生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_セルロースゲル配合物
出願番号:2013032779
年次:2013
IPC分類:C08L 1/02,C08L 101/14,A61L 27/00,A61K 47/38


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ミラニアン アルバート ストローム マリア JP 2013117030 公開特許公報(A) 20130613 2013032779 20130222 セルロースゲル配合物 エフ エム シー コーポレーション 391022452 FMC CORPORATION 野田 直人 100146282 野村 康秀 100162569 ミラニアン アルバート ストローム マリア US 60/742,749 20051206 C08L 1/02 20060101AFI20130517BHJP C08L 101/14 20060101ALI20130517BHJP A61L 27/00 20060101ALN20130517BHJP A61K 47/38 20060101ALN20130517BHJP JPC08L1/02C08L101/14A61L27/00 PA61L27/00 FA61K47/38 2 2008543938 20061206 OL 15 4C076 4C081 4J002 4C076AA06 4C076BB31 4C076CC04 4C076DD09 4C076DD37 4C076DD38 4C076DD41 4C076DD46 4C081AB02 4C081AB13 4C081CD02 4C081CF011 4C081DA01 4C081DA03 4J002AB011 4J002DE026 4J002GB00 4J002GB02 4J002GC00 4J002GD00 4J002GH01 4J002HA06 本発明は、藻類(algae)、真菌(fungi)または被嚢類(tunicates)に由来する非種子セルロースパウダー(non-seed cellulose powder)を含む分散性セルロースパウダー組成物(dispersible cellulose powder compositions)に関する。この組成物は、食品、医薬品、化粧品、塗料、人工組織工学用生体適合物質(biocompatible materials for artificial tissue engineering)及び移植可能な生体適合物質(implantable biomaterials)などの様々な製品に有用である。また本発明は、非種子セルロースパウダー組成物の製造方法にも関する。 微結晶性セルロース(MCC)は、食物、薬物及び化粧品を含む様々な産業用途に一般に使用される添加剤である。これは、繊維質植物材料からパルプとして得られたα−セルロースを、鉱酸を用いて処理することにより製造された精製部分解重合セルロースとして定義される。α−セルロースという用語は、工業的セルロースパルプにおいて、マーセル化力のある冷水酸化ナトリウム(17.5または18%)に不溶性の部分を指す。β−セルロースは、こうした溶液に可溶だが、酸性化すると沈殿する。一方、γ−セルロースは、酸性化しても溶液中に残ったままである。 MCC粒子は主として凝集体であり、何百万もの微結晶からなる。MCCの微結晶は、懸濁液、ローション、クリーム、軟膏剤、ペースト剤及び乳製品(例えば、アイスクリーム、ヨーグルト)など他の分散系の体質(body)、テクスチャー及び安定性を著しく高めることができる、安定した均質な分散液を形成する非常に有用な特性を有する。増粘剤として使用される水可溶性ポリマーとは異なり、MCCの微結晶は水不溶性であり、その分散液に、熱安定性及び凍結融解安定性(freeze-thaw stability)という望ましい特性を与える。この分散液の他の望ましい特性としては、長い貯蔵安定性、pH4〜11の範囲での安定性、チキソトロピー性、無臭、及び無味が挙げられる。 これら望ましい特性を有するものの、最終生産物に所望のテクスチャー及び機能性を与えるために比較的大量のセルロースを必要とする場合は、従来の分散性セルロース品種は、不十分であった。これらのマイナス要因は、主として、乾燥した感じ(drying sensation)、粉っぽさ(chalkiness)、その他の望ましくない官能的効果に伴うものである。さらに、市販の分散性セルロース品種は、電解質の容量に限界があり、過剰量のイオン性物質がある状態で容易に凝結する。これは大きな欠点である。何故ならば、ほとんどの食品、医薬品または化粧品の配合は複雑であり、活性成分と各種添加剤(即ち、防腐剤など)の両方を含めて、荷電種(charged species)の比率が高いからである。したがって、分散性セルロース品種を改善する必要がある。 本発明の実施態様は、非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌または被嚢類に由来する分散性セルロースパウダー組成物を対象とする。 本発明の実施態様は、また、分散性セルロースパウダー組成物を含むゲル、懸濁液、食品、医薬品、化粧品、塗料、人工組織工学用生体適合物質、及び移植可能な生体適合物質を対象とする。 本発明の実施態様は、さらに、非種子セルロースの塊(mass)を精製する工程、及び、粉砕された非種子セルロースの塊を安定化剤と共に共噴霧乾燥(co-spray-drying)して非種子セルロースパウダー組成物を形成する工程を含む、非種子セルロースパウダー組成物の製造方法を対象とする。 本発明の実施態様は、さらに、非種子セルロースの塊を精製する工程;精製された非種子セルロースの塊を粉砕する工程;該粉砕された非種子セルロースを噴霧乾燥する工程;及び、非種子セルロース組成物を安定化剤溶液中に分散させて非種子セルロースパウダー組成物を形成する工程を含む非種子セルロースパウダー組成物の製造方法を対象とする。