タイトル: | 公開特許公報(A)_NMP精製システム |
出願番号: | 2013015230 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07D 207/267,B01D 61/36,B01D 71/02,B01J 47/04 |
寺師 亮輔 JP 2014144938 公開特許公報(A) 20140814 2013015230 20130130 NMP精製システム オルガノ株式会社 000004400 特許業務法人YKI国際特許事務所 110001210 寺師 亮輔 C07D 207/267 20060101AFI20140718BHJP B01D 61/36 20060101ALI20140718BHJP B01D 71/02 20060101ALI20140718BHJP B01J 47/04 20060101ALI20140718BHJP JPC07D207/267B01D61/36B01D71/02B01J47/04 B 4 2 OL 13 4C069 4D006 4C069AB12 4C069BA01 4C069BC12 4C069CC24 4D006GA25 4D006KA01 4D006KA72 4D006KB11 4D006KB14 4D006MC03 4D006PA01 4D006PB20 4D006PC80 本発明は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を含むNMP水溶液を精製するNMP精製システムに関する。 リチウムイオン電池における正極や負極の主要な構成材料は、活物質、集電体、バインダーである。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を分散媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させたものが一般的である。そして、活物質、バインダー混合スラリーを集電体に塗布することで電極が製造される。ここで、NMPはスラリー塗布後の乾燥工程においてガス化するが、環境への影響や費用の問題により大部分を回収している。最近は、回収したNMPを製造工程で再利用するケースが増えている。 このNMPの回収、再利用工程の概略は下記の通りである。(1)排ガス中のNMPを吸着体または水スクラバーにより回収する。この工程によりNMP7〜9割、水分1〜3割程度の状態にまでNMPが濃縮される。(2)NMP/水の混合液を蒸留で精製する。この工程でNMPを99%、水分1%以下まで精製する。水分以外の各種不純物も同時に除去することを求められている。 これらの工程で精製されたNMPは、再び製造工程にて再利用される。また、蒸留精製はオフサイト、オンサイトのいずれでも行われている。 このように、NMPの回収には、通常蒸留精製工程が含まれる。この蒸留精製には、多くのエネルギーを必要とし、また装置が大型化するなど欠点がある。 一方、水の分離技術として蒸留精製ではなく、浸透気化分離を利用するものが提案されている。浸透気化膜としてはNaA型ゼオライト膜(無機多孔質支持体−ゼオライト膜)などが用いられる。特許文献1には、浸透気化分離工程を利用して、無水アルコールを生成することが示されている。また、特許文献2には、NaA型ではない特殊な骨格型のゼオライト膜を利用した浸透気化分離(PV)法による、NMPの精製について記載がある。NaA型などのA型ゼオライト膜は主にバイオエタノール製造工程で広く用いられているが、酸に対し脆弱であるという欠点を持つ。 なお、特許文献3には、アルコール中のナトリウム濃度を導電率で測定することが開示されている。特開2004−51617号公報特開2012−67090号公報特開平11−64262号公報 ここで、浸透気化分離(PV)法を用いたNMPの精製システムについて、なるべく効率がよく、さらに再利用の際にその品質に問題がないことが要求される。特に、浸透気化分離(PV)に用いる分離膜からのNa,Al等の金属の溶出が問題となる。 本発明の目的は、浸透気化分離(PV)手段とイオン交換手段を備えたNMP精製システムにおいて、浸透気化分離(PV)手段から溶出するNaやAl等の金属イオンによるNMPの純度低下を抑制しつつ、NMPの精製が可能となるNMP精製システムを提供することにある。 本発明は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を含むNMP水溶液を精製するNMP精製システムであって、NMP水溶液について分離膜を介し水分を選択的に浸透気化させて、脱水NMPを得る浸透気化分離手段と、前記脱水NMPに含まれる金属イオンについてイオン交換樹脂を利用して除去し、精製NMPを得るイオン交換手段と、前記精製NMPの導電率を測定する導電率測定手段と、を有することを特徴とする。 