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タイトル:公開特許公報(A)_患者検体を用いたHTLV−1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価法
出願番号:2013034326
年次:2014
IPC分類:G01N 33/50,G01N 33/68,G01N 33/49,C12Q 1/68


特許情報キャッシュ

渡辺 信和 内丸 薫 小林 誠一郎 JP 2014163769 公開特許公報(A) 20140908 2013034326 20130225 患者検体を用いたHTLV−1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価法 国立大学法人 東京大学 504137912 稲葉 良幸 100079108 大貫 敏史 100109346 江口 昭彦 100117189 内藤 和彦 100134120 小林 綾子 100120880 渡辺 信和 内丸 薫 小林 誠一郎 G01N 33/50 20060101AFI20140812BHJP G01N 33/68 20060101ALI20140812BHJP G01N 33/49 20060101ALI20140812BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20140812BHJP JPG01N33/50 KG01N33/68G01N33/49 KC12Q1/68 A 13 2 OL 18 特許法第30条第2項適用申請有り 平成24年8月25日付けにて、「渡辺 信和」、「内丸 薫」、「小林 誠一郎」、「中野 和民」、「渡辺 恵理」、「石垣 知寛」、「大野 伸広」、「東條 有伸」、「渡邉 俊樹」が、第5回HTLV−1研究会/シンポジウムにおいて、「渡辺 信和」、「内丸 薫」、「小林 誠一郎」が発明した患者検体を用いたHTLV−1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価法について公開した。 2G045 4B063 2G045AA02 2G045AA26 2G045CA11 2G045CA18 2G045CA20 2G045CA23 2G045CA25 2G045DA14 2G045DA36 2G045FA37 2G045FB01 2G045FB03 2G045GC15 4B063QA18 4B063QA19 4B063QQ03 4B063QQ53 4B063QR55 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 4B063QX02 本発明は、患者検体を用いたHTLV-1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価法等に関する。 成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia;ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1;HTLV-1)感染を原因とする白血病である。 HTLV-1のキャリアは、日本に約100万人、世界に約2000万人いると推定される。約95%のキャリアは無症状で一生を終えるが、約5%のキャリアはATLを発症する。 HTLV-1感染者の一部では、キャリア→くすぶり型/慢性型(低悪性度)ATL→急性型/リンパ腫型(高悪性度)ATLと病態が進行する。この過程は一般に数十年の期間を要する。このように長期間かかるのは多段階発癌過程を経ているためと考えられている。 くすぶり型/予後不良因子を持たない慢性型は一般に臨床経過が緩徐であるが、その多くは経過中に急性転化し、その長期予後は不良である。急性型/リンパ腫型は一般に急速に病態が進行するため、早急に強力化学療法が必要となる。ATLの診療においては、下山分類に基づいて臨床病型が決定され、それにより治療方針が決定される。例えば、くすぶり型/慢性型は経過観察と必要に応じて皮膚科的治療、急性型/リンパ腫型/予後不良因子を持つ慢性型はmLSG15療法やCHOP療法等を用いた強力な化学療法が選択され、さらに適応を満たせば造血幹細胞移植も行われている。 従来、HTLV-1感染における病態の進行の指標として、異常リンパ球の割合、末梢血単核細胞中のHTLV-1感染細胞率(proviral load;PVL, プロウイルス量)、可溶性IL-2受容体、サザンブロット法によるクローナリティ解析等が知られているが、病態をより正確かつ客観的に反映する指標が求められている。 キャリアとくすぶり型ATLは、末梢血中の異常リンパ球の割合(5%が境界)で区別される。HTLV-1感染に特徴的な異常リンパ球は、Flower cellと呼ばれる花弁状の核を持つが、そのような特徴的な形態を示さない異常リンパ球も多く、顕微鏡での目視によるこれらの細胞の判定においては、測定手技の習熟度や主観による結果のばらつきが生じる。従って、このような異常リンパ球の割合に依存した病型の決定はしばしば困難を伴う。 キャリアの病態を評価する方法としては、主に異常リンパ球の割合とPVLが用いられており、一定の割合以上のPVLを有するキャリアの一部がATLに進行するという前向きコホート研究の報告はあるが(非特許文献1)、キャリアの中でATLへ進行するリスクの高い群をより正確に見分ける方法は今まで存在しなかった。 