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タイトル:公開特許公報(A)_毛髪用洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料
出願番号:2013028251
年次:2014
IPC分類:A61K 8/46,A61K 8/81,A61K 8/73,A61K 8/86,A61K 8/39,A61Q 5/02,C11D 1/29,C11D 3/37,C11D 1/68,C11D 3/04


特許情報キャッシュ

大川 洋 関根 愛実 JP 2014156427 公開特許公報(A) 20140828 2013028251 20130215 毛髪用洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料 日油株式会社 000004341 酒井 一 100081514 蔵合 正博 100082692 大川 洋 関根 愛実 A61K 8/46 20060101AFI20140801BHJP A61K 8/81 20060101ALI20140801BHJP A61K 8/73 20060101ALI20140801BHJP A61K 8/86 20060101ALI20140801BHJP A61K 8/39 20060101ALI20140801BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20140801BHJP C11D 1/29 20060101ALI20140801BHJP C11D 3/37 20060101ALI20140801BHJP C11D 1/68 20060101ALI20140801BHJP C11D 3/04 20060101ALI20140801BHJP JPA61K8/46A61K8/81A61K8/73A61K8/86A61K8/39A61Q5/02C11D1/29C11D3/37C11D1/68C11D3/04 2 OL 15 4C083 4H003 4C083AB051 4C083AB331 4C083AB332 4C083AC421 4C083AC422 4C083AC482 4C083AC712 4C083AC781 4C083AC782 4C083AD131 4C083AD132 4C083CC38 4C083EE06 4C083EE07 4H003AB31 4H003AC03 4H003AD04 4H003BA12 4H003DA02 4H003EA19 4H003EB30 4H003EB41 4H003EB42 4H003ED02 4H003FA16 4H003FA17 4H003FA21 本発明は、洗浄時、すすぎ時、及び乾燥後の毛髪に優れた滑り性を付与しながら、べたつきやごわつきのない良好な使用感を有し、更に、洗浄時に良好な泡持続性を実現する毛髪用洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料に関する。 紫外線の増大やエアコンによる乾燥等の外部環境の変化、並びにヘアカラーなどの毛髪に対する化学処理の普及により、ヘアダメージが進展しており、ダメージケアを目的とした毛髪用化粧料に対する消費者ニーズが高まっている。毛髪用化粧料は、ダメージにより低下した滑り性、ハリ、コシなどの毛髪の損傷修復を目的として使用される。従来では、トリートメント製剤によるダメージケアが主流であったが、近年では毛髪用洗浄剤組成物を有するシャンプーにもダメージケア効果が消費者より求められている。ダメージケアを目的としたシャンプーでは、乾燥後毛髪の滑り性改善効果が製剤の有効性として重要視されている。更に、洗浄、すすぎ、乾燥に大別されるシャンプーの各使用過程において一貫して良好な使用感を有すること、即ち、洗浄過程では優れた滑り性と泡持続性を、すすぎ及び乾燥過程では滑らかな指通りを発現することは、製剤(商品)として良否を消費者が判断するポイントとして無視できない。 消費者からの高いニーズに応えるべく、毛髪の滑り性改善を目的として油性成分などの化粧品原料がシャンプーに使用されている。中でもシリコーンは乾燥後毛髪の表面に被膜を形成することで優れた滑り性改善効果を呈することから、今日ではシャンプーを調製する上で必要不可欠な成分となっている。しかしながら、油剤であるシリコーンをシャンプーに配合した場合、乳化によりシャンプー本来の起泡性や洗浄性を阻害することから、滑り性、起泡性、洗浄性を両立した処方の設計は困難であった。 また、シリコーンを配合したシャンプーにおいては、湿潤時に不快なきしみ感が発生するために洗浄時やすすぎ時には滑り性が十分に発現しないこと、並びに、乾燥後毛髪に油剤特有のべたつきをもたらすことが、使用時及び使用後の感触面での大きな欠点となっている。 