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タイトル:公開特許公報(A)_連鎖移動剤、およびブロック共重合体の製造方法
出願番号:2013001962
年次:2014
IPC分類:C08F 2/38,C08F 293/00,C07C 329/00,C07C 327/36,C07C 329/16


特許情報キャッシュ

稲田 昌義 最上 洋和 JP 2014133801 公開特許公報(A) 20140724 2013001962 20130109 連鎖移動剤、およびブロック共重合体の製造方法 藤倉化成株式会社 000224123 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 鈴木 三義 100094400 村山 靖彦 100108453 稲田 昌義 最上 洋和 C08F 2/38 20060101AFI20140627BHJP C08F 293/00 20060101ALI20140627BHJP C07C 329/00 20060101ALN20140627BHJP C07C 327/36 20060101ALN20140627BHJP C07C 329/16 20060101ALN20140627BHJP JPC08F2/38C08F293/00C07C329/00C07C327/36C07C329/16 3 OL 20 4H006 4J011 4J026 4H006AA03 4H006AB48 4H006TN60 4J011AA07 4J011NA26 4J011NB05 4J011NB06 4J011NC06 4J026HA05 4J026HA06 4J026HA08 4J026HA11 4J026HA22 4J026HA32 4J026HA38 4J026HA48 4J026HA50 4J026HB06 4J026HB11 4J026HB22 4J026HB32 4J026HB38 4J026HB45 4J026HB47 4J026HE01 本発明は、可逆的付加開裂連鎖移動重合に用いられる連鎖移動剤、および該連鎖移動剤を用いたブロック共重合体の製造方法に関する。 異なる重合体のセグメントが連結したブロック共重合体は、その性状の特異性から粘着剤をはじめとして様々な分野で利用されている。例えば特許文献1には、アクリル酸エステルの重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体を含有する光学フィルム用粘着剤組成物が開示されている。 ブロック共重合体を製造する方法としては、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等が知られている。例えば特許文献1では、アクリル系ブロック共重合体をリビングアニオン重合により製造している。 しかし、リビングアニオン重合は、重合条件の管理が煩雑であり、ブロック共重合体を製造するには多くの手間がかかるものであった。また、リビングアニオン重合に適用できる原料モノマーが限られていた。 そこで、近年では、重合条件の管理が比較的容易であるリビングラジカル重合として、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)が注目されている。RAFT重合は、重合開始剤の存在下、連鎖移動剤(以下、RAFT重合に用いられる連鎖移動剤を「RAFT剤」ともいう。)を用いてラジカル重合性モノマーを重合させる重合法である。 ところで、アクリル酸エステルの重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体をRAFT重合で製造する場合、連鎖移動を起こさせる都合上、アクリル酸エステルよりもメタクリル酸エステルを先に重合する必要がある。 メタクリル酸エステルをRAFT重合できるRAFT剤として、例えば特許文献2には、4−シアノ−4−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸が開示されている。国際公開第2010/064551号特表2007−537279号公報 しかしながら、特許文献2に記載の4−シアノ−4−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸を得るためには、複数の反応工程を経る必要があり、生産性に劣るものであった。また、特許文献2に記載の方法でRAFT剤を合成する場合、合成反応の性質上、1つの分子内に複数のRAFT剤構造を導入することが困難であった。そのため、メタクリル酸エステルの重合体ブロック−アクリル酸エステルの重合体ブロック−メタクリル酸エステルの重合体ブロックのような、トリブロック共重合体を製造することは容易ではなかった。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造でき、かつブロック共重合体の重合条件の管理が容易であり、しかも、比較的簡単な合成方法で得られる連鎖移動剤、およびブロック共重合体の製造方法の提供を目的とする。 本発明は、以下の態様を有する。[1] 可逆的付加開裂連鎖移動重合に用いられる連鎖移動剤であって、 末端に下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合しているジまたはトリチオカルボナートである、連鎖移動剤。 式(1)中、R1は、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。[2] 前記[1]に記載の連鎖移動剤を用い、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物の少なくとも1つを可逆的付加開裂連鎖移動重合する、ブロック共重合体の製造方法。