また、HTLV1感染細胞またはATL細胞が発現する表面マーカーとその可溶型タンパク質も見出されており、例えば血清中のTSLC1(CADM1)分子を検出するATLの診断方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、同文献では、ATL患者とキャリアを、健常者から識別できたことが示されているのみであり、無症候性キャリア→くすぶり型/慢性型(低悪性度)ATL→急性型/リンパ腫型(高悪性度)ATLという多段階発癌過程における進行度や、キャリアの中でATLへ進行するリスクの高い群を判別することはできなかった。 本発明者らは、これまでに、急性型ATL患者検体におけるATL細胞を純化する目的で、CD4陽性細胞におけるCD3発現低下とCD7欠損を組み合わせたフローサイトメトリー法を開発した(非特許文献2)。特許第4227881号公報特許第4536588号公報Iwanaga et al., Blood 2010;116:1211-1219.Tian et al., Cancer Science 2011;102(3):569-577. 本発明は、無症候性キャリア→くすぶり型/慢性型(低悪性度)ATL→急性型/リンパ腫型(高悪性度)ATLというATLの発癌過程進行度、又はキャリアの中でATLへ進行するリスクの高い群を客観的に評価できる方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、CD7及びCADM1(TSLC1)の発現量を指標としてリンパ球を分類すると、無症候性キャリア→低悪性度ATL→高悪性度ATLという病態の進行を客観的に評価できることに加え、無症候性キャリア群におけるATLへの進行のリスクも評価できることを確認した。 さらに、CD7及びCADM1の発現をフローサイトメトリーで測定すると、進行度又は悪性度に応じて一定のパターンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、〔1〕HTLV-1キャリア又は成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価方法であって、 HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞におけるCADM1とCD7の発現量を測定する工程、又は HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程を含む、方法;〔2〕CADM1陰性/CD7陽性細胞が多い場合、進行度又は悪性度は低度、 CADM1陽性/CD7弱陽性細胞が比較的多い場合、進行度又は悪性度は中等度、 CADM1陽性/CD7陰性細胞が多い場合、進行度又は悪性度は高度とし、 前記試料中の細胞における、CADM1陰性/CD7陽性細胞、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞、及びCADM1陽性/CD7陰性細胞のそれぞれの割合に応じて、進行度又は悪性度を評価する、上記〔1〕に記載の方法;〔3〕CADM1陰性/CD7陽性細胞がより多い場合に、進行度又は悪性度がより低いと評価し、 CADM1陽性/CD7陰性細胞がより多い場合に、進行度又は悪性度がより高いと評価する、上記〔1〕に記載の方法;〔4〕CADM1陰性/CD7陽性細胞の数が所定の値より多い場合に、進行度又は悪性度は低度であると評価する、上記〔1〕に記載の方法;〔5〕CADM1陽性/CD7陰性細胞の数が所定の値より多い場合に、進行度又は悪性度が高度であると評価する、上記〔1〕に記載の方法;〔6〕HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程にフローサイトメトリーを用いる、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法;〔7〕HTLV-1感染者から採取された試料から単核細胞を分離する工程と、 前記単核細胞からCD4陽性細胞をゲートする工程と、 CADM1とCD7で展開する工程、を含む上記〔6〕に記載の方法;〔8〕前記CD4陽性細胞をゲートする工程に先立って、CD14により単球をゲートアウトする工程をさらに含む、上記〔7〕に記載の方法;〔9〕HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に加え、CCR4、CD25、CD26、及びCD62L等からなる群より選択される少なくとも1つの発現量を測定する工程、又はその発現量に応じてさらに分画する工程を含む上記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の方法;〔10〕HTLV-1の無症候性キャリアにおける病態進行のリスクを評価するために用いられる、上記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法;〔11〕化学療法又は同種造血幹細胞移植後の治療効果を評価するために用いられる、上記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法;〔12〕抗CADM1抗体と抗CD7抗体とを含む、HTLV-1キャリア又は成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度を評価するためのキット;及び〔13〕HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、フローサイトメトリーによってCADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程と、 CADM1陽性/CD7陰性細胞分画又はCADM1陽性/CD7弱陽性細胞分画から、優勢なクローンを分離する工程、を含む白血病クローンの分離方法、に関する。 