タイトル: | 公開特許公報(A)_フェノールの分離および回収方法 |
出願番号: | 2013019338 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 37/72,C07C 39/04 |
宮内 啓行 JP 2014148489 公開特許公報(A) 20140821 2013019338 20130204 フェノールの分離および回収方法 住友ベークライト株式会社 000002141 宮内 啓行 C07C 37/72 20060101AFI20140725BHJP C07C 39/04 20060101ALI20140725BHJP JPC07C37/72C07C39/04 6 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AC42 4H006AD16 4H006BB14 4H006BB31 4H006BC33 4H006BC50 4H006FC52 4H006FE13 本発明は、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収方法に関するものである。 フェノール樹脂は、代表的な熱硬化性樹脂であり、耐熱性が要求される部品や絶縁体等として多くの分野に使用されている。 フェノール樹脂を製造すると、フェノール類を含んだ廃液が発生する。フェノール類は、河川等の水質汚濁を引き起こす原因物質の1つとして取り上げられていることから、工場から河川等に流入する排水中においてフェノール類の濃度は法令等によって厳しく制限されている。 そこで、フェノール類を含む廃液からフェノール類を除去し、濃度を低下させることにより、環境負荷を低減する方法が提案されており、工業的には溶媒抽出法が一般的である。例えば、ベンゼンやトルエンなどの芳香族化合物を有機溶媒として用いたフェノール類の回収方法が採用されている。ところが、抽出効率が低いため、多くのフェノール類のロスが発生するなどの問題を抱えている。また、トリオクチルアミンなどのアルキルアミン類を有機溶媒として用いたフェノール類の回収方法も知られているが、抽出効率が不十分であるだけでなく、抽出したフェノール類を蒸留法を用いて回収する際にアンモニウムイオンなどのイオン性物質がフェノール類に混入し、純度が低下するなどの問題があった。また、特許文献1には、ジフェノルカーボネートを有機溶媒として用いたフェノール類の回収方法が開示されているが、やはり抽出効率が不十分であるとの問題があった。特開平4−41465号公報フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液から、高効率でフェノールを分離し、さらにイオン性物質とも分離する回収方法を提供する。このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。(1)フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液に、有機溶媒を接触させることを特徴とするフェノールの分離および回収方法であって、前記有機溶媒が、エーテル化合物であるフェノールの分離および回収方法。(2)(1)記載のエーテル化合物が、ジイソプロピルエーテルまたはジブチルエーテルであるフェノールの分離および回収方法。(3)前記水溶液と接触させる有機溶媒が、前記水溶液100質量部に対して20〜300質量部である(1)ないし(2)に記載のフェノールの分離および回収方法。(4)前記水溶液は、フェノールを0.1〜10質量%の割合で含むものである(1)乃至(3)いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。(5)前記水溶液は、前記イオン性物質を0.005〜10質量%の割合で含むものである(1)乃至(4)いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。(6)前記イオン性物質が、アンモニウムイオンを含むものである(1)乃至(5)いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。本発明によれば、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収する際に、高効率でフェノールとイオン性物質とを分離し、純度の高いフェノールを回収することができる。 以下、本発明のフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収方法について詳細に説明する。本発明のフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収方法は、有機溶媒を接触させるものであり、前記有機溶媒が、エーテル化合物であることを特徴とする。 前記イオン性物質としては、無機イオン性物質や有機イオン性物質などがあり、具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオンのような無機イオン性物質や、シュウ酸イオンや酢酸イオンのような有機イオン性物質が挙げられる。フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液から回収したフェノールは、特にフェノール樹脂として耐熱性、耐久性、電気絶縁性が要求される自動車部品用途、電子材料用途などに用いられる。前記イオン性物質はフェノール樹脂中に含まれると品質の低下の要因となるだけでなく、イオン性物質を含むフェノールを用いてフェノール樹脂を製造しようとした場合、イオン性物質がフェノールの重合触媒である硫酸やシュウ酸などと反応し、重合効率が低下する問題もある。従って、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からフェノールを回収する際は、フェノールとイオン性物質とを分離することが不可欠である。中でも、アンモニウムイオンはフェノール樹脂を製造する際の、フェノールの重合効率を著しく低下させるため、確実に分離する必要がある。 