリレートと連鎖移動剤を混合する労力や時間が必要であるという問題があった。 また(メタ)アクリレートに連鎖移動剤等の材料を混合する場合、材料どうしの相溶性や粘度等も十分考慮する必要がある。仮に(メタ)アクリレートと連鎖移動剤の混合が不十分である場合や、両者の相溶性が不十分な場合は、作成された硬化材料の物性を損なう虞があるという問題があった。 本発明は上記従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、本願発明が解決しようとする課題は、(メタ)アクリレートとしての感度を高めて硬化性を向上させることが可能であると共に、各種(メタ)アクリレートとの相溶性が良好で、粘度の上昇を抑制することが可能であり、硬化材料の物性を損なう虞のない(メタ)アクリレート及びラジカル硬化材料を提供することにある。 上記課題を解決するために、本発明の(メタ)アクリレート化合物は、 下記式1に示す構造を分子内に1つ以上有し、ラジカル硬化に用いることで、感度が向上することを要旨とするものである。 なお式1中R1は水素原子又はメチル基、R2はC1〜C10のアルキル鎖、R3は、下記式2又は式3のいずれかであり、R4は炭素原子と水素原子から構成されたアルキル鎖である。 また本発明のラジカル硬化材料は、上記の(メタ)アクリレートを含んでいることを要旨とするものである。 本発明の(メタ)アクリレートは、特定の構造を分子内に1つ以上有し、ラジカル硬化に用いることで、感度が向上するものであるから、(メタ)アクリレートとしての感度を高めて硬化性を向上させることが可能であると共に、各種(メタ)アクリレートとの相溶性が良好で、粘度を抑制することが可能である、硬化材料の物性を損なう虞がない。 本発明のラジカル硬化材料は、上記の(メタ)アクリレートを含んでいるから、高い感度が得られ硬化性に優れ、硬化材料の粘度を抑制することが可能であり、物性を損なう虞もない。 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の(メタ)アクリレートは、上記式1の構造を分子内に1つ以上有し、ラジカル硬化に用いることで、深部硬化性等の感度が向上するものである。尚、深部硬化性とは、光源の光や熱源の熱等の届かない深い部分の硬化性のことであり、光硬化の場合には、暗部硬化性ということもある。 式1中R1は、水素原子又はメチル基である。式1の(メタ)アクリレートは、R1が水素原子の場合はアクリロイル基を有するアクリレートであり、R1がメチル基の場合は、メタクリロイル基を有するメタクリレートである。 式1中R2は、C1〜C10のアルキル鎖である。R2のアルキル鎖は、直鎖状でも環状でもよく、不飽和結合や分岐アルキル鎖を含んでいてもよく、置換基、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでいても良い。 式1中R3は、下記式2のウレタン結合又は下記式3のウレア結合のいずれかである。これらの結合を導入することにより、(メタ)アクリレート分子に、連鎖移動作用を持たせることができる。上記(メタ)アクリレートは、式2又は式3の構造のモル含有量(官能基・結合基mol/(メタ)アクリレートの質量)が、0.001mol/g以上であることが好ましい。上記構造を上記範囲とすることで、更に深部硬化性を向上させて硬化材料を高感度化することができる。 式1中R4は、炭素原子と水素原子から構成されたアルキル鎖である。R4は重合物ではないアルキル鎖で、直鎖状でも環状でもよく、不飽和結合や分岐アルキル鎖を含んでいてもよい。このようにR4が、重合物ではないアルキル鎖の構造とすることで、分子構造が単純化され、低分子量に構成することができ、各種アクリレートとの相溶性を高めることができる。式1中R4は、C1〜C18の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル鎖、又はその誘導体のいずれかであることが、更に相溶性が向上する点から好ましい。 上記(メタ)アクリレートは、一分子中にアクリロイル基又はメタアクリロイル基を一つだけ有する単官能(メタ)アクリレート、一分子中にアクリロイル基又はメタアクリロイル基を二つ有する2官能(メタ)アクリレート、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を一分子中に3つ以上有する多官能(メタ)アクリレートのいずれでもよい。(メタ)アクリレートは、粘度等が高くなりすぎず、取り扱いが容易であるという点から、4官能以下のものが好ましく、更に好ましくは3官能以下のものである。 また(メタ)アクリレートが、2官能又は多官能(メタ)アクリレートのように複数のアクリロイル基又はメタクリルロイ基を有する場合、アクリロイル基又はメタクリルロイ基の数に応じて、上記R2、R3の結合部分を複数含んでいてもよい。 上記(メタ)アクリレートは、従来の連鎖移動剤と比較して以下のような利点がある。例えば従来の光又は熱硬化材料等のラジカル硬化材料(以下、単に硬化材料ということもある)の感度を向上させるための連鎖移動剤は、目的とする硬化材料に対し添加剤として用いられている。しかし従来の連鎖移動剤は、目的とする硬化材料に含まれている(メタ)アクリレートとは基本的に構造が異なるため、組合せによっては、お互いに相溶し難く分離や沈殿を生じやすくなる場合がある。(メタ)アクリレートを用いて硬化材料とした際に、例え分離や沈殿が生じタートしても、一部の連鎖移動剤が作用していれば、硬化感度や深部硬化について問題は何ら生じないが、硬化物の物性を向上させようとすると、分離や沈殿を生じた材料では、強度、柔軟性、伸びに悪影響を及ぼし、目的の物性値を得る事は困難となる。前記連鎖移動剤が重合物で高分子量であると、それ自体が高粘度である。更に高分子量の連鎖移動剤は、硬化材料中に前記式2又は式3に記載の構造を十分量導入しようとすると、添加量を増やす必要がある。