また、一形態では、前記分離膜がNaA型ゼオライト膜である。 また、一形態では、前記導電率測定手段により測定した導電率から、精製NMP中の金属イオン濃度を推定し、金属イオン濃度が所定値以上の場合に、前記イオン交換手段におけるイオン交換樹脂を交換する。 さらに、一形態では、前記イオン交換手段に供給される脱水NMPの導電率を測定する前導電率測定手段をさらに有し、前記導電率測定手段と、前記前導電率測定手段の両方の測定結果から、金属イオン濃度を推定する。 本発明によれば、浸透気化分離手段を利用して、脱水NMPを得、これをイオン交換手段でイオン交換してNa,Al等の金属類やアミンなどの不純物を除去するが、このイオン交換手段におけるNa,Al等の金属類の除去を確実に行うことができる。システムの全体構成を示すブロック図である。NMP精製システムの構成を示すブロック図である。精製NMP中の金属イオン濃度と導電率の関係を示す図である。NMPに含まれるギ酸濃度と導電率に関係を示す図である。NMP水溶液に含まれるギ酸濃度と導電率に関係を示す図である。 以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。 図1は、実施形態に係るNMP精製システムの構成を示すブロック図である。 電極製造設備10においては、NMPを用いてリチウムイオン電池の電極製造工程が実施される。この電極製造の際に、活物質、バインダー混合スラリーを集電体に塗布することで電極が製造される。ここで、バインダーには、PVDFをNMPに溶解させたものが用いられ、スラリー塗布後の乾燥工程においてNMPがガス化し、排気される。 電極製造設備10からの排気は、回収装置12に導入され、ここにおいてNMPが回収される。この回収装置12は、排気中のNMPを回収するもので、各種の方式を利用することができる。 例えば、水を噴霧し、排気と接触させて、NMPを水に溶解させて回収するスクラバーを用いる方式がある。この方式であると、比較的水分の高いNMPの水溶液が得られる。一方、設備自体は、比較的単純であり、運転も容易であり、低温での処理が可能であってNMPの劣化を抑制できる。 また、活性炭や、ゼオライトなどの吸着剤にNMPを吸着させて、その後脱着することでNMPを分離濃縮する吸着方式がある。この方式では、吸着剤から脱着して得られたNMPの水溶液は、比較的水分が少ない。しかし、脱着の際に比較的高温にするので、NMPが劣化しやすいという問題がある。 ここで、このようにして、リチウムイオン電池製造工程から回収されたNMP水溶液には、少量のギ酸が含まれることが知られている。 なお、NMPは、水分を15%以上含有すると引火点がなくなり非危険物扱いとなる。従って、オフサイトでNMPの精製を行う場合、吸着方式を利用しても、回収した水溶液のNMP濃度を85%以下(水分15%以上)に保つことが一般的である。このため、回収装置12において回収するNMPの水溶液の水分を15%以上にしておくことも好適である。必要であれば、水を補充することも好適である。 回収装置12において回収したNMP水溶液(回収液)は、ろ過装置14に供給され不純物が除去される。ろ過装置14は、UF(限外ろ過)膜や、MF(精密ろ過)膜を用いた膜ろ過装置であり、回収液中に含まれる固形物を除去する。 ろ過装置14で得られたろ過液は、イオン交換樹脂カラム16に供給され、ここで余分なイオンが除去される。特に、アミン類およびアミン類などから生成される硝酸などの酸および上述したギ酸が除去される。 イオン交換樹脂カラム16による脱塩が終了した処理液(NMP水溶液)は、浸透気化分離(PV)装置18およびイオン交換樹脂カラム20を含むNMP脱水精製部30に供給され、ここで水分が除去され、回収NMPが得られる。 NMP脱水精製部30において脱水濃縮された回収NMPの水分は1%以下である。そして、回収NMPは、イオン交換樹脂カラム20において、もう一度アミン類などのイオンを除去した後、ろ過装置22において、浮遊固形物を除去して、電極製造設備10において回収利用される。 図2には、NMP精製システムを構成する、イオン交換樹脂カラム16、浸透気化分離(PV)装置18、イオン交換樹脂カラム20の構成が示されている。上述したように、回収装置12において回収された水分30%〜5%程度のNMP水溶液は、イオン交換樹脂カラム16に供給され、ここでイオンが除去されるが、このイオン交換樹脂カラム16への供給液の導電率が導電率計34aにより計測され、またイオン交換樹脂カラム16からの流出液の導電率が導電率計34bによって計測される。