有機溶媒としてフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液と接触させる前記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、プロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tertブチルエーテルなどが挙げられる。これらのようなエーテル化合物は、疎水性が高く、フェノールに対して優れた親和性を有するため、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液から、フェノールのみを効率よく前記エーテル化合物層に移行させ、フェノールとイオン性物質を高度に分離することができる。 前記エーテル化合物とフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液とを接触させる方法は、特に限定されないが、例えば、抽出装置を用いて接触させる方法が挙げられる。抽出装置を用いることで、前記エーテル化合物とフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液とを効率よく接触させることができる。抽出装置はバッチ式、連続式のいずれかの方法も用いることができ、具体的な抽出装置としては、ミキサーセトラー型、向流微分型抽出装置、攪拌式および非攪拌式段型抽出装置などを使用することができる。前記エーテル化合物とフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液とを接触させることで、水溶液中のフェノールが前記エーテル化合物層に移行するが、イオン性物質は前記エーテル化合物層には移行せず、水層に残る。結果、フェノールとイオン性物質とが分離され、純度の高いフェノールを回収することができる。また、前記エーテル化合物層から分離された水層は、前記エーテル化合物が水に対する溶解性がないため、水層にほとんど混入せず、そのまま廃水処理工程に送ることができる。前記廃水処理工程では、水層に含まれるイオン性物質や、前記エーテル化合物層に移行せず、水層に残った微量のフェノールなどが除去される。例えば、凝集剤、活性炭、活性汚泥などによる処理が用いられる。更に、前記エーテル化合物層から分離された水層は、前記エーテル化合物が水層にほとんど混入していないことから、水層に含まれるイオン性物質や、微量のフェノールなどが許容される工業用水への循環利用も可能である。結果、廃水処理にかかる工程を大幅に縮小することができる。前記エーテル化合物とフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液とを接触させた後、前記エーテル化合物層から分離された水層に含まれるフェノールの含有量は、特に限定されないが、0.25質量%以下とすることが好ましく、0.20質量%以下とすることがより好ましい。こうすることで、廃水処理工程におけるフェノールの除去が容易になり、更に、微量のフェノールなどが許容される工業用水への循環利用もしやすくなる。 前記エーテル化合物とフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液とを接触させ、溶液中のフェノールを前記エーテル化合物層に移行させた後、前記エーテル化合物を分離してフェノールを回収する方法としては、特に限定されないが、蒸留塔を用いた常圧蒸留法、減圧蒸留法、薄膜蒸留法などを使用することができる。これらの中でも、汎用性、コストの観点から、常圧蒸留法を用いることが好ましい。蒸留塔を用いた常圧蒸留法により前記エーテル化合物を分離してフェノールを回収する場合、フェノールは蒸留塔の塔底に蓄積して回収される。また、さらに純度の高いフェノールの回収が必要な場合は、後段に別の蒸留塔を用いて精製して回収しても良い。一方で、分離された前記エーテル化合物はコンデンサーなどの冷却器で凝縮し、回収され、有機溶媒として再度利用することができる。 有機溶媒としてフェノールおよびイオン性物質を含む水溶液と接触させる前記エーテル化合物は、ジイソプロピルエーテルまたはジブチルエーテルであることが好ましい。ジイソプロピルエーテルまたはジブチルエーテルは、フェノールとの親和性が特に優れているため、抽出効率が著しく高い。特に、ジイソプロピルエーテルは、その沸点が68℃と低いため、ジイソプロピルエーテルにより抽出したフェノールを、常圧蒸留法により回収する際の熱エネルギーを抑制することができる。その結果、フェノールの分離および回収にかかるコストを引き下げることができ、好適である。 フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液と接触させる有機溶媒の質量は、前記水溶液100質量部に対して20〜300質量部とすることが好ましく、25〜200質量部とすることがより好ましい。前記水溶液と接触させる有機溶媒の質量をこのように規定することにより、高い効率でフェノールを抽出することができる。さらに、抽出したフェノールを常圧蒸留法により回収する際に、蒸留塔に投入する処理液の量が適度になることから、フェノールの回収に必要な蒸留塔の規模を縮小することができ、更に、熱エネルギーも抑制することができる。その結果、フェノールの分離および回収にかかるコストを引き下げることができる。フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液においてフェノールの濃度は、廃液等が対象である場合は特に限定できないが、回収作業の効率を考えると、フェノールを0.1〜10質量%の割合で含むことが好ましく、0.5〜8質量%の割合で含むことがより好ましい。前記水溶液に含有されるフェノールの割合をこのように調製することで、前記水溶液にエーテル化合物を有機溶媒として接触した際に、前記エーテル化合物層に移行せず、水層に残るフェノールの含有量が微量となるため、フェノールの回収率を高くすることができる。