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タイトル:特許公報(B1)_ミミズ乾燥粉末を用いたチロシナーゼ阻害剤およびその製造方法
出願番号:2012535279
年次:2013
IPC分類:A61K 8/98,A61Q 19/02


特許情報キャッシュ

石井 陽一 石井 一行 JP 5243662 特許公報(B1) 20130412 2012535279 20120724 ミミズ乾燥粉末を用いたチロシナーゼ阻害剤およびその製造方法 Well Stone 有限会社 506329948 本多 一郎 100096714 石井 陽一 石井 一行 JP 2011167720 20110729 20130724 A61K 8/98 20060101AFI20130704BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20130704BHJP JPA61K8/98A61Q19/02 A61K 8 A61Q 19 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2009−249362(JP,A) 特開昭63−238009(JP,A) 特開2007−039404(JP,A) 国際公開第2012/073593(WO,A1) 特許第4808822(JP,B1) 5 JP2012068718 20120724 16 20120809 松本 直子 本発明は、ミミズ乾燥粉末を用いたチロシナーゼ阻害剤およびその製造方法に関し、詳しくは、安全で、効果の高いミミズ乾燥粉末を用いたチロシナーゼ阻害剤およびその製造方法に関する。 近年、社会の高齢化が進行する中、アンチエイジングへのニーズが高まっている一方で、若年層においても肌本来の美しさへの意識の高まりが顕著であるなど、化粧品、特に美白効果を謳う化粧品に求められる役割が大きくなっている。 肌は、加齢等の内的因子や紫外線、活性酸素等の外的因子によって、皮膚が本来維持している多様な機能が低下し、様々なトラブルが顕在化する。予防・解消が強く求められている肌トラブルの1つに、シミ、ソバカス、日焼け等によって現れる皮膚の色素沈着がある。色素沈着の主な要因として、皮膚内に存在するチロシンが酵素反応によりメラニン前駆体となり、酸化によりメラニンが生成されることが謂われている。 メラニン生成を抑制する物質は主に大きく2つのタイプに分けられる。1つは、メラニン生成に影響を及ぼすチロシナーゼ酵素の活性自体を直接抑制するタイプ、もう1つは直接チロシナーゼ活性に対しては抑制を示さないが、色素細胞内におけるメラニン生成を抑制するタイプである。また、両方をあわせ持つ物質も見られる。メラニン生成抑制作用を有し、色素沈着の予防ないし解消に有効な成分として、物質としてアスコルビン酸やグルタチオン、ハイドロキノン等が一般的に知られており、その他種々の天然植物由来成分などが提案されている(例えば、特許文献1および2)。 一方、ミミズ抽出物やミミズ乾燥粉末は、古来より主として東洋諸国において、各種疾病の予防剤、治療剤として用いられており、これまでに膀胱内結石縮小剤及び排出促進剤、黄疸治療剤、分娩促進剤、強壮剤、育毛剤、強精剤、解熱剤、ひきつけ治療剤、血行促進剤、半身不随治療剤、間接鎮痛剤、排尿剤、気管支喘息剤、高血圧症治療剤としての用途が知られている。 特許文献3には、熱水処理後、有機溶媒抽出ないし加水分解抽出によって得られたミミズ抽出物がチロシナーゼに対する活性抑制作用を示すことが開示されている。特開2011−032173号公報特開2011−037764号公報特開昭63−238009号公報 しかしながら、メラニン生成を抑制する物質のうち、アスコルビン酸類は安定性に問題があり、水系では不安定で変色、変臭の原因となる。グルタチオンなどのチオール系化合物は異臭が強く、酸化されやすいなどの問題点がある。さらに、ハイドロキノンは皮膚に対する安全性に問題があった。 また、上記特許文献3記載のミミズ抽出物のうち、ミミズを加熱しミンチにした後に有機溶媒で抽出したものは、残留有機溶媒の問題があり、加水分解抽出(酵素処理)法によるものも、結局は塩化セチルピリジニウム溶液またはエタノールを加えて処理しており、長期に渡り皮膚に用いられる化粧品や皮膚外用剤への配合という観点からすると、好ましいものではなかった。さらに、特許文献3記載の方法で得られるミミズ抽出物のチロシナーゼ阻害活性は未だ満足しうるものではなかった。 そこで本発明の目的は、優れたチロシナーゼ阻害作用を有し、高い安全性を備えたチロシナーゼ阻害剤を得ることのできるチロシナーゼ阻害剤の製造方法、および、該製造方法で得られるチロシナーゼ阻害剤を用いた化粧料を提供することにある。 本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、生ミミズに対して特定の処理を施した後に摩砕することで得られるミミズ成分が優れたチロシナーゼ阻害作用を有する事を見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、生ミミズをカリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物と接触させた後、粉末状ヒドロキシカルボン酸と生ミミズとを接触させ、水で希釈してpH2〜5に調整し、3〜180分間保持した後、または、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させ、3〜180分間保持した後、生ミミズを水洗し、摩砕し、得られた摩砕物を凍結乾燥する工程を備えることを特徴とするものである。 