[3] 前記連鎖移動剤を用いてメタクリル酸エステルを重合した後、得られた重合体の存在下でアクリル酸エステルの重合を行う、前記[2]に記載のブロック共重合体の製造方法。 本発明の連鎖移動剤は、原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造でき、かつブロック共重合体の重合条件の管理が容易であり、しかも、比較的簡単な合成方法で得られる。 また、本発明の共重合体の製造方法によれば、原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造でき、かつブロック共重合体の重合条件の管理が容易である。 以下、本発明について詳細に説明する。 なお、本発明において、可逆的付加開裂連鎖移動重合を「RAFT重合」といい、RAFT重合に用いられる連鎖移動剤を「RAFT剤」という。[連鎖移動剤] 本発明の連鎖移動剤は、RAFT重合に用いられるRAFT剤である。 本発明の連鎖移動剤は、末端に下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合しているジまたはトリチオカルボナートである。 式(1)中、R1は、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。 アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。 R1としては、水素原子またはメチル基が好ましい。 末端に上記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合しているジまたはトリチオカルボナートとしては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。以下、一般式(2)で表される化合物を「化合物(2)」と記す。他の化合物についても同様に記す。 式(2)中、ZはR2−S−、下記一般式(3)で表される置換基、R5−である。 ZがR2−S−、下記一般式(3)で表される置換基のいずれかである場合、化合物(2)はトリチオカルボナートである。一方、ZがR5−である場合、化合物(2)はジチオカルボナートである。 R2は、任意の一価の有機基であり、一価の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基などが挙げられる。また、R2は任意の置換基が導入されていてもよいし、R2の炭素鎖間に任意の二価の連結基が導入されていてもよい。ここで、任意の二価の連結基とは、−O−、−COO−、−N−、−SO2−などが挙げられる。 アルキル基としては、溶解性に優れる点で、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。具体的には、R1の説明において先に例示したアルキル基や、へプチル基、オクチル、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。 アリール基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。 式(3)中、R3は、任意の二価の有機基であり、二価の有機基としては、例えばアルキレン基、アリール基の芳香環の炭素原子から1つの水素原子を除去した二価基などが挙げられる。また、R3は任意の置換基が導入されていてもよいし、R3の炭素鎖間に任意の二価の連結基が導入されていてもよい。 アルキレン基としては、溶解性に優れる点で、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基などが挙げられる。 アリール基としては、R2の説明において先に例示したアリール基が挙げられる。 R4は、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。 アルキル基としては、R1の説明において先に例示したアルキル基が挙げられる。 R4としては、水素原子またはメチル基が好ましい。 R5は、任意の一価の有機基であり、一価の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基などが挙げられる。また、R5は任意の置換基が導入されていてもよいし、R5の炭素鎖間に任意の二価の連結基が導入されていてもよい。 アルキル基としては、R1、R2の説明において先に例示したアルキル基が挙げられ、アリール基としては、R2の説明において先に例示したアリール基が挙げられる。 化合物(2)は、下記一般式(4)で表される化合物(化合物(4))、下記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))、下記一般式(6)で表される化合物(化合物(6))である。化合物(4)、化合物(5)はトリチオカルボナートであり、化合物(6)はジチオカルボナートである。 化合物(4)および化合物(6)はジブロック共重合体を得るためのRAFT剤として好適であり、化合物(5)はトリブロック共重合体を得るためのRAFT剤として好適である。 なお、上記一般式(5)中のR1とR4は同じであってもよいし、異なっていてもよい。化合物(5)を容易に合成できる点では、R1とR4は同じであることが好ましい。 本発明の連鎖移動剤の製造方法の一例を以下に示す。以下に示す製造方法は、化合物(4)を得るための製造方法の一例である。 化合物(4)は、例えば以下の(a)工程および(b)工程を経て得られる。(a)工程: (a)工程は、塩基性化合物の存在下、溶媒中で、下記一般式(7)で表される化合物(化合物(7))に二硫化炭素を反応させ、下記一般式(8)で表される化合物(化合物(8))を得る工程である。 塩基性化合物としては、トリエチルアミン、イミダゾール、ピリジン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネンなどが挙げられる。 