そのため高分子量の連鎖移動剤を用いると、低粘度の硬化材料を得る事が困難となる虞がある。 従来の連鎖移動剤を使用する代わりに、連鎖移動性を持ち、ラジカル硬化反応を高感度化できる化合物が、通常用いられる(メタ)アクリレートに構造が近似したもの、又はそれ自体が(メタ)アクリレートの構造を持つものであれば、分離や沈殿による硬化物の物性低下の虞も軽減され、若しくは通常の(メタ)アクリレートの代替として用いることができ、しかも重合物でなければ、粘度が必要以上に上がる虞もない。そこで各種化合物を試作検討した結果、上記式1に示す構造の化合物が、それ自体(メタ)アクリレートとして用いることが可能であって、連鎖移動能も持ち合わせている事が判った。 このように上記(メタ)アクリレートは、従来の連鎖移動剤を用いる場合と比較して、硬化材料の物性に対する悪影響を抑制することが可能である。更に上記(メタ)アクリレートは、式1中のR4が、重合物ではないアルキル鎖の構造であるから、低粘度の硬化材料を得ることが可能である。 低粘度の硬化材料が必要となるケ−スは、例えば被着材料が狭小部をもち、より深部まで浸透させる必要がある場合等である。上記のような場合の硬化材料の具体的な粘度としては、一般的に1Pa・S以下の低粘度であることが好ましい。より好ましい硬化材料の粘度は、0.01〜0.8Pa・Sの範囲内である。 式1に示す(メタ)アクリレートを添加した硬化材料は、上記(メタ)アクリレート不使用の硬化材料に比べ、深部硬化性が向上し、硬化反応が高感度化されている事が判った。以下、深部硬化性について説明する。 一般的な紫外線硬化樹脂の硬化原理としては、紫外線(紫外光)を光重合開始剤が吸収して、ラジカル種等の活性種を発生させ、その活性種が(メタ)アクリレート等の炭素−炭素の2重結合をラジカル重合させ、硬化させるものである。しかし紫外線硬化樹脂は、通常の紫外線硬化では、紫外線が遮蔽される部分が未硬化になる。これに対し、上記式1に示す連鎖移動能を有する(メタ)アクリレートを硬化材料に添加することにより、紫外線の照射により発生したラジカルを、紫外線が遮蔽されてラジカル発生のない箇所まで伝達し、重合反応を開始、進行させて、紫外線が遮蔽される暗部(深部ということもある)を硬化させることができる。すなわち硬化材料に式1に示す(メタ)アクリレートを添加することにより、照射光の照射面から遠く照射光が届きにくい深部の硬化が可能であるといった、深部硬化性を持たせることができる。 上記式1に示す(メタ)アクリレートの製造方法について、説明する。上記式1に示す(メタ)アクリレートは、例えば、汎用のイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いて、イソシアネート化合物のイソシアネート基とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの水酸基を反応させることで、一段階で合成することが可能である。この合成によると、溶媒を用いた反応や、重合反応などの操作は不要である。 上記含イソシアネート化合物としては、例えば、モノイソシアネート、ジイソシアネート、3官能以上のポリイソシアネートが挙げられる。上記モノイソシアネートとしては、ステアリルイソシアネート等が挙げられる。上記ジイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、水素添加−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加−キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加−2,4−トリレンジイソシアネート(水添TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香脂肪族イソシアネート、1,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4又は4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、O−トリジンジイソシアネート等が挙げられる。、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェ−ト等の芳香族イソシアネート等が挙げられる。 上記イソシアネート化合物としては、更に上記ポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、イソシアヌレート化して得られる多量体等が挙げられる。イソシアネート化合物は、上記化合物を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。 上記イソシアネート化合物と反応させる水酸基含有(メタ)アクリレート〔ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートということもある〕が用いられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、一分子中にアクリロイル基を1つと水酸基を含むモノアクリレート、一分子中にアクリロイル基を2つと水酸基を含むジアクリレート、一分子中にアクリロイル基を3つ以上と水酸基を含むポリアクリレート等を用いることができる。 上記イソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて得られる式1に示す(メタ)アクリレートとして、例えば、式4に示す化合物が好ましい。式4において、モノアクリレートを用いた場合、N=1であり、ジアクリレートを用いた場合、N=2であり、アクリロイル基を3つ含むポリアクリレートを用いた場合、N=3である。 なお式4中R1〜R4は式1と同じである。 