図面の簡単な説明 図1は、シオグサ属セルロース粒子の走査電子顕微鏡写真を示す図である。示された表面積の値は、BET N2ガス吸着分析から得られる。 図2A〜図2Bは、A)濃度の関数として、周波数1Hzで得られたセルロース試料の弾性率G’を表すグラフであり、B)濃度の関数として、周波数1Hzで得られたセルロース試料の粘性率G”を表すグラフである。 図3A〜図3Eは、種々の濃度におけるセルロースパウダー試料の弾性率G’(閉マーク)と粘性率G”(開マーク)の周波数依存性を表すグラフである:A)Avicel RC−591試料、B)水中のシオグサ属セルロース試料(CMCの添加なし)、C)0.025%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース、D)0.050%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース、及びE)0.100%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース。 図4は、周波数1Hzで得られたセルロース試料の位相角δを、その濃度の関数として表すグラフである。 図5A〜図5Eは、印加された周波数の関数として、コックス−メルツの複素動的粘度を表すグラフである:A)水中のシオグサ属セルロース試料(CMCの添加なし)、B)0.025%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース、C)0.05%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース、D)0.10%(w/v)CMC溶液中のシオグサ属セルロース、及びE)水中のRC−591試料。エラー・バーは、3つの測定の標準偏差を表す。 図6は、Vivapur MCGパウダー、Vivapurウェット・ケーキ/CMC及びシオグサ属/CMC試料の弾性率G’(閉マーク)と粘性率G”(開マーク)の周波数依存性を表すグラフである。 図7は、超音波処理時間の関数として、活性化されたシオグサ属セルロース分散液(5.7±0.3mg/10ml)の相対透明度を表すグラフである。I=懸濁液の光線透過率(%)、I0=水の光線透過率(%)。 分散性セルロース材料は、伝統的に、本明細書で種子生物と呼ぶ高等植物(例えば、木、草など)原料に由来する。しかし、α−セルロース生成のための代替原料も公知であり、本明細書では非種子生物と呼ぶ(例えば、藻類、細菌、真菌)。先行技術では、特別な撹拌状態下での酢酸菌の好気性発酵で製造された細菌由来のセルロースパウダーが、食品に適した分散性セルロース材料として、米国特許第5,079,162号、第5,144,021号及び第5,366,750号に開示されている。しかし、適切な分散性セルロース材料として藻類または他の非種子生物由来への言及はない。被嚢類セルロースのレオロジー特性が、M. Bercea、P. Navard、2000、「セルロースウィスカーの水性懸濁液の剪断動力学」("Shear dynamics of aqueous suspensions of cellulose whiskers")、Macromolecules、33、6011-6016に記載されている。しかし、可能な用途への言及はない。 本発明者らは、改善されたセルロースパウダー組成物が非種子セルロースパウダーから製造できることを明らかにした。したがって、本発明の実施態様は、非種子セルロースパウダーを含むセルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌、及び/または被嚢類に由来するものであることを特徴とするセルロースパウダー組成物を対象とする。当業者は、非種子セルロースパウダーを得ることができる様々な藻類、真菌または被嚢類を理解するであろう。それらのどれも本明細書に使用することができる。例えば、藻類由来のセルロースは、例えば、緑藻類〔Green algae、緑色植物門(Chlorophyta)〕:特に、シオグサ属(Cladophora)、ジュズモ属(Chaetomorpha)、ネダシグサ属(Rhizoclonium)またはミクロディクティオン(Microdyction)などのシオグサ目(Cladophorales order)、及び、バロニア属(Valonia)、キッコウグサ属(Dictyosphaeria)、クダネダシグサ属(Siphonocladus)またはマガタマモ属(Boergesenia)などのミドリゲ目(Siphonocladales order)からなど、糸状及び/または球状の海藻類から得られるセルロースとすることができる。さらに、アオサ目(Ulvales order)、例えば、アオサ属(Ulva)、アオノリ属(Enteromorpha)、シャジクモ目(Charales order)、例えばシャジクモ属(Chara)、フラスコモ属(Nitella)、ホシミドロ目(Zygnematales order)、例えば、アオミドロ属(Spirogyra)、及びクロロコックム目(Chlorococcales order)、例えば、オーキスティス属(Oocystis)などからの緑藻類〔Green algae、緑色植物門(Chlorophyta)〕;アナベナ属(Anabaena)及びNostoc punctiformaeなどの藍藻類〔Blue green algae、藍色植物門(Cyanophyta)〕;フシナシミドロ目(Vaucheriales order)、例えば、フシナシミドロ属(Vaucheria)、及びトリボネマ目(Tribonematales order)、例えば、トリボネマ属(Tribonema)などの黄金藻類〔Gold algae、黄金色植物門(Chrysophyta)〕;クリプテコディニウム・コーニー(Cryptecodinium