生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_実験動物から精液を採取する方法およびその人工授精法
出願番号:2012511744
年次:2012
IPC分類:A61D 19/02,A61M 1/00,C12M 1/26


特許情報キャッシュ

ホン、ジョン スプ JP 5087718 特許公報(B2) 20120914 2012511744 20091016 実験動物から精液を採取する方法およびその人工授精法 コリア テスティング アンド リサーチ インスティチュート 511024713 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 ホン、ジョン スプ KR 10-2009-0045066 20090522 KR 10-2009-0094688 20091006 20121205 A61D 19/02 20060101AFI20121115BHJP A61M 1/00 20060101ALN20121115BHJP C12M 1/26 20060101ALN20121115BHJP JPA61D7/02 ZA61M1/00 510C12M1/26 A61D 19/00 - 19/04 A61M 1/00 - 1/38 C12M 1/26 - 1/32 韓国公開特許第10−2009−0013543(KR,A) 特開2009−5651(JP,A) 米国特許出願公開第2007/61910(US,A1) 米国特許出願公開第2007/136830(US,A1) 特開2003−299727(JP,A) 18 KR2009005988 20091016 WO2010134672 20101125 2012527295 20121108 9 20120524 森林 宏和 本発明は、実験動物の精巣上体または精巣から精液を採取する方法およびその人工授精法に関する。 ウサギは実験動物として用いられる重要な動物種であり、薬理学、免疫学、血液学、病理学、内分泌学等の種々の分野において研究または認可を目的として主に用いられている。生殖毒性の点から、ウサギは薬物の催奇形性を発見するのに有用な動物種として用いられている。雌のウサギでは、自然排卵は起こらないが、雄もしくはホルモンによる交配刺激または電気刺激により排卵が誘導されるので、交配時期および交配動物数を必要に応じて調整することができる。更に、雌ウサギの胎児の大きさは、ラットまたはマウスの胎児の大きさよりも比較的大きいので、雌ウサギには、胎児の形態検出時に、より正確な観察が可能であるという利点がある(非特許文献1)。これらの種々の利点のため、米国食品医薬品局(FDA)、経済協力開発機構(OECD)、および国立安全研究院(National Institute of Safety Research)の毒性試験の指針も、非齧歯類を用いた催奇形性の評価にはウサギを用いねばならないと規定している。 ウサギを用いた催奇形性試験には、短期間に多くの妊娠動物が必要である。上記の目的のために現在2つの方法が用いられている。すなわち、雌雄のウサギを直接交配させる自然交配法と、雄ウサギの自然の乗駕行為により外部に射精される精液を人工膣で採取し、採取した精液を雌ウサギに注入する人工授精法である。 しかし、自然交配法には、多くの時間および手間が必要であり、多くの雄動物が必要であるという欠点がある。人工膣法を用いたウサギの人工授精法には、雄ウサギの状態によって精液の採取に必要な時間がとても不規則である;精液の射精および採取の速度が非常に遅い;および尿等の不純物により失敗の確率が高い、という問題点がある。更に、人工授精法は、乗駕行為を誘導するために非常に多くの不要な雄ウサギを必要とするため、施設の整備および飼育空間の利用の点から非常に非効率的である。 一方、精液の採取は動物の人工授精で最初に必要なことである。射精中枢を人為的に刺激して射精を起こさせて精液採取のために、動物種に応じて、例えばマッサージ法、電気刺激法、水圧法、人工膣法等の種々の方法が用いられる。 マッサージ法は、シチメンチョウまたは雄鳥(cock)に主に用いられ、雄鳥の場合、頭を逆さにし、恥骨と竜骨の間をマッサージした後、退化した交尾器官の基部を押すことで、漏出した精液を採取する。 電気刺激法は、ブタ、ウシ、ヒツジ、イヌ等に用いられ、仙骨部に電気刺激を与えて射精中枢を興奮させることで精液を採取する。 水圧法は、主にブタに用いられ、ブタの性欲を刺激し、擬牝台に乗駕させ、陰茎が出た時に手で圧力を加えることで、ブタに射精させる。 人工膣法は、主にウシ、ウマ、ヒツジ、およびウサギに用いられ、ブタに用いられることもあり、動物の生殖器と同様の温度および圧力条件を有する人工的に製造された膣を用いて人工膣内で射精させる。 