具体的な上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、モノアクリレートとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルモノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等、ジアクリレートとして、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノ−ル等、ポリアクリレートとして、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。 ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、式1中のR2に対応するものであり、C1〜C10で直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、不飽和結合を含んでいてもよく、置換基、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでいてもよいアルキル鎖である。上記R2は、揮発性や粘度が適当となる点から、好ましくはC2〜C8のアルキル直鎖又は分岐アルキル鎖である。 具体的なイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応により得られる化合物として、例えば、下記式5〜式15に示す化合物が挙げられる。尚、具体的な製造方法は、合成例1〜6で後述する。 式5に示す(メタ)アクリレートは、単官能アクリレートの例である。式5の(メタ)アクリレートは、例えば式6に示すようにステアリルイソシアネートとヒドロキシプロピルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 式7〜16に示す(メタ)アクリレートは、2官能アクリレートの例である。式7の(メタ)アクリレートは、例えば式8に示すようにヘキサメチレンジイソシアネートとヒドロキシプロピルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 式9の(メタ)アクリレートは、例えば式10に示すように、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 式11の(メタ)アクリレートは、例えば式12に示すように、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 式13の(メタ)アクリレートは、例えば式14に示すように、イソホロンジイソシアネートと4−ヒドロキシブチルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 式15の(メタ)アクリレートは、例えば式16に示すように、トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの反応により得られる化合物が挙げられる。 以上は、式1におけるR3が式2に示す構造の例である。式1のR3が式3に示す構造の(メタ)アクリレートの場合は、イソシアネート化合物とアミノアルキル(メタ)アクリレートを反応させることによって製造することができる。又、一分子中にイソシアネートと(メタ)アクリレートを持つ、イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートとアルキルアミンを反応させることによって、ウレア結合を有する(メタ)アクリレートを製造することも可能である。 前記イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。また、アルキルアミンとしては、炭素鎖が2〜18のモノ、ジ、又ファートリアミン等が挙げられる。 また(メタ)アクリレートは、前記イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートとモノアルコールや低分子量ジオール等のアルキルアルコールとを反応させることによって製造することも可能である。この場合、式1におけるR3は、式2に示すウレタン結合となる。 以下、本発明の硬化材料について説明する。硬化材料は、上記特定の構造を有する(メタ)アクリレートを、組成物中に含有するラジカル硬化材料から構成される。硬化材料は、上記特定構造の(メタ)アクリレート以外の成分として、汎用(メタ)アクリレート、含金属化合物、光重合開始剤等を含有させることができる。硬化材料において、上記特定構造の(メタ)アクリレートは、組成物全体の質量中の1質量%以上含んでいることが、更に良好な硬化性が得られる点から好ましい。 上記汎用(メタ)アクリレートとしては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。汎用(メタ)アクリレートの具体例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオ−ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオ−ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノ−ルAのEO付加物又はPO付加物のポリオ−ルのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタジエン(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。 上記硬化材料に添加される含金属化合物は、金属種として、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルの中から選択される1種類、又は複数種類の金属が好ましく用いられる。