生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_脱毛症治療剤
出願番号:2012549041
年次:2013
IPC分類:A61K 38/22,A61P 17/14,A61K 31/52,A61K 31/7076,A61K 31/4741,A61K 9/06,A61K 9/12,A61K 9/08,A61K 9/14


特許情報キャッシュ

遠藤 京子 JP 5261620 特許公報(B2) 20130502 2012549041 20120120 脱毛症治療剤 遠藤 京子 509208435 株式会社 イギス 510199502 遠藤 陽央莉 511283985 葛和 清司 100102842 遠藤 京子 JP 2011011437 20110121 20130814 A61K 38/22 20060101AFI20130725BHJP A61P 17/14 20060101ALI20130725BHJP A61K 31/52 20060101ALI20130725BHJP A61K 31/7076 20060101ALI20130725BHJP A61K 31/4741 20060101ALI20130725BHJP A61K 9/06 20060101ALI20130725BHJP A61K 9/12 20060101ALI20130725BHJP A61K 9/08 20060101ALI20130725BHJP A61K 9/14 20060101ALI20130725BHJP JPA61K37/24A61P17/14A61K31/52A61K31/7076A61K31/4741A61K9/06A61K9/12A61K9/08A61K9/14 A61K 38/22 A61K 9/06 A61K 9/08 A61K 9/12 A61K 9/14 A61K 31/4741 A61K 31/52 A61K 31/7076 A61P 17/14 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2008−162987(JP,A) 特開2007−070336(JP,A) 特開2009−013122(JP,A) 特開2010−280696(JP,A) 特表2008−540509(JP,A) 特表2010−539022(JP,A) 27 JP2012051272 20120120 WO2012099258 20120726 189 20121025 淺野 美奈 本発明は、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、これらのナトリウム利尿ペプチド(NP)の誘導体、これらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドまたはこれらのNPのキメラペプチドの誘導体(以下、これらを総称して「ナトリウム利尿ペプチド(NP)」という)を有効成分とする、脱毛症、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤および/または予防剤に関する。 特に、本発明は、BNP、CNP、BNPの誘導体、CNPの誘導体、CNPまたはBNPのキメラペプチドまたはその誘導体を有効成分とする、脱毛症、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤および/または予防剤に関する。 なお、以下、治療剤および/または予防剤を単に治療剤と記す。1.脱毛症について 脱毛症は、体毛が減少する病気である。脱毛症における体毛の減少は、頭髪だけではなく全身のあらゆる場所で生じうる。その多くは生死に関わるものではないが、その外見上の問題により深刻な精神的苦痛を伴うことから、脱毛症の優れた予防剤および治療剤が望まれている。また、脱毛症は髪の色の退色を伴うことが多いので、脱毛症に伴う髪の色の退色の予防剤および治療剤が望まれている。さらに、脱毛症は、髪が細くなったり髪が短くなるなどの髪質の劣化を伴うことが多いので、脱毛症に伴う髪質劣化の予防剤および治療剤が望まれている。 脱毛症の類型としては、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症、放射線被爆による脱毛症、抜毛症(トリコチロマニア)、閉経後脱毛症、などがある。 これらの脱毛症は、脱毛という症状は同じでも、それぞれ異なる原因に基づいているので、治療法もそれぞれに異なる。特に、男性ホルモンの作用に基づく男性型脱毛症と、免疫疾患であることが疑われている円形脱毛症とは、大きく異なる疾患である。また、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症、放射線被爆による脱毛症は、それぞれ異なる原因に基づいていると考えられ、効果的な治療法は無きに等しい。 円形脱毛症は、コイン大の円形から斑状の輪郭のはっきりした脱毛班が、多くの場合、自覚症状や前駆症状等なく突然に生じ、その後、自然治癒しない場合、徐々に範囲が拡大して難治性となる脱毛症である。円形脱毛症は自己免疫疾患であることが疑われているが、未だ原因はわかっておらず、決め手となる治療方法も知られていない。 円形脱毛症は、橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症などの自己免疫性疾患、および、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等のアトピー性疾患に合併することがあることが知られている。 男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンが男性ホルモン感受性毛包に作用して軟毛化する作用による脱毛症であり、男性の約半数および女性の10〜20%に発症する。遺伝的素因が大きくかかわっていると考えられ、男性の男性型脱毛症では、前頭部と頭頂部の頭髪が、軟毛化して細く短くなり、最終的には額の生え際が後退し頭頂部の頭髪がなくなってしまう。一方、女性の男性型脱毛症では、生え際のラインは変わらずに頭頂部と前頭部を中心に頭部全体の毛髪が細くなるのが一般的である。男性の男性型脱毛症では、約4分の1の患者がフィナステリドで改善するに過ぎず、女性にフィナステリドを投与する事は禁忌となっているので、女性の男性型脱毛症にフィナステリドは使用できない。 分娩後脱毛症は、エストロゲンによって成長期を維持してきた髪が分娩によって一気に休止期に入り、抜け毛が増加する脱毛症である。分娩後脱毛症の脱毛は通常産後2ヶ月くらいから始まり、産後6ヶ月くらいまで続くが、高齢出産でなければ、通常1年以内には元に戻るので、ほとんどの場合、とくに治療を必要としないが、自然には毛髪が回復しない場合がある。 女性型脱毛症は、血流内のアンドロゲン量に対し女性ホルモンのエストロゲンの量が減ることによって生じると考えられている脱毛症である。、閉経後に発症することが多く、その場合には、閉経後脱毛症とも呼ばれる。女性型脱毛症は、ホルモン補充療法で改善しうる場合もあるが多くは難治性である。 脂漏性脱毛症は、頭皮に過剰に皮脂が分泌されることによって引き起こされ、それらが毛穴を塞ぐ事で毛穴周辺部や毛根が炎症を起こし、髪が抜ける脱毛症である。脂漏性脱毛症は、洗髪により皮脂を取り除くことによりある程度改善するが、再発しやすく難治性をしめす。 批糠性脱毛症は、フケが毛穴を塞ぎ炎症を起こすことによる脱毛症である。批糠性脱毛症は、過度の洗髪が原因であることが多く、洗髪回数を減らしたり、洗浄力の弱い洗髪料を用いることで軽快はするが、再発しやすく難治性である。 抜毛症(トリコチロマニア)は、抜毛癖による脱毛症である。抜毛症は、病的な不安の結果として生じる症状であり、行動療法または心理療法により治療しうる。 老人性脱毛症は、男女の差に関わり無く加齢とともに、徐々に頭髪全体を含む全身の体毛が薄くなってくる脱毛症である。老化により多くの人に表れる自然な現象と考えられており、現在のところ特に治療の対象とはされていない。しかしながら、平均寿命が延びるにつれ、高齢者の生活の質(Quality of life)を高める社会的要請が高まっていることから、改善が求められている。 癌化学療法剤性脱毛症は、癌化学療法剤による抗癌治療の副作用としての脱毛症である。髪の毛だけでなく、眉毛、睫、鼻毛、脇の下の毛、陰毛など、あらゆる部分の体毛が抜けてしまう患者のショックは、たとえ事前の説明を受けていたとしても大きい。そのため、癌化学療法を実施する妨げともなっているので、治療の必要性は高い。同様に、放射線被爆に伴う脱毛症もまた、細胞分裂を障害することにより癌細胞を選択的に死滅させるという点においては、癌化学療法剤性脱毛症と同じメカニズムに基づいて生じる脱毛症である。したがって、がんの化学療法に伴う脱毛症を治療しうる薬剤であれば、放射線被爆に伴う脱毛症をもまた治療しうる。 その他に、抗甲状腺剤、抗凝固剤、タリウム、向精神剤、β遮断剤などの薬物副作用による脱毛症、真菌類による脱毛症、下垂体機能低下、甲状腺機能低下ないし亢進などの内分泌異常による脱毛症、栄養障害、低アルブミン血症、悪液質、鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏症、ホモシスチン尿症、肝硬変などの代謝障害による脱毛症、中毒性脱毛症、高熱、分娩、大手術、急激な体重減や重い病気による脱毛症、などが知られているが、これらは、それぞれの原因を取り除くことにより対処しうる。 これらの脱毛症のうち、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症および批糠性脱毛症は、それぞれの原因を取り除くことにより、ある程度対処しうるが、再発しやすく難治性である。また、女性型脱毛症の原因がホルモンバランスにあると考えられてはいても、ホルモン補充療法の適応は、更年期障害、骨粗鬆症および高脂血症であって、女性型脱毛症は適応とはなっておらず、ホルモン補充療法により生じる発癌の危険性もあることから、女性型脱毛症の治療を目的としてホルモン補充療法が行なわれることはない。また、男性型脱毛症は未だ十分な治療法が無く、円形脱毛症はその原因さえほとんど解っていない。 このように、脱毛症の中でも治療の困難な脱毛症は、円形脱毛症と男性型脱毛症であり、特に、円形脱毛症には有効な治療方法は無きに等しい。さらに、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症についても、治療法は無きに等しい。2.男性型脱毛症およびその治療方法について 男性型脱毛症は、年齢とともに発生頻度が高くなり、日本人の場合、20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%が発症する(非特許文献1)。前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包においては、他の場所の体毛とは逆に、男性ホルモンによって軟毛化現象を引き起こすことによって頭髪が薄くなる。生理的な現象ではあるが、外見上の印象を大きく左右するので社会的な影響は大きい。最近になり男性型脱毛症に有効なミノキシジル外用薬およびフィナステリド内服薬が開発され、皮膚科診療においても積極的に使用されるようになってきたが、依然として十分な治療効果が得られているとは言いがたい。 男性型脱毛症の治療に使用されうる薬剤としては、ミノキシジル、塩化カルプロニウムおよび各種抽出物などの血管拡張剤、フィナステリドなどの男性ホルモン活性抑制剤、エストロゲン、エストラジオール、プロゲステロン等の女性ホルモン剤、抗真菌薬であるケトコナゾール、ペンタデカン、サイトプリン(6−べンジルアミノプリン)、t−フラバノン、アデノシンなどがある。 日本皮膚科学会による「男性型脱毛症診療ガイドライン2010年版」(非特許文献2)は、上記薬剤を、推奨度A(行なうよう強く勧められる)、推奨度B(行なうよう勧められる)、推奨度C1(行なうことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)、推奨度C2(根拠がないので勧められない)、推奨度D(行なわないよう勧められる)の5段階で評価している。それによれば、推奨度Aの治療法として、血管拡張剤であるミノキシジルとテストステロン5α−リダクターゼ阻害剤であるフィナステリドを挙げ、ミノキシジルについて「男性症例に対して5%ミノキシジル外用液を外用療法の第一選択薬として、また女性症例に対して1%ミノキシジル外用液を治療の第一選択薬として用いるべきである」とし、また、フィナステリド内服薬について「男性症例に内服療法の第一選択薬として用いるべきである。他方、女性症例に用いてはならない」としている。一方で、同ガイドラインは、塩化カルプロニウム、ペンタデカン、サイトプリン、t−フラバノン、アデノシンおよびケトコナゾールについて「行なうことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」とされるC1の推奨度に分類し、セファランチンについては、「用いない方がよい」の推奨文を付して、C2の推奨度に分類している。 また、ミノキシジルは薬剤性接触性脱毛症、毛髪過形成、血圧低下、心拍数減少などの副作用があり、使用を中止したら症状がすぐ再燃するという問題がある。女性ホルモン剤は、血栓症の危険がある。さらに、フィナステリドには、前立腺過形成、勃起障害、射精障害などの副作用があり、使用を中止したら症状が再燃し、妊婦には禁忌である。 また、フィナステリドの医薬品インタビューフォーム(非特許文献3)によれば、フィナステリドの臨床効果は、頭頂部の写真評価に基づいて確認されたものである。すなわち、男性型脱毛症の頭頂部またはO型部位におけるフィナステリドの増毛効果は確認されているものの、前頭部またはM型部位における脱毛に対する増毛効果のエビデンスは知られていない。したがって、男性型脱毛症に対して、明確な治療効果を示し、使用を中止しても一定期間持続し、頭頂部以外の脱毛に対しても明確な有効性を示し、さらに副作用の少ない、新たな治療剤が求められている。3.円形脱毛症およびその治療方法について 円形脱毛症は後天性脱毛症の中で最も頻度が高い疾患で、アメリカでは人口の0.1〜0.2%に発生しており、本邦でも同程度と思われる。円形脱毛症はどんな年齢でも罹患する。円形脱毛症患者の4分の1は15歳以下で発症し、比較的に小児に多い脱毛症である。全頭型や全身型などの重度の円形脱毛症も小児に比較的に多くみられる。円形脱毛症に男女差はない。円形脱毛症患者の約4分の1の患者の爪には特徴的な症状として、小さな凹み、横の溝などの変化がみられる。円形脱毛症は、基本的に脱毛面積が広いほど難治性であることから、脱毛面積に基づいた重症度分類も考えられてきた(非特許文献4)。円形脱毛症患者は脱毛の他に身体的障害はないことが多いが、患者の悩みは深く、精神的ダメージやQOLの低下は大きい。そのため、あらゆる方法を用いて治療しなくてはならない皮膚疾患として位置づけられるが、有効な治療方法はほとんどないのが現状である。 円形脱毛症の臨床的分類は脱毛班の数、範囲、形態により、[1]. 通常型円形脱毛症 単発型:脱毛班が単発のもの 多発型:複数の脱毛班を認めるもの[2]. 全頭脱毛症:脱毛巣が全頭部に拡大したもの[3]. 汎発性脱毛症:脱毛が全身に拡大するもの[4]. 蛇行状脱毛症:頭髪の生え際が帯状に脱毛するものに分類される。 また、重症度を表す指標として、米国の円形脱毛症評価ガイドラインでは頭部全体の面積に占める脱毛巣面積の割合(S)と、頭部以外の脱毛の程度(B)により、重症度を決定している。そこでは、 S0: 脱毛がみられない。 S1: 脱毛巣が頭部全体の25%未満 S2: 脱毛巣が25〜49% S3: 脱毛巣が50〜74% S4: 脱毛巣が75〜99% S5: 100%脱毛 B0: 頭部以外の脱毛なし B1: 頭部以外に部分的な脱毛がみられる B2: 全身すべての脱毛と規定されており、円形脱毛症は脱毛巣の範囲が広いほど重症で難治である。 円形脱毛症の病因は、近年、毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられている(非特許文献5)。円形脱毛症は、アトピー性疾患との合併率が比較的高いとの報告もある(非特許文献6)。アトピー性皮膚炎の悪化により脱毛症を生じた脱毛症はアトピー性脱毛症と呼ばれる。特に、フィラグリン遺伝子異常を持つアトピー性脱毛症患者では重篤な円形脱毛症を合併する傾向がある(非特許文献7)。病理組織学的にもアトピー素因を有する群では、毛包周囲へのリンパ球浸潤が多く、好酸球、肥満細胞も浸潤している。浸潤リンパ球ではCD4陽性Tリンパ球が60〜80%、CD8陽性Tリンパ球が20〜40%を占め、さらにHLA−DR陽性細胞やINF−γ陽性細胞を多数みとめる(非特許文献8)。 しかしながら、一方で、円形脱毛症患者におけるアトピーおよび自己免疫疾患の頻度は、健常者と変わらないとの報告もある(非特許文献9)。また、円形脱毛症と免疫異常との間に何らかの関連性は示唆されているとしても、具体的な因果関係は全くわかっていない。 円形脱毛症の治療に使用されうる薬剤としては、ジフロラゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、モメタゾン、メチルプレドニゾロン、デプロドン、ジフルプレドナート、フルオシノニド、アムシノニド、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド剤、アゼラスチン等の第2世代抗ヒスタミン剤、グリチルリチンとメチオニンとグリシンの複合剤であるグリチロン(登録商標)、塩化カルプロニウム、セファランチン、ミノキシジル、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、ビオチン、アンスラリン(ジスラノール)、三環系抗鬱薬などがある。 また、円形脱毛症の治療として、SADBE(squalic acid dibutyl ester)またはDPCP(diphenylcyclopropenone)という合成試薬を脱毛部に接触させることで脱毛部をかぶれさせて免疫を変調させる局所免疫療法、雪状炭酸ないし液体窒素による冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)、ソラレン(Psoralen)と長波長紫外線(UVA)を併用する光化学療法であるPUVA療法、星状神経節ブロック、催眠療法、鍼灸治療が行なわれる。 これらの薬剤および治療法に関し、「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010年版」(非特許文献10)は、推奨度A(行なうよう強く勧められる)、推奨度B(行なうよう勧められる)、推奨度C1(行なうことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)、推奨度C2(根拠がないので勧められない)、推奨度D(行なわないよう勧められる)の5段階で評価している。 それによれば、推奨度Aの治療法はなく、推奨度Bの治療法としてステロイド局所注射と局所免疫療法を挙げ、ステロイド局所注射について「病状が固定したS1以下の単発型、多発型の成人症例に用いるべきである」とし、また、局所免疫療法について「年齢を問わず、症状の固定したS2以上の多発型、全頭型や汎発型の症例に第一選択肢として行なうべきである」としている。推奨度C1の治療法としては、点滴静脈注射によるステロイドパルス療法について「発症後6ヶ月以内の急速に進行するS2以上の成人症例」に、ステロイド内服ないし内服ステロイドパルス療法について「脱毛が急速に進行しているS2以上の成人症例」に、第2世代抗ヒスタミン剤について「アトピー素因を持つ単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして」、それぞれC1の推奨度で使用を推奨している。同ガイドラインは、セファランチン、グリチロン、ステロイド外用剤、塩化カルプロニウム外用剤、ミノキシジル外用剤、冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法およびPUVA療法についても、「有益性は現段階では十分に実証されていない」としつつも「診療実績を考慮して」推奨度C1に分類している。一方、シクロスポリンAおよび桂枝加竜骨牡蛎湯について、「現時点では推奨できない」の推奨文を付して推奨度C2に分類している。さらに、アンスラリン、三環系抗鬱薬、星状神経節ブロック、催眠療法、については、「用いない方がよい」または「行なわない方がよい」の推奨文を付して推奨度C2に分類している。鍼灸治療については「医学的評価をする水準に達していない」ことから推奨度Dに分類している。 円形脱毛症の予後は脱毛巣の存続期間が長い症例や、アトピー性疾患や自己免疫性内分泌疾患の既往のある症例では、治癒の可能性は低い(非特許文献11)。欧米の複数施設の報告でみると、全患者中、34〜50%は全頭型や汎発型へ移行し、その場合には回復率は10%以下と非常に低くなる(非特許文献12)。脱毛面積が50%未満の成人症例では56%が回復するが、脱毛面積が50%以上の円形脱毛症では回復率はわずか3.7%であった(非特許文献13)。また、15歳以下で発症した症例や蛇行状脱毛症の回復率も低く(非特許文献12)、推奨できる治療法はない。したがって特にS2以上の重症の脱毛症では新たな治療法の開発が強く望まれる疾患である。4.女性型脱毛症およびその治療方法について 女性型脱毛症では、ホルモンバランスが崩れたことにより髪の成長期が短くなり、休止期が長くなってしまう。そのため、1つの毛穴から出る髪の本数が減ったり、髪そのものが健常状態の半分以下の細さになったり、髪の色が薄くなったりする。結果として、頭頂部を中心に髪の隙間から頭皮が見えてしまう状態、つまり全体的に薄くなるパターンとして観察される。 Olsen E. et al. 2003(非特許文献25)は、頭頂部から前頭部にかけての分け目の広がりをクリスマスツリーの枝の広がりに見立てて、女性型脱毛症の初期症状として重要であると述べている。女性型脱毛症は、通常男性型脱毛症よりも発症年齢が高く、40代から50代か、閉経以後に認められることが多い。テストステロンからジヒドロテストステロンへの活性化を抑制するフィナステリドの内服が更年期女性に無効であった事から、女性の薄毛は男性型脱毛症とは同質ではないという考え方が一般的となった。このように、女性型脱毛症は、性別、年齢、びまん性の脱毛症状から、男性型脱毛症とは明確に区別して診断される。 女性型脱毛症の原因としては、閉経によるエストロゲンの減少のほか、急激なダイエット、ストレス、経口避妊薬の中止による女性ホルモンの減少によっても生じる。 女性型脱毛症の治療には、フィナステリドは妊娠の可能性のある女性および授乳中の女性の女性型脱毛症には使用できないので、事実上、禁忌である。ミノキシジルおよびセファランチンは女性型脱毛症に対しても、効果は弱い。女性ホルモン補充療法による女性型脱毛症の効果は知られていない。このように、女性型脱毛症に対して有効な治療方法は無きに等しい。5.分娩後脱毛症およびその治療方法について 多くの女性は、妊娠中には毛髪が太くなり、出産後に授乳する際には脱毛が起きることを経験する。分娩後脱毛症の原因は明確であるので、診断も容易であり、多くの場合は自然治癒するので、特に治療は行なわれない。しかし、出産経験者の約4割が分娩後脱毛症を経験しているとされており、無視できない数の患者が存在する。また、分娩後脱毛症の脱毛の程度、および、その回復度合いには個人差があり、産後のストレスなどが重なると、まれに抜け毛が止まらない場合がある。この場合、ステロイドを長期間使用してしまうと発毛が困難になるケースが多く、注意を要する。 このように、分娩後脱毛症が自然回復しない場合には、その治療に、ステロイドを使用することはできず、他に有効な治療法も存在しない。6.脂漏性脱毛症およびその治療方法について 脂漏性脱毛症においては、毛穴から皮脂が絶えず大量に分泌されて、肉眼でも判るほどに毛穴を塞いでしまっている。そのため、皮脂を除去すると毛穴が炎症で赤くなっており、この炎症によって脱毛するので、診断は比較的容易である。 脂漏性脱毛症の原因は、過剰に分泌された皮脂によって頭皮の常在菌が異常繁殖することにより炎症を生ずると考えられており、刺激の少ないシャンプーで毛穴の皮脂を適度に取り除くことにより一定の治療効果が期待できるが、適度な皮脂を保つことは難しい。また、真菌の一種であるマラセチア菌の繁殖も一因と言われており、外用抗真菌剤による治療効果がみられる場合もあるが、体質的な皮脂の過剰分泌が根本原因であるので、その改善は難しく、脂漏性脱毛症の治療法はほとんどない。7.批糠性脱毛症およびその治療方法について 粃糠性脱毛症は、フケがカサブタ状になり、毛穴を塞いで炎症を起こしてしまうほど大量のフケが異常発生してしまう疾病であるので、その診断は比較的容易である。その原因としては、ホルモンバランスの異常によって頭皮の常在菌が異常繁殖し、それが元となって脱毛に繋がるものであると言われている。 その治療としては、ステロイド治療が現在ある治療法の中で最も効果を発揮するものの、この方法だと完治するのに時間がかかったり、症状が慢性化するとかえって治療が困難になってしまうといったケースに陥りやすいので、推奨できる治療法ではない。しかし、他に治療法もないので、一般には、より洗浄力の弱いシャンプーに変更して洗髪回数を減らしたり、保湿剤を塗布して頭皮の乾燥を防ぐことによって症状の軽快を待たざるを得ないのが実情である。8.老人性脱毛症およびその治療方法について 老人性脱毛症は男女の差に関わり無く、加齢に伴って頭部全体を含む全身の体毛に抜け毛・薄毛が生じる脱毛症である。老人性脱毛症の症状としては、頭皮が乾燥し、皮膚から血管が透けて見えるという特徴が見受けられることが多い。老人性脱毛症の原因は、老化によって身体が新しい細胞を作る力が衰えていく事が原因であるために治療は難しい。現在ある老人性脱毛症の治療としては、せいぜい、頭皮のマッサージなどで毛乳頭を活性化させることで発毛の可能性を向上させることていどであり、治療法は無きに等しい。9.癌化学療法剤性脱毛症およびその治療方法について 癌化学療法剤性脱毛症は、癌化学療法剤が細胞分裂を障害することにより、細胞分裂が活発であるがん細胞を選択的に殺すと同時に、同様に細胞分裂が活発である毛母細胞をも障害することによって生じる脱毛症である。 一般名では、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ドキソルビシン、アムルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、イリノテカン、エピルビシン、エトポシド、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ビンブラスチン、イクサべピロンなどの化学療法剤によって、脱毛症が引き起こされることが知られている。 一般に、癌化学療法剤性脱毛症は、化学療法剤の投与開始を起点として、10日後から脱毛が始まり、20日後に脱毛が目立つようになり、30〜60日後には全ての体毛が脱毛する。そして、癌化学療法終了後の体毛の回復は、通常、化学療法剤の投与終了を起点として、3〜6ヵ月後に発毛が始まり、8〜12ヶ月程度で体毛がほぼ回復する。 しかしながら、癌化学療法剤性脱毛症は、癌化学療法剤によって毛包内にある毛母細胞が障害されて生じるため、毛母細胞の障害の程度により、癌化学療法終了後の体毛の回復も様々である。そのため、回復したように見えても、軽い場合でも毛質は落ち、毛色や毛の太さが変わる場合もあり、重症だと産毛のような生え方にしか回復しない場合がある。また、体毛が回復した場合であっても、半年から1年半もの期間にわたって体毛のない状態が続くので、その間、容貌が大きく変わってしまうことは、患者にとって、癌自体に対する不安と相俟って、大きな苦痛である。 癌化学療法剤性脱毛症の客観的評価は、一般に、Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE)に基づいた、皮膚障害および脱毛評価の一部として、行われる。具体的には、癌化学療法剤性脱毛症のCTCAEによる評価は、脱毛がない場合にグレード0、軽い脱毛がある場合にグレード1、著明な脱毛がある場合にグレード2と評価される。 癌化学療法剤性脱毛症には、予防法も治療法もない。したがって、癌化学療法剤性脱毛症が自然回復するまでの間、頭髪はかつらで代用し、眉毛は眉墨で書き、睫は付けまつげを用いることなどにより、自然な外見に整える対処方法しかない。 このように、円形脱毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症は、それぞれにその原因が異なるばかりか、その治療法も非常に限られている。例えば、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症に対する治療法は無きに等しい。さらに、男性型脱毛症については、ミノキシジルまたはフィナステリドによる治療が推奨されるが、その効果は弱い。 また、円形脱毛症に対しては、ステロイド局所注射または局所免疫療法が推奨されるが、少しは奏効する場合はあるものの、効果が全くみられない場合も多く、ステロイドのリバウンドで一時的に発毛しても中止するとかえって悪化する場合がある。そのため、それぞれに新たな治療法の開発が強く望まれている。10.ナトリウム利尿ペプチドについて ナトリウム利尿ペプチド(NP;natriuretic peptide)としては、3種類のナトリウム利尿ペプチドファミリーが知られており、具体的には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP;atrial natriuretic peptide)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP;B-type natriuretic peptide)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP;C-type natriuretic peptide)であり、それぞれ順に、28残基、32残基、22残基のアミノ酸からなる物が主として知られている。(1)ANPとBNP ANPは主として心房で合成され、BNPは主として心室で合成され、心臓から全身へ分泌される。血中を循環しているANP、BNPは、ほぼ100%心臓由来であるといわれている。これらANP、BNPは、高血圧、心肥大、心不全、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、肺高血圧などの病態に深く関与しているとの報告がなされている。 ヒトANPは、心房細胞で産生され分泌される28個のアミノ酸から成るペプチドであり、7番目のシステインと23番目のシステインが分子内でジスルフィド結合をして環状構造を形成する。ANPは、腎臓では利尿作用を示し、血管では血管平滑筋を弛緩・拡張する。他方、ヒトBNPは、心室細胞で産生され分泌される32個のアミノ酸からなるペプチドであり、10番目のシステインと26番目のシステインが分子内でジスルフィド結合をして環状構造を形成する。BNPも、利尿作用と血管拡張作用を有する。なお、BNPは、1988年に豚の脳から単離同定されたペプチドであり、脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide)とも呼ばれる。 ANPとBNPは、ともにグアニレートシクラーゼドメインを有する受容体NPR−A(別名、GC−A)に結合して、cGMPの産生を促進して上記の作用を発現する。実際、ANPは鬱血性心不全などにおいて心房膨満圧の上昇に伴い分泌が促進され、上記の作用により鬱血性心不全などの症状を軽減する働きをしている。BNPも心筋梗塞などの際に、分泌が促進され、上記の作用により心筋梗塞などに伴う諸症状を和らげる働きをしている(非特許文献14)。血中BNPの由来はほとんど心室由来であるが、一部は心房からも分泌される。心不全の状態で、ANPおよびBNPの発現は双方とも、正常レベルよりも100倍増加するが、BNPの上昇はANPよりも大きく、かつ速いとの報告もある。ANP(hANP)は、我が国で急性心不全治療薬として上市されており、米国では、BNPが鬱血性心不全治療薬として上市されている。(2)CNP CNPは最初に脳内より発見されたことから、脳神経ペプチドとして機能していると考えられていたが、その後末梢にも存在することが明らかになった。特に、血管壁においては、平滑筋細胞にCNP特異的受容体が多いこと、単球/マクロファージ系細胞および内皮細胞がCNPを産生すること、などから、CNPは血管壁の局所因子として平滑筋細胞の増殖抑制に関与するものと考えられている。このことから、虚血性心疾患の患者が経皮的冠動脈形成術(PTCA)を受けた後に一定の頻度で発生し臨床的に問題となっている血管内再狭窄を、CNPの投与によって予防できる可能性について、現在臨床応用が検討されている。 さらに最近、CNPを静脈内に投与すると心筋梗塞後の心臓肥大と線維化が著明に改善し、心機能がよくなるとの動物実験の報告もなされている。心臓の繊維化は、拡張障害や不整脈の原因となることが知られているが、CNPは線維芽細胞の増殖を強力に抑制する作用を有するため、心臓の線維化の治療薬としての研究も行われている。CNPは、体内に備わるホルモンであるため、副作用の心配が少なく、動脈硬化性疾患や心疾患に対する臨床治療薬として応用が期待されている。なお、CNPとしては、アミノ酸22個のCNP−22やそのN末端に31アミノ酸残基が付加されたアミノ酸53個のCNP−53等が知られている。(3)ナトリウム利尿ペプチド受容体 NPの受容体としては、グアニレートシクラーゼドメインを有するNPR−A受容体(別名、GC−A)、グアニレートシクラーゼドメインを有するNPR−B受容体(別名、GC−B)、グアニレートシクラーゼドメインを有さないNPR−C受容体の3種類の受容体が知られており、ANPはNPR−A受容体およびNPR−C受容体に、BNPはNPR−A受容体およびNPR−C受容体に、CNPはNPR−B受容体およびNPR−C受容体に、それぞれ結合しうることが知られている。 NPR−A受容体の活性化は血管拡張作用、利尿作用、細胞増殖抑制作用をもたらすといわれている。一方、NPR−B受容体は血管平滑筋細胞に多く存在しており、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用をもたらすと考えられている。NPR−C受容体は、クリアランス受容体とも呼ばれており、血中NPの除去および組織中NPの濃度調節を行なっていると考えられている。(4)ナトリウム利尿ペプチドと免疫系との関連 ナトリウム利尿ペプチドは、歴史的には、まず、心房が分泌するペプチドとしてANPが発見されるとともにその血管拡張作用および利尿作用が注目を集めた。その後、ANPに類似するペプチドとしてBNPおよびCNPが見出された。このような歴史的経緯から、ナトリウム利尿ペプチドと免疫との関連については、心血管系に関連したものに関心が注がれてきた。 また、その後、CNPノックアウトマウスは軟骨の成長が悪いために小人症のような表現型を示すことがわかり(非特許文献15)、CNPは関節軟骨の再生を促すことが期待できることから、関節炎とナトリウム利尿ペプチドとの関連にも関心がもたれている。しかし、この文献は、CNPと脱毛症との関連については記載していない。 ANPは、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびインターロイキン1β(IL1β)をマクロファージが分泌するのを抑制することから、関節炎や敗血症における役割が示唆されている(非特許文献16)。しかし、この文献は、ANPと脱毛症との関連については記載していない。 また、血中のBNP濃度は心臓移植の拒絶反応と平行して上昇することが報告されていることから、心血管系における免疫調節に関与していることが示唆されている(非特許文献17)。しかし、この文献はBNPと脱毛症との関連については記載していない。 Kuroski de Bold et alは、心臓移植時の拒絶反応において血中BNP濃度が上昇することに着目して、ナトリウム利尿ペプチドの免疫調節作用を検討し、ANPとBNPは、ともにリンパ球の増殖を抑えることを見出している(非特許文献18)。しかし、この文献はNPと脱毛症との関連については記載していない。 一方で、Chiurchiu et alは、心疾患および敗血症との関連に着目してBNPの免疫調節作用を検討し、BNPは、炎症性サイトカインであるアラキドン酸、プロスタグランディンE2(PGE2)、ロイコトリエンB4(LTB4)、および、抗炎症サイトカインであるインターロイキン10(IL10)をマクロファージが放出するのを、ともに促進することから、何らかの炎症調節作用を有することを報告しているが、全体として炎症の抑制に働くのか促進に働くのかは結論づけられなかった(非特許文献19)。この文献もBNPと脱毛症との関連については記載していない。 CNPは、マクロファージから分泌されることが報告されている(非特許文献20)。また、Scotland et alは、心虚血および再灌流後の心筋傷害におけるCNPの役割を検討する過程で、CNPが血小板の凝集および白血球の遊走を抑制したことを報告している(非特許文献21)。しかし、これらの文献はCNPと脱毛症との関連については記載していない。 同様に、Obata et alは、心筋炎におけるCNPの作用を検討し、ブタのミオシンを注射したラット心筋炎モデルに、その後1週間CNPを持続的に投与すると、心臓組織の壊死および炎症を抑制するとともに血管新生を促して心臓の機能低下を抑えたことを報告している(非特許文献22)。