溶媒としては、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル等)、ケトン系溶剤(例えばアセトン等)、ハロゲン系溶剤(例えばクロロホルム等)などが挙げられる。 化合物(7)としては、例えばアルキル基を有するチオール、アリール基を有するチオールが挙げられる。 アルキル基を有するチオールとしては、例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、へプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールなどが挙げられる。 アリール基を有するチオールとしては、例えばチオフェノール、トルエンチオール、ナフタレンチオールなどが挙げられる。 化合物(7)と二硫化炭素との反応割合(モル比)は、1:1〜1:2が好ましい。 反応温度は、0〜50℃が好ましく、反応時間は、1〜24時間が好ましい。 (a)工程では、反応終了後に反応液から化合物(8)を抽出してもよいが、通常は、化合物(8)を抽出することなく、引き続き(a)工程で得られた反応液を用いて次の工程((b)工程)を行う。 化合物(8)は黄色を呈するため、反応の終了は反応液の色の変化(例えば無色から黄色への変化)を確認することで判断できる。(b)工程: (b)工程は、化合物(8)に下記一般式(9)で表される化合物(化合物(9))を反応させ、化合物(4)を得る工程である。 化合物(9)としては、アルキル−α−ブロモフェニル酢酸、α−ブロモフェニル酢酸が挙げられる。 アルキル−α−ブロモフェニル酢酸としては、例えばメチル−α−ブロモフェニル酢酸、エチル−α−ブロモフェニル酢酸などが挙げられる。 化合物(8)と化合物(9)との反応割合(モル比)は、1:1〜1:1.3が好ましい。 反応温度は、0〜50℃が好ましく、反応時間は、1〜24時間が好ましい。 (b)工程では、反応終了後に反応液から化合物(4)を抽出する。また、抽出された化合物(4)を精製するのが好ましい。抽出方法や精製方法としては、公知の方法を採用できる。 化合物(8)と化合物(9)との反応により、化合物(4)と共に得られるアンモニウムブロミド化合物は、反応に用いる溶媒に不溶である。よって、反応の終了は沈殿物(アンモニウムブロミド化合物)の生成を確認することで判断できる。 連鎖移動剤として化合物(5)を製造する場合は、前記工程(a)において、化合物(7)に代えて、下記一般式(10)で表される化合物(化合物(10))を用いればよい。化合物(10)に二硫化炭素が反応すると、下記一般式(11)で表される化合物(化合物(11))が得られる。引き続き、化合物(11)に化合物(9)を反応させると、化合物(5)(ただし、R4=R1である。)が得られる。 化合物(10)としては、例えばアルキル基を有するジチオール、アリール基を有するジチオールが挙げられる。 アルキル基を有するジチオールとしては、例えばメタンジチオール、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ペンタンジチオール、ヘキサンジチオール、へプタンジチオール、オクタンジチオール、ノナンジチオール、デカンジチオール、ウンデカンジチオール、ドデカンジチオールなどが挙げられる。 アリール基を有するジチオールとしては、例えばベンゼンジチオール、トルエンジチオール、ナフタレンジチオールなどが挙げられる。 化合物(10)と二硫化炭素との反応割合(モル比)は、1:3〜1:4が好ましい。 化合物(11)と化合物(9)との反応割合(モル比)は、1:2〜1:2.3が好ましい。 化合物(5)を製造する場合、(a)工程および(b)工程において用いる溶媒、塩基性化合物等の試薬、反応温度や反応時間等の条件は、化合物(4)を製造する場合と同様である。 連鎖移動剤として化合物(6)を製造する場合は、前記工程(a)において、化合物(7)に代えて、下記一般式(12)で表される化合物(化合物(12))を用いればよい。化合物(12)に二硫化炭素が反応すると、下記一般式(13)で表される化合物(化合物(13))が得られる。引き続き、化合物(13)に化合物(9)を反応させると、化合物(6)が得られる。 化合物(12)としては一般的なグリニャール試薬を用いることができ、例えばアルキル基を有するハロゲン化マグネシウム、アリール基を有するハロゲン化マグネシウムが挙げられる。なお、式(12)中、Xはハロゲン原子であり、具体的には、臭素原子、塩素原子が挙げられる。 アルキル基を有するハロゲン化マグネシウムとしては、例えばメチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミドなどが挙げられる。 アリール基を有するハロゲン化マグネシウムとしては、例えばフェニルマグネシウムブロミドなどが挙げられる。 化合物(12)と二硫化炭素との反応割合(モル比)は、1:1〜1:2が好ましい。 化合物(13)と化合物(9)との反応割合(モル比)は、1:1〜1:1.3が好ましい。 化合物(6)を製造する場合、(a)工程および(b)工程において用いる溶媒等の試薬、反応温度や反応時間等の条件は、化合物(4)を製造する場合と同様である。ただし、化合物(12)は塩基性であるため、(a)工程においてあらためて塩基性化合物を用いる必要はない。 以上説明した本発明の連鎖移動剤は、上述したような簡単な合成方法で製造することができる。 本発明の連鎖移動剤は、ジチオカルボナートやトリチオカルボナートの末端に、上記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合している。このように、ジチオカルボナートやトリチオカルボナートの末端を特定の構造とすることで、メタクリル酸エステルはもちろんのこと、種々の原料モノマーをRAFT重合することができる。