cohnii)、ゴニオラックス属(Gonyaulax)、ポリエドラ(polyedra)、Scrippsiella hexapraecingula、サヤツナギ属(Dinobryon)及びペリディニウム属(Peridinium)などの渦鞭毛藻類〔Dinoflagellates、炎色植物門 (Pyrrophyta)〕;レッソニア・ニグレセンス(Lessonia negriscens)、マクロシスティス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera)、アスコフィルムノドサム(Ascophyllumnodosum)及びフカス・セラタス(Fucus serratus)などの褐藻類〔Brown algae、褐藻植物門(Phaeophyta)〕;並びに、Erythrocladia subintegraなどの紅藻類〔Red algae、紅色植物門(Rhodophyta)〕から得られるセルロースとすることができる。真菌からのセルロースは、Achlya bisexualis;コレトトリカム・リンデムチアナム(Colletotrichum lindemuthianum);キイロタマホコリカビ(discoideum)などのタマホコリカビ属(Dictyostelium);紅色雪腐病菌(Microdochium nivale);オピオストマ・ウルミ(Ophiostoma ulmi);parasitica var. nicotianae及びカクトラム(cactorum)などのフィトフトラ属(Phytophtora);アファニデルマータム(aphanidermatum)、ブトレリ(butleri)及びウルチマム(ultimatum)などのピシウム属(Phytium);並びにパラシティカ(parasitica)及びモノイカ(monoica)などのミズカビ属(Saprolegnia):から選択された真菌から得ることができる。 種子及び非種子生物から得られた化学的に同一のα−セルロースは、その超分子オーダー(supra-molecular order)では著しく異なる可能性がある。種子生物由来のセルロース微結晶(cellulose crystallites)の幅は通常約4〜5nmであるが、非種子生物由来のそれは約20nmである。これらの違いは、セルロース微結晶のサイズ及び形状を決定するセルロースシンターゼ複合体(cellulose synthase complexes)まで辿ることができる。すべての種子生物では、セルロースシンターゼは六角形に配置された6つのサブユニットの単一ロゼット(solitary rosettes)として生成し、薄い微結晶を産生する。対照的に、ある非種子生物のシンターゼはロゼットではなく大きな長方形の複合体に配置され、非常に厚い微結晶を産生することができる。藻類及び細菌セルロースでは、Iαが天然セルロース(native cellulose)の支配的な結晶型(allomorph)であり、一方、高等植物においては、セルロースIβが支配的であることが一般に認識されている。セルロースIが天然壁(native walls)にある多くの藻類、例えばシオグサ属、バロニア属、ミクロディクティオン属(Microdictyon)においては、そのX線図は著しくシャープである。これは、通常、著しく高度な構造組織を明らかにするものである。 非種子生物由来のセルロースの大きな表面積は、重要なパラメーターであると考えられる。大きな表面積を有するよく粉砕された種子生物セルロースの懸濁液を噴霧乾燥するだけでは、非種子セルロースと同様の特性を有する種子由来セルロースの製造は、不可能である。種子セルロースは乾燥すると凝集し(agglomerate)、実質的に非多孔質の粒子が得られる。このセルロースの孔が物理化学的手法によって乾燥中保持されていたとしても、構造は不安定であり、湿った環境(moist environment)の中では容易に崩壊する。こうしたセルロースが湿度の高い環境(humid environment)にさらされた場合には、極端な減少が見られる〔K. Matsumoto、Y. Nakai、E. Yonemochi、T. Oguchi、K. Yamamoto、1998、「多孔質結晶セルロース上へのエテンザミドのガス吸着による孔径の影響、及び貯蔵後のエテンザミドの物理化学的安定性」("Effect of pore size on the gaseous adsorption of ethenzamide on porous crystalline cellulose and the physicochemical stability of ethenzamide after storage")、Chem Pharm Bull、46(2)、314-318を参照されたい〕。一例として、シオグサ属セルロースの比表面積は工業用吸着剤(industrial adsorbents)の表面積に近い。後者は、約100〜1,000m2/gのオーダーの表面積を有する。したがって、一実施態様では、非種子セルロースパウダーの表面積は、5m2/g以上である。別の実施態様では、非種子セルロースパウダーの表面積は、8m2/g以上である。 分散性セルロースパウダーは、伝統的に、酸性加水分解によって種子生物原料の細胞壁から得られる。残留物を濾過ケーキとして回収し、十分に洗浄して可溶性不純物を除去する。次いで、得られた生成物を、水媒体の存在下で高い剪断摩擦によって摩滅させる。粉砕(disintegration)中に、微結晶が分離されるとともに新しい表面が形成される。個々の微結晶は、分離された状態で維持されなければ再結合する。粒度分布が非常にに重要であることを強調したい。摩滅は、固体重量の少なくとも1%、好ましくは粒子の少なくとも30%が、電子顕微鏡検査によって求められる長さ1μmを超えない塊(mass)を生成するように行うことが望ましい。 実用上は、粉末状の製品を有することが重要である。しかしながら、微結晶は乾燥すると再凝集して、本質的に非多孔質の表面積の小さい生成物を生成する。