また、イオン交換樹脂カラム16の運転を停止するためのバルブ32がイオン交換樹脂カラム16の下流側に設けられている。なお、バルブ32はイオン交換樹脂カラム16の上流側に設けてもよい。 イオン交換樹脂カラム16からのNMP水溶液は、ポンプなどによって熱交換器36に供給され、ここを通過することによって、加熱されて、浸透気化分離手段である浸透気化分離(PV)装置18に供給される。ここで、イオン交換樹脂カラム16の流出液の配管に別の熱交換器を設け、ここに浸透気化分離(PV)装置18で得られた脱水NMPを供給することで、イオン交換樹脂カラム16の流出液に脱水NMPの熱を移動するとよい。これによって、イオン交換樹脂カラム16からの流出液を加熱するとともに、脱水NMPを冷却することができる。また、熱交換器36には、加熱蒸気が供給されており、この加熱蒸気の熱によってNMP水溶液を浸透気化分離(PV)装置18に供給するのに適切な温度、例えば120℃まで上昇させる。 浸透気化分離(PV)装置18は、処理対象成分と親和性のある分離膜(浸透気化膜)を用い、膜の供給側に混合物を流し、その透過側を減圧もしくは不活性ガスを流すことで、各成分の透過速度差により分離する。 本実施形態の場合、ゼオライト膜を用い、ゼオライトの親水性の高さにより、水を透過側に、NMPを供給側に分離濃縮する。また、その際に、透過物である水は液体から気体(水蒸気)へ相変化する。 このように、NMP水溶液は、熱交換器36による熱交換により120℃程度まで加熱され、浸透気化分離(PV)装置18に供給される。この浸透気化分離(PV)装置18の分離膜は、例えば円筒型の膜モジュールであって、NaA型のゼオライト膜を用いたものが利用される。浸透気化分離(PV)装置18の原液室(供給液側)には、NMP水溶液を供給され、一方、透過室(透過側)には、熱交換器40、気液分離器42を介し、真空ポンプ44が接続されており、内部が減圧されている。そこで、NMP水溶液中の水が分離膜を浸透しながら気化し、透過室(透過側)に水蒸気となって得られる。透過室に得られた水蒸気は、冷水が供給されている熱交換器40において冷却されてから、気液分離器42に導入され、ここで凝結水が下方に滞留する。真空ポンプ44は、気液分離器42の上方空間に接続されており、水分が除去された空気が真空ポンプ44によって排気される。なお、この真空ポンプ44から排出される空気にはNMPが含まれるため、これを除害装置で燃焼処理などするとよい。除害装置は、例えば燃焼処理などを行えばよい。また、気液分離器42に溜まった凝結水は、適宜排水されるが、内部は減圧状態になっているので、真空ポンプ44や浸透気化分離(PV)装置18の透過室とはバルブなどで切り離した後、排水するとよい。 ここで、浸透気化分離(PV)装置18の分離膜として、NaA型のゼオライト膜が採用されている。この分離膜(NaA型などのA型のゼオライト膜)は、ギ酸などの酸に弱いため、イオン交換樹脂カラム16において、酸を十分に除去することが重要である。 本実施形態では、導電率計34a,34bを用いて、イオン交換樹脂カラム16の前後のNMP水溶液の導電率を計測し、酸の残留を検出する。そして、酸の残留が検出された場合には、バルブ32を閉じることで、酸が残留したNMP水溶液の浸透気化分離(PV)装置18への供給を停止する。そして、イオン交換樹脂カラム16におけるイオン交換樹脂を入れ換える。もちろん、新しいイオン交換樹脂カラム16を複数設け、使用中のイオン交換樹脂カラム16の流出液の酸濃度が上昇したときに、他のイオン交換樹脂カラム16に切り換えるようにしてもよい。 ここで、本実施形態では、導電率計34a,34bによって、ギ酸などの酸濃度を検出する。これは、NMP水溶液の伝導度が比較的低く、酸濃度によって変化するからである。すなわち、イオン交換樹脂カラム16の供給液であるNMP水溶液の水分は、水分30%〜5%程度であり、酸が混入していなければ、その導電率は、0.05μS/cm以下である。一方、ギ酸が1ppm程度混入するとその導電率は、1.6μS/cm程度まで上昇する。また、水分が20%程度であれば、ギ酸濃度0.5ppmで導電率1.3μS/cm、ギ酸濃度8ppmで導電率3μS/cmであり、この程度の濃度であればギ酸濃度上昇に応じて、導電率が上昇する。すなわち、ギ酸濃度を導電率で測定することができる。 また、本実施形態では、2つの導電率計34a,34bを有しており、イオン交換樹脂カラム16の処理前後のNMP水溶液の導電率を計測する。従って、イオン交換樹脂カラム16の処理前後の導電率の変化を常時監視することができる。