本発明によれば、測定手技の習熟度や主観による測定結果のばらつきなく、ATLの進行度又は悪性度を客観的に評価することができる。また、キャリアの中でATLに進行するリスクを評価できるため、高リスクと評価されたキャリアに対し、ATL発症を緊密に監視することが可能であり、予防的な措置をとることも可能となる。図1は、フローサイトメトリーにより、被検者の試料(末梢血から分離された単核細胞)中のCD4陽性細胞をCADM1とCD7で展開する際のゲーティングを示す。CADM1とCD7で展開されたプロットにおける各分画をそれぞれP分画(CADM1陰性CD7陽性)、D分画(CADM1陽性CD7弱陽性)、N分画(CADM1陽性CD7陰性)と定義する。図2は、非感染者コントロール(normal control)、無症候性キャリア(asymptomatic carrier, AC)、くすぶり型(smoldering)ATL、慢性型(chronic)ATL、及び急性型(acute)ATLの被検者から得た試料のCD4陽性細胞をCADM1とCD7で展開したフローサイトメトリー解析の結果を示す(各病型の代表例のデータ)。図3は、無症候性キャリア、くすぶり型、慢性型、及び急性型の多数の被検者の試料について、D分画の割合とN分画の割合の関係を示した図である。図4Aは、くすぶり型、慢性型、及び急性型ATL患者の試料からフローサイトメトリーにより各分画(P、D、N分画)を分取し、インバースPCR法によるクローナリティ解析を行った結果を示す(各病型の代表例のデータ)。図4Bは、PVL、異常リンパ球の割合が異なる3名の無症候性キャリアの試料を用いたクローナリティ解析の結果を示す(代表例のデータ)。 本発明に係る、HTLV-1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価方法は、HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞におけるCADM1とCD7の発現量を測定する工程、又はHTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程を含むことを特徴とする。 本明細書において「成人T細胞白血病(ATL)」とは、HTLV-1感染を原因として発症する白血病を意味する。病型については、くすぶり型、慢性型、急性型、リンパ腫型の4つに分類する下山分類(Shimoyama M. Br J Haematol. 1991;79(3):428-437.)が広く用いられている。 また、本明細書において「HTLV-1キャリア」とは、HTLV-1に感染した個体を意味する。 本明細書における「HTLV-1キャリア、成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価」とは、HTLV-1感染者における多段階発癌過程の進行度や、ATLの悪性度、予後、進行等を判断又は予測することを意味し、例えば、くすぶり型、慢性型、急性型、リンパ腫型のいずれに含まれるか、又はいずれに含まれる可能性が高いかを判断すること;キャリアと各病型のATLを識別すること;キャリアから各病型のATLへの進行のリスクを評価すること;低悪性度ATL(くすぶり型/慢性型)から高悪性度ATL(急性型/リンパ腫型)への進行を評価すること;ATLに対する治療効果を評価すること等が含まれる。 本発明に用いられる「HTLV-1感染者から採取された試料」とは、HTLV-1感染細胞におけるCADM1とCD7の発現が測定できる限りどのような試料であってもよく、当業者は適切な試料を選択して採取することができるが、例えば、患者から採取した末梢血、リンパ節、骨髄等、HTLV-1感染細胞が存在する病変部位から採取した試料が挙げられる。 なお、「HTLV-1感染者」は、HTLV-1キャリア及びATL患者を含む。 「HTLV-1感染者から採取された試料の細胞」とは、HTLV-1感染細胞を含む細胞群を意味し、CADM1とCD7の発現量を測定する工程、又は試料中の細胞をCADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程においては、それ以外の細胞が含まれていてもよい。 CADM1とCD7の発現量を測定する工程、又は試料中の細胞をCADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程に供する細胞は、試料から適宜調製することができる。例えば、患者から採取した試料(末梢血検体等)から、まず比重遠心分離法で単核細胞を分離し、単核細胞からCD4陽性細胞を分離することによって調製してもよい。あるいは、溶血試薬を用いた赤血球溶血処理により、単核細胞を含む白血球成分を調整してもよい。単核細胞から、死細胞や単球を除いておくことも望ましい。 このような細胞の調製は、フローサイトメトリーを用いると簡易に行うことができる。例えば、死細胞は、Propidium iodide(PI)や7-amino-actinomycin D(7-AAD)によって除くことが可能であり、単球は、CD14等を用いてゲートアウトすることが可能である。 