特に、化合物(5)のように、トリチオカルボナートの二量体の両末端に、上記一般式(1)で表される構造を有するものをRAFT重合に用いれば、トリブロック共重合体が容易に得られる。 よって、本発明の連鎖移動剤は、原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造できる。しかも、原料モノマーの重合にはRAFT重合を採用できるので、ブロック共重合体の重合条件の管理が容易である。<ブロック共重合体の製造方法> 本発明のブロック共重合体の製造方法は、本発明の連鎖移動剤を用い、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物の少なくとも1つをRAFT重合する方法である。 アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。 アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばアクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。 メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、メタクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸3−エトキシプロピル、メタクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−クロロスチレンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 ブロック共重合体の製造に用いる原料モノマーとしては、上述したアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物以外のモノマー(他のモノマー)を併用することもできる。 他のモノマーとしては、例えば酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどが挙げられる。 本発明の連鎖移動剤を用いたRAFT重合の方法としては特に限定されず、公知の方法を採用でき、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが挙げられる。 また、RAFT重合の際に用いる溶媒や重合開始剤についても特に限定されず、公知の溶媒や重合開始剤を用いることができる。 アクリル酸エステルの重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるブロック共重合体を製造する場合は、本発明の連鎖移動剤を用いてメタクリル酸エステルを重合した後、得られた重合体の存在下でアクリル酸エステルの重合を行う。係る理由は以下の通りである。 重合開始剤がラジカルを発生させてメタクリル酸エステルに付加すると、3級炭素のラジカル(3級ラジカル)が生成し、続いて次のメタクリル酸エステルが同様に反応し、以下、この反応が繰り返されてメタクリル酸エステルの重合体ブロックが得られる。同様に、アクリル酸エステルの場合は、2級炭素のラジカル(2級ラジカル)が生成して、アクリル酸エステテルの重合体ブロックが得られる。 3級ラジカルは2級ラジカルよりも安定性に優れ、RAFT剤から脱離しやすい。そのため、アクリル酸エステルの重合をメタクリル酸エステルの重合よりも先に行うと、2段階目の重合(メタクリル酸エステルの重合)において、アクリル酸エステルの2級ラジカルはRAFT剤から脱離しにくい。よって、下記反応式(14−1)に示すように、連鎖移動が進行せず、アクリル酸エステルの重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られない。そのため、アクリル酸エステルを重合した後で、得られた重合体の存在下でメタクリル酸エステルを行うと、アクリル酸エステルの重合体とメタクリル酸エステルの重合体との単なる混合物が得られることとなる。 一方、メタクリル酸エステルの重合をアクリル酸エステルの重合よりも先に行えば、下記反応式(14−2)に示すように、連鎖移動が進行するので、アクリル酸エステルの重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られる。 なお、下記反応式(14−1)、(14−2)中の「PM」はメタクリル酸エステルの重合体を示し、「PA」はアクリル酸エステルの重合体を示し、「MM」はメタクリル酸エステルを示し、「MA」はアクリル酸エステルを示し、「Z」は上記一般式(2)中のZと同じである。 なお、芳香族ビニル化合物はアクリル酸エステルと同様の反応性を有する。よって、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、メタクリル酸エステルの重合体ブロックとからなるブロック共重合体を製造する場合も、本発明の連鎖移動剤を用いてメタクリル酸エステルを先に重合した後で、芳香族ビニル化合物の重合を行う。 以上説明した本発明のブロック共重合体の製造方法によれば、RAFT剤として本発明の連鎖移動剤を用いるので、原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造できる。しかも、原料モノマーをRAFT重合してブロック共重合体を製造するので、ブロック共重合体の重合条件の管理が容易である。 以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。<製造例1:RAFT剤(R−1)の製造> 1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)と、二硫化炭素1.83g(24.0mmol)と、ジメチルホルムアミド11mLとを2口フラスコに投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で撹拌した。