上記含金属化合物は、1種類又は複数種類の上記金属が、金属塩又は錯体の形で構成分子中に含有されていれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。上記含金属化合物は、硬化材料全体の0.0005質量%以上含んでいることが好ましい。 上記含金属化合物の形態としては、硬化材料とする際の混合のし易さや保存時の沈殿を防ぐことから、有機酸塩等の金属塩又は金属錯体状であることが好ましい。 上記金属塩としては、上記金属種のカルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、(過)(亜)塩素酸塩等の形態が挙げられる。 上記金属錯体としては、上記金属種と配位結合形成し得る有機配位子と1:1〜1:4(金属:配位子)で配位し安定化されたものであれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。 上記含金属化合物の具体例として、ビス(2,4−ペンタンジオナート)スズ、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチルスズジアセタート、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレア−ト、フタロシアニンスズ(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスズ、フタロシアニンスズ(II)、トリブチル(2−ピリジル)スズ、トリブチル(2−チエニル)スズ、酢酸トリブチルスズ、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)スズ、トリメチル(2−ピリジル)スズ、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナート)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナート)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナートリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅、テトラ−4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナート)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオ−ル−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナートリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N'−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナートコバルト(II)、(1S,2S)−N,N'−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナートコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナート)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナート)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナートリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III)クロリド、N,N'−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナート]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナート)コバルト(III)、ナフテン酸コバルト、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナート)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナートリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 硬化材料に添加される光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカル重合を開始させる化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。 上記光重合開始剤は、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾ−ル、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラ−ケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタ−ル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 また光重合開始剤は、市販品として、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173,LucirinTPO(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等を用いることができる。 硬化材料は、上記各成分を常温、又は加温条件で混合すれば良く、特に限定されないが、上記各成分を、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサ−等のかくはん装置を用いて十分に攪拌又は混練し、溶解させるか、均一に分散させる方法を用いることが好ましい。 