シリコーンの使用上の欠点を解消すべく、高分子化合物などのシリコーン以外の化粧料原料を用いたシャンプーや、カチオン性化合物とアニオン性活性剤からなる複合塩であるコアセルベート形成によるコンディショニング効果の付与が提唱されている。 近年、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとの共重合体が毛髪に滑り性を付与することが見出され、特許文献1には、同共重合体からなる毛髪用被膜形成剤が提唱されている。該形成剤を配合した毛髪用化粧料は、毛髪の滑り性、しっとり感、及びまとまりを向上することが開示されている。しかしながら、滑り性改善効果は依然として十分とは言えず、更なる改良が求められている。 また、特許文献2及び3には、同重合体と、他の化合物とを組合せることにより保湿感、やわらかさなどを付与した組成物が提言されているが、いずれも洗浄剤中における有効性については述べられていない。更に、いずれの特許文献においても洗浄時の使用感に大きく影響を及ぼす、泡持続性に関しては何ら言及がなされていない。 非特許文献1、2には、シャンプー中にコアセルベートを形成することで毛髪にヘアコンディショニング効果を付与することが可能であることが示されている。特許文献4では、コアセルベートの形成によるリンス効果を示唆しており、更に製剤の粘性を高め、液だれを防止する手段としてコアセルベーションの利用が提言されているが、コアセルベーションの毛髪に対する具体的な有効性や、泡持続性に関しては言及されていない。特開2004−189678号公報特開2004−346005号公報特開2004−352671号公報特開2006−274016号公報Wang, Y.; Kimura, K.; Dubin, P. L.; Jaeger, W. Macromolecules 2000, 33, 3324.Talberg, K.; Lindman, B.; Karlstrom, G. J. Phys. Chem. 1990, 94, 4289. 本発明の課題は、洗浄時、すすぎ時、及び乾燥後の毛髪に優れた滑り性を付与しながら、べたつきやごわつきのない良好な使用感を有し、更に、洗浄時に良好な泡持続性を実現する毛髪用洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、カチオン性化合物類、及びノニオン性活性剤、塩化ナトリウムからなる毛髪用洗浄剤組成物は、使用時の毛髪滑り感に優れ、更に、シリコーンの使用上の大きな欠点であった、起泡阻害、湿潤時のきしみ感及び乾燥後のべたつきが発現しない、良好な感触の毛髪に仕上げることができることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、(A)エチレンオキシド(E.O.)平均付加モル数が1〜4であるポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、(B)式(1)で表される重量平均分子量300,000〜700,000の化合物、(C)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、(D)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、(E)E.O.平均付加モル数が5〜40のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(F)塩化ナトリウム、及び水を含有し、前記(A)の含有量が1〜20質量%、前記(B)の含有量が0.001〜0.25質量%、前記(C)の含有量が0.1〜5質量%、前記(D)の含有量が0.01〜5質量%、前記(E)の含有量が1〜10質量%、及び前記(F)の含有量が0.1〜2質量%である、毛髪用洗浄剤組成物(以下、本発明の組成物と略すことがある)が提供される。 以下、上記の(A)を化合物A、(B)を化合物B、(C)を化合物C、(D)を化合物D、(E)を化合物E、(F)を化合物Fと称することがある。 さらに、当該毛髪用洗浄剤組成物を含有する毛髪洗浄料が提供される。 (1)(式中、m、nは各構成単位のモル比を示すための数字であり、モル比でm/n=65/35〜75/25である。) 本発明の毛髪用洗浄剤組成物及びこれを使用した毛髪洗浄料は、化合物A〜Fを特定割合で含むことにより、効果的なコアセルベーションが発現して洗浄時に良好な泡持続性を実現する。さらに、洗浄時、すすぎ時、及び乾燥後の毛髪に優れた滑り性を付与しつつ、べたつきやごわつきのない良好な使用感を与えることができる。 ここで、コアセルベーションとは、親水性コロイド溶液中で、コロイド粒子の水和の減少ないしは静電的要因により、分散媒から濃縮したコロイドが分離してくる現象を言い、コロイドに富む分離した相をコアセルベートと言う。