これに、トリエチルアミン2.49g(24.6mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で3時間撹拌した。滴下終了後、フラスコ内の反応液の色が無色透明から黄色に変化したことを確認した((a)工程)。 引き続き、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で4時間撹拌した。滴下の途中で、フラスコ内に沈殿物を確認した((b)工程)。 ついで、反応液に、抽出溶媒(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50)100mLと、水50mLとを加えて分液抽出した。得られた水相に先と同じ抽出溶媒50mLを加えてさらに分液抽出した。1回目と2回目の分液抽出にて得られた有機相を混合し、これを1M塩酸50mL、水50mL、飽和食塩水50mLで順に洗浄した。洗浄後の有機相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、有機溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=80/20)にて精製して、RAFT剤(R−1)2.86g(収率80%)を黄色油状物として得た。 得られたRAFT剤(R−1)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。なお、1H−NMRの測定には、核磁気共鳴分析装置(株式会社日立製作所製、「R−1200」)を用いた。 1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.50−7.05(m,10H、ArH)、δ5.82(s,2H,CH−COO)、δ3.73(s,6H,CH3)、δ3.33(brt,4H,S−CH2)、δ1.85−1.22(m,8H,CH2). 1H−NMRスペクトルより、メチル−α−フェニル酢酸とジチオール由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例1では、RAFT剤(R−1)として下記一般式(5−1)で表される化合物(化合物(5−1))が得られたと判断した。<製造例2:RAFT剤(R−2)の製造> 1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)を1−デカンチオール1.214g(6.00mmol)に変更し、二硫化炭素の量を1.83g(24.0mmol)から0.915g(12.0mmol)に変更し、トリエチルアミンの量を2.49g(24.6mmol)から1.25g(12.3mmol)に変更し、メチル−α−ブロモフェニル酢酸の量を2.75g(12.0mmol)から1.38g(6.00mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にしてRAFT剤(R−2)1.83g(収率71%)を黄色油状物として得た。 得られたRAFT剤(R−2)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。 1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.50−7.05(m,5H、ArH)、δ5.80(s,1H,CH−COO)、δ3.72(s,3H,CH3)、δ3.32(brt,2H,S−CH2)、δ1.82−1.00(m,20H,−CH2−)、δ0.88(brt,3H,CH3). 1H−NMRスペクトルより、メチル−α−フェニル酢酸とドデカンチオール由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例2では、RAFT剤(R−2)として下記一般式(4−1)で表される化合物(化合物(4−1))が得られたと判断した。 また、得られたRAFT剤(R−2)について、定法に従いneat法にてIR測定を行ったところ、1740cm−1に吸収スペクトルを確認できた。なお、IR測定は、FT−IR装置(Thermo Nicolet社製、「NEXUS 470」)を用い、下記の測定条件にて測定した。(IRの測定条件) 測定範囲:4000〜650cm−1 分解能:4cm−1 測定温度:24℃ 積算回数:32回<製造例3:RAFT剤(R−3)の製造> 1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)を1−デカンチオール1.214g(6.00mmol)に変更し、二硫化炭素の量を1.83g(24.0mmol)から0.915g(12.0mmol)に変更し、トリエチルアミンの量を2.49g(24.6mmol)から1.25g(12.3mmol)に変更し、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)をα−ブロモフェニル酢酸1.29(6.00mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にしてRAFT剤(R−3)1.72g(収率69%)を黄色油状物として得た。 得られたRAFT剤(R−3)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。 1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.52−7.24(m,5H、ArH)、δ5.86(s,1H,CH−COO)、δ3.34(brt,2H,S−CH2)、δ1.88−1.02(m,20H,−CH2−)、δ0.88(brt,3H,CH3). 1H−NMRスペクトルより、α−フェニル酢酸とドデカンチオール由来のアルキル基の構造を確認できた。 