タイトル: | 特許公報(B2)_アセトアミノフェンの安定化剤 |
出願番号: | 2012547883 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/167,A61K 9/08,A61K 47/18,A61K 47/02,A61P 29/00 |
井辻 裕 井辻 祐子 野村 麻以 長原 弘毅 JP 5538568 特許公報(B2) 20140509 2012547883 20111207 アセトアミノフェンの安定化剤 丸石製薬株式会社 393028036 岩谷 龍 100077012 井辻 裕 井辻 祐子 野村 麻以 長原 弘毅 JP 2010274615 20101209 20140702 A61K 31/167 20060101AFI20140612BHJP A61K 9/08 20060101ALI20140612BHJP A61K 47/18 20060101ALI20140612BHJP A61K 47/02 20060101ALI20140612BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140612BHJP JPA61K31/167A61K9/08A61K47/18A61K47/02A61P29/00 A61K 31/167 特開2004−123712(JP,A) 特開2004−067516(JP,A) 特表2009−517044(JP,A) 特開2004−269363(JP,A) 特表2007−510757(JP,A) 特表2001−519770(JP,A) 特開平10−167982(JP,A) 14 JP2011078241 20111207 WO2012077696 20120614 10 20140317 深草 亜子 本発明は、アセトアミノフェンを含む水性組成物、水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤、及び水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化方法に関する。 アセトアミノフェン(パラセタモール)は、パラアミノフェノール系の解熱鎮痛剤であり、頭痛、筋肉痛、月経痛、歯痛などの鎮痛や、急性上軌道炎での解熱、鎮痛などに汎用されている。アセトアミノフェンは、通常、錠剤、シロップ剤などの形態で経口投与される。 しかし、アセトアミノフェンは、水溶液中で不安定であり、加水分解されて橙色〜褐色に着色してしまう。 水溶液中でのアセトアミノフェンの安定性を向上させる試みが種々行われており、例えば、特許文献1は、アセトアミノフェンを含む水性組成物にピロ亜硫酸ナトリウムのようなピロ亜硫酸塩を添加することにより、アセトアミノフェンの安定性が向上することを開示している。 また、特許文献2は、アセトアミノフェンを含む水溶液に、遊離ラジカル捕集剤として、マンニトール、ソルビトール、イノシトールなどのポリオールを添加すれば、水溶液の着色を抑制できることを開示している。 しかし、特許文献1、2の方法では、実用上十分にアセトアミノフェンを安定化させることができない。 なお、特許文献3は、アセトアミノフェンにグリシンを配合すると、解熱作用が向上することを開示している。 また、特許文献4は、アミノ酢酸(グリシン)が、非ステロイド系解熱鎮痛剤であるイブプロフェンの解熱鎮痛作用を向上させることを開示している。特開2004−269363号特開2010−163462号特開2004−123712号特開平8−34728号 本発明は、実用上十分にアセトアミノフェンを安定化させることができる安定化剤、及び安定化方法、並びに実用上十分に安定化されたアセトアミノフェンを含む水性組成物を提供することを主な課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。(i) アセトアミノフェンを含む水性組成物にグリシンを添加すれば、アセトアミノフェンを長期にわたり、極めて安定に保つことができる。具体的には、当該組成物の着色、組成物中での析出、及びアセトアミノフェン類縁物質の生成を抑制できる。(ii) さらに、亜硫酸塩類を添加すれば、アセトアミノフェンの安定性が一層向上する。 本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下のアセトアミノフェンの安定化剤、アセトアミノフェンの安定化方法、及び水性組成物を提供する。項1. グリシンを含む、水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤。項2. さらに、亜硫酸塩類を含む項1に記載の安定化剤。項3. 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である項2に記載の安定化剤。項4. 水性組成物が注射剤である項1〜3のいずれかに記載の安定化剤。項5. 安定化が析出抑制である項1〜4のいずれかに記載の安定化剤。項6. アセトアミノフェンを含む水性組成物にグリシンを添加する、アセトアミノフェンの安定化方法。項7. さらに、亜硫酸塩類を添加する項6に記載の安定化方法。項8. 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である項7に記載の安定化方法。項9. 水性組成物が注射剤である項6〜8のいずれかに記載の安定化方法。項10. 安定化が析出抑制である項6〜9のいずれかに記載の安定化方法。項11. アセトアミノフェン、グリシン、及び亜硫酸塩類を含む水性組成物。項12. 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及びピロ亜硫酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である項11に記載の水性組成物。