そして、コアソルベートとコロイド濃度の低い平衡液とで層を形成している。 以下、本発明を更に詳細に説明する。 本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、上記化合物A〜Fを特定割合で含有する組成物であり、毛髪洗浄料に使用した場合、上記優れた機能を発揮する。また、組成物中の各成分は以下のような特徴を有する。なお、本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、さらに、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、その他の可溶化剤、ハイドロトロープ等を一部含有していてもよい。 本発明の組成物に用いる化合物Aは、E.O.(エチレンオキサイド)平均付加モル数が1〜4であるポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムである。E.O.平均付加モル数が0の場合では、コアセルベーションが十分に発現されない恐れがあり、E.O.平均付加モル数が4を超えると乾燥後毛髪にべたつきが生じる可能性がある。 本発明の組成物における化合物Aの含有割合は、1〜20質量%である。1質量%未満の場合、コアセルベーションが十分に発現されない恐れがあり、20質量%を超えると、化合物Aがコアセルベートを可溶化するために、コアセルベートの形成性が低下する可能性がある。 本発明の組成物に用いる化合物Bは、上記式(1)で表される特定分子量の高分子化合物であり、化粧品の成分表示名称においてポリクオタニウム−64と称される。式(1)中、m、nは各構成単位のモル比を示すための数字であり、モル比でm/n=65/35〜75/25である。 化合物Bの重量平均分子量は、300,000〜700,000である。該分子量が300,000未満の場合は、コアセルベートの形成性が低下し、700,000を超えると、乾燥後毛髪にごわつきが生じる恐れがある。 重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、例えば、5mgの化合物Bをメタノール/クロロホルム混合溶媒(8/2、体積比)1gへ溶解し、試料液とし、以下の条件により測定することができる。<GPC測定条件> カラム:PLgel−mixed−C、標準物質:ポリエチレングリコール、検出:視差屈折率系RI−8020(東ソー株式会社製)、重量平均分子量の算出:分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)、流速1mL/分、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃。 本発明の組成物において化合物Bの含有割合は、0.001〜0.25質量%である。0.001質量%未満の場合、コアセルベーションの発現が不十分となる恐れがあり、0.25質量%を超えると、遊離のポリマーが形成する被膜により乾燥後毛髪にごわつきが生じる恐れがある。 化合物Bは、既知の方法、例えば、特開2004−189678号公報に示された方法により得ることができる。即ち、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)と、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(QAMA)との共重合により得ることができる。 あるいは、市販品を濃縮や希釈等、濃度調整して用いることもできる。市販品の例としては、ポリクオタニウム−64の5%水溶液である、Lipidure−C(日油株式会社製、登録商標)などが挙げられる。 本発明の組成物に用いる化合物Cは、塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロースである。本発明の組成物において化合物Cの含有割合は、0.1〜5質量%である。0.1質量%未満の場合、コアセルベーションが十分に発現されない恐れがあり、5質量%を超えると、遊離のポリマーが形成する被膜により乾燥後毛髪にごわつきが生じる恐れがある。 本発明の組成物に用いる化合物Dは、塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムである。本発明の組成物において化合物Dの含有割合は、0.01〜5質量%である。0.01質量%未満の場合、コアセルベーションの発現が不十分となる恐れがあり、5質量%を超えると、遊離のポリマーが形成する被膜により乾燥後毛髪にごわついた感触が生じる恐れがある。 本発明の組成物に用いる化合物Eは、E.O.平均付加モル数が5〜40のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルである。E.O.