したがって、摩滅させた微結晶の再凝集を防ぐために、様々な安定化剤を非種子セルロースパウダー組成物に加えることができる。また、当業者は、非種子セルロースパウダー組成物に加えられる安定化剤の量を理解するであろう。一実施態様では、安定化剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グアルガム(guam gum)、ローカストビーンガム(locust beam gum)、アラビアゴム(gum arabic)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、カラギーナン(carrageenan)、カラヤガム(gum karaya)、キサンタン(xanthan)またはこれらの組合せなどの親水コロイド(hydrocolloid)を非種子セルロースパウダー組成物に添加することができる。ある実施態様では、安定化剤は、カオトロピック剤と呼ぶこともできる。分散性セルロースの安定化作用は、立体的安定化(steric stabilization)によってもたらされる。例えば、MCC微結晶上の負に帯電した安定化剤分子は、弱い反発的粒子間相互作用により分散を助けると考えられる。したがって、配合物における安定化剤の役割は、分散を助けるとともに保護コロイドとして役立つことである。したがって、当業者は、非種子セルロースパウダー組成物に使用される安定化剤の選択は、それだけに限らないが、溶解度、乾燥特性、適用特性及びコストを含む多くの要因に左右されることを理解するであろう。 例えば、望ましい味、外観、テクスチャー及び/または他の特性を付与するために、さらに機能性成分を非種子セルロースパウダー組成物に添加することもできる。当業者は、非種子セルロースパウダー組成物に添加することができる様々な機能性成分を理解するであろう。これらのどれも本明細書で使用することができる。具体例としては、それだけに限らないが、風味料(flavoring materials)、味覚改良剤(tast modifiers)、着色剤、湿潤剤(humectants)、医薬成分、医薬賦形剤、人工組織工学用の1種または複数種の生体適合物質、または機能性成分の組合せが挙げられる。さらに、当業者は、非種子セルロースパウダー組成物に添加してこの組成物に所望の性状を付与する機能性成分の量を理解するであろう。 本発明の実施態様は、さらに非種子セルロースパウダー組成物の製造方法も対象とする。一実施態様では、この方法は、非種子セルロースの塊を精製する工程、及び粉砕した非種子セルロースの塊を安定化剤と共に共噴霧乾燥して非種子セルロースパウダー組成物を形成する工程を含む。当業者は、非種子セルロースの塊を精製する様々な方法を理解するであろう。これらのどれも本明細書で使用することができる。一実施態様では、非種子セルロースの塊を精製する工程は、非種子セルロースの塊を亜塩素酸ナトリウムで漂白(bleaching)する工程、及びα−セルロースをアルカリ抽出する工程を含む。こうした精製工程は、所望により、単一工程で行ってもよく、繰り返してもよい。 本発明の実施態様は、また、非種子セルロース組成物の製造方法を対象とする。この方法は、非種子セルロースの塊を精製する工程;精製された非種子セルロースの塊を粉砕する工程;該粉砕された非種子セルロースを噴霧乾燥する工程;及び、安定化剤溶液中で非種子セルロース組成物を分散させて非種子セルロースパウダー組成物を製造する工程を含む。 様々な品種(grades)の非種子セルロースを生成するために、追加の工程を非種子セルロースパウダー組成物の製造方法で使用することができる。一実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物の製造方法は、共噴霧乾燥に先立って非種子セルロースの塊を機械的に粉砕(ウェットまたはドライ)する工程をさらに含むことができる。この共噴霧乾燥では、セルロースの粉末品種が製造される。別の実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物の製造方法は、共噴霧乾燥に先立って非種子セルロースの塊を酸加水分解する工程をさらに含むことができる。この共噴霧乾燥では、微晶質品種のセルロースが製造される。さらに別の実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物の製造方法は、高剪断力ホモジナイザーを使用して、水媒体中の非種子セルロース組成物を活性化する工程をさらに含むことができる。 図1では、幅約20〜30nmの多数の絡み合ったセルロースの「糸」からなる典型的なウェブ状構造を見ることができる。これらの「糸」は、少ない液量への迅速な(数分内)分散を可能にする高強度超音波プロセッサーを使用して、水性媒体中(0、0.025、0.05及び0.10w/v%のCMCを含む)に分散されている。しかし、以下に詳細に議論するように、他の従来の分散技術も利用することができる。シオグサ属セルロースを製造し、そのゲル特性を市販のMCC/CMC製品、Avicel RC-591〔FMC社(米国)〕またはVivapur MCG〔JRS Pharma(ドイツ)〕と比較する。 本発明の実施態様は、また、非種子セルロースパウダー組成物を含むゲル及び懸濁液を対象とする。本明細書では、ゲルは、少なくとも2つの成分(そのうちの1つは豊富に存在する液体である)からなる、軟質材料、固体材料または固体様材料として定義される〔K. Almdal、J. Dyre、S. Hvidt、O. Kramer、1993、「用語『ゲル』の現象学的定義について」("Towards a phenomenological definition of the term 'gel'")、Polymer Gels and Networks、1、5-17を参照されたい〕。 ゲル特性は2つの動的機械特性によって説明される。