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タイトル:公表特許公報(A)_シクロヘキサノンの産生のための生物
出願番号:2012511059
年次:2012
IPC分類:C12N 1/21,C12P 7/26,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

ロビン イー. オステルホウト アントホンイ ピー. ブルガルド マルク ジェイ. ブルク プリトイ プハルクヤ JP 2012526561 公表特許公報(A) 20121101 2012511059 20100514 シクロヘキサノンの産生のための生物 ゲノマチカ, インク. 511062818 石川 徹 100097456 ロビン イー. オステルホウト アントホンイ ピー. ブルガルド マルク ジェイ. ブルク プリトイ プハルクヤ US 61/178,791 20090515 C12N 1/21 20060101AFI20121005BHJP C12P 7/26 20060101ALI20121005BHJP C12N 15/09 20060101ALN20121005BHJP JPC12N1/21C12P7/26C12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2010035015 20100514 WO2010132845 20101118 105 20120113 4B024 4B064 4B065 4B024AA03 4B024BA80 4B024CA04 4B024DA06 4B024EA04 4B024GA11 4B064AC37 4B064CA19 4B064CC24 4B064CD09 4B064CE10 4B064DA16 4B065AA01Y 4B065AA26X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065BB15 4B065BC02 4B065BC06 4B065CA09 4B065CA60 本出願は、それらのすべての内容が引用により本明細書に組み込まれている2009年5月15日に出願された米国仮出願第61/178,791号の優先権の利益を要求する。 本発明は、一般的に、有機化合物を産生することのできる生合成過程及び生物に関する。より具体的には、本発明は、有用化学物質シクロヘキサノンを産生することのできる非天然生物に関する。 シクロヘキサノンは、ナイロン6及びナイロン66の重要な化学物質前駆体である。シクロヘキサノンの硝酸による酸化は結果として、ナイロン66についての鍵となる構築ブロックであるアジピン酸の形成を生じる。シクロヘキサノンのオキシム化及びその後のBeckmann転位は、ナイロン6に至る前駆体であるカプロラクタムの調製のための基礎を形成する。 シクロヘキサノンのコストは主として、純粋なベンゼンの原材料コストに左右される。シクロヘキサノンは、コバルト触媒を用いたシクロヘキサンの酸化によって化学的に合成され、結果的に、「KA油」と呼ばれる、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を生じる。あるいは、シクロヘキサノンは、フェノールの部分的な水素化によって生じることができる。 したがって、安価でかつ再生可能な供給原料からシクロヘキサノンを産生する微生物及びその使用方法を開発する必要性が存在する。本発明は、この必要性を満たし、その上、関連する利点を提供する。 いくつかの態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する微生物を含む非天然微生物を提供する。いくつかの実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼからなる群から選択される酵素を含む。 他の実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、及びシクロヘキサノン脱水素酵素から選択される酵素を含む。 さらなる実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む。 なおもさらなる実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素を含む。 いくつかの態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含む、シクロヘキサノンを産生する方法を提供する。いくつかの実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼからなる群から選択される酵素を含む。 該方法の他の実施態様において、1セットのシクロヘキサノン経路酵素は、(a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼから選択される酵素;(b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼから選択される酵素;並びに(c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)から選択される酵素から選択される。 該方法のまださらなる実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む。 該方法のなおもさらなる実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼから選択される酵素を含む。図1は、ピメロイル-CoAからシクロヘキサノンへの転換を示す。略語は以下のとおりである:2-KCH-CoA=2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA、2-KCH=2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラート。図2は、アセトアセチル-CoAからピメロイル-CoAへの転換を示す。図3は、3-ヒドロキシピメロイル-CoAからシクロヘキサノンへの転換を示す。略語:6-KCH-CoA=6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA、6-KCH=6-カルボキシヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート、2KCH-CoA=2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA、2-KCH=2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラート。図4は、アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサノンへの転換を示す。図5は、3-オキソピメロイル-CoAからシクロヘキサノンへの転換を示す。図6は、A)3-デヒドロキナートデヒドラターゼ、B)2-ヒドロキシイソフラバノン脱水素酵素、及びC)2-シクロヘキセノンヒドラターゼの酵素活性を示す。図7は、2,6-ジアミノピメラートからピメロイル-CoAへの経路を示す。 (本発明の詳細な説明) 本発明は、再生可能な糖供給原料からの発酵を介してシクロヘキサノンの生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する非天然微生物に一部関する。原材料としてのグルコースから出発するシクロヘキサノンの理論的収量は、下記の式1に示されるように、0.75モル/グルコースモル(0.409g/g)である: 4 C6H12O6 → 3(CH2)5CO+6CO2+9H2O 式1 いくつかの実施態様によると、シクロヘキサノン生合成経路は、ピメロイル-CoA中間体を包含する。この経路は、細菌、古細菌、及びいくつかの真菌(168)におけるビオチン生合成経路の中間体であるピメロイル-CoAの合成に向けての流れのチャネリングを使用する。ピメロイル-CoAは、広汎な代謝産物であるが、この中間体を生成することに関与する経路は十分に解明されていない。いくつかの実施態様において、本発明は、ピメロイル-CoAを合成するためのエネルギー的に好ましい経路を提供する。ピメロイル-CoAの合成のための本明細書に開示された経路を適用して、中心代謝産物前躯体からシクロヘキサノンを生成することができる。追加的な実施態様において、ベンゾイル-CoA分解経路における酵素を介してシクロヘキサノンを合成するための経路が開示される。この経路は、中間体としてのピメロイル-CoAを通じて進行しないが、可能性のあるピメロイル-CoA前駆体である3-ヒドロキシピメロイル-CoAを通過する。さらなる実施態様において、本発明は、アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサノンへの経路を提供する。この経路は、まだ刊行されていない米国特許出願シリアル番号第12/413,355号において開示されるアジパートへの経路に関連した出願者の先行開示に関する。まださらなる実施態様において、中間体4-アセチルブチラートを介した3-オキソピメロイル-CoAからシクロヘキサノンへの経路が、本明細書で説明される。 各経路について、酵素は、該酵素の相応のGenBank識別子を用いて同定される。この報告において列挙される酵素についての配列を用いて、配列類似性検索(例えば、BLASTp)を通じてGenBank又は他のデータベースにおけるホモログタンパク質を同定することができる。結果として生じるホモログタンパク質及びその相応の遺伝子配列は、大腸菌又は他の微生物への形質転換のための追加的なDNA配列を提供する。 本明細書で使用する場合、用語「非天然」は、本発明の微生物(microbial organism)又は微生物(microorganism)に関して使用される場合、該微生物が、基準種の野生型株を含む天然株の基準種において通常認められない少なくとも1つの遺伝的変更を有することを意味することが意図される。遺伝的変更には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能核酸、他の核酸付加、核酸欠失及び/又は当該微生物の遺伝物質の他の機能的な破壊を導入する修飾を含む。このような修飾には、例えば、基準(referenced)種に対し異種性、相同、又は異種性及び相同の両ポリペプチドのコード領域及びその機能的断片を含む。追加的な修飾には、例えば、該修飾が遺伝子又はオペロンの発現を変更する非コード調節領域を含む。典型的な代謝ポリペプチドには、シクロヘキサノン生合成経路の内の酵素又はタンパク質を含む。 代謝修飾とは、その天然状態から変更された生化学的反応をいう。それゆえ、非天然微生物は、代謝ポリペプチド又はその機能的断片をコードする核酸に対する遺伝的修飾を有することができる。典型的な代謝修飾は、本明細書に開示される。 本明細書で使用する場合、用語「単離される」は、微生物に関して使用される場合、該基準微生物が天然に認められるときに少なくとも1つの構成要素を実質的に含まない生物を意味することを意図する。該用語には、その自然環境で認められるいくつか又は全ての構成要素から取り出された微生物を含む。また、該用語には、該微生物が非天然環境で認められるときにいくつか又は全ての構成要素から取り出された微生物を含む。それゆえ、単離された微生物は、天然に認められる場合のような他の物質、又は非天然環境で増殖し、保存し、若しくは維持される場合のような他の物質から、部分的に若しくは完全に分離される。単離された微生物の具体的な例には、部分的に純粋な微生物、実質的に純粋な微生物、及び非天然の培地で培養された微生物を含む。 本明細書で使用する場合、用語「微生物(microbial)」、「微生物(microbial organism)」又は「微生物(microorganism)」は、古細菌、細菌又は真核生物のドメイン内に含まれる微視的細胞として存在する任意の生物を意味することを意図する。それゆえ、該用語は、微視的サイズを有する原核若しくは真核の細胞若しくは生物を包含するよう意図され、全ての種の細菌、古細菌及び真正細菌、並びに酵母及び真菌などの真核微生物を含む。また、該用語には、生化学的産生のために培養することのできる任意の種の細胞培養物も含む。 本明細書で使用する場合、用語「CoA」又は「補酵素A」とは、活性のある酵素系を形成するためにその存在が多くの酵素(アポ酵素)の活性に必要とされる有機的補助因子又は補欠分子族(酵素の非タンパク質部分)を意味することを意図する。補酵素Aは特定の縮合酵素において機能し、アセチル又は他のアシル基転移において、並びに脂肪酸合成及び酸化、ピルビン酸酸化において、及び他のアセチル化において作用する。 本明細書で使用する場合、用語「実質的に嫌気性」は、培養又は増殖条件に関して使用する場合、酸素量が液体培地中の溶存酸素について約10%未満飽和していることを意味することを意図する。また、該用語は、約1%未満の酸素の雰囲気で維持される液体又は固体培地の密封チャンバーを含むことも意図する。 本明細書において使用する場合、「外来性」は、該基準分子又は該基準活性が宿主微生物に導入されることを意味することを意図する。該分子は、例えば、宿主染色体への組込みなどによる宿主遺伝材料へのコード核酸の導入によって、又はプラスミドなどの非染色体性遺伝材料として、導入することができる。それゆえ、該用語は、コード核酸の発現に関して使用する場合、発現可能な形態でのコード核酸の微生物への導入をいう。生合成活性に関して使用する場合、該用語は、宿主基準生物に導入される活性をいう。供給源は、例えば、宿主微生物への導入後に該基準活性を発現する相同若しくは異種性のコード核酸であり得る。それゆえ、用語「内在性」とは、宿主に存在する基準分子又は活性をいう。同様に、該用語は、コード核酸の発現に関して使用する場合、微生物内に含まれるコード核酸の発現をいう。用語「異種性」とは基準種以外の供給源に由来する分子又は活性をいうのに対し、「相同」とは宿主微生物に由来する分子又は活性をいう。したがって、本発明のコード核酸の外来性発現は、異種性若しくは相同のいずれか又は両方のコード核酸を利用することができる。 2つ以上の外来性核酸が微生物に含まれる場合、2つ以上の外来性核酸とは、先に論議したように、基準のコード核酸又は生合成活性をいうことは理解される。本明細書に開示したように、このような2つ以上の外来性核酸は、別個の核酸分子に関して、ポリシストロン性核酸分子、又はその組み合わせに関して、宿主微生物へと導入することができ、2つ以上の外来性核酸としてまだ考慮されるべきであることはさらに理解される。例えば、本明細書に開示されるように、微生物は、所望の経路酵素又はタンパク質をコードする2つ以上の外来性核酸を発現するよう操作することができる。所望の活性をコードする2つの外来性核酸が宿主微生物へと導入される場合、該2つの外来性核酸は、単一の核酸として、例えば、単一のプラスミドにおいて、別個のプラスミドにおいて導入することができ、単一の部位又は複数の部位で宿主染色体へと組み込むことができ、2つの外来性核酸としてまだ考慮されるべきであることは理解される。同様に、2つ以上の外来性核酸が、任意の所望の組み合わせで、例えば、単一のプラスミドにおいて、別個のプラスミドにおいて宿主生物へと導入することができ、単一の部位または複数の部位で宿主染色体へと組み込むことができ、2つ以上の外来性核酸、例えば、3つの外来性核酸としてまだ考慮されるべきであることは理解される。したがって、基準の外来性核酸又は生合成活性の数は、コード核酸の数又は生合成活性の数を指すのであって、宿主生物へと導入される別個の核酸の数を指すのではない。 本発明の非天然微生物は、安定した遺伝的変更を含むことができ、これは該変更の損失なしに5世代を超えて培養することのできる微生物をいう。一般に、安定した遺伝的変更には、10世代を超えて持続する修飾を含み、特に安定した修飾は約25世代を超えて持続し、より特定には、安定した遺伝的修飾は50世代(無制限を含む)を超える。 当業者は、本明細書に例証される代謝修飾を含む遺伝的変更が、大腸菌などの好適な宿主生物及びそれらの相応する代謝反応、又は所望の代謝経路のための遺伝子などの所望の遺伝材料に好適な供給源生物に関して説明されることを理解するであろう。しかしながら、多種多様な生物の完全なゲノム配列決定及びゲノム科学領域における高水準の技術を考慮すると、当業者は、本質的に他の全ての生物に対して本明細書に提供される教示及びガイダンスを容易に適用することができるであろう。例えば、本明細書に例証した大腸菌の代謝的変更は、該基準種以外の種からの同じ若しくは類似したコード核酸を組み込むことにより、他の種に容易に適用することができる。このような遺伝的変更には、例えば、一般的には種ホモログの遺伝的変更、特に、オルソログ、パラログ又は非オルソロガス遺伝子置換を含む。 オルソログは、垂直系統に関連し、かつ異なる生物において実質的に同じ若しくは同一の機能の原因となる遺伝子(gene)又は遺伝子(genes)である。例えば、マウスエポキシド加水分解酵素及びヒトエポキシド加水分解酵素は、エポキシドの加水分解の生物学的機能のためのオルソログとみなすことができる。遺伝子は、例えば該遺伝子が相同であること、又は共通祖先からの進化により関連することを示すのに十分な量の配列類似性を共有する場合、垂直系統によって関連する。また、遺伝子は、該遺伝子が共通祖先から、該一次配列類似性が同定できない程度まで進化したことを示すのに十分な量の三次元構造を共有するが、必ずしも配列類似性を共有しない場合、オルソログとみなすこともできる。オルソロガスである遺伝子は、約25%〜100%アミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。また、25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子は、該タンパク質の三次元構造も類似性を示す場合、垂直系統により生じたとみなすこともできる。組織プラスミノーゲン活性化因子及びエラスターゼを含むセリンプロテアーゼファミリー酵素のメンバーは、共通祖先から垂直系統により生じたものとみなされる。 オルソログには、例えば進化を通じて、構造又は全体的な活性において分岐した遺伝子又は遺伝子のコードした遺伝子産物を含む。例えば、ある種が2つの機能を呈する遺伝子産物をコードし、かつこのような機能が第二の種において異なる遺伝子へと分離した場合、該3つの遺伝子及びそれらの相応する産物はオルソログであるとみなされる。生化学的産物の産生のために、当業者は、導入又は破壊されるべき代謝活性を有するオルソロガス遺伝子が非天然微生物の構築のために選択されるべきことを理解するであろう。単離可能な活性を呈するオルソログの例は、異なる活性が、2つ以上の種間の、又は単一種内の異なる遺伝子産物に分離される場合である。具体的な例は、エラスターゼタンパク質分解及びプラスミノーゲンタンパク質分解(2種類のセリンプロテアーゼ活性)の、異なった分子へのプラスミノーゲン活性化因子及びエラスターゼとしての分離である。第二の例は、マイコプラズマ5'-3'エキソヌクレアーゼ、及びショウジョウバエDNAポリメラーゼIII活性の分離である。第一の種由来のDNAポリメラーゼは、第二の種由来のエキソヌクレアーゼ又はポリメラーゼのいずれか又は両方に対するオルソログとみなすことができ、逆もまた真である。 対照的に、パラログは、例えば、複製とそれに続く進化的分岐に関連するホモログであり、類似の又は共通した、しかし同一ではない機能を有する。パラログは、例えば、同種から若しくは異種から生じ、又は由来し得る。例えば、ミクロソームのエポキシド加水分解酵素(エポキシド加水分解酵素I)及び可溶性エポキシド加水分解酵素(エポキシド加水分解酵素II)は、これらが、異なった反応を触媒し、該同種において異なる機能を有する共通祖先から共進化した2つの異なる酵素を表すので、パラログとみなすことができる。パラログは、相同であり、又は共通祖先からの共進化を通じて関連していることを示唆する、互いに有意な配列類似性を有する同種由来のタンパク質である。パラログタンパク質ファミリーの群には、HipAホモログ、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチダーゼ、及びその他を含む。 非オルソロガス遺伝子置換は、異なる種の基準遺伝子機能と置換することのできる1つの種からの非オルソロガス遺伝子である。置換には、例えば、異なる種の基準機能と比較して、起源の種において実質的に同じ又は類似の機能を果たすことのできるものを含む。一般に、非オルソロガス遺伝子置換は、該基準機能をコードする公知の遺伝子に構造的に関連するものとして同定することができるが、より構造的に関連が低いものの機能的に類似する遺伝子及び該遺伝子の相応する遺伝子産物は、それでもなお本明細書に使用される用語の意味の内に収まる。機能的類似性は、例えば、置換しようとする機能をコードする遺伝子と比較して、非オルソロガス遺伝子産物の活性部位又は結合領域において少なくとも若干の構造類似性を必要とする。それゆえ、非オルソロガス遺伝子には、例えば、パラログ又は関連のない遺伝子を含む。 それゆえ、シクロヘキサノン生合成能力を有する本発明の非天然微生物を同定及び構築することにおいて、当業者は、本明細書に提供される教示及びガイダンスを特定の種に適用することで、代謝修飾の同定がオルソログの同定及び封入又は不活性化を含むことができることを理解するであろう。パラログ及び/又は非オルソロガス遺伝子置換が、類似若しくは実質的に類似の代謝反応を触媒する酵素をコードする基準微生物に存在する程度まで、当業者はこれらの進化的に関連する遺伝子を利用することもできる。 オルソログ、パラログ及び非オルソロガス遺伝子置換は、当業者に周知の方法により決定することができる。例えば、2つのポリペプチドについての核酸配列又はアミノ酸配列の検査は、比較された配列間の配列同一性及び類似性を明らかにするであろう。このような類似性に基づいて、当業者は、該タンパク質が共通祖先から進化を介して関連することを示すために類似性が十分に高いかどうかを決定することができる。Align、BLAST、Clustal W、及びその他などの当業者に周知のアルゴリズムは、生の配列類似性又は同一性を比較及び決定し、さらに、重み又はスコアを割り当てることができる配列の間隙の存在又は有意性を決定する。このようなアルゴリズムも当業者に公知であり、ヌクレオチド配列の類似性又は同一性を決定するのに同様に適用できる。相関性を決定するのに十分な類似性についてのパラメータは、統計的類似性を算出するための周知の方法、又はランダムポリペプチドにおける類似の対応(match)を見出す見込み、及び決定された対応の有意性に基づいて算出される。2以上の配列に関するコンピュータ比較は、所望の場合、当業者によって視覚的に最適化されることもできる。関連する遺伝子産物又はタンパク質は、高い類似性、例えば、25%〜100%の配列同一性を有すると予測することができる。関連性のないタンパク質は、十分なサイズのデータベースが走査される(約5%)場合、偶然生じることが予測されるのと本質的に同じである同一性を有することができる。5%〜24%の配列は、該比較された配列が関連していると結論づけるのに十分な相同性を表すことができる。データセットのサイズを考慮してこのような対応の有意性を決定するための追加的な統計的分析を実行して、これらの配列の関連性を決定することができる。 BLASTアルゴリズムを使用する2以上の配列の関連性を決定するための典型的なパラメータは、例えば、以下に記載したものであることができる。簡潔にいうと、アミノ酸配列整列は、BLASTPバージョン2.0.8(1999年1月5日)及び以下のパラメータを使用して実施することができる:マトリックス: 0 BLOSUM62;間隙開口:11;間隙伸長:1;x_ドロップオフ:50;期待値:10.0;文字サイズ:3;フィルター:オン。核酸配列整列は、BLASTNバージョン2.0.6(1998年9月16日)及び以下のパラメータを使用して実施することができる:対応:1;ミスマッチ:−2;間隙開口:5;間隙伸長:2;x_ドロップオフ:50;期待値:10.0;文字サイズ:11;フィルター:オフ。当業者は、どの修飾を上記パラメータに導入して、該比較の厳密性を増加又は減少させることができるか、例えば、2以上の配列の相関性を決定することができるかを知っているであろう。 いくつかの実施態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する微生物を含む非天然微生物を提供する。シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼから選択される酵素を含む。また、このような微生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含むことができる。他の実施態様において、このような生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含むことができる。なおもさらなる実施態様において、このような生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含むことができる。任意の外来性核酸は、異種性核酸として提供することができる。このような非天然微生物は、実質的に嫌気性の培地において提供(及び培養)することができる。 ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、PEPカルボキシキナーゼを含むことができる。PEPカルボキシキナーゼは、PCK1、pck、及びpckAから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)を含むことができる。このような酵素は、図1に示すように、ピメロイル-CoAを環化するために逆方向に作用する。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)は、badI、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、syn_01309、及びmenBから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼは、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。また、ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)を含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)は、acot12、gctA、gctB、及びACH1から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。また、ピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼは、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAGl_0676、HPAGl_0677、ScoA、ScoB、OXCTl、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。また、ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼは、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 いくつかの実施態様において、非天然微生物は、天然ピメロイル-CoA経路を有するのに対し、他の実施態様において、ピメロイル-CoA経路は、図2に示すように、アセトアセチル-CoAからのピメロイル-CoA生成のためのピメロイル-CoA経路酵素をコードするさらなる外来性核酸の付加によって提供することができる。したがって、微生物にはさらに、ピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現するピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むピメロイル-CoA経路を含むことができる。ピメロイル-CoA経路には、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼ、及びピメロイル-CoA脱水素酵素を含む。任意の数の酵素は、ピメロイル-CoAの生成のための完全なピメロイル-CoA経路を有する非天然微生物を提供するために外来的に提供することができる。例えば、該生物には、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2、3、4、5、6、7、すなわち最大ですべての外来性核酸を含むことができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、アセトアセチル-CoA還元酵素を含むことができる。アセトアセチル-CoA還元酵素は、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼを含むことができる。3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼは、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、グルタリル-CoA脱水素酵素を含むことができる。グルタリル-CoA脱水素酵素は、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼを含むことができる。オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼは、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素を含むことができる。3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素は、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼを含むことができる。3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼは、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる。 アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに転換するためのピメロイル-CoA経路を有する生物には、ピメロイル-CoA脱水素酵素を含むことができる。ピメロイル-CoA脱水素酵素は、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 いくつかの実施態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する微生物を含む非天然微生物を提供する。シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、及びシクロヘキサノン脱水素酵素から選択される酵素を含む。上記の酵素の組み合わせは、図3に例証するように、3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換することができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換することのできる非天然微生物には、経路における2、3、4、5、最大すべての酵素を含む、シクロヘキサノン経路を完成させるための任意の数の外来性酵素を含むことができる。任意の数のこのような外来性核酸は、異種性核酸であることができる。このような非天然微生物は、実質的に嫌気性培地において提供(及び培養)することができる。 3-ヒドロキシピメロイル-Coaをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路酵素の完全なセットを構成する例証的なセットの酵素には、限定することなく、(a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;(b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;並びに(c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)からなる群から選択される酵素を含む。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、PEPカルボキシキナーゼを含むことができる。PEPカルボキシキナーゼは、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)を含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)は、bzdY、oah、bamA、syn_01653、syn_02400、syn_03076、及びsyn_01309から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼを含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼは、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)を含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)は、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼを含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼは、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素を含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素は、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼを含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼは、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素を含むことができる。6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素は、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YMLl31W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO-CR、YIR036C、enr、及びfadHから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼは、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼは、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)を含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)は、acot12、gctA、gctB、及びACH1から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼを含むことができる。2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼは、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、シクロヘキサノン脱水素酵素を含むことができる。シクロヘキサノン脱水素酵素は、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-ヒドロキシピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路を含むことができる。3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路には、図2に関してすでに論議したように、アセトアセチル-CoA、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、及び3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素を含む。3-ヒドロキシピメロイル-CoA酵素をコードする任意の数の外来性核酸は、非天然微生物において提供することができ、それには、図2に示すようにアセトアセチル-CoAを3-ヒドロキシピメロイル-CoAに転換するための2、3、4、5、すなわち最大ですべての酵素を含む。ピメロイル-CoAの産生のための経路において用いられる同じセットの遺伝子は、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路において用いることができ、該経路は、ピメロイル-CoAを産生するのに用いられる最終的な脱水及び還元の工程を除外する。 なおもさらなる実施態様において、本発明は、図4に示すように、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する微生物を含む非天然微生物を提供する。シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む。シクロヘキサノン経路における任意の数のこれらの酵素は、完全な経路における酵素の各々をコードする最大ですべての核酸を含む、適切な外来性核酸を提供することによって含まれることができる。非天然微生物には例えば、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含むことができる。他の実施態様において、該生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含むことができる。まださらなる実施態様において、非天然微生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含むことができる。外来的に付加された任意の核酸は、異種性核酸で提供することができる。このような非天然微生物は、実質的に嫌気性の培地において提供(及び培養)することができる。 アジパートセミアルデヒドをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、PEPカルボキシキナーゼを含むことができる。PEPカルボキシキナーゼは、PCK1、pck、及びpckAから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アジパートセミアルデヒドをシクロヘキサノンに転換するためシクロヘキサノン経路を有する生物には、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素を含むことができる。シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素は、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びYIR036cから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 アジパートセミアルデヒドをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、シクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含むことができる。シクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼは、pddC、pddB、pddA、pduC、pduD、pduE、dhaB、dhaC、dhaE、dhaB1、dhaB2、rdhtA、rdhtB、ilvD、iolE、ddrA、ddrB、pduG、及びpduHから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 まださらなる実施態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する微生物を含む非天然微生物を提供する。シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼから選択される酵素を含む。このような生物は、図5に示すように、3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換する。微生物には、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする外来性核酸を提供することによって、シクロヘキサノン経路における2、3、4、5、6、7、すなわち最大ですべての酵素を含むことができる。非天然微生物は、異種性核酸として任意の数のこれらの核を提供することができる。加えて、このような生物は、実質的に嫌気性の培地において提供(又は培養)することができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、PEPカルボキシキナーゼを含むことができる。PEPカルボキシキナーゼは、PCK1、pck、及びpckAから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼを含むことができる。3-オキソピメラートデカルボキシラーゼは、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素を含むことができる。3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素は、YMR226c、YDR368w、YOR120w、YGL157w、YGL039w、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びY1R036cから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、2-シクロヘキセノンヒドラターゼを含むことができる。2-シクロヘキセノンヒドラターゼは、aroD、aroQ、HIDH、及びHIDMから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、シクロヘキサノン脱水素酵素を含むことができる。シクロヘキサノン脱水素酵素は、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼを含むことができる。3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼは、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼを含むことができる。3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼは、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼを含むことができる。3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼは、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDから選択される1つ以上の遺伝子によってコードすることができる。 3-オキソピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するためのシクロヘキサノン経路を有する生物には、3-オキソピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-オキソピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-オキソピメロイル-CoA経路を含むことができる。3-オキソピメロイル-CoA経路には、図2に関してすでに論議したように、アセトアセチル-CoA、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼを含む。3-オキソピメロイル-CoA酵素をコードする任意の数の外来性核酸は、図2に示すように、アセトアセチル-CoAを3-オキソピメロイル-CoAに転換するための2、3、4、すなわち最大ですべての酵素を含む非天然微生物において提供することができる。ピメロイル-CoAの産生のための経路において使用される同じセットの遺伝子は、3-オキソピメロイル-CoA経路において使用することができ、該経路は、ピメロイル-CoAを産生するのに用いられる最終的なケトン還元、脱水、及びオレフィン還元の工程を除外する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、ピメロイル-CoAから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートに、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図1に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、ピメロイル-CoA経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、アセトアセチル-CoAから3-ヒドロキシブチリル-CoAに、3-ヒドロキシブチリル-CoAからクロトニル-CoAに、クロトニル-CoAからグルタリル-CoAに、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoAに、3-オキソピメロイル-CoAから3-ヒドロキシピメロイル-CoAに、3-ヒドロキシピメロイル-CoAから6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAに、及び6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAからピメロイル-CoAにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図2に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、3-ヒドロキシピメロイル-CoAから6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAから6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートから2-シクロヘキセノンに、及び2-シクロヘキセノンからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図3に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、3-ヒドロキシピメロイル-CoAから6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAから6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートに、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図3に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、3-ヒドロキシピメロイル-CoAから6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートに、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図3に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサン-1,2-ジオンに、シクロヘキサン-1,2-ジオンから2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-オンに、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-オンからシクロヘキサン-1,2-ジオールに、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図4に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメラートに、3-オキソピメラートから4-アセチルブチラートに、4-アセチルブチラートから1,3-シクロヘキサンジオンに、1,3-シクロヘキサンジオンから3-ヒドロキシシクロヘキサノンに、3-ヒドロキシシクロヘキサノンから2-シクロヘキセノンに、2-シクロヘキセノンからシクロヘキサノンにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図5に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 追加的な実施態様において、本発明は、ピメロイル-CoA経路を有する非天然微生物を提供し、この中で、非天然微生物は、2,6-ジアミノヘプタン二酸(2,6-diaminoheptanedioc acid)から6-アミノヘプタ-2-エン二酸に、6-アミノヘプタ-2-エン二酸から2-アミノヘプタン二酸に、2-アミノヘプタン二酸から6-カルボキシヘキサ-2-エネオアート(eneoate)に、6-カルボキシヘキサ-2-エネオアートからピメラートに、及びピメラートからピメロイル-CoAにからなる群から選択される基質から生成物に転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。したがって、本発明は、図7に示されるものなど、シクロヘキサノン経路の基質及び生成物を転換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を提供する。 シクロヘキサノン経路を含む微生物として本明細書で一般的に説明されているが、本発明が、シクロヘキサノン経路の中間体を産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を追加的に提供することは理解される。例えば、本明細書に開示されるように、シクロヘキサノン経路は、図1〜5及び7に例証されている。それゆえ、シクロヘキサノンを産生するシクロヘキサノン経路を含む微生物に加えて、本発明は、シクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む非天然微生物を追加的に提供し、ここで、微生物は、シクロヘキサノン経路中間体、例えば、図1に示される2-KCH-CoA又は2-KCH、図2に示される3-ヒドロキシブチリル-CoA、クロントニル(crontonyl)-CoA、グルタリル-CoA、3-オキソピメロイル-CoA、3-ヒドロキシピメロイル-CoA、又はピメロイル-CoA、図3に示される2-KCH、2-KCH-CoA、6-KCH-CoA、6-KCH、又は2-シクロヘキセノン、図4に示されるシクロヘキサン-1,2-ジオン、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-オン、又はシクロヘキサン-1,2-ジオール、図5に示される3-オキソピメラート、4-アセチルブチラート、1,3-シクロヘキサンジオン、3-ヒドロキシシクロヘキサノン、又は2-シクロヘキセノン、及び図7に示される6-アミノヘプタ-2-エン二酸、2-アミノヘプタン二酸、6-カルボキシヘキサ-2-エノアート、又はピメラートを産生する。 図1〜5及び7の経路を含む、実施例において説明され及び図において例証されるような、本明細書に開示される任意の経路を利用して、所望の通り任意の経路の中間体又は生成物を産生する非天然微生物を作出することができる。本明細書に開示されるように、中間体を産生するような微生物を、下流の経路酵素を発現する別の微生物と併用して、所望の生成物を産生することができる。しかしながら、シクロヘキサノン経路中間体を産生する非天然微生物を利用して、該中間体を所望の生成物として産生することができることは理解される。 本発明は、一般的に代謝反応、反応物若しくはその産物に関して、又は基準代謝反応、反応物、若しくは産物と会合若しくは触媒する酵素を、又は会合するタンパク質をコードする1つ以上の核酸若しくは遺伝子に特に関して本明細書に説明される。本明細書で別段の明確な記載がない限り、当業者は、反応に対する引用はまた、反応の反応物及び産物に対する引用も構成することを理解するであろう。同様に、本明細書で別段の明確な記載がない限り、反応物又は産物に対する引用はまた、反応を引用し、これらの代謝構成体の任意に対する引用はまた、基準反応、反応物、又は産物を触媒する酵素又は包含されるタンパク質をコードする遺伝子(gene)又は遺伝子(genes)を引用する。同じく、代謝生化学、酵素学、及びゲノム科学の周知の分野を考慮すると、遺伝子又はコード核酸に対する本明細書での引用はまた、相応するコードした酵素、及び該酵素が触媒する反応、又は反応、並びに反応の反応物及び産物を会合するタンパク質に対する引用も構成する。 いくつかの実施態様において、シクロヘキサノン経路には、図1に示される3つの酵素工程においてピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換する酵素を含む。この経路において、ピメロイル-CoAは、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)によって2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA(2KCH-CoA)に環化する。2KCH-CoAヒドロラーゼは逆に、すなわち図1に示すような環閉鎖方向に作用する。次に、CoAエステルは、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAのCoAシンテターゼ、ヒドロラーゼ、又はトランスフェラーゼとの反応によって、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートに転換する。最終的に、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートの脱炭酸は、シクロヘキサノンを生じる。 表1に示すこの経路のエネルギー特性及び理論的シクロヘキサノン収量は、1)工程2においてCoA部分を除去するために利用される酵素の種類、2)ピメロイル-CoAを産生するための生合成経路、及び3)ATP生成方向において作動するPEPカルボキシキナーゼの能力に依存する。 本明細書で説明されるピメロイル-CoAを、工程(2)におけるトランスフェラーゼまたはシンテターゼ、及び可逆的PEPカルボキシキナーゼを用いて産生する系は、利用されるグルコース1モルあたり0.75モルのシクロヘキサノンの理論的収量(0.41g/g)を有する。この系は、利用されるグルコース1モルあたり1.06モルのATPのエネルギー論的収量を有する。 シクロヘキサノン経路の各工程についての酵素を下記に説明する。いくつかの実施態様において、ピメロイル-CoAを産生するための天然の経路が利用できるのに対し、他の実施態様においては、中心代謝前駆体からピメロイル-CoAを合成する新規の経路を使用する。 経路の第一の工程は、図1の工程1に示されるようなピメロイル-CoAからの2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAの形成を包含する。この転換は、クロトナートに関する増殖中のシントロファス・アシディトロフィカス(Syntrophus aciditrophicus)における閉環方向で生じることが示されている(Mouttakiらの文献(Appl. Environ. Micobiol. 73:930-938(2007)))。また、この酵素活性は、ベンゾアートに関する増殖中の別の微生物との共培養において、シントロファス・アシディトロフィカスの無細胞抽出物において示された(Elshahedらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 67:1728-1738(2001)))。開環方向においてこの活性を触媒する酵素は、ロドシュードモナス・パルストリスにおいて特徴づけられており、ここでは、該酵素は、badIによってコードされている(Pelletierらの文献(J. Bacteriol. 180:2330-2336(1998)))。ロドシュードモナス・パルストリス酵素は大腸菌において発現し、大腸菌において、該酵素は、開環方向における酵素活性についてアッセイされた;しかしながら、このような活性は観察されなかった(Eglandらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 94:6484-6489(1997)))。シントロファス・アシディトロフィカスにおけるいくつかの遺伝子が、ロドシュードモナス・パルストリスのbadI遺伝子と配列相同性を有し(McInerneyらの文献(Proc. Natl Acad. Sci U.S.A. 104:7600-7605(2007)))、これにはsyn_01653(38%)、syn_03076(33%)、syn_02400(33%)、syn_03076(30%)、及びsyn_01309(31%)を含む。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表2に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 メナキノン生合成に関与する酵素であるナフトイル(napthoyl)-CoAシンテターゼ(EC4.1.3.36)は、スクシニル-ベンゾイル-CoAから1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトイル-CoAへの閉環転換を触媒する。ロドシュードモナス・パルストリスのbadI遺伝子産物は、他の生物において1,4-ジヒドロキシナフトイル(dihydroxynapthoyl)-CoAシンテターゼホモログと53%配列同一性と同程度を共有し(Eberhardらの文献(J. Am. Chem. Soc. 126:7188-7189(2004)))、この転換を触媒する酵素は、閉環方向で2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)活性を示すことができる。このような酵素は、大腸菌(Sharmaらの文献(J. Bacteriol. 174:5057-5062(1992)))、枯草菌(Driscollらの文献(J. Batceril. 174:5063-5071(1992)))、黄色ブドウ球菌(Ulaganathanらの文献(Acta Crstyallogr. Sect. F. Struct. Biol. Cyst. Commun. 63:908-913(2007)))、及びゲオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)(Kanajuniaらの文献(Acta Crstyalllogr. Sect. F. Struct. Biol. Cyst. Commun. 63:103-105(2007)))に認められる。加えて、構造的なデータは、結核菌(Johnstonらの文献(Acta Crstyallogr. D. Biol. Crystallogr. 61:1199-1206(2005)))、黄色ブドウ球菌(Ulganathanらの文献(上述))、及びゲオバチルス・カウストフィルス(Kanaujiaらの文献(上述))由来の酵素について入手可能である。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表3に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 図1の工程2に示される2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAから2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートへの反応は、CoAヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ、又はシンテターゼによって達成することができる。3-オキソ酸CoAトランスフェラーゼには、3-オキソアジパートCoA-トランスフェラーゼ(EC2.8.3.6)、3-オキソ酸CoAトランスフェラーゼ(2.8.3.5)、及びアセタート-アセトアセタートCoA-トランスフェラーゼ(2.8.3.-)を含む。3-オキソアジパートCoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.6)は、CoA部分の、スクシニルCoAから、3-オキソピメラートに対して構造上近い分子である3-オキソアジパートへの転移を触媒する。芳香族化合物の分解についてのベータ-ケトアジパート経路に関与する場合(Harwoodらの文献(Annu. Rev. Microbiol. 50:553-590(1996)))、この酵素は、プチダ菌(Paralesらの文献(J. Bacteriol. 174:4657-4666(1992)))、アシネトバクター・カルコアセティカス(菌種ADP1)(Dalらの文献(Appl. Environ. Microboiol. 71:1025-1034(2005));Yehらの文献(J. Biol. Chem. 256:1565-1569(1981)))、及びシュードモナス・ナックムッシー(Psuedomonas knackmussii)(旧菌種B13)(Gobelらの文献(J. Bacteriol. 184:216-223(2002));Kaschabekらの文献(J. Bacterio.l 184:207-215(2002)))において特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表4に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 この反応工程についての別のCoAトランスフェラーゼは、スクシニル-CoA:3-ケト酸-CoAトランスフェラーゼである。この酵素は、スクシナートをスクシニル-CoAに転換し、その間、3-ケトアシル-CoAを3-ケト酸に転換する。例証的なスクシニル-CoA:3:ケト酸-CoAトランスフェラーゼは、ヘリコバクター・ピロリ(Corthesy-Theulazらの文献(J. Biol. Chem. 272:25659-25667(1997)))、枯草菌(Stolsらの文献(Protein Expr. Purif. 53:396-403(2007)))、及びヒト(Fukaoらの文献(Genomics 68:144-151(2000));Tanakaらの文献(Mol. Hum. Reprod. 8:16-23(2002)))において存在する。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表5に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 アセタート-アセトアセタートCoAトランスフェラーゼは、CoA部分をアセトアセチル-CoAからアセタートに自然に転移して、アセチル-CoA及びアセトアセタートを形成する。例証的な酵素には、クロストリジウム・アセトブチリカムにおけるctfAB(Weisenbornらの文献(App. Environ. Microbiol. 55:323-329(1989)))、大腸菌K12由来のatoAD(Sramekらの文献(Arch. Biohem. Biophys. 171:14-26(1975)))、及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム由来のctfAB(Kosakaらの文献(Bopsco. Biotechnol. Biochem. 71:58-68(2007)))の遺伝子産物を含む。クロストリジウム・アセトブチリカム酵素は、大腸菌において機能的に発現した(Caryらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 56:1576-1583(1990)))。atoA及びatoDによってコードされる大腸菌K12におけるCoAトランスフェラーゼは、中程度に広範な基質特異性を有し、代替的な3-オキソアシル-CoA基質と反応することが示されている(Sramekらの文献(上述))。この酵素は、転写レベルでアセトアセタートによって誘導され、それにより調節制御の修飾を実施して、経路におけるこの酵素を利用することができる(Pauliらの文献(Euro. J. Biochem. 29:553-562(1972)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表6に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 1つのATPシンテターゼは、アシル-CoAエステルのその相応する酸への転換を、ATPの同時合成と共役する酵素であるADP形成アセチル-CoAシンテターゼ(ACD、EC6.2.1.13)である。この酵素は、基質としての2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAと反応することが示されていないが、広範な基質特異性を有するいくつかの酵素が文献において説明されている。AF1211によってコードされるアーケオグロブス・フルギダス由来のACDIは、イソブチラート、イソペンタノアート、及びフマラートを含む種々の直鎖及び分岐鎖基質に作用することが示された(Musfeldtらの文献(J. Bacteriol. 184:636-644(2002)))。また、AF1983によってコードされるアーケオグロブス・フルギダスにおける第二の可逆的ACDは、環状化合物フェニルアセタート及びインドールアセタートにおける高い活性で広範な基質範囲を有することが示された(Musfeldtらの文献(上述))。ハロアーキュラ・マリスモルツイ由来の酵素(スクシニル-CoAシンテターゼとして注解)は、基質としてプロピオナート、ブチラート、及び分岐鎖酸(イソバレラート及びイソブチラート)を受容し、順方向及び逆方向に作用することが示された(Brasenらの文献(Arch. Microbiol. 182:277-287(2004)))。超好熱性クレン古細菌であるピロバキュラム・アエロフィルム由来のPAE3250によってコードされるACDは、アセチル-CoA、イソブチリル-CoA(好ましい基質)、及びフェニルアセチル-CoAと反応するすべての特徴づけられたACDの最も広範な基質範囲を示した(Brasenらの文献(上述))。定向進化又は操作を用いて、宿主生物の生理学的温度で作用するようこの酵素を修飾することができる。アーケオグロブス・フルギダス、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、及びピロバキュラム・アエロフィルム由来の酵素は、すべて大腸菌においてクローニングされ、機能的に発現し、及び特徴づけられている(Brasenらの文献(上述);Musfeldtらの文献(上述))。追加的な酵素は、大腸菌におけるsucCDによってコードされ、該酵素は、インビボで可逆的な反応である1つのATPの同時消費を伴うスクシニル-CoAのスクシナートからの形成を自然に触媒する(Buckらの文献(Biochemistry 24:6245-6252(1985)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表7に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 別の可能性は、逆方向で機能するようAMP形成CoAリガーゼを突然変異させることである。aliAによってコードされるロドシュードモナス・パルストリス由来のAMP形成シクロヘキサンカルボキシラートCoA-リガーゼは、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAと類似の基質に活性があり、活性部位の変更は、酵素の基質特異性に影響を及ぼすことが示されている(Samantaらの文献(Mol. Microbiol. 55:1151-1159(2005)))。また、この酵素は、嫌気性ベンゼン環分解の間のシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートCoA-リガーゼとして機能する(Eglandらの文献(上述))。しかしながら、この酵素の天然形態が、シクロヘキサン-1-カルボキシラートの形成に必要とされるようにATP発生方向で機能することができることはありそうにない。タンパク質操作又は定向進化を使用して、この機能性を達成することができる。追加的な例証的なCoAリガーゼには、ペニシリウム・クリソゲナム由来の2つの特徴付けられたフェニルアセタート-CoAリガーゼ(Lamas-Maceirasらの文献(Biochem. J. 395:147-155(2006));Wangらの文献(Biochem. Biophys. Res. Commun. 360:453-458(2007)))、プチダ菌由来のフェニルアセタート-CoAリガーゼ(Martinez-Blancoらの文献(J. Biol. Chem. 265:7085-7090(1990)))、及び枯草菌由来の6-カルボキシヘキサノアート-CoAリガーゼ(Bowerらの文献(J. Bacteriol. 178:4122-4130(1996)))を含む。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表8に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAは、CoAヒドロラーゼによって2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートに加水分解することができる。いくつかの真核生物アセチル-CoAヒドロラーゼ(EC3.1.2.1)は広範な基質特異性を有する。ラット脳由来の酵素(131)は、ブチリル-CoA、ヘキサノイル-CoA、及びマロニル-CoAと反応することができる。エンドウマメ葉のミトコンドリア由来の酵素は、アセチル-CoA、プロピオニル-CoA、ブチリル-CoA、パルミトイル-CoA、オレオイル-CoA、スクシニル-CoA、及びクロトニル-CoAを含む多様な基質に活性がある(Zeiherらの文献(Plant. Physiol. 94:20-27(1990)))。加えて、アシダミノコッカス・ファーメンタンス由来のグルタコナートCoA-トランスフェラーゼは、位置指定突然変異誘発によって、グルタリル-CoA、アセチル-CoA、及び3-ブテノイル-CoAに関する活性を有するアシル-CoAヒドロラーゼへと形質転換された(Mackらの文献(FEBS Lett. 405:209-212(1997)))。このことは、スクシニル-CoA:3-ケト酸-CoAトランスフェラーゼ、及びアセトアセチル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼをコードする酵素がまた、CoAヒドロラーゼ酵素としても機能することができるが、それらの機能を変化させるためにある突然変異を必要とするであろうことを示している。出芽酵母由来のアセチル-CoAヒドロラーゼであるACH1は、別のヒドロラーゼを表す(Buuらの文献(J. Biol. Chem. 278:17203-17209(2003)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表9に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 経路の最終工程において、シクロヘキサノンは、2-ケトシクロヘキサンカルボキシラートの脱炭酸によって形成される(図2、工程3)。この反応は、アセトアセタートデカルボキシラーゼ(EC4.1.1.4)などの3-オキソ酸デカルボキシラーゼによって触媒される。adcによってコードされるクロストリジウム・アセトブチリカム由来のアセトアセタートデカルボキシラーゼは、広範な基質範囲を有し、2-ケトシクロヘキサンカルボキシラートを脱炭酸して、シクロヘキサノンを生じることが示されている(Bennerらの文献(J. Am. Chem. Soc. 103:993-994(1981));Rozzelらの文献(J. Am. Chem. Soc. 106:4937-4941(1984)))。無細胞抽出物において特徴づけられたバチルス・ポリミキサ由来のアセトアセタートデカルボキシラーゼはまた、3-ケト酸についての広範な基質特異性を有し、代替的な基質である3-オキソペンタノアートを脱炭酸することが示されている(Matiasekらの文献(Curr. Microbiol. 42:276-281(2001)))。追加的なアセトアセタートデカルボキシラーゼ酵素は、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Ravagnaniらの文献(Mol. Microbiol. 37:1172-1185(2000)))及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Kosakaらの文献(Biosci. Biotechnol. Biochem. 71:58-68(2007)))において認められている。ボツリヌス菌及びバチルス・アミロリケファシエンスFZB42を含む他の生物における遺伝子は、配列相同性によって推測することができる。また、3-オキソ酸の脱炭酸は、酵素の不在下で自発的に生じることができる(Matiasekらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表10に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 ホスホエノールピルビン酸からオキサロ酢酸への正味の転換は、酸化還元的に中立であり(redox-neutral)、この転換の機序は、シクロヘキサノン産生経路の全体的なエネルギー特性に対して重要である。PEPからオキサロ酢酸への転換のための1つの酵素は、PEPを脱炭酸しながらATPを同時に形成するPEPカルボキシキナーゼである。しかしながら、ほとんどの生物において、PEPカルボキシキナーゼは、糖新生機能を供し、1つのATPの消費でオキサロ酢酸をPEPに転換する。出芽酵母は、天然のPEPカルボキシキナーゼPCK1が糖新生の役割を供するこのような1つの生物である(Valdes‐Heviaらの文献(FEBS Lett. 258:313−316(1989)))。大腸菌は、オキサロ酢酸を産生する上でのPEPカルボキシキナーゼの役割が、おそらくPEPカルボキシキナーゼの重炭酸についてより高いKmによりATPを形成しないPEPカルボキシラーゼと比較した場合に小さいと考えられている別の生物である。それにもかかわらず、PEPからオキサロ酢酸への天然大腸菌PEPカルボキシキナーゼの活性は、大腸菌K‐12のppc突然変異体において近年示されている(Kwonらの文献(J. Microbiol. Biotechnol. 16:1448-1452(2006)))。これらの株は、増殖欠損を呈さず、高いNaHCO3濃度で高いスクシナート産生を有した。いくつかの生物、特に第一胃細菌において、PEPカルボキシキナーゼは、PEPからオキサロ酢酸を産生しかつATPを生じる上で極めて効率的である。大腸菌へとクローニングされたPEPカルボキシキナーゼ遺伝子の例には、マンヘミア・サクシニシプロデュセンス (Leeらの文献(Biotechnol. Bioprocess. Eng. 7:95-99(2002)))、アナエロビオスピリルム・サクシニシプロデュセンス(Laivenieksらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 63:2273-2280(1997)))、及びアクチノバチルス・スクシノゲネス(succinogenes)(Kimらの文献(上述))由来のものを含む。また、体内実験は、インフルエンザ菌によってコードされるPEPカルボキシキナーゼ酵素が、PEPからオキサロ酢酸を形成するのに非常に効率的であることを認めた。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表11に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 ピメロイル-CoAは、ビオチン生合成の中間体である。ピメロイル-CoAからのビオチン形成を触媒する酵素工程は周知であり、大腸菌、枯草菌、及びバチルス・スファエリクスを含むいくつかの生物において研究されているが、ピメロイル-CoAを合成するための経路は完全には解明されていない。大腸菌などのグラム陰性菌において、bioC及びbioHの遺伝子産物は、ピメロイル-CoA合成に必要であり、これらの遺伝子の欠損している株は、増殖を支持するために外来性のビオチンの添加を必要とする(Del Campillo‐Campbellらの文献(J. Bacteriol. 94:2065-2066(1967)))。bioC遺伝子産物は、マロニル-CoA単位の段階的な縮合を触媒する特異的アシル‐担体タンパク質として機能すると考えられている(Lemoineらの文献(Mol. Microbiol. 19:645-647(1996)))。BioHタンパク質は、CoA結合部位を含んでおり、BioCからCoAへとピメロイルを移行するアシルトランスフェラーゼとして機能すると考えられている(Akatsukaらの文献(Gene 302:185-192(2003));Lemoineらの文献(上述))。次に、BioCの新規の特色は、アシル転移を出発物質であるマロニル-CoAに制限することになっているであろうし、鎖の伸長を2つの伸長単位に限定することになっているであろう(Lemoineらの文献(上述))。大腸菌における13C標識研究は、ピメロイル-CoAが、3つの酢酸単位及び1単位の重炭酸に由来することを示しており、合成機序が、脂肪酸及びポリケチド合成のそれに類似していることを含意している(Sanyaiらの文献(J. Am. Chem. Soc. 116:2637-2638(1994)))。枯草菌及びバチルス・スファエリクスなどのグラム陽性菌は、ピメラートからピメロイル-CoAを合成するための異なる経路を利用するが、この経路はまたほとんど理解されていない。すべてのビオチン産生生物において、未決問題は、包含される実際の代謝形質転換、ビオチンオペロンにおける遺伝子産物の機能、伝統的な脂肪酸生合成複合体(類)の役割、担体タンパク質の性質、及び経路調節について残っている。 脂肪酸及びポリケチドの合成経路は十分に理解されている。脂肪酸合成の第一の工程において、アセチル-CoAカルボキシラーゼは、1つのATP等価物を消費して、アセチル-CoA及び重炭酸からマロニル-CoAを形成する(Barberらの文献(Biochim. Biophys. Acta 1733:1-28(2005)))。ピメロイル-CoA炭素骨格が、Lemoine(Lemoinらの文献(上述))によって提唱されるように、マロニル-CoAの3つの伸長単位からなる場合、3つのATP等価物が必要とされる。その他の必要とされる酵素活性(マロニル-CoAアシルトランスフェラーゼ、ベータ-ケトアシルシンターゼ、ベータ-ケトアシル還元酵素、ベータ-ヒドロキシアシルデヒドラターゼ、及びエノイル-CoA還元酵素)が、共通の脂肪酸複合体と類似の酵素によって触媒される場合、3つのアセチル-CoA構築ブロックから1モルのピメロイル-CoAを合成するための正味の反応は以下となる: 3アセチル-CoA+3ATP+4NADH+重炭酸→ ピメロイル-CoA+4NAD++3ADP+3Pi+2CoA+H+このような経路は、エネルギー論的見地から高価であり、その上、ピメロイル-CoAをシクロヘキサノンに転換するための酵素活性を含む系において、シクロヘキサノンの最大理論的収量を達成することができない。