また、本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、前記粉末状ヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させる前に、生ミミズを、10〜50時間明所に放置後、体皮に付着する汚物を剥ぎ取る工程を備えることが好ましい。 本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法においては、前記凍結乾燥が、摩砕物を−18℃〜−35℃で20〜240時間凍結させたのち、真空下で凍結乾燥することにより行われることが好ましい。 本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、さらに、前記摩砕物を凍結乾燥したものを水またはエタノール水溶液に溶解し、不溶性画分を除去または分離する工程を備えることが好ましい。 本発明の化粧料は、上記いずれかのチロシナーゼ阻害剤の製造方法により得られたチロシナーゼ阻害剤を用いたことを特徴とするものである。 本発明により、有機溶媒等を用いずに、優れたチロシナーゼ阻害作用を有し、高い安全性を備えたチロシナーゼ阻害剤を得ることができるチロシナーゼ阻害剤の製造方法を提供することが可能となる。実施例1、2の結果を表すグラフ図である。実施例6の結果を表すグラフ図である。実施例7の結果を表すグラフ図である。実施例8の結果を表すグラフ図である。実施例9の結果を表すグラフ図である。実施例10の結果を表すグラフ図である。実施例10の結果を表すグラフ図である。 本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、粉末状ヒドロキシカルボン酸と生ミミズとを接触させ、水で希釈してpH2〜5に調整し、3〜180分間保持した後、または、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させ、3〜180分間保持した後、生ミミズを水洗し、摩砕し、得られた摩砕物を凍結乾燥する工程を備えることを特徴とするものである。 また、本発明の他のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、生ミミズをカリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物と接触させ、 その後、粉末状ヒドロキシカルボン酸と生ミミズとを接触させ、水で希釈してpH2〜5に調整し、3〜180分間保持した後、または、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させ、3〜180分間保持した後、生ミミズを水洗し、摩砕し、得られた摩砕物を凍結乾燥する工程を備えることを特徴とするものである。 本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、生ミミズを原料とし、優れたチロシナーゼ阻害作用を有し、高い安全性を備えたチロシナーゼ阻害剤を提供することのできる製造方法である。 本発明の製造方法においては、生ミミズを不快環境下に置く処理の前、即ち生ミミズを金属の塩化物またはヒドロキシカルボン酸に接触させるのに先立ち、生ミミズをパン箱のような平箱に移し、明所にて10〜50時間放置し、体皮に付着した汚物を除去することが好ましい。明所での放置時間は、より好ましくは12〜24時間である。この際の収容量としては、ミミズが30〜60mm、好ましくは40〜50mmの厚さに積み重なる程度の量が好ましい。この平箱内には、砂、泥のような異物が存在しないようにし、またミミズは夜行性で暗所では生活活動が活発となり、体力を消耗するおそれがあるため、夜間は電照培養方式などにより明るく保つことが好ましい。この処置により生ミミズは、自己防御本能を発揮し、消化管内に残留する消化物を排泄し、この排泄物で全身を覆い、水分が蒸発するのを防いで、生活環境を維持しようとするので、この覆っている汚物すなわち排泄物を適当な手段で剥ぎ取ることを繰り返せば、最終的に消化管内の消化物及び体皮に付着した汚物を除去することができる。 ミミズの体皮に付着した汚物の剥ぎ取りは、例えば不織布で生ミミズを被覆し、汚物をそれに吸着させて行うことができる。この明所での放置および体皮に付着した汚物の除去と、金属塩化物および/またはヒドロキシカルボン酸との接触とを組み合わせることにより、一層のミミズ体内の有毒物の排出、除去が期待できる。 本発明の他のチロシナーゼ阻害剤の製造方法で用いる金属の塩化物は、カリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物である。即ち、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、これらの混合物でもよく、これらと、食品への添加が可能な他の無害な成分との混合物であってもよい。