一方、輸精管および精巣上体内では小血管が複雑に絡み合っているので、上記輸精管および精巣上体中に直接カテーテルを挿入して精液を採取すると精液と血液が混ざってしまうため純粋な精液を採取できないという問題がある。 そこで、本発明者らは、従来の実験動物の人工授精法の問題を改善する新規の人工授精法および精液採取法を研究することで、妊娠率および生産性の点で優れ;時間効率が良く;動物の大量飼育維持コストによる大きな経済的損失を防ぐことで経済的および産業的な点において優れた、実験動物の精巣上体または精巣から精液を採取する方法およびそれを用いた人工授精法に関する本発明を完成した。Gibson, JP, Staples, RE and Newberne, JW (1966): Use of rabbit in teratogenecity studies. Toxicol and Appl Pharmacol, 9:398-408 本発明の目的は、妊娠率および生産性の点で優れ;時間効率が良く;動物の大量飼育維持コストによる大きな経済的損失を防ぐことで経済的および産業的な点において優れた、実験動物の精巣上体または精巣から精液を採取する方法およびそれを用いた人工授精法を提供することである。 上記の目的を達成するため、本発明は、実験動物の輸精管上の外血管を除去し、上記血管が除去された輸精管から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の輸精管の外側に存在する精巣動静脈を除去し、精巣動静脈を除去した輸精管から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、輸精管と精巣動静脈との間に存在する膜に溶媒を注入し、その後、精巣動静脈が除去された輸精管から精液を採取する方法を提供する。前記溶媒は生理食塩水が好ましい。 更に、本発明は、実験動物の輸精管の外側の血管の血液を除去し、その後、上記血液が除去された輸精管から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の輸精管の外側に存在する精巣動静脈の血液を除去し、その後、上記血液が除去された精巣動静脈から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の輸精管の外側に存在する精巣動静脈に溶媒を注入し、血液を流して(flushing)除去し、その後、血液が除去された精巣動静脈から精液を採取する方法を提供する。前記溶媒は生理食塩水が好ましい。 更に、本発明は、実験動物の腹部大動脈または腹部大静脈を切断して腹部大動脈または腹部大静脈から血液を除去し、その後、輸精管から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の精巣上体上の外血管を除去し、その後、上記血管が除去された精巣上体から精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の精巣上体上の外血管を除去し、その後、上記血管を除去した精巣上体を切断して精液を採取する方法を提供する。 更に、本発明に係る精液採取法では、30〜45℃の温度を維持しながら血液または血管を除去して精液を採取することが好ましい。上記血液を除去する時は、温度を30〜45℃に維持することが好ましい。温度は輸精管および精巣上体中に存在する精子の活性に大きな影響を与えるので、注入針、生理食塩水等の血液除去に用いられる全ての要素の温度を、ウサギの体温と同様の37〜40℃の範囲内の温度に加熱した。 更に、本発明に係る精液採取法は、ウサギ、マウス、ラット、イヌ、またはモルモットの精液採取法として好ましい。 更に、本発明は、実験動物の輸精管上の外血管を除去し、その後、前記の血管が除去された輸精管から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。より具体的には、本発明は、輸精管と精巣動静脈との間に存在する膜中に溶媒を注入し、精巣動静脈から輸精管を分離して精巣動静脈を除去し、その後、上記の精巣動静脈が除去された輸精管から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。前記溶媒は生理食塩水が好ましい。 更に、本発明は、実験動物の輸精管上の外血管から血液を除去し、その後、上記血液が除去された輸精管から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。上記血管は、精巣動静脈であることが好ましい。