従って、ギ酸などの除去率、積算除去量などを把握することができ、より適切なイオン交換樹脂カラム16の状況を知ることができ、浸透気化分離(PV)装置18へギ酸などが流入することを確実に防止することができる。 また、バインダーとして主に用いられるPVDFは、塩基性物質と共存することで脱フッ素化反応を起こすことが知られている。脱フッ素化反応したバインダー溶液は、反応前から粘性が変化するため、スラリー塗布工程不良の原因となる。このため、NMPについて、塩基性物質、とりわけアミン類を除去することが好ましい。 イオン交換樹脂カラム20には、混床イオン交換樹脂が充填されており、液中のNa,Al等の金属類やアミン類を除去する。そして、イオン交換樹脂カラム20の出口に、Na,Al等の金属類やアミン類が除去された精製NMPが得られる。 そして、本実施形態では、2つの導電率計38a,38bを有しており、イオン交換樹脂カラム20の処理前後の精製NMPの導電率を計測する。従って、イオン交換樹脂カラム20の処理前後の導電率の変化を常時監視することができる。従って、イオン交換樹脂カラム20におけるイオン除去率、積算除去量などを把握することができ、適切なイオン交換樹脂カラム2の状況を知ることができる。 浸透気化分離(PV)装置18では、上述のように分離膜としてA型ゼオライトを使用している。分離膜にA型ゼオライトを使用した場合、その構成成分であるNaやAlが後段にリークする懸念がある。脱水後における、精製NMPにNaやAlなどの金属イオンが含まれると、リチウムイオン電池の電極製造工程において悪影響が出る。 そこで、再利用に供される精製NMPにおいて、NaやAlなどの金属イオンが数10ppb以下であることを確実にする必要がある。 本実施形態では、イオン交換樹脂カラム20を設けており、ここで金属イオンを除去するとともに、このイオン交換樹脂カラム20の前後の精製NMPについて、その導電率を計測する導電率計38a,38bを設けている。すなわち、導電率計38a,38bによって、精製NMPの導電率を測定することで、精製NMPに含有される金属イオンを検出する。 ここで、市販のNMPには、γ−ブチロラクトンが数100ppm含まれており、これが精製NMPにも含まれている可能性が大きい。そこで、実験により、γ−ブチロラクトンが数100ppm含まれていても、導電率に対し大きな影響はなく、一方Naなどの金属イオンが数10ppbあれば、導電率が金属イオン濃度に応じて変化することを確認した。すなわち、300ppmのγ−ブチロラクトンを含むNMPにNaイオンを0〜100ppb含有させ、導電率を測定し、10ppbにおいても有意の導電率変化を検出できることを確認した。 そして、導電率計38a,38bの検出結果から、イオン交換樹脂カラム20のイオン交換樹脂の交換時期を判定し、バルブ48を閉じ、イオン交換樹脂を交換する。イオン交換樹脂カラム20の運転を停止して、イオン交換樹脂を交換してもよいが、他のカラムを用意しておき、経路を切り換えることが好適である。 このようにして、本実施形態により、Na等の金属類について、数十ppbレベルの検出が可能である。そこで、導電率計38a,38bの検出結果に応じて、金属イオンのレベルの管理が可能であり、特にオンラインでモニター可能である。 特に、本実施形態では、このイオン交換樹脂カラム20の前後の精製NMPについて、その導電率を計測する導電率計38a,38bを設けている。従って、イオン交換樹脂カラム20における金属イオンの除去量などについても把握することができる。このため、より適切なイオン交換樹脂カラム20の状況を知ることができ、精製NMPに金属イオンが混入することを確実に防止することができる。「実験例」 以下、実験例について説明する。<参考例1> 純度99.5%以上のNMPを購入し、このNMPにγ−ブチロラクトンを添加し、各種γ−ブチロラクトン濃度のNMPを調製した。 そして、調製した各種γ−ブチロラクトン濃度のNMPについて、上部空間に乾燥N2を充満させた密封容器にため水分の吸収を防止した状態で、導電率計に供給し、導電率を計測した。 γ−ブチロラクトン濃度 :0〜300ppm 導電率計 :Foxboro 875CR(商品名:FOXBORO社製875CR型導電率/比抵抗測定器) その結果を表1に示す。 このように、導電率は、γ−ブチロラクトン(GBL)の濃度によらず、一定であることがわかった。<具体例1> 300ppmのγ−ブチロラクトン(GBL)を含むNMPにNaClO4を所定濃度溶解させ、濃度と導電率の関係を確認した。 導電率計には、Foxboro 875CRを使用した。その結果を表2に示す。