平均付加モル数が5未満の場合、電荷遮蔽効果が薄くコアセルベートの形成促進効果が十分に得られない恐れがあり、E.O.平均付加モル数40を超えると、電荷遮蔽効果が強く、コアセルベートが過剰に形成されることで、乾燥後毛髪の表面に形成される被膜厚が過大となりごわつきを生じる可能性がある。 本発明の組成物において化合物Eの含有割合は、1〜10質量%であり、望ましくは2.5〜10質量%である。1質量%未満の場合、コアセルベートの形成促進効果が十分に得られない恐れがあり、10質量%を超えると、コアセルベートの形成を過剰に促進するために、乾燥後毛髪の表面に形成されるコアセルベートによる被膜の厚さが過大となりごわつきを生じる可能性がある。 本発明の組成物に用いる化合物Fは、塩化ナトリウムである。本発明の組成物において化合物Fの含有割合は0.1〜2質量%であり、望ましくは1〜2質量%である。0.1質量%未満の場合、コアセルベートの形成促進性が不十分となる恐れがあり、2質量%を超えると、コアセルベートが過剰に形成され、乾燥後の毛髪にごわつきを生じる可能性がある。 ところで、シリコーンを含有するシャンプーを長期間使用した場合、前述した問題以外に、毛髪にシリコーンによる油膜が形成され、染毛を行う際に染料の毛髪内への浸透が阻害され、その結果として、毛髪が染まり難く、染めムラが発生するなどの問題が考えられる。おしゃれ染め等の染毛が一般的となった現代においては、染めムラを防止するヘアケア剤へのニーズも高いものと考えられる。 本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、このような染毛時における課題の解決にも有効であり、上記発明の効果で述べた効果に加えて、染めムラ防止効果も有する。 本発明の毛髪用洗浄剤組成物が上記したような優れた効果を発揮する機構は明確ではないが、次のように考えられる。 即ち、化合物A〜Fは洗浄剤組成物中ではいずれも均一溶解しているが、洗浄やすすぎの過程で水により2倍〜1,000倍まで希釈された際、アニオン性活性剤である化合物Aとカチオン性成分である化合物B、C、Dの電荷が中和され、コアセルベーションにより複合塩である「コアセルベート」が形成される。 形成されたコアセルベートが希釈されたシャンプー(毛髪洗浄料)系内から析出することで、洗浄時やすすぎ時の毛髪に高い滑り性を付与することができる。更に、コアセルベートは疎水性相互作用により毛髪に吸着して、乾燥後の毛髪表面に被膜を形成することで、乾燥後毛髪にも優れた滑り性を付与することができる。また、凝集したコアセルベートは、泡膜の強度を増強することで泡持続性を向上させることができる。 コアセルベートの形成に際して、化合物Eは電荷遮蔽効果を発現することにより電荷的中和領域、即ち、コアセルベートの形成量を増幅する。化合物Fは電解質としてコアセルベーションの発現を促進する。 本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、油剤を用いることなく毛髪に滑り性を付与しているためにシリコーンを使用したシャンプーのようなべたつき感、きしみ感のない自然な感触に仕上げることが可能となる。また、染めムラ等の染色阻害防止効果も発揮する。 本発明の毛髪洗浄料は、本発明の毛髪用洗浄剤組成物の他に、必要に応じて洗浄剤用に常用されている各種添加剤を適宜配合することができる。前記添加剤としては、本発明の目的を妨げない限り特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、アルコール類、紫外線防御剤、アミノ酸類、ビタミン類、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素、水が挙げられる。これら各種添加剤の含有割合は、その目的に応じて公知の範囲から適宜決定することができる。 本発明の毛髪洗浄料としては、例えばシャンプー、リンスインシャンプー等を挙げることができ、その形態としては、液状、クリーム状及び泡(フォーム)状のものを例示することができる。 以下、実施例及び比較例により本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。本実施例における評価用毛髪及び毛髪用洗浄剤組成物を次のように調製した。また、実施例中の各種測定及び評価は、以下の方法に従って実施した。(評価用毛髪の調製1) 同一人黒髪(株式会社ビューラックスより購入)を1%ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液中にて1分間すすぎ洗いした後、流水で洗浄した。次いで、タオルドライし、ドライヤーで乾燥することにより「健康毛髪」とした。(評価用毛髪の調製2) 調製1により得た健康毛髪を、5%過酸化水素水と3%アンモニア水を重量比で1:1の割合で混合した水溶液に室温で20分間浸漬後、流水で洗浄した。