より具体的には、本発明は、実験動物の輸精管の外側に存在する精巣動静脈中に溶媒を注入し、その後、血液が除去された輸精管から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。上記溶媒は生理食塩水が好ましい。更に、採取した精液を希釈して雌に注入することが好ましい。 更に、本発明は、実験動物の腹部大動脈または腹部大静脈を切断して腹部大動脈または腹部大静脈から血液を除去し、その後、輸精管から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。 更に、本発明は、実験動物の精巣上体上の外血管を除去し、その後、上記血管が除去された精巣上体から精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。上記血管は、精巣動静脈であることが好ましい。より具体的には、本発明は、実験動物の精巣上体上の外血管を除去し、その後、血管が除去された精巣上体を切断し、精液を採取し、採取した精液を雌に注入する、人工授精法を提供する。上記溶媒は生理食塩水であることが好ましい。更に、採取した精液を希釈して雌動物に注入することが好ましい。 更に、本発明の人工授精法では、30〜45℃の温度を維持しながら血液または血管を除去して精液を採取することが好ましい。 更に、本発明の人工授精法は、ウサギ、マウス、ラット、イヌ、またはモルモットの人工授精法として好ましい。 本発明は、妊娠率および生産性の点で優れ;時間効率が良く;動物の大量飼育維持コストによる大きな経済的損失を防ぐことで経済的および産業的な点において優れた、実験動物の精巣上体または精巣から精液を直接採取する方法およびそれを用いた人工授精法を提供することができる。(A)は外側の血管が除去される前の輸精管を示し、(B)は外側の血管が除去された輸精管を示す。(A)は外側の血管の血液が除去される前の精巣上体および輸精管を示し、(B)は外側の血管の血液が除去された精巣上体および輸精管を示す。 本発明の理解のために以下に好ましい実施例を記載する。しかし、以下の実施例は本発明を理解し易くするためだけに記載するものであり、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。実施例1:ウサギ輸精管からの精液の直接採取(1)温度を30〜45℃に維持しながら、雄ウサギの輸精管外壁と輸精管動静脈との間に存在する膜に注入針を刺し、その後、生理食塩水を注入して輸精管動静脈から輸精管を分離することで、血管を除去した。上記血管が除去された輸精管にカテーテルを挿入し、生理食塩水を灌流することで精液を採取した。(2)別の方法で、温度を30〜45℃に維持しながら、雄ウサギの輸精管の外壁中に位置する輸精管動静脈中に注入針を刺し、その後、生理食塩水を灌流することで血液を流した(flushed)。上記血液が除去された輸精管にカテーテルを挿入し、生理食塩水を灌流することで精液を採取した。(3)別の方法で、温度を30〜45℃に維持しながら、雄ウサギの腹部大動脈または腹部大静脈を切断し、その後、血液を除去した。上記血液が除去された輸精管にカテーテルを挿入し、生理食塩水を灌流することで精液を採取した。実施例2:ウサギ精巣上体からの精液の直接採取 温度を30〜45℃に維持しながら、雄ウサギの精巣上体の血管を除去し、血管が除去された上記精巣上体を切断することで、精液を採取した。 上記実施例1または実施例2の方法により、各固体につき20mlの精液を採取した。上記方法により、精子と生理食塩水が混合した高純度の強い精子を得ることができる。比較例1:人工授精法によるウサギの精液採取 内側のゴム筒と外側のプラスチック筒との間に水を満たすことで人工膣を完全に組み立てた。その後、人工膣内の水温が45〜50℃になるまで、50℃の恒温槽中に人工膣全体を十分に浮かせた。 2頭の雄ウサギを上部の開いた飼育箱に入れた。交尾行動が始まった時に、恒温槽に浮いている人工膣を取り出し、その下部に精液採取管を取り付け、交尾行動を示している雄ウサギの後肢の間に置き、精液を採取した。このようにして、0.5mlの精液を採取した。これは上記実施例1の容量の1/40であった。実験例1:精液採取法による精液特性の比較 精子運動性、精子数(濃度)、およびその他の形態的異常を比較するために、精子分析装置(米国のハミルトン−スローン社(Hamilton−thron)製)を用いて実施例1または実施例2および比較例1の精子を比較および分析した。結果を表1に示す。 表1に示されるように、実施例および比較例は80%以上の活発な精子運動性を示した。精子の形態については、実施例および比較例で正常な精子の数に大きな差は見られなかった。実施例では比較例より異常(%)が少なかった。