嫌気性条件下で、この経路は、利用されるグルコース1モルあたり、0.7モルのシクロヘキサノンの最大収量を達成すると予測される。経路がエネルギー論的に限定されるので、最大産物収量で細胞の増殖及び維持を支持するためにATPを入手することができない。これらの事実は、好気性条件が、脂肪酸生合成と類似の経路を介して高いシクロヘキサノン収量を達成するために必要とされることを示している。別の起こり得る課題(challenge)は、この経路が、マロニル-CoA伸長単位のための周知の脂肪酸ACPからの競合作用に直面するであろうということである。 ビオチン過剰産生株を操作する試みは、まずまずの成功であったが、費用効率の高い株の開発が技術的課題として残されている(Streitらの文献(Appl. Microbiol. Biotechnol. 61 :21-31 (2003)))。ピメロイル-CoA合成の初期段階に関与する遺伝子の突然変異誘発、クローニング、及び/又は過剰発現などのビオチン産生の改善に採用した戦略を、シクロヘキサノン産生の改善に適用した。 本発明のいくつかの実施態様によると、ピメロイル-CoAは、図2に示される7つの酵素工程においてアセトアセチル-CoAから合成される。この経路は、ベンゾイル-CoAを分解するいくつかの生物において自然に生じる。この経路は通常、分解方向で作動するが、細菌シントロファス・アシディトロフィカス(Syntrophus aciditrophicus)が、炭素源としてのクロトナートにおいて増殖しかつピメロイル-CoAを形成することができるという証拠があり、この経路における酵素が合成方向に作動することができる証拠を提供している(Mouttakiらの文献(上述))。 図2に示す経路において、アセトアセチル-CoAの3-ケト基を還元しかつ脱水して、クロトニル-CoAを形成する。グルタリル-CoAは、クロトニル-CoAの還元的カルボキシル化から形成される。次に、ベータ-ケトチオラーゼは、グルタリル-CoAをアセチル-CoAと組み合わせて、3-オキソピメロイル-CoAを形成する。還元及び脱水は、2-エノイル-CoAを生じ、次に、2-エノイル-CoAをピメロイル-CoAに還元する。 アセトアセチル-CoAの3-ヒドロキシブチリル-CoAへの還元は、アセトアセチル-CoA還元酵素(EC1.1.1.36)とも呼ばれる3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素によって触媒される。この酵素は、多くの生物におけるポリヒドロキシブチラート生合成に関与し、また、PHB及び3-ヒドロキシイソブチラートを過剰産生するための代謝工学的戦略において用いられてきた(Liuらの文献(Appl. Microbiol. Biotechnol. 76:811-818(2007));Quiらの文献(Appl. Microbiol. Biotechnol. 69:537-542(2006)))。カンジダ・トロピカリス由来の酵素は、ペルオキシソーム脂肪酸ベータ酸化多機能酵素2型(MFE‐2)の構成要素である。このタンパク質の脱水素酵素Bドメインは、アセトアセチル-CoAにおいて触媒活性がある。該ドメインは、大腸菌において機能的に発現しており、結晶構造が入手可能であり、触媒機序は十分に理解されている(Yliantillaらの文献(J. Mol. Biol. 358 1286-1295(2006))、Ylianttilaらの文献(Biochem. Biophys. Res. Commun. 324:25-30(2004)))。また、アセトアセチル-CoA還元酵素は、ロドバクター・スフェロイデスにおけるアセタート資化における該還元酵素の役割についても研究されている(Alberらの文献(Mol. Microbiol. 61:297-309(2006)))。ズーグロア・ラミジェラ由来の酵素は、アセトアセチル-CoAについて非常に低いKmを有し、大腸菌においてクローニング及び過剰産生されている(Plouxらの文献(Eur J. Biochem. 174:177-182(1988)))。パラコッカス・デニトリフィカンス由来の酵素は、大腸菌において機能的に発現し及び特徴づけられている(Yabutaniらの文献(FEMS Microbiol. Lett. 133:85-90(1995)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表11に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、アセトアセチル-CoAから3-ヒドロキシブチリル-CoAへの転換は、3-ヒドロキシアシル脱水素酵素(EC1.1.1.35)としても公知のアセトアセチル-CoA還元酵素によって触媒することができる。例証的な酵素には、クロストリジウム・アセトブチリカム由来のhbd(Boyntonらの文献(J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996)))、クロストリジウム・ベイジェリンキ由来のhbd(Colbyらの文献(Appl. Environ Microbiol. 58:3297-3302(1992)))及びメタロスファエラ・セデュラ(Metallosphaera sedula)由来のいくつかの類似の酵素(Bergらの文献(Science 318:1782-1786(2007)))を含む。追加的な遺伝子には、クロストリジウム・クルイベリにおけるHbd1(C末端ドメイン)及びHbd2(N末端ドメイン)(Hillmerらの文献(FEBS Lett. 21:351-354(1972)))並びにウシにおけるHSD17B10(Wakilらの文献(J. Biol. Chem. 207:631-638(1954)))を含む。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表12に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 3-ヒドロキシ-アシル-CoAデヒドラターゼをコードすると予測されるロドシュードモナス・パルストリスにおけるpimFの遺伝子産物はまた、ピメロイル-CoA分解の間に3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素として機能することができる(Harrisonらの文献(Microbiology 151:727-736(2005)))。fadBの遺伝子産物は、大腸菌における脂肪酸ベータ-酸化の間にこれら2つの機能を触媒する(Yangらの文献(Biochem. 30:6788-6795(1991)))。配列相同性及びゲノム的脈絡によって推測されるシントロファス・アシディトロフィカスにおける3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素遺伝子には、syn_01310及びsyn_01680を含む(McInerneyらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104:7600-7605(2007)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表13において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 クロトナーゼとも呼ばれる3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ(EC4.2.1.55)は、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAを脱水して、クロトノイル-CoAを形成する(図3、工程2)。クロトナーゼ酵素は、いくつかの生物、特にクロストリジウム種においてn-ブタノール形成のために必要とされ、また、スルホロブス属、アシディアヌス属、及びメタロスファエラ属の好熱酸性古細菌における3-ヒドロキシプロピオナート/4-ヒドロキシブチラートサイクルの1工程を含む。クロトナーゼ酵素をコードする例証的な遺伝子は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Atsumiraらの文献(Metab. Eng. 10:305-311(2007));Boyntonらの文献(上述))、クロストリジウム・クルイベリ(Hillmerらの文献(上述))、及びメタロスファエラ・セデュラ(Bergらの文献(上述))において認めることができる。ロドシュードモナス・パルストリスにおけるpimFの遺伝子産物は、ピメロイル-CoA分解に関与する3-ヒドロキシ-アシル-CoAデヒドラターゼをコードすると予測される(Harrisonらの文献(Microbiol. 151:727-736(2005)))。シントロファス・アシディトロフィカスにおけるいくつかの遺伝子を、クロストリジウム・アセトブチリカム及びクロストリジウム・クルイベリの3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼに対する配列類似性によって同定した。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表14において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、エノイル-CoAヒドラターゼ(EC4.2.1.17)は、3-ヒドロキシアシル-CoA基質の脱水を触媒する(Agnihotriらの文献(Bioorg. Med. Chem. 11:9-20(2003));Conradらの文献(J. Bacteriol. 118:103-111(1974));Robertsらの文献(Arch. Microbiol. 117:99-108(1978)))。echによってコードされるプチダ菌のエノイル-CoAヒドラターゼは、3-ヒドロキシブチリル-CoAのクロトニル-CoAへの転換を触媒する(Robertsらの文献(上述))。追加的なエノイル-CoAヒドラターゼは、プチダ菌のphaA及びphaB、並びに蛍光菌由来のpaaA及びpaaBである(Oliveraらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 95:6419-6424(1998)))。最後に、いくつかの大腸菌遺伝子は、maoC(Parkらの文献(J. Bacteriol. 185:5391-5397(2003)))、paaF(Ismailらの文献(Eur. J. Biochem. 270:3047-3054(2003));Parkらの文献(Appl. Biochem. Biotechnol. 113:335-346(2004));Parkらの文献(Biotechnol. Bioeng. 86:681-686(2004)))、及びpaaG(Ismailらの文献(上述);Parkらの文献(上述(2003));Parkらの文献(上述(2004)))を含むエノイル-CoAヒドラターゼ機能性を論証することが示されている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表15に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 あるいは、fadA及びfadBの大腸菌遺伝子産物は、エノイル-CoAヒドラターゼ活性を呈する脂肪酸酸化に関与する多酵素複合体をコードする(Nakahigashiらの文献(Nucleic Acids Res. 18:4937(1990));Yang, s.Yの文献(J. Bacteriol. 173:7405-7406(1991));Yangらの文献(Biochemistry, 30:6788-6795(1991)))。fadRによってコードされた負の調節因子をノックアウトすることを利用して、fadB遺伝子産物を活性化させることができる(Satoらの文献(J. Biosci. Bioeng. 103:38-44(2007)))。fadI遺伝子及びfadJ遺伝子は、類似の機能をコードし、嫌気性条件下で自然に発現する(Campbellらの文献(Mol. Microbiol. 47:793-805(2003)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表16に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 グルタリル-CoA脱水素酵素(GCD、EC1.3.99.7及びEC4.1.1.70)は、グルタリル-CoAからクロトニル-CoAへの酸化的脱炭酸を触媒する二機能性酵素である(図3、工程3)。二機能性GCD酵素は、電子受容体として電子伝達フラボタンパク質を利用するホモ四量体である(Hartelらの文献(Arch. Microbiol. 174-181(1993)))。このような酵素は、芳香族化合物における増殖の間にシュードモナス株KB740及びK172の細胞抽出物において最初に特徴づけられた(Hartelらの文献(上述))が、これらの生物における関連遺伝子はわかっていない。グルタリル-CoA脱水素酵素(gcdH)及びその同族の転写調節因子(gcdR)をコードする遺伝子は、アゾアルカス属菌種CIBにおいて同定された(Blazquezらの文献(Environ. Microbiol. 10:474-482(2008)))。gcdH活性の欠損しているアゾアルカス株を用いて、プチダ菌由来の異種性遺伝子gcdHを同定した(Blazquezらの文献(上述))。プチダ菌における同族の転写調節因子は同定されていないが、遺伝子座PP_0157は、アゾアルカス酵素と高い配列相同性(69%超の同一性)を有する。追加的なGCD酵素は、蛍光菌及びパラコッカス・デニトリフィカンスにおいて認められる(Husainらの文献(J. Bacteriol. 163:709-715(1985)))。ヒトGCDは広範に研究されており、大腸菌で過剰発現し(Dwyerらの文献(Biochemistry 39:11488-11499(2000)))、結晶化されており、活性部位における保存されたグルタミン酸残基を包含する触媒機序が説明されている(Fuらの文献(Biochemistry 43:9674-9684(2004)))。シントロファス・アシディトロフィカスにおけるGCDは、クロトナートにおける増殖の間にCO2資化方向で作用する(Mouttakiらの文献(上述))。シントロファス・アシディトロフィカスにおける2つのGCD遺伝子:syn_00480(31%)及びsyn_01146(31%)は、アゾアルカスGcdHとのタンパク質配列相同性によって同定された。アゾアルカスGcdR調節タンパク質との有意な相同性は認められなかった。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表17において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 あるいは、クロトニル-CoAからグルタコニル-CoAへのカルボキシル化及びその後のグルタリル-CoAへの還元は、別個の酵素:グルタコニル-CoAデカルボキシラーゼ及びグルタコニル-CoA還元酵素によって触媒することができる。グルタミン酸発酵性の嫌気性細菌において特徴づけられているグルタコニル-CoAデカルボキシラーゼ酵素は、共因子としてビオチンを利用するナトリウムイオン転位置性デカルボキシラーゼであり、4つのサブユニット(アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ)から構成される(Boiangiuらの文献(J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 10:105-119(2005));Buckelらの文献(Biochim. Biophys. Acta 1505:15-27(2001)))。このような酵素は、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Beatrixらの文献(Arch. Microbiol. 154:362-369(1990)))及びアシダミノコッカス・ファーメンタンス(Brauneらの文献(Mol. Microbiol. 31:473-487(1999)))において特徴付けられている。フソバクテリウム・ヌクレアタムグルタコニル-CoAデカルボキシラーゼのアルファ、ベータ、及びデルタのサブユニットに対するアナログは、シントロファス・アシディトロフィカスにおいて認められる。別のGCDであるエノイル-CoA脱水素酵素syn_00480として注解される遺伝子は、ビオチン‐カルボキシル担体(syn_00479)とグルタコニル-CoAデカルボキシラーゼアルファサブユニット(syn_00481)の間に予測されるオペロンにおいて配置される。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表18に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 グルタコニル-CoAが、クロトニル-CoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素によって形成される場合、グルタコニル-CoAからグルタリル-CoAへの還元は、グルタコニル-CoA還元酵素活性を有する酵素によって達成することができる。また、下記に説明される6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAからピメロイル-CoAへの還元を触媒するための酵素エノイル-CoA還元酵素が本明細書において適用可能である。この工程のための1つの酵素は、シントロファス・アシディトロフィカスのsyn_00480であり、関連機能を触媒すると予測される遺伝子に隣接したそのゲノムの脈絡による。 グルタリル-CoA及びアセチル-CoAは、ベータ-ケトチオラーゼであるオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ(EC2.3.1.16)によって縮合され、3-オキソピメロイル-CoAを形成する。この形質転換を触媒する酵素は、ラルストニア・ユートロファ(以前にはアルカリゲネス・ユートロフスとして公知)において認められており、遺伝子bktB及びbktCによってコードされている(Haywoodらの文献(FEMS Microbiol. Lett. 52:91-96(1988));Slaterらの文献(J. Bacteriol. 180:1979-1987(1998)))。BktBタンパク質の配列は公知である;しかしながら、BktCタンパク質の配列は報告されていない。また、ロドシュードモナス・パルストリスのpimオペロンは、pimBによってコードされるベータ-ケトチオラーゼをコードし、該ベータ-ケトチオラーゼは、ベンゾイル-CoA分解の間に分解方向でこの形質転換を触媒することが予測される(Harrisonらの文献(上述))。シントロファス・アシディトロフィカスにおけるベータ-ケトチオラーゼ酵素は、bktBとの配列相同性によって同定された(43%同一性、e値(evalue)=1e-93)。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表19において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、アセチル-CoA及びプロピオニル-CoAからのベータ-ケトバレラートの形成を触媒するベータ-ケトチオラーゼ酵素は、3-オキソピメロイル-CoAの形成を触媒することができる。ズーグロア・ラミジェラは、プロピオニル-CoA及びアセチル-CoAからベータ-ケトバレリル-CoAを形成することのできる2つのケトチオラーゼを有し、ラルストニア・ユートロファは、またこの形質転換を触媒することのできるベータ-酸化ケトチオラーゼを有する(Gruysらの文献(米国特許第5,958,745号))。これらの遺伝子又は該遺伝子の翻訳されたタンパク質の配列は報告されていないが、ラルストニア・ユートロファ、ズーグロア・ラミジェラ、又は他の生物におけるいくつかの遺伝子は、ラルストニア・ユートロファ由来のbktBとの配列相同性に基づいて同定することができる。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表20に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 追加的な酵素には、2分子のアセチル-CoAをアセトアセチル-CoAに転換することが公知のベータ-ケトチオラーゼを含む(EC2.1.3.9)。例証的なアセトアセチル-CoAチオラーゼ酵素には、大腸菌由来のatoB(Martinらの文献(Nat. Biotechnol. 21:796-802(2003)))、クロストリジウム・アセトブチリカム由来のthlA及びthlB(Hanaiらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 73:7814-7818(2007));Winzerらの文献(J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 2:531-541(2000)))、並びに出芽酵母由来のERG10(Hiserらの文献(J. Biol. Chem. 269:31383-31389(1994)))の遺伝子産物を含む。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表21に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 3-オキソアジピル-CoAチオラーゼとも呼ばれるベータ-ケトアジピル-CoAチオラーゼ(EC2.3.1.174)は、ベータ-ケトアジピル-CoAをスクシニル-CoA及びアセチル-CoAに転換し、芳香族化合物分解のためのベータ-ケトアジパート経路の鍵となる酵素である。該酵素は、プチダ菌(Harwoodらの文献(J. Bacteriol. 176-6479-6488(1994)))及びアシネトバクター・カルコアセティカス(Dotenらの文献(J. Bacteriol. 169:3168-3174(1987)))を含む、土壌細菌及び真菌に広く行きわたっている。プチダ菌酵素は、ラルストニア・ユートロファにおけるPHB合成、ヒトミトコンドリアによる脂肪酸分解、及びクロストリジウム・アセトブチリカムによるブチラート産生に関与するベータ-ケトチオラーゼと45%配列相同性を有するホモ四量体である(Harwoodらの文献(上述))。また、シュードモナス・ナックムッシー(旧B13菌種)におけるベータ-ケトアジピル-CoAチオラーゼが特徴づけられている(Gobelらの文献(J. Bacteriol. 184:216-223(2002));Kaschabekらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表22に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 3-オキソピメロイル-CoAから3-ヒドロキシピメロイル-CoAへの還元は、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素(EC1.1.1.259)によって触媒される。この活性は、ロドシュードモナス・パルストリス及びシュードモナス菌種の細胞抽出物において示されている(Kochらの文献(Eur. J. Biochem. 211:649-661(1993));Kochらの文献(Eur. J. Biochem. 205:195-202(1992)))が、遺伝子は報告されていない。また、この形質転換は、クロトナートにおける増殖の間にシントロファス・アシディトロフィカスにおいて生じると予測される(Mouttakiらの文献(上述))。また、3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素及び/又はアセトアセチル-CoA還元酵素の活性を有する酵素は、この反応を触媒することができる。 3−ヒドロキシピメロイル-CoAから6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAへの脱水は、シクロヘキサンカルボキシラートへのクロトナート利用の間にシントロファス・アシディトロフィカスにおいて生じると予測される(Mouttakiらの文献(上述))。この反応は、エノイル-CoAヒドラターゼ(4.2.1.17)又は3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ(EC4.2.1.55)によって触媒することができる。 ピメロイル-CoA脱水素酵素(EC1.3.1.62)による6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAからピメロイル-CoAへの還元は、シントロファス・アシディトロフィカス細胞抽出物において特徴づけられている(Elshahedらの文献(上述))。酵素エノイル-CoA還元酵素は、この形質転換を触媒するのに好適な酵素である。1つの例証的なエノイル-CoA還元酵素は、クロトニル-CoAからブチリル-CoAへの還元を自然に触媒する、クロストリジウム・アセトブチリカム由来のbcdの遺伝子産物である(Atsumiらの文献(上述);Boyntonらの文献(上述))。この酵素の活性は、電子伝達フラボタンパク質をコードするクロストリジウム・アセトブチリカムetfAB遺伝子の発現とともにbcdを発現することによって亢進することができる。エノイル-CoA還元酵素工程のために追加的な酵素は、ユーグレナ・グラシリス由来のミトコンドリアエノイル-CoA還元酵素である(Hoffmeisterらの文献(J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005)))。ミトコンドリアターゲティングリーダー配列の除去後のこの配列に由来するコンストラクトを大腸菌でクローニングすると、結果として活性のある酵素を生じる(Hoffmeisterらの文献(上述))。このアプローチは、真核生物遺伝子、特に原核生物において具体的な細胞内区画を遺伝子産物の標的とすることのできるリーダー配列を有する真核生物遺伝子を発現させる分野の当業者に周知である。原核生物トレポネーマ・デンティコラに由来するこの遺伝子の近いホモログTDE0597は、大腸菌においてクローニングされかつ発現した第三のエノイル-CoA還元酵素を表す(Tucciらの文献(FEBS Lett.581:1561-1566(2007)))。シントロファス・アシディトロフィカスにおける6つの遺伝子が、クロストリジウム・アセトブチリカムbcd遺伝子産物との配列相同性によって同定された。シントロファス・アシディトロフィカス遺伝子syn_02637及びsyn_02636は、クロストリジウム・アセトブチリカムのetfAB遺伝子との高い配列相同性を有し、電子伝達フラボタンパク質のアルファサブユニット及びベータサブユニットをコードすることが予測される。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表23に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 追加的な酵素エノイル-CoA還元酵素は、芳香族化合物を分解する生物において認められている。ベンゾアート分解のためのモデル生物であるロドシュードモナス・パルストリスは、ピメロイル-CoAのベータ-酸化を介してピメラートを分解する酵素能力を有する。pimオペロンにおける隣接する遺伝子pimC及びpimDは、クロストリジウム・アセトブチリカムbcdとの配列相同性を有し、フラビン含有ピメロイル-CoA脱水素酵素をコードすることが予測される(Harrisonらの文献(上述))。また、窒素固定性のダイズ共生生物であるブラディリゾビウム・ジャポニクムのゲノムは、ロドシュードモナス・パルストリスのpimC及びpimDと高い配列類似性を有する遺伝子から構成されたpimオペロンを含む(Harrisonらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表24に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 追加的な酵素は、立体障害のあるトランス-エノイル-CoA基質の還元を触媒する酵素である2-メチル-分岐鎖エノイル-CoA還元酵素(EC1.3.1.52)である。この酵素は、線形動物ブタ回虫(Ascarius suum)における分岐鎖脂肪酸合成に関与し、2-メチルブタノイル-CoA、2−メチルペンタノイル-CoA、オクタノイル-CoA、及びペンタノイル-CoAを含む種々の直鎖及び分岐鎖の基質を還元することができる(Duranらの文献(J. Biol. Chem. 268:22391-22396(1993)))。遺伝子acad1及びacadによってコードされる該酵素の2つのアイソフォームが特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表25に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 ピメロイル-CoAを通って進行しない3-ヒドロキシピメロイル-CoAから環状化合物を生成するための代替的な経路を図3に示す。この経路は、とりわけ、ベータ-酸化の方向で、ジオバクター・メタリレデュセンス(metallireducens)及びタウエラ・アロマティカ(aromatica)において認められる。該経路において、3-ヒドロキシピメリル-CoAの生合成は、先に説明された通り、アセトアセチル-CoAから進行する。3-ヒドロキシピメロイル-CoAは脱水して、環状生成物6-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA(6-KCH-CoA)を形成する。次に、6-KCH-CoAを3つの酵素工程:CoA部分の除去、脱炭酸、及び還元においてシクロヘキサノンに転換する。可逆的PEPカルボキシキナーゼを用いて、この経路は、シクロヘキサノンの理論的収量を達成すると予測され(0.75モル/モル)、トランスフェラーゼ又はATPシンターゼが工程2において利用される場合、0.56モル/モルのATP収量を達成することができる。 6-KCH-CoAヒドロラーゼ(EC3.7.1.-)は、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA(6-KCH-CoA)を3-ヒドロキシピメロイル-CoAに転換する。この酵素は、クロトナーゼスーパーファミリーに属しており、開環方向で2つの水分子を組み込むことが珍しい(Eberhardらの文献(J. Am. Chem. Soc. 126:7188-7189(2004)))。この酵素は、偏性嫌気性菌タウエラ・アロマティカ(Breeseらの文献(Eur. J. Biochem. 256:148-154(1998))、Laempeらの文献(Eur. J. Biochem. 263:420-429(1999)))、ジオバクター・メタリレデュセンス(Kuntzeらの文献(Environ Microbiol. 10:1547-1556(2008)))、シントロファス・アシディトロフィカス(Kuntzeらの文献(上述))、アゾアルカス・エバンシ(evansii)(Harwoodらの文献(FEBS Microbiol. Rev. 22:439-458(1999)))、及びアゾアルカス菌種CIB株(Lopez-Barraganらの文献(J. Bacteriol. 186:5762-5774(2004)))における嫌気性ベンゾイル-CoAの分解の脈絡で研究されてきた。ジオバクター・メタリレデュセンス由来の6-KCH-CoAヒドロラーゼ遺伝子gmet_2088及びシントロファス・アシディトロフィカス由来のsyn_01654を大腸菌において異種性に発現させ、特徴づけた(Kuntzeらの文献(上述))。シントロファス・アシディトロフィカス6-KCH-CoAヒドロラーゼ(syn_01654)を、閉環方向における活性についてアッセイしたが、この活性は観察されなかった(Kuntzeらの文献(上述))。6-KCH-CoAヒドロラーゼをコードする追加的な遺伝子は、デスルホコッカス・マルティボランス及びにm-キシレン分解性増菌培養物において同定された(Kuntzeらの文献(上述))。シントロファス・アシディトロフィカスにおける追加的なヒドロラーゼは、syn_01653、syn_02400、syn_03076、及びsyn_01309である。syn-01653は、syn_01654に隣接しており、同じオペロンに存在すると予測される。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表26において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 6-KCH-CoAの脱アシル化は、CoA-トランスフェラーゼ、シンテターゼ、又はヒドロラーゼによる2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA(2-KCH-CoA)から2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラート(2-KCH)への脱アシル化に類似している。例証的な酵素には、先に論議されたものを含む。6-KCHから2-シクロヘキセノンへの脱炭酸(工程3)は、2-KCHの脱炭酸に類似している(図1、工程3及び図3、工程7)。また、該形質転換についての例証的な酵素は本明細書において適用可能である。 前記経路の最終的な工程において、2-シクロヘキセン-1-オンを還元して、NAD(P)H依存性エノン還元酵素であるシクロヘキサノン脱水素酵素(EC1.3.99.14)によってシクロヘキサノンを形成する。この反応は、シクロヘキサノールにおける嫌気性増殖の間の脱窒性細菌アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス菌種K601(以前にはシュードモナス菌種K601として公知)の細胞抽出物において生じる(Dangelらの文献(Arch. Microbiol. 152:271-279);Dangelらの文献(Arch. Microbiol. 150:358-362(1988));Mechichiらの文献(In. J. Syst. Evol. Mcrobiol. 53:147-152(2003)))。精製されたシクロヘキサノン脱水素酵素を細胞抽出物において特徴づけた。 環状化合物と自然に反応するエノン還元酵素活性を有する酵素を、原核生物、真核生物、及び植物において同定した(Shimodaらの文献(Bulletin of the Chemical Society of Japan 77:2269-2(2004));Wannerらの文献(Eur. J. Biochem. 255:271-278(1998)))。出芽酵母の細胞質画分由来の2つのエノン還元酵素を精製し、特徴づけ、2-シクロヘキセン-1-オンを基質として受容することを認めた(Wannerらの文献(上述))。ラン藻シネココッカス菌種PCC7942の細胞抽出物は、2-メチル-2-シクロヘキセン-1-オン及び2-エチル-2-シクロヘキセン-1-オンを含む種々の環状及び非環式基質を、それらの相応するアルキルケトンに還元した(Shimodaらの文献(上述))。遺伝子は、これらの活性と関連していない。NtRed1によってコードされるタバコ由来の組換えNADPH依存性エノン還元酵素を、大腸菌において機能的に発現させ、特徴づけた(Matsushimaらの文献(Bioorganic Chemistry 36:23-28(2008)))。この還元酵素は、環外エノイルケトンにおいて機能的であるが、立体障害のある環内エノイルケトンであるカルボンと反応しなかった(Matsushimaらの文献(上述))。この酵素は、基質としての2-シクロヘキセン-1-オンに関して試験されていない。遺伝子座YML131Wにおける出芽酵母の酵素は、NtRed1と30%同一性を有する(e値=1e-26)。また、環内エノアート還元酵素活性は、タバコにおいて検出されている(Hirataらの文献(Phytochemistry 28:3331-3333(1989)))。NtRed1のアミノ酸配列は、シロイヌナズナ由来の2-アルケナール還元酵素、シロイヌナズナ由来のゼータ-クリスタリンホモログ、ペパーミント(Menthe piperita)由来のプレゴン還元酵素、及びテーダマツ由来のフェニルプロペナール二重結合還元酵素と有意な相同性を共有している。これらの酵素は、α,β-不飽和ケトン又はアルデヒドのアルケンの還元を触媒することが公知である。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表27に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 別の環内エノン還元酵素は、ペパーミントにおけるモノテルペン生合成に関与する酵素である(-)-イソピペリテノン還元酵素(IspR)である(Ringerらの文献(Arch. Biochem. Biophys 418:80-92(2003)))。この酵素のタンパク質配列は、ヒト、ブタ、CHO‐K1/ハムスター細胞、及びシロイヌナズナにおける推定短鎖還元酵素との有意な相同性を示す(Ringerらの文献(上述))。ペパーミントIspRタンパク質配列を出芽酵母及びシネココッカス菌種PCC7942ゲノムと比較したが、高い信頼性の的中物(hit)は同定されなかった。最も近いのは、IspRと26%同一性を有する遺伝子座YIR036Cにおける出芽酵母の推定ベンジル還元酵素であった。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表28に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、2-エノアート還元酵素活性(EC1.3.1.31)を有する酵素は、この転換を触媒することができる。酵素2-エノアート還元酵素は、広範な種類のα,β-不飽和カルボン酸及びアルデヒドのNADH依存性還元を触媒することが公知である(Rohdichらの文献(J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001)))。2-エノアート還元酵素は、クロストリジウム・チロブチリカム及びクロストリジウム・サーモアセチカム(thermoaceticum)(現称ムーレラ・サーモアセチカム(Moorella thermoaceticum))を含むクロストリジウム属のいくつかの種においてenrによってコードされている(Geiselらの文献(Arch. Microbiol 135:51-57(1983));Rohdichらの文献(上述))。クロストリジウム・クルイベリの近年刊行されたゲノム配列において、エノアート還元酵素についての9のコード配列が報告され、そのうちの1つが特徴づけられている(Seedorfらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105:2128-2133(2008)))。クロストリジウム・チロブチリカム及びムーレラ・サーモアセチカムの両方に由来するenr遺伝子がクローニングおよび配列決定されており、たがいに対して59%の同一性を示す。また、前者の遺伝子はクロストリジウム・クルイベリにおける特徴づけられた遺伝子とおよそ75%の類似性を有することが認められている(Geiselらの文献(上述))。これらの配列結果に基づいて、enrが、大腸菌(fadH)におけるジエノイルCoA還元酵素と非常に類似していることが報告されている(Rohdichらの文献(上述))。