項13. pHが4〜7である項11又は12に記載の水性組成物。項14. 注射剤である項11〜13のいずれかに記載の水性組成物。項15. 水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤の製造のためのグリシンの使用。項16. 水性組成物中のアセトアミノフェンを安定化させるために使用されるグリシン。 グリシンを含む本発明の剤は、アセトアミノフェンを含む水性組成物に添加することにより、アセトアミノフェンを効果的に安定化できる。具体的には、比較的高温下で、長期にわたりこの水性組成物を保存しても、水性組成物の着色、水性組成物中でのアセトアミノフェン類縁物質(例えば、アセトアミノフェン分解物)の生成、及び水性組成物中での析出を効果的に抑制できる。これにより、アセトアミノフェンを含む水性製剤の保存が容易になり、また、新たな剤型の開発の途が開けた。 以下、本発明を詳しく説明する。(I)安定化剤 本発明のアセトアミノフェンの安定化剤は、有効成分として、グリシンを含む。安定化には、着色抑制、アセトアミノフェン類縁物質の生成抑制、析出抑制などが含まれる。即ち、本発明のアセトアミノフェンの安定化剤には、アセトアミノフェンの着色抑制剤、アセトアミノフェン類縁物質の生成抑制剤、析出抑制剤などが含まれる。アセトアミノフェンの着色の原因としては、酸化、加水分解などが考えられる。また、アセトアミノフェン類縁物質にはアセトアミノフェン分解物が含まれる。また、本発明の安定化剤は、アセトアミノフェンの着色を抑制することから、アセトアミノフェンを含む水性組成物の着色も抑制する。アセトアミノフェン アセトアミノフェン(N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)は第15改正日本薬局方に収載されており、市販品を購入できる。 水性組成物中のアセトアミノフェンの濃度は、例えば、約0.1〜5w/v%とすることができ、約0.1〜2w/v%が好ましい。グリシン グリシンを有効成分とする本発明の剤は、アセトアミノフェンを含む水性組成物に添加して用いられる。アセトアミノフェンを含む水性組成物としては注射剤が好ましく挙げられる。 グリシンの使用量は、グリシンを添加した水性組成物中のグリシン濃度が約0.01w/v%以上になる量であれば、本発明の効果が十分に得られる。中でも、水性組成物中のグリシン濃度が約0.01〜20w/v%となる量が好ましく、約0.01〜5w/v%となる量がより好ましく、約0.05〜2w/v%となる量がさらにより好ましく、約0.1〜1w/v%となる量がさらにより好ましい。また、グリシンの使用量は、アセトアミノフェン1重量部に対して、約0.01〜5重量部が好ましく、約0.05〜2重量部がより好ましく、約0.1〜1重量部がさらにより好ましい。上記範囲であれば、アセトアミノフェンを十分に安定化できる。また、上記範囲であれば、グリシンが水性組成物中で十分に溶解する。亜硫酸塩類 本発明の剤は、さらに、亜硫酸塩類を含むことが好ましく、これにより、水性組成物中のアセトアミノフェンを一層効果的に安定化できる。 亜硫酸塩類には、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及びピロ亜硫酸塩が含まれる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。中でも、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムが好ましい。亜硫酸塩類は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。亜硫酸塩類は市販品を購入できる。 亜硫酸塩類の使用量、即ち、水性組成物への亜硫酸塩類の添加量は、水性組成物中の亜硫酸塩類の濃度が約0.01〜0.1w/v%となる量が好ましく、約0.03〜0.1w/v%となる量がより好ましく、約0.03〜0.05w/v%となる量がさらにより好ましい。また、亜硫酸塩類の使用量は、アセトアミノフェン1重量部に対して、約0.01〜0.1重量部が好ましく、約0.03〜0.1重量部がより好ましく、約0.03〜0.05重量部がさらにより好ましい。上記範囲であれば、アセトアミノフェンを十分に安定化できる。また、上記範囲であれば、亜硫酸塩類が水性組成物中で十分に溶解する。等張化剤 また、本発明の剤は等張化剤を含むことができる。 等張化剤としては、トレハロース、グルコース、フルクトース、スクロースなどの糖、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、エリスリトールなどの糖アルコール、塩化ナトリウムなどが挙げられる。 等張化剤の使用量、即ち、水性組成物への等張化剤の添加量は、等張化の目的を達成できる量であり、等張化剤の種類に応じて当業者が適宜決定できる。(II)水性組成物 本発明の水性組成物は、アセトアミノフェン、グリシン、及び亜硫酸塩類を含む。アセトアミノフェン、グリシン、及び亜硫酸塩類の種類、及び使用量は前述した通りである。また、本発明の水性組成物は、さらに、上記の等張化剤を含むことが好ましい。等張化剤の種類、及び使用量は前述した通りである。pH 本発明の水性組成物はpHが約4〜7であることが好ましく、約5〜6であることがより好ましく、約5であることがさらにより好ましい。水性組成物のpHが上記範囲であれば、アセトアミノフェンを効果的に安定化できる。 水性組成物のpHは、NaOH、KOH、HCl、H3PO4のような無機化合物の他、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸を用いて調整できる。中でも、有機酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。剤型 本発明の水性組成物は、通常、医薬組成物、又は医薬部外品組成物とされる。