そのような混合物としては、例えば食塩、岩塩、天日塩が挙げられる。上記金属の塩化物は、粉末状のものを生ミミズにふりかけることにより用いることができ、これによりミミズと金属の塩化物の接触が起きる。 本発明の他のチロシナーゼ阻害剤の製造方法においては、好ましくは、生ミミズに金属の塩化物を接触させた後、生ミミズとヒドロキシカルボン酸を接触させる。また、本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法においては、金属塩化物との接触をさせずに、ヒドロキシカルボン酸とミミズとの接触を行うことによることもできる。 ヒドロキシカルボン酸との接触についても、粉末状のヒドロキシカルボン酸を生ミミズにふりかけることにより行うことができる。また、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液中に浸漬してもよい。金属塩化物との接触を経てからヒドロキシカルボン酸との接触を行う場合は、ヒドロキシカルボン酸との接触は、上記金属の塩化物との接触の後速やかに行う。また、生ミミズとヒドロキシカルボン酸とを接触させる前に、ミミズを水洗することが好ましい。水洗により上記金属の塩化物を除いてからミミズとヒドロキシカルボン酸とを接触させると酵素活性の高いミミズ乾燥粉末が得られる。ヒドロキシカルボン酸との接触前に水洗を行う場合は、金属の塩化物との接触開始後、好ましくは30分、より好ましくは20分以内に水洗を行う。水洗方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。 生ミミズを長時間ヒドロキシカルボン酸粉末と接触させておくと死滅し、生活機能を消失し、消化管内の消化物を排泄しなくなるので、可及的速やかに、好ましくは30秒以内、より好ましくは20秒以内にヒドロキシカルボン酸を水で希釈し、pHを2〜5の範囲に調整する必要がある。 ヒドロキシカルボン酸はミミズにとって不快生活環境を形成するため、生ミミズは、自己保存本能により体液、排泄物を放出して生活環境を改善しようとする。また、ヒドロキシカルボン酸は殺菌性を有するため、上記のように消化器内に残留する消化物等の排泄を促す役割を果すとともに、ミミズに付着した雑菌を殺菌するという効果が期待できる。 本発明方法において用いられる結晶状ヒドロキシカルボン酸は、使用条件下で結晶状体を示すものであれば、そのヒドロキシ基数又はカルボキシル基数には関係なく用いることができる。すなわち、モノヒドロキシモノカルボン酸、モノヒドロキシポリカルボン酸、ポリヒドロキシモノカルボン酸、ポリヒドロキシポリカルボン酸のいずれでもよい。 本発明で用いるヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、酢酸、β‐ヒドロキシプロピオン酸、α‐ヒドロキシ‐n‐酪酸、β‐ヒドロキシ‐n‐酪酸、α‐ヒドロキシ‐n‐吉草酸、β‐ヒドロキシ‐n‐吉草酸、リンゴ酸、α‐メチルリンゴ酸、α‐ヒドロキシグルタル酸、β‐ヒドロキシグルタル酸、クエン酸、マロン酸およびコハク酸などが挙げられる。中でも食品に対して使用可能で入手が容易である点で乳酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸およびコハク酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。 生ミミズの組織の65%は水分である。生ミミズの保身機能が働く時間としては、ある程度余裕はあるが、生ミミズが死滅してしまうと酵素が働いてしまうので、不快生活環境下に置く時間の制御は慎重に行う必要がある。この時間は、条件により左右されるが、通常は3〜180分の範囲である。 本発明において、ヒドロキシカルボン酸で処理したミミズ生体は、水で洗浄したのち、摩砕して液状ないしペースト状の摩砕物にする。洗浄は好ましくは純水で行う。洗浄方法は特に限定されず、公知の水洗方法を採用することができる。また、摩砕前の処理工程の合計時間、即ち、生ミミズに金属の塩化物を振りかけてから、ヒドロキシカルボン酸の水による洗浄を終えるまでの時間は、合計で240分以内が好ましい。 上記摩砕方法は特に限定されず、例えば、ホモジナイザー、ブレンダー、ホモミキサー、擂潰機、加圧型細胞破壊装置を用い、通常1〜25℃で行われる。ミミズ構成成分の分解抑制の観点から低温下で行うことが好ましく、2〜15℃の温度が好ましい。 ミミズの摩砕により得られた摩砕物は、例えばステンレス鋼製トレーに収容され、凍結乾燥に付される。この際、ミミズ生体に含まれる酵素は、生細胞には作用しないが死細胞に対しては瞬時に作用するため、腐敗性ガスが発生するおそれがあり、これを防止するために瞬間的に−18℃〜−35℃に急冷・凍結して酵素の作用を抑制した後に、凍結乾燥を行うことが好ましい。 このように、ミミズ本来の薬理作用を損なわずに粉末化するには、迅速に凍結する必要があるが、一方においてあまり短時間で凍結させるとミミズペーストの主成分であるタンパク質とともに存在する不純物がスポット状の不凍結部分を形成し、分離されないことがあるので、過度に急速な凍結は好ましくない。したがって、凍結は好ましくは−18℃から−35℃の低温で20〜240時間、より好ましくは50〜170時間を要して行う。 