実験例2:ウサギの精巣上体または精巣から採取した精液を用いた人工授精法 注入管を用いて、実施例1または実施例2および比較例1の精液を、生理食塩水中に希釈してまたは希釈せずに、3.5kg以上の雌ウサギ(20頭)の左と右の子宮にそれぞれ注入した。人工授精終了後、過剰排卵を誘導するため、hCG(10iu/KG/B.W.ウサギ)をウサギの耳静脈に注入した。人工授精日を妊娠0日目とし、妊娠から28日後に妊娠ウサギの帝王切開を行い、受精率および着床率(数)、生存胎児、胎盤および胎児の重量、雌雄比、外観の異常、骨格および内臓の異常等を観察した。結果を表2に示す。 妊娠から28日後に帝王切開を行った結果、最終的に20頭の雌ウサギのうち20母体(100%)が妊娠(初期の中絶を含む。)していることが確認された。着床率は平均84.9%であった。母体1頭当たりの生存胎児の平均数に関しては、初期に中絶した個体以外の母体18頭から胎児146頭(8.1頭/母体1頭当たりの生存胎児の平均数)が確認された。胎児の雌雄比に関しては、雌と雄の比は1:0.91と算出された。胎盤および胎児の重量を測定した結果、胎盤の平均重量は5.13gであり、胎児の平均重量は36.84gであった。胎盤の外見に異常がないか観察した結果、特別な異常は観察されなかった。 更に、人工膣法による人工授精の場合、雄の精液採取から人工授精の終了まで平均4〜5時間以上かかった。一方、本発明の場合、30分以内に全ての作業が完了し、動物の状態および条件に関係なく、人工授精の時間および期間を任意に調整することができた。 上記で概説したように、実験動物の精巣上体または精巣から直接精液を採取する方法およびそれを用いた人工授精法は、妊娠率および生産性の点で優れ、時間効率が良く、動物の大量飼育維持コストによる大きな経済的損失を防ぐことで経済的および産業的な点において優れている。 a)外血管から輸精管を分離するために、輸精管と輸精管上の外血管との間に存在する膜に溶媒を注入することによって実験動物の輸精管上の外血管を除去する工程;および b)前記血管が除去された輸精管から精液を採取する工程 を含む、精液採取法。 前記工程a)が、前記輸精管の周囲の精巣動静脈を除去することを特徴とする、請求項1に記載の精液採取法。 前記工程a)が、前記精巣動静脈から前記輸精管を分離するために、前記輸精管と前記精巣動静脈との間に存在する膜に溶媒を注入することによって前記精巣動静脈を除去することを特徴とする、請求項2に記載の精液採取法。 前記溶媒が生理食塩水である、請求項3に記載の精液採取法。 a)血液を流す(flush)ために、外血管に溶媒を注入することによって実験動物の輸精管上の外血管から血液を除去する工程;および b)前記血液が除去された輸精管から精液を採取する工程 を含む、精液採取法。 前記工程a)が、前記輸精管の周囲の輸精管動静脈から血液を除去することを特徴とする、請求項5に記載の精液採取法。 前記工程a)が、血液を流す(flush)ために、精巣動静脈に溶媒を注入することを特徴とする、請求項6に記載の精液採取法。 前記溶媒が生理食塩水である、請求項7に記載の精液採取法。 a)外血管から精巣上体を分離するために、精巣上体及び精巣上体上の外血管との間に存在する膜に溶媒を注入することによって実験動物の精巣上体上の外血管を除去する工程;および b)前記血管が除去された精巣上体から精液を採取する工程; を含む、精液採取法。 前記工程b)が、前記精巣上体を切断して精液を採取することを含む、請求項9に記載の精液採取法。 前記工程a)およびb)が、温度30〜45℃を維持することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の精液採取法。 前記実験動物が、ウサギ、マウス、ラット、イヌ、およびモルモットからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の精液採取法。 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により採取された精液を雌に注入することを含む、人工授精法。 前記採取された精液が、希釈され、その後雌に注入されることを特徴とする、請求項13に記載の人工授精法。 請求項11に記載の方法により採取された精液を雌に注入することを含む、人工授精法。 前記採取された精液が、希釈され、その後雌に注入される、請求項15に記載の人工授精法。 請求項12に記載の方法により採取された精液を雌に注入することを含む、人工授精法。 前記採取された精液が、希釈され、その後雌に注入される、請求項17に記載の人工授精法。


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