即ち、系の可逆的蓄積エネルギー(reversibly stored energy)を表す弾性率G′、及び不可逆エネルギー損失(irreversible energy loss)を表す粘性率G″である。周波数に対してプロットされた場合、真のゲル構造(true gel structures)のG′モジュラスは明白なプラトー(plateau)を示す。さらに、このプラトー領域において、G″はG′より著しく小さい。G″とG′の比は、ゲルの粘弾性の別の尺度であり、次式で定義される:式中、δは位相角(弾性構造体ではδ→0°、一方、塑性構造体ではδ→90°)である。定常流粘度を動的粘度と関連させるコックス−メルツ経験則〔Cox-Merx empirical rule、Cox, W.P.及びMerz, E.H、1958、動的粘度と定常流粘度の相関性(Correlation of dynamic and steady flow viscosities)、Journal of Polymer Science、28、619-622〕によれば、ゲル構造体では、複素動的粘度(complex dynamic viscosity)の値は、印加した周波数の単調非減少関数(monotonically decreasing function)である。複素動的粘度は次式で計算される:式中、η*は複素動的粘度であり、η′は動的粘度であり、G′は動的剛性であり、wは角周波数である。 周波数1Hzでの弾性率G′で表した配合物のゲル強度を、セルロース濃度の関数として図2に示す。弾性率G’は固形分の増加とともに上昇した。シオグサ属試料のゲル強度に匹敵するゲル強度を得るためには、およそ10倍高い濃度のAvicel RC-591が必要である。シオグサ属固形分が0.5%(w/v)未満の場合、1Hzでの弾性率G′は、0.10%(w/v)未満のCMC溶液について10〜104Paの間にある。シオグサ属固形分が0.5〜2%(w/v)の間にある場合、xHzでの弾性率G′は、0.10%(w/v)未満のCMC溶液について102〜105Paの間にある。 図3に、振動掃引測定(oscillation sweep measurements)のデータを要約する。図3aから、Avicel RC-591は、固形分1.5w/v%未満の濃度でゲル構造を形成しないと結論される。この結論は、G′コンポーネントの周波数依存性パターンに基づく。これは、図4においてAvicel RC-591の濃度が0.5及び1.0w/v%の場合に、位相角δの値が高いことによっても支持される。一方、Avicel RC-591の濃度が1.5w/v%の場合には、周波数独立性G′モジュラス(図3a)及び低い値の位相角δ〜10°(図4)が観察される。しかし、通常、G′及びG″の低い値は、弱いゲル構造を示唆する。同様に、0.100w/v%CMC溶液を使用して製造された固形分0.2w/v%のシオグサ属試料は、弾性ゲルのものではなく粘性系に典型的な流動学的性質を示す。これは、G′モジュラスの周波数依存特性(図3e)及び比較的高い値の位相角δ(図4)から明白である。他のシオグサ属試料については、測定されたすべての濃度で周波数独立性G′コンポーネントが観察される(図3b−e)。また、約10以下の位相角δ値が記録されるが(図4)、これは弾性ゲル構造に特有のものであると認められる。シオグサ属試料のG′及びG″モジュラスの値が比較的高いことは、長い距離にわたる強い相互作用によって特徴づけられる堅固なゲル構造を示唆した。 流動学的分析によれば、CMCの濃度が上昇するとともに、特に0.100w/v%CMC溶液について、ゲル構造が弱くなることが分かる(図3b−e)。注目すべきは、シオグサ属セルロースパウダーのゲル化特性に対するCMC濃度の影響は、より低い固形分(例えば0.2及び0.5w/v%)でより明白であるが、より高い固形分濃度では、違いは無視できるほど小さいことである(図2)。たとえCMCがシオグサ属セルロースのゲル強度に負の効果を有していても、視覚的に観察するとより均質な製品が得られるので、これを少量添加することは、分散を助けるのに役立つことが分かる。 図5a〜5eは、検討した材料のコックス−メルツプロット(Cox-Merz plots)を表す。固形分0.5及び1.0%のAvicel RC試料(図4e)ならびにCMC0.1%を含むシオグサ属セルロース0.2%の試料(図4d)については、複素動的粘性η*と周波数の間の両対数の関係は、非線形(non-linear)である。上述のように、これらの試料は真のゲル構造に典型的な流動学的挙動を示さない。 図6では、シオグサ属セルロース/CMCゲルの特性を、Vivapur 591 MCGパウダー(活性化セルロース)及びVivapur MCGウェットケーキ/CMC(非活性化セルロース)と比較した。VivapurウェットケーキとVivapur 591の乾燥固形分は2w/w%に相当した。このグラフから、Vivapurウェットケーキを超音波処理で分散した場合、Vivapur 591及びシオグサ属/CMC試料とは異なり、ゲル構造を形成しなかったことが分かる。繰り返すと、Vivapur 591と同様のゲル強度を得るのに必要なシオグサ属/CMC試料の濃度は、およそ十分の一である。 予想されたように、超音波処理を長くすると、セルロース微結晶の完全に活性化された均質の分散液が形成された。即ち、図7では、シオグサ属懸濁液の相対的な透明度は、超音波処理時間とともに上昇する。得られた分散液の透明度は有利な特性である。何故ならば、これにより最終製品の着色剤の選択に関してより高い自由度が可能になるからである。 塩化ナトリウムの含有率が10%を超え50%以下(分散液容積当たり塩重量)の場合でも、シオグサ属/CMCセルロース分散液(例えば、固形分0.5容積%)は、凝固しない。市販の類似物、例えば、Vivapur MCG、JRS Pharma(ドイツ)は、塩化ナトリウム含有率が4%(分散液容積当たり塩重量)で凝固し、特有の相分離を起こす。