剤型としては、経口投与剤(乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、ゼリー剤など)、注射剤、外用剤(液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤など)が挙げられる。中でも、注射剤が好ましい。 経口投与剤は、グリシンを含む上記有効成分を、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、又はこれらの混液などに、溶解又は分散させることにより調製される。これらの製剤には、甘味料、防腐剤、緩衝剤、着香剤、着色剤のような添加剤が添加されていてもよい。 注射剤は、グリシンを含む上記有効成分を、注射用蒸留水または生理用食塩水などに溶解又は分散させることにより得ることができる。注射剤には、緩衝剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤のような添加剤が添加されていてもよい。 外用剤は、グリシンを含む上記有効成分を適当な基剤に配合して調製することができる。基剤としては、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等のポリマー類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸エステル類;リン酸緩衝液などが挙げられる。さらに、溶解補助剤、無機充填剤、保湿剤、防腐剤、粘稠剤、酸化防止剤、清涼化剤のような添加剤が添加されていてもよい。 本発明の水性組成物において、基剤、及び添加剤は、それぞれ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 また、本発明において「水性組成物」は、水を含む組成物であることを意味するが、水の含有量が組成物の全量に対して、約20v/v%以上であることが好ましく、約50v/v%以上であることがより好ましく、約90v/v%以上であることがさらにより好ましい。(III)安定化方法 本発明は、アセトアミノフェンを含む水性組成物にグリシンを添加するアセトアミノフェンの安定化方法を包含する。安定化には、アセトアミノフェンの着色抑制、アセトアミノフェン類縁物質の生成抑制、析出抑制などが含まれる。 この方法の詳細は、本発明の安定化剤について説明した通りであるが、簡単に説明すると、水性組成物中のアセトアミノフェンの濃度は、例えば、約0.1〜5w/v%とすることができ、約0.1〜2w/v%が好ましい。 水性組成物へのグリシンの添加量は、グリシンを添加した水性組成物中のグリシン濃度が約0.01w/v%以上になる量であれば、本発明の効果が十分に得られる。中でも、水性組成物中のグリシン濃度が約0.01〜20w/v%となる量が好ましく、約0.01〜5w/v%となる量がより好ましく、約0.05〜2w/v%となる量がさらにより好ましく、約0.1〜1w/v%となる量がさらにより好ましい。また、グリシンの使用量は、アセトアミノフェン1重量部に対して、約0.01〜5重量部が好ましく、約0.05〜2重量部がより好ましく、約0.1〜1重量部がさらにより好ましい。上記範囲であれば、アセトアミノフェンを十分に安定化できる。また、上記範囲であれば、グリシンが水性組成物中で十分に溶解する。 本発明方法では、アセトアミノフェンを含む水性組成物に、グリシンに加えて亜硫酸塩類を添加することが好ましく、これにより、アセトアミノフェンを一層効果的に安定化できる。 亜硫酸塩類には、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、及びピロ亜硫酸塩が含まれる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。中でも、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムが好ましい。亜硫酸塩類は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 水性組成物への亜硫酸塩類の添加量は、水性組成物中の亜硫酸塩類の濃度が約0.01〜0.1w/v%となる量が好ましく、約0.03〜0.1w/v%となる量がより好ましく、約0.03〜0.05w/v%となる量がさらにより好ましい。また、亜硫酸塩類の使用量は、アセトアミノフェン1重量部に対して、約0.01〜0.1重量部が好ましく、約0.03〜0.1重量部がより好ましく、約0.03〜0.05重量部がさらにより好ましい。上記範囲であれば、アセトアミノフェンを十分に安定化できる。また、上記範囲であれば、亜硫酸塩類が水性組成物中で十分に溶解する。 水性組成物は、通常、医薬組成物、又は医薬部外品組成物とされる。剤型としては、経口投与剤(乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、ゼリー剤など)、注射剤、外用剤(液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤など)が挙げられる。中でも、注射剤が好ましい。 以下、本発明を実施例を示して、より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(1)高温高圧下での安定性 後掲の表1に示す濃度のグリシン、1w/v%アセトアミノフェン、5w/v%キシリトール、及び適量のリン酸を含み、pH=5の水性組成物を、121℃で1時間熱処理し、色調(着色の程度)、及び析出の有無を目視観察した。 また、アセトアミノフェン類縁物質の濃度をHPLCで測定した。HPLC条件は以下の通りである。<HPLC条件> 第15改正日本薬局方解説書におけるアセトアミノフェンの純度試験(類縁物質)に記載された液体クロマトグラフィーを用いることにより分析を実施した。