しかし、この文献はCNPと脱毛症との関連については記載していない。 さらに、CNPノックアウトマウスでは小人症のような表現型を示すことから、CNPは軟骨の生育との関連においても関心がもたれている。Agoston et alは、マウス胎児の頸骨から分離した初代培養軟骨細胞において、デキサメサゾンがCNP遺伝子の発現を上昇させることを見出している(非特許文献23)。しかし、この文献はCNPと脱毛症との関連については記載していない。 このように、近年、免疫とナトリウム利尿ペプチドとの関連にも関心がもたれるようになってきているが、心血管系の炎症とナトリウム利尿ペプチド、あるいは関節炎とナトリウム利尿ペプチドとの関連において関心がなもたれているにすぎず、脱毛症とナトリウム利尿ペプチドとの関連についての報告はなされていない。(5)ナトリウム利尿ペプチドに関する応用の報告 ANP、BNPまたはCNPの応用については、例えば下記のように、この他にも数多く報告されている。しかし、これらの文献は、いずれも、円形脱毛症、男性型脱毛症、粃糠性脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、抜毛症、老人性脱毛症などの特定の種類の脱毛症とナトリウム利尿ペプチドとの関連については記載していない。また、これらの文献のいずれも、CNPまたはBNPが脱毛症の治療に有用であることは、実証していない。 田中正治らは、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用を示すC型ナトリウム利尿ペプチドおよびそれらペプチドを有効成分とする血管平滑筋増殖抑制剤を提案している(特許文献1)。 しかし、これはCNPの平滑筋細胞抑制剤としての利用を意味するもので、CNPまたはBNPの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 中田勝彦らは、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤を提案し、使用可能なナトリウム利尿ペプチドとしてANP、BNPおよびCNPを挙げている(特許文献2)。 しかし、これはANP、BNP、CNPの涙液分泌促進作用を角結膜障害治療用点眼剤として利用するもので、CNPまたはBNPの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 中尾一和らは、CNP等のグアニルシクラーゼB(GC−B)活性化物質を有効成分として含む、FGFR3異常を有しない個体に投与する身長増加用組成物を提案している(特許文献3)。 しかし、これは、CNPを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて鼻肛長が正常同腹仔より大きかったという知見に基づいて、CNPを身長増加用組成物として利用することを意図するもので、CNPまたはBNPの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 同じく中尾一和らは、CNP等のグアニルシクラーゼB(GC−B)活性化物質を有効成分として含む、関節炎症の治療剤または予防剤を提案している(特許文献4)。 しかし、これは、CNPを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて関節軟骨の厚さが正常同腹仔に比べて厚く、また、関節炎モデル動物にCNPを持続投与すると、関節炎が抑制されることを見出したものであり、CNPを関節炎の治療剤または予防剤として利用することを意図するもので、CNPまたはBNPの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 同じく中尾一和らは、BNPを過剰発現するBNPトランスジェニックマウスでは、高脂肪食を負荷しても脂肪が増えにくく、耐糖能およびインスリン感受性が改善されたこと、および、ANPとBNPの受容体であるGC-A受容体遺伝子のへテロノックアウトマウスでは、高脂肪食の負荷により肥満しやすく、耐糖能およびインスリン感受性が障害されたことから、GC-A受容体アゴニストを有効成分とする脂肪肝の予防剤または治療剤を提案している(特許文献6) しかし、これは、ナトリウム利尿ペプチドの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではなく、また、CNPについては全く言及していない。 坂井田功らは、ラットにN−ジエチルニトロソアミンとともに、ANPまたはCNPを持続投与すると、N−ジエチルニトロソアミンによる肝線維化が抑制されたことにもとづいて、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする肝線維化抑制剤を提案している(特許文献7)。 しかし、これは、ナトリウム利尿ペプチドを肝硬変または肝癌の予防に用いることを意図するものであり、ナトリウム利尿ペプチドの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 伊藤恭彦らは、ラットの腹膜擦過誘発線維症モデルにおいて、ANPを持続投与すると腹膜の線維化を抑制したことにもとづいて、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする腹膜線維化抑制剤を提案している(特許文献8)。 しかし、これは、ナトリウム利尿ペプチドを腹膜透析の際の腹膜線維化の抑制に用いることを意図するものであり、ナトリウム利尿ペプチドの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 チェンらは、ANPを含有する腹膜透析溶液をラットに注入すると、正味限外濾過およびナトリウムクリアランスが増加したことにもとづいて、ANPを含有する腹膜透析溶液を提案している(特許文献9)。 しかし、これは、ANPを腹膜透析溶液に添加して、腎障害患者の治療に応用することを意図するものであり、ナトリウム利尿ペプチドの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 堀利行らは、培地中にLPSを添加した場合に樹状細胞が誘発するナイーブT細胞の増殖がANPの同時添加によって抑えられたことにもとづいて、GC−A受容体アゴニストを有効成分とするTh1型免疫疾患の予防剤または治療剤を提案している(特許文献10)。 しかし、これは、ANPをクローン病等のTh1型免疫疾患の予防または治療に応用することを意図するものであり、ナトリウム利尿ペプチドの脱毛症治療剤への応用を示唆するものではない。 小出寿子らは、ANP、BNP、CNP、ウロジラチン(P−Uro)およびこれらの前駆体と派生物質、またはこれらの組み合わせを活性成分として含有し、薬剤学上通常用いられる希釈液、賦形剤、充填剤または助剤を含有していてもよい組成物を含有する組織器官の修復再生製剤を提案しており、組織器官の修復再生の一例として、発毛育毛増毛を挙げている(特許文献5)。また、同文献の実施例3には、「54歳と89歳の頭髪の薄い男性」の頭皮に、1日2回洗髪後にANPを塗布したところ、「ANP投与1週間にて、前頭部に産毛様の発毛を認め、抜け毛のあとに黒い毛乳頭が見える部位が出始め」、「2−3週間後には頭髪総体として弾力性と剛直性の増強が見られ」、「1ヵ月後では、使用前に透けて見えていた頭皮が明らかにみづらくなった」ことを報告している。 しかし、特許文献5が記載しているのは、ANPによる発毛のみであり、CNPとBNPによる発毛育毛増毛については何ら実証していない。また、脱毛症にはさまざまな原因に基づく脱毛症があり、治療法もそれぞれ全く異なるにもかかわらず、「54歳と89歳の頭髪の薄い男性」との記載のみでは、どのような類型の脱毛症に効果が見られたのか不明であり、「後退していた頭髪の最前列は前進し」との特徴は様々な脱毛症で見られる特徴であるので、これらの記述のみではどのような原因ないし疾患に由来する「毛髪の薄」さなのか知りうることはできない。また、同文献は、きわめて広い概念として「発毛育毛増毛用製剤」を着想するにすぎず、また、治療剤なのか予防剤なのかも不明であり、特定の脱毛症の治療剤または予防剤を想起させるものでも、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤または予防剤を想起させるものでもない。したがって、同文献は、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症、放射線被爆による脱毛症、フケ、白髪、脂漏性頭皮の治療剤または予防剤を想起させるものではないことは明らかである。 ところで、田中正治らは、以下のとおり、CNPは、ANPやBNPと、その構造や作用効果が全く異なることを発表している(特許文献1)。 「現在ANPとBNPはいずれも心臓から血中へ分泌されるホルモンとして働くと共に、神経伝達因子としても作動し、生体の体液量及び血圧のホメオスタシス維持に重要な役割を果たしていると考えられている。(中略)CNPのNPとしての生理的役割については不明な点が多い。すなわち、CNPはそのアミノ酸一次配列がANP及びBNPと類似しており、また、in vivo投与でナトリウム利尿作用及び血圧降下作用を示すことからNPファミリーに帰属された。しかし、CNPのナトリウム利尿作用及び血圧降下作用はANP・BNPに比べ著しく弱いこと(1/50〜1/100)(中略)から、CNPはNPファミリーのなかでも特異的な位置を占め、その生理的役割については体液量や血圧のホメオスタシス維持以外に別な役割を果たしているのではないかと推定されていた。(中略)CNPの構造をANP及びBNPのそれらと比較すると、CNPはANPまたはBNPと以下に述べる点が異なっていることが判る(中略)。すなわち、CNPのアミノ酸一次配列は、環外N−末端ドメインではANPまたはBNPと全く異なり、また、環内ドメインでは17アミノ酸残基のうちANPとは5残基、BNPとは4残基異なっていることが判る。また、CNPの環外C−末端ドメインの構造はANPまたはBNPと大きく異なり、CNPにはANPまたはBNPに存在するtail構造が存在しない(ANP・BNPの場合、環状構造のC−末端側にANPで5個、BNPで6個、アミノ酸残基が付加されており、この構造を便宜的にtail構造と呼ぶ)。以上述べたCNPとANPまたはBNPとの構造上の違いが、前記したCNPの特徴的薬理作用発現に関与していることは明かである。」 実際、図1にも示すように、ANP、BNPおよびCNPの構造は大きく異なっており、それぞれ異なる役割を担っていると考えられている。特開平6−9688号公報特開2000−169387号公報WO2005/094890号パンフレットWO2005/094889号パンフレット特開2008−162987号公報再表2008−032450号公報特開2010−168283号公報再表2008−140125号公報特表2000−516836号公報再表2004−110489号公報板見智:日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査.日本医事新報:第4209号,27―29, 2004男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)(日本皮膚科学会雑誌:120(5), 977-986, 2010)医薬品インタビューフォーム プロペシア錠 2011年7月改定 MSD株式会社Olsen E, et al.:Alopecia areata investigational assessment 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Biochemical and Biophysical Research Communications, 356(1):60-6. 2007Agoston H., et al., Dexamethasone stimulates expression of C-type Natriuretic Peptide in chondrocytes. BMC Musculoskeletal Disorders, 7:87. 2006Norwood OT. Male pattern baldness: Classification and incidence. South Med. J. 68:1359-70. 1975Olsen EA.:Current and novel methods for assessing efficacyof hair growth promotors in pattern hair loss.J Am Acad Dermatol; 48:253-62, 2003 脱毛症は外見上の問題から深刻な精神的苦痛を引き起こすにもかかわらず、決め手となる治療法は見つかっていない。特に、男性型脱毛症については、ミノキシジルやフィナステリドでも十分な治療効果が得られない場合が多く、円形脱毛症については、有効な治療方法は無きに等しい。また、円形脱毛症は、再燃性の疾患であるとともに難治性の疾患であり、外観を著しく損ない、鬱病の原因ともなりうることから、治療の必要がある。分娩後脱毛症は、分娩後、短期間のうちに多量の体毛が失われるため、産後うつと相俟って、患者の精神的負担は大きいにもかかわらず、治療法は無きに等しい。女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症および老人性脱毛症は、認知度も低く、やはり治療法は無きに等しい。癌化学療法剤性脱毛症は、急激に全身の体毛が失われ、その状態が長期間持続するので、患者の動揺は大きいにもかかわらず、その治療法は無きに等しく、癌の治療のためにも治療法の開発が強く望まれる。放射線被爆による脱毛症についても癌化学療法剤性脱毛症と同様である。 したがって、本発明の目的は、脱毛症患者、特に、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症に対して有効かつ安全であるばかりでなく、掻痒感、刺激感、女性化などの副作用もなく、禁忌もなく、使用を中止しても再燃しない新たな脱毛症治療剤の提供である。 また、本発明の目的は、これらの脱毛症の原因、つまり、男性ホルモン、女性ホルモン、これらのバランス、何らかの免疫異常、炎症、老化、癌化学療法剤のいずれが原因であるかに関わらず、発毛・育毛・増毛効果、白髪治療効果および硬毛化効果を有する新たな脱毛症の治療剤および/または予防剤、ならびに、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤および/または予防剤の提供である。 このような事情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、急性心不全治療薬として知られているA型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、鬱血性心不全治療薬として知られているB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)および従来から血管平滑筋増殖抑制剤等として知られているC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が脱毛症、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤および/または予防剤として優れた有効性と安全性を有することを見出した。 本発明の脱毛症治療剤は、特に、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症に対して優れた有効性と安全性を有する。しかも、本発明の脱毛症治療剤は、従来からの治療方法である、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、グリチロン(登録商標)、塩化カルプロニウム、セファランチン、ミノキシジル、フィナステリド、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、ビオチン、アンスラリン、局所免疫療法、冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法、PUVA療法に治療抵抗性の脱毛症に対しても明確な治療効果を示し、掻痒感、刺激感、女性化などの副作用もなく、使用を中止してもただちには再燃しないことを確認して本発明を完成した。 さらに、CNPまたはBNPをベタメタゾン吉草酸エステルおよびゲンタマイシン硫酸塩と組み合わせた合剤、CNPまたはBNPをクロベタゾールプロピオン酸エステルと組み合わせた合剤、CNPを塩化カルプロニウムと組み合わせた合剤、CNPまたはBNPをミノキシジルと組み合わせた重層塗布では、円形脱毛症以外の男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症に対してさらに黒い硬毛が生えることを確認して本発明を完成した。 本発明は、具体的には下記のとおりである。[1] ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分として含有する脱毛症、フケ、掻痒、白髪および脂漏性頭皮の治療剤または予防剤、発毛剤、育毛剤、抜け毛進行予防剤、薄毛進行予防剤、毛成長促進剤、発毛促進剤、養毛剤、産後または病後の脱毛治療剤または予防剤。[2] 脱毛症が、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、抜毛症、癌化学療法剤性脱毛症、老人性脱毛症、または、薬物に起因する脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[3] ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、CNP誘導体、BNP誘導体またはANP誘導体のいずれかである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[4] ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)またはA型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)のいずれかである、[1]の治療剤または予防剤。[5] ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、CNP−22若しくはCNP−53のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつCNP活性を有するCNP誘導体、CNP−22、または、CNP−53のいずれかである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[6] ナトリウム利尿ペプチド(NP)がCNP−22である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[7] ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、BNP−26、BNP−32若しくはBNP−45のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつBNP活性を有するBNP誘導体、BNP−26、BNP−32、BNP−45、のいずれかである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[8] ナトリウム利尿ペプチド(NP)がBNP−32である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[9] ナトリウム利尿ペプチド(NP)がA型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、ANP28、または、ANP28のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつANP活性を有するANP誘導体、である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[10] ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、ANP、BNPまたはCNPから選択される2以上のナトリウム利尿ペプチド(NP)のキメラペプチドであって、 前記CNPが、CNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記BNPが、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記ANPが、ANP−28または1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したANP−28の、アミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドであり、 かつ、CNP活性、BNP活性またはANP活性を有するキメラペプチド、あるいは、前記のNPのキメラペプチドの誘導体である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[11] ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、血管拡張剤、男性ホルモン活性抑制剤、女性ホルモン剤、抗生物質、抗真菌剤、ペンタデカン、サイトプリン(6−ベンジルアミノプリン)、t−フラバノン、アデノシン、セファランチン、グリチルリチンとメチオニンとグリシンの複合剤であるグリチロン(登録商標)、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、ビオチン、アンスラリン、タクロリムスおよび三環系抗鬱薬からなる群から選択される少なくとも一つの薬剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[12] ジフロラゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、モメタゾン、メチルプレドニゾロン、デプロドン、ジフルプレドナート、フルオシノニド、アムシノニド、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾンからなる群から選択される少なくとも一つのステロイド剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[13] アゼラスチン、オキサトミド、フェキソフェナジン、エメダスチン、エバスチン、セチリジン、ベポタスチン、オロパタジン、ロラタジンからなる群から選択される少なくとも一つの抗ヒスタミン剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[14] ミノキシジル、塩化カルプロニウムからなる群から選択される少なくとも一つの血管拡張剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[15] フィナステリドをさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[16] エストロゲン、エストラジオールまたはプロゲステロンからなる群から選択される少なくとも一つの女性ホルモン剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[17] ゲンタマイシン、アムホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール、テルビナフィン、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、ミカファンギンからなる群から選択される少なくとも一つの抗生物質または抗真菌剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[18] ベタメタゾン、クロベタゾール、ゲンタマイシン、塩化カルプロニウム、ミノキシジルからなる群から選択される少なくとも一つの薬剤をさらに含む、[1]に記載の治療剤または予防剤。[19] 脱毛症に伴って本来の髪の色よりも薄い色調の髪に変化した発毛状態を本来の髪の色による発毛に回復させる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[20] 黒髪を発毛させる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[21] 髪質を硬毛化させる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[22] フケの発生または頭皮の脂漏性を抑制する、[1]に記載の治療剤または予防剤。[23] 男性型脱毛症が、男性の男性型脱毛症または女性の男性型脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[24] 男性型脱毛症が、脂漏性脱毛症または批糠性脱毛症を合併した男性型脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[25] 女性型脱毛症が、脂漏性脱毛症または批糠性脱毛症を合併した女性型脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[26] 脱毛部位が前頭部または頭頂部である、[1]または[23]に記載の治療剤または予防剤。[27] 男性型脱毛症が、Hamilton−Norwood分類のVa、VIまたはVII型である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[28] 円形脱毛症が、通常型円形脱毛症、全頭脱毛症、汎発性脱毛症または蛇行状脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[29] 脱毛症が、アレルギー疾患または自己免疫疾患の既往または合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[30] 自己免疫疾患が、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、尋常性白斑、サットン後天性遠心性白斑のいずれかである、[29]に記載の治療剤または予防剤。[31] 脱毛症が、アレルギー疾患の既往もしくは合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[32] 脱毛症が、アトピー性疾患の既往または合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[33] 脱毛症が、自己免疫性の甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、または、重症筋無力症の既往または合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[34] 脱毛症が、紅斑、鱗屑または痂皮を伴う脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[35] 脱毛症が、アトピー性皮膚炎またはアレルギー性鼻炎の既往または合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[36] 脱毛症が、フィラグリン遺伝子異常を有し、アトピー性皮膚炎の既往または合併を有する対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[37] 脱毛症が、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー反応を示す対象における脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[38] 脱毛症が、スクラッチテスト、皮内テスト、パッチテスト、特異的IgE抗体試験管内測定法のいずれかのアレルゲン検査において、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー反応を示す対象における脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[39] 脱毛症が、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、グリチロン(登録商標)、塩化カルプロニウム、セファランチン、ミノキシジル、フィナステリド、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、ビオチン、アンスラリン、局所免疫療法、冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法、PUVA療法、タクロリムスに治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]または[2]に記載の治療剤または予防剤。[40] 脱毛症が、ステロイド治療剤に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[41] 脱毛症が、ステロイド離脱困難状態に至った対象の脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[42] 脱毛症が、ステロイド治療剤を使用できない対象における脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[43] 脱毛症が、塩化カルプロニウムに治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[44] 脱毛症が、セファランチンに治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[45] 脱毛症が、5α−リダクターゼ2型阻害剤を使用できない対象における脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[46] 脱毛症が、抗アレルギー剤に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[47] 脱毛症が、抗ヒスタミン薬に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[48] 脱毛症が、液体窒素による刺激療法に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[49] 脱毛症が、ミノキシジルに治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[50] 脱毛症が、5α−リダクターゼ2型阻害剤に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[51] 5α−リダクターゼ2型阻害剤が、フィナステリドである、[50]に記載の治療剤または予防剤。[52] 脱毛症が、抗真菌剤に治療抵抗性を示す脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[53] 円形脱毛症が、S1またはB0以上の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[54] 円形脱毛症が、S2以上の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[55] 円形脱毛症が、S3以上の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[56] 円形脱毛症が、S4以上の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[57] 円形脱毛症が、S5以上の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[58] 円形脱毛症が、B0の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[59] 円形脱毛症が、B1の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[60] 円形脱毛症が、B2の脱毛症である、[2]に記載の治療剤または予防剤。[61] 3週間以上の塗布で治療効果が得られる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[62] 2週間以上の塗布で治療効果が得られる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[63] 1週間以上の塗布で治療効果が得られる、[1]に記載の治療剤または予防剤。[64] 塗布を中止しても1ヶ月以上の期間にわたって再燃しない、[1]に記載の治療剤または予防剤。[65] 塗布を中止しても2ヶ月以上の期間にわたって再燃しない、[1]に記載の治療剤または予防剤。[66] 塗布を中止しても6ヶ月以上の期間にわたって再燃しない、[1]に記載の治療剤または予防剤。[67] 剤形が、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、ワックス剤、粉末剤またはスプレー剤、ゲルスプレー剤、フォーム剤、シャンプー剤、トリートメント剤、頭皮トリートメント剤、または、トニック剤である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[68] 剤形が、軟膏剤またはゲル剤である、[1]に記載の治療剤または予防剤。[69] ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、1〜1000μg/gである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[70] ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、10〜500μg/gである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[71] ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、20〜300μg/gである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[72] ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、30〜200μg/gである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[73] ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、50〜100μg/gである、[1]に記載の治療剤または予防剤。[74] 脱毛症が、 下垂体機能低下、甲状腺機能低下ないし亢進などの内分泌異常、栄養障害、低アルブミン血症、悪液質、鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏症、ホモシスチン尿症、肝硬変などの代謝障害による脱毛症、高熱、分娩、大手術などによる休止期脱毛症、抗甲状腺剤、抗凝固剤、抗腫瘍剤、タリウム、向精神剤、β遮断剤などによる薬物性脱毛症である、[1]に記載の治療剤または予防剤。 後述の症例試験からも明らかなとおり、ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分とする本発明の治療剤は、円形脱毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症を著明に改善することが可能である。また、本発明の治療剤は、白髪を黒髪または本来の色に回復させることができる。さらにまた、本発明の治療剤を用いれば、フケが減少する。さらに、本発明の治療剤は、掻痒感、刺激感、女性化などの副作用もなく、円形脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症に対しては、使用を中止しても少なくとも半年以上再燃しない。 本発明の治療剤は従来のミノキシジルまたはフィナステリドによっては十分な治療効果が得られない男性型脱毛症、および、有効な治療方法が無きに等しい円形脱毛症に対して極めて有効な治療薬としてその有用性が期待できる。また、本発明の治療剤は、治療法が無きに等しい、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症に対しても、顕著な発毛・育毛・増毛効果を有するとともに、抜け毛の量を劇的に減らし、脱毛の進行を防止することができる。 さらに、本発明の治療剤は、ミニチュア化した毛根を大きな硬化毛髪を生育する毛根に転換し、毛質を硬く太くすることができる。また、本発明の治療剤は、硬毛の発毛を促進し、成長期を延長し、長い毛髪を増やす。