生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する方法
出願番号:2013030206
年次:2014
IPC分類:G01N 33/68,G01N 33/493


特許情報キャッシュ

山縣 邦弘 樋渡 昭 萩原 正大 黒澤 寛之 平山 吉朗 JP 2014159993 公開特許公報(A) 20140904 2013030206 20130219 尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する方法 国立大学法人 筑波大学 504171134 デンカ生研株式会社 591125371 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 田中 夏夫 100111741 山縣 邦弘 樋渡 昭 萩原 正大 黒澤 寛之 平山 吉朗 G01N 33/68 20060101AFI20140808BHJP G01N 33/493 20060101ALI20140808BHJP JPG01N33/68G01N33/493 A 8 OL 10 2G045 2G045AA25 2G045CB03 2G045DA42 2G045DA44 本発明は、尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する方法に関する。 透析や移植を必要とするend-Stage kidney disease(ESKD)患者は世界中で増え続けており、1990〜2000年の10年間でESKD患者は43万人から106.5万人に増加したが、2008年には少なくとも165万人程度に増加している。2011年には日本の維持透析患者数は約30万人となり、人口100万人当たりの患者では2126人であり、世界第2位である。慢性腎臓病(CKD)は世界中で増え続けるESKDの予備軍であり、米国の2000年のCKD患者数は成人人口の13.07%(2561万人)と推測されている。日本の2005年のCKD患者数は成人人口の12.9%(1330万人)であり、CKD予備軍も含めると2,000万人にもなるとされている。また、CKDは心血管疾患(CVD)の危険因子であり、欧米のCKDにおいては、透析導入される患者数よりもCVDにより死亡する患者のほうが多く、わが国においてもCKDはCVDの危険因子である。しかし、CKD患者がそれぞれの進行過程に合った、適切な治療をきちんと行えば、透析導入や心疾患で死亡する人数を大幅に減らすことが可能であると考えられる。そのためには適切な評価方法が必要であり、既存の検査方法で正確に腎機能を評価できるのが糸球体濾過量(GFR)である。糸球体濾過量とは、単位時間当たりに腎臓のすべての糸球体により濾過される血漿量のことをいう。腎不全等により腎機能が低下している場合、糸球体での濾過能が低下しているため、GFRを測定することで腎機能低下の程度を知ることができる。正確なGFRを求めるにはイヌリンを用いたイヌリンクリアランス測定法が推奨されているが、イヌリンクリアランスの測定は煩雑なため、臨床の場ではクレアチニンを用いたクレアチニンクリアランスや推算糸球体濾過量(eGFR)が用いられている。しかし、クレアチニンクリアランスやeGFRを求めるには血清クレアチニン値が必要である。血清クレアチニンの検査は侵襲的であり患者負担が大きい。そこで、非侵襲的にGFRが推定できれば患者にとって有益である。 腎疾患に関連して見られる物質として尿中のメガリンがあり、尿中メガリンを測定することによる、簡便な腎障害の検査手段が開示されている(特許文献1、2)。 Glycoprotein330(gp330)あるいはLow Density Lipoprotein(LDL)-receptor relate protein 2(LRP2)としても知られるメガリン(Megalin)は、腎臓の近位尿細管上皮細胞に発現する分子量が約600kDaの糖タンパク質である(非特許文献1、2)。 メガリンは腎臓の近位尿細管上皮細胞を用いた細胞培養実験において、膜結合型の完全長メガリンと、細胞内領域を欠いたSoluble-Form(細胞外領域含有フラグメント)の二種類が存在していることが知られており(非特許文献3)、尿中の完全長ヒトメガリン、細胞外領域、細胞内領域を測定する方法も報告されている(特許文献3)。国際公開WO2002/037099号国際公開WO2010/126055号国際公開WO2010/126043号Christensen E.I. , Willnow T.E. (1999) J. Am. Soc. Nephrol. 10 , 2224-2236Zheng G , McCluskey R.T. et al. (1994) J. Histochem. Cytochem. 42 , 531-542Flavia F.J. , Julie R.I. et al. (1998) Kidney. International. 53 , 358-366 本発明は、血清クレアチニンを使用せずにGFRを推定する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは上記課題を解決するために、腎疾患患者の尿中メガリン排泄量と推算糸球体濾過量(eGFR)の間に高い相関関係があることを見出し、尿中メガリンを測定することにより非侵襲的に糸球体濾過量(GFR)を高い精度で推定することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下のとおりである。