硬化性材料中には、必要に応じて上記成分以外の添加剤を含有することができる。上記添加剤としては、例えば、安定化剤、軟化剤、顔料、染料、耐電防止剤、難燃剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤等が挙げられる。各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。 本発明の硬化性材料は、例えば、紫外線等の光や熱によりラジカル重合させることで硬化させることができる。硬化性材料は、自動車部材、電機・電子機器、航空機部材等の、接着材料、コーティング材料、封止材料、モールド成型材料等に用いることができる。 硬化材料を紫外線で硬化させて硬化物を得る際の紫外線照射の条件は、硬化材料の組成等に応じて適宜、選択することができる。紫外線照射に用いられる照射装置としては、公知の装置を用いることができる。照射装置は、例えば、Hg、Hg/Xeやメタルハライド化合物等を封入したバルブ式のUVランプ、LED−UVランプ等の光源を用いることができる。また紫外線照射装置は、上記光源からの光を反射ミラーによって集光して照射する集光型UV照射装置を用いてもよい。 以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。表1に光硬化材料調製例、実施例及び比較例を示し、表2に熱硬化性材料調製例、実施例及び比較例を示す。表1又は表2に示す各成分を、それぞれの表に示す組成(質量部)で、攪拌機を用いて混合し溶解又は分散させ、各表に示される紫外線硬化材料又は熱硬化性材料を得た。 表1、表2中の略称は以下の通りで、特にメーカーの表示がないものは、東京化成社製の試薬グレ−ドのものを用いた。〔(メタ)アクリレート〕・IBA:イソボルニルアクリレート・DPGA:ジプロピレングリコールジアクリレート・HPGA:ヘプタプロピレングリコールジアクリレート・STA(合成例1)・IPHA(合成例2)・IPIPA(合成例3)・EIPA(合成例4)・BIPA(合成例5)・IPTA(合成例6)〔光(紫外線)重合開始剤〕・HCHPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔熱重合開始剤〕・AIBN:アゾビスイソブチロニトリル〔含金属化合物〕・BPDZ:ビス(2,4−ペンタンジオナート)亜鉛(II)(合成例1)STAの合成 攪拌機を備えた反応容器に、ステアリルイソシアネート(MW295.5)100g(0.338mol)とヒドロキシプロピルアクリレート(MW130.1)44g(0.338mol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式4に示す化合物である。これをSTAとした。(合成例2)IPHAの合成 攪拌機を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(MW168.1)100g(0.595mol)とヒドロキシプロピルアクリレート(MW130.1)154.8g(1.190mol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式5に示す化合物である。これをIPHAとした。(合成例3)IPIPAの合成 攪拌機を備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート(MW222.3)132.3g(0.595mol)とヒドロキシプロピルアクリレート(MW130.1)154.8g(1.190mol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式6に示す化合物である。これをIPIPAとした。(合成例4)EIPAの合成 ヒドロキシプロピルアクリレートをヒドロキシエチルアクリレート(MW116.1)138.2g(1.190mol)に変更した以外は合成例3と同様の操作で合成し、無色粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式7に示す化合物である。これをEIPAとした。(合成例5)BIPAの合成 ヒドロキシプロピルアクリレートを4−ヒドロキシブチルアクリレート(MW144.2)171.6g(1.190mol)に変更した以外は合成例3と同様の操作で合成し、無色粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式8に示す化合物である。これをBIPAとした。(合成例6)IPTAの合成 イソホロンジイソシアネートをトリレンジイソシアネート(MW174.16)103.6g(0.595mol)に変更した以外は合成例3と同様の操作で合成し、無色粘調性液体を得た。得られたアクリレートは式9に示す化合物である。これをIPTAとした。〔深部硬化性評価方法〕 表1又は表2に示された組成物それぞれを、底面をテフロン(テフロンは登録商標である)栓で塞いだ内径10mmの硬質テフロンチューブ中に液面の高さが50mmになるように入れ、表1組成の光硬化材料に関しては、上面からUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm2)で2秒間紫外線照射を行い、表2組成の熱硬化材料に関しては、上面から約100℃の熱風を15秒間あてた。ラジカル重合反応が起こっていれば組成物は硬化して固化するため、底面のテフロン栓を抜いた際、ラジカル重合反応が起こっていない液体のままの組成物は流れ落ち、固化物(ラジカル重合物)はテフロンチューブ中に残留する。すなわち、テフロンチューブ中の残留硬化物の長さが長い程、光や熱の届き難い深部でもラジカル重合反応が進行していることとなり、一定量の光又は熱エネルギーでより高感度に硬化反応を起こすことができるということとなる。