さらに、本発明の治療剤は、育毛および毛髪伸長を促進し、毛髪の伸長速度を速くする。 また、本発明の治療剤は、毛包あたりの毛髪数を増やすことができる。本発明の治療剤は、難治である前頭部またはM型部位の発毛と育毛を促し、広範囲で重症の男性型脱毛症である、Hamilto-Norwood分類でVa、VI,VIIに分類される脱毛症においても、発毛効果、育毛効果、増毛効果を有する。本発明の治療剤は、円形脱毛症では、毛髪を再生させるとともに、新生した毛髪は塗布中止後も脱落せず、再生毛の脱落阻止効果を有する。 本発明の治療剤は、特に治療に苦慮し、社会生活にも支障をきたす成人頭部の重度の脱毛症を全く副作用なく劇的に改善することができる。本発明の治療剤は、難治性の脱毛症にも有効であるばかりでなく、男女を問わず、成人と未成年者とを問わず、同様の効果が認められる。 従来から使用されているミノキシジルおよびフィナステリドの場合は、使用を中止すると、すぐに使用前の重症度に戻るという大きな問題があったが、本発明では、円形脱毛症、分娩後脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症においては、この欠点が見られない。また、男性型脱毛症に対しては、フィナステリドで増毛効果が確認されている頭頂部のみならず、前頭部および前側頭部に対しても、頭頂部と同様の発毛・育毛・増毛効果を有することが確認された。 さらに、頭皮の脂漏性および批糠性の状態も改善され、フケが出なくなるという優れた効果も確認された。ミノキシジルおよびフィナステリドによる欧米の専門医による治療プランの対象はHamilton-Norwood分類(非特許文献24)のII〜V型だけであり、Hamilton-Norwood分類のVa、VI、VII型には効果がないとして毛包移植かカツラをすすめている。しかし、本発明ではHamilton-Norwood分類のVa、VI、VII型においても抜け毛が劇的に減る、成長期が延長し、長毛が増える、硬毛が発毛し、毛が太く、濃くなる、育毛する、毛髪伸張が促進される、伸張速度が速くなる、黒毛が増毛する、発毛し、白髪が改善するといった改善効果が塗布後1週間から3週間くらいでみられる。 また、従来、円形脱毛症に使用されているステロイド局所注射は、局注部位の皮膚萎縮が生じ、脱毛が広範囲に及ぶ場合にはかなりの局注回数と注射総量を必要とするという難点があり、円形脱毛症の局所免疫療法は、全身性接触脱毛症、局所のリンパ節腫脹、機械性蕁麻疹を併発するという有害事象が生じうる問題点があった。しかし、本発明ではこの欠点が全く見られないだけでなく、毛髪が新生し、使用を中止後も長期間、脱毛症治療効果が失われない、再生毛の脱落が阻止されるという優れた効果が確認された。本発明の治療剤による効果は、円形脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症においては、塗布中止後も半年以上良好な皮膚の状態が持続した。 また、ANP、BNP、CNP、これらのNPの誘導体、これらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチド、または、これらのNPのキメラペプチドの誘導体を有効成分とする本発明の治療剤は、ステロイド剤、冷却療法、抗アレルギー剤、塩化カルプロニウム、セファランチンに治療抵抗性であった円形脱毛症にも治療効果を示した。特に、BNP、CNP、これらのNPの誘導体、これらのNPのキメラペプチド、または、これらのNPのキメラペプチドの誘導体を有効成分とする本発明の治療剤は、脱毛面積の大きい難治性の円形脱毛症や、予後の悪いとされる蛇行状脱毛症にも有効であり、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症、ミノキシジルに治療抵抗性であった男性型脱毛症、にも顕著な効果を示した。 さらに、本発明の治療剤は、CNPまたはBNPを有効成分とする場合には、塗布後3日程度から抜け毛の量が劇的に減少し、1日1〜2回、1週間から2週間の塗布で発毛し、多くの場合、4週間の塗布で地肌が見えにくくなる。その後は塗布し続けなくても毛が伸びつづけ、硬毛となって治癒する。CNPまたはBNPを有効成分とする本発明の治療剤の効果は強力であり、きわめて難治性である蛇行状脱毛症型の円形脱毛症であっても、顕著に発毛が回復する。 特に、CNPを有効成分とする本発明の治療剤は、BNPを有効成分とする場合よりも、確実に脱毛部位の炎症を抑えることができて、紅斑、鱗屑、痂皮などの症状が短期間で改善される。また、CNPを有効成分とする本発明の治療剤は、BNPを有効成分とする場合よりも、抜け毛の量を減少させる効果がより強く、掻痒感も抑えられ、より早く発毛が生じる。 また、CNPを有効成分とする本発明の治療剤を1週間から2週間塗布しただけでも、塗布中止後に発毛効果がより長期間持続し増毛しつづける。従って、脱毛部位の頭皮に、紅斑、鱗屑などの炎症症状が見られる場合にはCNPが最も推奨される。これらのことは、皮膚科医師でもある本発明者にとっても驚くべきことであった。また、本発明の治療剤は、ANPを有効成分とする場合には、頭皮に紅班、鱗屑、脂漏性の落屑などが見られない脱毛症で、なおかつANP塗布によって誘発される頭皮の紅斑、鱗屑、脂漏性の落屑などが出現しない脱毛症に限って有効である。この場合も、1日2回、1週間から2週間の塗布で発毛する。 さらに、本発明の治療剤は、脂漏性脱毛症および粃糠性脱毛症の炎症を抑えて発毛させることができる。本発明の治療剤は、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症においても毛髪の再生を促し、抜け毛を劇的に減少させ、硬毛を発毛させ、毛が太く濃くし、育毛し、毛髪伸張を促進し、伸張速度を速くして、長毛を増やすことができる。 本発明の治療剤は、皮膚の炎症を抑えるので、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、尋常性白斑、サットン後天性遠心性白斑などの、皮膚症状を伴う自己免疫疾患の既往または合併を有する対象の脱毛部位に発毛させることができる。 円形脱毛症は、自己免疫疾患に合併する場合があることが知られているが、本発明の治療剤は、自己免疫性の甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症などの自己免疫疾患の既往または合併を有する対象の脱毛部位に発毛させることができる。 また、本発明の治療剤は、炎症を抑えるとともに、頭皮の肌の状態を改善することから、下垂体機能低下、甲状腺機能低下ないし亢進などの内分泌異常、栄養障害、低アルブミン血症、悪液質、鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏症、ホモシスチン尿症、肝硬変などの代謝障害による脱毛症、高熱、分娩、大手術などによる休止期脱毛症、抗甲状腺剤、抗凝固剤、抗腫瘍剤、タリウム、向精神剤、β遮断剤などによる薬物性脱毛症にも有効である。 なお、NPに共通するNPR−C受容体は、薬理作用を媒介しないクリアランス受容体であると考えられている。ANPとBNPは、NPR−A受容体の活性化により血管拡張作用、利尿作用、細胞増殖抑制作用をもたらすといわれており、CNPはNPR−B受容体の活性化により血管平滑筋細胞の増殖抑制作用をもたらすと考えられているので、CNPの作用はBNPおよびANPとは異なると予想される。 しかしながら、本発明者が実際に脱毛症の患者、特に男性型脱毛症および円形脱毛症の患者で試したところ、驚くべきことに、CNPまたはBNPを有効成分とする本発明の治療剤は、明らかに、ANPを有効成分とする場合よりも治療効果が高く、中でも、特に、CNPを有効成分とする場合は治療効果が高かった。一方、BNPを有効成分とする本発明の治療剤は、黒い硬毛が発毛する場合が多いことが特徴であった。 本発明の有効成分であるナトリウム利尿ペプチド(NP)はもともと体内に備わるホルモンであり、皮膚に塗布しても副作用の心配が少なく、また適正な使用量であるかぎり血行動態に対する影響が軽微と考えられ、血圧が低いまたは不安定な患者にも安心して使えるので慢性的な脱毛症患者に対しても長期の投与が可能である。 また、ステロイド剤、塩化カルプロニウム、抗真菌剤、セファランチン、ミノキシジルに治療抵抗性を示した患者に対しても有効であり、1日2回、3日から2週間の塗布で発毛し、しかも、円形脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症の場合、投与中止後も塗布部位では脱毛症状が再燃しない。加えて、本発明の治療剤は、子供や女性にも使用できるというメリットを有する、従来にはない極めて卓越した治療剤である。ヒトCNPペプチドのアミノ酸配列とヒトBNPペプチドのアミノ酸配列とヒトANPペプチドのアミノ酸配列の比較図である。各アルファベットは、アミノ酸の種類を1文字表記で示している。C(システイン)とC(システイン)を結ぶ線は、分子内ジスルフィド結合を示す。ヒトCNPペプチドのアミノ酸配列とヒトBNPペプチドとヒトANPペプチドのアミノ酸配列には、「CFG」で表されるアミノ酸配列、「DRI」で表されるアミノ酸配列、「SGLGC」で表されるアミノ酸配列、の3箇所の共通する領域があり、これら3箇所の共通配列によって区切られた4つの相互に異なる配列を有している。ANPゲル剤による円形脱毛症の治療効果を示す図である。円形脱毛症の重症度を米国の円形脱毛症評価ガイドラインにもとづいて、頭部全体に占める脱毛巣面積の割合によって評価し、症例ごとに、ANPゲル剤の塗布前と塗布後で対比した。左側の各点が塗布前の重症度を示し、右側の各点が塗布後の重症度を示す。同一の被験者の塗布前の重症度と塗布後の重症度を示す各点を直線で結んである。ANPゲル剤では、刺激症状が出ない症例に限っては、まれに円形脱毛症の治療に一定の効果を示すことがあったが、脱毛巣面積の割合が変化しない症例が多く、多くの症例ではかゆみがでた。また、ANPゲル剤では、紅班、鱗屑、痒み、フケがひどくなり、抜け毛がかえって増えたために、使用を中止した場合がほとんどであり、特に、男性型脱毛症においてはこの傾向が顕著であった。BNPゲル剤による円形脱毛症の治療効果を示す図である。円形脱毛症の重症度を米国の円形脱毛症評価ガイドラインにもとづいて、頭部全体に占める脱毛巣面積の割合によって評価し、症例ごとに、BNPゲル剤の塗布前と塗布後で対比した。左側の各点が塗布前の重症度を示し、右側の各点が塗布後の重症度を示す。同一の被験者の塗布前の重症度と塗布後の重症度を示す各点を直線で結んである。BNPゲル剤は、全症例において、円形脱毛症の治療に有効であることがわかった。BNP軟膏剤による円形脱毛症の治療効果を示す図である。円形脱毛症の重症度を米国の円形脱毛症評価ガイドラインにもとづいて、頭部全体に占める脱毛巣面積の割合によって評価し、症例ごとに、BNP軟膏剤の塗布前と塗布後で対比した。左側の各点が塗布前の重症度を示し、右側の各点が塗布後の重症度を示す。同一の被験者の塗布前の重症度と塗布後の重症度を示す各点を直線で結んである。BNP軟膏剤は、全症例において、円形脱毛症の治療に有効であることがわかった。CNPゲル剤による円形脱毛症の治療効果を示す図である。円形脱毛症の重症度を米国の円形脱毛症評価ガイドラインにもとづいて、頭部全体に占める脱毛巣面積の割合によって評価し、症例ごとに、CNPゲル剤の塗布前と塗布後で対比した。左側の各点が塗布前の重症度を示し、右側の各点が塗布後の重症度を示す。同一の被験者の塗布前の重症度と塗布後の重症度を示す各点を直線で結んである。CNPゲル剤は、円形脱毛症の治療に有効であることがわかった。なお、症例C1では、CNPゲル剤塗布の7日目であったため、治療効果の有無について、明確には確認できなかった。CNP軟膏剤による円形脱毛症の治療効果を示す図である。円形脱毛症の重症度を米国の円形脱毛症評価ガイドラインにもとづいて、頭部全体に占める脱毛巣面積の割合によって評価し、症例ごとに、CNP軟膏剤の塗布前と塗布後で対比した。左側の各点が塗布前の重症度を示し、右側の各点が塗布後の重症度を示す。同一の被験者の塗布前の重症度と塗布後の重症度を示す各点を直線で結んである。CNP軟膏剤は、症例C14の1症例を除いて、円形脱毛症の治療に明瞭な効果を示すことがわかった。症例C14は、脱毛巣の面積で判定する限りにおいては脱毛巣全体を覆うほどの発毛はみられていないものの、明瞭な硬毛の発毛が確認されている。円形脱毛症の症例A2の被験者の後頭部にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのANPゲル剤を1日2回で5週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察される。円形脱毛症の症例A3の被験者(症例C15の被験者)の右側頭部にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後に、その翌日から100μg/gのANPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。力強い発毛が観察された。円形脱毛症の症例A3の被験者(症例C15の被験者)の右側頭部にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。T2は、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後に、その翌日から100μg/gのANPゲル剤を1日2回で5週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を示す。図8−1の塗布前およびT1に比べて、さらに力強い発毛が観察された。円形脱毛症の症例A4の被験者にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのANPゲル剤を1日2回で4週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。脱毛巣が治癒したことがわかる。円形脱毛症の症例A5の被験者(症例B3の被験者)にANPゲル剤およびBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのANPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2はANPゲル剤の塗布を3週間で中止した翌日から100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。ANPゲル剤では、むしろ、脱毛範囲が拡大してしまったが、BNPゲル剤では顕著な発毛が観察された。円形脱毛症の症例A6の被験者(症例C3およびC4の被験者)の頭頂部にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の上方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのANPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。この被験者の場合、効果が見られず、脱毛範囲がむしろ拡大してしまった。円形脱毛症の症例B1の被験者(症例C12の被験者)の右側頭部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で7日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例B1の被験者(症例C12の被験者)の右側頭部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。T2は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で23日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T3は100μg/gのBNPゲル剤の塗布を24日間で中止した後5ヶ月経過した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。脱毛巣の場所がほぼわからなくなるほどの発毛が観察され、塗布中止後も発毛が継続し続けている。円形脱毛症の症例B2の被験者にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で7日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察され、治癒した。円形脱毛症の症例B4の被験者(被験者C9の被験者)の左前頭部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T3は100μg/gのBNPゲル剤の塗布を3週間で中止して3週間経過した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。顕著な発毛と増毛が観察された。円形脱毛症の症例B5の被験者の頭頂部の脱毛班にBNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の上方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後に、その翌日から30μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例B5の被験者の頭頂部の脱毛班にBNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の上方向を向いて写っている。T2は50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後に、その翌日から30μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後、、さらに50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。図15-1のT1と比べて、さらに顕著な発毛と増毛が観察された。円形脱毛症の症例B5の被験者の右側頭部の脱毛班にBNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後に、その翌日から30μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後に、さらに50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。脱毛巣全体を覆うほどの顕著な発毛が観察された。円形脱毛症の症例C1の被験者の頭頂部にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C2の被験者(症例C11の被験者)の頭頂部の脱毛巣にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C2の被験者(症例C11の被験者)の頭頂部の脱毛巣にCNP軟膏剤およびCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後に、その翌日からは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T3は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後に、その翌日からは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛と、発毛範囲の拡大が観察された。円形脱毛症の症例C2の被験者(症例C11の被験者)の前頭部の脱毛巣にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C2の被験者(症例C11の被験者)の前頭部の脱毛巣にCNP軟膏剤およびCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後に、その翌日からは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を示す。図19−1のT1に比べて、さらにはっきりとした発毛と、発毛範囲の拡大が観察された。円形脱毛症の症例C3の被験者(症例A6、C4の被験者)の左側頭部の脱毛巣にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の左方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2は100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後にCNPゲル剤の塗布を中止し、6ヶ月経過した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛と、発毛範囲の拡大が観察された。円形脱毛症の症例C5の被験者(症例A1の被験者)の左側頭部の脱毛巣にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後にCNP軟膏剤の塗布を中止し、6ヶ月経過した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛と、発毛範囲の拡大が観察された。円形脱毛症の症例C6の被験者(症例A7の被験者)の右前頭部の脱毛巣にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした硬毛の発毛が観察された。円形脱毛症の症例C7の被験者にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C10の被験者(症例B6の被験者)にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C10の被験者(症例B6の被験者)にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を示す。図24−1のT1に比べて、さらにはっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C12の被験者(症例B1の被験者)の左側頭部の脱毛巣にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の左方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で5週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。経時的な発毛範囲の拡大と硬毛化がはっきりと観察された。円形脱毛症の症例C13の被験者にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛が観察された。男性型脱毛症の症例A8の被験者(症例B8の被験者)の頭頂部にANPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのANPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。発毛は全く観察されなかった。男性型脱毛症の症例B7の被験者の頭頂部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で10日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。発毛および硬毛化が観察された。男性型脱毛症の症例B7の被験者の頭頂部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。T2は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で14日間塗布した後に、その翌日からBNPゲル剤の塗布を中止して6ヶ月経過した後の同一部位の脱毛巣を示す。図28−1のT1に比べて、さらに硬毛化して薄毛の範囲が縮小し、ほぼ正常な状態にまで回復した。男性型脱毛症の症例B12の被験者の頭頂部にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で3日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、T2は50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で21日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛および硬毛化が観察された。男性型脱毛症の症例C16の被験者の頭頂部および前頭部にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、T1は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛および硬毛化が観察された。男性型脱毛症の症例C16の被験者の頭頂部および前頭部にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。T2は100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で4週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。図30−1の塗布前およびT1と比べて、経時的にきわめて顕著な発毛および硬毛化が観察された。男性型脱毛症の症例C17の被験者にCNP軟膏剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛および硬毛化が観察された。分娩後脱毛症の症例C18の被験者にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。はっきりとした発毛および硬毛化が観察された。女性型脱毛症の症例C19の被験者にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は、写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で4日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。短いけれどはっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例B13の被験者(症例C13の被験者)の頭頂部の円形脱毛班にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮に毛がないのに対して、Tでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮にはっきりとした発毛が観察された。円形脱毛症の症例C20の被験者の左側頭部の円形脱毛班にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は、P2では写真の左下方向を向いて写っており、T2では左上方向を向いて写っている。P2は塗布前の脱毛部位を、T2は50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。P2とT2の写真の撮影範囲はほぼ同一である。P2では点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮に発毛がほとんどないのに対して、T2では点線で囲んだ枠内の頭皮に多数の発毛が観察された。円形脱毛症の症例B14の被験者の頭頂部の円形脱毛班にBNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の上方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で7日間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の中央部に発毛がないのに対して、Tでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の中央に多数の発毛が観察された。円形脱毛症の症例C21の被験者の右頭頂部の円形脱毛班にCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は、写真Pにおいては写真の裏側方向を向いて写っており、写真Tにおいては写真の左上方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で3週間塗布した後に1週間休薬した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮の地肌が見え、僅かに極めて細い産毛のような白髪が生えているのみであるのに対して、Tでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮に黒い毛髪が密生している。円形脱毛症の症例C22の被験者の頭頂部の円形脱毛班にCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は、写真の左方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは、50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布し、引き続き、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で2週間塗布した後の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは、点線で囲んだ枠内の脱毛班の頭皮には全く発毛していないのに対して、Tでは、点線で囲んだ枠内の脱毛班の写真上縁および写真下縁の頭皮に黒い毛髪が密生している。円形脱毛症の症例C23の被験者の後頭部の円形脱毛班にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の裏面方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の発毛がまばらで毛も細いのに対して、Tでは点線で囲んだ枠内の脱毛班の発毛が密であり、毛の太さも太くしっかりしている。男性型脱毛症の症例B15の被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部位にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部位を、Tは50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布後の同一部位の脱毛部位を、それぞれ示す。Pでは脱毛部位の発毛がまばらで毛も細いのに対して、Tでは発毛が密であり、毛の太さも太くしっかりしている。特に、M型部位の地肌に注目すると発毛が密であることがわかる。男性型脱毛症の症例B16の被験者の頭頂部および前頭部の脱毛部位にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、T1は100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位の脱毛部位を、T2は100μg/gのBNPゲル剤の塗布を3週間で終了し、その翌日から200μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位の脱毛部位を、それぞれ示す。Pでは点線の円で囲んだ枠内の脱毛部位の毛髪がまばらであるのに対して、T1では点線の円で囲んだ枠内の中央部にボリューム感のある毛髪が密生しており、T2ではさらに毛髪が密生していわゆるM型脱毛部位が消失している。尚、T2の写真において、点線の円で囲んだ枠内の中央部のいわゆるO型脱毛部位が目立って見えるのは、残った脱毛部位である頭頂部が良く写るように、頭頂部の真上のカメラアングルから撮影したためである。男性型脱毛症の症例C24の被験者の頭頂部の脱毛部位にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛巣を、Tは50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛巣を、それぞれ示す。Pでは毛髪がまばらで頭皮が見えているのに対して、Tではボリューム感のある毛髪が生えて頭皮が見えにくくなっている。男性型脱毛症の症例C25の被験者の前頭部の脱毛部位にCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は正面を向いて写っている。P1は塗布前の脱毛部位を、T1は25μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で12日間塗布した後の同一部位の脱毛部位を、それぞれ示す。T1の写真では、P1の写真に比べて毛髪のボリューム感が増して、前頭部の頭皮が見えにくくなっている。男性型脱毛症の症例C25の被験者の前頭部の脱毛部位にCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いており、右前頭部が写っている。P2は塗布前の脱毛部位を、T2は25μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で12日間塗布した後の同一部位の脱毛部位を、それぞれ示す。T2の写真では、P2の写真に比べて毛髪のボリューム感が増して、前頭部の頭皮が見えにくくなっている。男性型脱毛症の症例C26の被験者の前頭部および頭頂部の脱毛部位にCNP:クロベタゾール合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いている。Pは塗布前の脱毛部位を、Tは50μg/mlCNP:250μg/gクロベタゾール合剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位の脱毛部位を、それぞれ示す。Tの写真では、Pの写真に比べて毛髪の密度が濃くなるとともに、1本1本が太くなり、しかも黒い毛髪が増えている。男性型脱毛症の症例C27の被験者の右前頭部のM型部の生え際の男性型脱毛部位にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の右方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、Tは50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。Pでは脱毛部位の頭皮に毛がほとんどないのに対して、Tでは脱毛部位の頭皮に多数の発毛が観察された。分娩後脱毛症の症例A10(B17)の被験者の頭頂部の脱毛部位にANPゲル剤またはBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、T1は100μg/gのANPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位を、T2は、ANPゲル剤を3週間で終了し、6ヶ月間休薬したのち、頭頂部の脱毛部位に50μg/gのBNPゲル剤を3〜4日に1回の頻度で、3週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。ANPゲル剤塗布後の写真(T1)では脱毛範囲が拡大してしまっているが、BNPゲル剤塗布後の写真(T2)は、頭頂部の薄毛が、外見的に目に留まらないくらいに増毛した。女性型脱毛症の症例B19の被験者の前頭部の分け目部分の脱毛部位にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、Tは50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。対比すると、Pの写真では発毛のまばらな頭皮となっているのに対してTの写真では、頭皮に発毛が確認できる。女性型脱毛症の症例B20の被験者の頭頂部の薄毛部分にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、Tは50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。BNPゲル剤を2週間塗布した後には、薄毛が目立たなくなった。女性型脱毛症の症例C28の被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部分にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、Tは50μg/gのCNPゲル剤を1日1回〜2回で4週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。CNPゲル剤を4週間塗布した後には、ほとんど薄毛がわからないくらいまで増毛した。老人性脱毛症と批糠性脱毛症を合併している症例B23の被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部分にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、Tは50μg/gのBNPゲル剤を2週間塗布した後、1週間の休薬期間をおいて、200μg/gのBNPゲル剤を1日1回で5日間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。