「CADM1(cell adhesion molecule 1)」は、TSLC1(tumor suppressor in lung cancer 1)とも呼ばれ、肺癌における癌抑制遺伝子として当初同定された表面抗原であるが、ATL細胞で高発現していることが報告された(Sasaki et al., Blood 2005; 105:1204-1213)。しかしながら、CADM1単独では、ATLの多段階発癌過程の進行度の指標とはならなかった。 「CD7」は、分子量40kDaの短鎖タンパク質であり、胸腺移入前のTリンパ球前駆細胞に発現する。CD7は大半の末梢血T細胞に見られ、ほとんどのNK細胞、pre-Bリンパ球にも発現し、単球にも弱く発現する。 「CD4」は、分子量59kDaの短鎖膜貫通型糖タンパク質であり、末梢血リンパ球のうちヘルパーT細胞に見られ、単球にも発現する。HTLV-1はCD4リンパ球以外の細胞にも感染するが、CD4リンパ球が増殖することによって個体内で感染が拡大する。ATL細胞も、ほとんどの症例でCD4陽性である。したがって、CD4陽性細胞をゲートすることにより、正常のCD4陽性細胞、HTLV-1感染細胞、ATL細胞を選択することが可能である。 「CD14」は、分子量53〜55kDaのグリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)結合型短鎖膜糖タンパク質であり、骨髄単球系細胞に見られ、単球やマクロファージに強く発現し、好中球、B細胞に弱く発現するが、T細胞には見られない。 本明細書において「発現」は、特に断りがない限り、DNAを鋳型としてmRNAが合成される転写と、mRNAの配列に基づいてペプチド又はタンパク質が合成される翻訳の両方を含む概念として用いられる。 したがって、「CADM1とCD7の発現量を測定する」という場合、mRNA量を測定してもよいし、タンパク質量を測定してもよい。 mRNA量の測定は、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて行うことができるが、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、RNaseプロテクションアッセイ法(リボプローブマッピング)、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、DNAチップ/マイクロアレイ法等が挙げられる。 タンパク質量の測定も、当業者が公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて行うことができ、例えば、CADM1及びCD7のそれぞれに対する抗体を用いて、免疫沈降、ウエスタンブロッティング、ELISA、ELISPOT法等によって行うことができる。 本発明においては、各HTLV-1感染細胞が、どのような比率でCADM1とCD7とを発現しているのかがわかる方法でCADM1とCD7とを測定することが好ましい。この点で、「HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程」として、CADM1とCD7との発現量の比率に応じて細胞を分画することができるフローサイトメトリーが好適である。 本発明者らは、後述する実施例に示されるとおり、HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞において、 CADM1陰性/CD7陽性細胞は、進行度又は悪性度が低い病態(キャリア)に優勢であることが多く、 CADM1陽性/CD7陰性細胞は、進行度又は悪性度が高い病態(急性型等)に優勢であることが多く、 CADM1陽性/CD7弱陽性細胞は、中間の進行度又は悪性度の病態(くすぶり型等)で増加することを確認した。 すなわち、進行度又は悪性度が高くなるに伴い、HTLV-1感染細胞群が、CADM1陰性/CD7陽性→CADM1陽性/CD7弱陽性→CADM1陽性/CD7陰性と連続的に変遷することを見出した。 一般に、キャリアからくすぶり型/慢性型へ病態が進行すると、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞(フローサイトメトリーのサイトグラム(後述)ではD分画)とCADM1陽性/CD7陰性細胞(同N分画)が徐々に増加し、相対的にCADM1陽性/CD7陽性細胞(同P分画)は減少する。さらに急性型/リンパ腫型へ病態が進行すると、CADM1陽性/CD7陰性細胞(同N分画)が顕著に増加し、CD4陽性細胞はほぼこの分画によって占められる。 また、無症候性キャリアにおいても、低PVL(プロウイルス量)のキャリア→高PVLのキャリアと病態が進行(HTLV-1感染細胞が増加)するに伴い、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞とCADM1陽性/CD7陰性細胞が増加する。 一般に、HTLV-1感染患者検体中には、多数のHTLV-1感染クローンが存在し、病態の進行とともにより優勢なクローンが選別される。実施例(図4A、4B)に示されるとおり、各分画をフローサイトメトリーにより分取し、クローナリティ解析を行った。結果、D、N分画において、より優勢なクローンが濃縮されており、病態の進行とともにD、N分画が増加し、相関してD、N分画のクローナリティ(単一性)も進行することがわかった。