[1] 尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する方法。[2] 尿中メガリン測定値と糸球体濾過量を関連付け、該関連付けに基づいて、尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する、[1]の糸球体濾過量を推定する方法。[3] 尿中メガリン測定値と糸球体濾過量の関連付けを回帰分析により行う、[1]又は[2]の糸球体濾過量を推定する方法。[4] 尿中メガリン測定値が尿中クレアチニン濃度により補正して得られる尿中メガリン排泄量である、[1]〜[3]のいずれかの糸球体濾過量を推定する方法。[5] 糸球体濾過量がイヌリンクリアランスから求められることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの糸球体濾過量を推定する方法。[6] 糸球体濾過量がクレアチニンクリアランスから求められることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの糸球体濾過量を推定する方法。[7] 糸球体濾過量が推算糸球体濾過量から求められることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの糸球体濾過量を推定する方法。[8] 尿中メガリンが尿中細胞外領域メガリンである[1]〜[7]のいずれかの糸球体濾過量を推定する方法。 本発明の尿中メガリン測定値より糸球体濾過量(GFR)を推定する方法により、侵襲的な検査を用いて測定され、あるいはeGFRとして推算されていたGFRを非侵襲的に推定することが可能となる。腎疾患患者の尿中メガリン排泄量とeGFRとの関係を示す図である。(実施例2、比較例)腎疾患患者のα1-ミクログロブリンとeGFRとの関係を示す図である。(比較例)腎疾患患者のβ2-ミクログロブリンとeGFRとの関係を示す図である。(比較例)腎疾患患者の腎疾患患者のN-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼとeGFRとの関係を示す図である。(比較例) 本発明は被験者の尿中メガリン測定値から高い精度で糸球体濾過量(GFR:glomerular filtration rate)を推定する方法である。 完全長ヒトメガリンは、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目から第4655番目のアミノ酸配列からなる。配列番号1には、ヒトメガリンの塩基配列を示す。配列番号2に示すアミノ酸配列の第1番目から第25番目の配列は、シグナルペプチドの配列である。ヒトメガリンのアミノ酸配列は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)のAccession No.:NP_004516 (RefSeq protein ID:126012573)に開示されている。ヒトメガリンは細胞外領域、膜貫通領域、細胞内領域の3領域から構成されている一回膜貫通型糖タンパク質である。配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目から4424番目のアミノ酸からなる領域をヒトメガリンの細胞外領域という。また、配列番号2に示すアミノ酸配列の第4447番目から第4655番目のアミノ酸からなる領域をヒトメガリンの細胞内領域という。同様に配列番号2に示すアミノ酸配列の第4425番目から4446番目のアミノ酸からなる領域をヒトメガリンの膜貫通領域という。ヒトメガリンの細胞外領域フラグメントは、細胞外領域の一部または全部を含み、且つ配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目から第4424番目のアミノ酸からなる領域の一部または全部を意味するフラグメントをいい、細胞内領域を欠いている。細胞内領域を欠いたヒトメガリン細胞外領域フラグメントとして、配列番号2に示すアミノ酸配列の第26番目から第4361番目のアミノ酸配列からなるフラグメントが挙げられる。該フラグメントは、前記の配列番号2に示すアミノ酸配列の第4362番目から第4655番目のアミノ酸配列からなる一次切断産物形成過程にて生じた残りの細胞外領域側フラグメントである。さらに、細胞内領域を欠いたヒトメガリン細胞外領域フラグメントとして、配列番号2に示すアミノ酸配列の第4362番目から第4437番目のアミノ酸配列からなるフラグメントが挙げられる。該フラグメントは、配列番号2に示すアミノ酸配列の第4438番目から第4655番目のアミノ酸配列からなる、前述の二次切断産物形成過程において生じた残りの細胞外領域含有フラグメントである。 本発明においては、尿中に排泄されたメガリンを測定する。測定するメガリンは完全長のメガリン、細胞外領域のメガリン、細胞内領域のメガリンのいずれでも良い。好ましくは細胞外領域メガリンを測定する。本明細書において、検体である尿は、いかなる被験者から得られたものであってもよい。尿の採取方法は問わないが、早朝尿または随時尿を用いることが好ましい。また、本発明の検査方法に必要な尿の量は10〜200μL程度である。本発明の検査方法は、従来の一般的な尿検査と同時に行われてもよい。 検体である尿の処理は、採取された尿に処理液を添加して混合することにより行うことができる。