また、得られたRAFT剤(R−3)について、定法に従いneat法にてIR測定を行ったところ、3300−2500cm−1と1740cm−1に吸収スペクトルを確認できた。よって、RAFT剤(R−2)のIRスペクトルの結果と比較して、RAFT剤(R−3)はカルボン酸構造を有していることを確認できた。 従って、製造例3では、RAFT剤(R−3)として下記一般式(4−2)で表される化合物(化合物(4−2))が得られたと判断した。<製造例4:RAFT剤(R−4)の製造> メチルマグネシウムブロミドの3mol/Lジエチルエーテル溶液2mL(メチルマグネシウムブロミドが6.00mmol)と、脱水テトラヒドロフラン4mLとを2口フラスコに投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で撹拌した。これに、二硫化炭素0.915g(12.0mmol)を0℃、窒素雰囲気下で15分かけて滴下し、さらに0℃、窒素雰囲気下で3時間撹拌した。滴下終了後、フラスコ内の反応液の色が無色透明から黄色に変化したことを確認した((a)工程)。 引き続き、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を0℃、窒素雰囲気下で15分かけて滴下し、さらに25℃で4時間撹拌した。滴下の途中で、フラスコ内に沈殿物を確認した((b)工程)。 得られた反応液について、製造例1と同様にして抽出操作を行い、RAFT剤(R−4)0.43g(収率30%)を黄色油状物として得た。 得られたRAFT剤(R−4)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。 1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.51−7.25(m,5H、ArH)、δ5.60(s,1H,CH−COO)、δ3.73(s,3H,COOCH3)、δ2.82(s,3H,CH3). 1H−NMRスペクトルより、メチル−α−フェニル酢酸とメチルマグネシウムブロミド由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例4では、RAFT剤(R−4)として下記一般式(6−1)で表される化合物(化合物(6−1))が得られたと判断した。<製造例5:RAFT剤(R−5)の製造> ブチルキサントゲン酸カリウム1.13g(6.00mmol)と、ジメチルホルムアミド11mLとを2口フラスコに投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で撹拌した。これに、メチル−α−ブロモフェニル酢酸1.37g(6.0mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で3時間撹拌した。滴下終了後、フラスコ内の反応液の色が無色透明から黄色に変化したことを確認した。 得られた反応液について、製造例1と同様にして抽出操作を行い、RAFT剤(R−5)1.75g(収率98%)を黄色油状物として得た。 得られたRAFT剤(R−5)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。 1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.55−7.13(m,5H、ArH)、δ5.47(s,1H,CH−COO)、δ4.57(brt,2H,O−CH2)、δ3.57(s,3H,COOCH3)、δ1.89−1.00(m,4H,−CH2−)、δ0.96(brt,3H,CH3). 1H−NMRスペクトルより、メチル−α−フェニル酢酸とブチルキサントゲン酸カリウム由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例5では、RAFT剤(R−5)として下記一般式(15−1)で表される化合物(化合物(15−1))が得られたと判断した。[実施例1] メタクリル酸メチル(MMA)8.01gと、RAFT剤(R−1)240mgと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)15.4mgと、酢酸エチル12.4gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った(第一段階反応)。 反応終了後、フラスコ内にn−ヘキサン350gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(MMA)、RAFT剤、および溶媒をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥してMMAの重合体(A−1)を得た。 得られた重合体(A−1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により下記条件にて測定したところ、数平均分子量(Mn)は13200であり、質量平均分子量(Mw)は20200であり、これらの比(Mw/Mn)は1.53であった。なお、これら分子量は、ポリスチレン換算した値である。(GPCの測定条件) GPC装置:GPC−101(昭光通商株式会社製) カラム:Shodex A−806M×2本直列つなぎ(昭和電工株式会社製) 検出器:Shodex RI−71(昭和電工株式会社製) 移動相:テトラヒドロフラン 流速:1mL/分 ついで、アクリル酸ブチル(nBA)6.41gと、先に得られた重合体(A−1)1.92gと、ABN−Eを4.81mgと、酢酸エチル12.5gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った(第二段階反応)。 