N分画が著増した高悪性度ATLにおいては、同分画は1〜数個の最も優勢なクローン(メジャークローン)にほぼ占有された状態となる。 したがって、本発明においては、例えば、HTLV-1感染者から採取された試料の細胞において、CADM1陰性/CD7陽性細胞が優勢な場合、進行度又は悪性度が低度である可能性が高いと判断し、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞が比較的多い場合、進行度又は悪性度が中程度である可能性が高いと判断し、CADM1陽性/CD7陰性細胞が優勢な場合、進行度又は悪性度が高度である可能性が高いと判断することができる。 ここで、「CADM1陰性/CD7陽性細胞」とは、正常細胞と同程度にCD7が発現し、且つ、正常細胞と同程度にCADM1の発現がない又は低い細胞を意味する。 「CADM1陽性/CD7弱陽性細胞」とは、正常細胞よりもCADM1の発現が高く、且つ、CD7の発現は正常細胞と比べてやや低い細胞を意味する。 「CADM1陽性/CD7陰性細胞」とは、正常細胞よりもCADM1の発現が高く、且つ、CD7の発現がない又は正常細胞より低い細胞を意味する。 正常細胞より発現が高い又は低いという場合、必ずしも統計的に有意に高い/低い場合に限られず、当業者が、高い又は低い傾向があると判断できる範囲も含む。 本発明においては、患者から試料を採取し、それぞれの試料に含まれるCADM1陰性/CD7陽性細胞、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞、及びCADM1陽性/CD7陰性細胞の割合を測定し、CADM1陰性/CD7陽性細胞が所定の割合を上回った場合に、進行度又は悪性度が低いと判断し、CADM1陽性/CD7陰性細胞が所定の割合を上回った場合に、進行度又は悪性度が高いと判断してもよい。 あるいは、CADM1陰性/CD7陽性細胞が所定の割合を下回った場合に、進行度又は悪性度が高いと判断し、CADM1陽性/CD7陰性細胞が所定の割合を下回った場合に、進行度又は悪性度が低いと判断してもよい。 また、本発明の方法においては、一人の被検者から、時間をおいて試料を採取し、それぞれの試料に含まれるCADM1陰性/CD7陽性細胞、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞、及びCADM1陽性/CD7陰性細胞の量又は割合を測定して比較し、CADM1陰性/CD7陽性細胞が増加した場合に、進行度又は悪性度が低くなったと判断し、CADM1陽性/CD7陰性細胞が増加した場合に、進行度又は悪性度が高くなったと判断してもよい。 また、CADM1陰性/CD7陽性細胞が減少した場合に、進行度又は悪性度が高くなったと判断し、CADM1陽性/CD7陰性細胞が減少した場合に、進行度又は悪性度が低くなったと判断してもよい。 また、本発明の方法においては、例えば、2人以上のくすぶり型/慢性型の患者から試料を採取し、それぞれの試料に含まれるCADM1陰性/CD7陽性細胞、CADM1弱陽性/CD7陽性細胞、及びCADM1陽性/CD7陰性細胞の量又は割合を測定して比較し、CADM1陰性/CD7陽性細胞の割合がより多い患者は、より病態が安定している可能性が高いと推測し、CADM1陽性/CD7陰性細胞の割合がより多い患者は、より病態が進行している可能性が高いと推測してもよい。 逆に、CADM1陰性/CD7陽性細胞の割合がより少ない患者は、より病態が進行している可能性が高いと推測し、CADM1陽性/CD7陰性細胞の割合がより少ない患者は、より病態が安定している可能性が高いと推測してもよい。 HTLV-1感染細胞のCADM1とCD7の発現を、フローサイトメーターで測定する場合、X軸にCADM1をとり、Y軸にCD7をとると、サイトグラムにおいてCADM1陰性/CD7陽性細胞は左上(以下「P分画」という。)に、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞は右上(以下「D分画」という。)に、CADM1陽性/CD7陰性細胞は右下(以下「N分画」という。)の領域に現れる。サイトグラムにおいては、細胞数をドット密度や等高線で示すことができるので、CADM1陰性/CD7陽性細胞→CADM1陽性/CD7弱陽性細胞→CADM1陽性/CD7陰性細胞の変遷を視覚的に判断することができる。 HTLV-1非感染者から採取した試料では、P分画に細胞が高頻度に現れる。HTLV-1感染者から採取した試料では、キャリアのように進行度又は悪性度が低いものは、P分画>D分画又はN分画となる。発癌過程の進行とともにD分画又はN分画の割合が増加し、P分画の割合が減少する。急性型のように最も進行度又は悪性度が高いものは、N分画に細胞が高頻度に現れる。 この方法によれば、従来の診断法では同じ慢性型と分類される場合であっても、N分画の領域の割合が高い場合には、急性型/リンパ腫型により近い状態まで発癌過程が進行していると推測することができる。 同様に、従来の診断方法では同じ無症候性キャリアと分類される場合であっても、D分画又はN分画の領域の割合が比較的高い場合には、くすぶり型等のATLに進行するリスクが高いと判断することができる。 フローサイトメトリーを用いる場合には、例えば、HTLV-1感染者から採取した検体(末梢血等)から、まず比重遠心分離法等によって単核細胞を分離し、蛍光標識抗体とPIで染色する。次に、染色された細胞をフローサイトメーターで測定する。PI陽性の死細胞を除いた後、CD14で単球をゲートアウトし、CD4陽性細胞をゲートし、CADM1とCD7で展開することができる。 