前記水溶液に含有されるフェノールの割合は、ガスクロマトグラフ(例えば、島津製作所製、キャピラリガスクロマトグラフシステムGC−2014)を用いて測定することができる。フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液は、前記イオン性物質を0.005〜10質量%の割合で含むことが好ましく、0.01〜8質量%の割合で含むことがより好ましい。前記水溶液に含有されるイオン性物質の割合をこのように規定することで、前記水溶液にエーテル化合物を有機溶媒として接触した際に、前記水溶液に含有されるフェノールの前記エーテル化合物層への移行が促進され、高い効率でフェノールを抽出することができる。さらに、前記イオン性物質として、アンモニウムイオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどが含まれる場合、これらに含まれる窒素やリンが廃水処理工程における活性汚泥の栄養分として作用する。すわなち、前記水溶液にエーテル化合物を有機溶媒として接触した際に、前記エーテル化合物層から分離された水層の排水廃水 処理工程において、活性汚泥法を用いた場合、栄養分である窒素やリンの成分の添加量を削減でき、廃水処理にかかるコストを引き下げることができる。前記水溶液に含有されるイオン性物質の割合は、イオンクロマトグラフ(例えば、ダイオネクス社製、イオンクロマトグラフICS−2000型)を用いて測定することができる。 次に、本発明の実施例について説明する。1.フェノールの分離および回収 以下、各実施例および各比較例のようにフェノール水溶液を分離および回収した。なお、各実施例および各比較例におけるフェノール水溶液の分離および回収の条件について、表1に示す。(実施例1) まず、300mlの分液ロートにフェノール濃度2質量%、イオン性物質1.2質量%(ナトリウムイオン2900ppm、カリウムイオン1100ppm、アンモニウムイオン1900ppm、硫酸イオン5500ppm、リン酸イオン450ppm)を含むフェノール水溶液を100g採取した。次いで、有機溶媒であるジイソプロピルエーテル(和光純薬株式会社、試薬特級)をフェノール水溶液100質量部に対して100質量部接触させ、十分に撹拌し、24時間静置することでフェノールを分離および回収した。このようにして得られた有機溶媒層および水層を分離し、有機溶媒層のフェノールの濃度、水層のフェノールの濃度は、それぞれ島津製作所製、キャピラリガスクロマトグラフシステムGC−2014を用いて測定した。有機溶媒層に移行したナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、硫酸イオン、リン酸イオンの濃度は、有機溶媒層を常圧蒸留し有機溶媒を除去することでフェノールの濃縮液とし、有機溶媒との接触前のフェノール水溶液のフェノール濃度と同一になるよう脱イオン水を加えた水溶液を用い、ダイオネクス社製、イオンクロマトグラフICS−2000型を用いて測定した。結果を表1に示す。(実施例2)実施例1の有機溶媒であるジイソプロピルエーテルをフェノール水溶液100質量部に対して200質量部接触させ、フェノールを分離および回収した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例3)実施例1の有機溶媒であるジイソプロピルエーテルをフェノール水溶液100質量部に対して50質量部接触させ、フェノールを分離および回収した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例4)実施例1の有機溶媒であるジイソプロピルエーテルをフェノール水溶液100質量部に対して25質量部接触させ、フェノールを分離および回収した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例5)フェノール水溶液としてフェノール濃度5質量%、イオン性物質1.1質量%(ナトリウムイオン2800ppm、カリウムイオン830ppm、アンモニウムイオン1900ppm、硫酸イオン5300ppm、リン酸イオン360ppm)とした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例6)有機溶媒としてジブチルエーテル(和光純薬株式会社、試薬特級)とした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。結果を表1に示す。(実施例7)フェノール水溶液としてフェノール濃度5質量%、イオン性物質1.1質量%(ナトリウムイオン2800ppm、カリウムイオン830ppm、アンモニウムイオン1900ppm、硫酸イオン5300ppm、リン酸イオン360ppm)、および有機溶媒としてジブチルエーテルとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例8)フェノール水溶液としてイオン性物質0.8質量%(ナトリウムイオン1900ppm、カリウムイオン640ppm、アンモニウムイオン1500ppm、硫酸イオン3600ppm、リン酸イオン200ppm)を含むとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(実施例9)フェノール水溶液としてイオン性物質1.7質量%(ナトリウムイオン5900ppm、カリウムイオン640ppm、アンモニウムイオン1500ppm、硫酸イオン3600ppm、リン酸イオン200ppm)を含むとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例1)有機溶媒としてベンゼン(和光純薬株式会社、試薬特級)を用いた以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例2)有機溶媒としてトルエン(和光純薬株式会社、試薬特級)を用いた以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例3)有機溶媒としてジフェニルカーボネート(東京化成工業株式会社、試薬特級)を用いた以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例4)有機溶媒としてトリオクチルアミン(広栄化学工業株式会社)を用いた以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例5)実施例1の有機溶媒であるジイソプロピルエーテルをフェノール水溶液100質量部に対して10質量部接触させ、フェノールを分離および回収した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。