反応終了後、フラスコ内にn−ヘキサン350gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(nBA)、および溶媒をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥してブロック共重合体(AB−1)を得た。 得られたブロック重合体(AB−1)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は43500であり、質量平均分子量(Mw)は56500であり、これらの比(Mw/Mn)は1.30であった。 この結果より、重合体(A−1)の分子量ピークは消失し、重合体(A−1)の分子量よりもブロック共重合体(AB−1)の分子量が高いことが分かる。よって、MMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断した。 また、得られたブロック共重合体(AB−1)を酢酸エチルに溶かした溶液を、ガラス基板上に塗布し、乾燥させて、塗膜を形成したところ、得られた塗膜は透明であった。これは、MMAの重合体とnBAの重合体とがそれぞれ単独で存在しているのではなく、ブロック共重合体を形成しているので、透明な塗膜が得られたと考えられる。 よって、この塗膜の外観評価の結果からも、実施例1ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断できる。 なお、RAFT剤(R−1)はトリチオカルボナートの二量体であることから、ブロック共重合体(AB−1)は、MMAの重合体ブロック−nBAの重合体ブロック−MMAの重合体ブロックからなるトリブロック共重合体であると考えられる。[実施例2] RAFT剤(R−1)240mgをRAFT剤(R−2)170mgに変更した以外は、実施例1の第一段階反応と同様にして重合体(A−2)を得た。 得られた重合体(A−2)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は14500であり、質量平均分子量(Mw)は22500であり、これらの比(Mw/Mn)は1.55であった。 ついで、重合体(A−1)1.92gを重合体(A−2)2.11gに変更した以外は、実施例1の第二段階反応と同様にしてブロック共重合体(AB−2)を得た。 得られたブロック重合体(AB−2)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は47900であり、質量平均分子量(Mw)は76600であり、これらの比(Mw/Mn)は1.60であった。 この結果より、重合体(A−2)の分子量ピークは消失し、重合体(A−2)の分子量よりもブロック共重合体(AB−2)の分子量が高いことが分かる。よって、MMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断した。 また、実施例1と同様にして塗膜の外観評価を行った結果、塗膜は透明であった。よって、塗膜の外観評価の結果からも、実施例2ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断できる。[実施例3] RAFT剤(R−1)240mgをRAFT剤(R−3)165mgに変更した以外は、実施例1の第一段階反応と同様にして重合体(A−3)を得た。 得られた重合体(A−3)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は14900であり、質量平均分子量(Mw)は23700であり、これらの比(Mw/Mn)は1.59であった。 ついで、重合体(A−1)1.92gを重合体(A−3)2.17gに変更した以外は、実施例1の第二段階反応と同様にしてブロック共重合体(AB−3)を得た。 得られたブロック重合体(AB−3)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は46200であり、質量平均分子量(Mw)は77200であり、これらの比(Mw/Mn)は1.67であった。 この結果より、重合体(A−3)の分子量ピークは消失し、重合体(A−3)の分子量よりもブロック共重合体(AB−3)の分子量が高いことが分かる。よって、MMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断した。 また、実施例1と同様にして塗膜の外観評価を行った結果、塗膜は透明であった。よって、塗膜の外観評価の結果からも、実施例3ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断できる。[実施例4] RAFT剤(R−1)240mgをRAFT剤(R−4)96.3mgに変更した以外は、実施例1の第一段階反応と同様にして重合体(A−4)を得た。 得られた重合体(A−4)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は19300であり、質量平均分子量(Mw)は37200であり、これらの比(Mw/Mn)は1.93であった。 ついで、重合体(A−1)1.92gを重合体(A−4)2.81gに変更した以外は、実施例1の第二段階反応と同様にしてブロック共重合体(AB−4)を得た。 得られたブロック重合体(AB−4)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は37600であり、質量平均分子量(Mw)は67700であり、これらの比(Mw/Mn)は1.80であった。 この結果より、重合体(A−4)の分子量ピークは消失し、重合体(A−4)の分子量よりもブロック共重合体(AB−4)の分子量が高いことが分かる。よって、MMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断した。 また、実施例1と同様にして塗膜の外観評価を行った結果、塗膜は透明であった。