BNPゲル剤を塗布した後には、批糠性落屑が軽快し、軟毛が硬毛化して黒々としてきて、薄毛は大幅に改善された。批糠性脱毛症の症例C31の被験者の前頭部と頭頂部の薄毛部分にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、Tは100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。CNPゲル剤を塗布した後には、厚く固着した鱗屑がかなり消失し、頭頂部では増毛し始めた。批糠性脱毛症の症例B28の被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部分にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、Tは20μg/gのBNPゲル剤を1週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。BNPゲル剤を塗布した後には、厚く堆積した鱗屑が消失し、かなり明らかな発毛および増毛が前頭部から頭頂部にかけて認められた。老人性脱毛症の症例A15の被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部分にANPゲル剤、またはCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の薄毛部分を、T1は100μg/gのANPゲル剤を1日2回で3週間塗布した後の薄毛部分を、T2はANPゲル剤の1週間塗布を終了した翌日から50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で4週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。CNPゲル剤を塗布した後には、前頭部に明らかな増毛が見られるようになり、抜け毛がなくなった。円形脱毛症の症例B26の被験者の後頭部の脱毛班にBNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の裏面方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛班を、T1は50μg/gのBNPゲル剤を1日2回、2週間塗布した後の同一部位を、T2はBNPゲル剤の塗付を2週間で終了し、その後6週間経過した後の同一部位を、それぞれ示す。BNPゲル剤を塗布した脱毛班に顕著な発毛が見られる。癌化学療法剤性脱毛症の症例C35の被験者の前頭部および頭頂部の脱毛班にCNPゲル剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の下方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、Tは50μg/gの濃度のCNPゲル剤を1日2回、6週間にわたって前頭部から頭頂部に塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。CNPゲル剤を塗布した脱毛部位に髪の毛の本数も増えてかなりの増毛が認められ、毛が太くなって、毛髪伸長が確認されるようになった。癌化学療法剤性脱毛症の症例C35の被験者の左側頭部に生じた円形脱毛班に50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者は写真の左方向を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、Tは50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で3週間塗布した後の同一部位を、それぞれ示す。50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を塗布した脱毛班に顕著な硬毛の発毛が確認された。円形脱毛症の症例B4(症例C9)の被験者の左前頭部にBNPゲル剤を、右前頭部にCNP軟膏剤を、それぞれ塗布した場合の治療効果を示す図面代用写真である。被験者はややうつむき加減に正面を向いて写っている。Pは塗布前の脱毛部位を、T1は、それぞれ、左前頭部については100μg/gのBNPゲル剤を3週間塗布して2週間休薬した時点、右前頭部については100μg/gのCNP軟膏剤の3週間塗布を終了した直後の同一部位を、T2はその後1年間休薬した後の同一部位を、それぞれ示す。BNPゲル剤またはCNP軟膏剤を3週間塗布することによって多発性円形脱毛症が完治し、1年以上再燃していない。 本発明は、円形脱毛症、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症および放射線被爆による脱毛症の治療用の、ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分として含有する脱毛症、フケ、白髪および脂漏性頭皮の治療剤および予防剤である。 本明細書において、円形脱毛症とは、特に限定されずに一般的に臨床的に円形脱毛症と診断される脱毛症をいい、特に、免疫疾患の既往もしくは合併を有する対象、または、免疫疾患の遺伝的背景を有する対象において、はっきりした原因によらず、突然に発症する脱毛症をいう。本明細書における円形脱毛症は、一般的に臨床的に円形脱毛症と診断される脱毛症を含むが、これに限定されず、免疫系の過剰反応または異常を有する対象において、免疫系の過剰反応または免疫の異常を有すること以外の原因が不明である脱毛症をすべて含む。 一般的に臨床的に円形脱毛症と診断される脱毛症は、コイン大の円形から斑状の輪郭のはっきりした脱毛班が、自覚症状や前駆症状等なく突然に生じ、自然治癒しない場合、徐々に範囲が拡大して難治性となる脱毛症である。一般的に臨床的に円形脱毛症と診断される脱毛症は、その活動期には病巣内外に切断毛、屍毛(毛包内黒点)、容易に抜ける病毛をみとめ、これらの毛根部の形態が感嘆符の形状に類似することが診断の決め手となる。 本明細書において免疫疾患とは、アレルギー疾患および自己免疫疾患を含む、免疫系の過剰反応または免疫の異常による疾患をいう。免疫系の過剰反応または免疫の異常とは、対象自身の正常な細胞が障害をうけるほどの過剰な免疫反応または異常な免疫反応をいい、具体的には、アレルギー疾患および自己免疫疾患が含まれる。免疫系の過剰反応または免疫の異常は、免疫疾患の既往もしくは合併として認識できる。本明細書において、免疫系の過剰反応または免疫の異常を有する対象とは、免疫疾患の既往もしくは合併を有する脱毛症と同義である。 免疫疾患の遺伝的背景を有する対象とは、遺伝的なつながりを有する家族の中に、免疫系の過剰反応または免疫の異常を有する者がいる対象をいう。円形脱毛症は、遺伝的なつながりを有する家族の中に免疫疾患を有する者がいる場合に高い頻度で発症することが知られていることから、免疫疾患の遺伝的背景を有する対象における原因不明の脱毛症は円形脱毛症であるとみなすことができる。 本明細書においては、少なくとも、本人の血のつながった両親、血のつながった兄弟、血のつながった祖父母、血のつながった子供または血のつながった孫の中に、アレルギー疾患または自己免疫疾患の既往もしくは合併を有する者がいる場合を、免疫疾患の遺伝的背景を有する対象であると判断する。また、本明細書において、少なくとも、本人と血のつながった両親、兄弟または祖父母の中に、円形脱毛症の既往もしくは合併を有する者がいる場合を、円形脱毛症の遺伝的背景を有する対象であると判断する。 ここで、アレルギー疾患としては、アトピー性疾患、花粉症、食物アレルギー、ラテックスアレルギー、金属アレルギー、シックハウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎、食物依存性運動誘発性アナフィラキシー、セリアック病が含まれる。 また、アトピー性疾患には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性脱毛症が含まれる。アトピー性脱毛症とは、アトピー性皮膚炎の悪化により脱毛症を生じた状態をいう。本明細書において、アトピー素因を有する対象とは、本人または本人の血のつながった両親、血のつながった兄弟、血のつながった祖父母、血のつながった子供または血のつながった孫の中の少なくとも一人が、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎またはアトピー性脱毛症の既往を有する対象をいう。 アレルギー反応の原因となるアレルゲンとしては、例えば、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、猫毛が挙げられる。なお、ここでいうところのスギ、カモガヤ、ブタクサとは、それぞれ、スギ花粉、カモガヤ花粉、ブタクサ花粉を意味する。スクラッチテスト、皮内テスト、パッチテスト、特異的IgE抗体試験管内測定法のいずれかのアレルゲン検査において、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、猫毛のうち少なくとも1つのアレルゲンに対してアレルギー反応を示す対象は、免疫疾患の遺伝的背景を有する対象である。 自己免疫疾患としては、橋本病、バセドウ病、原発性甲状腺機能低下症などの自己免疫性の甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、サットン後天性遠心性白斑、ギラン・バレー症候群、慢性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎、大動脈炎症候群、グッドパスチャー症候群、急速進行性糸球体腎炎、巨赤芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、特発性アジソン病、インスリン依存性糖尿病、全身性強皮症、円形脱毛症、原田病、自己免疫性視神経症、特発性無精子症、習慣性流産、抗リン脂質抗体症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性皮膚硬化症、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、混合性結合組織病、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、膠原病、再発性多発軟骨炎、サルコイドーシス、スティッフパーソン症候群、成人スティル病、多発性硬化症、免疫性血小板減少性紫斑病、好酸球性肺炎、ベーチェット病が含まれる。 自己免疫疾患の中には、皮膚症状が現れる自己免疫疾患が含まれる。皮膚症状が現れる自己免疫疾患としては、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、尋常性白斑およびサットン後天性遠心性白斑が含まれる。皮膚症状が現れる自己免疫疾患は、脱毛症を合併しやすい。 自己免疫疾患の中には、円形脱毛症を合併しやすい自己免疫疾患が含まれる。特に円形脱毛症を合併しやすい自己免疫疾患としては、自己免疫性の甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチおよび重症筋無力症が含まれる(非特許文献8)。 本明細書において、男性型脱毛症とは、成人の男性または女性において、前頭部および/または頭頂部の毛髪が数年以上にわたって徐々に軟毛化して細く短くなる症状をいう。「男性型脱毛症診療ガイドライン2010年版」(非特許文献2)にも記載されているとおり、「男性型脱毛症」という名前とは関係なく、女性であっても、頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして発症する。男性型脱毛症は、前頭部または頭頂部の頭皮の毛乳頭細胞が5αジヒドロテストステロンに反応して毛包のミニチュア化することにより発症するので、男性型脱毛症の遺伝的背景を有する対象において、前頭部および/または頭頂部の毛髪が数年以上にわたって徐々に軟毛化して細く短くなれば、男性型脱毛症である。 男性型脱毛症の遺伝的背景を有するとは、男性ホルモンが男性ホルモン感受性毛包に作用して軟毛化する遺伝的背景を有することをいい、具体的には、前頭部または頭頂部の頭皮の毛乳頭細胞が5αジヒドロテストステロンに反応して毛包のミニチュア化することが遺伝的に診断しうる場合、あるいは、少なくとも、本本人の血のつながった両親、血のつながった兄弟、血のつながった祖父母、血のつながった子供または血のつながった孫の中に、20歳以降に前頭部または頭頂部の頭髪が抜け落ちて頭皮が見えている状態の血縁男性がいることをいう。 本明細書において、批糠性脱毛症とは、医学上の通常の意味における批糠性脱毛症を意味し、フケが毛穴を塞ぎ炎症を起こすことによる脱毛症は、批糠性脱毛症に含まれる。 本明細書において、女性型脱毛症とは、医学上の通常の意味における女性型脱毛症を意味し、血流内のアンドロゲン量に対し女性ホルモンのエストロゲンの量が減ることによって生じる脱毛症は、女性型脱毛症に含まれる。 本明細書において、分娩後脱毛症とは、医学上の通常の意味における分娩後脱毛症を意味し、エストロゲンによって成長期を維持してきた髪が分娩によって一気に休止期に入り、抜け毛が増加する脱毛症は分娩後脱毛症に含まれる。 本明細書において、対象とは、任意の生物個体を意味し、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはマウス、ラット、スナネズミ、モルモットなどの齧歯類、ネコ、ピューマ、トラなどのネコ科動物、シカ、オオシカなどのシカ科動物等の他、ウサギ、イヌ、ミンク、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、サル、ヒトであり、最も好ましくはヒトである。 本発明において、ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、これらのNPの誘導体、これらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドまたは前記のNPのキメラペプチドの誘導体を意味し、ANP活性、BNP活性またはCNP活性を有する限り特に限定されるものではない。特に好ましくはANP、BNPまたはCNPである。 ANPとは、28個のアミノ酸よりなるANP−28(α−ANP)、ANP−28のアミノ酸4番から28番までのα−ANP[4−28]、ANP−28のアミノ酸5番から28番までのα−ANP[5−28]あるいはその誘導体を意味し、ANP活性を有する限り特に限定されるものではない。ANP誘導体には、ANP活性を有する限り、ANPのC末端がアミド化されたもの、ANPのC末端がメトキシ化されたもの、ANPにポリエチレングリコールが付加したもの、ANPに糖鎖が付加したもの、ANPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにANPに脂肪酸が付加したものが含まれる。ANPは、ANP−28が逆平行二量体になった構造をしているβ−ANP、ANP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量13000の高分子型γ−ANPであってもよい。特に好ましくはα−ANPまたはその誘導体である。尚、ヒトのANP−28のアミノ酸配列配列を本明細書中の配列番号1の配列として示した。 ANP誘導体とは、ANP−28のアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつANP活性を有するもの、あるいはANP−28のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相同性を有する配列を有し、かつANP活性を有するものを意味する。ANP誘導体には、ANP活性を有する限り、ANPのC末端がアミド化されたもの、ANPのC末端がメトキシ化されたもの、ANPにポリエチレングリコールが付加したもの、ANPに糖鎖が付加したもの、ANPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにANPに脂肪酸が付加したものが含まれる。 本発明においては、ANP活性を有することを条件として公知のいかなるANPをも使用可能である。例えば、米国特許5047397号または米国特許4804650号にAP1〜AP819として開示される819個のANP誘導体、米国特許5204328号の表1〜3に化合物番号1〜32として開示される32個のANP誘導体であってもよい。 また、ANP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えばNPR−A受容体発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。 本発明の有効成分として、ANPまたはそれらの誘導体のいずれも使用可能であるが、好ましくは薬効、入手の容易性の観点からANP−28である。 本発明のANPは、化学合成あるいはヒトANP遺伝子を用いて遺伝子操作によって作製することも可能であるが(例えば、Nature. 1984 312(5990)巻:152-155頁)、ANPは既に上市されていることから、市場からも入手することができる。また、例えば、株式会社ペプチド研究所(PEPTIDE INSTITUTE, INC.)からANP(Human,1−28)として入手することができる。 このように、本発明で使用し得るANPは、天然からの精製ANP、既知の遺伝子工学的な手法で製造された遺伝子組み換えANP、既知の化学合成法(例えば、ペプチド合成機を用いる固相合成法)で製造されたANPを含むものである。遺伝子組み換え技術、部位特異的突然変異誘発法、PCR技術などの基本的手法は公知ないし周知であり、例えばCurrent Protocols In Molecular Biology;JohnWiley&Sons(1998)などに記載されている。 BNPとは、アミノ酸がそれぞれ26個のBNP−26、32個のBNP−32、45個のBNP−45あるいはその誘導体を意味し、BNP活性を有する限り特に限定されるものではない。BNPは、BNP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量約13000の高分子型γ−BNPであってもよい。特に好ましくはBNP−32またはその誘導体である。尚、ヒトのBNP−32のアミノ酸配列配列を本明細書中の配列番号41の配列として示した。また、ヒトのBNP−26のアミノ酸配列を本明細書中の配列番号82の配列として示した。 BNP誘導体とは、BNP−26、BNP−32またはBNP−45のアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつBNP活性を有するもの、あるいはBNP−26、BNP−32またはBNP−45のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相同性を有する配列を有し、かつBNP活性を有するものを意味する。BNP誘導体には、BNP活性を有する限り、BNPのC末端がアミド化されたもの、BNPのC末端がメトキシ化されたもの、BNPにポリエチレングリコールが付加したもの、BNPに糖鎖が付加したもの、BNPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにBNPに脂肪酸が付加したものが含まれる。 本発明においては、BNP活性を有することを条件として公知のいかなるBNPをも使用可能である。例えば、特表2007−525213号公報に開示されるBNP誘導体、米国特許6028055号に配列番号1〜29として開示される29個のBNP誘導体、米国特許5114923号の請求項1の一般式に開示されるBNP誘導体、米国特許6818619号に開示されるBD−NPまたは特表2010−500032号公報に開示される利尿ポリペプチドまたはナトリウム利尿ポリペプチドであってもよい。 また、BNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えばNPR−A受容体発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。 本発明の有効成分として、BNP−26、BNP−32、BNP−45またはそれらの誘導体のいずれも使用可能であるが、好ましくは薬効、入手の容易性の観点からBNP−32である。 本発明のBNPは、化学合成あるいはヒトBNP遺伝子を用いて遺伝子操作によって作製することも可能であるが(例えば、特開平5−207891号公報、特表2007−525957号公報、特表2007−525213号公報)、BNPは既に上市されていることから、市場からも入手することができる。また、例えば、株式会社ペプチド研究所(PEPTIDE INSTITUTE, INC.)からBNP−32(human)として入手することができる。 このように、本発明で使用し得るBNPは、天然からの精製BNP、既知の遺伝子工学的な手法で製造された遺伝子組み換えBNP、既知の化学合成法(例えば、ペプチド合成機を用いる固相合成法)で製造されたBNPを含むものである。遺伝子組み換え技術、部位特異的突然変異誘発法、PCR技術などの基本的手法は公知ないし周知であり、例えばCurrent Protocols In Molecular Biology;JohnWiley&Sons(1998)、特開平5−207891号公報などに記載されている。 CNPとは、アミノ酸が22個のCNP−22、そのN末端に31アミノ酸残基が付加されたアミノ酸が53個のCNP−53あるいはその誘導体を意味し、CNP活性を有する限り特に限定されるものではない。特に好ましくはCNP−22またはその誘導体である。 CNP誘導体とは、CNP−22またはCNP−53のアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつCNP活性を有するもの、あるいはCNP−22またはCNP−53のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相同性を有する配列を有し、かつCNP活性を有するものを意味する。CNP誘導体には、CNP活性を有する限り、CNPのC末端がアミド化されたもの、CNPのC末端がメトキシ化されたもの、CNPにポリエチレングリコールが付加したもの、CNPに糖鎖が付加したもの、CNPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにCNPに脂肪酸が付加したものが含まれる。尚、ヒトのCNP−22のアミノ酸配列配列を本明細書中の配列番号81の配列として示した。また、ヒトのCNP−53のアミノ酸配列配列を本明細書中の配列番号83の配列として示した。 本発明においては、CNP活性を有することを条件として公知のいかなるCNPをも使用可能である。例えば、特開平6−9688に開示されるCNP誘導体、米国特許5583108号にVNP(配列番号4)および配列番号9のペプチドとして開示されるCNP誘導体または米国特許6818619号に開示されるCD−NPであってもよい。また、CNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えば、血菅平滑筋細胞の増殖抑制作用、あるいはNPR−B受容体発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。 本発明の有効成分として、CNP−22、CNP−53またはそれらの誘導体のいずれも使用可能であるが、好ましくは吸収性の観点から分子量のより小さいCNP−22である。CNP−22は、化学合成あるいはヒトCNP遺伝子を用いて遺伝子操作によって作製することも可能であるが、例えば、株式会社ペプチド研究所(PEPTIDE INSTITUTE、 INC.)からCNP−22(human)として入手することができる。 本発明で使用し得るCNPは、天然からの精製CNP、既知の遺伝子工学的な手法で製造された遺伝子組み換えCNP、既知の化学合成法(例えば、ペプチド合成機を用いる固相合成法)で製造されたCNPを含むものである。遺伝子組み換え技術、部位特異的突然変異誘発法、PCR技術などの基本的手法は公知ないし周知であり、例えばCurrent Protocols In Molecular Biology;JohnWiley&Sons(1998)、特開平5−207891号公報などに記載されている。 ナトリウム利尿ペプチドの由来については、CNP活性、BNP活性またはANP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のNP、特に好ましくはヒト由来のNPである。 ANP誘導体、BNP誘導体およびCNP誘導体において置換可能なアミノ酸は、保存的アミノ酸置換が望ましい。保存的アミノ酸は、極性度や電荷の種類によって分類される。例えば、非極性の非電荷型アミノ酸にはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン等、芳香族アミノ酸にはフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、極性の非電荷型アミノ酸にはセリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミンなど、負電荷アミノ酸にはアスパラギン酸、グルタミン酸、正電荷アミノ酸にはリジン、アルギニン、ヒスチジンが、それぞれ含まれる。このように、アミノ酸置換は、同じ分類に属する保存的アミノ酸どうしで置換することが望ましい。ただし、プロリンを他の非極性の非電荷型アミノ酸で置換する場合、あるいは、プロリン以外の非極性の非電荷型アミノ酸をプロリンで置換する場合には、プロリンが立体的に柔軟な構造ではないことに留意する必要がある。また、システインを他の極性の非電荷型アミノ酸で置換する場合、あるいは、システイン以外の極性の非電荷型アミノ酸をシステインで置換する場合には、システインが他のシステインとジスルフィド結合を形成しうることに留意する必要がある。 さらに、本明細書においてナトリウム利尿ペプチド(NP)という場合には、ANP、BNPまたはCNPから選択される2以上のナトリウム利尿ペプチド(NP)のキメラペプチドも含まれる。すなわち、本明細書においてNPという場合には、 ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、ANP、BNPまたはCNPから選択される2以上のナトリウム利尿ペプチド(NP)のキメラペプチドであって、 前記CNPが、CNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記BNPが、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記ANPが、ANP−28または1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したANP−28の、アミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドであり、 かつ、CNP活性、BNP活性またはANP活性を有するキメラペプチド、あるいは、その誘導体をも意味する。 本発明においてより好ましいナトリウム利尿ペプチド(NP)のキメラペプチドは、CNPとBNPのキメラペプチドである。すなわち、 ナトリウム利尿ペプチド(NP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、CNPとBNPのキメラペプチドであって、 前記CNPが、CNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記BNPが、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 かつ、CNP活性またはBNP活性を有するキメラペプチド、あるいは、その誘導体を用いることが好ましい。 本明細書において、CNPまたはBNPという場合には、CNPまたはBNPのいずれかという意味の他に、CNPとBNPのキメラペプチドをも意味する。 ここでCNP−22およびCNP−53の由来については、CNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するCNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のCNP、特に好ましくはヒト由来のCNPである。同様にBNP−26、BNP−32、BNP−45の由来については、BNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくは好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するBNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のBNP、特に好ましくはヒト由来のBNPである。同様にANP−28の由来については、ANP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくは好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するANP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のANP、特に好ましくはヒト由来のANPである。 また、ANP、BNPまたはCNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドの誘導体とは、これらNPのキメラペプチドのアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつ、ANP活性、BNP活性またはCNP活性を有するものを意味する。 ナトリウム利尿ペプチド(NP)誘導体のキメラペプチドの誘導体において置換可能なアミノ酸は、ANP誘導体、BNP誘導体およびCNP誘導体について置換可能なアミノ酸と同様である。 また、ナトリウム利尿ペプチド(NP)誘導体のキメラペプチドの誘導体には、CNP活性、BNP活性またはANP活性を有する限り、NPのキメラペプチドのC末端がアミド化されたもの、NPのキメラペプチドのC末端がメトキシ化されたもの、NPのキメラペプチドにポリエチレングリコールが付加したもの、NPのキメラペプチドに糖鎖が付加したもの、NPのキメラペプチドにアルキル鎖が付加したもの、ならびに、NPのキメラペプチドに脂肪酸が付加したものも含まれる。 また、配列番号1で表されるヒトANPペプチドのアミノ酸配列と配列番号41で表されるヒトBNPペプチドのアミノ酸配列と配列番号81で表されるヒトCNPペプチドのアミノ酸配列は、図1に示すように、それぞれ「CFG」、「DRI」、「SGLGC」のアミノ酸配列で表される3箇所の共通配列によって区切られた4つの相互に異なる配列を有している。そのため、ANP、BNPまたはCNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドとして、これら4つの相互に異なる配列の組み合わせにより、配列番号2〜40および配列番号42〜80で表される少なくとも78種類のキメラペプチドが例示される。そして、これらのキメラペプチドおよびその誘導体は、ANP、BNPおよびCNPに共通する性質を有するものと考えられる。つまり、これらのキメラペプチドおよびその誘導体は、本発明の脱毛症治療剤の有効成分として使用することができる。 このように、本発明においては、ANP活性、BNP活性またはCNP活性を有することを条件として公知のいかなるナトリウム利尿ペプチド(NP)のキメラペプチド、あるいは、その誘導体をも使用可能である。例えば、特表2010−502231号公報にABC−NP、ABC−NP1、BC−NP等として開示される水利尿ポリペプチドまたはナトリウム利尿ポリペプチドまたは米国特許6818619号にBD−NP(配列番号1)CD−NP(配列番号2)として開示されるキメラペプチドであってもよい。 ANP活性、BNP活性またはCNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えばNPR−A受容体発現細胞またはNPR−B発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。 ANP、BNP、CNP、これらのNPの誘導体またはこれらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドはいずれも公知であり、化学合成あるいは遺伝子操作によって作製することができる。 本発明の脱毛症治療剤の適用疾患は、体毛が薄くなるか抜け落ちる、いわゆる脱毛症であれば特に制限されるものではない。本発明の脱毛症治療剤は、各種の脱毛症に対して適用することができる。 本発明の脱毛症治療剤が適用可能な脱毛症は、例えば、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症、老人性脱毛症であり、治癒効果の点から好ましいのは円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症であり、特に好ましくは円形脱毛症である。 男性型脱毛症については、男性の男性型脱毛症、女性の男性型脱毛症のいずれであってもよい。本発明の脱毛症治療剤の使用により、前頭部または頭頂部の頭髪を効果的に再生させることが可能である。 円形脱毛症については、単発型の通常型円形脱毛症、多発型の通常型円形脱毛症、全頭脱毛症、汎発性脱毛症、蛇行状脱毛症のいずれであってもよく、重症度についてもS1〜S5またはB0〜B2のいずれであってもよい。 本発明の脱毛症治療剤は、治癒または長期寛解が難しいとされた難治性の蛇行性脱毛症の治療薬として極めて優れた有効性と安全性を示し、効果的である。 なお、これら各種脱毛症の用語の意味乃至症状の特徴については、上述の背景技術の欄に記載した通りである。 本発明の脱毛症治療剤は、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、これらのナトリウム利尿ペプチド(NP)の誘導体、これらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドまたはこれらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドの誘導体を有効成分とするものであり、投与経路、剤形は特に限定されるものではない。 本発明の脱毛症治療剤は、ANP、BNP、CNP、これらNPの誘導体、これらのNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドまたはその誘導体の他に、さらに、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、血管拡張剤、男性ホルモン活性抑制剤、女性ホルモン剤、抗生物質、抗真菌剤、ペンタデカン、サイトプリン(6−ベンジルアミノプリン)、t−フラバノン、アデノシン、セファランチン、グリチルリチンとメチオニンとグリシンの複合剤であるグリチロン(登録商標)、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、半夏厚朴湯、ビオチン、アンスラリン、三環系抗鬱薬を合剤として含むか、これらと併用してもよい。 ここで、ステロイド剤としては、ジフロラゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、モメタゾン、メチルプレドニゾロン、デプロドン、ジフルプレドナート、フルオシノニド、アムシノニド、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾンが好ましく、特に、ベタメタゾンまたはクロベタゾールが好ましい。 抗ヒスタミン剤としては、アゼラスチン、オキサトミド、フェキソフェナジン、エメダスチン、エバスチン、セチリジン、ベポタスチン、オロパタジン、ロラタジンが好ましい。 血管拡張剤としては、ミノキシジル、塩化カルプロニウムが好ましい。男性ホルモン活性抑制剤としては、フィナステリドが好ましい。 女性ホルモン剤としては、エストロゲン、エストラジオールまたはプロゲステロンが好ましい。 抗生物質としては、ゲンタマイシンが好ましい。抗真菌薬としては、アムホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール、テルビナフィン、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、ミカファンギンが好ましい。 本発明の脱毛症治療剤は、汎用されている技術を用いて製剤化することができる。その製剤形態としては、外用剤を例示できる。 本発明の脱毛症治療剤の好ましい剤形は、ゲル剤、軟膏剤、液剤等の外用剤(経皮吸収剤)である。 外用剤は、特に制限されるものではなく、本剤を皮膚の所要部位(患部)に直接塗布、噴霧または貼付することができればよい。本発明の脱毛症治療剤の形態は、好ましくは、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、スプレー剤、ゲルスプレー剤、フォーム剤、パッチ剤、シャンプー剤、トリートメント剤、頭皮トリートメント剤、トニック剤等の外用剤であり、特に好ましくは塗布の簡便性の観点から、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、液剤であり、更に好ましくはゲル剤、軟膏剤、液剤ある。 