よって、表1又は表2に前記テフロンチューブ中の残留硬化物の長さを示し、硬化性の指標とした。〔評価結果について〕 比較例1〜6は既存の(メタ)アクリレートを用いており、高感度化されていないため、30mm以上より深部では硬化が十分で無く、照射した光又は熱エネルギーではラジカル重合反応が十分に起こっていない事を示している。これに対し、実施例1〜28の本発明品の(メタ)アクリレートを用いた組成物では、比較例の組成よりも残留硬化物の長さが明らかに伸びており、従来の光又は熱硬化材料では硬化させることができなかった光や熱の届き難い深部においてもラジカル重合反応による硬化を達成しており、硬化材料が高感度化されていることが確認された。これはすなわち低エネルギーで、複雑な形状や厚みのある形状に硬化材料を硬化させる事が可能であることを意味するものである。 実施例29、30、比較例7、8では、相溶性、粘度等について評価した。以下、評価方法、評価結果について示す。〔相溶性及び粘度の評価方法〕 表3に示す各成分を、それぞれの表に示す組成(質量部)で、攪拌機を用いて混合し溶解又は分散させ、実施例29、30比較例7、8に示される硬化材料を得た。比較例は、重合物を用いた連鎖移動剤(UP−1:合成例7)を用いて調製した硬化材料を用いた。それぞれの材料は調製直後に目視で濁度を観察し、25℃における粘度を回転粘度計によって測定した。その後、0.5mm厚の8号ダンベル片形状に硬化させて、20mm/miNでの引張り試験を行って、その破断伸び(%)を測定した。表3に濁度、粘度、破断伸びの測定結果を示した。(合成例7)UP−1の合成 攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80g(200mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート40g(238mmol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。次にこの粘調性液体100g(33mmol)と2−ヒドロキシエチルアクリレート8.2g(70.6mmol)、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−teRt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]0.02gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量見積り、その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−1とする。UP−1は数分子量約3200、末端がアクリレート基の含ウレタン結合化合物である。〔相溶性及び粘度の評価結果〕 比較例7、8は重合物である連鎖移動剤を用いているため、他の成分と相溶性が十分でなく、目視においても微濁を呈してした。また硬化材料の粘度は5Pa・S以上であった。また、破断伸びは200%以下であり、実施例29、30と比較すると低い値であった。これは前述の様に重合物である連鎖移動剤と他の成分との相溶性が十分でないためと推定される。これに対し、実施例29、30の本発明品の(メタ)アクリレートを用いた組成物は澄明で十分な相溶性を持ち、破断伸びも300%以上と良好であった。粘度も1Pa・S以下であり、低粘度仕様の硬化材料作成が可能であった。 上記合成例1〜7(No.1〜7)の(メタ)アクリレートについて、式2の構造(ウレタン結合)のモル含有量(mol/g)を表4に示す。表4のモル含有量は、配合したイソシアネート化合物のイソシアネート基が、全てウレタン結合に変化したものとして計算した値を示した。表4に示すように、合成例1〜7の(メタ)アクリレートは、全てモル含有量が0.001mol/g以上であり、硬化物に添加した際の硬化物の硬化性も良好であった。 以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。 下記式1に示す構造を分子内に1つ以上有し、ラジカル硬化に用いることで、感度が向上することを特徴とする(メタ)アクリレート。 なお式1中R1は水素原子又はメチル基、R2はC1〜C10のアルキル鎖、R3は、下記式2又は式3のいずれかであり、R4は炭素原子と水素原子から構成されたアルキル鎖である。 前記、式2または式3構造のモル含有量(官能基・結合基mol/(メタ)アクリレートの質量)が0.001mol/g以上であることを特徴とする(メタ)アクリレート。 請求項1又は2記載の(メタ)アクリレートを含んでいることを特徴とするラジカル硬化材料。 含金属化合物を含んでいる事を特徴とする請求項3記載のラジカル硬化材料。 前記含金属化合物が、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする請求項4記載のラジカル硬化材料。 前記式1中のR4が、C1〜C18の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル鎖、又はその誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のラジカル硬化材料。 【課題】感度を高めて硬化性を向上させることが可能であると共に、各種アクリレート化合物との相溶性が良好で、粘度の上昇を抑制することが可能であり、硬化材料の物性を損なう虞のない(メタ)アクリレート及びラジカル硬化材料を提供する。【解決手段】下記式1に示す構造を分子内に1つ以上有し、ラジカル硬化に用いることで、感度が向上することを要旨とするものである。なお式1中R1は水素原子又はメチル基、R2はC1〜C10のアルキル鎖、R3は、カルバミン酸エステル若しくは尿素の残基であり、R4は炭素原子と水素原子から構成されたアルキル鎖である。【選択図】なし