また、クロストリジウム・サーモアセチカムenr遺伝子は、大腸菌において触媒活性のある形態で発現している(Rohdichらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表29に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA(6-KCH-CoA)からシクロヘキサノンを合成するための代替的な経路は、異なるオーダーで適用される類似の酵素を採用する。この経路において、6-KCH-CoAはまず、エノイル-CoA還元酵素(EC1.3.1.-)によって2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA(2-KCH-CoA)に還元される(図3、工程5)。例証的な酵素エノイル-CoA還元酵素は、6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoAからピメロイル-CoAへの還元について先に説明されている。 図3の工程8において、6-KCHは、エノアート還元酵素(EC1.3.1.-)によって2-KCHに還元される。エノアート還元酵素についての酵素は、2-シクロヘキセン-1-オンからシクロヘキサノンへの還元について先に説明されている。2-KCHはその後、先に説明したデカルボキシラーゼ酵素を用いて、2-KCHデカルボキシラーゼを介してシクロヘキサノンへと脱炭酸される。 いくつかの実施態様において、シクロヘキサノンは、アジパートセミアルデヒドをシクロヘキサノンに転換するための経路を介して生成される。アジパートセミアルデヒドは、大腸菌及び出芽酵母などの普遍的に使用される産生生物における天然の代謝産物ではない。しかしながら、アジパート生合成についてのいくつかの生合成経路は近年開示されている[米国特許出願第12/413,355号]。この報告において、本発明者らは、アジパートセミアルデヒドが、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAのモル当量(molar equivalent)から生成され、ベータ-ケトチオラーゼによって接合され、オキソアジピル-CoAを形成することを仮定する。次に、オキソアジピル-CoAを3つの酵素工程:ケトンの還元、脱水、及びエノイル-CoAの還元においてアジピル-CoAに転換する。一旦形成されると、アジピル-CoAは、CoA依存性アルデヒド脱水素酵素によってアジパートセミアルデヒドに転換される。 アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサノンへの経路は、図4に示すように、4つの酵素工程を必要とする。第一の工程において、アジパートセミアルデヒドは、脱水及び環化されて、シクロヘキサン-1,2-ジオン(12-CHDO)を形成する。次に、12-CHDOは、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素によってジオールに還元される。最後に、ジオールデヒドラターゼは、シクロヘキサン-1,2-ジオールをシクロヘキサノンに転換する。 この経路は、高い生成物収量及びエネルギー論的収量を達成することができる。理論上の最大シクロヘキサノン収量は、グルコースから0.75モル/モルである。野生型PPCK活性を用いて、該経路は、最大シクロヘキサノン収量において利用されるグルコース1モルあたり、1.362モルのATPのATP収量を達成する。PEPカルボキシラーゼが、ATP産生方向で機能することができるとともに、ATP収量は、2.11モル/モルにまでさらに増加する。 緑膿菌など、カプロラクタムを分解する生物において(Kulkarniらの文献(Curr. Microbiol. 37:191-194(1998));Steffensenらの文献(Appl. Environ Microbiol 61:2859-2862(1995)))、アジパートは、EC3.7.1ファミリーにおけるデヒドラターゼによってシクロヘキサ-1,2-ジオンに容易に転換される。また、この形質転換は、嫌気性シクロヘキサン-1,2-ジオール分解経路の一部として、アゾアルカス種の細胞抽出物において同定された(Harder, J. Arch. Microbiol. 168:199-203(1997))。類似の形質転換は、ミオ-イノシトール分解経路において触媒され、この中で、環状ジオン2,3-ジケト-4-デオキシ-エピ-イノシトールは、ジケトデオキシイノシトールヒドロラーゼ(EC3.7.1.−)によって直鎖生成物である5-デヒドロ-2-デオキシ-D-グルコナートに加水分解される。この反応を触媒する部分的に精製されたタンパク質は、クレブシエラ・アエロゲネスにおいて研究されている(Bermanらの文献(J. Biol. Chem. 241:800-806(1966)))。 シクロヘキサン-1,2-ジオンからジオールへの転換は、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素(EC1.1.1.174)によって達成することができる。この酵素活性は、アシネトバクターTD63において示されている(Daveyらの文献(Eur. J. Biochem. 74:115-127(1977)))。広範な基質範囲を有する酵素であるシクロヘキサノール脱水素酵素(EC1.1.1.245)が、これらの転換を触媒することができることが示されている。ロドコッカス菌種TK6由来の酵素シクロヘキサノール脱水素酵素(Tae‐Kangらの文献(J. Microbiol. Biotechnol. 12:39-45(2002)))、脱窒性シュードモナス菌種(Dangelらの文献(上述))、ノカルジア菌種(Stirlingらの文献(Curr. Micrbiol. 4:37-40(1980)))、及びザントバクター菌種(Trowerらの文献(App. Environ. Microbiol. 49" 1282-1289(1985))由来の酵素シクロヘキサノール脱水素酵素はすべて、シクロヘキサン-1,2-ジオールをシクロヘキサン-1,2-ジオンに転換することが示されている。アシネトバクター菌種NCIMB9871におけるシクロヘキサノール脱水素酵素と関連した遺伝子は、2000年に同定された(Chengらの文献(J. Bacteriol. 182:4744-4751))。chnAによってコードされるこの酵素は、シクロヘキサン-1,2-ジオン又はシクロヘキサン-1,2-ジオールに関する活性について試験されていない。アシネトバクターChnAタンパク質配列のBLAST比較は、ラルストニア・メタリレデュセンス(57%同一性)及びプチダ菌(47%同一性)を含む他の生物由来の遺伝子を同定する。また、コマモナス・テストステローニ由来のシクロヘキサノール脱水素酵素遺伝子は、大腸菌において発現及び特徴付けられ(Van Beilenらの文献(Environ. Micrbiol 5:174-182(2003)));また、類似の遺伝子がキサントバクター・フラバスにおいて同定された(Van Beilenらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表30に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 この転換を達成することのできる別の酵素は、ジアセチル還元酵素(EC1.1.1.5)である。ジアセチル(2,3-ブタンジオン)からアセトイン(acetoin)への転換、及びその後、2,3-ブタンジオールへの還元を自然に触媒すると、出芽酵母由来の2つの酵素NADPH依存性ジアセチル還元酵素はまた、基質としてのシクロヘキサン-1,2-ジオンを受容することが示されている(Heidlasらの文献(Eur. J. Biochem. 188:165-174(1990)))。この研究による(S)-特異的NADPH依存性ジアセチル還元酵素は後に、ARA1の遺伝子産物であるD-アラビノース脱水素酵素として同定された(Katzらの文献(Enzyme Microb. Technol. 33:163-172(2003)))。また、出芽酵母のBDH1のNADH依存性遺伝子産物は、ジアセチル還元酵素機能性を有する(Gonzalezらの文献(J. Biol. Chem. 275:33876-35885(2000)))。ジケトン還元酵素機能性を有するいくつかの他の酵素は、酵母において同定され、遺伝子GCY1、YPR1、GRE3、Y1R036cによってコードされる(Johansonらの文献(FEMS Yeast Res. 5:513-525(2005)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表31において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 シクロヘキサン-1,2-ジオールからシクロヘキサノンへの転換は、酵素学的に示されていない。類似の形質転換は、ジオールデヒドラターゼミオ-イノソーゼ-2-デヒドラターゼ(EC4.2.1.44)によって触媒される。ミオ-イノソーゼは、シクロヘキサン-1,2-ジオールに類似した、隣接するアルコール基を含む6員環である。ミオ-イノソーゼ-2-デヒドラターゼ機能性をコードする精製された酵素は、ミオ-イノシトール分解の脈絡でクレブシエラ・アエロゲネスにおいて研究されている(Bermanらの文献(上述))が、今日まで、遺伝子と関連づけられていない。 第二級ジオール2,3-ブタンジオールをメチルエチルケトンに転換することのできるジオールデヒドラターゼ又はプロパンジオールデヒドラターゼ酵素(EC4.2.1.28)は、この形質転換に適切であろう。アデノシルコバラミン依存性ジオールデヒドラターゼは、アルファ、ベータ、及びガンマのサブユニットを含んでおり、これらはすべて、酵素機能に必要とされる。例証的な遺伝子は、肺炎桿菌(Tobimatsuらの文献(Biosci Biotechnol. Biochem. 62:1774-1777(1998));Torayaらの文献(Biochem. Biophys. Res. Commun. 69:475-480(1976)))、ネズミチフス菌(Bobikらの文献(J. Bacteriol. 179:6633-6639(1997)))、クレブシエラ・オキシトカ(Tobimatsuらの文献(J. Biol. Chem. 270:7142-7148(1995)))、及びラクトバチルス・コリノイデス(Sauvageotらの文献(FEMS Microbiol. Lett. 209:69-74(2002)))において認められる。他の生物におけるジオールデヒドラターゼ遺伝子を単離する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第5,686,276号)。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表32において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 また、グリセロールデヒドラターゼファミリー(EC4.2.1.30)における酵素を用いて、シクロヘキサン-1,2-ジオールをシクロヘキサノンに転換することができる。例証的な遺伝子は、肺炎桿菌(WO 2008/137403)、クロストリジウム・パストゥリアヌム(pasteuranum)(Macisらの文献(FEMS Microbiol. Lett. 164:21-28(1998)))及びシトロバクター・フロインデイ(Seyfriedらの文献(J. Bacteriol 178:5793-5796(1996)))において認めることができる。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表33において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 B12依存性ジオールデヒドラターゼを利用する場合、相応する再活性化因子の異種性発現を使用することができる。これらの因子は、2サブユニットタンパク質である。例証的な遺伝子は、クレブシエラ・オキシトカ(Moriらの文献(J. Biol. Chem. 272:32034-32041(1997)))、ネズミチフス菌(Bobikらの文献(上述);Chenらの文献(J. Bacteriol. 176:5474-5482(1994)))、ラクトバチルス・コリノイデス(Sauvageotらの文献(上述))、肺炎桿菌(WO 2008/137403)において認められる。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表34において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 例証的なB12非依存性ジオールデヒドラターゼ(dehyratase)酵素には、グリセロール脱水素酵素及びジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.9)を含む。シクロヘキサン-1,2-ジオールは、いずれの酵素の公知の基質ではない。B12非依存性ジオールデヒドラターゼ酵素は、S-アデニシルメチオニン(SAM)を共因子として利用し、厳密に嫌気性の条件下で機能する。dhaB1及びdhaB2によってコードされるクロストリジウム・ブチリカムのグリセロール脱水素酵素及び相応する活性化因子は、十分に特徴づけられている(O'Brienらの文献(Biochemistry 43:4635-4645(2004));Raynaudらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 100:5010-5015(2003)))。この酵素は、大腸菌の1,3-プロパンジオール過剰産生株において近年採用されており、非常に高い力価の生成物を達成することができた(Tangらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 75:1628-1634(2009)))。ロゼブリア・イヌリニボランス(inulinivorans)由来の追加的なB12非依存性ジオールデヒドラターゼ酵素及び活性化因子は、2,3-ブタンジオールから2-ブタノンへの転換を触媒することが示された(US 2009/09155870)。ジヒドロキシ-酸デヒドラターゼ(DHAD、EC4.2.1.9)は、分岐鎖アミノ酸生合成に関与するB12非依存性酵素である。その天然の役割において、該デヒドラターゼは、2,3-ジヒドロキシ-3-メチルバレラートをイソロイシンの前駆体である2-ケト-3-メチル-バレラートに転換する。バリン生合成において、該酵素は、2,3-ジヒドロキシ-イソバレラートから2-オキソイソバレラートへの脱水を触媒する。スルホロブス・ソルファタリカス由来のDHADは、広範な基質範囲を有し、大腸菌において発現する組換え酵素の活性は、種々のアルドン酸において示された(KIMらの文献(J. Biochem. 139:591-596(2006)))。スルホロブス・ソルファタリカス酵素は、多くのジオールデヒドラターゼ酵素とは異なり、酸素に寛容性がある。ilvDによってコードされる大腸菌酵素は、酸素に感受性があり、その鉄-硫黄クラスターを不活性化させる(Flintらの文献(J. Biol. Chem. 268:14732-14742(1993)))。類似の酵素は、アカパンカビ(Altmillerらの文献(Arch. Biochem. Biophys. 138:160-170(1970)))及びネズミチフス菌(Armstrongらの文献(Biochim. Biophys. Acta 498:282-293(1977)))において特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表35において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 ジオールデヒドラターゼミオ-イノソーゼ-2-デヒドラターゼ(EC4.2.1.44)は、別の例証的な候補である。ミオ-イノソーゼは、隣接するアルコール基を含む6員環である。ミオ-イノソーゼ-2-デヒドラターゼ機能性をコードする精製された酵素は、ミオ-イノシトール分解の脈絡でクレブシエラ・アエロゲネスにおいて研究されている(Bermanらの文献(J Biol. Chem. 241:800-806(1966)))が、今日まで遺伝子と関連づけられていない。シノリゾビウム・フレディのミオ-イノソーゼ-2-デヒドラターゼは、大腸菌においてクローニングされ、機能的に発現した(Yoshidaらの文献(Biosci. Biotechnol. Biochem. 70:2957-2964(2006)))。また、iolEによってコードされる枯草菌由来の類似の酵素が研究されている(Yoshidaらの文献(Microbiology 150:571-580(2004)))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表36において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 いくつかの実施態様において、本発明は、4-アセチルブチラート(5-オキソヘキサノアート及び5-オキソカプロン酸としても公知)からシクロヘキサノンを生成するための経路を提供する。この経路において、4-アセチルブチラートを環化して、1,3-シクロヘキサンジオンを形成する。ケト基のうちの1つの還元及びその後の脱水は、2-シクロヘキセノンを生じる。次に、2-シクロヘキセノンをシクロヘキサノンに還元する。この経路の酵素活性は、シクロヘキサノールを代謝して嫌気性条件下で増殖を支持する脱窒性細菌アリサイクリフィルス・デニトリフィカンス菌種K601(以前にはシュードモナス菌種K601として公知)において天然に存在する(Dangelらの文献(上述(1989));Dangelらの文献(上述(1988));Mechichiらの文献(上述))。また、経路中間体1,3-シクロヘキサンジオン及び4-アセチルブチラートは、この経路を含む細胞の増殖を支持することができる(Dangelらの文献(上述(1988)))。 4-アセチルブチラートは、大腸菌の細胞抽出物において検出されているが、シクロヘキサノンへの生合成経路には、3-オキソピメロイル-CoAから4-アセチルブチラートを合成するための2つの酵素工程を含む。3-オキソピメロイル-CoAは、先に説明される通り、ピメロイル-CoAを生成するための経路における中間体である。アセトアセチル-CoAから3-オキソピメロイル-CoAを生成するための酵素は、該節に説明されている。3-オキソピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを転換するための酵素(図5)が本明細書に説明されている。 この経路の第一の工程は、CoA-トランスフェラーゼ、シンテターゼ、又はヒドロラーゼによって達成することのできる3-オキソピメロイル-CoAのCoA部分の除去を必要とする。3-オキソ酸に作用するいくつかの公知の酵素は、代替的な基質としての3-オキソピメリル-CoAに作用することができるようである。種々のCoA-シンテターゼ、CoA-ヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及びCoA-トランスフェラーゼ酵素は、先に詳述されている。 上記経路の第二の工程は、アセトアセタートデカルボキシラーゼ(EC4.1.1.4)などの3-オキソ酸デカルボキシラーゼによる、3-オキソピメラートから4-アセチルブチラートへの脱炭酸を必要とする。3-オキソ酸デカルボキシラーゼについての例証的な遺伝子は先に列挙されている。また、この脱炭酸反応は、酵素触媒されるよりもむしろ、自発的に生じ得る。大腸菌において、アミノ酸生合成の間に生じるいくつかの3-オキソ酸は、自発的な脱炭酸を経験することが示されている(Boylanらの文献(Biochem Biophysc. Res. Commun. 85:190-197(1978)))。 1,3-シクロヘキサンジオンヒドロラーゼ(4-アセチルブチラートデヒドラターゼ)の活性は、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンスにおける加水分解性環開裂方向において示されている(Dangelの文献(上述(1989)))。この工程を触媒する酵素は、細胞抽出物において特徴づけられている。 3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素(EC1.1.99.26)は、シクロヘキサン-1,3-ジオンから3-ヒドロキシシクロヘキサノンのケトンのうちの1つを還元する。この酵素は、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンスの細胞抽出物において特徴づけられている(Dangelらの文献(上述(1989)))。ロドコッカス菌種TK6(Tae‐Kangらの文献(上述))、Nocardia菌種(Stirlingらの文献(上述))、ザントバクター菌種(Trowerらの文献(上述))由来の酵素シクロヘキサノール脱水素酵素(EC1.1.1.245)は、シクロヘキサン-1,3-ジオールをシクロヘキサン-1,3-ジオンに酸化することが示されている。また、先に論議されたジアセチル還元酵素及び追加的なシクロヘキサノール脱水素酵素の遺伝子は、本明細書で適用可能である。 出芽酵母における5つの近年同定されたベータ-ジケトン還元酵素は、二環式ジケトンビシクロ[2.2.2]オクタン-2,6-ジオン(BCO2,6D)を相応するケトアルコールに還元することができる(Katzらの文献(Biotechnol. Bioeng. 84:573-582(2003)))。この形質転換は、シクロヘキサン-1,3-ジオンの還元に類似している(図5、工程4)。該酵素は、遺伝子座YMR226c、YDR368w、YOR120w、YGL157w、及びYGL039wによってコードされる。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表37に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 前記経路の第五の工程において、3-ヒドロキシシクロヘキサノンを脱水して、2-シクロヘキセノンを形成する。この形質転換は、2-シクロヘキセノンヒドラターゼによって触媒され、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンスK601の細胞抽出物において特徴づけられている(Dangelらの文献(上述(1989)))。環状ベータ-ヒドロキシケトンを脱水することのできる別の酵素は、デヒドロキナーゼとしても公知の3-デヒドロキナートデヒドラターゼ(EC4.2.1.10)である。この酵素は、3-デヒドロキナートを可逆的に脱水して、3-デヒドロ-シキマート(図6)を形成し、抗生物質の標的として広範に研究されている。基質としての3-ヒドロキシシクロヘキサノンに関する活性は示されていない。2つの異なる種類のデヒドロキナーゼI型及びII型は、同一の反応を触媒するが、アミノ酸組成、構造、及び触媒機序において異なっている(Gourleyらの文献(Nat. Struct. Biol. 6:521-525(1999));Kleanthousらの文献(Biochem. J. 282(パート3):687-695(1992)))。高解像の構造データは、チフス菌由来のI型酵素について(Gourleyらの文献(上述))、並びに結核菌(Gobelらの文献(J. Bacteriol. 184:216-223(2002)))及びストレプトマイセス・コエリカラー(Roszakらの文献(Structure 10:493-503(2002)))由来のII型酵素について入手可能である。 また、デヒドロキナーゼは、ヘリコバクター(Heliobacter)・ピロリ(Bottomleyらの文献(Biochem. J. 319(パート2):559-565(1996)))、チフス菌、及び大腸菌(Chaudhuriらの文献(Biochem. J. 275(パート1):1-6(1991)))においてクローニングされ、精製され、及び特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表38において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 酵素2-ヒドロキシイソフラバノン脱水素酵素は、2-ヒドロキシイソフラバノンの環状ベータ-ヒドロキシル基を脱水して、イソフラバノンを形成する(図6B)。この酵素活性を有する酵素は、ダイズ(soybean)(ダイズ(Glycine max))及びシナカンゾウにおいて特徴づけられている(Akashiらの文献(Plant Physiol. 137:882-891(2005)))。ダイズ酵素HIDHは、代替的な基質を受容することが認められているのに対し、シナカンゾウ酵素HIDMは、厳密な基質特異性を呈した(Akashiらの文献(上述))。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表39において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 最終的な経路工程である、2-シクロヘキセノンからシクロヘキサノンへの還元は、シクロヘキサノン脱水素酵素(EC1.3.99.14)によって触媒される。この反応は、先に説明した経路の最終工程と同一である。 いくつかの実施態様において、本発明は、2,6-ジアミノペンタノアートから出発するピメロイル-CoAへの代替的な経路を提供する。2,6-ジアミノピメラート(26-DAP)は、リシン生合成における中間体であり、また、細菌細胞壁ペプチドグリカンの構成体である。リシン生合成の経路I〜IVは、L-アスパラギン酸から2,6-ジアミノピメラートを生じ、この中で、アスパラギン酸は、アスパラギン酸-セミアルデヒドに転換され、それが次に、ピルビン酸で加水分解されて、2,3-ジヒドロピコリナートを形成する。2,3-ジヒドロピコリナートから2,6-ジアミノピメラートへの転換は、異なる酵素によって達成することができ、異なる代謝中間体を包含することができる。大腸菌において、リシン生合成経路Iは、4つの酵素工程においてこの転換を達成する。 5つの酵素形質転換は、2,6-ジアミノピメラートをピメロイル-CoAに転換する:2位及び6位における第二級アミンの脱アミノ化、結果として生じるアルケンの還元、及び補酵素Aとのチオエステル結合の形成(図7)。チオエステル結合の形成は、CoAトランスフェラーゼ又はリガーゼによって実施することができる。第2節におけるピメロイル-CoAからシクロヘキサノンへの経路とともに、該経路は、利用されるグルコース1モルあたり0.75モルのシクロヘキサノンの最大理論収量を達成することができる。可逆的PEPカルボキシキナーゼを用いてでさえ、該経路は、0.125モル/モルのATP収量でエネルギー論的に制限される。収量は、CoAトランスフェラーゼ機能性を有する酵素が利用されるという仮定のもとに算出した(図7、工程5、図1、工程2)。通気は、エネルギー論的収量を改良するとは予測されない。 2,6-ジマニオピメラート(dimaniopimelate)及び2-アミノヘプタンジオアートの脱アミノ化をコードする酵素(図7、工程1及び3)は、類似の形質転換、すなわちアスパラギン酸からフマル酸への脱アミノ化を触媒するアスパルターゼ(EC4.3.1.1)によって提供することができる(Viola, R. E.の文献(Adv. Enzymol. Relat. Areas. Mol. Biol. 74:295-341(2000)))。aspAによってコードされる大腸菌アスパルターゼの結晶構造は、触媒機序及び基質特異性への洞察を提供する(Shiらの文献(Biochemistry 36:9136-9144(1997)))。大腸菌酵素は、代替的な基質アスパルタートフェニルメチルエステル、アスパラギン、ベンジル-アスパラギン酸、及びリンゴ酸と反応することが示されている(Maらの文献(Ann. N. Y. Acad. Sci. 672:60-65(1992)))。別個の研究において、定向進化は、基質特異性を変更するために、この酵素について採用されている(Asanoらの文献(Biomol. Eng. 22:95-101(2005)))。また、アスパルターゼ機能性を有する酵素は、インフルエンザ菌(Sjostromらの文献(Biochim. Biophys. Acta 1324:182-190(1997)))、蛍光菌(Takagiらの文献(J. Biochem. 96:545-552(1984)))、枯草菌(Sjostromらの文献(上述))、及び霊菌(Takagiらの文献(J. Bacteriol. 161:1-6(1985)))において特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表40において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 経路中間体である6-アミノヘプタ-2-エンジオアート及び6-カルボキシヘキサ-2-エノアートの還元は、先に説明される通り、2-エノアート還元酵素(EC1.3.1.31)によって実施することができる。 ピメラートからピメロイル-CoAへのアシル化は、6-カルボキシヘキサノアート-CoAリガーゼ(EC6.2.1.14)とも呼ばれるピメロイル-CoAシンテターゼによって触媒される。この酵素は、AMP及びピロリン酸を同時に形成し、ピロリン酸が加水分解される場合、2つのATP当量を消費する。枯草菌(Bowerらの文献(上述))、バチルス・スファエリクス(Plouxらの文献(Biochem. J. 287(パート3):685-690(1992)))、及びシュードモナス・メンドシナ(Biniedaらの文献(Biochem. J. 340(パート3):793-801(1999)))由来の酵素がクローニングされ、配列決定され、及び特徴づけられている。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表41において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 アセチル-CoA又はスクシニル-CoAからピメラートにCoA部分を転移させることのできる酵素は、アセタート-CoAトランスフェラーゼ(EC2.8.3.8)としても公知の大腸菌アシル-CoA:アセタート-CoAトランスフェラーゼである。この酵素は、イソブチラート(Matthiesらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 58:1435-1439(1992)))、バレラート(Vanderwinkelらの文献(Biochem. Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968)))、及びブタノアート(Vanderwinkelらの文献(上述))を含む種々の分岐鎖及び直鎖アシル-CoA基質からアセタートにCoA部分を転移させることが示されている。この酵素は、大腸菌菌種K12におけるatoA(アルファサブユニット)及びatoD(ベータサブユニット)(Korolevらの文献(Acta Crystallogr. D Biol Crystallogr. 58:2116-2121(2002));Vanderwinkelらの文献(上述))並びにコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032におけるactA及びcg0592(Duncanらの文献(Appl. Environ. Microbiol. 68:5186-5190(2002)))によってコードされている。類似の酵素は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Caryらの文献(Appl Environ Microbiol 56:1576-1583(1990)))及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Kosakaらの文献(Biosci. Biotechnol Biochem. 71:58-68(2007)))に存在する。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表42において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 クロストリジウム・クルイベリのcat1、cat2、及びcat3の遺伝子産物は、類似の形質転換を触媒し、スクシニル-CoA、4-ヒドロキシブチリル-CoA、及びブチリル-CoAをそれらの相応する酸から形成する(Seedorfらの文献(上述);Gourleyらの文献(上述))。また、スクシニル-CoAトランスフェラーゼ活性は、腟トリコモナス(van Grinsvenらの文献(J. Biol. Chem. 283:1311-1418(2008)))及びブルセイトリパノソーマ(Riviereらの文献(J. Biol. Chem. 279:45337-45346(2004)))に存在する。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表43に示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 2,6-ジアミノペンタノアートからピメロイル-CoAを生成するための代替的な経路は、エン酸経路中間体である6-アミノヘプタ-2-エン二酸又は6-カルボキシヘキサ-2-エノアートのうちの1つからチオエステル結合を形成することを包含する。グルタコナートCoA-トランスフェラーゼ(EC2.8.3.12)などのエノイル-CoAトランスフェラーゼは、この形質転換のための良好な酵素であろう。大腸菌においてクローニングされ機能的に発現するアシダミノコッカス・ファーメンタンス由来のこの酵素(Mackらの文献(Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994)))は、3-ブテノイル-CoA、アクリリル-CoA、及び2-ヒドロキシグルタリル-CoAを含む複数のエノイル-CoA基質と反応する(Buckelらの文献(Eur. J. Biochem. 118:315-321(1981)))。また、グルタコナートCoA-トランスフェラーゼ活性は、クロストリジウム・スポロスフェロイデス及びクロストリジウム・シンビオサムにおいて検出されている。追加的なグルタコナートCoA-トランスフェラーゼ酵素は、アシダミノコッカス・ファーメンタンスタンパク質配列との相同性によって推測することができる。例証的な遺伝子産物についてのタンパク質配列は、下記の表44において示される以下のGenBank受入番号を用いて見出すことができる。 エノイル-CoA中間体を6-アミノヘプタ-2-エンジオアート又は6-カルボキシヘキサ2-エノアートから形成する場合、アルケンの還元は、エノイル-CoA還元酵素によって実施することができる。例証的なエノイル-CoA還元酵素遺伝子は、先に説明されている。 本発明の非天然微生物は、1つ以上のシクロヘキサノン生合成経路に関与する酵素又はタンパク質の1つ以上をコードする発現可能な核酸を導入することによって作出することができる。生合成のために選択された宿主微生物に応じて、特定のシクロヘキサノン生合成経路のいくつかまたはすべてについての核酸が発現することができる。例えば、選択された宿主が、所望の生合成経路についての1つ以上の酵素又はタンパク質を欠損している場合、該欠損している酵素(類)又はタンパク質(類)についての発現可能な核酸は、その後の外来性発現のために宿主へと導入される。あるいは、選択された宿主が、いくつかの経路遺伝子の内在性発現を呈するが、その他では欠損している場合、コード核酸は、シクロヘキサノン生合成を達成するために、欠損している酵素(類)又はタンパク質(類)にとって必要とされる。したがって、本発明の非天然微生物は、外来性酵素又はタンパク質活性を導入して所望の生合成経路を得ることによって作出することができ、又は生合成経路は、1つ以上の内在性酵素又はタンパク質とともに、シクロヘキサノンなどの所望の生成物を生成する1つ以上の外来性酵素又はタンパク質活性を導入することによって得ることができる。 選択された宿主微生物のシクロヘキサノン生合成経路構成体に応じて、本発明の非天然微生物は、少なくとも1つの外来性に発現するシクロヘキサノン経路をコードする核酸、及び1つ以上のシクロヘキサノン生合成経路についての最大ですべてのコード核酸を含むであろう。例えば、シクロヘキサノン生合成は、相応するコード核酸の外来性発現を通じて、経路酵素又はタンパク質を欠損している宿主において確立することができる。シクロヘキサノン経路のすべての酵素又はタンパク質を欠損している宿主において、該経路のすべての酵素又はタンパク質の外来性発現が含まれることができるが、宿主が経路酵素又はタンパク質のうちの少なくとも1つを含む場合でさえ、経路のすべての酵素又はタンパク質が発現することができることは理解される。例えば、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼから選択される酵素など、シクロヘキサノンの生成のための経路におけるすべての酵素又はタンパク質の外来性発現は含まれることができる。また、このような経路には、ピメロイル-CoAの生成のための外来性酵素の完全なセットを含むことができ、該セットには、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼ、及びピメロイル-CoA脱水素酵素を含む。 シクロヘキサノンの生成のための完全な酵素セットの他の例には、例えば、(a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼから選択される酵素;(b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼから選択される酵素;並びに(c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)からなる群から選択される酵素を含む。また、任意の経路(a)〜(c)は、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、及び3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素を含む3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路をコードする核酸の完全なセットを有することができる。 まださらなる例証的な実施態様において、完全なシクロヘキサノン経路をコードする1セットの核酸には、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含むことができる。なおもまださらなる実施態様において、完全なシクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼから選択される酵素をコードする核酸を含むことができる。いくつかの実施態様において、この後者の経路にはまた、3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼを含む3-オキソピメロイル-CoA経路を含むことができる。 本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、発現可能な形態で導入するためのコード核酸の数が、選択された宿主微生物のシクロヘキサノン経路欠損に少なくとも匹敵するであろうことを理解するであろう。それゆえ、本発明の非天然微生物は、本明細書に開示されたシクロヘキサノン生合成経路を構成する酵素又はタンパク質をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は最大ですべての核酸を有することができる。