これら外用剤は、ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分あるいは主薬として、薬学的に許容される基剤と、必要に応じて各種添加剤を配合することにより、公知ないし周知の方法に従って容易に得ることができる。 ゲル剤(懸濁性基剤)は、含水ゲル、無水ゲル、または膨潤可能なゲル形成性材料からなる低含水量のゲルのいずれであってもよい。また、ヒドロゲル基剤とリオゲル基剤のいずれであってもよいが、好ましくは無機または有機の高分子をベースとする透明なヒドロゲルである。油や脂肪分を含む製剤と同様、ゲルそれ自体は皮膚に吸収されない。 ヒドロゲル基剤は、無脂肪性で軟膏のような稠度を有し、薬剤の経皮吸収性を高めることを狙ったものであり、リオゲル基剤は、ステアリルアルコール等をプロピレングリコール中に懸濁させてゲル化したものであり、経皮吸収性や吸湿性に優れている。ゲル剤はスプレー容器に充填してゲルスプレー剤としても使用してもよい。 本発明のゲル剤は、カルボキシルビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、ポリメタクリレート、プロピレングリコール等を含む親水性ゲル基剤中に、有効成分であるナトリウム利尿ペプチド(NP)を均一に分散させたゲル剤であってもよい。そのようなゲル剤の例としては、例えば、アイエスピー・ジャパン社の市販の製品であるルブラジェルNP、ルブラジェルCG、ルブラジェルDV、ルブラジェルMS、ルブラジェルOIL、ルブラジェルTW、ルブラジェルDS等の市販の持続性保水剤中に均一に分散させたゲル剤が含まれる。 本発明の「ゲル剤」の具体例の一つは、実施例2に従って作製したゲル製剤である。 本発明の液剤は、有効成分としてのナトリウム利尿ペプチド(NP)を基剤としてのアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水などに溶解させたものであり、好ましくはナトリウム利尿ペプチドを生理食塩水に溶解した水溶液からなる液剤である。水溶液は、生理食塩水の他にアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールのような有機基剤を少量混合してもよい。 このとき、生物学的利用率を確保し、より有効な液状製剤を提供することを目的として、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分として、酪酸、乳酸、リン酸、グリシン、クエン酸、塩酸、プロピオン酸、安息香酸またはこれら塩からなる群の1種または2種以上を組み合わせて酸性液としたり、あるいはアルコール類および/またはN-メチル−2−ピロリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルパラベンからなる群の1種または2種以上を組み合わせて極性有機液体とし、pHを3.0〜7.0とすることも可能である。 本発明の軟膏製剤は、油脂性基剤と水溶性基剤のいずれであってもよく、いずれも公知の方法に従って容易に得ることができる。ワセリン等の油脂性基剤は、刺激感が少なく無臭であり、皮膚の保護作用、柔軟化作用、痂皮除去作用、肉芽形成、上皮化促進作用に優れている。水溶性基剤は、マクロゴール基剤を主とする軟膏であり、水性分泌物を吸収し除去する作用が強い。 本発明の「軟膏剤」の具体例の一つは、実施例2に従って作製した軟膏剤である。 クリーム剤(乳剤性基剤)は、水中油型基剤(O/W)(バニシングクリーム)であっても、油中水型基剤(W/O)(コールドクリーム)であってもよい。水中油型基剤は、水溶性成分に比較して油溶性成分が少なく、塗布した場合クリームの白さが消失するように見える利点を有する。伸びが良く、汗ばんだ皮膚にも使用感がよく、美容的に優れている。また、皮膚への吸収性にも優れているので、慢性の肥厚性病変に良い適応となる。油中水型基剤は、油溶性成分に比較して水溶性成分が少なく、皮膚に延ばして塗布すると冷却作用があるのでコールドクリームとも呼ばれることもある。 ローション剤は、ナトリウム利尿ペプチドを液中に溶解または均等に分散した、液状の外用剤を意味する。軟膏やクリームの場合は髪の毛に付着するので、ローションは頭髪部等で使用する際に好適である。ローションの形態は、懸濁性ローション基剤、乳剤性ローション、溶液性ローション基剤のいずれであってもよい。 パッチ剤は、パッチにナトリウム利尿ペプチドを含有する成分を付着させて、パッチの気密性を利用して薬剤の吸収を促進させる。パッチを貼付することにより、掻破を防ぐことができる。 スプレー剤は、ナトリウム利尿ペプチドを溶液にして、ガスの圧力または手押し操作によって噴霧するものである。広範囲に用いる際には便利である。 フォーム剤は、ナトリウム利尿ペプチドを溶液にして、界面活性剤を含有させることにより、泡状に放出するスプレー剤である。フォーム剤は、頭皮の付着性がよい点で優れている。 シャンプー剤は、ナトリウム利尿ペプチドをシャンプー中に混和または溶解させて、洗髪と同時に薬剤塗布できる剤型である。シャンプーは界面活性剤であるので、ナトリウム利尿ペプチドを頭皮に浸透させる効果がある。特に、脂漏性脱毛症においては、過剰な皮脂の除去を兼ねることができるのでシャンプー剤は有利である。 トリートメント剤は、洗髪の際に用いるトリートメント剤中にナトリウム利尿ペプチドを混和または溶解させて、トリートメントと同時に薬剤塗布できる剤型である。トリートメント剤は、薬剤塗付と同時に頭皮に水分と油分を補うことができる。特に、批糠性脱毛症においては、薬剤塗付と同時に頭皮の保湿および油分補給を兼ねることができるのでトリートメント剤は有利である。 頭皮トリートメント剤とは、頭皮の保湿および油分補給を意図した成分を特に配合したトリートメント剤をいう。頭皮トリートメント剤には、 ローズマリー抽出物、ムクロジ抽出物、ヤシ抽出物など、様々な植物抽出成分が配合されることが多い。 トニック剤は、ナトリウム利尿ペプチドとともに、基材として50%から70%のアルコールと水、ヒノキチオールやパンテノール、センブリエキスといった頭髪、頭皮を健康に保つ作用を持つ成分、女性ホルモン様作用を示すグリチルリチン酸ジカリウムに、殺菌剤、グリセリンといった保湿成分、ふけを取り除きやすくするサリチル酸、かゆみを防ぎ清涼感を与えるメントール、香料などを配合して作製することができる。トニック剤は、フケ・頭臭を防いで、頭髪を清潔に保つとともに、かゆみ・蒸れを防いで、頭髪に関する不快症状を消し去るために、洗髪後などに使用される剤型であるので、痒みを伴うことの多い脱毛症治療剤の剤型として有利である。 このように、本発明の脱毛症治療剤は、それぞれ適量のナトリウム利尿ペプチドと各種基剤、必要に応じて添加物を配合してなる経皮外用剤である。外用剤としての薬効を発揮するためには、皮膚面に塗布された有効成分であるナトリウム利尿ペプチドがいかに病巣部で有効濃度に達し維持できるかが重要である。したがって、症状や患者に応じて適宜剤形と基剤の選択を行えばよい。 また、添加物は、目的に応じて適宜使用することができる。添加物としては、以下のものが使用可能である。 ワセリン:軟膏製剤の基剤として使用することができる。温度により粘度・稠度が変化し冬季と夏季では硬さが異なるが、最も安全な基剤の1つである。黄色ワセリンと精製度の高い白色ワセリンがあるが、いずれの使用も可能である。 プロピレングリコール:薬物の溶剤や溶解補助剤、基剤として使用することができる。 パラフィン:軟膏剤の粘稠度の調節の際に使用することができる。乳化が比較的容易である為、クリーム製造の油性剤としても使用してもよい。 ミツロウ(サラシミツロウ):ミツバチ巣のロウを加工したもので、植物性油脂と配合して「日局」単軟膏としても使用可能である。サラシミツロウは、ミツロウを漂白し色調および臭いを改善したものである。 マクロゴール:ポリエチレングリコール類の分子量の異なるものの混合物である。薬剤の溶解性や混合性にも優れており、水分をよく吸収するので、粘膜や病巣患部の溶出液を吸着、排除する際に好適である。 ステアリルアルコール:乳剤性ローション剤に使用することができる。 イソプロパノール:溶剤または溶解補助剤等として使用できる。 ベンジルアルコール:溶解補助剤、保存剤等として使用できる。 パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン類):防腐剤、保存剤、安定化剤として使用できる。 ゲル化炭化水素:一般に「プラスチベース」と呼ばれ、流動パラフィンをポリエチレンでゲル状(半固形状)としたものである。 クエン酸、クエン酸ナトリウム:緩衝剤やpH 調節剤として使用できる。 スクワレン:基剤として使用され、流動パラフィンよりも油性感がやや少なくべたつきが少ない。クリームと同様乳剤性ローションにも広く使用可能である。 ラノリン類:ヒツジの毛から得られた油脂で、色調と臭いに難点があるが皮膚の柔軟性を改善するのに有用である。 グリセリン:保湿剤として、クリーム等に配合することができる。 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:乳化剤、可溶化剤等として使用できる。 ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル:乳化剤等として使用できる。 本発明の脱毛症治療剤は、更に、下記のごとき保湿剤(皮膚軟化剤)、症状緩和薬等を含有してもよい。 保湿剤(皮膚軟化剤): 保湿剤は、皮膚に水分と油分を与える。保湿剤は、入浴やシャワーの直後のように皮膚がすでにうるおっているときに使うのが最も効果的である。保湿剤に含まれる成分は、グリセリン、鉱物油、ワセリンなどである。保湿剤の形状・タイプとしてはローション剤、クリーム剤、軟膏剤、バスオイルなどがある。尿素、乳酸、グリコール酸を含有するものは、保湿効果が優れている。 症状緩和薬:皮膚疾患は、かゆみを伴うものが多い。かゆみと軽度の痛みは、鎮静剤、具体的にはカモミール、ユーカリ、樟脳(しょうのう)、メントール、酸化亜鉛、タルク、グリセリン、カラミン等を配合することによって低減することができる。アレルギーによるかゆみを抑えるために、ジフェンヒドラミンのような抗ヒスタミン薬を含有させてもよい。 このように、本発明の脱毛症治療剤を製造するに際しては、各種の、基剤、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート類、pH調製剤、防腐剤、増粘剤、着色剤、香料、充填剤、賦形剤、崩壊剤、増量剤、結合剤、皮膜剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、界面活性剤、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、溶解剤、溶解補助剤等を任意に組み合わせて配合できる。また、主薬成分であるナトリウム利尿ペプチドの他に、各種薬剤、例えば鎮痛消炎剤、殺菌消毒剤、ビタミン類、皮膚柔軟化剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。 本発明の皮膚外用剤組成物を肌質改善剤として使用する場合には、スキンケア化粧料または医薬部外品として使用することが可能であり、具体的な使用形態としては、クリーム、泡沫剤、化粧水、パック、皮膚柔軟水、乳液、ファンデーション、メーキャップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄剤、入浴剤、日焼け止めクリーム、サンオイルまたはスプレー型液剤を挙げることができる。いずれも周知ないし公知の製剤化技術を適用することにより容易に製造することができる。 次に、本脱毛症治療剤の代表的な製剤例として、ゲル剤軟膏剤および液剤の製造について述べる。 ゲル剤は、公知ないし周知の方法に従って、蒸留水または生理食塩水に適量のナトリウム利尿ペプチドを溶解して水溶液となし、さらにこれと公知ないし周知のゲル基剤を混合して撹拌することによって得ることができる。ナトリウム利尿ペプチドの濃度が1μg/g以下では効果が十分でなく、また、1000μg/gを超えて配合しなくても十分な効果がえられる。ゲル剤中の最終的なナトリウム利尿ペプチドの濃度が1〜1000μg/g、より好ましくは10〜500μg/g、さらに好ましくは20〜300μg/g、なお好ましくは30〜200μg/g、特に好ましくは50〜100μg/gとなるように調製するのが好ましい。 高分子無機成分からなるゲル基剤としては、含水のまたは吸水性のケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、ケイ酸マグネシウム−アルミニウム、またはコロイドシリカを挙げることができる。高分子有機物質からなるゲル基剤としては、天然、半合成または合成のポリマーの使用が可能である。天然および半合成のポリマーとしては、例えば、セルロース等の多糖類、デンプン、トラガカント、アラビアゴム、キサンタンガム、寒天、ゼラチン、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウムおよびその誘導体、低級アルキルセルロース、例えばメチルセルロースまたはエチルセルロース、カルボキシ−またはヒドロキシ−低級−アルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。合成のゲル基剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸等を挙げることができる。また、アイエスピー・ジャパン社の市販の製品であるルブラジェルNP、ルブラジェルCG、ルブラジェルDV、ルブラジェルMS、ルブラジェルOIL、ルブラジェルTW、ルブラジェルDS等の市販の持続性保水剤中に均一に分散させたゲル基剤を用いることもできる。これらゲル基剤は、1種類であっても2種類以上のゲル基剤混合物であってもよい。 軟膏剤は(ワセリン製剤)は、公知ないし周知の方法に従って、蒸留水または生理食塩水に適量のナトリウム利尿ペプチドを溶解して水溶液となし、さらにこれと公知ないし周知のワセリンを混合して撹拌することによって得ることができる。ナトリウム利尿ペプチドの濃度が1μg/g以下では効果が十分でなく、また、1000μg/gを超えて配合しなくても十分な効果がえられる。軟膏剤中の最終的なナトリウム利尿ペプチドの濃度が1〜1000μg/g、より好ましくは10〜500μg/g、さらに好ましくは20〜300μg/g、なお好ましくは30〜200μg/g、特に好ましくは50〜100μg/gとなるように調製するのが好ましい。 液剤は、例えば、主剤としての0.01mg〜10mgのヒトANP(1−28)(株式会社ペプチド研究所製)、ヒトBNP−32(株式会社ペプチド研究所製)またはヒトCNP−22(株式会社ペプチド研究所製)を10mlの生理食塩水に溶解することによって、それぞれのナトリウム利尿ペプチド濃度が1〜1000μg/gの液剤を調製することができる。なお、水の比重は1であることから、この場合のANP濃度、BNP濃度またはCNP濃度は重量比で1〜1000μg/gである。ナトリウム利尿ペプチドの濃度が1μg/g以下では効果が十分でなく、また、1000μg/gを超えて配合しなくても十分な効果がえられる。ナトリウム利尿ペプチドの水溶液製剤の好ましい濃度は1〜1000μg/g、より好ましくは10〜500μg/g、さらに好ましくは20〜300μg/g、なお好ましくは30〜200μg/g、特に好ましくは50〜100μg/gである。 また、所望に応じ、経皮吸収助剤を添加してもよい。この経皮吸収助剤としては、例えば酢酸、酢酸ナトリウム、リモネン、メントール、サリチル酸、ヒアルロン酸、オレイン酸、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ステアリン酸n−ブチル、ベンジルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ポリプロピレングリコール、クロタミトン、ジエチルセバケート、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ラウリルアルコールなどが挙げられる。さらに、防腐剤や酸化防止剤なども、所望に応じ添加してもよい。 本脱毛症治療剤中のナトリウム利尿ペプチドの濃度は、症状、年令、剤型等を考慮して適宜選択できる。好ましいナトリウム利尿ペプチドの濃度は、液剤、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤等の外用剤に対して1〜1000μg/g、より好ましくは10〜500μg/g、さらに好ましくは20〜300μg/g、なお好ましくは30〜200μg/g、特に好ましくは50〜100μg/gである。低年齢の患者や肌の弱い患者に対しては20〜100μg/gの濃度のものを使用するのが好ましい。なお、本発明の液剤に用いる溶液はその比重がほぼ1であることから、液剤において、μg/gの単位でANP、BNPまたはCNPの濃度を表記した場合には、μg/mlの単位でナトリウム利尿ペプチドの濃度を表記した場合と同じ意味を有する。 本脱毛症治療剤の投与は、症状、年令、剤型等によって異なるが、標準的には1日2回、投与期間は7日から28日である。症状が固定した慢性期の脱毛症には、28日程度投与することが望ましいが、急性期であれば7日間程度の投与で足りる。また、一般に、成人では14日以上の投与が望ましいが、未成年者では7日間程度の投与でも足りる。以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等になんら制約されるものではない。〔実施例1〕 被験者の診断と評価。 まず、ナトリウム利尿ペプチド製剤の投与に先だって被験者の診断と評価を行った。被験者の診断と評価方法は下記のとおりである。1.被験者の診断; 被験者は、円形脱毛症、男性型脱毛症、分娩後脱毛症、女性型脱毛症、批糠性脱毛症または老人性脱毛症の患者である。これら被験者の診断と処置は、本発明者が医師として実施した。2.症状の評価; 脱毛症の臨床的分類は日本皮膚科学会の分類に従い、円形脱毛症の重症度の評価は、前記の「米国の円形脱毛症評価ガイドライン」に従って、脱毛の範囲についてS0〜S5の6段階および脱毛部位についてB0〜B2の3段階に分類して行った。3.試験方法; 一般に、個々の症例に対する外用薬の効果を確認するためには、左右塗り分け法が好適である。左右塗り分け法は、例えば、疾患部位の左側には試験すべき有効成分を含んだ外用薬を塗布し、右側には有効成分を含まない外用薬を塗布して、その治療効果を確認する方法である。本発明製剤の試験も、予備試験においては左右塗り分け法に従って行った。ただし、医療倫理に鑑み、左右塗り分け法による予備試験は最小限にとどめ、予備試験を行なわない場合には、塗布前と塗布後の比較により、治療効果を判定した。〔実施例2〕1.ゲル剤の製造 NPを有効成分として含むゲルの調製は、主剤として、ヒトANP(1−28)(株式会社ペプチド研究所製)、ヒトBNP−32(株式会社ペプチド研究所製)、ヒトCNP−22(株式会社ペプチド研究所製)のいずれかを3mg秤量し、これを3mlの精製水に溶解して得られた1000μg/mlの濃度の各NP溶液1mlを9gのルブラジェルNP(アイエスピー・ジャパン社)に均一に撹拌混合して100μg/g濃度のANPゲル剤、BNPゲル剤およびCNPゲル剤を作製した。 同様に、上記で得た1000μg/mlの濃度の各NP溶液500μlを500μlの生理食塩水で希釈し、500μg/ml濃度に調製し、この溶液1mlを9gのルブラジェルNP(アイエスピー・ジャパン社)に均一に撹拌混合して、50μg/g濃度のANPゲル剤、BNPゲル剤およびCNPゲル剤を作製した。2.軟膏剤(ワセリン製剤)の製造 NPを有効成分として含む軟膏剤(ワセリン製剤)の調製は、主剤として、ヒトANP(1−28)(株式会社ペプチド研究所製)、ヒトBNP−32(株式会社ペプチド研究所製)、ヒトCNP−22(株式会社ペプチド研究所製)のいずれかを3mg秤量し、これを3mlの生理食塩水に溶解して得られた1000μg/mlの濃度の各NP溶液1mlを9gの日本薬局方の白色ワセリンに高速撹拌で均一に混合し、撹拌することによって、100μg/g濃度のANP軟膏剤、BNP軟膏剤およびCNP軟膏剤を作製した。 同様に、上記で得た1000μg/mlの濃度の各NP溶液500μlを500μlの生理食塩水で希釈し、500μg/ml濃度に調製し、この溶液1mlを9gの日本薬局方白色ワセリンに高速撹拌で均一に混合し、撹拌することによって、50μg/g濃度のANP軟膏剤、BNP軟膏剤およびCNP軟膏剤を作製した。 同様に、上記で得た1000μg/mlの濃度のBNP溶液300μlを700μlの生理食塩水で希釈し、300μg/mlの濃度に調製し、この溶液1mlを9gの日本薬局方白色ワセリンに高速撹拌で均一に混合し、撹拌することによって、30μg/g濃度のBNP軟膏剤を作製した。3.BNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の製造 BNPとベタメタゾンとゲンタマイシン合剤の調製は、岩城製薬株式会社製のデルモゾール(商標)Gローション(Dermosol-G Lotion)を上記「1.ゲル剤の製造」で得たBNPのゲル剤と等容量で混合することにより作製した。本明細書において、これをBNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤と呼ぶ。デルモゾールGローションはベタメタゾン吉草酸エステルを1200μg/mlの濃度で含むとともに、ゲンタマイシン硫酸塩を1000μg/mlの濃度で含むことから、100μg/gの濃度のBNPゲル剤とデルモゾールGローションを1:1の容量比で混合することにより、50μg/gの濃度のBNPと、600μg/mlの濃度のベタメタゾン吉草酸エステルと、500μg/mlの濃度のゲンタマイシン硫酸塩を含有する合剤を作製した。本明細書において、これを50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤と呼ぶ。4.CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の製造 CNPとベタメタゾンとゲンタマイシン合剤の調製は、岩城製薬株式会社製のデルモゾール(商標)Gローション(Dermosol-G Lotion)を上記「1.ゲル剤の製造」で得たCNPのゲル剤と等容量で混合することにより作製した。本明細書において、これをCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤と呼ぶ。デルモゾールGローションはベタメタゾン吉草酸エステルを1200μg/mlの濃度で含むとともに、ゲンタマイシン硫酸塩を1000μg/mlの濃度で含むことから、100μg/gの濃度のCNPゲル剤とデルモゾールGローションを1:1の容量比で混合することにより、50μg/gの濃度のCNPと、600μg/mlの濃度のベタメタゾン吉草酸エステルと、500μg/mlの濃度のゲンタマイシン硫酸塩を含有する合剤を作製した。本明細書において、これを50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤と呼ぶ。 同様に、50μg/gの濃度のCNPゲル剤とデルモゾールGローションを1:1の容量比で混合することにより、25μg/gの濃度のCNPと、600μg/mlの濃度のベタメタゾン吉草酸エステルと、500μg/mlの濃度のゲンタマイシン硫酸塩を含有する合剤を調製した。本明細書において、これを25μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤と呼ぶ。5.BNP:クロベタゾール合剤の製造 BNPとクロベタゾールプロピオン酸エステルとの合剤の調製は、グラクソ・スミスクライン株式会社製のデルモベート(商標)スカルプローション0.05%(Dermovate Scalp Lotion 0.05%)を上記「1.ゲル剤の製造」で得たBNPのゲル剤と等容量で混合することにより作製した。本明細書において、これをBNP:クロベタゾール合剤と呼ぶ。デルモベートスカルプローション0.05%はクロベタゾールプロピオン酸エステルを500μg/gの濃度で含むことから、100μg/mlの濃度のBNPゲル剤とデルモベートスカルプローション0.05%を1:1の容量比で混合することにより、50μg/mlの濃度のBNPと250μg/gの濃度のクロベタゾールプロピオン酸エステルを含有する合剤を作製した。本明細書において、これを50μg/mlBNP:250μg/gクロベタゾール合剤と呼ぶ。6.CNP:クロベタゾール合剤の製造 CNPとクロベタゾールプロピオン酸エステルとの合剤の調製は、グラクソ・スミスクライン株式会社製のデルモベート(商標)スカルプローション0.05%(Dermovate Scalp Lotion 0.05%)を上記「1.ゲル剤の製造」で得たCNPのゲル剤と等容量で混合することにより作製した。本明細書において、これをCNP:クロベタゾール合剤と呼ぶ。デルモベートスカルプローション0.05%はクロベタゾールプロピオン酸エステルを500μg/gの濃度で含むことから、100μg/mlの濃度のCNPゲル剤とデルモベートスカルプローション0.05%を1:1の容量比で混合することにより、50μg/mlの濃度のCNPと250μg/gの濃度のクロベタゾールプロピオン酸エステルを含有する合剤を作製した。本明細書において、これを50μg/mlCNP:250μg/gクロベタゾール合剤と呼ぶ。7.CNP:塩化カルプロニウム合剤の製造 CNPと塩化カルプロニウムとの合剤の調製は、大洋薬品工業株式会社製のカルプラニン(商標)外用液5%(CALPRANIN)を上記「1.ゲル剤の製造」で得たCNPのゲル剤と等容量で混合することにより作製した。本明細書において、これをCNP:塩化カルプロニウム合剤と呼ぶ。カルプラニン外用液5%は塩化カルプロニウムを50mg/mlの濃度で含むことから、100μg/mlの濃度のCNPゲル剤とカルプラニン外用液5%を1:1の容量比で混合することにより、50μg/mlの濃度のCNPと25mg/mlの濃度の塩化カルプロニウムを含有する合剤を作製した。本明細書において、これを50μg/mlCNPゲル剤:25mg/ml塩化カルプロニウム合剤と呼ぶ。〔実施例3〕1.被験者の診断および治療 本発明のANPゲル剤、BNPゲル剤、CNPゲル剤、BNP軟膏剤およびCNP軟膏剤の投与に先だって、皮膚科診療におけるルーチンとして、被験者への性別、年齢、病歴、家族歴の問診、アレルギー体質が疑われる場合には、主要なアレルゲンに対するスクラッチ(Scratch)試験、および、それらの評価を行った。なお、皮膚科診療においては、特定のアレルゲンに対する強い免疫反応性を有する患者や、アトピー性皮膚炎などのアレルギー素因の疑われる疾患が比較的多いことから、診断を補助する目的で、性別、年齢に加えて、アレルギー性疾患の家族歴および既往歴の問診および主要なアレルゲンに対するスクラッチ(Scratch)試験を行なうことは、簡便な補助検査法として、広く行なわれている。 スクラッチ(Scratch)試験の結果の評価としては、いずれかのアレルゲンに1+以上の反応性を示せば、多少であってもアレルギー体質を有するということができる。但し、皮膚科に来院する患者の場合、スクラッチ(Scratch)試験を行なえば、何らかのアレルゲンに対しては1+または2+の反応性を示すことが多く、全てのアレルゲンに対して全く反応性を示さない患者は少ない。スクラッチ(Scratch)試験はアレルギー体質の有無についての目安を得るための簡易検査であるので、その結果を持ってアレルギー体質の有無を正確に評価することはできないが、経験的には、特定のアレルゲンに対して2+以上の反応性を示す場合には、診断に際して免疫性疾患との関連に留意する。 表1〜表23に、それら被験者への問診結果、、スクラッチ(Scratch)試験結果を、前記の〔実施例1〕で行なった、被験者の診断所見および症状の評価とともに示す。 本発明の脱毛症治療剤のそれぞれの脱毛症に対する治療効果を、以下の各表にまとめた。円形脱毛症に対する治療効果: ANP: 表1、表2 BNP: 表3−1、表3−2 CNP: 表4、表5、表6、表7−1 BNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤: 表7−2 CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤: 表7−3男性型脱毛症に対する治療効果: ANP: 表8 BNP: 表9−1、表9−2 CNP: 表10−1、表10−2 CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤: 表10−3 CNP:クロベタゾール合剤: 表10−4 CNP:塩化カルプロニウム合剤: 表10−5 CNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布: 表10−6 BNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布: 表10−7分娩後脱毛症に対する治療効果: ANP: 表10−8 BNP: 表10−9 CNP: 表11−1女性型脱毛症に対する治療効果: BNP: 表11−2 CNP: 表12脂漏性脱毛症に対する治療効果: ANP: 表13 BNP: 表14批糠性脱毛症に対する治療効果: ANP: 表15 BNP: 表16 CNP: 表17、表18老人性脱毛症に対する治療効果: ANP: 表19 BNP: 表20 CNP: 表21癌化学療法剤性脱毛症に対する治療効果: BNP: 表22 CNP: 表23 「非再燃期間」とは、症状が軽快した後に本発明の製剤による治療を中断しても症状が再燃しなかった期間を示す。なお、客観的に評価するために、全症例についてNP製剤を塗布する前後の写真を記録した。そのうち、一部の症例の写真を図に示した。〔実施例4〕2.ANPゲル剤の円形脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の円形脱毛症に対する治療効果を表1(症例A1〜A5)および表2(症例A6〜A7)に示す。症例A1 被験者は33歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、頭部以外に眉毛の脱毛を伴うB1の重症の円形脱毛症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、アトピー性皮膚炎の悪化にともなって出現した脱毛症も合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられ、批糠性脱毛症を合併している。この被験者は、13歳で円形脱毛班が出現し、14歳の時に頭頂部にも出現後、半月で全頭脱毛症になった。その後、この被験者の症状は一進一退で15歳で全身の脱毛症になった。この被験者は、ステロイドの外用と内服では全く治療効果が見られなかった。この被験者は、液体窒素の刺激療法を続けていたが、全くと言ってよいほど治療効果はみられなかった。尚、この被験者は、症例C5と同じ被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのANPゲル剤を1日2回、3週間塗布したところ、軟毛の発毛が見られたが、頭皮の紅班と粃糠性落屑が軽快せず掻痒もあった。症例A2 被験者は33歳の女性であり、脱毛範囲はS3の重症の円形脱毛症患者である。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、2年前にも円形脱毛症に罹患し2カ所脱毛巣ができたことがあったが、自然治癒した。今回は半年前に職場のストレスが1ヶ月位つづいた後、右側頭部、後頭部および頭頂部に脱毛班が出現した。この被験者は、6ヶ月間ステロイドの外用、塩化カルプロニウムの塗布、セファランチン内服での治療をうけるも、なんの変化もみられなかった。 この被験者の右側頭部、後頭部および頭頂部の脱毛班に100μg/gのANPゲル剤を1日2回塗布したところ、1週間で発毛がはっきりと確認され、2週間後には更に広範囲に黒い短毛の発毛が認められたが、被験者の自覚症状としては、抜け毛の量はまだ多いということであった。また、この被験者にANPゲル剤を塗付した後の毛髪の伸張速度は遅く、硬毛化はみられなかった。塗布前の脱毛班の写真および100μg/gのANPゲル剤を1日2回で5週間塗布した後の脱毛班の写真を図7に示す。この被験者の場合、軟毛の発毛はみられたが、それ以上硬毛化せず、長毛にもいたらなかった。症例A3 被験者は52歳の女性であり、脱毛範囲はS3の重症の円形脱毛症患者である。アレルギー性鼻炎の既往歴がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者は、夜勤が続いていて1年位前に前頭部に脱毛巣が出現し、その後拡大傾向をしめし、頭皮全体にも脱毛班が出現し多発してきた。脱毛巣への塩化カルプロニウムの塗布を8ヶ月間続けたが、脱毛範囲が広がる一方で全く治療効果はみられなかった。この被験者は、脱毛部の頭皮に紅班、痂皮、鱗屑等の炎症症状は見られない症例である。尚、この被験者は、症例C15の被験者と同じ被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間で発毛が確認され、2週間では更に顕著な発毛が認められ、脱毛班の拡大が完全に止まった。CNP軟膏剤の塗布を14日間で終了し、その翌日からはさらなる効果を期待して100μg/gのANPゲル剤を1日2回塗布したところ、CNP軟膏剤による治療効果がそのまま持続し、CNP軟膏剤による治療開始から5週間経過した現在も、ANPゲル剤の塗布を継続中であるが、硬毛の増毛と育毛範囲の拡大がみられる(図8−1および図8−2を参照)。この被験者は、その後継続して治療ができず、脱毛班は残存している。症例A4 被験者は32歳の男性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者である。アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、1ヶ月前より精神的ストレスが引き金となり左側頭部に脱毛班が出現し、その後頭頂部、右側頭部にも脱毛班がみられるようになった。掻痒を伴った。 この被験者の脱毛班全体に100μg/gのANPゲル剤を1日2回の塗布したところ、1週間で左側頭部、頭頂部、右側頭部とも発毛が確認された。その後塗布開始から4週間で治癒した。ANPゲル剤の塗布を4週間で中止して、2週経過した現在でも、脱毛巣の再燃は見られていない(図9を参照)。しかし、この被験者へのANPゲル剤の塗付によっては、後頭部生え際の発毛はみられなかった。症例A5 被験者は16歳の男性であり、脱毛範囲はS3で、難治といわれる蛇行状脱毛症型の円形脱毛症患者である。この被験者はアトピー性皮膚炎を合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、6歳でアデノイドと口蓋扁桃摘出手術をしたのち、7歳から円形脱毛症を発症し、頭部の他、眉毛、下肢の脱毛がみられた。この被験者は、ステロイドの内服、外用でも治癒しなかった。この被験者の脱毛部位の頭皮は浸潤性紅班、鱗屑がみられ掻痒を伴っていた。尚、この被験者は、症例B3の被験者と同一の被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのANPゲル剤を1日2回、3週間塗布したところ、若干紅班は軽快したようにみえたが、脱毛周辺部位に残存していた短い硬毛もぬけてしまい脱毛範囲はむしろ拡大してしまった(図10のT1を参照)。症例A6 被験者は50歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性脱毛症の重症の円形脱毛症患者である。アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。本人の母に円形脱毛症の既往があり、子供はアレルギー性鼻炎と慢性蕁麻疹に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられ、批糠性脱毛症を合併している。この被験者は、10年前に多発性の円形脱毛症を発症し、円形脱毛症の部分寛解と再燃を繰り返している。この被験者は、仕事が多忙になると脱毛症状が増悪する傾向をしめす。ステロイドと塩化カルプロニウム外用や、抗アレルギー剤の内服を6ヶ月間行うも効果が見られなかった。尚、この被験者は、症例C3および症例C4の被験者と同一の被験者である。 この被験者の頭頂部の多発性脱毛班に100μg/gのANPゲル剤を2週間塗布したが効果はなく、かさかさした鱗屑が増加し、紅班が出現し、掻痒を生じ、抜け毛もふえ、脱毛範囲がむしろ拡大してしまった(図11を参照)。症例A7 被験者は22歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、難治性といわれる蛇行状脱毛症型の円形脱毛症の重症患者である。この被験者は、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。この被験者の祖父がアトピー性皮膚炎、父、母、兄はアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、カモガヤ1+であった。