凍結乾燥に際しては、水分とともに不純分が残留することなく除去し得る条件を選ぶことが重要である。そのためには、圧力50Pa以下、−60℃ないし+90℃の温度において、温度を段階的に上げながら10〜60時間の範囲で制御して行うのが好ましい。 凍結乾燥の方法としては、例えば、前記したように摩砕物を−18℃ないし−35℃の温度で20〜240時間を要して凍結したのち、−60℃〜+90℃の温度において、数段階に分け昇温し、圧力25〜40Paにおいて、数段階に分け減圧しながら、10〜60時間凍結真空乾燥させることで無菌状態の淡黄色ミミズ乾燥粉末を得ることができる。 本発明のチロシナーゼ阻害剤の製造方法は、さらに、前記摩砕物を凍結乾燥したものを水またはエタノール水溶液に溶解し、不溶性画分を除去または分離する工程を備えることが好ましい。不溶性画分を除去または分離する工程は、上記と同様に、放置による沈殿、遠心、濾過等によることができる。水またはエタノール水溶液に溶解する工程は、攪拌ないし振とうしながら行うことが好ましい。水への溶解に要する時間は好ましくは、1〜120分間、より好ましくは5〜80分間である。エタノール水溶液のエタノール濃度は特に制限されないが、好ましくは10〜70%(v/v)、より好ましくは30〜60%である。 本発明の製造方法により得られるチロシナーゼ阻害剤の形状は特に限定されない。即ち、上記のように水またはエタノール水溶液に溶解したものの上清を、そのまま水溶液の状態で用いてもよく、水分を飛ばして濃縮液として用いてもよく、乾燥させて粉末状にして用いることもできる。上清を乾燥して粉末状にしたものを水に溶解して用いてもよい。また、ミミズペーストを凍結乾燥した粉末を、水またはエタノール水溶液に溶解せずにそのまま用いることもできる。 本発明方法においては、原料用いられるミミズは特に限定されず、例えばアカミミズ(Lumbricus rubellus)、LTミミズ(Lumbricus terrestris)、シマミミズ(Eisenia foetida)、カッショクツリミミズ(Allolobophora caliginosa)、ムラサキツリミミズ(Dendrobaena octaedra)、サクラミミズ(Allolobophora japonica Michaelsen)、ハッタミミズ(Drawida hattamimizu Hatai)、セグロミミズ(Pheretima divergens Michaelsen)、フツウミミズ(Pheretima communissima)、ハタケミミズ(Pheretima agrestis)、シーボルトミミズ(Pheretima sieboldi Horst)、ヒトツモンミミズ(Pheretima hilgendorfi)、イソミミズ(Pontodrilus matsushimensis Iizuka)、イトミミズ(Tubifex hattai Nomura)、ゴトウイトミミズ(ユリミミズ)[Limnodrilus gotoi Hatai=L.SocialisStephenson]などを用いることができる。 本発明の化粧料は、本発明の製造方法により得られたチロシナーゼ阻害剤を含むことを特徴とするものである。チロシナーゼ阻害剤の作用により、メラニンの生成を抑制し、美肌効果、色素沈着防止効果が期待できる。 本発明に係る化粧料の形態は、特に限定されない。上記のチロシナーゼ阻害剤の有効成分が有する作用効果に応じて、各作用効果を利用できる全ての化粧料に適用できる。例えば、本発明に係る有効成分を各種化粧料基剤等に配合して、クリーム、乳液、化粧水、パック剤、洗顔料等の各種基礎化粧料、ファンデーション、口紅、ほほ紅、白粉等の各種メーキャップ料、洗髪料、養毛剤、シャンプー、リンス等の各種頭髪用化粧料、石鹸、美爪料、オーデコロン、その他、ローション、エマルジョン、軟膏、ゾル、ゲル、パウダー、スプレー、固形物等の形態に適用できる。 本発明に係るチロシナーゼ阻害剤の各種化粧料に対する配合量は、化粧料の実施態様、化粧料の使用形態等に応じて変動させることができるので特に限定されない。原則的には、有効量存在すれば良いことになるが、一般的には化粧料組成物中、乾燥重量に換算して0.0001〜100質量%が利用でき、好ましくは0.01〜10質量%である。 その他、化粧料に一般に使用される添加成分や他の有効成分を配合することができる。例えば、水、エタノール、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、香料、乳化安定剤等を配合することができる。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例により何ら制限されるものでは無い。 [ミミズ乾燥粉末の調製](実施例1) 24時間明所に放置後、体皮に付着する汚物を剥ぎ取った生のアカミミズ30kgを平皿に約5cmの厚さに拡げ、この上にクエン酸250gを振りかけた後15秒で純水30リットルを加えて希釈した。 クエン酸粉末を振りかけると、ミミズは一気に黄色い体液を放出した。水で希釈した後に、その状態で20分間保持した。 次いで、汚れたクエン酸水溶液から生ミミズを取り出し、水洗したのち、ホモジナイザーを用いて10℃において摩砕し、ミミズペーストを調製した。