いくつかの実施態様において、非天然微生物にはまた、シクロヘキサノン生合成を促進する若しくは最適化する、又は他の有用な機能を宿主微生物に与える他の遺伝的修飾を含むことができる。このような他の1つの機能性には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラート、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoA、ピメロイル-CoA、6-カルボキシヘキサ-2-エノイル-CoA、3-ヒドロキシピメロイル-CoA、グルタリル-CoA、クロトニル-CoA、3-ヒドロキシブチリル-CoA、アセトアセチル-CoA、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート、2-シクロヘキセノン、シクロヘキサン-1,2-ジオール、2-ヒドロキシシクロヘキサノン、シクロヘキサン-1,2-ジオン、アジパートセミアルデヒド、3-ヒドロキシシクロヘキサノン、1,3-シクロヘキサンジオン、4-アセチルブチラート、又は3-オキソピメラートなどのシクロヘキサノン経路前駆体の1つ以上の合成の増強を含むことができる。 一般的に、宿主微生物は、所望の前駆体の新規産生、又は宿主微生物によって天然に産生された前駆体の高い産生のいずれかを提供する天然分子として又は操作された生成物としてのいずれかとして、シクロヘキサノン経路の前駆体を産生するよう選択される。例えば、アセトアセチル-CoAは、大腸菌などの宿主生物において天然に産生される。宿主生物を操作して、本明細書に開示される前駆体の産生を増大させることができる。加えて、所望の前駆体を産生するよう操作された微生物は、宿主生物として使用することができ、さらに操作して、シクロヘキサノン経路の酵素又はタンパク質を発現させることができる。 いくつかの実施態様において、本発明の非天然微生物は、シクロヘキサノンを合成する酵素能力を含む宿主から作出される。この具体的な実施態様において、シクロヘキサノン経路生成物の合成又は蓄積を増加させて、例えばシクロヘキサノン産生の方にシクロヘキサノン経路反応を駆動することは有用であり得る。高い合成又は蓄積は、例えば、上記のシクロヘキサノン経路の酵素又はタンパク質の1以上をコードする核酸の過剰発現により達成することができる。シクロヘキサノン経路の酵素(enzyme)若しくは酵素(enzymes)及び/又はタンパク質(protein)若しくはタンパク質(proteins)の過剰発現は、例えば、内在性の遺伝子(gene)若しくは遺伝子(genes)の外来性発現により、又は異種性の遺伝子(gene)若しくは遺伝子(genes)の外来性発現により、起こすことができる。それゆえ、天然生物は、例えば、シクロヘキサノン生合成経路の酵素又はタンパク質をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、すなわち最大ですべての核酸の過剰発現を通じて、シクロヘキサノンを産生する本発明の非天然微生物であるように容易に作出することができる。加えて、非天然生物は、シクロヘキサノン生合成経路の酵素の活性の亢進を結果的に生じる内在性遺伝子の突然変異誘発により作出することができる。 特に有用な実施態様において、コード核酸の外来性発現が採用される。外来性発現は、宿主及び応用に対する発現エレメント及び/又は調節エレメントをカスタマイズして仕立てる能力を与えて、使用者により制御される所望の発現レベルを達成する。しかしながらまた、内在性発現は、誘導性プロモーター又は他の調節エレメントに連関された場合、遺伝子のプロモーターの負の調節性のエフェクター又は誘導を取り除くことなどによって、他の実施態様において利用することができる。従って、天然の誘導性プロモーターを有する内在性遺伝子は、適切な誘導剤を提供することにより上方制御することができ、又は、内在性遺伝子の調節領域は、誘導性の調節エレメントを組み込むように操作することができ、これにより所望の時に、内在性遺伝子の高い発現の調節が可能となる。同様に、誘導性プロモーターは、非天然微生物に導入される外来性遺伝子のための調節エレメントとして含まれ得る。 本発明の方法において、本発明の非天然微生物を作出するために、任意の1以上の外来性核酸を微生物に導入することができることは理解される。該核酸は、例えば、該微生物へシクロヘキサノン生合成経路を与えるように導入することができる。あるいは、コード核酸は、シクロヘキサノン生合成能力を与えるのに必要とされる反応のいくつかを触媒する生合成能力を有する中間微生物を作出するために導入することができる。例えば、シクロヘキサノン生合成経路を有する非天然微生物は、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ及び2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用;逆向きに走行する反応)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ及びCoAシンテターゼ、ヒドロラーゼ、若しくはトランスフェラーゼ、又は2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoA-ヒドロラーゼ(C-C結合に作用;逆向きに走行する反応)及びCoAシンテターゼ、ヒドロラーゼ、若しくはトランスフェラーゼの組み合わせ、並びにこれらに類するものなど、所望の酵素又はタンパク質をコードする少なくとも2つの外来性核酸を含むことができる。これらは単に例証的であり、当業者は、開示された任意の経路からの2つの酵素の任意の組み合わせが、外来核酸の導入によって提供することができることを認識するであろう。したがって、生合成経路の2つ以上の酵素又はタンパク質の任意の組み合わせが、本発明の非天然微生物に含まれ得ることは理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素及び/又はタンパク質の組み合わせがその相応する所望の生成物の生成を生じる限り、生合成経路の3以上の酵素又はタンパク質の任意の組み合わせ、例えば、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用;逆向きに走行する反応)、及びCoAシンテターゼ、又は2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用;逆向きに走行する反応)、及びCoAヒドロラーゼ、又は2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用;逆向きに走行する反応)、及びCoAトランスフェラーゼなどが、所望のとおり本発明の非天然微生物に含まれ得ることは理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素及び/又はタンパク質の組み合わせがその相応する所望の生成物の生成を生じる限り、本明細書に開示される生合成経路の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又はそれより多くの酵素又はタンパク質の任意の組み合わせは、所望のとおり、本発明の非天然微生物に含まれ得る。 本明細書に説明されるシクロヘキサノオンの生合成に加えて、本発明の非天然微生物及び方法はまた、他の経路により生成物の生合成を達成するための当該技術分野において周知の互いとの並びに他の微生物及び方法との種々の組み合わせにおいても利用することができる。例えば、シクロヘキサノン産生体の使用以外でシクロヘキサノンを産生するための1つの選択肢は、シクロヘキサノン経路中間体をシクロヘキサノンに転換することのできる別の微生物の添加を介することである。このような手順の1つには、例えば、シクロヘキサノン経路中間体を産生する微生物の発酵を含む。次に、シクロヘキサノン経路中間体は、シクロヘキサノン経路中間体をシクロヘキサノンに転換する第二の微生物のための基質として使用することができる。シクロヘキサノン経路中間体は、第二の微生物の別の培養液に直接添加することができ、又はシクロヘキサノン経路中間体産生体の元の培養液は、例えば細胞分離によりこれらの微生物から枯渇させることができ、次に、その後の第二の微生物の該発酵ブロスへの添加は、中間体の精製工程なしで最終生成物を産生するために利用できることができる。 他の実施態様において、本発明の非天然微生物及び方法は、例えば、シクロヘキサノンの生合成を達成するための幅広い種々の下位経路において組み立てることができる。これらの実施態様において、本発明の所望の生成物のための生合成経路は、異なる微生物へと分離することができ、該異なる微生物は、最終生成物を産生させるために共培養することができる。このような生合成スキームにおいて、1つの微生物の生成物は、最終生成物が合成されるまでの第二の微生物のための基質である。例えば、シクロヘキサノンの生合成は、1つの経路中間体の別の経路中間体又は生成物への転換のための生合成経路を含む微生物を構築することにより達成することができる。あるいは、シクロヘキサノンは、同じ容器内の2つの微生物を使用する共培養又は共発酵を通じて、微生物から生合成で産生でき、ここで、該第一の微生物は、ピメロイル-CoAなどのシクロヘキサノン中間体を産生し、該第二の微生物は該中間体をシクロヘキサノンに転換する。 本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、幅広い種々の組み合わせ及び順列が、本発明の非天然微生物及び方法にとって、他の微生物とともに、下位経路を有する他の非天然微生物の共培養物とともに、並びにシクロヘキサノンを産生するための周知の他の化学的及び/又は生化学的手順の組み合わせとともに存在することを理解するであろう。 シクロヘキサノン経路酵素又はタンパク質のためのコード核酸の供給源には、例えば、該コードされた遺伝子産物が当該基準反応を触媒することのできる任意の種を含むことができる。このような種には、古細菌及び真正細菌を含む細菌、並びに酵母、植物、昆虫、動物、及びヒトを含む哺乳動物を含む真核生物を含むがこれらに限定されない、原核生物及び真核生物の両方を含む。このような供給源のための例示的な種には、例えば、大腸菌、出芽酵母、クロストリジウム・アセトブチリカム、ズーグロア・ラミジェラ、プチダ菌、シントロファス・アシディトロフィカス、インフルエンザ菌、アゾアルカス菌種CIB、タウエラ・アロマティカ、ダイズ、及びブタ回虫、並びに本明細書に開示されるか、又は相応の遺伝子のための供給源生物として利用可能な、他の例示的な種を含む。しかしながら、395種の微生物ゲノム並びに種々の酵母、真菌、植物、及び哺乳動物のゲノムを含む、現在550超の種に利用可能な完全ゲノム配列(これらのうち半分超は、NCBIなどの公共データベースで利用可能である。)を用いて、例えば、公知の遺伝子のホモログ、オルソログ、パラログ及び非オルソロガス遺伝子置換、及び生物間での遺伝的変更の相互交換を含む、関連する種又は離れた種における1以上の遺伝子についての必要なシクロヘキサノン生合成活性をコードする遺伝子の同定は常用的であり、かつ当該技術分野において周知である。従って、大腸菌などの特定の生物に関して本明細書で説明されるシクロヘキサノンの生合成を可能にする代謝的変更は、原核生物及び真核生物などを含む他の微生物に容易に適用することができる。本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、1つの生物において例証される代謝的変更が他の生物に同様に等しく適用することができるということを知っているであろう。 代替的なシクロヘキサノン生合成経路が、関連性のない種において存在する場合など、いくつかの場合において、シクロヘキサノン生合成は、例えば、同様の、しかし同一ではない代謝反応を触媒して、当該基準反応を置き換える、関連性のない種から、パラログ(paralog)又はパラログ(paralogs)の外来性発現により宿主種に付与することができる。代謝ネットワーク中の特定の差異が、異なる生物間に存在するので、当業者は、異なる生物間の実際の遺伝子使用が異なり得ることを理解するであろう。しかしながら、本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者はまた、本発明の教示及び方法をすべての微生物に、本明細書に例証されたものと同様の代謝的変更を用いることで適用して、シクロヘキサノンを合成するであろう関心対象の種において微生物を構築することができることも理解するであろう。 宿主微生物は、例えば、細菌、酵母、真菌又は発酵プロセスに適用できる任意の他の種々の微生物、及びこれらから作出された非天然微生物から選択することができる。例示的な細菌には、大腸菌、クレブシエラ・オキシトカ、アナエロビオスピリルム・スクシニシプロデュセンス(succiniciproducens)、アクチノバチルス・スクシノゲネス(succinogenes)、マンヘミア・スクシニシプロデュセンス(succiniciproducens)、リゾビウム・エトリ、枯草菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、グルコノバクター・オキシダンス、ザイモモナス・モビリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトバチルス・プランタルム、ストレプトマイセス・セリカラー、クロストリジウム・アセトブチリカム、蛍光菌、及びプチダ菌から選択される種を含む。例示的な酵母又は真菌には、出芽酵母、分裂酵母、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルキシアヌス(marxianus)、アスペルギルス・テレウス、クロコウジカビ、及びピキア・パストリスから選択される種を含む。大腸菌は、遺伝子工学に好適な十分に特徴づけられた微生物であるので、特に有用な宿主生物である。他の特に有用な宿主生物には、出芽酵母などの酵母を含む。 非天然シクロヘキサノン産生宿主の発現レベルを構築及び試験する方法は、例えば、当該技術分野において周知の組換え法及び検出法により実施することができる。このような方法は、例えば、Sambrookらの文献「分子クローニング:実験室マニュアル第3版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Ed.)」(Cold Spring Harbor Laboratory, New York(2001));及びAusubelらの文献「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(John Wiley and Sons, Baltimore, MD(1999))において説明されているのを認めることができる。 シクロヘキサノンの産生のための経路に関係する外来性核酸配列は、抱合、電気穿孔法、化学的形質転換、形質導入、トランスフェクション及び超音波形質転換を含むがこれらに限定されない当該技術分野において周知の技術を使用して、安定して又は一過的に宿主細胞へと導入することができる。大腸菌又は他の原核細胞における外来性発現のために、真核生物核酸の遺伝子又はcDNAにおけるいくつかの核酸配列は、N‐末端ミトコンドリアシグナル若しくは他のターゲッティングシグナルなどのターゲッティングシグナルをコードすることができ、該ターゲッティングシグナルは、所望の場合、原核宿主細胞への形質転換の前に除去することができる。例えば、ミトコンドリアリーダー配列の除去は、大腸菌における高い発現をもたらした(Hoffmeisterらの文献(J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005)))。酵母又は他の真核細胞の外来性発現のために、遺伝子は、リーダー配列を付加せずに細胞質において発現することができ、又は宿主細胞に適するミトコンドリアターゲッティング又は分泌シグナルなどの好適なターゲッティング配列の付加により、ミトコンドリア若しくは他の細胞小器官を標的にすることができ、若しくは分泌のために標的とすることができる。従って、ターゲッティング配列を取り除くか又は含むための核酸配列への適切な修飾は、望ましい特性を与えるために外来性核酸配列に組み込むことができることは理解される。さらに、遺伝子は、タンパク質の最適化された発現を達成するために、当該技術分野において周知の技術を用いるコドン最適化に供することができる。 発現ベクター(vector)又は発現ベクター(vectors)は、宿主生物において機能的な発現制御配列に作用可能に連結された本明細書に例証されるような核酸をコードする1以上のシクロヘキサノン生合成経路を含むように構築することができる。本発明の微生物宿主生物での使用に適用できる発現ベクターには、例えば、宿主染色体への安定した組込みのために作用可能なベクター及び選択配列又は標識を含む、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム及び人工染色体を含む。加えて、発現ベクターには、1以上の選択可能な標識遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。また、例えば、抗生物質若しくは毒素に対する耐性を提供し、栄養要求性欠損を補完し、又は培地にはない必須栄養素を供給する、選択可能な標識遺伝子も含まれ得る。発現制御配列には、当該技術分野において周知である、構成的プロモーター及び誘導性プロモーター、転写エンハンサ、転写ターミネーター、及びこれらに類するものを含むことができる。2以上の外来性コード核酸が同時発現すべきである場合、両方の核酸は、例えば、単一の発現ベクターへと、又は別々の発現ベクターの中に、挿入できる。単一ベクター発現のために、コード核酸は、1つの共通発現制御配列に操作的に連結することができ、又は1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターなどの異なる発現制御配列に操作的に連結することができる。代謝経路若しくは合成経路に関係する外来性核酸配列の形質転換は、当該技術分野において周知の方法を使用して確認することができる。このような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロット法若しくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、又は遺伝子産物の発現についての免疫ブロット法、又は導入される核酸配列若しくはその相応の遺伝子産物の発現を試験するのに好適な他の分析法を含む。外来性核酸が所望の生成物を産生するように十分な量で発現することは当業者に理解され、発現レベルが当該技術分野において周知のかつ本明細書に開示される方法を使用して十分な発現を得るように最適化することができることは更に理解される。 いくつかの実施態様において、本発明は、シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含む、シクロヘキサノンを産生するための方法を提供する。該経路には、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む。シクロヘキサノン経路は、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼから選択される酵素を含む。 また、本発明は、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含む、シクロヘキサノンを産生するための方法を提供し、この中で、シクロヘキサノン経路には、1セットのシクロヘキサノン経路酵素を含む。シクロヘキサノン経路酵素のセットは、(a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;(b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;並びに(c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)からなる群から選択される酵素から選択される。 また、本発明は、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含む、シクロヘキサノンを産生するための方法を提供する。このようなシクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む。 なおもさらなる実施態様において、本発明は、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を有するシクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含む、シクロヘキサノンを産生するための方法を提供する。このような実施態様において、シクロヘキサノン経路には、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素を含む。 シクロヘキサノンの産生について試験するのに好適な精製及び/又はアッセイは、周知の方法を使用して実施することができる。三つ組の培養物などの好適な複製物は、試験されるべき操作された株ごとについて増殖させることができる。例えば、操作された産生宿主の生成物及び副産物の形成をモニターすることができる。最終生成物及び中間体、及び他の有機化合物は、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)、GC‐MS(ガスクロマトグラフィー‐質量分析)、LC‐MS(液体クロマトグラフィー‐質量分析)又は当該技術分野において周知の常用手順を使用する他の好適な分析法などの方法により分析することができる。また、発酵ブロスにおける生成物の放出は、培養上清を用いても試験することができる。副産物及び残余のグルコースは、例えば、グルコース及びアルコールのための屈折率検出器、並びに有機酸のための紫外線検出器を使用するHPLC(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng. 90:775-779(2005)))、又は当該技術分野において周知の他の好適なアッセイ及び検出法により定量化することができる。また、外来性DNA配列由来の個々の酵素活性又はタンパク質活性は、当該技術分野において周知の方法を使用してアッセイすることもできる。例えば、シクロヘキサノン脱水素酵素の比活性は、文献から適応した比色アッセイを用いて還元的な方向でアッセイすることができる(Durreらの文献(FEMS Microbiol. Rev. 17:251-262(1995));Palosaariらの文献(J. Bacteriol. 170:2971-2976(1988));Welchらの文献(Arch. Biochem. Biophys. 273:309-318(1989)))。このアッセイにおいて、基質2-シクロヘキセノン及びNADHを緩衝溶液中の細胞抽出物に添加して、NADHの酸化を、340nMでの吸光度を規則正しい間隔で読み取ることによって追跡する。1分間あたりの340nMにおける吸光度の減少に関する結果として生じる傾斜を、340nMにおけるNADHのモル吸光係数(6000)及び抽出物のタンパク質濃度とともに使用して、シクロヘキサノン脱水素酵素の比活性を決定することができる。 シクロヘキサノンは、当該技術分野において周知の種々の方法を使用して、培養物中の他の成分から分離することができる。このような分離法には、例えば、抽出手順、並びに連続液体‐液体抽出、浸透気化法、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、及び限外濾過を含む方法を含む。上記の方法のすべては、当該技術分野において周知である。 本明細書に説明される任意の非天然微生物を培養して、本発明の生合成生成物を産生及び/又は分泌させることができる。例えば、シクロヘキサノン産生体は、シクロヘキサノンの生合成産生のために培養することができる。 シクロヘキサノンの産生のために、組換え株は、炭素源及び他の必須栄養素を有する培地において培養される。全体のプロセスの経費を削減するために、発酵槽における嫌気的条件を維持することは大変望ましい。このような条件は、例えば、最初に窒素を培地に散布(sparging)して、それから中隔及び圧着キャップでフラスコを封止することで得ることができる。増殖が嫌気的に観察されない株について、微好気性状態は、限られた通気のための小開口を用いて中隔を穿孔することにより適用することができる。例示的な嫌気的条件は先に説明されており、かつ当該技術分野において周知である。例示的な好気性状態及び嫌気性状態は、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願シリアル番号第11/891,602号に説明されている。本明細書に開示されるように、発酵は、バッチ、供給バッチ又は連続様式で実施することができる。 所望の場合、培地のpHは、所望のpH、特に、所望のpHに培地を維持するために必要なNaOH若しくは他の塩基などの塩基又は酸の添加によるほぼ7のpHなどの中性のpHに維持することができる。増殖速度は、分光光度計(600nm)を使用する光学密度を、及び経時的に炭素源枯渇をモニターすることによるグルコース取り込み速度を測定することにより決定することができる。 増殖培地には、例えば、非天然微生物に炭素源を供給することのできる任意の炭水化物源を含むことができる。このような源には、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、及びデンプンなどの糖を含む。炭水化物の他の源には例えば、再生可能原料及びバイオマスを含む。本発明の方法における供給原料として使用することのできるバイオマスの例証的な種類には、セルロースバイオマス、ヘミセルロースバイオマス、及びリグニン原料又は原料部分を含む。このようなバイオマス原料は、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース及びデンプンなどの炭素源として有用な炭水化物基質を含む。本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、先に例証されたもの以外の再生可能原料及びバイオマスも、シクロヘキサノンの産生のための本発明の微生物を培養するために使用することができることを理解するであろう。 先に例証されたものなどの再生可能原料に加え、本発明のシクロヘキサノン微生物は、その炭素源として合成ガスにおける増殖のために修飾することもできる。この具体的な実施態様において、1以上のタンパク質又は酵素は、シクロヘキサノン産生生物において発現し、合成ガス又は他の気体の炭素源の利用のための代謝経路を提供する。 合成ガス(syngas)または産生体ガスとしても公知の合成ガス(synthesis gas)は、農業作物及び残渣を含む、バイオマス材料などの石炭の気化の及び炭素原性材料の主要生成物である。合成ガスは、H2及びCOから主としてなる混合物であり、石炭、石炭油、天然ガス、バイオマス、及び廃棄物性有機物質を含むがこれらに限定されない任意の有機原料の気化から得ることができる。気化は一般的に、高い燃料対酸素比の下で実施される。大部分はH2及びCOであるが、合成ガスはまた、より少量のCO2及び他の気体を含むことができる。したがって、合成ガスは、CO及び追加的にはCO2などの気体性炭素の対費用効果の高い原料を提供する。 Wood‐Ljungdahl経路は、CO及びH2からアセチル-CoA及びアセタートなどの他の生成物への転換を触媒する。また、CO及び合成ガスを利用することのできる生物は一般的に、Wood‐Ljungdahl経路によって包含される同じ基礎セットの酵素及び形質転換を通じて、CO2及びCO2/H2混合物を利用する能力を有する。CO2からアセタートへの微生物によるH2依存性転換は長く認識されており、後に、COがまた同じ生物によって使用することができ、かつ同じ経路が関与することが明らかとなった。多くのアセトゲンは、CO2の存在下で増殖することが示されており、水素が必要な還元当量を供給するために存在する限り、アセタートなどの化合物を生じることが示されている(例えば、Drake「酢酸産生(Acetogenesis)」(pp. 3-60 Chapman and Hall, New York, (1994))参照)。このことは、下記式によって要約することができる: 2 CO2 + 4 H2 + n ADP + n Pi → CH3COOH + 2 H2O + n ATPそれゆえ、Wood‐Ljungdahl経路を有する非天然微生物は、CO2とH2の混合物を同様に、アセチル-CoA及び他の所望の生成物の生成のために利用することができる。 Wood‐Ljungdahl経路は、当該技術分野で周知であり、2つの分岐:(1)メチル分岐及び(2)カルボニル分岐に分離することのできる12の反応からなる。メチル分岐は、合成ガスをメチル-テトラヒドロ葉酸(メチル-THF)に転換するのに対し、カルボニル分岐は、メチル-THFをアセチル-CoAに転換する。メチル分岐における反応は、以下の酵素又はタンパク質によって順に触媒される:フェレドキシン酸化還元酵素、ギ酸脱水素酵素、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸脱水素酵素、及びメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素。カルボニル分岐における反応は、以下の酵素又はタンパク質によって順に触媒される:メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質ンメチルトランスフェラーゼ(例えば、AcsE)、コリノイド鉄-硫黄タンパク質、ニッケル-タンパク質集合タンパク質(例えば、AcsF)、フェレドキシン、アセチル-CoAシンターゼ、一酸化炭素脱水素酵素、及びニッケル-タンパク質集合タンパク質(例えば、CooC)。十分な数のコード核酸を導入して、シクロヘキサノン経路を生じるために本明細書に提供された教示及びガイダンスに従い、当業者は、同じ操作設計がまた、宿主生物に不在のWood‐Ljungdahl酵素又はタンパク質をコードする少なくとも核酸を導入することに関して実施することができることを理解するであろう。それゆえ、修飾された生物が、完全なWood‐Ljungdahl経路を含むような、1つ以上のコード核酸の本発明の微生物への導入は、合成ガス利用能を与えるであろう。 加えて、また、一酸化炭素脱水素酵素及び/又はヒドロゲナーゼ活性と共役した還元的(逆向きの)トリカルボン酸回路は、CO、CO2、及び/又はH2からアセチル-CoA及びアセタートなどの他の生成物への転換に使用することができる。還元的TCA経路を介して炭素を固定することのできる生物は、1つ以上の以下の酵素を利用することができる:ATPシトラート-リアーゼ、シトラートリアーゼ、アコニターゼ、イソシトラート脱水素酵素、アルファ-ケトグルタラート:フェレドキシン酸化還元酵素、スクシニル-CoAシンテターゼ、スクシニル-CoAトランスフェラーゼ、フマラート還元酵素、フマラーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、NAD(P)H:フェレドキシン酸化還元酵素、一酸化炭素脱水素酵素、及びヒドロゲナーゼ。具体的には、一酸化炭素脱水素酵素及びヒドロゲナーゼによるCO及び/又はH2から抽出される還元当量を利用して、アセチル-CoA又はアセタートへの還元的TCA回路を介してCO2を固定する。アセタートは、アセチル-CoAトランスフェラーゼ、アセタートキナーゼ/ホスホトランスアセチラーゼ、及びアセチル-CoAシンテターゼなどの酵素によってアセチル-CoAに転換することができる。アセチル-CoAは、ピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素、及び糖新生の酵素によって、シクロヘキサノオン前駆体、グリセルアルデヒド-3-リン酸、ホスホエノールピルビン酸、及びピルビン酸に転換することができる。十分な数のコード核酸を導入して、シクロヘキサノン経路を生じるための、本明細書に提供される教示及びガイダンスに従い、当業者は、同じ操作設計がまた、宿主生物に不在の還元的TCA経路酵素又はタンパク質をコードする少なくとも核酸を導入することに関して実施することができることを理解するであろう。それゆえ、修飾された生物が完全な還元的TCA経路を含むよう、1つ以上のコード核酸を本発明の微生物に導入することは、合成ガス利用能を与えるであろう。 したがって、本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、炭水化物などの炭素源において増殖する場合に本発明の生合成された化合物を分泌する非天然微生物を作出することができることを理解するであろう。このような化合物には、例えば、シクロヘキサノン、及びシクロヘキサノン経路の任意の中間代謝物を含む。必要とされることのすべては、1以上の必要とされる酵素活性又はタンパク質活性を操作して、例えば、シクロヘキサノン生合成経路の一部若しくは全部の包含を含む、所望の化合物又は中間体の生合成を達成することである。したがって、本発明は、炭水化物又は他の炭素源において増殖する場合にシクロヘキサノンを産生及び/又は分泌する非天然微生物を、並びに炭水化物又は他の炭素源において増殖する場合にシクロヘキサノン経路に示される任意の中間代謝物を産生及び/又は分泌する非天然微生物を提供する。本発明のシクロヘキサノン産生微生物は、任意の上記の中間体から合成を開始することができる。 本発明の非天然微生物は、本明細書に例証される当該技術分野において周知の方法を使用して、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量のシクロヘキサノン経路酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を外来的に発現するよう構築される。本発明の微生物は、シクロヘキサノンを産生するのに十分な条件下で培養されることが理解される。本明細書に提供される教示及びガイダンスに従い、本発明の非天然微生物は、約0.1〜200mM以上の細胞内濃度を結果として生じるシクロヘキサノンの生合成を達成することができる。一般的に、シクロヘキサノンの細胞内濃度は、約3〜200mM、特定には約10〜175mM、及びより特定には約50mM、75mM、100mM、125mM、又はそれより多くを含む約50〜150mMである。これらの例示的な範囲の各々の間の及び該各々を上回る細胞内濃度も、本発明の非天然微生物から達成することができる。 いくつかの実施態様において、培養条件には、嫌気性の又は実質的に嫌気性の増殖条件又は維持条件を含む。例示的な嫌気的条件は既に説明されており、当該技術分野において周知である。発酵プロセスのための例示的な嫌気的条件は本明細書に説明されており、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願シリアル番号第11/891,602号に説明されている。任意のこれらの条件は、非天然微生物と共に、並びに当該技術分野において周知の他の嫌気的条件と共に、採用することができる。このような嫌気的条件の下で、シクロヘキサノン産生体は、5〜10mM以上の細胞内濃度で、並びに本明細書に例証される他のすべての濃度で、シクロヘキサノンを合成することができる。先の説明が細胞内濃度に関する場合であっても、シクロヘキサノン産生性微生物は、細胞内にシクロヘキサノンを産生することができ、及び/又は培地中に生成物を分泌することができることは理解される。 培養条件には、例えば、液体培養手順並びに発酵手順及び他の大量培養手順を含むことができる。本明細書に説明されるように、本発明の生合成生成物の特に有用な収量は、嫌気性の若しくは実質的に嫌気性の培養条件の下で得ることができる。 本明細書に説明されるように、シクロヘキサノンの生合成を達成するための1つの例示的な増殖条件には、嫌気性の培養条件又は発酵条件を含む。ある種の実施態様において、本発明の非天然微生物は、嫌気性の若しくは実質的に嫌気性の条件下で持続することができ、培養することができ、又は発酵することができる。簡潔にいうと、嫌気性条件とは、酸素のない環境をいう。実質的に嫌気性の条件には、例えば、培地中の溶存酸素濃度が飽和の0〜10%にとどまるような培養、バッチ発酵又は連続発酵を含む。また、実質的に嫌気性の条件には、1%未満の酸素の雰囲気で維持される密封チャンバー内での液体培地中での又は固体寒天上での増殖細胞若しくは静止細胞も含む。酸素のパーセントは、例えば、N2/CO2混合物又は他の好適な非酸素ガス(gas)又は非酸素ガス(gases)を該培養物に散布することにより維持することができる。 本明細書に説明される培養条件は、シクロヘキサノンの製造のために規模拡大することができ、連続増殖することができる。例示的な増殖手順には、例えば、流加バッチ発酵及びバッチ分離;流加バッチ発酵及び連続分離、又は連続発酵及び連続分離を含む。これらのプロセスの全ては、当該技術分野において周知である。発酵手順は、シクロヘキサノンの商業的な量の生合成産生に特に有用である。一般的に、及び非連続培養手順を用いるものとして、シクロヘキサノンの連続産生及び/又はほぼ連続した産生は、対数期の増殖を維持及び/又はほぼ維持するのに十分な栄養素及び培地における本発明の非天然シクロヘキサノン産生性生物を培養することを含む。このような条件下での連続培養には、例えば、1、2、3、4、5、6若しくは7日又はそれより長い日数を含むことができる。加えて、連続培養には、1、2、3、4若しくは5週又はそれより長い週数でかつ最長数ヵ月を含むことができる。あるいは、本発明の生物は、特定の適用に好適な場合、何時間も培養することができる。連続培養条件及び/又はほぼ連続した培養の条件には、これらの例示的な期間の間の時間的間隔をすべて含むこともできることは理解されるべきである。本発明の微生物を培養する時間は、所望の目的のために十分な量の生成物を産生するのに十分な期間に関することが更に理解される。 発酵手順は、当該技術分野において周知である。簡潔にいうと、シクロヘキサノンの生合成産生のための発酵は、例えば、流加バッチ発酵及びバッチ分離;流加バッチ発酵及び連続分離、又は連続発酵及び連続分離において利用することができる。バッチ発酵手順及び連続発酵手順の例は、当該技術分野において周知である。 本明細書に開示された培養条件及び発酵条件に加えて、シクロヘキサノンの生合成を達成するための増殖条件には、浸透圧保護剤の培養条件への追加を含むことができる。ある実施態様において、本発明の非天然微生物は、浸透圧保護剤の存在下で本明細書に説明されるように、持続、培養、又は発酵することができる。簡潔には、浸透圧保護剤とは、浸透圧調節物質として作用しかつ本明細書に説明される微生物が浸透圧ストレスを生き残るのを助ける化合物をいう。浸透圧保護剤には、ベタイン、アミノ酸、及び糖トレハロースを含むが、これらに限定されない。このようなものの制限のない例は、グリシンベタイン、プラリンベタイン、ジメチルテチン、ジメチルスルホニオプロプリオナート(dimethylslfonioproprionate)、3-ジメチルスルホニオ-2-メチルプロプリオナート、ピペコン酸、ジメチルスルホニオアセタート、コリン、L-カルニチン、及びエクトインである。一態様において、浸透圧保護剤は、グリシンベタインである。本明細書に説明される微生物を浸透圧ストレスから保護するのに好適な浸透圧保護剤の量及び種類が、使用される微生物によるであろうことは当業者に理解される。培養条件における浸透圧保護剤の量は、例えば、約0.1mM以下、約0.5mM以下、約1.0mM以下、約1.5mM以下、約2.0mM以下、約2.5mM以下、約3.0mM以下、約5.0mM以下、約7.0mM以下、約10mM以下、約50mM以下、約100mM以下、又は約500mM以下であり得る。 相当量のシクロヘキサノンの連続産生のための本発明のシクロヘキサノン産生体を使用する先の発酵手順に加え、該シクロヘキサノン産生体は、例えば、所望の場合、化学合成手順に同時に供して、該生成物を他の化合物へと転換することもできるか、又は該生成物を該発酵培養物から分離し、順次化学的転換に供して該生成物を他の化合物へと転換することもできる。 定向進化は、酵素の特性を改良及び/又は変化させるために具体的な遺伝子を標的とした突然変異の導入を包含する強力なアプローチである。