また、本発明に係る方法では、CADM1とCD7に加えて、HTLV-1感染細胞に特徴的な他の表面マーカーを検出・測定してもよい。かかる表面マーカーとしては、例えば、CCR4、CD25、CD26、CD62L等が挙げられ、CADM1とCD7に加えて、これらを適宜組み合わせてもよい。 他の表面マーカーを組み合わせることにより、さらに詳細な解析が可能となる。例えば、CCR4の発現を確認することにより、ATLの新規治療薬として知られる抗CCR4抗体(Ishida et al., Journal of clinical oncology 2012;30(8):837-842.)の効果の有無を予測することが可能である。 フローサイトメーターを用いれば、複数の表面マーカーの発現を同時にかつ簡易に測定することが可能である。 また、本発明に係る「ATLの進行度又は悪性度の評価」として、ATLに対する化学療法や造血幹細胞移植の治療効果の評価に用いることもできる。 クローナリティ解析において示すように(図4A)急性型等の高悪性度ATLにおいてはN分画に白血病クローンが濃縮され、化学療法後も、残存白血病クローンはN分画に濃縮される。したがって、N分画の割合を追跡することにより、病態の進行や治療効果を評価することができる。 また、同種造血幹細胞移植後の患者検体においては、HTLV-1非感染細胞において、CADM1の低レベルの発現やCD7の発現低下等、生理的条件下では稀な細胞集団が比較的増加するが、この条件下でもN分画(症例によってはD分画も)に白血病クローンが濃縮される。したがって、N分画(とD分画)の細胞を追跡することにより、微小残存病変を評価することができる。 なお、本発明に係る方法は、CADM1とCD7の発現の割合のみに限定されず、絶対数の定量も可能である。すなわち、既知数の蛍光ビーズ(リファレンスビーズ)を使用した比例定量法や、それに準ずる方法と組み合わせることにより、CADM1陽性/CD7陰性細胞やCADM1陽性/CD7弱陽性細胞等の細胞数を正確に測定することができる。発癌過程の進行や悪性度の評価と同時に、各分画の絶対数を評価することにより、本発明は化学療法など治療前後の細胞数の評価や、治療効果の判定にも広く応用することができる。 次に本発明に係るATLの進行度又は悪性度を評価するためのキットについて説明する。 当該キットは、抗CADM1抗体と抗CD7抗体とを含み、被検者から得た末梢血単核細胞におけるCADM1とCD7の発現を測定することができるものである。 本発明に係るキットの抗CADM1抗体と抗CD7抗体は、検出方法にあわせて標識されていることが望ましい。あるいは、標識するための試薬がキットに含まれていてもよい。例えば、フローサイトメーター測定用であれば、Fluorescein isothiocyanate(FITC)、Cy5、Cascade Blue、Pacific Blue、Pacific Orangeなどの蛍光色素や、Allophycocyanin(APC)、Phycoerythrin(PE)等の蛍光色素でそれぞれ識別可能に標識されていることが望ましい。本発明に係るキットはその他の表面マーカーに対する抗体(例えば抗CCR4抗体)を含んでいてもよい。多重染色を行う場合、抗体をPerCP-Cy5.5、PE-Cy7、APC-Cy7等のような2種の蛍光色素を結合させたタンデム色素で標識することも好ましい。 本発明に係るキットは、その他、目的の細胞集団の識別に必要な抗体(抗CD4抗体、抗CD14抗体等)、アイソタイプコントロール抗体、必要な緩衝液、プレート、サンプルチューブ、試薬、使用説明書等を備えていてもよい。 また、本発明は、フローサイトメーターによって、CADM1とCD7を指標に細胞を分画することにより、悪性度の高い白血病クローンを純化する方法も包含する。 上述のとおり、フローサイトメーターによって、CADM1とCD7を指標に細胞を分画すると、D、N分画が増加した症例では同分画に優勢なクローンを含む。 一般に、高悪性度ATLにおいては白血病クローンが検体中に占める割合が高いので、末梢血から単核細胞またはCD4陽性細胞を分離するだけで、クローナルに増殖している細胞集団を比較的高純度に得ることができる。一方、キャリア〜低悪性度ATLにおいては、HTLV-1非感染細胞やクローナルに増殖していないHTLV-1細胞の存在により、白血病クローンを純化することが困難であった。 しかしながら、本発明の方法によれば、キャリア〜低悪性度のATLであっても、D、N分画、特にN分画をフローサイトメトリーにより純化すれば、比較的初期の発癌段階のクローナルに増殖する細胞集団を得ることができる。かかる細胞は、分子生物学的研究用途等に極めて有用である。 本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。患者検体 HTLV-1キャリアとATL患者から末梢血20mlを採取した。ATL患者の病型については下山分類(Shimoyama M. Br J Haematol. 1991;79(3):428-437.)により決定した。検体採取にあたっては、東京大学医科学研究所倫理審査委員会の承認を得て、被験者から書面による同意を取得した。フローサイトメトリーとソーティング 抗ヒトCADM1モノクローナル抗体(MBL)を、biotin N-hydroxysuccinimide ester(Sigma Aldrich社)を用いてビオチン標識(primary amine biotinylation)を行った。