すなわち、各溶液をオクタデシルシリカゲルカラム、ならびに、リン酸二水素カリウム溶液を含むメタノールを一緒に混合することにより得た移動相を用いたHPLCにより、225nmの検出波長における各々のピーク面積を自動積分法により測定し、全ピーク面積に対する類縁物質の総面積の割合[類縁物質総量(%)]を算出した。 結果を以下の表1に示す。 本明細書の各表中の記号又は数値の意味は以下の通りである。色調:+++濃い褐色、++やや濃い褐色、+薄い褐色、±ほぼ着色なし、 −着色なし析出:+析出あり、−析出なし類縁物質総量(%):全ピーク面積に対する類縁物質の総面積の割合(%)(2)過酷条件下で長期保存した場合の安定性 下記の各アセトアミノフェン含有水溶液を調製し、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)後、60℃で21日間保存し、色調(着色の程度)、及び析出の有無を目視観察した。また、アセトアミノフェン類縁物質の濃度をHPLCで測定した。 グリシン液は安定化剤としてグリシンを使用した液であり、生理食塩液は、グリシンを含まない液であり、perfalgan(登録商標)は市販のアセトアミノフェン含有注射剤でありシステイン塩酸塩を含む液である。生理食塩液:アセトアミノフェン1w/v%、NaCl 0.9w/v%、pH=5.75グリシン液:アセトアミノフェン1w/v%、NaCl 0.9w/v%、グリシン0.56w/v%、 pH=5.88perfalgan :アセトアミノフェン1 w/v%、システイン塩酸塩一水和物 0.025w/v%、リン酸水素二Na二水和物 0.013w/v%、 マンニトール3.85w/v%、NaOH、HCl適量 結果を以下の表2に示す。 グリシン液は苛酷条件下(60℃)でも析出、及び類縁物質総量を抑えた。また、グリシン液は、21日後に着色を認めたが、perfalganよりも色調は薄かった。(3)亜硫酸ナトリウムを添加し、過酷条件下で長期保存した場合の安定性 下記の各アセトアミノフェン含有水溶液を調製し、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)後、60℃で21日間保存し、色調(着色の程度)、及び析出の有無を目視観察した。また、アセトアミノフェン類縁物質の濃度をHPLCで測定した。グリシン液+クエン酸(pH=6): アセトアミノフェン1 w/v%、グリシン0.56w/v%、クエン酸0.22w/v%、 NaCl 0.9w/v%、NaOH 適量、pH=6.0グリシン液+クエン酸+亜硫酸Na(pH=6): アセトアミノフェン1 w/v%、グリシン0.56w/v%、クエン酸0.22w/v%、 亜硫酸Na 0.03w/v%、NaCl 0.9w/v%、NaOH 適量、pH=6.0 結果を以下の表3に示す。 グリシンに加えて、亜硫酸ナトリウムを添加することにより、着色が抑制された。(4)pHの影響 アセトアミノフェン1 w/v%、グリシン0.56w/v%、クエン酸0.22w/v%、NaCl 0.9w/v%、NaOH又はH3PO4を適量加え、下記表4に示す各pHに調整した水溶液を調製した。各水溶液を、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)後、60℃で21日間保存し、色調(着色の程度)、及び析出の有無を目視観察した。また、アセトアミノフェン類縁物質の濃度をHPLCで測定した。 結果を以下の表4に示す。 アセトアミノフェンの安定化効果の至適pHは、4〜7、特に5〜6であることが分かる。 グリシンは、アセトアミノフェンを含む水性組成物中のアセトアミノフェンの分解、酸化などの変性、水性組成物の着色、析出を効果的に抑制する。 グリシン、並びに亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の亜硫酸塩類を含む、水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤。 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の安定化剤。 水性組成物が注射剤である請求項1又は3に記載の安定化剤。 安定化が析出抑制である請求項1、3、又は4に記載の安定化剤。 アセトアミノフェンを含む水性組成物に、グリシン、並びに亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の亜硫酸塩類を添加する、アセトアミノフェンの安定化方法。 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の安定化方法。 水性組成物が注射剤である請求項6又は8に記載の安定化方法。 安定化が析出抑制である請求項6、8、又は9に記載の安定化方法。 アセトアミノフェン、グリシン、並びに亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の亜硫酸塩類を含む水性組成物。 亜硫酸塩類が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の水性組成物。 pHが4〜7である請求項11又は12に記載の水性組成物。 注射剤である請求項11〜13のいずれかに記載の水性組成物。 水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤の製造のためのグリシンと、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の亜硫酸塩類との組み合わせ使用。 水性組成物中のアセトアミノフェンを安定化させるために使用されるグリシン、並びに亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の亜硫酸塩類を含む組成物。