塩が完全には溶解しなくても、塩粒子が懸濁された状態で粘性物を形成しており、その外観が変化することはない。 シオグサ属セルロースは、0.2w/v%(すべてのCMC濃度について)もの低いセルロース濃度でゲル構造を形成する。しかし、市販の類似物の下方閾値(lower threshold)は、固形分約1.5w/v%である。従来の分散性セルロース品種は、一般に、様々な配合物(例えば、クリームまたは低脂肪食品)の油性成分を下げるために使用されているが、その特性は、多くの場合不十分であることが分かっている。これは、通常、実質上無脂肪の製品が望ましい場合である。即ち、脂肪含有量が低下するにつれて、セルロース系成分(cellulose-based ingredients)の添加量を増加しなければならず、結果として好ましくない官能的性質を与えることになる。製品にもよるが、これらの悪影響としては、乾燥した感じ、粉っぽさ、渋味または他の嫌な風味を挙げることができる。上記から、最低限の脂肪様機能性を得るために、先行技術ではかなり大量のセルロース系成分を必要とすると推論される。本発明において、非種子由来(例えば、藻類)のセルロースの使用により、安定なゲル構造の形成に必要なセルロース濃度を著しく低下させることができ、これによりセルロースの大量使用に伴う負の効果の低減が可能であることが見出された。 したがって、一実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物を含むゲルは、非種子セルロースと安定化剤の重量比を約2:1〜約40:1とすることができる。CMCとMCCの比が約1:9の場合に最適なゲル性能が見出されており、一方CMC、MCCなしの場合は安定なゲル構造を形成しない。別の実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物を含むゲルは、非種子セルロースと安定化剤の重量比を非種子セルロース約0.2%〜約30%(w/v)とすることができる。さらに別の実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物を含むゲルは、約0.5%〜約2%(w/v)の非種子セルロースを含むことができる。さらに別の実施態様では、非種子セルロースパウダー組成物を含むゲルは、約0.1w/v%未満の安定化剤を含むことができる。 本発明のセルロースは、非種子生物由来である。このセルロースは、BET N2ガス吸着分析で得られる表面積が、通常、>5m2/gと大きく、細孔容積が>0.01cm3/gであることを特徴とする。このセルロースは、高湿度環境(RH〜100%)または乾燥(例えば噴霧乾燥)中でもその粒子の高度な多孔質構造を保持することができる安定な高結晶性粉末である。水中に単独でまたは親水コロイド(例えばCMC)などの安定化剤と共に分散した場合、この本発明の材料は安定なゲル構造体を作る。ゲル状の特性を示すための下方閾値は約0.2w/v%である。 可能性のある応用分野としては、冷凍乳製品(例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ヨーグルト、マヨネーズなど)、局所適用組成物、各種医薬分散系(例えば、クリーム、軟膏、懸濁液、乳剤)、及び化粧用の局所調剤が挙げられる。さらに、藻類及び細菌性セルロースは、高い機械的強さ、高い結晶度、及び高空孔率の超微細ナノフィブリル網目構造を含む多くの独特の特性を示す。これらの特性は、生体適合人工組織構造体(例えば、人工の血管、皮膚、及び骨の構造体)を設計するのに有用である。アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)からの細菌性セルロースはこうした生物組織工学に可能性のある基体として既に開示されている〔G. Helenius、H. Baeckdahl、A. Bodin、U. Nannmark、P. Gatenholm、B. Risberg、2006、「細菌セルロースのインビボ生体適合性」("In vivo biocompatibility of bacterial cellulose")、Journal of Biomedical Materials Research Part A、76A(2):431-438;A. Bodin、L. Gustafsson、P. Gatenholm、2006、「リン酸カルシウムの結晶化用鋳型としての表面改良型細菌セルロース」("Surface-engineered bacterial cellulose as template for crystallization of calcium phosphate.")、Journal of Biomaterials Science Polymer Edition、17(4):435-477;H. Baeckdahl、G. Helenius、A. Bodin、U. Nannmark、B.R. Johansson、B. Risberg、P. Gatenholm、2006、「細菌セルロースの機械特性及び平滑筋細胞との相互作用」("Mechanical properties of bacterial cellulose and interactions with smooth muscle cells")、Biomaterials、27:2141-214を参照されたい〕。したがって、非種子由来のセルロースは、様々なタイプの塗料及び染料の製造において懸濁助剤としても使用することができる。さらに、非種子セルロース組成物は、人工組織工学用の生体適合物質または移植可能な生体適合物質に使用することができる。 本発明に関する態様は、以下のとおりである。1.非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌または被嚢類に由来することを特徴とする分散性セルロースパウダー組成物。2.