処理液は、尿のpH調整、尿沈渣のマスキングおよび/またはメガリンの可溶化が可能なものであればいかなるものであってもよいが、好ましくは、緩衝液にキレート剤、界面活性剤などを添加した溶液が例示される。緩衝液、キレート剤は、公知のものであればいずれであってもよく、界面活性剤は、非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。処理液としては、例えば2M Tris-HCl(pH8.0)に、0.2M EDTAと10%(Vol./Vol.)TritonX-100を含む溶液が例示される。かかる処理液10μLを、尿検体90μLに添加して混合することにより、尿試料溶液を得ることが可能である。 尿試料溶液からメガリンを検出する方法は様々な方法が考えられる。メガリンの検出方法の一例として、免疫学的手法が挙げられる。免疫学的手法は、例えば、免疫染色法(蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法を含む)、電気泳動法による分離と蛍光、酵素、放射性同位元素などによる検出方法とを組み合わせた方法(ウエスタンブロット法、蛍光二次元電気泳動法を含む)、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、ドット・ブロッティング法、ラテックス凝集法(LA:Latex Agglutination-Turbidimetric Immunoassay)、イムノクロマト法などにより行うことができるが、ELISA法またはLA法を用いることが好ましい。定量性の観点からELISA法のうちサンドイッチ法を用いることが好ましい。サンドイッチ法では、抗メガリン抗体を固相化したマイクロタイタープレートに尿試料溶液を添加し、抗原・抗体反応をさせ、さらに酵素標識した抗メガリン抗体を添加し、抗原・抗体反応をさせ、洗浄後、酵素基質と反応・発色させ、吸光度を測定して尿中のメガリンを検出すると共に、その測定値から尿中メガリン濃度を算出することができる。また、蛍光標識した抗メガリン抗体を用いて、抗原・抗体反応をさせた後に蛍光を測定してもよい。 免疫学的手法において用いられる抗メガリン抗体は、ヒトメガリンを認識し検出しうる抗体であればよい。本発明において用いられる抗メガリン抗体は、公知のものであってもよく、また今後開発される抗体であってもよい。特に限定されないが、抗メガリン抗体として、例えばモノクローナル抗体でも、ポリクローナル抗体でもよく、キメラ抗体やヒト化抗体、あるいはこれらの結合活性断片などが挙げられる。また、認識するメガリンの領域も限定されず、細胞外領域を認識する抗体も細胞内領域を認識する抗体も用いることができる。これらの抗体は酵素や蛍光色素で標識化されていてもよい。また、2種類以上の抗メガリン抗体を用いてもよい。2種類以上の抗メガリン抗体は、上記のサンドイッチ法に用いられ、互いに異なるエピトープを認識する抗体であることが好ましい。例えば、抗メガリン抗体として、細胞外領域メガリンに対する抗体を用いることができ、具体的には、抗メガリン抗体として、配列番号2に示すアミノ酸配列の細胞外領域内の配列番号26番目のアミノ酸から314番目のアミノ酸の間の領域(LBD1)に存在するエピトープのうち異なるエピトープを認識する2種類以上の抗体を用いることができる。 本発明において、尿中のメガリン値とは、尿中メガリン測定値であり、尿中メガリン濃度自体であってもよいが、尿中メガリン濃度を、尿中に安定に排泄される尿中成分に関する値(尿中成分値)で補正した値であってもよい。 尿中成分としては、特に尿中クレアチニンが好ましく、尿中クレアチニン濃度により尿中メガリン濃度を補正することが好ましい。尿中クレアチニン濃度はクレアチニンの産生が筋肉の量に依存することから、一個体に対して疾患にかかわらずほぼ一定であると考えられている。尿中成分の検査においては、尿の希釈や濃縮の影響を回避するため、クレアチニン1g当りの量により目的とする尿中成分の量を補正する手法が一般的に用いられており、これによりクレアチニン単位グラム当たりの尿中成分を比較することが可能になる。尿中メガリン濃度を、尿中クレアチニン濃度により補正して得られる値は、尿中メガリン排泄量(MEG/Cre)と称し、以下の式により算出することができる。<式> MEG/Cre:尿中メガリン排泄量(pmol/gCre)=100×尿中メガリン濃度(pM)÷尿中クレアチニン濃度(mg/dL) 本発明の方法においては、尿中メガリン測定値と糸球体濾過量を関連付け、該関連付けにより尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する。 糸球体濾過量(GFR)は、厳密に測定するにはイヌリンクリアランスを用いるが、クレアチニンクリアランスを用いることもできる。さらに、糸球体濾過量として、推算糸球体濾過量(eGFR)を用いることもできる。 推算糸球体濾過量(eGFR:estimated glomerular filtration rate)は、日本腎臓学会プロジェクト「日本人のGFR推算式」より2008年3月に出された推算式により、年齢と血清クレアチニン値から以下の式により推算することができる。eGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×Age-0.287(Crは血清クレアチニン値、Ageは年齢)(被験体が女性の場合は0.739を乗ずる) この式で推算したeGFRと上記のpmol/gCreで表される尿中メガリン排泄量との間に正の相関がある。