次に、このミミズペーストを吸引脱気して、その中に含まれているガスを除いたのち、ステンレス鋼製トレーに移し、瞬間的に−35℃まで急冷し、この温度に50時間維持して徐々に凍結した。 凍結したミミズペーストを−35℃で圧力0Paを2時間保ったのち、温度25℃まで昇温し、40Paで10時間、次いで40℃、圧力35Paで14時間、次いで65℃、圧力35Paで12時間乾燥し、最後に温度を80℃とし、圧力25Paにおいて6時間保つことにより真空凍結乾燥を行った。この処理により含水量8質量%の淡黄色のミミズ乾燥粉末を得た。(実施例2) 24時間明所に放置後、体皮に付着する汚物を剥ぎ取った生のアカミミズ30kgを平皿に約5cmの厚さに拡げ、この上に塩化ナトリウム250gを均一に振りかけた。20分後、ミミズを水洗いした。 その後、クエン酸250gを同様に振りかけた後15秒で純水30リットルを加えて希釈した。この時、水を加えた直後のpHは2.25であり、完全に希釈したときのpHは2.74であった。 クエン酸粉末を振りかけると、ミミズは一気に黄色い体液を放出した。水で希釈した後に、その状態で20分間保持した。 次いで、汚れたクエン酸水溶液から生ミミズを取り出し、水洗したのち、ホモジナイザーを用いて10℃において摩砕し、ミミズペーストを調製した。次に、このミミズペーストを吸引脱気して、その中に含まれているガスを除いたのち、ステンレス鋼製トレーに移し、瞬間的に−35℃まで急冷し、この温度に50時間維持して徐々に凍結した。 凍結したミミズペーストを−35℃で圧力0Paを2時間保ったのち、温度25℃まで昇温し、40Paで10時間、次いで40℃、圧力35Paで14時間、次いで65℃、圧力35Paで12時間乾燥し、最後に温度を80℃とし、圧力25Paにおいて6時間保つことにより真空凍結乾燥を行った。この処理により含水量8質量%の淡黄色のミミズ乾燥粉末を得た。 上記で得られた各ミミズ乾燥粉末1gに対して、イオン交換水20mLを加えて1時間攪拌した。その後、遠心分離(10000×g、室温、15分)を行い、上清を分離して測定試料とした。 [測定試薬] チロシナーゼ阻害活性の測定に当たって、以下の試薬を使用した。 リン酸バッファー(リン酸 +リン酸ナトリウム。0.05M、pH6.8) チロシナーゼ(マッシュルーム由来、50U/mL in リン酸バッファー) L−DOPA(2.5mM in リン酸バッファー) [測定方法] リン酸バッファー500μLにチロシナーゼ200μLを加えて混合し、さらに上記測定試料またはイオン交換水(コントロール)100μLを加えて、25℃で3分間インキュベートした。その後、L−DOPA250μLを加えて攪拌後、490nmの吸光度を測定した。測定開始後、30秒ごとの吸光度の値をプロットしていき、10分間測定した。測定開始後と10分後の値の間における近似線を引き、その傾きを算出した。イオン交換水で反応させた時(コントロール)のプロットの近似線の傾きを100としたときの傾きの比率をグラフにした。グラフを図1に示す。 図1から明らかなように、本発明にかかるチロシナーゼ阻害剤は、チロシナーゼの機能を強く阻害した。チロシナーゼは、L−チロシンを、L−DOPAさらにL−ドーパキノンに変える作用を有する。その後、L−ドーパキノンから数段階の反応を経てメラニン色素が合成されるため、チロシナーゼ活性を阻害することは、メラニンの合成を抑制することにつながる。したがって、本発明のチロシナーゼ阻害剤は、化粧料、特に美白化粧料用途に好適である。(参考例1) 特許第2090412号公報に記載の方法に従い、ミミズの凍結乾燥粉末を得た。 即ち、24時間明所に放置後、体皮に付着する汚物を剥ぎ取った生のアカミミズ30kgを平皿に約5cmの厚さに拡げ、この上に水30リットルを加えた。水を加えた後に、その状態で20分間保持した。次いで、水から生ミミズを取り出し、水洗したのち、ホモジナイザーを用いて10℃において摩砕し、ミミズペーストを調製した。次に、このミミズペーストを吸引脱気して、その中に含まれているガスを除いたのち、ステンレス鋼製トレーに移し、瞬間的に−35℃まで急冷し、この温度に50時間維持して徐々に凍結した。 凍結したミミズペーストを−35℃で圧力0Paを2時間保ったのち、温度25℃まで昇温し、40Paで10時間、次いで40℃、圧力35Paで14時間、次いで65℃、圧力35Paで12時間乾燥し、最後に温度を80℃とし、圧力25Paにおいて6時間保つことにより真空凍結乾燥を行った。この処理により含水量8質量%の淡黄色のミミズ乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末を、50%エタノール水溶液に、エタノール:凍結乾燥粉末が20:1(v/w)となるように溶解し、室温(25℃)下、1500rpmで1時間振とうした。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末A−Iを得た。(参考例2) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用いた以外は上記参考例1と同様にして、凍結乾燥粉末B−Iを得た。(参考例3) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用い、最後の減圧濃縮を行わなかった以外は上記参考例1と同様にして、凍結乾燥粉末C−Iを得た。