Pacific-orange標識抗ヒトCD14抗体はInvitrogen社から購入した。Pacific-blue標識抗ヒトCD4抗体、APC標識抗ヒトCD7抗体、APC-Cy7標識抗ヒトCD3抗体はBioLegend社から購入した。 ヘパリン加末梢血から比重遠心分離法にて分離した単核細胞を、上記ビオチン/蛍光標識各種抗体と室温で20分反応させた。ビオチン標識抗ヒトCADM1抗体については、1x106個の細胞あたり1μgを反応させた。残りの抗体については製造元の添付書に従った量を反応させた。 CD7とCADM1発現の陰性コントロール条件として、ビオチン標識したニワトリIgYアイソタイプコントロール抗体(ベックマンコールター)とAPC標識マウスIgG2aアイソタイプコントロール抗体を細胞と反応させた(CD4,CD3,CD14抗体についてはテストサンプルと同様に染色)。 その後、細胞を2回洗浄し、PE標識ストレプトアビジン(BDバイオサイエンス)を室温で15分反応させた。細胞を2回洗浄後、フローサイトメトリー解析まで氷上で保存し、解析直前に死細胞除去目的でPIを加えた。フローサイトメトリーとソーティングの際、BD FACS Ariaフローサイトメーター(BDバイオサイエンス)を使用した。取得データはFlowJoソフトウェア(Treestar)により解析した。ゲーティングについては図1の様に行い、CD4陽性細胞のCADM1 vs CD7プロットにて分画される各細胞集団の割合を測定した。ソートされた細胞のHTLV-1ウイルス感染細胞率の測定、クローナリティ解析 CADM1 vs CD7プロットにおける各分画のHTLV-1ウイルス感染細胞率については、以下に示すように3通りの方法で検証した。[1. 定量PCR法] 各分画をフローサイトメトリーにより分取後、QIAamp DNA micro kit(Qiagen)を用いてDNA抽出を行った。抽出されたDNAを用いて、本発明者らによる以前の報告(非特許文献2)と同じ方法で、リアルタイムpolymerase chain reaction法(PCR、TaqMan法)にてHTLV-1プロウイルスのpX領域を増幅し(内部コントロールとしてRNAseP遺伝子を増幅)、HTLV-1ウイルス感染細胞率(proviral load: PVL)を測定した。[2. 半定量PCR法] 上記と同様に各分画の細胞集団から抽出されたDNAを用いて、Nakahataらの報告(Nakahata S, et al., Leukemia 2012;26(6):1238-1246.)と同様な方法で、プロウイルス中のHBZ遺伝子の半定量PCRを行った。内部コントロールとしてβアクチン遺伝子の増幅を行った。[3. FISH解析] クロモソームサイエンスラボ社に解析を外注した。HTLV-1ウイルスゲノム全長を含むプラスミドを、ニックトランスレーション法にてジゴキシゲニンをラベルし、FISHプローブとして使用した。Cy3標識抗ジゴキシゲニン抗体を用いて蛍光シグナルを検出した。 以上の検証の結果、HTLV-1キャリア、各病型のATLいずれにおいても、D分画とN分画に高率にHTLV-1細胞が濃縮されることを確認した。 また、上記と同様に各分画の細胞集団から抽出されたDNAを用いて、非特許文献2と同じ方法で、インバースPCR法によりクローナリティ解析を行った。最大1μgの抽出DNAを制限酵素(PstIまたはEcoRI)処理し、DNA精製後、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ)を用いてセルフライゲーション(16℃、オーバーナイト)を行った。DNA精製後、EcoRI処理条件についてはMluI処理(プロウイルス中のpX領域を切断する制限酵素)を行った(PCRによるプロウイルスの領域の増幅を防ぐため)。Gflex DNA ポリメラーゼ(タカラバイオ)を用いてPCR反応を行った。結果 非感染者コントロール(Normal control)、無症候性キャリア(AC)、くすぶり型(Smoldering)、慢性型(Chronic)、及び急性型(Acute)の被検者から得た末梢血検体中のCD4陽性細胞を、フローサイトメーターでCADM1とCD7で展開した結果を図2に示す(代表例のデータ)。非感染者のCD4陽性細胞は、ほとんどがP分画にあり、キャリア→くすぶり型/慢性型→急性型と病態が進行するに伴い、徐々にD分画とN分画が増加(相対的にP分画が減少)し、次いでN分画が著増した。 図3に、無症候性キャリア、くすぶり型、慢性型、及び急性型の多数の被検者検体について、D分画とN分画の割合の関係を示す。キャリア→くすぶり型/慢性型→急性型と病態が進行するに伴い、まず、徐々にD分画とN分画が増加(相対的にP分画が減少)し、次いでN分画が著増することが確認された。 図4A及びBに、各病型の代表例の各分画のインバースPCR法によるクローナリティ解析の結果を示す。図4Aではくすぶり型/慢性型/急性型の一例ずつを示す。いずれの例においてもN分画に優勢なクローン(メジャークローン)を示す明瞭なバンドが見られた。これらの症例は一般的なキャリアに比べてD又はN分画が明らかに増加しており、クローナリティが進行していることが予想されたが、予想通りの結果であった。図4Bでは、いずれもキャリアと診断された3例の解析結果を示す。左から右の症例にかけて、異常リンパ球の割合とPVLが増加しており、同じキャリアであっても病態の進行が示唆された。それらの臨床情報とフローサイトメリー、クローナリティの解析結果に相関が認められた。