この被験者は、1年半以上前に脱毛班が発症し、全く発毛しない状態で被髪部外側縁に沿って境界鮮明に帯状に脱毛班がみられた。この被験者の脱毛部位に紅班、鱗屑、痂皮、およびアトピー性脱毛症によるとおもわれる炎症症状がみられ、掻痒を伴っていた。この被験者は、頭部の他、眉毛にも脱毛がみられた。この被験者の皮膚はステロイドのリバウンドによると思われる紅皮症状態であり、頭皮も含む全身の皮膚に潮紅、浸潤がみられた。この被験者は、ステロイド、抗アレルギー剤の治療では全く治療効果がなかった。尚、この被験者は、症例C6の被験者と同じ被験者である。 この被験者の脱毛班全体に50μg/gのANPゲル剤を1日2回、3日間塗布するも、潮紅、掻痒とも改善がみられず、むしろ頭皮に潮紅が出現し、発毛のきざしもみられなかった。3.BNPゲル剤の円形脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の治療効果を表3−1(症例B1〜B4およびB13)および表3−2(症例B26)に示す。症例B1 被験者は63歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。この被験者は、アレルギー性鼻炎の既往があり、アトピー性皮膚炎を合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者の円形脱毛症は、1年半以上持続している。この被験者は、以前、脱毛班にステロイドと塩化カルプロニウムを10ヶ月塗布し続けたが効果がなく発毛はみられなかった。尚、この被験者は、症例C12の被験者と同じ被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのBNPゲル剤を朝、晩2回塗布したところ、2週間で著明な発毛がみられた。BNPゲル剤の塗布を24日間で中止した後、8ヶ月経っても塗布部位の脱毛再燃はみられていない(図12−1および図12−2を参照)。症例B2 被験者は13歳の男性であり、脱毛範囲はS1の単発性円形脱毛症である。この被験者にスクラッチテストは行っていない。 この被験者の脱毛班全体に50μg/gのBNPゲル剤を1日2回、1週間塗布したところ、発毛がはっきりと確認でき治癒した。BNPゲル剤の塗布を7日間で中止した後、9ヶ月経過後も再燃はみられていない(図13を参照)。症例B3 被験者は16歳の男性であり、脱毛範囲はS3で、難治といわれる蛇行状脱毛症型の円形脱毛症患者である。アトピー性皮膚炎を合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、6歳でアデノイドと口蓋扁桃摘出手術をしたのち、7歳から円形脱毛症を発症し、頭部の他、眉毛、下肢の脱毛がみられた。この被験者は、ステロイドの内服、外用でも治癒しなかった。この被験者の脱毛部位の頭皮は浸潤性紅班、鱗屑がみられ掻痒を伴っていた。尚、この被験者は、症例A5の被験者と同一の被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛部に100μg/gのANPゲル剤を1日2回、3週間塗布したところ、若干紅班は軽快したようにみえたが、脱毛周辺部位に残存していた短い硬毛もぬけてしまい脱毛範囲はむしろ拡大してしまった。そこで、ANPゲル剤を中止した2日後から右側頭部の脱毛部に100μg/gのBNPゲル剤を1日2回塗布したところ、2週間で顕著な発毛がみられた(図10のT2を参照)。なおBNPを塗布しなかった左側頭部は全く発毛がみられなかった。BNPゲル剤の塗布を14日間で中止した後、4ヶ月の間、再燃はみられなかったが、4ヶ月経過した時点で受験を契機に別の場所に新たな脱毛班が発生した。 この被験者は、その後、来院しておらず、その後の経過は不明である。症例B4 被験者は24歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。アレルギー性鼻炎の既往がある。母が気管支喘息に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者の円形脱毛症は、中学生の時から部分寛解と再燃をくりかえしていた。半年前から前頭部を中心に軽度の掻痒感が出現し、その後多発性の脱毛班が拡大した。この被験者は、ステロイドや塩化カルプロニウムを3ヶ月間の脱毛部位へ塗布しても、抗アレルギー剤を内服しても発毛がみられず、易脱毛性も改善されなかった。尚、この被験者は、症例C9の被験者と同一の被験者である。 左右塗り分け法で、この被験者の左前頭部に100μg/gのBNPゲル剤を、右前頭部にはゲル基剤であるルブラジェルNP(アイエスピー・ジャパン社製)だけをそれぞれ1日2回塗布したところ、1週間後に左前頭部のBNPゲル剤の塗布部位のみに発毛がみられ、2週間後には左前頭部のBNPゲル剤の塗布部位の発毛がいっそう顕著になった。一方、ゲル基剤だけを塗布した右前頭部では発毛はみとめられなかった。従って、発毛はBNPゲル剤による発毛効果であると判断された。そこで、左前頭部に100μg/gのBNPゲル剤の塗布を継続するとともに、右前頭部に100μg/gのCNP軟膏剤の塗布を開始したところ、1週間で右前頭部にも発毛がみられ、3週間では右前頭部の脱毛部位全体に発毛、増毛が顕著にみられた。治療開始前はシャンプーごとに両手いっぱいの抜け毛があったが、抜け毛の量が劇的に減少し1回のシャンプーで5、6本程度の抜け毛に減ったという。左前頭部にBNPゲル剤を3週間、右前頭部にCNP軟膏剤を3週間塗布後に外用を中止したが、その後も左前頭部と右前頭部の毛髪は伸び続け、塗布中止2週間目でほぼ治癒し、その後完治した。この被験者は、さらに1年間経過した現在までに再燃はみられていない(図14および図57を参照)。症例B13 被験者は39歳の男性であり、後述するC13の症例の被験者と同じ被験者である。この被験者の側頭部および後頭部の円形脱毛班は、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間の塗布で発毛し、1週間で塗布中止した後に自然に治癒した。しかし、CNP軟膏剤の塗付中止から10ヶ月経過後に、今度は頭頂部に円形脱毛班が生じた。 そこで、この被験者の頭頂部の円形脱毛班に50μg/gのBNPゲル剤を1日2回塗布したところ、2週間の塗布で頭頂部の脱毛班全体に黒い硬毛の発毛が認められた(図34)。 BNPゲル剤の塗布を2週間で終了して経過を観察したが、中心部での発毛はみられなかったため、BNPゲル剤を中止した3週後から50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日1回で2週間塗布したところ、より早い発毛速度で黒い硬毛が伸長した。4.BNP軟膏剤の円形脱毛症に対する治療効果 BNP軟膏剤の治療効果を表3−2(被験者B5、B6)に示す。症例B5 被験者は50歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、多発性円形脱毛症の重症患者である。アレルギー性鼻炎の既往があり、アトピー性皮膚炎を合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者の円形脱毛症は、4ヶ月前から職場の人間関係によるストレスで発症し、発症から2ヶ月後には多発しはじめた。この被験者は、脱毛部位にステロイドローションと塩化カルプロニウムを10ヶ月間塗布し続けたが、発毛はみられず、易脱毛性も抑制されず、治療効果がなかった。 この被験者の頭頂部および側頭部の脱毛班全体に50μg/gのBNP軟膏剤を朝と晩の1日2回塗布したところ、塗布しはじめてから全然毛が抜けなくなった。そして、脱毛部位全体にBNP軟膏剤を2週間塗布し続けたところ、発毛がはっきりと確認できるまでになった。50μg/gのBNP軟膏剤の1日2回の塗布を2週間で終了し、その翌日から、30μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で1週間塗布した後に、さらに、その翌日から50μg/gのBNP軟膏剤を1日2回で2週間塗布したところ、順調に増毛し続けた。発毛のパターンは特徴的で、2重の環状に発毛しはじめ、20日間で全体を覆うまでに回復した(図15−1、図15−2および図16を参照)。しかし、この被験者は、2011年3月11日の東日本大震災に被災したため、BNP軟膏剤による治療が中断された。この被験者によれば、ある程度までは伸びたが、BNP軟膏剤の塗布中止後、伸びが止まっているという。症例B6 被験者は33歳の女性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者である。この被験者の子供はアトピー性皮膚炎に罹患している。この被験者の母は、円形脱毛症であるとともに、アレルギー性鼻炎の既往がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であり、アトピー素因を持った症例であった。この被験者は、5ヶ月前に円形脱毛班が出現し、ステロイドの外用、塩化カルプロニウムの塗布、抗アレルギー剤の内服による治療を7週間続けるも、抜け毛がおさまらないだけでなく脱毛範囲が拡大し多発したためステロイドの内服も併用したが、治療効果はみられなかった。この被験者は、左側頭部、頭頂部、後頭部に脱毛班がみられ、脱毛範囲はS1であった。尚、この被験者は、症例C10の被験者と同じ被験者である。 この被験者の脱毛班のうち、左側頭部および頭頂部に100μg/gのBNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、BNP軟膏剤の塗布開始から7日目で主に白髪の発毛が認められた。一方、BNP軟膏剤を塗布しなかった後頭部の脱毛班では発毛が見られなかった。しかしまだ抜け毛は多いということであったので、BNP軟膏剤の塗布を7日間で中止し、8日目からは、左側頭部、頭頂部および後頭部の脱毛班全てに、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布した。その結果、髪の毛が抜けなくなり、3週間で後頭部も含め全ての脱毛班で顕著な発毛が確認され治癒した。症例B26 被験者は38歳の女性であり、脱毛範囲はS1の単発性円形脱毛症患者である。この被験者の子供がアトピー性皮膚炎に罹患している。この被験者は、従兄弟、姪、叔母、子供も多発性円形脱毛症に罹患している。この被験者にスクラッチテストは行っていない。 この被験者の頭頂部の円形脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回、2週間塗布したところ、明らかな発毛がみられた(図23を参照)。CNP軟膏剤の塗布を2週間で中止した後、1年経過後もCNP軟膏剤で治癒した部位に脱毛班の再燃はみられていない。 しかし、頭頂部の円形脱毛班がCNP軟膏剤で治癒してから1年後に、今度は、後頭部に新たな円形脱毛班が出現した。 そこで、50μg/gのBNPゲル剤を1日2回、2週間塗布したところ、顕著に発毛して硬毛化し、ほぼ治癒した(図55)。BNPゲル剤の塗付を2週間で終了し、その後6週間経過したが、完治して再燃じていない(図55)。 尚、この被験者は、症例C7の被験者と同一の被験者である。5.CNPゲル剤の円形脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の円形脱毛症に対する治療効果を表4(被験者C1、C3、C20、C23)に示す。症例C1 被験者は32歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、多発性円形脱毛症の重症患者である。アレルギー性鼻炎の既往がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ2+であった。この被験者の円形脱毛症は、半年前に脱毛症が発症し、拡大、多発するとともに発症の5ヶ月後には頭皮全体に脱毛傾向がみられるようになった。この被験者は、職場が変わったことが円形脱毛症発症の引き金になった。この被験者は、塩化カルプロニウムの塗布では治療効果が見られなかった。 この被験者の頭頂部の脱毛班全体に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、1週間後には顕著な発毛が認められた(図17を参照)。症例C2 被験者は47歳の女性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者である。この被験者は、緑内障の既往歴がある。この被験者の子供はアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、1ヶ月前に脱毛巣が頭頂部に出現し、その後、前頭部および左側頭部にも脱毛班がみられるようになった。この被験者は、緑内障の既往があるためステロイドの使用は避けなければならない症例である。この被験者は、7年前に甲状腺癌に罹患し、摘出手術を受けている。尚、この被験者は、症例C11の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部と前頭部に、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間の塗布で発毛が確認された(図18−1、図19−1および図19−2を参照)。その翌日である8日目以降は、被験者の希望により、剤型を変更して、さらに1週間、100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布継続したところ、さらに顕著な発毛が見られ、抜け毛が減った(図18−1、図18−2、図19−1および図19−2を参照)。しかし、CNP軟膏剤を外用しなかったこの被験者の左側頭部では発毛はみられなかった。効果が確認されたので、頭頂部と前頭部へのCNP軟膏剤の塗布開始から8日目以降は、左側頭部にも100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で塗布開始したところ、塗布開始から2週間後には、左側頭部でも頭頂部および前頭部と同様に顕著な発毛が確認された。CNPゲル剤の塗布を28日間で中止した後、3週間経過後も再燃はみられていない。症例C3 被験者は50歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。この被験者は、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。この被験者の母が円形脱毛症の既往があり、子供はアレルギー性鼻炎と慢性蕁麻疹に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられ、批糠性脱毛症の合併している。この被験者は、10年前に多発性の円形脱毛症が発症し、部分寛解と再燃を繰り返している。この被験者の場合、仕事が多忙になると円形脱毛症の増悪傾向をしめす。ステロイド外用、塩化カルプロニウム外用、および、抗アレルギー剤の内服を6ヶ月間行うも効果が見られなかった。尚、この被験者は、症例A6および症例C4の被験者と同一の被験者である。 この被験者の左側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、翌日から抜け毛の量が少なくなり、2週間で発毛がはっきりと確認され、3週間の塗布後に塗布を中止したが、塗布中止後も順調に回復し、塗布中止から8ヶ月経過後も塗布部位に再燃はみられていない(図20を参照)。この被験者は、その後さらに1年間経過しても、再燃はしていない。症例C20 被験者は32歳の男性で、男性型脱毛症である。この被験者は、30歳になって急に前頭部のM型部の生え際が薄毛になって後退した。また、来院の6週間前に左側頭部に単発性の円形脱毛症も発症した。この被験者の家族に脱毛症患者はいない。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではIII型に属する、いわゆるM型の男性型脱毛症である。尚、この被験者は、症例C27の被験者と同じ被験者である。 この被験者の前頭部の男性型脱毛症部分および左側頭部の円形脱毛班に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、2週間後にはM型の生え際部分においても(図46)、円形脱毛班においても(図35)、黒い硬毛の発毛が認められた。 さらに、この被験者の前頭部の男性型脱毛症部分および左側頭部の円形脱毛班に、50μg/mlCNPゲル剤:25mg/ml塩化カルプロニウム合剤を1日2回で1週間塗布したところ、50μg/gのCNPゲル剤と同程度の発毛効果が持続した。 その後、50μg/gのCNPゲル剤を3週間休薬した後に50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1週間塗布したところ、さらに顕著な発毛がみられ、その後は塗布を中断しても発毛し続け治癒した。6.CNP軟膏剤の円形脱毛症に対する治療効果 CNP軟膏剤の円形脱毛症に対する治療効果を表4(症例C2)、表5(被験者C4〜C7)、表6(被験者C8〜C12)および表7−1(被験者C13〜C15、C36)に示す。症例C4 被験者は50歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。この被験者は、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。この被験者の母が円形脱毛症の既往があり、子供はアレルギー性鼻炎と慢性蕁麻疹に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられ、批糠性脱毛症の合併している。この被験者は、10年前に多発性の円形脱毛症が発症し、部分寛解と再燃を繰り返している。この被験者の場合、仕事が多忙になると円形脱毛症の増悪傾向をしめす。ステロイド外用、塩化カルプロニウム外用、および、抗アレルギー剤の内服を6ヶ月間行うも効果が見られなかった。尚、この被験者は、症例A6および症例C3の被験者と同一の被験者である。 この被験者の左側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、翌日から抜け毛の量が少なくなり、2週間で発毛がはっきりと確認され、3週間の塗布後に塗布を中止したが、塗布中止後も順調に回復し、塗布中止から8ヶ月経過後も塗布部位に再燃はみられていない(図20を参照)。 しかし、塗布中止から半年後に、今度は右前頭部に脱毛班が新生したため、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、2週間ではっきりした発毛がみとめられ、頭皮の紅班、鱗屑も消失した。右前頭部の脱毛班への塗付は2週間で終了したが、塗付終了後も毛髪は回復し続け、完全治癒した。塗付終了から1年以上経過した後も、右前頭部の脱毛班は再燃していない。 右前頭部に脱毛班が新生したのと同時期に新生した頭頂部の多発性脱毛班には、100μg/gのANPゲル剤を2週間塗布したが効果はなく、かさかさした鱗屑が増加し掻痒があり、脱毛範囲がむしろ拡大してしまった。症例C5 被験者は33歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、頭部以外に眉毛の脱毛を伴うB1の円形脱毛症の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、アトピー性皮膚炎の悪化による脱毛症も合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられ、批糠性脱毛症の合併している。この被験者は、13歳で円形脱毛班が出現し、14歳の時頭頂部にも出現後、半月で全頭脱毛症になった。その後、この被験者の症状は一進一退で15歳で、全身の脱毛症になった。この被験者は、ステロイドの外用と内服では全く治療効果が見られなかった。この被験者は、液体窒素の刺激療法を続けていたが全くと言ってよいほど治療効果はみられなかった。尚、この被験者は、症例A1の被験者と同一の被験者である。 左側頭部の脱毛班に100μg/gのANPゲル剤を1日2回、3週間塗布したところ、軟毛の発毛が見られたが、頭皮の紅班と粃糠性落屑が軽快せず掻痒もあった。そこで、ANPゲル剤を中止した2週間後から、左側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回、1週間塗布後したところ、頭皮の紅班と粃糠性落屑、掻痒感が消失し、発毛と育毛が促進され硬毛が頭皮を覆うまでになった。その後さらに1週間CNP軟膏剤を塗布した結果、硬毛が伸びてほぼ治癒した。CNP軟膏剤の塗布を21日間で中止した後、7ヶ月経過したが、脱毛症は全く再燃していない(図21を参照)。この被験者は、10代からステロイドの内服や液体窒素冷凍療法など試みてきたが、このように発毛したのは初めてのことであった。症例C6 被験者は22歳の女性であり、脱毛範囲はS3で、難治性といわれる蛇行状脱毛症型の円形脱毛症の重症患者である。この被験者は、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の既往歴がある。この被験者の祖父がアトピー性皮膚炎、父、母、兄はアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、カモガヤ1+であった。この被験者は、1年半以上前に脱毛班が発症し、全く発毛しない状態で被髪部外側縁に沿って境界鮮明に帯状に脱毛班がみられた。この被験者の脱毛部位に紅班、鱗屑、痂皮が見られ、アトピー性脱毛症によるとおもわれる炎症症状がみられ、掻痒を伴っていた。この被験者は、頭部の他、眉毛にも脱毛がみられた。この被験者は、アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の合併症例である。この被験者の皮膚は、ステロイドのリバウンドによると思われる紅皮症状態であり、頭皮も含む全身の皮膚に潮紅、浸潤がみられた。この被験者は、ステロイド、抗アレルギー剤の治療では全く治療効果がなかった。尚、この被験者は、症例A7の被験者と同じ被験者である。 この被験者の脱毛班全体に50μg/gのANPゲル剤を1日2回、3日間塗布するも潮紅、掻痒とも改善がみられず、発毛のきざしもみられなかった。 そこで、この被験者の前頭部および側頭部の脱毛班全体に、50μg/gのCNP軟膏剤の1日2回塗布に変更したところ、2日目には紅班が軽快し、掻痒感を感じなくなった。3週間の塗布で顕著な硬毛の発毛がみられ、硬毛が生えてきた後は、外用せずほっておいても増毛し軟毛が濃くなりつつ伸びて硬毛がはえそろって治癒した(図22を参照)。CNP軟膏剤の塗布を4週間で中止した後も毛髪は伸び続けて完治した。この被験者は、9ヶ月経過後も再燃はみられておらず、蛇行状脱毛症型の円形脱毛症の痕を残さずきれいに完治した。症例C7 被験者は38歳の女性であり、脱毛範囲はS1の単発性円形脱毛症患者である。この被験者の子供がアトピー性皮膚炎に罹患している。この被験者は、従兄弟、姪、叔母、子供も多発性円形脱毛症に罹患している。この被験者にスクラッチテストは行っていない。 この被験者の頭頂部の円形脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回、2週間塗布したところ、明らかな発毛がみられた(図23を参照)。CNP軟膏剤の塗布を2週間で中止した後、1年経過後もCNP軟膏剤で治癒した部位に脱毛班の再燃はみられていない。 しかし、頭頂部の円形脱毛班がCNP軟膏剤で治癒してから1年後に、今度は、後頭部に新たな円形脱毛班が出現した。 そこで、50μg/gのBNPゲル剤を1日2回、2週間塗布したところ、顕著に発毛して硬毛化し、ほぼ治癒した。 尚、この被験者は、症例B26の被験者と同一の被験者である。症例C8 被験者は32歳の女性であり、脱毛範囲はS1の多発性円形脱毛症患者である。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト−、ダニ1+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、1年半前に多発性脱毛症に罹患し、1年半前にわたって、ステロイドの外用、塩化カルプロニウムの塗布、抗アレルギー剤の内服による治療を続けるも、満足のゆく効果は得られなかった。この被験者の脱毛部には軽度の紅班がみられ、掻痒感を伴っていた。この被験者の場合、右側頭部、左側頭部に脱毛班が多発していた。 この被験者の脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、3日間の塗布で紅班、掻痒感が消失し、10日間の塗布で抜け毛が減って明らかな発毛がみられた。CNP軟膏剤の塗布を7日間で中止した後、1ヶ月経過後も再燃はみられていない。症例C9 被験者は24歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。アレルギー性鼻炎の既往がある。母が気管支喘息に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者の円形脱毛症は、中学生の時から部分寛解と再燃をくりかえしていた。半年前から前頭部を中心に軽度の掻痒感が出現し、その後多発性の脱毛班が拡大した。この被験者は、ステロイドや塩化カルプロニウムを3ヶ月間の脱毛部位へ塗布しても、抗アレルギー剤を内服しても発毛がみられず、易脱毛性も改善されなかった。尚、この被験者は、症例B4の被験者と同じ被験者である。 左右塗り分け法で、この被験者の左前頭部に100μg/gのBNPゲル剤を、右前頭部にはゲル基剤であるルブラジェルNP(アイエスピー・ジャパン社製)だけをそれぞれ1日2回塗布したところ、1週間後に左側のBNPゲル剤の塗布部位のみに発毛がみられ、2週間後には左側のBNPゲル剤の塗布部位の発毛がいっそう顕著になった。一方、ゲル基剤だけを塗布した右側では発毛はみとめられなかった。従って、発毛はBNPゲル剤による発毛効果であると判断された。 そこで、左前頭部に100μg/gのBNPゲル剤の塗布を継続するとともに、右前頭部に100μg/gのCNP軟膏剤の塗布を開始したところ1週間で発毛がみられ、3週間では脱毛部位全体に発毛、増毛が顕著にみられた。治療開始前はシャンプーごとに両手いっぱいの抜け毛があったが、抜け毛の量が劇的に減少し1回のシャンプーで5、6本程度の抜け毛に減ったという。左前頭部にBNPゲル剤を3週間、右前頭部にCNP軟膏剤を3週間塗布後に外用を中止したが、その後も毛髪は伸び続け、塗布中止2週間目でほぼ治癒し、さらに1年間経過した現在まで再燃はみられていない。症例C10 被験者は33歳の女性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者である。この被験者の子供はアトピー性皮膚炎に罹患している。この被験者の母は、円形脱毛症であるとともに、アレルギー性鼻炎の既往がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であり、アトピー素因を持った症例であった。この被験者は、5ヶ月前に円形脱毛班が出現し、ステロイドの外用、塩化カルプロニウムの塗布、抗アレルギー剤の内服による治療を7週間続けるも、抜け毛がおさまらないだけでなく脱毛範囲が拡大し多発したためステロイドの内服も併用したが、治療効果はみられなかった。この被験者は、左側頭部、頭頂部、後頭部に脱毛班がみられ、脱毛範囲はS1であった。尚、この被験者は、症例B6の被験者と同じ被験者である。 この被験者の脱毛班のうち、左側頭部および頭頂部に100μg/gのBNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、BNP軟膏剤の塗布開始から7日目で主に白髪の発毛が認められた。一方、BNP軟膏剤を塗布しなかった後頭部の脱毛班では発毛が見られなかった。しかしまだ抜け毛は多いということであったので、BNP軟膏剤の塗布を7日間で中止し、8日目からは、左側頭部、頭頂部および後頭部の脱毛班全てに、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布した。その結果、髪の毛が抜けなくなり、CNP軟膏剤の塗布開始から3週間目には、左側頭部、頭頂部および後頭部のどの部位でも顕著な発毛がみられた(図24−1および図24−2を参照)。被験者によれば、従来の治療法にくらべて発毛の早さに驚いたという。この被験者は、CNP軟膏剤の塗布を21日間で中止した後、1ヶ月経過後も再燃はみられていない。症例C11 被験者は47歳の女性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者である。この被験者は、緑内障の既往歴がある。この被験者の子供はアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、1ヶ月前に脱毛巣が頭頂部に出現し、その後、前頭部および左側頭部にも脱毛班がみられるようになった。この被験者は、緑内障の既往があるためステロイドの使用は避けなければならない症例である。この被験者は、7年前に甲状腺癌に罹患し、摘出手術を受けている。尚、この被験者は、症例C2の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部と前頭部に、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間の塗布で発毛が確認された(図18−1、図18−2、図19−1および図19−2を参照)。症例C12 被験者は63歳の女性であり、脱毛範囲はS2で、多発性円形脱毛症の重症患者である。アレルギー性鼻炎の既往があり、アトピー性皮膚炎を合併している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者の円形脱毛症は、1年半以上持続している。この被験者は、脱毛班にステロイドと塩化カルプロニウムを10ヶ月塗布し続けたが効果がなく発毛はみられなかった。尚、この被験者は、症例B1の被験者と同じ被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのBNPゲル剤を朝、晩2回塗布したところ、2週間で著明な発毛がみられた。BNPゲル剤の塗布を24日間で中止した後、8ヶ月経っても塗布部位の脱毛再燃はみられていない。 しかし、左側頭部に多発性脱毛班が新たに出現したので、100μg/gのCNP軟膏剤を朝、晩2回塗布したところ、1週間の塗布で軟毛の発毛が見られ、塗布開始から3週間後には硬毛の明らかな発毛が認められた。さらに20日間にわたって50μg/gのCNP軟膏剤を朝、晩2回塗布し続けたところ、脱毛部全体を覆うように増毛し、その後塗布しなくても治癒した(図25を参照)。1ヶ月経過後も再燃はみられていない。症例C13 被験者は38歳の男性であり、脱毛範囲はS1で、多発性円形脱毛症の患者である。2ヶ月前より脱毛巣が側頭部に出現し、その後後頭部にも脱毛班がみられるようになった。免疫疾患の既往または家族歴はない。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ1+、スギ1+、カモガヤ−、ブタクサ1+であった。この被験者は、セファランチンの内服をしたが治療効果はみられなかった。 この被験者の側頭部および後頭部の脱毛症全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間の塗布で脱毛巣全体に白毛の発毛が確認され、周辺部からは黒毛の発毛がみられた(図26を参照)。この被験者は、白髪主体に発毛、増毛した状態であった。この被験者は、CNP軟膏剤の塗付を1週間で終了した後も増毛を続けて、自然治癒した。この被験者は、CNP軟膏剤の塗付を終了して1年経過した後も側頭部および後頭部には再発していない。 しかし、CNP軟膏剤の塗付を終了した10ヶ月後に今度は頭頂部に円形脱毛班が出現したので、50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、黒い硬毛の発毛が認められた。しかしながら、50μg/gのBNPゲル剤を3週間塗布しても全面的な発毛はみられなかったため、50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日1回で2週間塗布したところ、単剤より早く発毛がみられ、毛の伸張速度も速く伸びて、全面的に硬毛になった。症例C14 被験者は35歳の女性であり、脱毛範囲はS1の円形脱毛症患者であるである。この被験者はアレルギー性鼻炎の既往があり、この被験者の母親もアレルギー性鼻炎に罹患しており、この被験者はアトピー素因を持っている症例である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。この被験者は、3ヶ月前に後頭部に脱毛巣が出現し、その後拡大傾向をしめし、後頭部全体が薄くなってきて掻痒を伴っていた。この被験者の場合、ステロイド剤の塗布では痒くなって、かえって脱毛範囲が広がってしまった。 この被験者の後頭部の脱毛巣全体に、100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間の塗布で白毛と軟毛の発毛が認められ、3週間後には黒い硬毛の発毛もはっきりとみとめられた。しかし左後頭部うなじの生え際の脱毛班だけは一部に軟毛の発毛は確認できるものの、脱毛巣の全面を覆うまでには回復していない。症例C15 被験者は52歳の女性であり、脱毛範囲はS3の重症の円形脱毛症患者である。アレルギー性鼻炎の既往歴がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者は、夜勤が続いていて1年位前に前頭部に脱毛巣が出現し、その後拡大傾向をしめし、頭皮全体にも脱毛班が出現し多発してきた。脱毛巣への塩化カルプロニウムの塗布を8ヶ月間続けたが、脱毛範囲が広がる一方で全く治療効果はみられなかった。この被験者は、脱毛部の頭皮に紅班、痂皮、鱗屑等の炎症症状は見られない症例である。尚、この被験者は、症例A3の被験者と同じ被験者である。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、1週間で発毛が確認され、2週間では更に顕著な発毛が認められ、脱毛班の拡大が完全に止まった。CNP軟膏剤の塗布を14日間で終了し、その翌日からはさらなる効果を期待して100μg/gのANPゲル剤を1日2回塗布したところ、CNP軟膏剤による治療効果がそのまま持続し、5週間経過した後も、ANPゲル剤の塗布を継続中であるが、硬毛の増毛と育毛範囲の拡大がみられた。しかし、この被験者は発明者のクリニックからは遠方に在住のため、頻繁に通うことができず、治療は中断した。そのため、この被験者の脱毛班は残存し、現在も治癒していない。症例C36 被験者は57歳の男性であり、脱毛範囲はS2で眉毛の脱毛も合併している重症の円形脱毛症患者である。この被験者は、アトピー性皮膚炎の既往歴がある。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者は、仕事のストレスが原因で5年位前に脱毛巣が多発してきた。この被験者は、液体窒素療法を続けたが、脱毛範囲が広がる一方で全く治療効果はみられなかった。その後に、この被験者は、ステロイドの内服と外用、塩化カルプロニウム外用を3年にわたって行ったが効果はみられなかった。 この被験者の右側頭部の脱毛班全体に100μg/gのCNP軟膏剤を1日2回塗布したところ、3週間で白髪を主体とした発毛が認められた。CNP軟膏剤の塗付を6週間で終了したが、その後もCNP軟膏剤による治療効果がそのまま持続し、発毛が続いて治癒した。その後9ヶ月間、この被験者は再発していない。症例C23 被験者は26歳の女性であり、脱毛範囲はS1の単発性の円形脱毛症患者である。この被験者に脱毛症の既往歴はなく、この被験者の家族に円形脱毛症患者はいない。この被験者は、後頭部に単発性の円形脱毛症を発症して、他のクリニックを受診し、1.2mg/gのベタメタゾン吉草酸エステルを含有する、リンデロン(商標)−V軟膏(塩野義製薬株式会社)を6週間塗布したところ、少しだけ発毛したとのことであるが、脱毛班の大きさは拡大した。 そこで、ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の塗付を中止し、4週間休薬した後に、この被験者の後頭部の円形脱毛班に、50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、黒い硬毛の発毛が顕著に認められ、軟毛は太くなり、伸長した。(図39)7.BNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の円形脱毛症に対する治療効果 BNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の円形脱毛症に対する治療効果を表7−2(症例B14)に示す。症例B14 被験者は31歳の女性であり、脱毛範囲はS1の単発性の円形脱毛症患者である。この被験者に円形脱毛症の家族はいない。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト−、ダニ1+、スギ1+、カモガヤ1+、ブタクサ2+であった。10年前にも多発性円形脱毛症に罹患したことがある。今回は、仕事が多忙だった時期に、頭頂部に単発性の円形脱毛症が発症した。 