非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類に由来することを特徴とする分散性セルロースパウダー組成物。3.藻類が、緑藻類、藍藻類、黄金藻類、褐藻類、紅藻類またはこれらの組合せを含む前記2記載の組成物。4.緑藻類が、糸状及び/または球状の藻類あるいはこれらの組合せを含む前記3記載の組成物。5.藻類が、シオグサ目、ミドリゲ目またはこれらの組合せからの藻類を含む前記4記載の組成物。6.非種子セルロースパウダーの表面積が5m2/g以上である前記2記載の組成物。7.非種子セルロースパウダーの表面積が8m2/g以上である前記2記載の組成物。8.安定化剤をさらに含む前記1、2または3記載の組成物。9.安定化剤が親水コロイドを含む前記8記載の組成物。10.親水コロイドが、カルボキシメチルセルロース、グアルガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、カラギーナン、カラヤガム、キサンタン、またはこれらの組合せを含む前記9記載の組成物。11.機能性成分をさらに含む前記1、2または3記載の組成物。12.機能性成分が、1種または複数種の風味料、味覚改良剤、着色剤、湿潤剤、医薬成分、医薬賦形剤、またはこれらの組合せを含む前記11記載の組成物。13.機能性成分が、1種または複数種の人工組織工学用生体適合物質を含む前記11記載の組成物。14.前記1、2または3記載の非種子セルロースパウダー組成物を含むゲル。15.前記1、2または3記載の非種子セルロースパウダー組成物を含む懸濁液。16.前記8記載の非種子セルロースパウダー組成物を含むゲルであって、該分散性セルロースパウダー組成物が、非種子セルロースと安定化剤を約2:1〜約40:1の重量比で含むことを特徴とするゲル。17.約0.2〜約30w/v%の非種子セルロースを含む前記14記載のゲル。18.約0.5〜約2w/v%の非種子セルロースを含む前記17記載のゲル。19.約0.1w/v%未満の安定化剤を含む前記14記載のゲル。20.前記14記載のゲルを含む食品。21.前記14記載のゲルを含む局所適用組成物。22.前記15記載の懸濁液を含む医薬品配合物。23.前記15記載の懸濁液を含む塗料配合物。24.前記1、2または3記載の分散液を含む人工組織工学用生体適合物質。25.前記1、2または3記載の分散液を含む移植可能な生体適合物質。26.非種子セルロースの塊を精製する工程、及び、粉砕された非種子セルロースの塊を安定化剤と共に共噴霧乾燥して非種子セルロースパウダー組成物を形成する工程を含む非種子セルロースパウダー組成物の製造方法。27.非種子セルロースの塊を精製する工程が、非種子セルロースの塊を亜塩素酸ナトリウムで漂白する工程、及び、α−セルロースをアルカリ抽出する工程を含む前記26記載の方法。28.セルロースの粉末品種を製造する共噴霧乾燥に先立って非種子セルロースの塊を機械的に粉砕する工程をさらに含む前記26記載の方法。29.微晶質品種のセルロースを製造する共噴霧乾燥に先立って非種子セルロースの塊を酸加水分解する工程をさらに含む前記26記載の方法。30.高剪断力ホモジナイザーを使用して、水媒体中の非種子セルロース組成物を活性化する工程をさらに含む前記26記載の方法。31.非種子セルロースの塊を精製する工程;精製された非種子セルロースの塊を粉砕する工程;該粉砕された非種子セルロースを噴霧乾燥する工程;及び、該非種子セルロース組成物を安定化剤溶液中に分散させて非種子セルロースパウダー組成物を形成する工程を含む非種子セルロース組成物の製造方法。[実施例1] 酢酸ヒドロコルチゾンを含むクリーム配合物 水相 w/w% シオグサ属/CMC分散液* 100%まで メチルパラベン 0.25 酢酸ヒドロコルチゾン 1 プロピレングリコール 10 ポリソルベート80 5 油性相 セチルアルコール 2.5 プロピルパラベン 0.15 モノステアリン酸グリセリン 10.0*例えば0.5〜1w/w%のシオグサ属を含む、シオグサ属/CMC、Blanose 7MF(セルロース/CMC比85/15w/w%)分散液。 油性相成分は別に混合し、70℃に加熱する。水相成分は、高剪断力ホモジナイザーを使用して、シオグサ属セルロースが完全に活性化されるまで水に分散する。次いで、加熱した油性相を水相に注ぎ、十分に混合する。この熱クリームを軟膏チューブへ注ぎ、凝固させる。[実施例2] 熱安定性で無脂肪の、風味をつけたクッキーフィリング 成分 w/w% シオグサ属/CMC分散液* 100%まで グリセリン 20 砂糖、粉末状 40 天然着香料 可変 着色剤 可変*例えば0.5〜1w/w%のシオグサ属を含む、シオグサ属/CMC、Blanose 7MF(セルロース/CMC比85/15w/w%)分散液。 セルロースが完全に活性化されるまで、シオグサ属/CMC、砂糖、着色剤及び着香料を水に分散させる。グリセリンを60℃に加熱し、上記分散液に撹拌しながら加える。十分に混合して、均質ゼリー状物を形成する。[実施例3] 人工血管工学用生体適合セルロース系基体 Millipore(商標)水中で繰り返し沸騰することによりシオグサ属を殺菌した後、約30分間オートクレーブ処理を行う。得られたシオグサ属セルロースナノフィブリルをMillipore(商標)水中で無菌的に活性化して濃いゲル構造体を製造し、これを円筒状の型で乾燥してセルロースチューブを製造する。この方法を何回も繰り返して所望厚さのチューブを製造する。[実施例4] 人工骨工学用生体適合セルロース系基体 Millipore(商標)水中で繰り返し沸騰することによりシオグサ属を殺菌した後、約30分間オートクレーブ処理を行う。得られたシオグサ属セルロースナノフィブリルをMillipore(商標)水中で無菌的に活性化して濃いゲル構造体を形成する。殺菌されたリン酸カルシウムを分散液に加えて、入念に撹拌する。得られたものを含水量約5wt%まで乾燥する。これを直接圧縮して所望の形状に成形する。 