次いで、タオルドライし、ドライヤーで乾燥した。このブリーチ処理を10回繰り返すことにより「ダメージ毛髪」とした。(評価用毛髪の調製3) 同一人白髪(株式会社ビューラックスより購入)を1%ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液中にて1分間すすぎ洗いした後、流水で洗浄した。次いで、タオルドライし、ドライヤーで乾燥した後、「洗浄白髪」として試験に使用した。<各化合物> 表1−3に記載の毛髪用洗浄剤組成物に使用する各化合物は、以下のようにして合成又は入手した。なお、化合物A外、化合物B外等の「外」は、各化合物において本発明の化合物の範囲外であることを示す。<化合物A,化合物A外> 化合物Aは日油株式会社製、パーソフトELを使用した。また、化合物A外−1〜3は以下の市販の化粧品原料をそれぞれ用いた。 化合物A外−1:東京化成工業株式会社製、ドデシル硫酸ナトリウム 化合物A外−2:Cognis社製、TEXAPON ASV50 化合物A外−3:ミヨシ油脂株式会社製、アンホレックスAM−1<化合物B,化合物B外> 化合物B−1は以下のようにして合成した。 MPC;20.7g、QAMA;7.1g(単量体組成モル比、MPC/QAMA=70/30)を水;100gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹込んだ後、70℃で重合開始剤;0.56g(和光純薬工業株式会社製、V−50)を加えて8時間重合反応させた。重合液を3リットルのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末25.6gを得た。分子量は重量平均分子量421,000であった。 上記方法に準拠し、表1−3に示す重量平均分子量の化合物B−2、化合物B外−1及び化合物B外−2を合成した。<化合物C> 化合物CはRohdia社製、Jaguar C-17を用いた。<化合物D、化合物D外> 化合物Dはダイセルファインケム株式会社製、ジェルナーQH300を用いた。また、化合物D外には、東邦化学工業株式会社製、MEポリマー09Wを用いた。<化合物合物E,化合物E外> 化合物Eには、日油株式会社製、ユニグリMK−207を用いた。また、化合物E外−1〜3には以下の市販の化粧品原料をそれぞれ用いた。 化合物E外−1:Lubrizol Advanced Materials社製、 Chemonic LI−3 化合物E外−2:日油株式会社製、ユニグリMK−278 化合物E外−3:日油株式会社製、ポリソルベート−20<化合物F> 化合物Fは和光純薬工業株式会社製、試薬特級塩化ナトリウムを用いた<その他> コカミドプロピルベタインは日油株式会社製、ニッサンアノンBDF−SFを用い、メチルパラベンは上野製薬株式会社製、メッキンスMを使用した。<毛髪用洗浄剤組成物の調製> 上記化合物を使用して表1−3に記載の配合組成に従い、下記の方法で各実施例及び比較例用の毛髪用洗浄剤組成物を調製した。<毛髪用洗浄剤組成物の調製方法> 水以外の各表記載の原料を500mL容のビーカーに採った後、組成物量が100gとなるように水を加えた。次いで、40℃の温浴中でマグネチックスターラー攪拌(100rpm、30分)をした。室温まで冷却後、蒸発等による水分の減少を補うために水を加え、組成物量が100gとなるように補正して毛髪用洗浄剤組成物を調製した。 調製した毛髪用洗浄剤組成物の各種性能評価を実施するに当たり、次の使用状況を想定し、各状況に対応する毛髪処理液を調製した。即ち、洗浄時を想定した5倍希釈液(毛髪処理液1)、すすぎ時を想定した100倍希釈液(毛髪処理液2)、すすぎ終了時を想定した1、000倍希釈液(毛髪処理液3)をそれぞれ作製した。洗浄時の有効性に関する評価では毛髪処理液1、すすぎ時の有効性に関する評価では毛髪処理液2、乾燥後毛髪の有効性に関する評価では毛髪処理液3を使用した。(毛髪処理液調製1) 調製した毛髪用洗浄剤組成物100gを1L容のビーカーに採り、これに水道水400gを加え、マグネチックスターラー攪拌(100rpm、30分、25℃)することにより、毛髪処理液1を調製した。(毛髪処理液調製2) 調製した毛髪用洗浄剤組成物5gを1L容のビーカーに採り、これに水道水495gを加え、マグネチックスターラー攪拌(100rpm、30分、25℃)することにより、毛髪処理液2を調製した。(毛髪処理液調製3) 調製した毛髪用洗浄剤組成物0.5gを1L容のビーカーに採り、これに水道水499.5gを加え、スターラー攪拌(100rpm、30分、25℃)することにより、毛髪処理液3を調製した。<コアセルベーション発現(コアセルベート形成)性評価> 上記に示す毛髪処理液調製1、2、3により調製した各毛髪用洗浄剤組成物の希釈液(毛髪処理液)の吸光度(波長:420nm)を、紫外可視分光光度計(機種:V-630、日本分光株式会社製)によりそれぞれ測定した。