例えば、尿中メガリン排泄量が0〜100pmol/gCre、eGFRが0〜150mL/min/1.73m2)の範囲でR2(Rは相関係数)は、0.3以上、好ましくは0.4以上であり、尿中メガリン排泄量が高い程、eGFRも高くなる。eGFRはGFRの推算値であり、尿中メガリン排泄量はeGFRと高い相関を有するので、尿中メガリン排泄量から高い精度でGFRを推定することができる。本発明の方法により推定されるGFRは実際のGFRと近似している可能性が高く、その点で本発明の方法により高い確率でGFRを推定することができるということもできる。 尿中メガリン測定値と糸球体濾過量を関連付けるには、例えば、尿中メガリン測定値とeGFRの間の関係を表す式を回帰分析により求めればよく、求めた回帰式に基づいて、尿中メガリン排泄量からeGFRを推算することができる。eGFRを推算することにより、GFRを推算することができる。本発明は、複数の被験体の尿中メガリン測定値とeGFR又はGFRを測定し、回帰分析によりメガリン測定値とeGFR又はGFRの関係を示す回帰式を求め、尿中メガリン測定値からeGFR又はGFRを推算するための計算式を得る方法も包含する。 上記のeGFRの推算式は日本人を対象としているが、eGFRは人種に拘わらず血清クレアチニン値及び年齢から推算することができる。従って、人種に拘わらず尿中メガリン排泄量からGFRを推定することができる。 また、尿中メガリン測定値とイヌリンクリアランスを用いて測定した糸球体濾過量又はクレアチニンクリアランスを用いて測定した糸球体濾過量とを関連付け、該関連付けに基づいて尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定することもできる。 尿中メガリン測定値から推定されるGFRが低下しているほど、腎機能が低下していることを示し、本発明の方法により推定したGFRに基づいて腎機能が低下した患者の治療方法等を決定することができる。 以下に本発明の実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。(実施例1)尿中メガリン排泄量の測定 ヒトメガリン細胞外領域に対するモノクローナル抗体(抗細胞外領域メガリンモノクローナル抗体)を用いてヒトメガリン細胞外領域を含有するフラグメント(細胞外領域メガリン)の尿中排泄量を測定した。抗細胞外領域メガリンモノクローナル抗体とは、配列番号2に示すアミノ酸配列の配列番号26番目のアミノ酸から314番目のアミノ酸の間の領域(LBD1)に存在するエピトープを認識するマウスモノクローナル抗体である。LBD1中の異なる二つのエピトープを認識する抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体Aと抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体Bを用いて測定評価した。抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体A固相化マイクロタイタープレートと、ALP(アルカリフォスファターゼ)標識化抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体Bを用いて、尿中のヒトメガリン細胞外領域含有フラグメントを測定した。 先ず、尿90μLと2M Tris-HCl,0.2M Ethylenediamine-N,N,N’,N’-tetraacetic acid(以下、Ethylenediamine-N,N,N’,N’-tetraacetic acidをEDTAと略す),10%(vol./vol.) Polyethylene Glycol Mono-p-isooctylphenyl Ether(以下、Polyethylene Glycol Mono-p-isooctylphenyl EtherをTriton X-100と称する)、pH8.0溶液10μLを混合し、該混合液100μLを抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体A固相化マイクロタイタープレート(FluoroNunc(商標) Module F16 Black-Maxisorp(商標) Surface plate , Nalge Nunc International社製)のウェルへ加えた。37℃で1時間放置し、その後、ウェルに加えておいた尿サンプル溶液をデカンテーションにより除去し、そのマイクロタイタープレートのウェルへ、TBS-Tを200μL/ウェルで添加し、デカンテーションによるTBS-Tの除去を行い、洗浄を行った。この洗浄工程を計3回行った。その後、ALP標識化抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体B(0.5ng/mL)溶液を100μL/ウェルで加えた。ALP標識化抗ヒトメガリンLBD1モノクローナル抗体Bは標識抗体希釈液にて調製した。37℃で1時間放置し、その後、ウェルに加えておいたALP標識化抗体溶液をデカンテーションにより除去し、そのマイクロタイタープレートのウェルへ、TBS-Tを200μL/ウェルで添加し、デカンテーションによるTBS-Tの除去を行い、洗浄を行った。この洗浄工程を計4回行った。