(実施例3) 水洗により皮ふ表面に付着した汚物を除去した生のアカミミズ30kgを平皿に約5cmの厚さに拡げ、この上にクエン酸250gを均一に振りかけたのち、15秒で純水30リットルを加えて希釈した。 次に、この希釈したクエン酸中に浸したミミズを20℃において60分間放置した。次いで、汚れたクエン酸水溶液から生ミミズを取り出し、水洗したのち、ホモジナイザーを用いて10℃において摩砕し、ミミズペーストを調製した。次に、この摩砕物を吸引脱気して、その中に含まれているガスを除いたのち、ステンレス鋼製トレーに移し、瞬間的に−30℃まで急冷し、この温度に50時間維持して徐々に凍結した。 このようにして凍結したミミズペーストを−30℃で圧力5Paに減圧して10時間保ったのち、温度を20℃まで昇温し、圧力10Paで10時間、次いで40℃で10時間乾燥し、最後に温度を80℃とし、圧力5Paにおいて5時間保つことにより真空凍結乾燥を完了した。この処理により含水量8質量%の淡黄色のミミズの凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末を、50%エタノール水溶液に、エタノール:凍結乾燥粉末が20:1(v/w)となるように溶解し、室温(25℃)下、1500rpmで1時間振とうした。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末A−IIを得た。(実施例4) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用いた以外は上記実施例3と同様にして、凍結乾燥粉末B−IIを得た。(実施例5) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用い、最後の減圧濃縮を行わなかった以外は上記実施例3と同様にして、凍結乾燥粉末C−IIを得た。(実施例6) 上記実施例2と同様にして、淡黄色の凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末を、50%エタノール水溶液に、エタノール:凍結乾燥粉末が20:1(v/w)となるように溶解し、室温(25℃)下、1500rpmで1時間振とうした。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末A−IIIを得た。(実施例7) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用いた以外は上記実施例6と同様にして、凍結乾燥粉末B−IIIを得た。(実施例8) 50%エタノールの代わりにイオン交換水を用い、最後の減圧濃縮を行わなかった以外は上記実施例6と同様にして、凍結乾燥粉末C−IIIを得た。 上記の凍結乾燥粉末A−I、A−II、A−III、B−I、B−II、B−III、C−I、C−II、C−IIIについて、それぞれ、凍結乾燥粉末0.1gにリン酸バッファーを加え、0.05g/mlになるよう調整した。この溶液を振盪(1500rpm、25℃、1時間)し、さらに遠心分離(10000×g、4℃、15分間)した上清を採取して測定サンプルとした。 リン酸バッファーを基本に、チロシナーゼ(Sigma、マッシュルーム由来)、L−DOPA(ナカライ)を同緩衝液で規定濃度(2.5mM)に調整した。分光光度計を用いて、リン酸バッファーを0.5mlとチロシナーゼ(250U/ml)を0.2mlと測定サンプルを0.1ml加えて、37℃で3分間インキュベーションした。インキュベーション開始から2分48秒で測定を開始し、3分でL−DOPA(2.5mM)を0.25ml加えて37℃で10分間(10秒ずつ)、吸光度490nmで測定を実施した。 測定結果から、下記式に定義するチロシナーゼ活性阻害率(%)を計算した(下記式は5分後の値の例)。At:チロシナーゼおよびL−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac:チロシナーゼを含み、L−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。At0:チロシナーゼを含まず、L−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac0:チロシナーゼおよびL−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。 活性率(%)=([At]−[At0])/([Ac]−[Ac0])×100 チロシナーゼ活性阻害率(%)=100−活性率 結果を下記表1〜表3、および、図2〜図4に示す。なお、各表中、0.05Mリン酸緩衝液pH6.8とあるのは、測定サンプルの代わりにリン酸バッファーを用いたコントロールである。 上記表1〜3および図2〜4から明らかなように、本発明にかかる製造方法により得られたミミズ凍結乾燥粉末よりなるチロシナーゼ阻害剤は、チロシナーゼに対して阻害活性を示した。特に、摩砕処理前の生ミミズを、金属塩およびヒドロキシカルボン酸に接触させる工程を含む方法により得られたものは、チロシナーゼ阻害活性が高かった。(比較例1) 特開昭63−238009号公報記載の方法に準拠し、生ミミズ(90.0g)を約80℃で20分間湯煎し、水道水で洗浄した。