つまり、左の低いPVLのキャリアではD、N分画の割合は少なく、インバースPCRではポリクローナルな増殖(スメア状のバンド)が示唆された。中のキャリアではD、N分画の割合が増加し、インバースPCRではオリゴクローナルな増殖(細い複数のバンド)が示唆された。右の極めて高いPVLのキャリアでは、N分画がより増加しており、インバースPCRではメジャークローンを示唆する明瞭なバンドが認められた。既にメジャークローンを有し、かつD、N分画の増加したこのキャリアはATLへ進行するリスクがかなり高いと考えられる。以上のように、フローサイトによりATLへ進行するリスクが高いキャリアとリスクの低いキャリアと判別できることが確認された。 以上より、本発明の方法によれば、キャリア→くすぶり型/慢性型→急性型というATLの進行度/悪性度を簡易に判断することができ、さらに無症候性キャリアにおいて、病態の進行のリスクも評価できることが確認できた。 HTLV-1キャリア又は成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度の評価方法であって、 HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞におけるCADM1とCD7の発現量を測定する工程、又は HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程を含む、方法。 CADM1陰性/CD7陽性細胞が多い場合、進行度又は悪性度は低度、 CADM1陽性/CD7弱陽性細胞が比較的多い場合、進行度又は悪性度は中等度、 CADM1陽性/CD7陰性細胞が多い場合、進行度又は悪性度は高度とし、 前記試料中の細胞における、CADM1陰性/CD7陽性細胞、CADM1陽性/CD7弱陽性細胞、及びCADM1陽性/CD7陰性細胞のそれぞれの割合に応じて、進行度又は悪性度を評価する、請求項1に記載の方法。 CADM1陰性/CD7陽性細胞がより多い場合に、進行度又は悪性度がより低いと評価し、 CADM1陽性/CD7陰性細胞がより多い場合に、進行度又は悪性度がより高いと評価する、請求項1に記載の方法。 CADM1陰性/CD7陽性細胞の数が所定の値より多い場合に、進行度又は悪性度は低度であると評価する、請求項1に記載の方法。 CADM1陽性/CD7陰性細胞の数が所定の値より多い場合に、進行度又は悪性度が高度であると評価する、請求項1に記載の方法。 HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程にフローサイトメトリーを用いる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。 HTLV-1感染者から採取された試料から単核細胞を分離する工程と、 前記単核細胞からCD4陽性細胞をゲートする工程と、 CADM1とCD7で展開する工程、を含む請求項6に記載の方法。 前記CD4陽性細胞をゲートする工程に先立って、CD14により単球をゲートアウトする工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。 HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に加え、CCR4、CD25、CD26、及びCD62L等からなる群より選択される少なくとも1つの発現量を測定する工程、又はその発現量に応じてさらに分画する工程を含む請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。 HTLV-1の無症候性キャリアにおける病態進行のリスクを評価するために用いられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。 化学療法又は同種造血幹細胞移植後の治療効果を評価するために用いられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。 抗CADM1抗体と抗CD7抗体とを含む、HTLV-1キャリア又は成人T細胞白血病の発癌過程進行度又は悪性度を評価するためのキット。 HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、フローサイトメトリーによってCADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程と、 CADM1陽性/CD7陰性細胞分画又はCADM1陽性/CD7弱陽性細胞分画から、優勢なクローンを分離する工程、を含む白血病クローンの分離方法。 【課題】本発明は、無症候性HTLV-1キャリア→くすぶり/慢性型(低悪性度)成人T細胞白血病(ATL)→急性/リンパ腫型(高悪性度)ATLというATLの進行度、又はHTLV-1キャリアがATLに進行するリスクを客観的に評価できる方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、HTLV-1感染者から採取された試料中の細胞におけるCADM1とCD7の発現量を測定する工程、又はHTLV-1感染者から採取された試料中の細胞を、CADM1とCD7の発現量に応じて分画する工程を含む、HTLV-1感染またはATLの発癌過程の進行度又は悪性度の評価方法を提供する。【選択図】 図2


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