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タイトル:特許公報(B2)_ポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法及び高純度のポリカーボネートジオールジアクリレート
出願番号:2012508287
年次:2015
IPC分類:C08G 64/42,C12P 7/62,C12N 9/20


特許情報キャッシュ

吉田 洋一 山本 康仁 弘津 健二 JP 5708641 特許公報(B2) 20150313 2012508287 20110328 ポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法及び高純度のポリカーボネートジオールジアクリレート 宇部興産株式会社 000000206 特許業務法人 津国 110001508 柳橋 泰雄 100131808 伊藤 佐保子 100119079 川田 秀美 100125793 安藤 雅俊 100149412 杉本 将市 100151828 角野 ゆり子 100173772 齋藤 房幸 100116919 吉田 洋一 山本 康仁 弘津 健二 JP 2010271918 20101206 JP 2010075884 20100329 20150430 C08G 64/42 20060101AFI20150409BHJP C12P 7/62 20060101ALI20150409BHJP C12N 9/20 20060101ALN20150409BHJP JPC08G64/42C12P7/62C12N9/20 C08G 64/00−64/42 C12P 7/00−7/66 C12N 9/00−9/99 特開2001−151730(JP,A) 国際公開第2009/102069(WO,A1) 特開2009−291167(JP,A) 特開2002−025335(JP,A) 特開2009−157125(JP,A) 3 JP2011057533 20110328 WO2011122520 20111006 17 20140122 岡▲崎▼ 忠 本発明は、ポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。また、本発明は、高純度のポリカーボネートジオールジアクリレートに関する。 ポリカーボネートジオールジアクリレートは、インキ、塗料、コーティング材料、接着剤、光硬化性樹脂、架橋剤、電解質材料、その他の樹脂等の原料として有用な化合物である。例えば、特許文献1には、ポリカーボネートジオールジアクリレートを用いたフィルム状光導波路が開示されている。 ポリカーボネートジオールジアクリレートを製造する方法としては、ポリカーボネートジオールとアクリル酸をp−トルエンスルホン酸等のプロトン酸触媒の存在下で反応させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。 しかし、この方法では、得られるポリカーボネートジオールジアクリレートが茶色に着色するという製品の品質に係る大きな問題があった。更に、この方法では、原料のアクリル酸を過剰に用いるため、合成後、それらを中和して水洗することにより除去しても、得られる生成物中に、酸触媒、原料に起因する硫黄分、不純物が残存し、品質の悪化(悪臭、金属腐食)が起こりやすいという課題がある。 また、ポリカーボネートジオールとアクリル酸エステル化合物を、有機金属触媒存在下、生成するアルコールを抜き出しながら反応させることによるポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法では、生成するアルコールがポリカーボネートジオール中のカーボネート結合と交換して、アルコキシ末端を形成させうる。アルコキシ末端は、その後の硬化工程で、硬化物の架橋密度を下げることから、その形成を回避することが望ましい。加えて、有機金属触媒由来の金属成分の残留は、品質に影響しうるため、触媒成分の分解、回収工程が必要となる。更に、この方法では、副生アルコールを留去する際に原料アクリル酸エステルが共沸し、反応系外に出てしまう問題があり、加えて、気化した原料アクリル酸エステルによるポップコーン重合が発生する可能性があることが問題となりうる。 ここで、ポップコーン重合とは、主に気相中で核となるポリマーが生成した後、それを起点として高温の重合熱を伴いながら爆発的に重合が起こる現象であり、多孔性で嵩高い重合物を生成する。ポップコーン重合が、大きなスケールで製造中に発生すると、装置の閉塞から、設備の破損、爆発に繋がるおそれがあり、気相中のビニル化合物濃度が上昇しない低温での製造方法が求められていた。 酸触媒や金属成分を用いず、比較的低温にて、遊離水酸基をアクリレート化する手法として、リパーゼを酵素触媒に用いた手法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、アクリル酸ビニルと固定化リパーゼを用いて無極性溶媒中でアクリル酸エステルを製造することが可能であることも報告されている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、ポリカーボネートジオールを基質として、リパーゼを用いてアクリレート化した例は、全く知られていない。特開2009−157125号公報特開2002−25335号公報特開2001−151730号公報Industrial Biotechnology 5巻,110項(2009年)Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic 10巻,551項(2000年) 本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決することにある。具体的には、プロトン酸や金属成分を用いず、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ビニル化合物から、ポリカーボネートジオールジアクリレートを製造する方法を提供することにある。ここで、ポリカーボネートジオールジアクリレートは、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリル酸エステル化合物でアクリレート化された化合物をいうこととする。また、本発明の目的は、高純度のポリカーボネートジオールジアクリレートを提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、加水分解酵素(特にリパーゼ)の存在下、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ビニル化合物とのエステル交換反応によりポリカーボネートジオールジアクリレートを製造することからなる、新規な工業的製造プロセスを見出し、本発明に至った。 本発明は、式(I): 式中、 R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、 nは、平均重合度を表し、1〜50の数であるで表されるポリカーボネートジオールと、式(II): 式中、 R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、 R3は、水素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基であるで表されるアクリル酸ビニル化合物を、加水分解酵素存在下、反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。 本発明は、加水分解酵素が、リパーゼである、上記のポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。 本発明は、リパーゼが、固定化リパーゼである、上記のポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。 本発明は、固定化リパーゼを充填した流通管式反応器中で反応させることによる、上記のポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。 また、本発明は、リパーゼが、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼである、上記のいずれかのポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法に関する。 