改良及び/又は変化した酵素は、多くの酵素バリアントの自動スクリーニングを可能にする高感度高処理量スクリーニングアッセイの開発及び実施を通じて同定することができる(例えば、104超)。反復ラウンドの突然変異誘発及びスクリーニングを典型的に実施して、最適化した特性を有する酵素を生じる。また、突然変異誘発のための遺伝子の領域を同定するのに役立つことのできる計算アルゴリズムも開発されており、作製及びスクリーニングするのに必要な酵素バリアントの数を有意に減少させることができる。 分岐バリアントライブラリーを作製するのに有効であるよう数多くの定向進化技術が開発されており(総説については、Hibbertらの文献(Biomol.Eng 22:11-19(2005));Huismanらの文献「医薬及びバイオ産業における生体触媒(Biocatalysis in the pharmaceutical and biotechnology industries)」(p. 717-742, 2007. R. N. Patel(編),CRC Press); Ottenらの文献(Biomol.Eng 22:1-9(2005));並びに Senらの文献(Appl Biochem. Biotechnol 143:212-223(2007))を参照されたい。)、これらの方法は、多くの酵素クラスを通じて幅広い範囲の特性の改良に成功裏に適用されている。 定向進化技術によって改良及び/又は変化した酵素特徴には、例えば、選択性/特異性(非天然基質の転換のため);温度安定性(頑強な高温処理のため);pH安定性(より低いpH条件又はより高いpH条件下でのバイオプロセシングのため);基質又は生成物の耐性(それにより高い生成物力価を達成することができる。);結合(Km)(非天然基質を含むよう基質結合を拡張する。);阻害(Ki)(生成物、基質、又は鍵となる中間体による阻害を除去する。);活性(kcat)(所望の流れを達成するよう酵素反応速度を増大させる。);発現レベル(タンパク質収量及び全体的な経路の流れを増大させる。);酸素安定性(好気性条件下での空気感受性酵素の操作のため);並びに嫌気性活性(酸素の不在下での好気性酵素の操作のため)を含む。 以下の例示的な方法は、具体的な酵素の所望の特性を標的とするための遺伝子の突然変異誘発及び多様化のために開発されている。任意のこれらを使用して、デカルボキシラーゼ酵素の活性を変化/最適化することができる。 EpPCR(Pritchardらの文献(J Theor. Biol 234:497-509(2005))は、Mn2+イオンの添加による、dNTP濃度を偏向させることによる、又は他の条件的変動による、PCR反応におけるDNAポリメラーゼの忠実度を低下させることによって、ランダム点突然変異を導入する。関心対象の標的遺伝子に突然変異誘発を限局するための5工程クローニングプロセスは、下記を包含する:1)関心対象の遺伝子のエラープローンPCR増幅;2)制限酵素消化;3)所望のDNA断片のゲル精製;4)ベクターへの連結反応;5)好適な宿主への遺伝子バリアントの形質転換及び改良された性能のためのライブラリーのスクリーニング。本方法は、単一の遺伝子における複数の突然変異を同時に作製することができ、該方法は有用であり得る。多数の突然変異体をEpPCRによって作製することができ、それにより高処理量スクリーニングアッセイ又は選択法(特にロボット工学を使用する。)は、望ましい特徴を有する突然変異体を同定するのに有用である。 エラープローンローリングサークル増幅(Error-prone Rolling Circle Amplification)(epRCA)(Fujiiらの文献(Nucleic Acids Res 32:e145(2004));およびFujiiらの文献(Nat. Protoc. 1:2493-2497(2006)))は、epPCRと同じ要素の多くを有するが、例外として、環状プラスミド全体をテンプレートとして使用し、最後の2ヌクレオチドにおけるエキソヌクレアーゼ耐性チオリン酸連鎖を有するランダムな6マーを使用してプラスミドを増幅した後に細胞への形質転換を実施して、細胞の中でプラスミドを縦列反復配列で再環状化させる。Mn2+濃度を調整することは、突然変異率を幾分変動させることができる。この技術は、単純なエラープローン単一工程法を使用して、3〜4突然変異/kbpでプラスミドの完全なコピーを作製する。制限酵素消化又は特異的プライマーは必要とされない。加えて、本方法は典型的には、キットとして入手可能である。 DNA又はファミリーシャッフリング(Stemmer, W. P.の文献(Proc Natl Acad Sci U S. A. 91:10747-10751(1994));及びStemmer, W. P.の文献(Nature 370:389-391(1994)))は典型的には、DNAポリメラーゼの存在下でアニーリング及び伸長の周期によって再構築されるランダム断片のプールを生じて、キメラ遺伝子のライブラリーを作製するために、Dnase I又はEndo Vなどのヌクレアーゼを用いた2以上のバリアント遺伝子の消化を包含する。断片は互いに刺激し、かつ、組換えは、1つのコピーが別のコピーを刺激する場合に生じる(テンプレート切り替え)。この方法は、1kbp超のDNA配列を用いて使用することができる。断片の再構築によって作製される突然変異性の組換え体に加え、本方法は、エラープローンPCRと類似の速度で伸長工程において点突然変異を導入する。該方法を使用して、抗原性を与え得る有害なランダム中立突然変異を除去することができる。 付着伸長(Staggered Extension)(StEP)(Zhaoらの文献(Nat. Biotechnol 16:258-261(1998)))は、テンプレート刺激後に、変性及び非常に短い時間のアニーリング/伸長(5秒程度短い。)を用いる反復した周期の2工程PCRを必要とする。増殖する断片は、異なるテンプレートとアニーリングし、かつさらに伸長し、全長の配列を作製するまで反復される。テンプレート切り替えとは、結果として生じるほとんどの断片が複数の親を有することを意味する。低忠実度のポリメラーゼの組み合わせ(Taq及びMutazyme)は、反対の変異性のスペクトルのため、エラープローン偏向を低下させる。 ランダム刺激組換え(Random Priming Recombination)(RPR)において、ランダム配列プライマーを使用して、テンプレートの異なるセグメントと相補的な多くの短いDNA断片を作製する(Shaoらの文献(Nucleic Acids Res 26:681-683(1998)))。epPCRを介する塩基誤組換え及び誤刺激は、点突然変異を与える。短いDNA断片は、相同性に基づいて互いに刺激し、反復した温度周期によって組換えされ、全長へと再構築される。この工程の前のテンプレートの除去は、低い親組換え体を保証する。この方法は、ほとんどの他の方法と同様に、複数の反復にわたって実施され、異なる特性を進化させることができる。本技術は、配列の偏りを回避し、遺伝子の長さとは無関係であり、適用にとって親DNAを極めてほとんど必要としない。 ヘテロ二本鎖組換えにおいて、直鎖状プラスミドDNAを使用して、ミスマッチ修復によって修復されるヘテロ二本鎖を形成する(Volkovらの文献(Nucleic Acids Res 27:e18(1999));並びにVolkovらの文献(Methods Enzymol. 328:456-463(2000)))。ミスマッチ修復工程は、少なくとも幾分突然変異誘発性である。ヘテロ二本鎖は、直鎖状ホモ二本鎖よりも効率的に形質転換する。この方法は、大きな遺伝子及び、オペロン全体にとって好適である。 一過性テンプレートにおけるランダムキメラ形成(Random Chimeragenesis on Transient Templates)(RACHITT)(Cocoらの文献(Nat. Biotechnol 19:354-359(2001)))は、Dnase I断片化と一本鎖DNAのサイズ分画とを採用する。相同的断片は、ポリメラーゼの不在下で、相補的一本鎖DNA足場とハイブリッド形成する。任意の重複するハイブリッド形成していない断片の末端はエキソヌクレアーゼによって刈り込まれる。断片間の間隙は充填された後、連結して、(Uを含んで増幅を妨げる)足場とハイブリッド形成した全長の多様な鎖のプールを与える。次に、足場を破壊し、PCR増幅によって、多様な鎖と相補的な新たな鎖によって置き換える。該方法は、唯一の親に由来する1つの鎖(足場)を包含するのに対し、刺激する断片は、他の遺伝子に由来し;親足場はこれに対して選択される。従って、親断片との再アニーリングは生じない。重複する断片は、エキソヌクレアーゼを用いて刈り込まれる。さもなくば、これは、DNAシャッフリング及びStEPと概念的に類似している。それゆえ、同胞がなく、不活性物がほとんどなく、かつシャッフリングされていない親がないべきである。本技術は、ほとんどないか又は0の遺伝子が作製され、かつはるかに多い乗換えが、標準的なDNAシャッフリングに対して結果として生じることができるという利点を有する。 切断型テンプレートに関する組換え伸長(Recombined Extension on Truncated templates)(RETT)は、テンプレートのプールとして使用される一方向性一本鎖DNA断片の存在下でプライマーから一方向性に増殖する鎖のテンプレート切り替えを必要とする(Leeらの文献(J. Molec. Catalysis 26:119-129(2003)))。DNAエンドヌクレアーゼは使用しない。一方向性一本鎖DNAは、ランダムプライマーを用いるDNAポリメラーゼ、又はエキソヌクレアーゼを用いる連続欠失によって作製される。一方向性一本鎖DNAは、唯一のテンプレートであり、プライマーではない。ランダムプライミング及びエキソヌクレアーゼは、DNAシャッフリング/RACHITTの酵素切断に当てはまるものとして配列の偏りを導入しない。RETTは、非常に短い伸長の替わりに通常のPCR条件を使用するので、StEPよりも最適化するのが容易であることができる。組換えは、PCR工程の構成要素として生じ、直接的なシャッフリングはない。本方法はまた、休止の欠如により、StEPよりもランダムであることができる。 縮重オリゴヌクレオチド遺伝子シャッフリング(Degenerate Oligonucleotide Gene Shuffling)(DOGS)において、縮重プライマーを使用して、分子間の組換え(Bergquistらの文献(Methods Mol. Biol 352:191-204(2007)));Bergquistらの文献(Biomol. Eng 22:63-72(2005));Gibbsらの文献(Gene 271:13-20(2001))を制御する。これを使用して、DNAシャッフリングなどの他の方法の傾向を制御して、親遺伝子を再生することができる。この方法は、選択された遺伝子セグメントのランダム突然変異誘発(epPCR)と組み合わせることができる。該方法は、親配列の再編成を遮断する良好な方法であり得る。エンドヌクレアーゼは必要ではない。作製されたセグメントの入力された濃度を調整することによって、所望の骨格に対して偏向させることができる。この方法によって、制限酵素消化なしで関連性のない親からのDNAシャッフリングが可能となり、ランダム突然変異誘発法の選択が可能となる。 ハイブリッド酵素の作製のための増加性切断(Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(ITCHY)は、関心対象の遺伝子又は遺伝子断片の1塩基対の欠失をともなうコンビナトリアルライブラリーを作製する(Ostermeierらの文献(Proc Natl Acad Sci U S.A. 96:3562-3567(1999));Ostermeierらの文献(Nat. Biotechnol. 17:1205-1209(1999)))。切断は、2つの異なる遺伝子のピースに関して反対方向で導入される。これらを互いに連結し、融合をクローニングする。本技術は、2つの親遺伝子間の相同性を必要としない。ITCHYがDNAシャッフリングと組み合わされる場合、システムはSCRATCHYと呼ばれる(下記参照)。両方の主要な利点は、親遺伝子間の相同性についての必要性がなく;例えば、大腸菌とヒト遺伝子の間の機能的融合をITCHYを介して作製する。ITCHYライブラリーを作製する場合、すべての起こり得る乗換えを捕捉する。 ハイブリッド酵素の作製のためのチオ‐増加性切断(Thio-Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(THIO‐ITCHY)は、ITCHYとほぼ同じであるが、例外は、ホスホチオアートdNTPを使用して切断を生じることである(Lutzらの文献(Nucleic Acids Res 29:E16(2001)))。ITCHYに対して、THIO‐ITCHYは、最適化するのがより簡単であり得、より高い再現性及び調整性を提供する。 DNAシャッフリングと組み合わせたSCRATCHY‐ITCHYは、DNAシャッフリング及びITCHYの組み合わせであり;それゆえ、複数の乗換えを可能にする(Lutzらの文献(Proc Natl Acad Sci U S.A. 98:11248-11253(2001)))。SCRATCHYは、ITCHY及びDNAシャッフリングの最良の特色を組み合わせる。計算推定は、最適化において使用することができる。SCRATCHYは、配列同一性が80%を下回る場合、DNAシャッフリングよりも有効である。 ランダム浮動突然変異誘発(Random Drift Mutagenesis)(RNDM)において、突然変異は、epPCR後の、使用可能な活性を保持するものについてのスクリーニング/選択を介して実施される(Bergquistらの文献(Biomol. Eng 22:63-72(2005)))。次に、これらをDOGSにおいて使用して、複数の活性のある突然変異体間の、又は活性のある突然変異といくつかの他の望ましい親の間の融合を有する組換え体を作製する。中立変異の単離を促進するよう設計され;その目的は、この活性が元の遺伝子におけるよりも高いか又は低いかどうかを、保持された触媒活性についてスクリーニングすることである。RNDMは、スクリーニングが、背景を上回る活性を検出することができる場合、高処理量アッセイにおいて使用可能である。RNDMは、多様性を生じる上で、DOGSに対するフロントエンドとして使用されてきた。該技術は、シャッフリング又は他のその後の工程の前に活性についての必要条件を課し;中立浮動ライブラリーは、より小さなライブラリーから活性におけるより高い/より迅速な改良を結果として生じることが示されている。epPCRを用いて公開されているが、このことは他の大規模突然変異誘発法に適用され得る。 配列飽和突然変異誘発(Sequence Saturation Mutagenesis)(SeSaM)は、1)ホスホチオアートヌクレオチドのランダム組み込み及び切断を用いてランダム長断片のプールを生じるランダム突然変異誘発法であり;このプールをテンプレートとして使用して、2)イノシンなどの「普編的な」塩基の存在下で伸長し;3)イノシン含有相補物(complement)の複製は、ランダムな塩基組み込み及び結果として突然変異誘発を与える(Wongらの文献(Biotechnol J. 3:74-82(2008));Wongらの文献(Nucleic Acids Res 32:e26(2004));Wongらの文献(Anal. Bioichem. 341:187-189(2005)))。本技術を用いて、単純な方法を使用して2〜3日以内で突然変異体の大きなライブラリーを作製することが可能であり得る。このことは、DNAポリメラーゼの突然変異性の偏りと比較して非常に非定向性である。このアプローチの差は、本技術をepPCRと相補的(又は代替的)にする。 合成シャッフリングにおいて、重複するオリゴヌクレオチドを設計して、「標的におけるすべての遺伝的多様性」をコードし、シャッフリングされた後代について非常に高い多様性を可能にする(Nessらの文献(Nat. Biotechnol 20:1251-1255(2002)))。本技術において、シャッフリングされるべき断片を設計することができる。このことは、結果として生じる後代の多様性を増大させることを助ける。配列/コドンの偏りを設計して、より密接に関連する配列にアプローチする速度でより離れて関連する配列を作製することができ、テンプレート遺伝子を物理的に有する必要がない。 ヌクレオチド交換及び切除技術(Nucleotide Exchange and Excision Technology)NexTは、dUTPの組み込みに次ぐウラシルDNAグリコシラーゼ及びその後のピペリジンによる処理の組み合わせを活用して、エンドポイントDNA断片化を実施する(Mullerらの文献(Nucleic Acids Res 33:e117(2005)))。遺伝子は、プルーフリーディングポリメラーゼによる内部PCRプライマー伸長を用いて再構築する。シャッフリングのための大きさは、変動するdUPT::dTTP比を用いて直接的に制御可能である。このことは、ウラシルの組み込み及び切断のための単純な方法を用いたエンドポイント反応である。本方法を用いて、8-オキソ-グアニンなどの他のヌクレオチドアナログを使用することができる。加えて、該技術は、非常に短い断片(86bp)を用いて十分作用し、低いエラー率を有する。DNAの化学的切断は、非常に少数のシャッフリングされていないクローンを生じさせる。 配列相同性非依存性タンパク質組換え(Sequence Homology-Independent Protein Recombination)(SHIPREC)において、リンカーを使用して、2つの遠隔に/関連していない遺伝子間の融合を促進させ;ヌクレアーゼ処理を使用して、2つの間のある範囲のキメラを生じる。結果は、これらの融合の単一の乗換えライブラリーである(Sieberらの文献(Nat. Biotechnol 19:456-460(2001)))。このことは、限定された種類のシャッフリングを生じ;突然変異誘発は別個のプロセスである。この技術は、2つの関連していない親遺伝子の各々の画分を変動させながら、キメラのライブラリーを作製することができる。相同性は必要ではない。SHIPRECを、哺乳類CP450のN-末端領域と融合した細菌CP450のヘム結合ドメインを用いて試験し;このことは、より可溶性の酵素における哺乳類活性を生じた。 遺伝子部位飽和突然変異誘発(Gene Site Saturation Mutagenesis)(GSSM)において、出発材料は、インサートを有するスーパーコイル二本鎖DNAプラスミドであり、2つのプライマーは、突然変異に所望の部位で縮重する(Krezらの文献(Methods Enzymol. 388:3-11(2004)))。プライマーは、関心対象の突然変異を招来し、DNAの反対鎖において同じ配列とアニーリングし;プライマーの中間部における突然変異及び各側に隣接する〜20ヌクレオチドの正確な配列を生じる。プライマーの配列は、NNN又はNNK(コード化)及びMNN(非コード化)である(N=4種すべて、K=G,T、M=A,C)。伸長後、DpnIを使用して、ダム‐メチル化した(dam-methylated)DNAを消化し、野生型テンプレートを除去する。本技術は、所与の座(すなわち1つのコドン)におけるすべての起こり得るアミノ酸置換を探索する。該技術は、ノンセンスコドンを有さない1つの部位におけるすべての起こり得る置換の発生を容易にし、たいていの起こり得る対立遺伝子の等しい又はほぼ等しい提示を容易にする。標的酵素の構造、機序、又はドメインに関する先行知識を必要としない。シャッフリング又は遺伝子再構築後の場合、本技術は、単一部位の上方突然変異のすべての起こり得る組み合わせを含む組換え体の多様なライブラリーを作製する。本技術の組み合わせの有用性は、50超の異なる酵素の成功裏の進化について示されており、また、所与の酵素における2つ以上の特性についても示されている。 コンビナトリアルカセット突然変異誘発(Combinatorial Cassette Mutagenesis)(CCM)は、限定された領域を多数の起こり得るアミノ酸配列変更と置き換えるための短いオリゴヌクレオチドカセットの使用を包含する(Reidhaar‐Olsonらの文献(Methods Enzymol. 208:564-586(1991));及びRedhaar‐Olsonらの文献(Science 241:53-57(1998)))。2つの部位又は3つの部位での同時置換は、本技術を用いて可能である。加えて、該方法は、限定された範囲の部位で起こり得る配列変化の大きな多重度を試験する。該方法は、ラムダリプレッサーDNA結合ドメインの情報内容を探索するために使用されてきた。 コンビナトリアル多重カセット突然変異誘発(Combinatorial Multiple Cassette Mutagenesis)(CMCM)は、CCMと本質的に同様であるが、例外は、より大きなプログラムの一部として採用されることである:1)高い突然変異率でのepPCRの使用により、2)ホットスポット及びホット領域を同定した後、3)CMCMによる伸長で、タンパク質配列空間の規定された領域をカバーする(Reetzらの文献 Angew. Chem. Int. Ed Engl. 40:3589-3591(2001)))。CCMを使用するので、本方法は、標的領域にわたるすべての起こり得る変更を実質的に試験することができる。ランダム突然変異及びシャッフリングされた遺伝子を作製するための方法とともに使用する場合、多様なシャッフリングされたタンパク質を作製する優れた手段を提供する。このアプローチは、酵素のエナンチオ選択性を51倍増大させる点で成功していた。 ミューテーター株技術において、条件的tsミューテータープラスミドは、ランダムな20〜4000倍の増加と選択の間の天然の突然変異頻度とを可能にし、選択が必要とされない場合、有害な突然変異の蓄積を遮断させる(Selifonovaらの文献(Appl Environ Microbiol 67:3645-3649(2001)))。この技術は、DNAポリメラーゼIIIの突然変異体サブユニットをコードする、プラスミド由来のmutD5遺伝子に基づいている。このサブユニットは、内在性DNAポリメラーゼIIIに結合し、該プラスミドを有する任意の株におけるポリメラーゼIIIのプルーフリーディング能を損なう。広範な範囲の塩基置換及びフレームシフト突然変異が生じる。有効な使用のために、ミューテータープラスミドは、所望の表現型に一旦達成すると、除去されるべきであり;このことは、41℃でのプラスミド治療を可能にする複製の温度感受性起源を通じて達成される。ミューテーター株が、かなりの時間探索されたことは留意すべきである(例えば、Winter及び共同研究者(J. Mol. Biol, 260, 359-3680(1996))を参照されたい。)。本技術において、非常に高い自発性の突然変異率が観察される。条件的特性は、所望されていない背景突然変異を最小化する。本技術は、突然変異誘発率を亢進し、かつ所望の表現型をより迅速に達成するために、適応進化と組み合わされ得る。 「探索型突然変異誘発(Look-Through Mutagenesis)(LTM)は、選択されたアミノ酸の組み合わせ突然変異を評価及び最適化する多次元突然変異誘発法である」(Rajpalらの文献(Proc Natl Acad Sci U S. A 102:8466-8471(2005)))。起こり得るすべてのアミノ酸変化を有する各部位を飽和させるよりもむしろ、9の1セットを選択して、アミノ酸R基化学の範囲をカバーする。1部位あたりより少数の変化は、複数の部位をこの種類の突然変異誘発に供する。低いナノモル濃度からピコモル濃度までの抗体に対する結合親和性における800倍超の増加が、この方法を通じて達成された。これは、ランダムな組み合わせの数を最小化する合理的アプローチであり、スクリーニングされるべきクローンの数を著しく減少させることによって、改良された形質を見出す能力を高めるべきである。このことは、抗体工学に適用され、具体的には、結合親和性を増大させ及び/又は解離を低下させる。該技術は、スクリーニング又は選択のいずれかと組み合わせることができる。 遺伝子再構築は、複数の遺伝子に一度に、又は単一の遺伝子のキメラ(複数の突然変異)の大きなライブラリーを作製することに適用することのできるDNAシャッフリング法である(www.verenium.com/Pages/Technology/EnzymeTech/TechEnzyTGR.htmlにおけるワールドワイドウェブ)。典型的には本技術を、所望の改良のために表される配列空間を質問するために、超高処理量スクリーニングとの併用で使用する。本技術は、相同性とは無関係の複数の遺伝子組換えを可能にする。乗換え事象の実際の数及び位置は、生物情報学的分析を介して設計された断片を使用してあらかじめ決定することができる。本技術は、非常に高レベルの多様性をもたらし、親遺伝子の再形成を本質的に有さず、低レベルの不活性遺伝子を有する。GSSMと組み合わせると、大きな範囲の突然変異を、改良された活性について試験することができる。該方法は、DNAシャッフリングの「配合」及び「微調整」を可能にし、例えば、コドンの使用は最適化することができる。 インシリコタンパク質設計自動化PDAは、特定の倍数を有する構造的に規定されたタンパク質骨格を固定し、かつ倍数及び全体的なタンパク質エネルギー性を安定化させることのできるアミノ酸置換のための配列空間を検索する、最適化アルゴリズムである(Hayesらの文献(Proc Natl Acad Sci U.S.A. 99:15926-15931(2002)))。この技術は、タンパク質アミノ酸変動に対する構造的耐性を検索するために、インシリコでの構造ベースのエントロピー予測を可能にする。統計的メカニクスを適用して、各位置におけるカップリング相互作用を算出し‐アミノ酸置換に対する構造的耐性は、カップリングの尺度である。究極的には、本技術は、構造特徴の統合性を維持しながら、タンパク質特性の所望の修飾を生じるよう設計される。該方法は、非常に多数の起こり得る配列バリアント(1050)のフィルタリングを計算上評価し可能にする。試験するための配列バリアントの選択は、最も好ましい熱力学に基づいた予測と関連しており、安定性と連関した表面上は唯一の安定性又は特性を、本技術を用いて効果的に扱うことができる。該方法は、いくつかの治療用タンパク質において、特に免疫グロブリンを操作する上で、成功裏に使用されてきた。インシリコの予測は、極端に多数の潜在的なバリアントを試験するのを回避する。既存の3次元構造に基づいた予測は、仮説上の構造に基づいた予測よりも成功しそうである。本技術は、複数の同時突然変異の標的指向化(targeted)スクリーニングを容易に予測及び可能にすることができ、数の指数関数的増加により、純粋に実験的な技術を用いて可能ではないこともある。 反復性飽和突然変異誘発(Iterative Saturation Mutagenesis)(ISM)は、1)構造/機能の知識を使用して、酵素の改良にありがちな部位を選択すること、2)Stratagene QuikChange(又は他の好適な手段)を使用して選択された部位における飽和突然変異誘発、3)所望の特性についてのスクリーニング/選択、4)改良されたクローンを用いて、別の部位及び持続した反復でやり直すことを包含する(Reetzらの文献(Nat. Protoc. 2:891-903(2007));及びReetzらの文献(Angew. Chem. Int. Ed Engl. 45:7745-7751(2006)))。これは、所与の位置における起こり得るすべての置き換えが、スクリーニング/選択についてなされることを保証する立証された方法論である。 突然変異誘発のための上記の任意の方法は、単独で又は任意の組み合わせで使用することができる。加えて、所望の進化方法の任意の1つ又は組み合わせは、適応進化の技術とともに使用することができる。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化することができる。また、モデリングを使用して、経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計することができる(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性のある予測を可能にする。 所望の生成物の生合成を助力する代謝的変更を同定及び設計するための1つの計算方法は、OptKnock計算フレームワークである(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioeng. 84:647-657(2003)))。OptKnockは、標的生成物を過剰産生する遺伝的に安定した微生物を結果として生じる遺伝子欠失戦略を示唆する代謝モデリング及びシミュレーションプログラムである。具体的には、該フレームワークは、所望の生化学物質を細胞増殖の絶対的な副産物となることを余儀なくさせる遺伝的操作を示唆するために、微生物の完全な代謝的及び/又は生化学的ネットワークを検討する。戦略的に配置された遺伝子欠失又は他の機能的遺伝子破壊を通じて、生化学的産生を細胞増殖と連関させることによって、バイオリアクターでの長期間後の該操作された株に課される増殖淘汰圧は、増殖と連関した強制的な生化学的産生の結果として、性能の向上をもたらす。最後に、遺伝子欠失が構築される場合、OptKnockにより選択される遺伝子がゲノムから完全に除去されるはずなので、該設計された株はその野生型状態に復帰するごくわずかな可能性がある。それゆえ、この計算方法論を使用して所望の生成物の生合成をもたらす代替経路を同定することができるか、又は所望の生成物の生合成の更なる最適化のために非天然微生物との関連で使用することができるかのいずれかである。 簡潔にいうと、OptKnockは、細胞代謝をモデル化するための計算方法及びシステムを指すために本明細書において使用される用語である。OptKnockプログラムは、特定の制約を流動バランス分析(FBA)モデルに組み込むモデル及び方法のフレームワークに関する。これらの制約には、例えば、質的な動力学的情報、質的な調節情報、及び/又はDNAマイクロアレイ実験データを含む。また、OptKnockは、例えば、遺伝子の付加又は欠失の存在下で、流動バランスモデルに由来する流動境界を厳しくすること、及びその後代謝ネットワークの性能限界を探査することにより、種々の代謝的課題に対する解も計算する。OptKnock計算フレームワークは、代謝ネットワークの性能限界の有効な問い合わせを可能にするモデル考案の構築を可能にし、その結果としての混合整数線形プログラム課題を解決するための方法を提供する。本明細書においてOptKnockと称される代謝的なモデリング方法及びシミュレーション方法は、例えば、2002年1月10日に出願のU.S. 公報2002/0168654、2002年1月10日に出願の国際特許第PCT/US02/00660号、及び2007年8月10日に出願のU.S. 公報2009/0047719に説明されている。 生成物の生合成産生を助力する代謝的変更を同定及び設計する別の計算方法は、SimPheny(登録商標)と称される代謝モデリング及びシミュレーションシステムである。この計算方法及びシステムは、2002年6月14日に出願のU.S.公報2003/0233218、及び2003年6月13日に出願の国際特許出願第PCT/US03/18838号に説明されている。SimPheny(登録商標)は、インシリコでネットワークモデルを作成し、かつ生物系の化学反応を介する質量、エネルギー又は電荷の流れを模倣して、該系における化学反応の任意の及び全ての起こり得る機能性を含む解空間を規定し、それにより該生物系に許容されるある範囲の活性を測定するために使用することのできるシステムである。本アプローチは、該解空間が、該包含される反応の公知の化学量論などの制約、並びに反応による最大流と関連する反応熱力学制約及び容量制約により規定されるので、制約系モデリングと呼ばれる。これらの制約により規定される空間は、該生物系の、又はその生化学成分の表現型の能力及び挙動を決定するために調べることができる。 生物系は柔軟で、かつ多くの異なる経路で同じ結果に到達することができるので、これらの計算的アプローチは生物学的実体と整合する。生物系は、すべての生体系が対面しなければならない根本的制約により制限された進化的機構により設計される。それゆえ、制約系モデリング戦略は、これら全般的実体を包含する。更に、制約の厳しさを介して更なる制限をネットワークモデルに連続的に課す能力は結果的に、該解空間のサイズの減少を生じ、これにより生理学的性能又は表現型を予測することのできる精度を高める。 本明細書に提供される教示及びガイダンスを考慮すると、当業者は、種々の計算フレームワークを代謝モデリング及びシミュレーションに適用して、宿主微生物の所望の化合物の生合成を設計及び実施することができる。このような代謝モデリング方法及びシミュレーション方法には、例えば、SimPheny(登録商標)及びOptKnockとして先に例証される計算システムを含む。本発明の引例のために、いくつかの方法は、モデリング及びシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークに関して本明細書に説明される。当業者は、OptKnockを当該技術分野において周知の任意のそのような他の代謝モデリング及びシミュレーション計算フレームワークに対して使用する、代謝的変更の同定、設計及び実施の適用法を知っているであろう。 先に説明した方法は、破壊するための1セットの代謝反応を提供する。該セットの範囲内の各反応の除去又は代謝的修飾は結果的に、該生物の増殖相の間の必須生成物として、所望の生成物を生じることができる。該反応は公知であるので、二層性のOptKnock課題への解はまた、該セットの反応内の各反応を触媒する1以上の酵素をコードする関連した遺伝子(gene)又は遺伝子(genes)も提供する。1セットの反応及び各反応に関与する酵素をコードする相応する該反応の遺伝子の同定は、一般的に、自動化されたプロセスであり、該反応と、酵素とコード遺伝子の関係を有する反応データベースとの相関を介して達成される。 一旦同定されると、所望の生成物の産生を達成するために破壊されるはずの該セットの反応は、該セット内の各代謝反応をコードする少なくとも1つの遺伝子の機能的な破壊により標的の細胞又は生物において行う。該反応セットの機能的な破壊を達成する1つの特に有用な手段は、各コード遺伝子の削除によるものである。しかしながら、いくつかの場合において、例えば、プロモーター若しくは調節因子のためのシス結合部位などの調節領域の突然変異、欠失を含む他の遺伝的異常により、又は任意のいくつかの位置でのコード配列の切り詰めにより該反応を破壊することは、有益であり得る。これらの後者の異常は、該遺伝子セットの決して全部ではない欠失を生じ、例えば、生成物の連関の迅速な評価が望まれる場合、又は遺伝的復帰があまり起こりそうにない場合に有用であり得る。 破壊するためのさらなるセットの反応をもたらす、又は所望の生成物の増殖と連関した生合成を含む生合成を結果的に生じることのできる代謝修飾をもたらす先に説明した二層性のOptKnock課題に対する追加的な生産的解を同定するために、整数カットと称される最適化方法を行うことができる。本方法は、先に例証したOptKnock課題を、各反復での整数カットと称される追加的な制約の組み込みで反復して解くことにより進められる。整数カット制約は、解決手順が、生成物の生合成を増殖に強制的に連関させる任意の先行反復において同定されたものと全く同じセットの反応を選択することを効果的に防止する。例えば、既に同定された増殖連関代謝修飾が破壊のための反応1、2及び3を指定する場合、次の制約は、同じ反応が、その後の解において同時に考慮されるのを防止する。整数カット方法は、当該技術分野において周知であり、例えばBurgardらの文献(Biotechnol. Prog. 17:791-797(2001))において説明されているのが認められ得る。代謝モデリング及びシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークと組み合わせた、本明細書に説明されるすべての方法の使用に関して、該方法と同様に、反復的な計算分析の冗長性を低減する整数カット法はまた、例えばSimPheny(登録商標)を含む当該技術分野において周知の他の計算フレームワークと共に適用することもできる。 本明細書に例証される方法は、標的生化学的生成物の産生と、同定された遺伝的変更を有するように操作された細胞又は生物の増殖との必須の連関を含む、所望の生成物を生合成的に産生する細胞及び生物の構築を可能にする。それゆえ、本明細書に説明される計算方法は、OptKnock又はSimPheny(登録商標)から選択されるインシリコ法により同定される代謝修飾の同定及び実施を可能にする。代謝修飾のセットには、例えば、1以上の生合成経路酵素の添加及び/又は例えば遺伝子欠失による破壊を含む1以上の代謝反応の機能的な破壊を含むことができる。 先に論議したように、OptKnock方法論は、長期の増殖選択に供する場合、変異体微生物ネットワークがそれらの計算的に予測された最高増殖の表現型の方へ進化することができるという前提で開発された。換言すれば、該アプローチは、選択圧の下で自己最適化する生物の能力を強化する。OptKnockフレームワークは、ネットワーク化学量論に基づく生化学的産生と細胞増殖の間の連関を余儀なくする遺伝子欠失の組み合わせの網羅的な列挙を可能にする。最適な遺伝子/反応ノックアウトの同定は、結果として生じるネットワークのための最適な増殖の解が、関心対象の生化学物質を過剰産生するように、活性のある反応のセットを選択する二層性の最適化課題の解を必要とする(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioeng. 84:647-657(2003)))。 大腸菌代謝のインシリコ化学量論的モデルを採用して、既に例証されたように、並びに例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654及びUS 2004/0009466並びに米国特許第7,127,379号において説明されているように、代謝経路のための必須遺伝子を同定することができる。本明細書に開示するように、OptKnock数学的フレームワークは、所望の生成物の増殖連関産生をもたらすピンポイントでの遺伝子欠失に適用することができる。更に、二層性のOptKnock課題の解は、1セットの欠失のみを提供する。意味のあるすべての解、すなわち、増殖連関産生形成をもたらすノックアウトの全セットを列挙するために、整数カットと称される最適化技術を行うことができる。これは、先に論議したように、各反復における整数カットと称される追加的な制約の組み込みを用いてOptKnock課題を反復的に解くことを必要とする。 (実施例I) (ピメロイル-CoA経路を有するシクロヘキサノン産生微生物の調製) 本実施例は、図1に示されるように、ピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを産生することのできる微生物の作出を説明する。 大腸菌を標的生物として用い、図1に示されるように、ピメロイル-CoAからのシクロヘキサノン産生経路を操作する。大腸菌は、シクロヘキサノンを産生することのできる非天然微生物を作出するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に敏感に反応し、嫌気性条件又は微好気性条件の下で効果的に、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、及びコハク酸のような種々の生成物を産生することができることが公知である。さらに、ピメロイル-CoAは、ビオチン生合成における中間体として、大腸菌において自然に産生される。 ピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを産生するよう操作された大腸菌株を作出するために、既に説明したように、図1の経路において利用される該酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて大腸菌において発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubelの文献(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989))。特に、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼをそれぞれコードするsyn_01653遺伝子(YP_463074.1)、adc遺伝子(NP_149328.1)、pcaIJ遺伝子(Q01103.2及びP0A102.2)、及びpckA遺伝子(P43923.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下でpZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。次に、このプラスミドを、イソプロピル-ベータ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導可能な発現を可能にするlacIQを含む宿主株へと形質転換させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。シクロヘキサノン経路遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。シクロヘキサノンを産生するよう操作された大腸菌株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的なシクロヘキサノン合成経路を有するよう操作された微生物株は、該経路の効率的な利用のための最適化によってさらに増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子が律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば追加的な遺伝子コピー数の導入によって経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。また、戦略を適用して、ピメロイル-CoA合成の早期段階に関与する天然遺伝子の突然変異誘発、クローニング、及び/又は過剰発現など、シクロヘキサノン前駆体ピメロイル-CoAの産生を改良する。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化する。また、モデリングを使用して、経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性のある予測を可能にする。1つのモデリング法は、二層性最適化アプローチであるOptKnockであり(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003)))、シクロヘキサノンのより良好な産生を集約的に結果として生じる遺伝子ノックアウトを選択するために適用される。また、適応進化を使用して、例えば、ピメロイル-CoA中間体又はシクロヘキサノン生成物のより良好な産生体を作出することができる。適応進化を実施して、増殖特徴及び産生特徴の両方を改良する(Fong及びPalssonの文献(Nat. Genet. 36:1056-1058(2004));Alperらの文献(Science 314:1565-1568(2006)))。結果に基づいて、モデリング、遺伝子操作、及び適応進化のその後のラウンドをシクロヘキサノン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。 シクロヘキサノンの大規模産生のために、先のシクロヘキサノン経路含有生物を、当該技術分野で公知の培地を用いて発酵槽において培養し、嫌気性条件下で該生物の増殖を支持する。発酵は、バッチ、供給バッチ、又は連続様式のいずれかで実施する。嫌気性条件は、まず培地に窒素を散布し、次に培養容器を封止することによって維持される(例えば、フラスコは、中隔及び圧着キャップを用いて封止することができる。)。また、微好気性条件は、限られた通気のための小開口を提供することによって利用することができる。培地のpHは、H2SO4などの酸の添加によって、7のpHに維持される。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定され、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定される。望ましくないアルコール、有機酸、及び残余のグルコースなどの副産物は、HPX‐087カラム(BioRad)を備え、グルコース及びアルコールのために屈折率検出器を、有機酸のために紫外線検出器を用いるHPLC(Shimadzu)によって定量化することができる(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng., 775-779(2005)))。 (実施例II) (アセトアセチル-CoAからピメロイル-CoAを介してシクロヘキサノンを誘導する、シクロヘキサノン産生微生物の調製) 本実施例は、図2に示される、アセトアセチル-CoAからシクロヘキサノン前駆体であるピメロイル-CoAの高いレベルを産生するよう操作された微生物の作出を説明する。次に、この操作された株を、宿主生物として使用し、図1の経路を介して、ピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを産生する酵素又はタンパク質を発現するようにさらに操作する。 大腸菌を標的生物として使用して、図1におけるシクロヘキサノン産生経路を操作する。大腸菌は、シクロヘキサノンを産生することのできる非天然微生物を作出するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に敏感に反応し、嫌気性条件又は微好気性条件の下で効果的に、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、及びコハク酸のような種々の生成物を提供することができることが公知である。 シクロヘキサノンを産生するよう操作された大腸菌株を作出するために、既に説明した、図1及び図2の経路において利用される酵素をコードする核酸を大腸菌において、周知の分子生物学技術を用いて発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubelの文献(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989)を参照されたい)。 特に、大腸菌株を操作して、図2に概略される経路を介してアセトアセチル-CoAからピメロイル-CoAを産生する。経路構築の第一の段階について、アセトアセチル-CoAをピメロイル-CoAに形質転換する酵素をコードする遺伝子(図2)をベクターへと構築する。特に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びグルタリル-CoA脱水素酵素の同族の転写調節因子をそれぞれコードする遺伝子pckA(P43923.1)、phbB(P23238)、crt(NP_349318.1)、gcdH(ABM69268.1)、及びgcdR(ABM69269.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼ、及びピメロイル-CoA脱水素酵素をそれぞれコードする遺伝子syn_02642(YP_462685.1)、hbd(NP_349314.1)、syn_01309(YP_461962)、及びsyn_23587(ABC76101)を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。さらに、電子伝達フラボタンパク質のアルファサブユニット及びベータサブユニットをコードするsyn_02637遺伝子(ABC78522.1)及びsyn_02636遺伝子(ABC78523.1)を、PA1/lacOプロモーターの下で、第三の適合性プラスミドpZS23へとクローニングする。pZS23は、周知の分子生物学技術によって、pZS13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)のアンピシリン耐性モジュールをカナマイシン耐性モジュールと置き換えることによって得られる。3セットのプラスミドを大腸菌株MG1655へと形質転換して、アセトアセチル-CoAからのピメロイル-CoA合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。ピメロイル-CoA経路の遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。操作された大腸菌株がこの経路によりピメロイル-CoAを産生する能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)、又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 アセトアセチル-CoAから機能的ピメロイル-CoAへの合成経路を有するよう操作された微生物株は、該経路の効率的な利用のための最適化によってさらに増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子が律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば追加的な遺伝子コピー数の導入によって該経路を通じた流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 外来性酵素の活性を介した高いピメロイル-CoA産生の成功裏の提示の後、これらの酵素をコードする遺伝子を野生型大腸菌宿主の染色体へと、当該技術分野で公知の方法を用いて挿入する。このような方法には、例えば、逐次単一クロスオーバー(Gayらの文献(J. Bacteriol. 153:1424-1431(1983)))及びGeneBridges製のRed/ET法(Zhangらの文献「改良されたRecT又はRecETクローニング及びサブクローニング法(Improved RecT or RecET cloning and subcloning methodd)」(2001))を含む。染色体の挿入は、より大きな安定性及び経路遺伝子の発現を共局在させる能力を含む、プラスミドベースのシステムを上回るいくつかの利点を提供する。 ピメロイル-CoA過剰産生宿主株をさらに操作して、シクロヘキサノンを産生する。シクロヘキサノン産生株を作出するために、すでに説明された、図1の経路において利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて宿主において発現させる(例えば、Sambrook(上述、2001);Ausubel(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989)参照)。 特に、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼをそれぞれコードするsyn_01653遺伝子(YP_463074.1)、adc遺伝子(NP_149328.1)、pcaIJ(Q01103.2及びP0A102.2)遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。次に、このプラスミドを、イソプロピル-ベータ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加により誘導可能な発現を可能にするlacIQを含む宿主株へと形質転換する。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。シクロへキサノン経路の遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。操作された大腸菌株がこの経路を通じてシクロヘキサノンを産生する能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)、又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的シクロヘキサノン合成経路を有するよう操作された微生物株はさらに、該経路の効率的な利用のための最適化によって増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子を律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば、追加的な遺伝子コピー数の導入によって該経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化する。また、モデリングを使用して、前記経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性の高い予測を可能にする。1つのモデリング法は、二層性最適化アプローチであるOptKnockであり(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003)))、シクロヘキサノンのより良好な産生を集約的に結果として生じる遺伝子ノックアウトを選択するよう適用される。また、適応進化を使用して、例えばピメロイル-CoA中間体又はシクロヘキサノン生成物のより良好な産生体を作出することができる。適応進化を実施して、増殖特徴及び産生特徴の両方を改良する(Fong及びPalssonの文献(Nat. Genet. 36:1056-1058(2004));Alperらの文献(Science 314:1565-1568(2006)))。本結果に基づいて、モデリング、遺伝子操作、及び適応進化のその後のラウンドをシクロヘキサノン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。 シクロヘキサノンの大規模な産生のために、先のシクロヘキサノン経路を含む生物を、当該技術分野で公知の培地を用いて発酵槽において培養し、嫌気性条件下で生物の増殖を支持する。発酵は、バッチ、供給バッチ、又は連続様式のいずれかで実施される。嫌気性条件は、まず培地に窒素を散布した後、培養容器を封止することによって維持される(例えば、フラスコは、中隔又は圧着キャップを用いて封止することができる。)。また、微好気性条件は、限られた通気のための小開口を提供することによって利用することができる。培地のpHは、H2SO4などの酸の添加によって、7のpHに維持される。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定され、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定される。望ましくないアルコール、有機酸、及び残余のグルコースなどの副産物は、HPX‐087カラム(BioRad)を備え、グルコース及びアルコールのために屈折率検出器を、有機酸のために紫外線検出器を用いるHPLC(Shimadzu)によって定量化することができる(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng., 90:775-779(2005)))。 (実施例III) (アセトアセチル-CoAからシクロヘキサノンを誘導し、かつ3-ヒドロキシピメロイル-CoAを経路中間体とする、シクロヘキサノン産生微生物の調製) 本実施例は、中間体としての3-ヒドロキシピメラートを介して、アセトアセチル-CoAからシクロヘキサノンを産生するよう操作された微生物の作出を説明する。3-ヒドロキシピメラートは、図2(工程1〜5)に示されるように、5つの酵素工程において、アセトアセチル-CoAから産生される。次に、シクロヘキサノンを、図3(工程1、5、6及び7)の経路に示される通り、3-ヒドロキシピメラートから産生する。 大腸菌を標的生物として用いて、図2及び図3に示される通り、シクロヘキサノン産生経路を操作する。大腸菌は、シクロヘキサノンを産生することのできる非天然微生物を作出するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に敏感に反応し、嫌気性条件又は微好気性条件の下で効果的に、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、及びコハク酸のような種々の生成物を産生することができることが公知である。 シクロヘキサノンを産生するよう操作された大腸菌株を作出するために、既に説明された図2(工程1〜5)及び図3(工程1、5、6、及び7)の経路において利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて大腸菌において発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubelの文献(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989))。 3-ヒドロキシピメロイル-CoAを介してアセトアセチル-CoAからシクロヘキサノンを産生するための大腸菌株を作出するために、アセトアセチル-CoAから3-ヒドロキシピメロイル-CoAに(図2)、及び3-ヒドロキシピメロイル-CoAからシクロヘキサノンに(図3)形質転換するための酵素をコードする遺伝子をベクターに構築する。特に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びグルタリル-CoA脱水素酵素の同属の転写調節因子をそれぞれコードする遺伝子pckA(P43923.1)、phbB(P23238)、crt(NP_349318.1)、gcdH(ABM69268.1)、及びgcdR(ABM69269.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(CC結合に作用)及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル(catboxyl)-CoAトランスフェラーゼをそれぞれコードする遺伝子syn_02642(YP_462685.1)、hbd(NP_349314.1)、bamA(YP_463073.1)、及びpcaIJ(Q01103.2及びP0A102.2)を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。さらに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼをそれぞれコードする遺伝子acad1(AAC48316.1)、acad(AAA116096.1)、及びadc(NP_149328.1)を、PA1/lacOプロモーターの下で、第三の適合性プラスミドへとクローニングする。pZS23は、周知の分子生物学技術によって、pZS13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)のアンピシリン耐性モジュールをカナマイシン耐性モジュールと置き換えることによって得られる。3セットのプラスミドを大腸菌株MG1655へと形質転換して、アセトアセチル-CoAからのシクロヘキサノン合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。シクロヘキサノン経路の遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。操作された大腸菌株がこの経路を通じてシクロヘキサノンを産生する能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)、又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的シクロヘキサノン合成経路を有するよう操作された微生物株はさらに、該経路の効率的な利用のための最適化によって増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子を律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば、追加的な遺伝子コピー数の導入によって該経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化する。また、モデリングを使用して、経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性のある予測を可能にする。1つのモデリング法は、二層性最適化アプローチであるOptKnockであり(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003)))、シクロヘキサノンのより良好な産生を集約的に結果として生じる遺伝子ノックアウトを選択するために適用される。また、適応進化を使用して、例えば、3-ヒドロキシピメロイル-CoA中間体又はシクロヘキサノン生成物のより良好な産生体を作出することができる。適応進化を実施して、増殖特徴及び産生特徴の両方を改良する(Fong及びPalssonの文献(Nat. Genet. 36:1056-1058(2004));Alperらの文献(Science 314:1565-1568(2006)))。結果に基づいて、モデリング、遺伝子操作、及び適応進化のその後のラウンドをシクロヘキサノン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。 シクロヘキサノンの大規模産生のために、先のシクロヘキサノン経路含有生物を、当該技術分野で公知の培地を用いて発酵槽において培養し、嫌気性条件下で該生物の増殖を支持する。発酵は、バッチ、供給バッチ、又は連続様式のいずれかで実施する。嫌気性条件は、まず培地に窒素を散布し、次に培養容器を封止することによって維持される(例えば、フラスコは、中隔及び圧着キャップを用いて封止することができる。)。また、微好気性条件は、限られた通気のための小開口を提供することによって利用することができる。培地のpHは、H2SO4などの酸の添加によって、7のpHに維持される。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定され、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定される。望ましくないアルコール、有機酸、及び残余のグルコースなどの副産物は、HPX‐087カラム(BioRad)を備え、グルコース及びアルコールのために屈折率検出器を、有機酸のために紫外線検出器を用いるHPLC(Shimadzu)によって定量化することができる(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng., 775-779(2005)))。 (実施例IV) (アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサノンを誘導する、シクロヘキサノン産生微生物の調製) 本実施例は、図4に示されるように、アジパートセミアルデヒドからシクロヘキサノンを産生するように操作された微生物の作出を説明する。まず、米国特許出願第12/413,35号の教示に従って、大腸菌宿主株を操作して、シクロヘキサノン前駆体アジパートセミアルデヒドを過剰産生する。アジパートセミアルデヒド過剰産生宿主をさらに操作して、シクロヘキサノンを過剰産生する。 大腸菌を標的生物として用い、図4に示されるように、シクロヘキサノン産生経路を操作する。大腸菌は、シクロヘキサノンを産生することのできる非天然微生物を作出するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に敏感に反応し、嫌気性条件又は微好気性条件の下で効果的に、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、及びコハク酸のような種々の生成物を産生することができることが公知である。 アジパートセミアルデヒドは、大腸菌における天然代謝産物ではない。しかしながら、アジパート生合成のためのいくつかの生合成経路は、近年開示されている[米国特許出願第12/413,355号]。「逆向きの分解経路」と呼ばれる1つの経路において、アジパートセミアルデヒドは、モル当量のアセチル-CoA及びスクシニル-CoAから産生され、ベータ-ケトチオラーゼによって接合され、オキソアジピル-CoAを形成する。次に、オキソアジピル-CoAを3つの酵素工程:ケトンの還元、脱水、及びエノイル-CoAの還元においてアジピル-CoAへと転換する。一旦形成されると、アジピル-CoAは、CoA依存性アルデヒド脱水素酵素によってアジパートセミアルデヒドに転換される。 アジパートセミアルデヒドを産生するよう操作された大腸菌株を作出するために、逆向きの分解経路の酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて大腸菌において発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubelの文献(上述、1999))。特に、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの活性をそれぞれコードするpaaJ遺伝子(NP_415915.1)、paaH遺伝子(NP_415913.1)、maoC遺伝子(NP_415905.1)、及びpckA遺伝子(P43923.1)を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。加えて、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoA還元酵素及びアジピル-CoAアルデヒド脱水素酵素の活性をそれぞれコードするbcd遺伝子(NP_349317.1)、etfAB遺伝子(349315.1及び349316.1)、及びsucD遺伝子(P38947.1)を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。2セットのプラスミドを大腸菌株MG1655へと形質転換して、逆向きの分解経路を介したアジパート合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。アジパートセミアルデヒド経路遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。この経路を通じて、アジパートセミアルデヒドを産生するよう操作された大腸菌株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的なアジパートセミアルデヒド合成経路を有するよう操作された微生物株は、該経路の効率的な利用のための最適化によってさらに増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子が律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば追加的な遺伝子コピー数の導入によって経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 外来性酵素の活性を介した高いアジパートセミアルデヒド産生の成功裏の提示の後、これらの酵素をコードする遺伝子を野生型大腸菌宿主の染色体へと、当該技術分野で公知の方法を用いて挿入する。このような方法には、例えば、逐次単一クロスオーバー(Gayらの文献(上述))及びGeneBridges製のRed/ET法(Zhangらの文献(上述))を含む。次に、結果として生じる株を、その後の尽力において利用して、シクロヘキサノン過剰産生経路を操作する。 アジパートセミアルデヒド経路を利用するシクロヘキサノン産生生物を操作するための必要条件は、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ活性を用いた遺伝子の同定、すなわち、アジパートセミアルデヒドの脱水及びそれと同時のシクロヘキサン-1,2-ジオンへの環化を触媒することである。この活性は、アゾアルカス22Linの細胞抽出物において開環方向で示されている(Harder, J.の文献(上述))が、この活性と関連した遺伝子は今日まで同定されていない。アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ活性を有する酵素を同定するために、アゾアルカス22Linゲノムの断片から構成されるプラスミドベースのライブラリーを構築する。プラスミドを大腸菌へと形質転換し、結果として生じるコロニーを単離し、シクロヘキサン-1,2-ジオンとともに供給し、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ活性についてスクリーニングする。酵素活性を有するプラスミドを保持する株を単離し、プラスミドを配列決定する。配列を検討して、タンパク質をコードするであろうオープンリーディングフレーム(ORF)を同定する。遺伝子候補物を、非冗長的タンパク質配列に対してBLAST処理し、可能性のある機能を決定する。プラスミド(類)によってコードされる有望な遺伝子候補物をPCRによって単離し、新たなベクターへとクローニングし、大腸菌へと形質転換し、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ活性について試験する。 すでに説明されている、図4の経路において利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて大腸菌において発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubel(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989)参照)。特に、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼをそれぞれコードするARA1遺伝子(NP_009707.1)及びpddCBA遺伝子(AAC98386.1、AAC98385.1、及びAAC98384.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。さらに、新たに同定されたアジパートセミアルデヒド脱水素酵素遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。2セットのプラスミドをアジパートセミアルデヒド過剰産生大腸菌宿主へと形質転換して、逆向きの分解経路を介したアジパート合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。シクロヘキサノン経路の遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。操作された大腸菌株がこの経路を通じてシクロヘキサノンを産生する能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)、又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的シクロヘキサノン合成経路を有するよう操作された微生物株はさらに、該経路の効率的な利用のための最適化によって増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子を律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば、追加的な遺伝子コピー数の導入によって該経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化する。また、モデリングを使用して、経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性のある予測を可能にする。1つのモデリング法は、二層性最適化アプローチであるOptKnockであり(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003)))、シクロヘキサノンのより良好な産生を集約的に結果として生じる遺伝子ノックアウトを選択するために適用される。また、適応進化を使用して、例えば、シクロヘキサン-1,2-ジオン中間体又はシクロヘキサノン生成物のより良好な産生体を作出することができる。適応進化を実施して、増殖特徴及び産生特徴の両方を改良する(Fong及びPalssonの文献(Nat. Genet. 36:1056-1058(2004));Alperらの文献(Science 314:1565-1568(2006)))。結果に基づいて、モデリング、遺伝子操作、及び適応進化のその後のラウンドをシクロヘキサノン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。 シクロヘキサノンの大規模産生のために、先のシクロヘキサノン経路含有生物を、当該技術分野で公知の培地を用いて発酵槽において培養し、嫌気性条件下で該生物の増殖を支持する。発酵は、バッチ、供給バッチ、又は連続様式のいずれかで実施する。嫌気性条件は、まず培地に窒素を散布し、次に培養容器を封止することによって維持される(例えば、フラスコは、中隔及び圧着キャップを用いて封止することができる。)。また、微好気性条件は、限られた通気のための小開口を提供することによって利用することができる。培地のpHは、H2SO4などの酸の添加によって、7のpHに維持される。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定され、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定される。望ましくないアルコール、有機酸、及び残余のグルコースなどの副産物は、HPX‐087カラム(BioRad)を備え、グルコース及びアルコールのために屈折率検出器を、有機酸のために紫外線検出器を用いるHPLC(Shimadzu)によって定量化することができる(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng., 775-779(2005)))。 (実施例V) (4-アセチルブチラートからシクロヘキサノンを誘導する、シクロヘキサノン産生微生物の調製) 本実施例は、図5に示されるように、4-アセチルブチラートから3-オキソピメロイル-CoAを介してシクロヘキサノンを産生するよう操作された微生物の作出を説明する。また、本実施例は、経路前駆体3-オキソピメロイル-CoAを過剰産生する株を操作するための方法を教示する。 大腸菌を標的生物として用い、図5に示されるように、シクロヘキサノン産生経路を操作する。大腸菌は、シクロヘキサノンを産生することのできる非天然微生物を作出するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に敏感に反応し、嫌気性条件又は微好気性条件の下で効果的に、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸、及びコハク酸のような種々の生成物を産生することができることが公知である。 まず、大腸菌株を操作して、図2に概略される経路を介してアセトアセチル-CoAから3-オキソピメロイル-CoAを産生する。経路構築の第一段階について、アセトアセチル-CoAを3-オキソピメロイル-CoAに形質転換するための酵素をコードする遺伝子(図2、工程1〜4)をベクターへと構築する。特に、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びグルタリル-CoA脱水素酵素の同族の転写調節因子をそれぞれコードする遺伝子phbB(P23238)、crt(NP_349318.1)、gcdH(ABM69268.1)、及びgcdR(ABM69269.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ及びオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼをそれぞれコードする遺伝子pckA(P43923.1)及びsyn_02642(YP_462685.1)を、PA1/lacOプロモーターの下でpZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。2セットのプラスミドを大腸菌株MG1655へと形質転換して、アセトアセチル-CoAからの3-オキソピメロイル-CoA合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。3-オキソピメロイル-CoA経路遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。この経路を通じて、3-オキソピメロイル-CoAを産生するよう操作された大腸菌株の能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 アセトアセチルCoAからの機能的な3-オキソピメロイル-CoA合成経路を有するよう操作された微生物株は、該経路の効率的な利用のための最適化によってさらに増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子が律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば追加的な遺伝子コピー数の導入によって経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 外来性酵素の活性を介した高い3-オキソピメロイル-CoA産生の成功裏の提示の後、これらの酵素をコードする遺伝子を野生型大腸菌宿主の染色体へと、当該技術分野で公知の方法を用いて挿入する。このような方法には、例えば、逐次単一クロスオーバー(Gayらの文献(上述))及びGeneBridges製のRed/ET法(Zhangらの文献(上述))を含む。染色体挿入は、より大きな安定性及び経路遺伝子の発現を共局在させる能力を含む、プラスミドベースのシステムを上回るいくつかの利点を提供する。 4-アセチルブチラート経路を利用するシクロヘキサノン産生生物を操作するための必要条件は、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ活性を用いた遺伝子の同定、すなわち、4-アセチルブチラートの脱水及びそれと同時のシクロヘキサン-1,3-ジオンへの環化を触媒することである。この活性は、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンスの細胞抽出物において加水分解(開環)方向で示されている(Dangelらの文献(上述(1989)))が、この活性と関連した遺伝子は今日まで同定されていない。4-アセチルブチラートデヒドラターゼ活性を有する酵素を同定するために、アリサイクリフィルス・デニトリフィカンスゲノムの断片から構成されるプラスミドベースのライブラリーを構築する。プラスミドを大腸菌へと形質転換し、結果として生じるコロニーを単離し、シクロヘキサン-1,3-ジオンとともに供給し、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ活性についてスクリーニングする。酵素活性を有するプラスミドを保持する株を単離し、プラスミドを配列決定する。配列を検討して、タンパク質をコードするであろうオープンリーディングフレーム(ORF)を同定する。遺伝子候補物を、非冗長的タンパク質配列に対してBLAST処理し、可能性のある機能を決定する。プラスミド(類)によってコードされる有望な遺伝子候補物をPCRによって単離し、新たなベクターへとクローニングし、大腸菌へと形質転換し、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ活性について試験する。 