なお、希釈液の吸光度はコアセルベートの形成により低下し、コアセルベートが形成されていない場合は100(%T)となる。<泡持続性評価> 泡持続性は、JIS K−3362(8.5起泡力及び泡の安定性)に準拠して試験を行い、泡持続率(%)を算出することで評価を行った。 20℃の恒温室内で直径3cm、長さ1mのガラス製チューブを垂直に立て,水道水100gを流し込んだ。次いで、200mL容の分液ロートに毛髪処理液1を100g投入し、先述のガラス製チューブの上端から60cmの位置に分液ロートの先端が位置するようにそれぞれを固定した。その後、分液ロートのコックを開き、約30秒間で毛髪処理液1がガラス製チューブ内に投入されるように注いだ。その際、ガラス製チューブの壁面に毛髪処理液1が接触せず、ガラス製チューブ内の水道水の水面に直接投入されるように留意した。 毛髪処理液1全量が投入された後に速やかに、水道水面からの泡の上端までの泡高さを測定した(初期泡高さ)。5分後、同様に泡高さを測定した(5分後泡高さ)。得られた数値を下式に導入することで、泡持続率を算出した。なお、5分以内に泡が完全に消滅した場合には、この数字が0となり、数字が小さいほど泡持続性が低いことを示す。 泡持続率(%)=(5分後泡高さ÷初期泡高さ)×100(%)<滑り性評価(湿潤時)> 洗浄時とすすぎ時の両者について下記の通り滑り性を評価した。 人工毛髪(材質:ポリエステル)の13本を1mm間隔でスライドガラスに貼り付けた後、プラスチックシャーレ(直径:60mm、高さ:12mm)の底部に両面テープを用いて固定した。次いで、毛髪処理液1を20g投入し、1分間静置した。その後、摩擦感テスター[機種:KES−SE(カトーテック株式会社製)]を用い、湿潤時(洗浄時)における毛髪の動摩擦係数(MIU)を測定した(摩擦子材質:シリコン、摩擦子移動速度:1mm/秒)。また、毛髪処理液2を使用して、同様に湿潤時(すすぎ時)における毛髪の動摩擦係数を測定した。なお、動摩擦係数は、毛髪の滑り性向上により低下することが知られている。 結果を表1〜3に示す。<滑り性評価(乾燥後)> 100gの毛髪処理液3中に、上記評価用毛髪の調製2で作製したダメージ毛髪(1g)を1分間浸漬後、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。該処理毛髪13本を1mm間隔でスライドガラスに貼り付け、上記の摩擦感テスターを用い、恒温恒湿室(温度:25℃、湿度:40%)にて毛髪の動摩擦係数(MIU)を測定した(摩擦子材質:シリコン、摩擦子移動速度:5mm/秒)。 結果を表1〜3に示す。<蓄積性評価> 100gの毛髪処理液3中に、上記評価用毛髪の調製2で作製したダメージ毛髪(1g)を1分間浸漬後、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。この操作を1、10、30回繰り返した処理毛髪を作製した。得られた処理毛髪をX線光電子分析装置[機種:JPS−9200(日本電子株式会社製)]を用いて表面分析して、重合体中の2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)に由来するリン原子と炭素原子の比(P/C)を算出し、この値を重合体の毛髪への吸着量の指標とした。また算出したP/C値を以下の式に導入することで毛髪への蓄積率を求めた。尚、この値は蓄積性が高い程、大きくなることが知られている。 毛髪への蓄積率(%)=[(10回若しくは30回処理した毛髪のP/C値)÷(1回処理した毛髪のP/C値)]×100<染色阻害性評価> 100gの毛髪処理液3中に、上記評価用毛髪の調製3で作製した洗浄白髪(1g)を1分間浸漬後、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させる操作を10回実施した。得られた処理白髪を、市販のヘアカラー剤(メンズパルティターンカラーブルーブラック、株式会社ダリア製)を用いて染毛した。該毛髪を流水で洗浄後、更に1%ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液中にて1分間すすぎ洗いを行い、ドライヤーで乾燥させた。作製した染色毛髪について、色差計[機種:NF−333(日本電色工業株式会社製)]を用いて、色差ΔE*(ab)を測定した。得られた値を以下の式に導入することで重合体の毛髪に対する染色阻害率を算出した。尚、染色阻害性がない場合、この値は100となり、値が小さい程、阻害性が高いことを示す。 染色阻害率(%)=[ΔE*(ab)(処理毛髪)÷ΔE*(ab)(未処理毛髪)]×100<官能評価> 調製した毛髪用洗浄剤組成物を用いて、25〜55歳の女性10名からなる専門パネラーにより、洗浄時の滑らかさ、すすぎ時のきしみ感、乾燥後毛髪の滑らかさ・べたつき感・ごわつき感の5項目について、下記基準により5段階評価した。