この被験者の頭頂部の脱毛班に、50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1週間塗布したところ、顕著な発毛が確認された(図36)。8.CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の円形脱毛症に対する治療効果 CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の円形脱毛症に対する治療効果を表7−3(症例C21〜C22)に示す。症例C21 被験者は51歳の男性であり、脱毛範囲はS1の単発性の円形脱毛症患者である。この被験者は、過去に円形脱毛症に罹患したことはなく、この被験者の家族にも円形脱毛症患者はいない。この被験者は、来院の約2ヶ月前から右頭頂部に単発性の円形脱毛班が出現した。 この被験者の右頭頂部の円形脱毛班に、1200μg/mlのベタメタゾン吉草酸エステルと1000μg/mlのゲンタマイシン硫酸塩とを含有する「デルモゾールGローション(Dermosol-G Lotion)」(岩城製薬株式会社)と50mg/mlの塩化カルプロニウムを含有する「カルプラニン外用液5%(CALPRANIN)」(大洋薬品工業株式会社)を1日2回で2ヶ月間塗布したが、軟毛が発毛したのみで、それ以上の発毛はなかった。 そこで、デルモゾールGローションとカルプラニン外用液5%の塗布を2ヶ月間で終了し、その3週間後から、この被験者の右頭頂部の円形脱毛班に50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回塗布したところ、2週間の塗布で発毛が認められ、3週間の塗布ではより顕著な発毛となった。CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の塗布を3週間で終了したが、その後1週間経過しても毛髪の伸長は続いて、地肌が隠れるようになった(図37)。症例C22 被験者は33歳の女性であり、頭頂部に単発性の円形脱毛班が出現して来院した。この被験者の脱毛範囲はS1の単発性の円形脱毛症患者である。この被験者の家族に円形脱毛症患者はいない。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ1+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、小学生と中学生のときにも円形脱毛症に罹患している。 この被験者の頭頂部の円形脱毛班に、50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、抜け毛が減り、髪の毛が太くなり、黒い硬毛の発毛が認められた。 CNPゲル剤の塗布を2週間で終了し、その1週間後から同じ部位の円形脱毛班に50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で2週間塗布したところ、抜け毛の減少と太い硬毛の伸長がさらに持続した。(図38)9.ANPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表8(症例A8〜A9)に示す。症例A8 被験者は45歳の男性で、44歳頃から頭頂部に限局して薄毛になった。この被験者は、脱毛部位頭皮に掻痒を伴う紅班、脂漏性鱗屑がみられる、脂漏性脱毛症を合併している被験者である。Hamilton-Norwood分類ではIIvertex型に属する。この被験者の父は、頭頂部に限局した男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストは、ハウスダスト2+、ダニ3+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者は、症例B8の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部の脱毛部位全体に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩2回、2週間塗布したところ、やや紅班が改善したかに見える程度で発毛は全く観察されないばかりか、かゆみが出てきて紅班が出現し、脱毛範囲が拡大した。頭皮の脂漏性の顕著な改善もみられなかった(図27を参照)。症例A9 被験者は75歳の男性で、40歳から50歳頃から頭頂部が薄毛になった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に掻痒を伴う紅班、脂漏性鱗屑がみられ、脂漏性脱毛症を合併している男性型脱毛症である。Hamilton-Norwood分類ではVI型に属する。この被験者の父も男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+でアレルギー性鼻炎の既往がある。この被験者は、ミノキシジルを1年間塗布したが効果はなかった。この被験者は、グリチルレチン酸も2年間使用中であるが効果はない。尚、この被験者は、症例B11の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部の脱毛部位に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩の2回、4日間塗布したが、紅班と脂漏性鱗屑の改善はみられず、脱毛症の改善効果もみられなかった。10.BNPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表9−1(症例B7〜B10)および表9−2(症例B11〜B16)に示す。症例B7 被験者は39歳の男性で、38歳になって頭頂部がヒリヒリして紅班と鱗屑が出現し頭頂部が薄毛になり、男性型脱毛症になった。Hamilton-Norwood分類ではIIvertex型に属する。この被験者の父方の祖父が男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+であった。 この被験者の頭頂部の脱毛部位に100μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、1週間目ころからピリピリした痛みが気にならなくなり、抜け毛が減り、10日間塗布したところ、硬毛が濃くなって薄毛の範囲が縮小し、ほぼ正常な状態にまで回復した。BNPゲル剤の塗布を10日間で中止した後、8ヶ月経過した後も再燃はみられていない(図28−1および図28−2を参照)。症例B8 被験者は45歳の男性で、44歳頃から頭頂部に限局して薄毛になった。この被験者は、脱毛部位頭皮に掻痒を伴う紅班、脂漏性鱗屑がみられ、脂漏性脱毛症を合併している男性型脱毛症である。Hamilton-Norwood分類ではIIvertex型に属する。この被験者の父も、頭頂部に限局した男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。尚、この被験者は、症例A8の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部の脱毛部位全体に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩2回、2週間塗布したところ、やや紅班が改善したかに見えたものの、抜け毛は多いままであり、頭皮の脂漏性は改善されず、脱毛範囲はむしろ拡大した。また、ANPゲル剤の塗布後一時間くらいにはかゆみが生じ、2日目には強いかゆみが出現した。 そこで、この被験者の頭頂部の脱毛部位全体に50μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、BNPゲル剤の塗布開始から1週間目で脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛も気にならない程度に減少し、客観的にも明らかに増毛して薄毛が改善された。 そこで、BNPゲル剤の外用を中止したところ、この被験者は、外用中止後2ヶ月は効果が持続し、抜け毛も少なくかゆみも出ない良好な状態が持続した。また、この被験者は、BNPゲル剤の外用を中止した後3ヶ月くらいで頭頂部の毛のボリュームが減って薄毛が目立ちはじめ、抜け毛が増え、痒みを生じた。 そこで、今度は50μg/gのCNPゲル剤の1日2回の外用を開始したところ、この被験者は血行が良くなる感じを自覚し、5日くらいから抜け毛が減少し、かゆみが消失した。この被験者は、CNPゲル剤の塗付開始後3週目くらいから増毛し、塗布開始から7週間で、ほぼ正常と言える程度まで増毛した。しかし、この被験者は、2〜3ヶ月間CNPゲル剤の塗布を中止すると抜け毛が増加し、頭頂部が薄毛になったため、現在も治療を継続中である。症例B9 被験者は42歳の男性で、40歳頃から頭頂部に限局して薄毛になった。この被験者は、脱毛部位頭皮に軽度の紅班と鱗屑がみられる。Hamilton-Norwood分類ではV型に属する。この被験者の父と母方の祖父が男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストは行なっていない。 この被験者の頭頂部薄毛部位全体に50μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、塗布開始から1週間目で抜け毛が減少し、軟毛だけであった塗布前に比べて軟毛が濃くなり、硬毛の発毛がみられるようになった。3週間ではより毛が濃くなって増毛しているのが客観的にも確認できた。症例B10 被験者は65歳の男性で30代から40代にかけて前頭部と角額部の生え際が後退して薄毛になった。父親も男性型脱毛症である。Hamilton-Norwood分類ではVI型に属する。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ1+、カモガヤ1+、ブタクサ1+でアトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎の既往がある。 左右対称に薄毛になっていたので、効果を判定するために、右前側頭部、いわゆるM型部には50μg/gのBNPゲル剤を、左側にはゲル基剤だけをそれぞれ朝、晩2回塗布したところ2週間目にBNP塗布した右側だけ塗布前に比し軟毛の増毛が確認されたので、BNPゲル剤の濃度を100μg/gに変更して右前側頭部に2週間塗布したところ、50μg/gのBNPゲル剤の塗布時に比較して、はっきりとM型部の軟毛が硬毛化するとともにより太く、長くなった。症例B11 被験者は75歳の男性で、40歳から50歳頃から頭頂部が薄毛になった。この被験者は、脱毛部位の頭皮に掻痒を伴う紅班、脂漏性鱗屑がみられ、脂漏性脱毛症を合併している男性型脱毛症である。Hamilton-Norwood分類ではVI型に属する。この被験者の父も男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、ミノキシジルを1年間塗布したが効果はなかった。この被験者は、グリチルレチン酸も2年間使用中であるが効果はないという。尚、この被験者は、症例A9の被験者と同じ被験者である。 この被験者の頭頂部の脱毛部位に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩の2回、4日間塗布したが、紅班と脂漏性鱗屑の改善はみられなかった。 そこで、この被験者の頭頂部の脱毛部位に50μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、塗布開始から3日目で脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛も気にならなくなった。2週間後には髪質が改善され、毛髪が黒く、太く、濃くなり増毛してきた。そこで、この被験者の、M型部にもBNPゲル剤を1日2回で20日間塗布したところ、硬毛が発毛し、M型部においても毛髪の伸張促進が確認された。この被験者は、現在もBNPゲル剤による治療を継続中である。症例B12 被験者は62歳の男性で、50歳頃から頭頂部が薄毛になり、脱毛部位の頭皮に、掻痒を伴う粃糠様鱗屑と紅班がみられる。この被験者は批糠性脱毛症の合併している男性型脱毛症である。Hamilton-Norwood分類ではIII vertex型に属する。この被験者の父と弟も、男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ2+であり、アトピー性皮膚炎と気管支喘息に罹患している。弟がアトピー性皮膚炎、子供はアレルギー性鼻炎の既往がある。 この被験者の頭頂部の脱毛部位全体に50μg/gのBNPゲル剤を朝と晩2回、3週間塗布したところ、BNPゲル剤の塗布開始から3日目で抜け毛が顕著に減少し、紅班、脂漏性鱗屑も改善した。3週目には毛が濃くなって、増毛し、客観的にも薄毛が改善された(図29を参照)。 次に、BNPゲル剤の塗付を3週間で終了し、その翌日から50μg/gのANPゲル剤を1日2回塗布したところ、この被験者は、脂漏性鱗屑と紅班が出現し、かゆみも出てきたので1週間で塗布を中止した。 そこで、その翌日から、再度50μg/gのBNPゲル剤を1日2回塗布したところ、ANPゲル剤による脂漏性鱗屑、紅班、かゆみが嘘のように、抜け毛が減少し、かゆみと脂漏性鱗屑も改善し、毛が太く、濃くなって、伸長し増毛した。この被験者は、アトピー性皮膚炎を合併しているため体は痒いのに、頭皮には痒未を生じなかった。この被験者は、BNPゲル剤の塗布を2週間で終了した後も2ヶ月間は抜け毛が少ないままで、洗髪時のタオルに付く毛が1、2本くらいであった。しかし、BNPゲル剤の塗布を2週間で終了した後、2ヶ月すると再び抜け毛が増えてきたので、こんどは50μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、抜け毛が顕著に減少し、紅班、脂漏性鱗屑も改善し、痒みも生じなくなった。CNPゲル剤の塗布開始から3週目には毛が太く濃くなって伸長し、増毛した。症例B15 被験者は44歳の男性で、30歳代後半からM型の男性型脱毛症になった。Hamilton-Norwood分類ではIII型に属する、いわゆるM型の脱毛症例である。この被験者の父も男性型脱毛症である。 この被験者の前頭部に100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、5日後にはM型の薄毛部分に黒い硬毛の発毛が見られるようになり、2週間目にはより顕著になった(図40)。 BNPゲル剤の塗布を2週間で終了し、その5日後から50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で1週間塗布したところ、さらに抜け毛が減って洗髪時の脱毛が1〜2本に減少するとともに、髪の毛がより太くなった。この被験者は、多忙のため、塗布を中止して3週間経過した時点においても、確かに塗布前より増毛状態が維持された。症例B16 被験者は46歳の男性で、30歳代後半から前頭部が薄毛になり、40歳を過ぎてから頭頂部も薄毛になった。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではV型に属する、この被験者の父と母方の祖父も男性型脱毛症である。 この被験者の前頭部および頭頂部に100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で3週間塗布したところ、頭頂部に黒い硬毛の発毛が顕著に見られ、毛髪のボリューム感が増し、頭頂部の脱毛範囲が縮小した。この時点での頭頂部の脱毛範囲は、4cm x 3.4cmであった(図41)。 そこで、100μg/gのBNPゲル剤の塗布を3週間で終了し、その翌日から200μg/gのBNPゲル剤の1日2回塗布に変更して2週間塗布したところ、さらに増毛、育毛して、脱毛範囲は2.5cm x 2.4cmに縮小した。また、100μg/gのBNPゲル剤の塗布でははっきりとした改善が認められなかった前頭部の毛髪が、200μg/gのBNPゲル剤の2週間塗布によって、太く、濃くなって、硬毛の数がふえた(図41)。11.CNP軟膏剤の男性型脱毛症に対する治療効果 CNP軟膏剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−1(症例C16〜C17)に示す。症例C16 被験者は56歳の男性であり、40歳代から頭頂部から前頭部にかけて薄毛で軟毛になっている、男性型脱毛症である。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではVa型に属する、いわゆるM型の脱毛部位とO型の脱毛部位をともに有する症例である。この被験者は、以前、1%ミノキシジルを何年も塗布したが効果がなく、最近では赤くなり掻痒も伴うようになったので使用をやめたという。この被験者の場合、脱毛部位の頭皮に紅班、鱗屑などの炎症症状は出ずに薄毛になったという。この被験者は、父、父方の祖父が男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト−、ダニ1+、スギ−、カモガヤ−、ブタクサ−であった。 この被験者の頭頂部および前頭部の脱毛部位全体に100μg/gのCNP軟膏剤を朝と晩の2回塗布したところ、塗布開始から2週間目以降に抜け毛が減り、目でみてもわかるだけの改善効果が見られ、軟毛が濃くなり、塗布開始から4週間経過時には、明らかに軟毛が伸びて濃くなった(図30−1およびぞ30−2を参照)。この被験者は、CNP軟膏剤による治療を8週間継続した後に終了したところ、塗布中止から3ヶ月後以降、徐々に脱毛治療効果が失われた。 そこで、この被験者の頭頂部および前頭部の脱毛部位全体に50μg/gのBNPゲル剤を1日1回で1月間塗布したところ、細い毛が黒く太い毛髪になり、抜け毛も減少した。 50μg/gのBNPゲル剤の塗布開始から2月経過した日から、200μg/gのBNPゲル剤の1日1回塗布に変更したところ、1週間塗布継続した時点で、50μg/gのBNPゲル剤のときよりも、毛が立ってきて毛髪の伸張速度が早まった。この被験者は、5年前からは毛染めしないと白髪であったが、BNPゲル剤を塗布した部分である前頭部のほとんど全部に黒い毛が増毛して伸張した。症例C17 被験者は59歳の男性であり、頭頂部から前頭部にかけて薄毛になっている、男性型脱毛症である。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではVII型に属する、いわゆるM型の脱毛部位とO型の脱毛部位をともに有する症例である。この被験者の場合、脱毛部位の頭皮に紅班、鱗屑、掻爬痕を伴い、掻痒感が強い。この被験者の父、祖父も男性型脱毛症である。この被験者のスクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ−、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、以前、ステロイドを処方されて7ヶ月外用を継続したが、わずか1時間くらいでまた掻痒感が再燃して炎症がおさまらず、改善しなかった。 この被験者の脱毛部位全体に50μg/gのCNP軟膏剤を1日2回、1週間塗布したところ、掻痒が治まり、頭皮の紅班、掻爬痕が消失し、それに伴い頭頂部、前頭部に短い毛の発毛がみられた(図31を参照)。この被験者は、現在もCNP軟膏剤による治療を継続中であり、本願出願時現在、CNP軟膏剤を14日間塗布継続している。12.CNPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−2(症例C24、C37〜C39)に示す。症例C24 被験者は48歳の男性で、男性型脱毛症である。この被験者は、5年前から前頭部の生え際がM型に後退して軟毛化するとともに、頭頂部が薄毛になった。Hamilton-Norwood分類ではIII vertex型に属する。この被験者に薄毛の家族はいない。 この被験者の頭頂部に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、抜け毛が減り、毛が太くなり、毛髪数も増加した(図42)。 CNPゲル剤の塗布を1週間で中止した後、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で1週間塗布したところ、さらに抜け毛が減り、髪の毛がより太くなった。また、CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤塗布開始から2週間後にはM型部でも発毛が観察された。 その後3週間の休薬期間ののち、5%ミノキシジル溶液を塗布した後、100μg/gのCNPゲル剤を重層塗布をしたところ、刺激症状も無く、M型部でも頭頂部でも重層塗布開始から1週経過以降、徐徐にではあるが毛が太くなり硬毛の育毛がみられた。症例C37 被験者は43歳の男性で、40歳代になってから前側頭部、頭頂部が薄毛になっている、男性型脱毛症である。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではV型に属する、いわゆるM型の脱毛部位とO型の脱毛部位をともに有する症例である。 この被験者の前頭部および頭頂部に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、抜け毛が減って洗髪時でも10本程度になり、髪質が細かったのが太くなって伸長し、頭頂部の薄毛が改善され、地肌が透けて見えづらくなった。症例C38 被験者は33歳の男性で、20歳代後半から、髪質が縮毛で細くなってきて、30歳代になってからは男性型脱毛症になった。Hamilton-Norwood分類ではIII vertex型に属し、頭頂部が薄毛になり前側頭部が脱毛している、いわゆるM型脱毛症が見られる。この被験者の父、母方の祖父も男性型脱毛症である。 この被験者の前頭部に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、抜け毛が減って、枕に髪の毛が付かなくなった。2週間目にはこの被験者の頭頂部に増毛が確認され、軟毛が太く、濃くなった。この被験者は、自覚的には仕事で冷凍庫に入った時、頭皮に冷気がしみなくなったという。この被験者は、M型の薄毛部分でも軟毛が太くなり、伸張した。その後も塗布を継続したところ、この被験者は、2ヶ月経過後には頭頂部はかなり硬毛の数が増えて伸長し、増毛し、薄毛が目立たなくなった。M型の薄毛部分でも頭頂部よりは毛が細いが、軟毛ではない硬毛が増加し、伸びて長毛が増えてた。 その後、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で2週間塗布したところ、頭頂部ではさらに増毛し、M型部分では毛が伸張し、太くなったが、ステロイドの副作用とみられる毛膿炎が併発した。症例C39 被験者は34歳の男性で、20歳代後半から、薄毛になり、男性型脱毛症になった。Hamilton-Norwood分類ではV型に属し、頭頂部が薄毛になり前側頭部が脱毛している、いわゆるM型脱毛症が見られる。この被験者の父も男性型脱毛症である。この被験者は、1%ミノキシジル溶液を1年間塗布したが効果はなかった。また、この被験者は、ビオチンと漢方薬を内服したが効果がなかった。 この被験者の前頭部に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で3週間塗布したところ、頭頂部に増毛が確認され、毛が太く、濃くなった。M型部でもゆっくりとしたペースで発毛、育毛が観察された。13.CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の男性型脱毛症に対する治療効果 CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−3(症例C25)に示す。症例C25 被験者は75歳の男性で、男性型脱毛症である。この被験者は、5年前から前頭部の生え際がM型に後退し、頭頂部が薄毛になり始めた。また、この被験者は、半年前からは鱗屑、紅班、掻痒を伴っており、批糠性脱毛症を合併している。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではVI型に属する、いわゆるM型脱毛部位とO型脱毛部位をともに有する症例である。 この被験者の前頭部および頭頂部に25μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で12日間塗布したところ、抜け毛がほとんどなくなり、鱗屑、紅班は完全に消失した。CNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤の塗布を12日間で終了したが、塗付終了の18日後に観察したところ、前頭部の生え際および頭頂部とも髪質が改善し、毛髪が太く長くなるとともに、顕著に増毛した(図43、図44)。14.CNP:クロベタゾール合剤の男性型脱毛症に対する治療効果 CNP:クロベタゾール合剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−4(症例C26)に示す。症例C26 被験者は61歳の男性で、男性型脱毛症である。この被験者は、前頭部および頭頂部が白髪の混じる薄毛になっており、かゆみと鱗屑を伴っている、批糠性脱毛症を合併している症例である。この被験者の父と父方の祖父、母方の祖父も男性型脱毛症である。この被験者は、気管支喘息を罹患している。この被験者にスクラッチテストは行っていない。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではIVa型に属する、いわゆるM型脱毛部位とO型脱毛部位をともに有する症例である。この被験者の前頭部および頭頂部にクロベタゾールプロピオン酸エステルを0.05%含有する「デルモベートスカルプローション0.05%(Dermovate Scalp Lotion 0.05%)」(グラクソ・スミスクライン株式会社)とモメタゾンフランカルボン酸エステルを0.1%含有する「フルメタローション(Fulmeta)」(塩野義製薬株式会社)を9ヶ月間塗布したが、効果は全くみられず、かえって毛髪が薄くなった。 そこで、この被験者の前頭部および頭頂部に50μg/mlCNP:250μg/gクロベタゾール合剤を1日2回で1週間塗布したところ、黒い硬毛の発毛が顕著に認められるとともに、掻痒感がなくなり、フケも出なくなった(図45)。 50μg/mlCNP:250μg/gクロベタゾール合剤の塗布を1週間で終了し、その翌日から50μg/mlBNP:250μg/gクロベタゾール合剤を1日2回塗布したところ、1週間後には黒い硬毛の発毛がさらに顕著になり、2週間後には抜け毛が顕著に減少し、黒い硬毛がとても速いペースで伸長した。15.CNP:塩化カルプロニウム合剤の男性型脱毛症に対する治療効果 CNP:塩化カルプロニウム合剤の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−5(症例C27)に示す。症例C27 被験者は32歳の男性で、男性型脱毛症である。この被験者は、30歳になって急に前頭部のM型の生え際が薄毛になって後退した。また、来院の6週間前に左側頭部に単発性の円形脱毛症も発症した。この被験者に脱毛症の家族はいない。この被験者は、Hamilton-Norwood分類ではIII型に属する、いわゆるM型の男性型脱毛症である。 この被験者の前頭部の男性型脱毛症部分および左側頭部の円形脱毛班に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、2週間後にはM型の生え際部分においても円形脱毛班においても、黒い硬毛の発毛が認められた(図46)。 CNPゲル剤の塗布を2週間で終了し、その翌日からCNP:塩化カルプロニウム合剤を1日2回塗布したところ、1週間で単剤塗布時より更に多数の黒い硬毛が発毛した。16.CNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布の男性型脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−6(症例C40)に示す。症例C40 症例C40は、C24と同じ被験者であり、男性型脱毛症の症例である。この症例の詳細は、症例C24の症例として記載したとおりである。 この被験者に5%ミノキシジル溶液を塗布した後、100μg/gのCNPゲル剤を重層塗布をしたところ、刺激症状も無く、M型部でも頭頂部でも重層塗布開始から1週経過以降、徐徐にではあるが黒い硬毛の育毛がみられた。17.BNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布の男性型脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤とミノキシジルの重層塗布の男性型脱毛症に対する治療効果を表10−7(症例B29)に示す。症例B29 被験者は52歳の男性で、Hamilton-Norwood分類ではIV型に属する男性型脱毛症である。この被験者は、23歳頃から前頭部が薄毛になり、現在は、頭頂部も薄毛になっている。この被験者に脱毛症の家族はいない。この被験者は、半夏厚朴湯内服で効果はなかった。 この被験者の頭頂部の男性型脱毛症部分に100μg/gのBNPゲル剤を1日2回塗布したところ、2週間後には抜け毛が劇的に減少し、頭頂部の髪の毛が太く、濃くなり、黒い硬毛の発毛が認められた。しかし、その後、BNPゲル剤の塗布を3週間中断したところ、髪の毛に腰がなくなって、弾力がなくなった。 そこで、5%ミノキシジル溶液を塗布した後に100μg/gのBNPゲル剤を塗付する重層塗布を1週間行なったところ、刺激症状もなく、髪に腰がでてきて、頭頂部の薄毛が改善された。症例C32 症例C32は、男性型脱毛症と脂漏性脱毛症の合併症例であり、症例A9、B11、B22と同じ症例である。 この被験者の頭頂部とM型部の薄毛部位に100μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、塗布開始から3日目で脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛も気にならなくなった。この被験者は、2週間後には髪質が改善され、太く濃くなり増毛した。この被験者は、M型部でも塗布2週目になって、軟毛が太く、濃くなって、ゆっくりとではあるが、毛髪の伸長が認められた。 この被験者の頭頂部の薄毛範囲をもっと縮小できる外用剤を検討するため、頭頂部とM型部に5%ミノキシジル溶液を塗布した後に100μg/gのBNPゲル剤を重層塗付したところ、重層塗布の開始から1週間経過後には、BNP単剤塗布時より、頭頂部の毛が黒く濃くなって増毛した。この被験者は、現在は5%ミノキシジルと100μg/gのBNPゲル剤の重層塗布治療を継続中である。18.ANPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果を表10−8(症例A10)に示す症例A10 この被験者は45歳の女性であり、出産を契機に頭頂部が薄毛になった。 この被験者の頭頂部に100μg/gのANPゲル剤を1日2回で3週間塗布したところ、抜け毛は減らないばかりか頭頂部の脱毛範囲が拡大してしまった。 そこで、ANPゲル剤を3週間で終了し、6ヶ月間休薬したのち、頭頂部の脱毛部位に50μg/gのBNPゲル剤を3〜4日に1回の頻度で、3週間塗布したところ、頭頂部の薄毛が、外見的に目に留まらないくらいに増毛した(図47)。19.BNPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果を表10−9(症例B17)に示す症例B17 症例B17は、症例A10と同じ被験者である。 ANPゲル剤の塗布が終了してから6ヶ月後に、頭頂部に50μg/gのBNPゲル剤を3〜4日に1回の頻度で3週間塗布したところ、硬毛が増毛して、抜け毛が減少し、薄毛が気にならない程度まで回復した(図47)。20.CNPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の分娩後脱毛症に対する治療効果を表11−1(症例C18)に示す。症例C18 被験者は27歳の女性であり、分娩後脱毛症の患者である。アトピー性皮膚炎の既往があり、アトピー素因のある症例である。この被験者の母は、アレルギー性鼻炎を患っており、この被験者の母も頭頂部が薄い女性型脱毛症である。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ2+、ブタクサ2+であった。この被験者は、7月前の出産を契機に急に髪が抜けてしまった。この被験者は、頭頂部から前頭部にかけて薄毛が目立つ。この被験者は、ステロイドと塩化カルプロニウムを5ヶ月間塗布し続けたが、抜け毛が多いままであり、頭頂部の薄毛は改善されなかった。 この被験者の頭頂部全体に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、7日間の塗布で抜け毛が劇的に減り、一日に5〜6本くらいしか抜けないくらいに改善し、頭皮の脂漏性も改善した(図32を参照)。また、前頭部から頭頂部にかけて、短い硬毛が沢山生えてきて、客観的にも頭頂部の薄毛が目立たなくなって、ほぼ正常な状態になった。しかし、CNPゲル剤の塗布を7日間で終了して半年経過して夏になった頃に、また抜け毛が増えて、頭頂部は薄毛になった。 そこで、今度は100μg/gのBNPゲル剤を頭頂部全体に1日2回塗布したところ、7日間の塗布で抜け毛が劇的に減り、短毛の硬毛が沢山発毛してきた。BNPゲル剤の塗付を7日間で終了したが、その後半年間、再発していない。21.BNPゲル剤の女性型脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の女性型脱毛症に対する治療効果を表11−2(症例B18〜B20、B27)に示す。症例B18 被験者は56歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。この被験者は、切れ毛と抜け毛が多く、正中線を中心としたびまん性の脱毛が認められた。この被験者の父、祖父、兄は男性型脱毛症である。 この被験者の頭頂部に50μg/gの濃度のBNPゲル剤を塗布したところ。塗布開始から2週間後位から、発毛と育毛が顕著に認められ、塗布中はシャンプー時の手に付く抜け毛の数が10本程度に減少した。この被験者は、最終的に地肌が見えないくらいに増毛した。その後、4ヶ月外用していなくても硬毛のままで抜け毛が少ない状態が維持できている。症例B19 被験者は59歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。この被験者は50代になって前頭部の分け目部分の薄毛が目立つようになった。 そこで、100μg/gのBNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、増毛し正常と言える程度にまで薄毛が目立たなくなったので、塗布を終了した。 しかし、半年後に、前頭部の分け目部分の薄毛が再び目立つようになったので、今度は50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、薄毛が気にならない程度まで増毛した(図48)。 そこで、さらに、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で塗布したところ、1週間の間は抜け毛の増えない状態が維持され痒くもならなかったものの、2週間目には軽度の紅班が見られるとともに、やや頭皮が見えるようになった。そこで、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤の塗布を10日間で中止して翌日から100μg/gのCNPゲル剤に変更したところ、1日2回1週間の塗布で再び増毛した。 しかし、100μg/gのCNPゲル剤の塗布を1週間で終了し、100μg/gのANPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、軽度の紅班が出現し頭皮が透けて見えるようになり塗布前より薄毛になった。症例B20 被験者は50歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。この被験者は、頭頂部から前頭部にかけて数年前から薄毛になって、分け目が拡大してきた。この被験者の母も女性型脱毛症であり、父は男性型脱毛症である。 この被験者の頭頂部に1200μg/mlのベタメタゾン吉草酸エステルと1000μg/mlのゲンタマイシン硫酸塩とを含有する「デルモゾールGローション(Dermosol-G Lotion)」(岩城製薬株式会社)を8週間塗布し続けたが、薄毛は全く改善されなかった。 そこで、この被験者の頭頂部に50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、1週間で抜け毛が3分の1くらいに減少し、2週間後には薄毛が目立たなくなった(図49)。BNPゲル剤の塗布を2週間で中止した後、1月くらいは抜け毛が少ない状態で維持されたが、1月後から抜け毛が再び増加してきた。 そこで、50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、BNPゲル剤の場合と同様に抜け毛が3分の1くらいに減少し、2週間後には薄毛が目立たなくなった。 さらに、CNPゲル剤の塗布を2週間で中止して、その2週間後に50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で2週間塗布したところ、抜け毛が減少した状態が維持された。