3-オキソピメロイル-CoAからシクロヘキサノンを産生するよう操作された大腸菌株を作出するために、すでに説明されている、図5の経路において利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物学技術を用いて大腸菌において発現させる(例えば、Sambrookの文献(上述、2001);Ausubel(上述、1999);Robertsらの文献(上述、1989)参照)。特に、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、及び3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素をそれぞれコードするpcaIJ遺伝子(Q01103.2及びP0A102.2)、adc遺伝子(NP_149328.1)、及びYMR226c遺伝子(NP_013953.1)を、PA1/lacOプロモーターの制御下で、pZE13ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。加えて、2-シクロへキセノンヒドラターゼ及びシクロヘキサノン脱水素酵素をそれぞれコードする遺伝子HIDH(BAD80840.1)及びYML131W(AAS56318.1)、並びにまた、新規に同定された4-アセチルブチラートデヒドラターゼ遺伝子を、PA1/lacOプロモーターの下で、pZA33ベクター(Expressys, Ruelzheim, Germany)へとクローニングする。2セットのプラスミドを大腸菌株MG1655へと形質転換し、3-オキソピメロイル-CoAからのシクロヘキサノン合成に必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。 結果として生じる遺伝子操作された生物を、当該技術分野で周知の手順に従って、グルコース含有培地において培養する(例えば、Sambrookらの文献(上述、2001)を参照されたい。)。シクロヘキサノン経路の遺伝子の発現は、例えば、ノーザンブロット法、mRNAのPCR増幅、免疫ブロット法を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を決定するための当該技術分野で周知の方法を用いて確証される。発現した酵素の酵素活性は、個々の活性に特異的なアッセイを用いて確認される。操作された大腸菌株がこの経路を通じてシクロヘキサノンを産生する能力は、HPLC、ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GCMS)、又は液体クロマトグラフィー‐質量分析(LCMS)を用いて確認される。 機能的シクロヘキサノン合成経路を有するよう操作された微生物株はさらに、該経路の効率的な利用のための最適化によって増加する。簡潔には、操作された株を評価して、任意の外来性遺伝子を律速レベルで発現するかどうかを決定する。発現は、例えば、追加的な遺伝子コピー数の導入によって該経路を通じて流れを制限することのできる低レベルで発現した任意の酵素について増大する。 より良好な産生体を作出するために、代謝モデリングを利用して、増殖条件を最適化する。また、モデリングを使用して、経路の利用を追加的に最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公報US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654、及びUS 2004/0009466、並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい。)。モデリング分析は、シクロヘキサノンのより効率的な産生の方へ代謝を移行させることが細胞増殖に及ぼす効果に関して、信頼性のある予測を可能にする。1つのモデリング法は、二層性最適化アプローチであるOptKnockであり(Burgardらの文献(Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003)))、シクロヘキサノンのより良好な産生を集約的に結果として生じる遺伝子ノックアウトを選択するために適用される。また、適応進化を使用して、例えば、4-アセチルブチラート中間体又はシクロヘキサノン生成物のより良好な産生体を作出することができる。適応進化を実施して、増殖特徴及び産生特徴の両方を改良する(Fong及びPalssonの文献(Nat. Genet. 36:1056-1058(2004));Alperらの文献(Science 314:1565-1568(2006)))。結果に基づいて、モデリング、遺伝子操作、及び適応進化のその後のラウンドをシクロヘキサノン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。 シクロヘキサノンの大規模産生のために、先のシクロヘキサノン経路含有生物を、当該技術分野で公知の培地を用いて発酵槽において培養し、嫌気性条件下で該生物の増殖を支持する。発酵は、バッチ、供給バッチ、又は連続様式のいずれかで実施する。嫌気性条件は、まず培地に窒素を散布し、次に培養容器を封止することによって維持される(例えば、フラスコは、中隔及び圧着キャップを用いて封止することができる。)。また、微好気性条件は、限られた通気のための小開口を提供することによって利用することができる。培地のpHは、H2SO4などの酸の添加によって、7のpHに維持される。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することによって決定され、グルコース取り込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニターすることによって決定される。望ましくないアルコール、有機酸、及び残余のグルコースなどの副産物は、HPX‐087カラム(BioRad)を備え、グルコース及びアルコールのために屈折率検出器を、有機酸のために紫外線検出器を用いるHPLC(Shimadzu)によって定量化することができる(Linらの文献(Biotechnol. Bioeng., 775-779(2005)))。 本出願を通じて、種々の刊行物が引用されている。GenBank及びGI番号刊行物を含む、これらの全体におけるこれらの刊行物の開示は、本発明の属する技術分野の状態をより完全に説明するために、本出願において引用により本明細書により組み込まれる。本発明は、先に提供された実施例に関して説明されているが、種々の変更が、本発明の精神を逸脱せずに実施することができることは理解されるべきである。 シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する微生物を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼからなる群から選択される酵素を含む、非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項1に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項1に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項1に記載の非天然微生物。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項1に記載の非天然微生物。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項1に記載の非天然微生物。 前記微生物が、未変性ピメロイル-CoA経路を有する、請求項1に記載の非天然微生物。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)が、badI、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、syn_01309、及びmenBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の非天然微生物。 前記微生物がさらに、ピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現するピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むピメロイル-CoA経路を含み、該ピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼ、及びピメロイル-CoA脱水素酵素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする6つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする7つの外来性核酸を含む、請求項14に記載の非天然微生物。 前記アセトアセチル-CoA還元酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 前記ピメロイル-CoA脱水素酵素が、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の非天然微生物。 シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する微生物を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、及びシクロヘキサノン脱水素酵素からなる群から選択される酵素を含む、非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項28に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項28に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項28に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項28に記載の非天然微生物。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項28に記載の非天然微生物。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項28に記載の非天然微生物。 前記微生物が、未変性3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路を有する、請求項28に記載の非天然微生物。 前記シクロヘキサノン経路が、1セットのシクロヘキサノン経路酵素を含み、該セットのシクロヘキサノン経路酵素が下記からなる群から選択される、請求項28〜32のいずれか一項に記載の非天然微生物: (a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素; (b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;並びに (c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)からなる群から選択される酵素。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)が、bzdY、oah、bamA、syn_01653、syn_02400、syn_03076、及びsyn_01309からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素が、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO-CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AFl211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記シクロヘキサノン脱水素酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項36に記載の非天然微生物。 前記微生物がさらに、3-ヒドロキシピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路を含み、前記3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、及び3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素を含む、請求項28〜32のいずれか一項に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項50に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項50に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項50に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項50に記載の非天然微生物。 前記アセトアセチル-CoA還元酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSDl7B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項50に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項50に記載の非天然微生物。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項50に記載の非天然微生物。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項50に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項50に記載の非天然微生物。 シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する微生物を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む、非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項60に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項60に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項60に記載の非天然微生物。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項60に記載の非天然微生物。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項60に記載の非天然微生物。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項60に記載の非天然微生物。 前記シクロへキサン-1,2-ジオール脱水素酵素が、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びYIR036cからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項60に記載の非天然微生物。 前記シクロへキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼが、pddC、pddB、pddA、pduC、pduD、pduE、dhaB、dhaC、dhaE、dhaB1、dhaB2、rdhtA、rdhtB、ilvD、iolE、ddrA、ddrB、pduG、及びpduHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項60に記載の非天然微生物。 シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する微生物を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素を含む、非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする6つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする7つの外来性核酸を含む、請求項69に記載の非天然微生物。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項69に記載の非天然微生物。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項69に記載の非天然微生物。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記3-オキソピメラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素が、YMR226c、YDR368w、YOR120w、YGL157w、YGL039w、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びY1R036cからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記2-シクロヘキセノンヒドラターゼが、aroD、aroQ、HIDH、及びHIDMからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記シクロヘキサノン脱水素酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼが、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項69に記載の非天然微生物。 前記微生物がさらに、3-オキソピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-オキソピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-オキソピメロイル-CoA経路を含み、該3-オキソピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼを含む、請求項68〜74のいずれか一項に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項86に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項86に記載の非天然微生物。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項86に記載の非天然微生物。 前記アセトアセチル-CoA還元酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項86に記載の非天然微生物。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項86に記載の非天然微生物。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項86に記載の非天然微生物。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項86に記載の非天然微生物。 シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含み、該経路が、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼからなる群から選択される酵素を含む、シクロヘキサノンを産生する方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項94に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項94に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項94に記載の方法。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項94に記載の方法。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項94に記載の方法。 前記微生物が、未変性ピメロイル-CoA経路を有する、請求項94に記載の方法。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサンカルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)が、badI、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、syn_01309、及びmenBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の方法。 前記微生物がさらに、ピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現するピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むピメロイル-CoA経路を含み、該ピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素、3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼ、及びピメロイル-CoA脱水素酵素を含む、請求項93〜96のいずれか一項に記載の非天然微生物。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする6つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記微生物が、ピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする7つの外来性核酸を含む、請求項107に記載の方法。 前記3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素アセトアセチルCoA還元酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項107に記載の方法。 前記ピメロイル-CoA脱水素酵素が、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる。請求項107に記載の方法。 シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含み、該経路が、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含み、該シクロヘキサノン経路が、1セットのシクロヘキサノン経路酵素を含み、該セットのシクロヘキサノン経路酵素が下記からなる群から選択される、シクロヘキサノンを産生する方法: (a)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素; (b)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素;並びに (c)PEPカルボキシキナーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-Cに作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)からなる群から選択される酵素。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項121に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項121に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項121に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項121に記載の方法。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項121に記載の方法。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項121に記載の方法。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)が、bzdY、oah、bamA、syn_01653、syn_02400、syn_03076、及びsyn_01309からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素が、bcd、etfA、etfB、TER、TDE0597、syn_02587、syn_02586、syn_01146、syn_00480、syn_02128、syn_01699、syn_02637、syn_02636、pimC、pimD、acad1、及びacadからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼが、AF1211, AF1983, scs, PAE3250, sucC, sucD, aliA, phl, phlB, paaF, 及び bioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記シクロヘキサノン脱水素酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の方法。 前記微生物がさらに、3-ヒドロキシピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路を含み、該3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA還元酵素、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼ、及び3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素を含む、請求項120〜124のいずれか一項に記載の方法。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項141に記載の方法。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項141に記載の方法。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項141に記載の方法。 前記微生物が、3-ヒドロキシピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項141に記載の方法。 前記アセトアセチル-CoA還元酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項141に記載の方法。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項141に記載の方法。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項141に記載の方法。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項141に記載の方法。 前記3-ヒドロキシピメロイル-CoA脱水素酵素が、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項141に記載の方法。 シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含み、該経路が、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む、シクロヘキサノンを産生する方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項151に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項151に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項151に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項151に記載の方法。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項151に記載の方法。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項151に記載の方法。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpck4からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項151に記載の方法。 前記シクロへキサン-1,2-ジオール脱水素酵素が、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びYIR036cからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項151に記載の方法。 前記シクロへキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼが、pddC、pddB、pddA、pduC、pduD、pduE、dhaB、dhaC、dhaE、dhaBl、dhaB2、rdhtA、rdhtB、ilvD、iolE、ddrA、ddrB、pduG、及びpduHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項151に記載の方法。 シクロヘキサノン経路を有する非天然微生物を培養することを含み、該経路が、シクロヘキサノンを産生する条件下及び十分な時間で、シクロヘキサノンを産生するのに十分な量で発現するシクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含み、該シクロヘキサノン経路が、PEPカルボキシキナーゼ、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに、3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素を含む、シクロヘキサノンを産生する方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする5つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする6つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記微生物が、シクロヘキサノン経路酵素を各々コードする7つの外来性核酸を含む、請求項161に記載の方法。 前記少なくとも1つの外来性核酸が、異種性核酸である、請求項161に記載の方法。 前記非天然微生物が、実質的に嫌気性培地中にある、請求項161に記載の方法。 前記PEPカルボキシキナーゼが、PCK1、pck、及びpckAからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記3-オキソピメラートデカルボキシラーゼが、adc、cbei_3835、CLL_A2135、及びRBAM_030030からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素が、YMR226c、YDR368w、YOR120w、YGL157w、YGL039w、chnA、Rmet_1335、PP_1946、ARA1、BDH1、GCY1、YPR1、GRE3、及びY1R036cからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記2-シクロヘキセノンヒドラターゼが、aroD、aroQ、HIDH、及びHIDMからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記シクロヘキサノン脱水素酵素が、NtRed1、AtDBR1、P2、PulR、PtPPDBR、YML131W、ispR、AT3G61220、cbr、CBR1、CHO‐CR、YIR036C、enr、及びfadHからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼが、AF1211、AF1983、scs、PAE3250、sucC、sucD、aliA、phl、phlB、paaF、及びbioWからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)が、acot12、gctA、gctB、及びACH1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼが、pcaI、pcaJ、catI、catJ、HPAG1_0676、HPAG1_0677、ScoA、ScoB、OXCT1、OXCT2、ctfA、ctfB、atoA、及びatoDからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項161に記載の方法。 前記微生物がさらに、3-オキソピメロイル-CoAを産生するのに十分な量で発現する3-オキソピメロイル-CoA経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含む3-オキソピメロイル-CoA経路を含み、該3-オキソピメロイル-CoA経路が、アセトアセチル-CoA、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ、グルタリル-CoA脱水素酵素、及びオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼを含む、請求項160〜166のいずれか一項に記載の方法。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする2つの外来性核酸を含む、請求項178に記載の方法。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする3つの外来性核酸を含む、請求項178に記載の方法。 前記微生物が、3-オキソピメロイル-CoA経路酵素を各々コードする4つの外来性核酸を含む、請求項178に記載の方法。 前記アセトアセチル-CoAが、Fox2、phaB、phbB、hbd、Msed_1423、Msed_0399、Msed_0389、Msed_1993、Hbd2、Hbd1、HSD17B10、pimF、fadB、syn_01310、及びsyn_01680からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項178に記載の方法。 前記3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼが、crt、crt1、pimF、syn_01309、syn_01653、syn_01654、syn_02400、syn_03076、ech、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaF、paaG、fadA、fadB、fadI、fadJ、及びfadRからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項178に記載の方法。 前記グルタリル-CoA脱水素酵素が、gcdH、gcdR、PP_0157、gcvA、gcd、gcdR、syn_00480、syn_01146、gcdA、gcdC、gcdD、gcdB、FN0200、FN0201、FN204、syn_00479、syn_00481、syn_01431、及びsyn_00480からなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項178に記載の方法。 前記オキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼが、bktB、pimB、syn_02642、phaA、h16_A1713、pcaF、h16_B1369、h16_A0170、h16_A0462、h16_A1528、h16_B0381、h16_B0662、h16_B0759、h16_B0668、h16_A1720、h16_A1887、phbA、Rmet_1362、Bphy_0975、atoB、thlA、thlB、ERG10、及びcatFからなる群から選択される1つ以上の遺伝子によってコードされる、請求項178に記載の方法。 非天然微生物は、シクロヘキサノン経路酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸を含むシクロヘキサノン経路を有する。経路には、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、2-ケト-シクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、並びに、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、及び2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼから選択される酵素を含む。経路には、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(C-C結合に作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシル-CoA還元酵素、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、6-ケトシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラート還元酵素、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAシンテターゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAトランスフェラーゼ、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、2-ケトシクロヘキサン-1-カルボキシラートデカルボキシラーゼ、及びシクロヘキサノン脱水素酵素から選択される酵素を含む。経路には、アジパートセミアルデヒドデヒドラターゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオール脱水素酵素、及びシクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドラターゼを含む。経路には、3-オキソピメラートデカルボキシラーゼ、4-アセチルブチラートデヒドラターゼ、3-ヒドロキシシクロヘキサノン脱水素酵素、2-シクロヘキセノンヒドラターゼ、シクロヘキサノン脱水素酵素、並びに、3-オキソピメロイル-CoAシンテターゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ(チオエステルに作用)、及び3-オキソピメロイル-coAトランスフェラーゼから選択される酵素を含む。これらの各経路には、PEPカルボキシキナーゼを含むことができる。シクロヘキサノンを産生する方法には、これらの非天然微生物を培養することを含む。【選択図】図1


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