よって、塗膜の外観評価の結果からも、実施例4ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られたと判断できる。[比較例1] Macromolecules、2006年、39巻、16号、5293−5306頁に記載の方法により、ブチル−1−フェニルエチルトリチオカルボナートを製造した。 RAFT剤(R−1)240mgをブチル−1−フェニルエチルトリチオカルボナート108mgに変更した以外は、実施例1の第一段階反応と同様にして重合体(A−5)を得た。 得られた重合体(A−5)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は51800であり、質量平均分子量(Mw)は93200であり、これらの比(Mw/Mn)は1.80であった。 ついで、重合体(A−1)1.92gを重合体(A−5)7.53gに変更した以外は、実施例1の第二段階反応と同様にして重合体(AB−5)を得た。 得られた重合体(AB−5)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は98200であり、質量平均分子量(Mw)は233000であり、これらの比(Mw/Mn)は2.37であった。 この結果より、重合体(A−5)の分子量ピークが残っており、重合体(AB−5)は2峰性の分子量分布を有していた。よって、重合体(AB−5)は、MMAの重合体とnBAの重合体の単なる混合物であり、比較例1ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られなかったと判断した。 また、実施例1と同様にして塗膜の外観評価を行った結果、塗膜は白濁していた。これは、MMAの重合体とnBAの重合体とが相溶していないため、すなわち、ブロック共重合体を形成せずにそれぞれが単独で存在しているため、白濁した塗膜が得られたと考えられる。 よって、この塗膜の外観評価の結果からも、比較例1ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られなかったと判断できる。[比較例2] RAFT剤(R−1)240mgをRAFT剤(R−5)120mgに変更した以外は、実施例1の第一段階反応と同様にして重合体(A−6)を得た。 得られた重合体(A−6)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は59300であり、質量平均分子量(Mw)は127500であり、これらの比(Mw/Mn)は2.15であった。 ついで、重合体(A−1)1.92gを重合体(A−6)8.62gに変更した以外は、実施例1の第二段階反応と同様にしてブロック共重合体(AB−6)を得た。 得られたブロック重合体(AB−6)の分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量(Mn)は23900であり、質量平均分子量(Mw)は110900であり、これらの比(Mw/Mn)は4.64であった。 この結果より、重合体(A−6)の分子量ピークが残っており、重合体(AB−6)は2峰性の分子量分布を有していた。よって、重合体(AB−6)は、MMAの重合体とnBAの重合体の単なる混合物であり、比較例2ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られなかったと判断した。 また、実施例1と同様にして塗膜の外観評価を行った結果、塗膜は白濁していた。これは、MMAの重合体とnBAの重合体とが相溶していないため、すなわち、ブロック共重合体を形成せずにそれぞれが単独で存在しているため、白濁した塗膜が得られたと考えられる。 よって、この塗膜の外観評価の結果からも、比較例2ではMMAの重合体ブロックとnBAの重合体ブロックとからなるブロック共重合体が得られなかったと判断できる。 可逆的付加開裂連鎖移動重合に用いられる連鎖移動剤であって、 末端に下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合しているジまたはトリチオカルボナートである、連鎖移動剤。 式(1)中、R1は、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。 請求項1に記載の連鎖移動剤を用い、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物の少なくとも1つを可逆的付加開裂連鎖移動重合する、ブロック共重合体の製造方法。 前記連鎖移動剤を用いてメタクリル酸エステルを重合した後、得られた重合体の存在下でアクリル酸エステルの重合を行う、請求項2に記載のブロック共重合体の製造方法。 【課題】原料モノマーの種類が制限されることなく様々な種類のブロック共重合体を製造でき、かつブロック共重合体の重合条件の管理が容易であり、しかも、比較的簡単な合成方法で得られる連鎖移動剤、およびブロック共重合体の製造方法の提供。【解決手段】本発明の連鎖移動剤は、可逆的付加開裂連鎖移動重合に用いられる連鎖移動剤であって、末端に下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ該構造が炭素原子または硫黄原子に結合しているジまたはトリチオカルボナートである。本発明のブロック共重合体の製造方法は、本発明の連鎖移動剤を用い、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物の少なくとも1つを可逆的付加開裂連鎖移動重合する。式(1)中、R1は、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。[化1]【選択図】なし


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