更にそれを平均して判定した。(毛髪評価官能試験基準) 評価点:5点;非常に良好、4点;良好、3点;普通、2点;やや不良、1点;不良。 判定基準:平均点4.0点以上を合格、平均点4.0点未満を不合格とした。実施例1〜13 表1の処方に従い毛髪用洗浄剤組成物を調製した。得られた毛髪用洗浄剤組成物に関して、前述の各評価方法により性能評価を行った。結果を表1に示す。比較例1〜22 表2及び3の処方に従い比較例用の毛髪用洗浄剤組成物を作製した。得られた比較例用毛髪用洗浄剤組成物に関して、実施例同様、前述の各評価方法により性能評価を行った。結果を表2及び3に示す。なお、表2及び3において、「化合物A外−1」、「化合物B外−1」等における「外」は、上記した様に当該化合物A、B等に対応するものであるが、本発明の化合物A、B等の範囲外の化合物を表しているものである。参考比較例1−1〜1−3 市販の高重合度シリコーン(ジメチコン;信越化学工業株式会社製、KF−96H−1万cs)を用い、表4の処方に従い毛髪用洗浄剤組成物を作製した。得られた毛髪用洗浄剤組成物に関して、前述の各評価方法に準じて測定、評価を行った。なお、コアセルベート形成性評価は、乳化による白濁が発生したため実施しなかった。結果を表4に示す。参考比較例2−1〜2−2 毛髪処理液調製1、2、3で調製した毛髪処理液1、2、3を用いなかった以外は、上記の滑り性評価(乾燥時)に従って、評価用毛髪の調製1、2で作製した健康毛髪(参考比較例2−1)、ダメージ毛髪(参考比較例2−2)の動摩擦係数を測定した。結果を表5に示す。参考比較例2−3 毛髪処理液調製1、2、3で調製した毛髪処理液1、2、3の代わりに、水道水を用いた以外は上記の滑り性評価(湿潤時)に従い、湿潤時における人工毛髪の動摩擦係数を測定した。結果を表5に示す。 表1−3に示す評価結果から明らかなように、各実施例の毛髪用洗浄剤組成物はコアセルベート形成性が、各比較例の組成物に比較して格段に優れている。よって、各実施例の毛髪用洗浄剤組成物は、各毛髪に対する上記各性能評価において、非常に良好な性能を発揮した。 (A)エチレンオキシド(E.O.)平均付加モル数が1〜4であるポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、 (B)式(1)で表される重量平均分子量300,000〜700,000の化合物、 (C)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、 (D)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、 (E)E.O.平均付加モル数が5〜40のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、 (F)塩化ナトリウム、及び 水を含有し、 前記(A)の含有量が1〜20質量%、前記(B)の含有量が0.001〜0.25質量%、前記(C)の含有量が0.1〜5質量%、前記(D)の含有量が0.01〜5質量%、前記(E)の含有量が1〜10質量%、及び前記(F)の含有量が0.1〜2質量%である、 毛髪用洗浄剤組成物。 (1)(m、nは各構成単位のモル比を示すための数字であり、モル比でm/n=65/35〜75/25である。) 請求項1に記載の毛髪用洗浄剤組成物を含有する毛髪洗浄料。 【課題】洗浄時、すすぎ時、及び乾燥後の毛髪に優れた滑り性を付与しながら、べたつきやごわつきのない良好な使用感を有し、更に、洗浄時に良好な泡持続性を実現する毛髪用洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料を提供する。【解決手段】(A)エチレンオキシド(E.O.)平均付加モル数が1〜4であるポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、(B)式(1)で表される重量平均分子量300,000〜700,000の化合物、(C)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、(D)塩化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、(E)E.O.平均付加モル数が5〜40のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、及び(F)塩化ナトリウム、を特定割合で含み、並びに水を含有する毛髪用洗浄剤組成物とし、これを使用する。【選択図】なし


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