水切りした後、ミキサーにかけてミミズペースト状を得た。 当該ペーストを50%エタノール水溶液に、エタノール:ペーストが10:1(v/w)となるように溶解し、5〜10℃の低温下、攪拌しながら2週間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末D−Iを得た。(実施例9) 上記実施例2と同様にして、淡黄色の凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液に、エタノール:凍結乾燥粉末が10:1(v/w)となるように溶解し、5〜10℃の低温下、攪拌しながら2週間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末D−IIを得た。(参考例4) 参考例1と同様に、特許第2090412号公報に記載の方法に従い、ミミズの凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液に、エタノール:凍結乾燥粉末が10:1(v/w)となるように溶解し、5〜10℃の低温下、攪拌しながら2週間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、上清を分離して、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末D−IIIを得た。 上記の凍結乾燥粉末D−I、D−II、D−IIIについて、それぞれ、凍結乾燥粉末0.1gにリン酸バッファーを加え、0.05g/mlになるよう調整した。この溶液を振盪(1500rpm、25℃、1時間)し、さらに遠心分離(10000×g、4℃、15分間)した上清を採取して測定サンプルとした。 リン酸バッファーを基本に、チロシナーゼ(Sigma,マッシュルーム由来)、L−DOPA(ナカライ)を同緩衝液で規定濃度(2.5mM)に調整した。分光光度計を用いて、リン酸バッファーを0.5mlとチロシナーゼ(250U/ml)を0.2mlと測定サンプルを0.1ml加えて、37℃で3分間インキュベーションした。インキベーション開始から2分48秒で測定を開始し、3分でL−DOPA(2.5mM)を0.25ml加えて37℃で10分間(10秒ずつ)、吸光度490nmで測定を実施した。 測定結果から、下記式に定義するチロシナーゼ活性阻害率(%)を計算した(下記式は5分後の値の例)。At:チロシナーゼおよびL−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac:チロシナーゼを含み、L−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。At0:チロシナーゼを含まず、L−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac0:チロシナーゼおよびL−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。 活性率(%)=([At]−[At0])/([Ac]−[Ac0])×100 チロシナーゼ活性阻害率(%)=100−活性率 結果を下記表4、および、図5に示す。なお、各表中、0.05Mリン酸緩衝液pH6.8とあるのは、測定サンプルの代わりにリン酸バッファーを用いたコントロールである。 上記表4および図5から明らかなように、本発明にかかる製造方法、特に、摩砕処理前の生ミミズを、金属塩およびヒドロキシカルボン酸に接触させる工程を含む方法により得られたミミズ凍結乾燥粉末よりなるチロシナーゼ阻害剤(D―II)は、特開昭63−238009号公報記載の方法に準拠した製造方法により得られたもの(D−I)よりも、チロシナーゼ阻害活性が高かった。(比較例2) 特開昭63−238009号公報記載の方法に準拠し、生ミミズ(90.0g)を約80℃で20分間湯煎し、水道水で洗浄した。水切りした後、ミキサーにかけてミミズペースト状を得た。 当該ペーストをイオン交換水に、イオン交換水:ペーストが10:1(v/w)となるように溶解し、加えたイオン交換水の50%量のクロロホルムをさらに加えて振とうし、その後5〜10℃の低温下、24時間放置した。水層を取り出し、水層の量の90%量の50%エタノールを加えて攪拌し、5〜10℃の低温下、24時間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、沈殿層を分離して凍結乾燥し、凍結乾燥粉末E−Iを得た。一方、上清を、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末F−Iを得た。(実施例10) 生ミミズ90.0gを用い、上記実施例2と同様にして淡黄色の凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末をイオン交換水に、イオン交換水:凍結乾燥粉末が10:1(v/w)となるように溶解し、加えたイオン交換水の50%量のクロロホルムをさらに加えて振とうし、その後5〜10℃の低温下、24時間放置した。水層を取り出し、水層の量の90%量の50%エタノールを加えて攪拌し、5〜10℃の低温下、24時間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、沈殿層を分離して凍結乾燥し、凍結乾燥粉末E−IIを得た。