(比較例5)フェノール水溶液としてフェノール濃度2質量%とし、イオン性物質を含まないものとした以外は、実施例4と同様にした。結果を表1に示す。2.フェノールの分離および回収効率の評価 各実施例および各比較例で測定した、有機溶媒層のフェノールの濃度、水層のフェノールの濃度から、分配比および抽出率を算出した。算出結果を表1に示す。なお、分配比は以下の関係式から求めた。分配比 = (有機溶媒層のフェノールの濃度)/(水層のフェノールの濃度)また、抽出率は、以下の関係式から求めた。 抽出率 = (100・分配比)/(分配比+(水層の体積/有機溶媒層の体積)) 表1から明らかなように、本発明である実施例1〜9では、高効率でフェノールとを水溶液から分離し、純度の高いフェノールが回収できた。また、有機溶媒層のイオン性物質の質量%も有意に減少させることができた。 比較例1は有機溶媒に本発明のエーテル化合物を用いず、ベンゼンを用いているが、抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高くなった。 比較例2は有機溶媒に本発明のエーテル化合物を用いず、トルエンを用いているが、比較例1と同様に、抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高くなった。 比較例3は有機溶媒に本発明のエーテル化合物を用いず、ジフェニルカーボネートを用いているが、やはり抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高くなった。 比較例4は有機溶媒に本発明のエーテル化合物を用いず、トリオクチルアミンを用いているが、やはり抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高いだけでなく、有機溶媒層に含有するアンモニウムイオンが比較的多くなった。 比較例5は有機溶媒を本発明のエーテル化合物を用いているが、接触させる有機溶媒の量が本発明で規定されている範囲外であるため、抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高くなった。これは比較例5において、接触させる有機溶媒の量が少なすぎるため、水層中のフェノールの濃度が高い状態で平衡となったことによると考えられる。 比較例6は有機溶媒を本発明のエーテル化合物を用いているが、イオン性物質の量が本発明で規定されている範囲外であるため、抽出率が低く、フェノール水溶液と有機溶媒とを接触した後の、水層中のフェノールの濃度も高くなった。これは水に対して溶解性の高いイオン性物質の量が少なくなることによって、フェノールがより水層に残りやすくなったためと考えられる。 以上のことから、本発明により、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収する際に、高効率でフェノールを分離し、さらにイオン性物質とも分離する回収方法を提供できることが確認された。本発明は、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液からのフェノールの分離および回収方法に関するもので、本発明よってフェノール類を含んだ廃液の処理が簡便なモノになるとともに、産業上利用可能なフェノールを回収し、耐熱性が要求される部品や絶縁体等として多くの分野に使用することができる。 フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液に、有機溶媒を接触させることを特徴とするフェノールの分離および回収方法であって、前記有機溶媒が、エーテル化合物であるフェノールの分離および回収方法。 請求項1記載のエーテル化合物が、ジイソプロピルエーテルまたはジブチルエーテルであるフェノールの分離および回収方法。 前記水溶液と接触させる有機溶媒が、前記水溶液100質量部に対して20〜300質量部である請求項1ないし2に記載のフェノールの分離および回収方法。 前記水溶液は、フェノールを0.1〜10質量%の割合で含むものである請求項1乃至3いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。前記水溶液は、前記イオン性物質を0.005〜10質量%の割合で含むものである請求項1乃至4いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。前記イオン性物質が、アンモニウムイオンを含むものである請求項1乃至5いずれか1項に記載のフェノールの分離および回収方法。 【課題】 本発明の目的は、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液から、高効率でフェノールを分離し、さらにイオン性物質とも分離する回収方法を提供するものである。【解決手段】 フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液に、有機溶媒を接触させることを特徴とするフェノールの分離および回収方法であって、前記有機溶媒が、エーテル化合物であるフェノールの分離および回収方法。本回収方法を用いることで、フェノールおよびイオン性物質を含む水溶液から、高効率でフェノールを分離し、さらにイオン性物質とも分離することが可能となった。【選択図】 なし