その後、そのマイクロタイタープレートのウェルへ、Assay Bufferを200μL/ウェルで添加し、デカンテーションによるAssay Bufferの除去を行い、洗浄を行った。この洗浄工程を計2回行った。次に、ウェルへCDP-Star(登録商標) Chemiluminescent Substrate for Alkaline Phosphatase Ready-to-Use (0.4mM) with Emerald-II(商標) Enhancer(ELISA-Light(商標) System:Applied Biosystems社製)をALP酵素反応基質溶液として、100μL/ウェルで加え、37℃、30分遮光放置した。その後直ちに、本ウェルの1秒間の積算発光強度を測定し、測定値を尿中メガリンの測定評価の指標とした。化学発光強度の測定には、Microplate Luminometer Centro LB960とMicroWin2000 software(Berthold社製)を用いた。検量線の標準品としては、腎臓から抽出したNative-ヒトメガリンを使用した。尿中メガリン濃度を尿中クレアチニン濃度により補正した尿中メガリン排泄量を、以下の式から算出した。<式> MEG/Cre:尿中メガリン排泄量(pmol/g)=100×尿中メガリン濃度(pM)÷尿中クレアチニン濃度(mg/dL)(実施例2)尿中メガリン排泄量と推算糸球体濾過量(eGFR)との関係 実施例1の方法により腎疾患患者45例のメガリン濃度を測定し、尿中メガリン排泄量を求めた。また、日本腎臓学会プロジェクト「日本人のGFR推算式」より2008年3月に出された以下の推算式を用いてeGFRを求めた。eGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×Age-0.287(Crは血清クレアチニン値、Ageは年齢)(被験体が女性の場合は0.739を乗ずる) 尿中メガリン排泄量とeGFRとの関係を図1に示す。図1より尿中メガリン排泄量とeGFRには高い相関関係(R2=0.4266)があることがわかった。つまり、尿中メガリンからeGFRを推定することが可能になる。(比較例)他の腎疾患マーカーとeGFRと関係 実施例1の方法により腎疾患患者45例の尿中メガリン排泄量を測定し、尿中メガリン排泄量を求めた。また、日本腎臓学会プロジェクト「日本人のGFR推算式」より2008年3月に出された推算式を用いてeGFRを求めた。 さらに、尿中メガリンと同様な近位尿細管障害マーカーであるα1-ミクログロブリン(AMG)、β2-ミクログロブリン(BMG)、N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)の測定を行なった。上記に示したAMG、BMG、NAGは尿中マーカーなので尿中クレアチニンで補正を行なう。AMG、BMG、NAGは市販のキットを用いて測定した。 eGFRとAMG、BMG、NAGとの関係を、それぞれ図2、3及び4に示す。 実施例2及び比較例の結果より、尿中メガリンを含む4種類の尿中マーカーで最もeGFRと相関関係が高いのは尿中メガリンであった。つまり、近位尿細管障害マーカーであるにも関わらず、eGFRを高い精度で推定することが可能なマーカーは尿中メガリンである。 上記説明したとおり、本発明により尿中メガリンを測定することでGFRを高い精度で推定することが可能である。また、本発明の検査方法の試料は尿であるため、従来法と違い非侵襲的に検査を行なうことができ、患者の身体的負担を軽減することができ、有用である。 尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する方法。 尿中メガリン測定値と糸球体濾過量を関連付け、該関連付けに基づいて、尿中メガリン測定値から糸球体濾過量を推定する、請求項1記載の糸球体濾過量を推定する方法。 尿中メガリン測定値と糸球体濾過量の関連付けを回帰分析により行う、請求項1又は2に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 尿中メガリン測定値が尿中クレアチニン濃度により補正して得られる尿中メガリン排泄量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 糸球体濾過量がイヌリンクリアランスから求められることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 糸球体濾過量がクレアチニンクリアランスから求められることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 糸球体濾過量が推算糸球体濾過量から求められることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 尿中メガリンが尿中細胞外領域メガリンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の糸球体濾過量を推定する方法。 【課題】簡便且つ非侵襲的に糸球体腎機能を推測する方法を提供する。【解決手段】腎疾患患者の尿中メガリン排泄量とeGFRに高い相関関係があることを見出し、尿中メガリン測定することにより非侵襲的にGFRを高い確率で推定する。【選択図】なし配列表


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