50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤の塗布を2週間で中止した後2週間経過しても薄毛は目立たず正常といえる状態を保った。症例B27 被験者は66歳の女性であり、65歳から薄毛になった。頭皮の脂漏性鱗屑が目立つ脂漏性脱毛症を合併した女性型脱毛症である。この被験者は、頭頂部から前頭部、左M型部にかけて薄毛でかなり地肌が透けてみえている。この被験者は、抜け毛が非常に多く、触っただけで直ぐにぬける状態であった。この被験者の父および兄が男性型脱毛症である。 この被験者の頭頂部に50μg/gの濃度のBNPゲル剤を1日2回で塗布したところ塗布開始から4〜5日位で発毛と育毛が認められ、頭皮脂漏性鱗屑は顕著に改善された。塗布前は触っただけでも大量に抜けていたこの被験者の抜け毛が減少した。この被験者は、50μg/gの濃度のBNPゲル剤の塗布開始から21日後には地肌が見えないくらいまでに薄毛が目立たなくなった。22.CNPゲル剤の女性型脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の女性型脱毛症に対する治療効果を表12(症例C19、C28およびC29)に示す。症例C19 被験者は56歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。アトピー性皮膚炎の既往があり、この被験者の母もアレルギー性鼻炎を患っている、アトピー素因のある症例である。この被験者の父は男性型脱毛症であり、この被験者の母は女性型脱毛症である。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ1+、カモガヤ1+、ブタクサ1+であった。この被験者は、10年前から頭頂部が薄毛になってきている。この被験者は、ステロイドと塩化カルプロニウムの外用では効果がみられなかった。 この被験者の前頭部および頭頂部の薄毛部分に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布したところ、4日間の塗布で抜け毛が減り、前頭部と頭頂部に新たな硬毛の発毛が見られ、頭皮の分け目が広がらなくなった(図33を参照)。しかし、CNPゲル剤の塗布を2週間で終了したところ、塗付終了から2週間程度で、再び前頭部と頭頂部の頭皮に軽度の紅班と鱗屑が出現して薄毛になった。 そこで今度は50μg/gのBNPゲル剤を1日2回で3週間塗布したところ、軟毛が太くなって、発毛がみられ、薄毛が改善された。しかし、BNPゲル剤の塗付を3週間で終了したところ、塗付終了から1ヶ月間程度で、再び前頭部と頭頂部の頭皮に軽度の紅班と鱗屑が出現して薄毛になった。 そこで、50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回で1週間塗布したところ、軟毛が太くなって、薄毛が改善された。症例C28 被験者は62歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。この被験者は、2011年3月11日の東日本大震災後の4月頃から頭皮がかさついてきて前頭部から頭頂部にかけて薄毛になった。この被験者の父は、35歳くらいから男性型脱毛症のため全頭脱毛状態になっている。 この被験者の前頭部および頭頂部に50μg/gのCNPゲル剤を1日1回〜2回で2週間塗布したところ、抜け毛が減少し、前頭部から頭頂部にかけて増毛が顕著にみられた。さらに2週間CNPゲル剤の塗布を継続したところ、ほとんど薄毛がわからないくらいまで増毛した(図50)。 塗布中止後1月で、また少し薄毛が目立ってきたので、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤1日2回2週間塗布したところ、増毛状態が維持された。症例C29 被験者は60歳の女性であり、女性型脱毛症の患者である。この被験者は、1年前から鱗屑と掻痒が出現し、前頭部の生え際が薄毛になった。 そこで、この被験者の前頭部に50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、毛髪の分け目が広がって頭皮が透けて見えることがなくなる程度まで増毛した。CNPゲル剤の塗布を中止した後も6週間後においても効果は持続し、頭皮が透けて見えることはなかった。23.ANPゲル剤の脂漏性脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の脂漏性脱毛症に対する治療効果を表13(症例A11、A12)に示す。症例A11 症例A11は、男性型脱毛症と脂漏性脱毛症の合併症例であり、症例A8、B8と同じ症例である。この症例は、その詳細を症例A8、B8の症例として記載したとおりであり、頭頂部の脱毛部位全体に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩2回、塗布したところ、2日目には強いかゆみが出て、抜け毛も増えて、脱毛範囲も拡大し、頭皮の脂漏性の増悪と紅班が出現し発毛は観察されなかった。症例A12 症例A12は、男性型脱毛症と脂漏性脱毛症の合併症例であり、症例A9、B11と同じ症例である。この症例は、その詳細を症例A9、B11の症例として記載したとおりであり、頭頂部の脱毛部位に100μg/gのANPゲル剤を朝と晩の2回、4日間塗布したが、紅班と脂漏性鱗屑の改善はみられず、脱毛症の改善効果もみられなかった。24.BNPゲル剤の脂漏性脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の脂漏性脱毛症に対する治療効果を表14(症例B21、B22)に示す。症例B21 症例B21は、男性型脱毛症と脂漏性脱毛症の合併症例であり、症例A8、B8と同じ症例である。この症例は、その詳細を症例A8、B8の症例として記載したとおりである。 この被験者の頭頂部の脱毛部位全体に50μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、BNPゲル剤の塗布開始から1週間目で脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛も気にならない程度に減少し、客観的にも頭頂部で毛が太くなり、硬毛の数が増えて薄毛が改善された。 この被験者へのBNPゲル剤の塗付を3週間で終了したところ、2ヶ月で頭頂部のボリューム感が減少してかゆみがでてきた。 そこで、頭頂部に5%ミノキシジル溶液を塗布した後に100μg/gのBNPゲル剤を重層塗布したところ、ANPゲル剤を塗布した時のような刺激症状はなく、重層塗布の開始から1週間経過後に、抜け毛が減少して痒みがなくなり、発毛効果がみられた。この被験者は、現在は5%ミノキシジル溶液と100μg/gBNPゲル剤の重層塗布治療を継続中である。症例B22 症例B22は、男性型脱毛症と脂漏性脱毛症の合併症例であり、症例A9、B11と同じ症例である。この症例は、その詳細を症例A9、B11の症例として記載したとおりである。 この被験者の頭頂部とM型部の薄毛部位に100μg/gのBNPゲル剤を朝と晩の2回塗布したところ、塗布開始から3日目で脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛も気にならなくなった。この被験者は、2週間後には髪質が改善され、太く濃くなり増毛した。この被験者は、M型部でも塗布2週目になって、軟毛が太く、濃くなって、ゆっくりとではあるが、毛髪の伸長が認められた。 この被験者の頭頂部の薄毛範囲をもっと縮小できる外用剤を検討するため、頭頂部とM型部に5%ミノキシジル溶液を塗布した後に100μg/gのBNPゲル剤を重層塗付したところ、重層塗布の開始から1週間経過後には、BNP単剤塗布時より、頭頂部の毛が黒く濃くなって増毛した。この被験者は、現在は5%ミノキシジルと100μg/gのBNPゲル剤の重層塗布治療を継続中である。25.ANPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果を表15(症例A13)に示す。症例A13 症例A13は、円形脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例であり、症例A6、C3、C4、C30と同じ症例である。ただし、CNP軟膏剤は頭頂部に塗布した。この症例は、その詳細を症例A6、C3、C4の症例として記載したとおりでああり、100μg/gのANPゲル剤を2週間塗布しても効果はなく、かさかさした鱗屑が増加して掻痒があり、脱毛範囲がむしろ拡大してしまった。26.ANP軟膏剤の批糠性脱毛症に対する治療効果 ANP軟膏剤の批糠性脱毛症に対する治療効果を表15(症例A14)に示す。症例A14 症例A14は、円形脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例であり、症例A1、C5、と同じ症例である。ただし、CNP軟膏剤は2週間の休薬期間をおいた後に塗布した。この症例は、その詳細を症例A1、C5の症例として記載したとおりであり、100μg/gのANPゲル剤を1日2回3週間塗布したところ、軟毛の発毛がみられたが、頭皮の紅斑と批糠性落屑は軽快せず、掻痒もあった。27.BNPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果を表16(症例B23、B28)に示す。症例B23 被験者は81歳の男性であり、3年前から前頭部から頭頂部にかけて薄毛になった。頭皮には粃糠性鱗屑がみられる、老人性脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例である。 この被験者の前頭部および頭頂部に、50μg/gのBNPゲル剤を2週間塗布した後、1週間の休薬期間をおいて、200μg/gのBNPゲル剤を1日1回で5日間塗布したところ、批糠性落屑が軽快し、軟毛が硬毛化して黒々としてきて、薄毛は大幅に改善された(図51)。症例B28 被験者は59歳の男性であり、批糠性脱毛症である。この被験者は、前頭部から頭頂部にかけてほとんど毛がないくらいの薄毛状態である。2年前から薄毛になり、1年半の間、0.05g/mlのミノキシジルを含有するリアップX5(商標)を1日2回塗布したが、フケがひどくなって、痒みを生じ、4ヶ月前から抜け毛と薄毛が急激に増悪した。この被験者は、洗髪時に、頭皮の鱗屑に髪の毛が大量に付着して抜ける状態であった。 そこで、この被験者の前頭部および頭頂部に20μg/gのBNPゲル剤を1日2回で7日間塗布したところ、効果は非常に良く、かゆみもなくフケも生じなくなるとともに、洗髪時の抜け毛も数本抜ける程度に減少した。また、BNPゲル剤の塗布によって、前頭部および頭頂部に厚く堆積した鱗屑が消失し、かなり明らかな発毛および増毛が前頭部から頭頂部にかけて認められた(図53)。28.CNPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の批糠性脱毛症に対する治療効果を表17(症例C30、C31)に示す。症例C30 症例C30は、円形脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例であり、症例A6、C3、C4、A13と同じ症例である。ただし、CNP軟膏剤は右前頭部に塗布した。この症例は、その詳細を症例A6、C3、C4の症例として記載したとおりであり、100μg/gのCNPゲル剤の1日2回3週間の塗布によって塗布中止後も順調に回復し、塗布中止から8ヶ月経過後も塗布部位に再燃はみられていない。症例C31 被験者は42歳の男性であり、批糠性脱毛症の患者である。30歳代後半から前頭部と頭頂部が薄毛になった。2年前から抗真菌剤であるケトコナゾールを2%含有する「外用ニトラゼンクリーム2%(Nitrazen Cream 2%)」(岩城製薬株式会社)および1.2mg/gの合成副腎皮質ホルモンであるベタメタゾン吉草酸エステルと1mg/gの抗生物質であるゲンタマイシンとを含有する「ベトノバールGクリーム(Betnoval G Ointment Cream)」(佐藤製薬株式会社)を塗り続けてきたが全く効果はなかったのみならず、1年前からはフケが厚く付着し、薄毛もさらに悪化した。 そこで、この被験者の前頭部と頭頂部に100μg/gのCNPゲル剤を1日2回で2週間塗布したところ、厚く固着した鱗屑がかなり消失し、頭頂部では増毛し始めた(図52)。29.CNP軟膏剤の批糠性脱毛症に対する治療効果 CNP軟膏剤の批糠性脱毛症に対する治療効果を表18(症例C33)に示す。症例C33 症例C33は、円形脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例であり、症例A6、C3、C4、A13、C30と同じ症例である。ただし、CNP軟膏剤は右前頭部に塗布した。この症例は、その詳細を症例A6、C3、C4の症例として記載したとおりであり、100μg/gのCNP軟膏剤の1日2回2週間塗布することにより、はっきりとした発毛がみとめられ、頭皮の紅斑、鱗屑も消失した。30.ANPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果 ANPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果を表19(症例A15)に示す。症例A15 被験者は74歳の男性であり、フケがあり、抜け毛が多く、頭部全体が薄毛になっており、白髪が目立つ、老人性脱毛症である。また、この被験者は、頭皮に強い痒みがあり、フケが多く、抜け毛も多い。 この被験者の頭頂部に100μg/gのANPゲル剤を1日2回で1週間塗布したところ、紅班、鱗屑、掻痒が増悪し、増毛効果はなく、むしろ脱毛が増えた(図54)。 そこで、ANPゲル剤を1週間で中止し、翌日から50μg/gのCNPゲル剤を1日2回で塗布したところ、2日間の塗布で、紅班、鱗屑、掻痒が軽快した。その後さらに4週間の期間、50μg/gのCNPゲル剤を1日2回塗布し続けたところ、特に前頭部に明らかな増毛が見られるようになり、抜け毛がなくなった(図54)。また、生えてきた毛髪は黒い硬毛であり、強くこすっても抜けなくなった。74歳という高齢でもCNPゲル剤によって増毛効果がみられた事は驚きであった。31.BNPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果を表20(B24)に示す。症例B24 症例B24は、老人性脱毛症と批糠性脱毛症の合併症例であり、症例B23と同じ症例である。そのため、この症例は、その詳細を症例B23として記載したとおりである。 この被験者の前頭部および頭頂部に200μg/gのBNPゲル剤を1日1回で5日間塗布したところ、批糠性落屑が軽快し、豊かな黒い硬毛が生え、薄毛は大幅に改善された(図51)。塗布前までは、白髪がほとんどであったが、塗布後に発毛して来た毛髪は黒い毛であった。32.CNPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の老人性脱毛症に対する治療効果を表21(症例C34)に示す。症例C34 被験者は70歳の女性であり、68歳から頭頂部が薄毛になった。被験者によれば、薄毛となった頭頂部の皮膚が萎縮していて触れないくらい痛いという。そこで、50μg/gの濃度のCNPゲル剤を1日2回で3日間塗布したところ、頭皮の痛みが緩和し、抜け毛が少なくなった。その後、さらに3日間塗布を継続したところ、頭皮の紅班は消失し、掻痒、痛みも自覚されなくなって増毛が認められた。 なお、この時点で1200μg/mlのベタメタゾン吉草酸エステルと1000μg/mlのゲンタマイシン硫酸塩とを含有する「デルモゾールGローション(Dermosol-G Lotion)」(岩城製薬株式会社)のみに変更したところ、3日後には頭頂部の皮膚がピリピリするようになって、軽度紅班が出現し再び薄毛になった。 そこで、100μg/gの濃度のBNPゲル剤を1日1回で1週間塗布したところ、頭頂部の紅班が消失し、増毛して薄毛が目立たなくなった。 さらに、50μg/gBNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1週間塗布したところ、デルモゾールGローションだけの塗布で出現した頭頂部の紅班と薄毛化の症状は出現せず、塗布開始から3週間経過しても増毛した状態が維持された。33.BNPゲル剤の癌化学療法剤性脱毛症に対する治療効果 BNPゲル剤の癌化学療法剤性脱毛症に対する治療効果を表22(症例B25)に示す。症例B25 被験者は54歳の女性である。被験者は悪性リンパ腫と診断され、2011年4月から9月までの期間にR−CHOP療法を6クール受けた。なお、R−CHOP療法とは、複数の化学療法剤を用いたカクテル療法の一種であり、1日目にヒトB細胞表面抗原であるCD20に対するマウス−ヒト・キメラモノクローナル抗体であるリツキシマブの点滴静注を受け、2日目には、合成副腎皮質ホルモン剤であるプレドニゾロンの錠剤の毎食後内服と、微小管重合阻害剤であるビンクリスチンの静注と、DNAとRNAの合成阻害剤であるドキソルビシンの静注と、DNA合成阻害剤のプロドラッグであるシクロホスファミドの静注を受け、3日目〜6日目には、プレドニゾロンの錠剤のみを毎食後内服し、7日目〜21日目は休薬期間とする投与スケジュールを1クールとして、この投与サイクルを繰り返す治療法である。被験者は、第1クール中の2週目から髪が抜け始め、第4クールが終了する7月には全部ぬけてしまった。9月に治療が終了してから徐々に髪が生え始めたものの、生えてきたのは真白い白髪であり、左側生え際部分は後退して非常に薄くなってしまった。 この左側生え際部分に100μg/gの濃度のBNPゲル剤を1日2回、1週間塗布したところ、2週間後には白い産毛のような薄毛状態だったところに黒い硬毛が生えてきて、徐々に増毛し、M型に後退していた生え際部分に黒髪が丸く生えそろって見えるようになった。左側生え際M型部位のBNPゲル剤塗布部位では、発毛した毛はすべて黒い毛であった。その後3ヶ月間塗布していないが抜け毛の再発と白髪化は見られない。34.CNPゲル剤の癌化学療法剤性脱毛症に対する治療効果 CNPゲル剤の癌化学療法剤性脱毛症に対する治療効果を表23(症例C35)に示す。症例C35 被験者は47歳の女性である。被験者は2009年11月に子宮体部癌の切除手術を受けた後、癌化学療法剤であるシスプラチンによる治療を6クール受け、2010年3月に癌化学療法を終了した。被験者はシスプラチンによる治療に伴って全頭脱毛になったのち、シスプラチンによる治療が終了後ほぼ1年経過した2011年5月頃から細くて柔らかい短い毛が生えてきたものの前頭部から頭頂部にかけては薄毛の状態にまでしか回復しなかった。これに対し被験者は、塩化カルプロニウムを6ヶ月間塗布したが、効果はみられなかった。 そこで、塩化カルプロニウムの塗布を中止した。中止2ヶ月後から50μg/gの濃度のCNPゲル剤を1日2回、6週間にわたって前頭部から頭頂部に塗布したところ、前頭部から頭頂部にかけて、髪の毛の本数も増えてかなりの増毛が認められ、毛が太くなって、毛髪伸張が確認されるようになった(図56−1)。 CNPゲル剤の塗布を6週間で終了し、その3週間後からCNP:ベタメタゾン:ゲンタマイシン合剤を1日2回で2週間塗布したところ、さらに増毛した。 さらに、この時点で、左側頭部に円形脱毛症が新生したため、50μg/gCNP:600μg/mlベタメタゾン:500μg/mlゲンタマイシン合剤を1日2回塗布したところ、2週間で発毛が確認され、3週間後には顕著な硬毛の発毛が確認された(図56−2)。症例試験結果のまとめ 上記試験例から明らかなとおり、本発明の脱毛症治療剤による脱毛の回復率は非常に高く、その発毛促進効果発現までの期間は短かった。本発明の脱毛症治療剤を1週間から2週間塗布することにより、発毛が確認できる場合がほとんどであり、3週目には明らかな発毛がみられた。また、本発明の治療剤は、白髪を黒髪に回復させ、批糠性脱毛症患者のフケを減少させ、脂漏性脱毛症患者の脂漏性頭皮を改善した。 本発明の脱毛症治療剤は、CNPまたはBNPを有効成分とする場合には、治療効果が顕著であり、1日2回、1週間の塗布で、ほぼ確実に発毛し、2週間の塗布で硬毛となり、4週間の塗布で地肌が見えにくくなった。さらに特筆すべきは軟毛が生えてきた後は塗り続ける必要がなく、軟毛が濃く太くなって硬毛化して伸びつづけたことである。 特に、CNPを有効成分とする本発明の脱毛症治療剤は、BNPを有効成分とする場合よりも、確実に脱毛部位の炎症を抑えることができて、抜け毛の量が1日から数日で劇的に減少しより早く発毛が生じた。一方、BNPを有効成分とする本発明の脱毛症治療剤は、黒い硬毛が発毛する場合が多いことが特徴であった。また、本発明の脱毛症治療剤は、ANPを有効成分とする場合には、頭皮に紅班、鱗屑、脂漏性の落屑などが見られない脱毛症に限って有効であったが、紅班やかゆみが出て、塗布前よりも悪化してしまう場合が多かった。 さらに、本発明の脱毛症治療剤は、円形脱毛症、男性型脱毛症に対して著効を示すとともに、脂漏性脱毛症および粃糠性脱毛症の炎症を抑えて発毛させることができ、フケを劇的に減少させ、かゆみも抑えることができた。また、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症においても毛髪の再生を促し、さらには癌化学療法剤性脱毛症においても黒髪の発毛を促すことが確認された。 本発明の脱毛症治療剤は、男性型脱毛症、女性型脱毛症、脂漏性脱毛症、批糠性脱毛症および老人性脱毛症においても改善効果の持続期間が長く、少なくとも塗布終了後も2ヶ月以上に渡って塗布部位に脱毛が再燃することはなかった。 これらの治療効果は男性型脱毛症の治療においてフィナステリドの内服を1年間続けた後に中止した群では、改善効果が消失し男性型脱毛症が進行してしまうこととは対照的な、本発明に顕著な効果であった。すなわちフィナステリドの効果が内服期間だけにみられるのに比し、本発明の脱毛症治療剤の外用を1〜3週間塗布することにより、使用中止後も約2ヶ月間、改善された発毛状態が維持された。本発明の脱毛症治療剤の塗布中止から3ヶ月経過した以降には、もとの脱毛状態にもどってしまうこともあったが、その場合でも、再び本発明の脱毛症治療剤を塗布することにより、副作用なく、前回と同じ黒い硬毛が発毛した。 さらに、円形脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症については、本発明の脱毛症治療剤の外用を1〜3週間塗布することにより、使用中止後も発毛状態は改善しつづけて治癒し、塗布部位に脱毛症は再燃しなかった。 またBNPとCNPでは塗布による局所の刺激症状、皮膚萎縮、掻痒感などの有害事象は全くみとめらず、全身の副作用もみとめられなかった。 本発明の脱毛症治療剤は、円形脱毛症、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症および癌化学療法剤性脱毛症の治療に顕著な効果を奏することが確認されたことから、これらについての治療に有効であるばかりでなく、凡そ全ての脱毛症治療に有効であることが実質的に証明された。 すなわち前記各脱毛症は、それぞれに発症機序が全く異なるところ、これらの異なる様々な脱毛症に有効であることからみて、脱毛症全般の治療に有用であることは明らかだからである。 また、本明細書に開示されるとおり、本発明の脱毛症治療剤の有効性が確認された被験者は、被験者本人または被験者の血縁家族に免疫疾患の既往もしくは合併を有する被験者も、有さない被験者もともに多数含んでいることからみて、本発明の脱毛症治療剤は、免疫疾患の遺伝的背景、既往または合併症を有する対象に対しても、有さない対象に対しても、同様に有用である。さらに、被験者のアレルギー性素因との関係についても、本発明の脱毛症治療剤の有効性は、その有効性が確認された被験者のスクラッチ試験の結果との間に、何らの法則性も見られないことからみて、本発明の脱毛症治療剤は、対象が、いかなるアレルギー性素因を有するか、あるいは、そもそもアレルギー性素因を有するか否かに拘わらず、同様に有効である。 本発明の脱毛症治療剤は、円形脱毛症および男性型脱毛症の治療に顕著な効果を有することが確認された。円形脱毛単発性の円形脱毛症はもとより、脱毛期間が長く、脱毛範囲が広い難治性の多発性円形脱毛症であっても、さらに難治性の蛇行状脱毛症型の円形脱毛症であっても、自覚的に発毛が確認出来るまでの期間が短く治療に伴う苦痛も全くないため、精神的な苦痛、QOL(生活の質)の早期回復をはかることができる、非常に推奨できる全く新しい治療法といえるものである。 本発明の脱毛症治療剤は、単発型はもとより重症であるS2以上の多発性円形脱毛症や、頭部以外にも脱毛が合併した症例、あるいは難治性といわれるアトピー疾患合併症例、蛇行状脱毛症にも非常に有効であることが明らかとなった。 本発明の脱毛症治療剤は、分娩後半年以上経過しても、自然治癒しない分娩後脱毛症の患者の毛髪をほぼ分娩前と同じ状態にまで回復させることができ、ステロイドや塩化カルプロニウムによる治療に抵抗性の対象に対しても有効であることが明らかとなった。 本発明の脱毛症治療剤は、女性型脱毛症にも有効であり、1〜2週間の塗布で、外見的に気にならない程度まで毛髪を回復させることができ、塩化カルプロニウム、ステロイド、抗真菌剤に対して治療抵抗性の患者にも有効であることが示された。本発明の脱毛症治療剤を女性型脱毛症に使用した場合、塗布中止から1ヶ月ほどすると薄毛に戻る場合があるが、再び塗布することにより前回の塗布と同じように毛髪が回復して、副作用もみられないことが確認された。 本発明の脱毛症治療剤は、脂漏性脱毛症の脱毛部位の紅班、脂漏性鱗屑、掻痒が顕著に改善し、抜け毛を減少させることが明らかとなった。 本発明の脱毛症治療剤は、批糠性脱毛症の紅斑および鱗屑を消失させることができ、黒い硬毛を発毛させることがで、塗布中止から1ヶ月経過しても再燃しないことが確認された。また、本発明の脱毛症治療剤は、抗真菌剤やステロイドに対して治療抵抗性の批糠性脱毛症に対しても著効を示した。 本発明の脱毛症治療剤は、老人型脱毛症に対しても、頭皮の痛みおよび痒みを緩和し、紅班および批糠性落屑を軽快させ、黒い硬毛生えることが示された。 本発明の脱毛症治療剤は、癌化学療法剤性脱毛症に対しても有効であり、白髪となってしまった部分であっても黒髪を発毛させることができ、塗布中止から2ヶ月以上経過しても発毛状態が維持されることが確認された。 本発明の脱毛症治療剤の効果は、BNPまたはCNPのいずれを有効成分としても顕著な脱毛症治療効果を発揮した。また頭皮に紅班、鱗屑、脂漏性紅班、脂漏性落屑、粃糠性落屑がみられない場合にかぎってはANPを有効成分としても発毛効果を発揮した。 したがって、ANP、BNPおよびCNPから選択される2以上のNPのキメラペプチドも同様の脱毛症治療効果を示すと理解することができる。また、一般に、ANPとBNPがNPR−A受容体を活性化して血管拡張作用、利尿作用、細胞増殖抑制作用をもたらし、CNPがNPR−B受容体を介して血管平滑筋細胞の増殖抑制作用を示すと考えられていることを考えると、CNPまたはBNPを有効成分とする本発明の脱毛症治療剤が特に顕著な脱毛症治療効果を発揮したことは驚くべきことであり、BNPとCNPのキメラペプチドも同様の脱毛症治療効果を示すと理解するのに十分である。 円形脱毛症は、若年の女性にも男性と同じ頻度で発症し、その容貌を大きく損なうにもかかわらず、長い間にわたって、ステロイド局注や、意図的に皮膚をかぶれさせて免疫の変調を期待するといった、乱暴な治療方法しかなかった。 しかも、これらの治療効果は高くなく、ステロイド局注による皮膚萎縮や、局所免疫療法による全身性接触皮膚炎などの有害事象を招来しうる治療法であった。それに対し、本発明の脱毛症治療剤は、特に円形脱毛症に著効を示し、BNPとCNPにおいては副作用もなく、効果は塗布期間だけにみられるのではなく塗布中止後も改善状態は維持され、塗布しなかった部位に脱毛班が新生する事はあっても塗布部位の再燃は経験した症例では起こっていないので、円形脱毛症に悩む患者にとって大きな希望である。 ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分とする本発明の脱毛症治療剤は、円形脱毛症患者、男性型脱毛症患者、女性型脱毛症患者、分娩後脱毛症患者、脂漏性脱毛症患者、粃糠性脱毛症患者、老人性脱毛症患者、癌化学療法剤性脱毛症患者、放射線被爆による脱毛症患者の脱毛部位に発毛、育毛、増毛を促し、脱毛症を著明に改善することが可能であり、掻痒感、刺激感、女性化などの副作用もなく、使用を中止しても長期にわたって脱毛症治療効果が失われない。 また、ミノキシジルやフィナステリドに治療抵抗性の男性型脱毛症にも治療効果を示し、ステロイド局注や局所免疫療法に治療抵抗性の円形脱毛症にも顕著な治療効果を示す。 したがって、本発明の脱毛症治療剤は従来のミノキシジルまたはフィナステリドによっては十分な治療効果が得られない脱毛症、および、免疫の過剰反応または免疫の異常が関与して発症する脱毛症に対して極めて有効な治療薬としてその有用性が期待できる。 特に、本発明の脱毛症治療剤は、治療に苦慮し、社会生活にも支障をきたす成人の頭部の重度の脱毛症を全く副作用なく劇的に改善することができる。また、本発明の脱毛症治療剤は、難治性の脱毛症にも有効であるばかりでなく、男女を問わず、成人に限らず10代の患者においても同様の効果が認められる。 したがって、本発明の脱毛症治療剤は、ミノキシジルやフィナステリドに代わる新たな男性型脱毛症治療剤としての実用化が期待でき、さらに、長い間有効な治療法がなかった円形脱毛症治療剤としての実用化が大いに期待できる。 C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分として含有する、円形脱毛症、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症または放射線被爆による脱毛症の治療剤および/または予防剤。 C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、CNPまたはBNPのキメラペプチドであって、 前記CNPが、CNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 前記BNPが、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、 かつ、CNP活性またはBNP活性を有するキメラペプチド、あるいは、前記のキメラペプチドの誘導体である、請求項1に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 ベタメタゾン、クロベタゾール、ゲンタマイシン、塩化カルプロニウム、ミノキシジルからなる群から選択される少なくとも一つの薬剤をさらに含む、請求項1または2に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 フケの発生または頭皮の脂漏性を抑制する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 女性の男性型脱毛症、女性型脱毛症または分娩後脱毛症用である、請求項2に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛部位が前頭部または頭頂部である、請求項5に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脂漏性脱毛症または批糠性脱毛症を合併する、請求項5または6に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 女性型脱毛症が、脂漏性脱毛症または批糠性脱毛症を合併する女性型脱毛症である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 円形脱毛症が、通常型円形脱毛症、全頭脱毛症、汎発性脱毛症または蛇行状脱毛症である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、アレルギー疾患または自己免疫疾患の既往または合併を有する対象の脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 自己免疫疾患が、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、尋常性白斑、サットン後天性遠心性白斑、自己免疫性の甲状腺疾患、全身性エリテマトーデス、間接リウマチまたは重症筋無力症のいずれかである、請求項10に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、アレルギー疾患の既往もしくは合併を有する対象の脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、アトピー性疾患の既往または合併を有する対象の脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、紅斑、鱗屑または痂皮を伴う脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、アレルギー性皮膚炎またはアレルギー性鼻炎の既往または合併を有する対象の脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー反応を示す対象における脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、スクラッチテスト、皮内テスト、パッチテスト、特異的IgE抗体試験管内測定法のいずれかのアレルゲン検査において、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー反応を示す対象における脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、グリチロン(登録商標)、塩化カルプロニウム、セファランチン、ミノキシジル、フィナステリド、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、ビオチン、アンスラリン、局所免疫療法、冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法、PUVA療法タクロリムスに治療抵抗性を示す脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 脱毛症が、ステロイド離脱困難状態に至った対象またはステロイド治療剤を使用できない対象の脱毛症である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 円形脱毛症が、S1またはB0以上の脱毛症である、請求項9に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 1週間以上の塗布で治療効果が得られる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 塗布を中止しても1ヶ月以上の期間にわたって再燃しない、請求項1〜21のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 剤形が、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、ワックス剤、粉末剤、スプレー剤、ゲルスプレー剤、フォーム剤、シャンプー剤、トリートメント剤、頭皮トリートメント剤、または、トニック剤である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の含有量が、1〜1000μg/gである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、血管拡張剤、男性ホルモン活性抑制剤、女性ホルモン剤、抗生物質、抗真菌剤、ペンタデカン、サイトプリン(6−ベンジルアミノプリン)、t−フラバノン、アデノシン、セファランチン、グリチルリチンとメチオニンとグリシンの複合剤であるグリチロン(登録商標)、シクロスポリンA、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、半夏厚朴湯、ビオチン、アンスラリン、タクロリムスおよび三環系抗鬱薬からなる群から選択される少なくとも一つの薬剤をさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の脱毛症の治療剤および/または予防剤。 C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分として含有する、円形脱毛症、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症または放射線被爆による脱毛症に付随する白髪の治療剤および/または予防剤。 C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分として含有する、円形脱毛症、男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、女性型脱毛症、分娩後脱毛症、老人性脱毛症、癌化学療法剤性脱毛症または放射線被爆による脱毛症に付随する軟毛化の治療剤および/または予防剤。配列表


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