成分 w/w% シオグサ属セルロースパウダー 4 リン酸カルシウム 20 Millipore(商標)水 100%まで 非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌または被嚢類に由来することを特徴とする分散性セルロースパウダー組成物。 非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物を、ゲルを形成するために水性媒体中で分散させ、ゲルを形成する方法であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌または被嚢類に由来することを特徴とする方法。 【課題】分散性セルロースパウダー組成物を提供すること。【解決手段】非種子セルロースパウダーを含む分散性セルロースパウダー組成物であって、該非種子セルロースパウダーが、藻類、真菌または被嚢類に由来することを特徴とする分散性セルロースパウダー組成物。【選択図】なし20130222A1633000092A1633000203 実施様態では、幅約20〜30nmの多数の絡み合ったセルロースの「糸」からなる典型的なウェブ状構造を見ることができる。これらの「糸」は、少ない液量への迅速な(数分内)分散を可能にする高強度超音波プロセッサーを使用して、水性媒体中(0、0.025、0.05及び0.10w/v%のCMCを含む)に分散されている。しかし、以下に詳細に議論するように、他の従来の分散技術も利用することができる。シオグサ属セルロースを製造し、そのゲル特性を市販のMCC/CMC製品、Avicel RC-591〔FMC社(米国)〕またはVivapur MCG〔JRS Pharma(ドイツ)〕と比較する。A1633000273 周波数1Hzでの弾性率G′で表した配合物のゲル強度を、セルロース濃度の関数として実施態様に示す。弾性率G’は固形分の増加とともに上昇した。シオグサ属試料のゲル強度に匹敵するゲル強度を得るためには、およそ10倍高い濃度のAvicel RC-591が必要である。シオグサ属固形分が0.5%(w/v)未満の場合、1Hzでの弾性率G′は、0.10%(w/v)未満のCMC溶液について10〜104Paの間にある。シオグサ属固形分が0.5〜2%(w/v)の間にある場合、xHzでの弾性率G′は、0.10%(w/v)未満のCMC溶液について102〜105Paの間にある。A1633000283 振動掃引測定(oscillation sweep measurements)のデータを要約する。Avicel RC-591は、固形分1.5w/v%未満の濃度でゲル構造を形成しないと結論される。この結論は、G′コンポーネントの周波数依存性パターンに基づく。これは、Avicel RC-591の濃度が0.5及び1.0w/v%の場合に、位相角δの値が高いことによっても支持される。一方、Avicel RC-591の濃度が1.5w/v%の場合には、周波数独立性G′モジュラス及び低い値の位相角δ〜10°が観察される。しかし、通常、G′及びG″の低い値は、弱いゲル構造を示唆する。同様に、0.100w/v%CMC溶液を使用して製造された固形分0.2w/v%のシオグサ属試料は、弾性ゲルのものではなく粘性系に典型的な流動学的性質を示す。これは、G′モジュラスの周波数依存特性及び比較的高い値の位相角δから明白である。他のシオグサ属試料については、測定されたすべての濃度で周波数独立性G′コンポーネントが観察される。また、約10以下の位相角δ値が記録されるが、これは弾性ゲル構造に特有のものであると認められる。シオグサ属試料のG′及びG″モジュラスの値が比較的高いことは、長い距離にわたる強い相互作用によって特徴づけられる堅固なゲル構造を示唆した。A1633000293 流動学的分析によれば、CMCの濃度が上昇するとともに、特に0.100w/v%CMC溶液について、ゲル構造が弱くなることが分かる。注目すべきは、シオグサ属セルロースパウダーのゲル化特性に対するCMC濃度の影響は、より低い固形分(例えば0.2及び0.5w/v%)でより明白であるが、より高い固形分濃度では、違いは無視できるほど小さいことである。たとえCMCがシオグサ属セルロースのゲル強度に負の効果を有していても、視覚的に観察するとより均質な製品が得られるので、これを少量添加することは、分散を助けるのに役立つことが分かる。A1633000303 検討した材料のコックス−メルツプロット(Cox-Merz plots)を表す。固形分0.5及び1.0%のAvicel RC試料、並びにCMC0.1%を含むシオグサ属セルロース0.2%の試料については、複素動的粘性η*と周波数の間の両対数の関係は、非線形(non-linear)である。上述のように、これらの試料は真のゲル構造に典型的な流動学的挙動を示さない。A1633000313 シオグサ属セルロース/CMCゲルの特性を、Vivapur 591 MCGパウダー(活性化セルロース)及びVivapur MCGウェットケーキ/CMC(非活性化セルロース)と比較した。VivapurウェットケーキとVivapur 591の乾燥固形分は2w/w%に相当した。このグラフから、Vivapurウェットケーキを超音波処理で分散した場合、Vivapur 591及びシオグサ属/CMC試料とは異なり、ゲル構造を形成しなかったことが分かる。繰り返すと、Vivapur 591と同様のゲル強度を得るのに必要なシオグサ属/CMC試料の濃度は、およそ十分の一である。A1633000323 予想されたように、超音波処理を長くすると、セルロース微結晶の完全に活性化された均質の分散液が形成された。即ち、シオグサ属懸濁液の相対的な透明度は、超音波処理時間とともに上昇する。得られた分散液の透明度は有利な特性である。何故ならば、これにより最終製品の着色剤の選択に関してより高い自由度が可能になるからである。


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