なお、表中では、NaClO4と表記し、Naとしての濃度を記載する。 このように、Na濃度0〜100ppbにおいて、導電率がNa濃度に応じて変化し、Na濃度数10ppbについても導電率によって検出できることがわかる。また、図3(A)、(B)に表2に対応するグラフを示す。図3(A)は縦軸、横軸について対数目盛としたものである。<参考例2> 純度99.5%のNMPを購入した。このNMPに純水を添加し、各種水分濃度のNMP水溶液を調製した。 そして、調製した各種NMP水溶液について、密封容器にため、上部空間に乾燥N2を充満させ、水分量を維持した。そして、密封容器から導電率計に供給し、導電率を計測し、水分と導電率の関係を確認した。 水分濃度 :1%〜30% 導電率計 :Foxboro 875CR(商品名:FOXBORO社製875CR型導電率/比抵抗測定器) その結果を表3に示す。 このように、水分1〜30%では、導電率は0.05μS/cm未満であった。<具体例2> 水分1%、10%、20%、30%の各NMP水溶液に、ギ酸を所定濃度(1ppm)溶解させ、水分と導電率の関係を確認した。すなわち、密封容器にNMP水溶液をため、上部空間に乾燥N2を充満させ、水分量を維持した。そして、この密封容器内のNMP水溶液を導電率計に流通して、その導電率を測定した。なお、導電率計は、上述と同様に、Foxboro 875CRを使用した。その結果を表4に示す。 このように、ギ酸含有量が1ppmあれば、水分量が1%〜30%のNMP水溶液の導電率はあまり変化がない。従って、NMP水溶液中のギ酸濃度を充分定量可能であることがわかった。特に、ギ酸0ppmの場合と比べ、顕著に差があり、充分検出可能であった。<具体例3> 水分15%のNMP水溶液、および無水NMPにギ酸を0〜80〜8ppm溶解させ、導電率を測定した。条件は、具体例1と同様である。 無水NMPにおけるギ酸濃度に対する導電率の関係を表5に示す。 このように、無水NMP中のギ酸濃度が大きくなるにつれて導電率も大きくなる。ここで、図4(A)、(B)に表3に対応するグラフを示す。図4(A)は縦軸、横軸について対数目盛としたものである。 また、水分20%のNMP水溶液に対する、ギ酸濃度と導電率の関係を表4に示す。 このように、NMP水溶液中のギ酸濃度が大きくなるにつれて導電率も大きくなる。また、図5(A)、(B)に表4に対応するグラフを示す。図5(A)は縦軸、横軸(導電率)について対数目盛としたものである。[本実施形態の効果] 本実施形態によれば、浸透気化分離(PV)装置18からの脱水NMPをイオン交換樹脂カラム20で処理して得た精製NMPに含まれる不純物(金属イオン)をオンライン監視しながらNMPの精製ができる。 10 電極製造設備、12 回収装置、14,22 ろ過装置、16,20 イオン交換樹脂カラム、18 浸透気化分離(PV)装置、30 NMP脱水精製部、32 バルブ、34a,34b,38a,38b 導電率計、36,40 熱交換器、42 気液分離器、44 真空ポンプ。 NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を含むNMP水溶液を精製するNMP精製システムであって、 NMP水溶液について分離膜を介し水分を選択的に分離して、脱水NMPを得る浸透気化分離手段と、 前記脱水NMPに含まれる金属イオンについてイオン交換樹脂を利用して除去し、精製NMPを得るイオン交換手段と、 前記精製NMPの導電率を測定する導電率測定手段と、 を有する、NMP精製システム。 請求項1に記載のNMP精製システムであって、 前記分離膜がNaA型ゼオライト膜である、NMP精製システム。 請求項1または2に記載のNMP精製システムであって、 前記導電率測定手段により測定した導電率から、精製NMP中の金属イオン濃度を推定し、金属イオン濃度が所定値以上の場合に、前記イオン交換手段におけるイオン交換樹脂を交換する、NMP精製システム。 請求項3に記載のNMP精製システムであって、 さらに、 前記イオン交換手段に供給される前の脱水NMPの導電率を測定する前導電率測定手段をさらに有し、 前記前導電率測定手段と、前記導電率測定手段の両方の測定結果から、金属イオン濃度を推定する、NMP精製システム。 【課題】NMPの精製を効果的に行う。【解決手段】浸透気化分離装置18において、NMP水溶液について分離膜を介し水分を選択的に浸透気化させて、脱水NMPを得る。得られた脱水NMPに含まれる金属イオンについてイオン交換樹脂を利用して除去し、精製NMPを得る。この際に、精製NMPの導電率を測定し、精製NMPに金属イオンが残っているかを検出する。【選択図】図2