一方、上清を、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末F−IIを得た。(参考例5) 参考例1と同様に、特許第2090412号公報に記載の方法に従い、ミミズの凍結乾燥粉末を得た。 当該凍結乾燥粉末をイオン交換水に、イオン交換水:凍結乾燥粉末が10:1(v/w)となるように溶解し、加えたイオン交換水の50%量のクロロホルムをさらに加えて振とうし、その後5〜10℃の低温下、24時間放置した。水層を取り出し、水層の量の90%量の50%エタノールを加えて攪拌し、5〜10℃の低温下、24時間放置した。その後、4℃、10000×gで15分間遠心し、沈殿層を分離して凍結乾燥し、凍結乾燥粉末E−IIIを得た。一方、上清を、75℃で15分間減圧濃縮し、凍結乾燥して凍結乾燥粉末F−IIIを得た。 上記の凍結乾燥粉末E−I、E−II、E−III、F−I、F−II、F−IIIについて、それぞれ、凍結乾燥粉末0.1gにリン酸バッファーを加え、0.05g/mlになるよう調整した。この溶液を振盪(1500rpm、25℃、1時間)し、さらに遠心分離(10000×g、4℃、15分間)した上清を採取して測定サンプルとした。 リン酸バッファーを基本に、チロシナーゼ(Sigma,マッシュルーム由来)、L−DOPA(ナカライ)を同緩衝液で規定濃度(2.5mM)に調整した。分光光度計を用いて、リン酸バッファーを0.5mlとチロシナーゼ(250U/ml)を0.2mlと測定サンプルを0.1ml加えて、37℃で3分間インキュベーションした。インキベーション開始から2分48秒で測定を開始し、3分でL−DOPA(2.5mM)を0.25ml加えて37℃で10分間(10秒ずつ)、吸光度490nmで測定を実施した。 測定結果から、下記式に定義するチロシナーゼ活性阻害率(%)を計算した(下記式は5分後の値の例)。At:チロシナーゼおよびL−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac:チロシナーゼを含み、L−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。At0:チロシナーゼを含まず、L−DOPAを含む測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。Ac0:チロシナーゼおよびL−DOPAを含まない測定溶液の測定開始後30秒から5分30秒後にかけての吸光度の増加値。 活性率(%)=([At]−[At0])/([Ac]−[Ac0])×100 チロシナーゼ活性阻害率(%)=100−活性率 結果を下記表5、6および、図6、7に示す。なお、各表中、0.05Mリン酸緩衝液pH6.8とあるのは、測定サンプルの代わりにリン酸バッファーを用いたコントロールである。 上記表5、6および図6、7から明らかなように、本発明にかかる製造方法、特に、摩砕処理前の生ミミズを金属塩およびヒドロキシカルボン酸に接触させる工程を含む方法により得られたミミズ凍結乾燥粉末よりなるチロシナーゼ阻害剤(E―II、F−II)は、特開昭63−238009号公報記載の方法に準拠した製造方法により得られたもの(E−I、F−I)よりも、チロシナーゼ阻害活性が高かった。 生ミミズをカリウム、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩化物と接触させた後、 粉末状ヒドロキシカルボン酸と生ミミズとを接触させ、水で希釈してpH2〜5に調整し、3〜180分間保持した後、または、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させ、3〜180分間保持した後、 生ミミズを水洗し、摩砕し、得られた摩砕物を凍結乾燥する工程を備えることを特徴とするチロシナーゼ阻害剤の製造方法。 前記塩化物と生ミミズとを接触させる前に、生ミミズを、10〜50時間明所に放置後、体皮に付着する汚物を剥ぎ取ってから、前記金属の塩化物と接触させる工程を備える請求項1記載のチロシナーゼ阻害剤の製造方法。 前記凍結乾燥が、摩砕物を−18℃〜−35℃で20〜240時間凍結させたのち、真空下で凍結乾燥することにより行われる請求項1記載のチロシナーゼ阻害剤の製造方法。 前記摩砕物を凍結乾燥したものを水に溶解し、不溶性画分を除去または分離する工程を備える請求項1記載のチロシナーゼ阻害剤の製造方法。 請求項1〜4のいずれか一項記載のチロシナーゼ阻害剤の製造方法により得られたチロシナーゼ阻害剤を用いたことを特徴とする化粧料。 優れたチロシナーゼ阻害作用を有し、高い安全性を備えたチロシナーゼ阻害剤およびチロシナーゼ阻害剤の製造方法を提供する。 粉末状ヒドロキシカルボン酸と生ミミズとを接触させ、水で希釈してpH2〜5に調整し、3〜180分間保持した後、または、pH2〜5のヒドロキシカルボン酸水溶液と生ミミズとを接触させ、3〜180分間保持した後、生ミミズを水洗し、摩砕し、得られた摩砕物を凍結乾燥する工程を備えることを特徴とするチロシナーゼ阻害剤の製造方法である。


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