本発明は、末端アクリレート化率が97%以上である、式(III): 式中、 R1’は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、 R2’は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、 n’は、平均重合度を表し、1〜50の数であるで表されるポリカーボネートジオールジアクリレートに関する。 本発明の方法により、加水分解酵素を触媒とすることによって、プロトン酸や金属成分を用いず、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ビニル化合物から、ポリカーボネートジオールジアクリレートを製造できる。本発明の方法は、アクリル酸エステルを還流させながら常圧でエステル交換反応を行う場合に比べて低温にて反応を行うことができ、効率及び安全性の点で優れている。なお、アクリル酸ビニルエステルの分子構造を有する化合物を、ポリカーボネートジオールとの反応に用いることによって、副生物としてビニルアルコールが生成する。この化合物は、即座にケト型であるカルボニル化合物へと異性化するため、該反応の平衡を生成系にシフトする効果があると考えられる。また、副生物であるアルコールと主鎖カーボネートの交換反応などの副反応が抑制されるという効果もある。 また、本発明によれば、末端アクリレート化率が97%以上である、高純度のポリカーボネートジオールジアクリレートが提供される。このようなポリカーボネートジオールジアクリレートは、硬化させたときに架橋密度が低下することなく、コーティング材料、接着剤等に好適である。 本発明の方法では、加水分解酵素の存在下、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ビニル化合物とを反応させることにより、ポリカーボネートジオールジアクリレートが得られる。(ポリカーボネートジオール) 本発明で使用されるポリカーボネートジオールは、式(I): 式中、 R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、 nは、平均重合度を表し、1〜50の数であるで表される。 直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基からなる2価基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基からなる2価基、環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレンからなる2価基が挙げられる。 直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜25個であり、より好ましくは、3〜12個であり、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基、ヘプテン基、オクテン基、デセン基等が挙げられ、好ましくはブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基である。 環状のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3〜25個であり、より好ましくは3〜12個である。環状のアルキレン基としては、炭素原子数3〜12のシクロアルキレンが好ましく、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられ、好ましくはシクロへキシレン基である。 前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基からなる2価基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジメチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジメチレン基である。 上記の2価基は、置換基を有していてもよく(例えば、ベンゼン−1,4−ジメチレン基)、かつ/又は2価基(2価基が置換基を有する場合は、置換基を除く部分)の末端以外の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)、2価のヘテロ環式基(例えば、ピリダニル基)、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよい。 置換基としては、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基)、炭素原子数6〜12のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基)、炭素原子数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)が挙げられる。 R1は、架橋炭素環の2価の基であってもよい。ここで、「架橋炭素環」とは、隣り合わない2つの炭素が架橋基又は直接結合によって架橋された炭素環を指す。架橋炭素環の2価基としては、炭素原子数6〜10の架橋炭素環の2価基が好ましく、例えば、ビシクロ−[2.1.1]−ヘキサン−ジイル、ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン−ジイル、ビシクロ−[2.2.2]−オクタン−ジイル、ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−ジイル、ビシクロ−[4.3.0]−ノナン−ジイル、ビシクロ−[4.4.0]−デカン−ジイル、アダマンタン−ジイルが挙げられる。 R1は、好ましくは、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基、ベンゼン−1,4−ジメチレン基から選ばれる1種以上である。 式(I)において、nは、平均重合度を表し、1〜50の数であり、好ましくは2〜25である。平均重合度は、1H−NMRによる末端基定量によって測定することができる。 式(I)のポリカーボネートジオールは、どのような方法で製造されたものでもあってもよい。例えば、式(I)のR1に相当する基を有する2価アルコール(HO−R1−OH)と炭酸エステル(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジフェニル)とのエステル交換反応により製造されたポリカーボネートジオールや、上記の2価アルコールとクロロギ酸エステル又はホスゲンとの反応により製造したポリカーボネートジオールを使用することができる。2価アルコールとしては、例えば、炭素原子数4〜25(好ましくは炭素原子数4〜15)のアルキレン基を有する脂肪族2価アルコールが挙げられる。あるいは、環状炭酸エステルの開環重合等により製造されたポリカーボネートジオールを使用することができる。環状炭酸エステルとしては、例えば、炭素原子数2〜25(好ましくは炭素原子数2〜15)のアルキレン基を有する環状炭酸エステルが挙げられる。 中でも、炭素原子数4〜25(好ましくは炭素原子数4〜15)のアルキレン基を有する脂肪族2価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応によって製造されたポリカーボネートジオールが好ましい。このような脂肪族2価アルコールとしては、R1が直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数4〜15のアルキレン基に相当する2価アルコールが挙げられ、具体的には、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のトリメチレン部分を有するものや、1,4−ブタンジオール等のテトラメチレン部分を有するものや、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール等のペンタメチレン部分を有するものや、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等のヘキサメチレン部分を有するものや、1,7−ヘプタンジオール等のヘプタメチレン部分を有するものや、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールのオクタメチレン部分を有するものや、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオールが挙げられる。また、R1が炭素原子数4〜15のシクロアルキレン基に相当する2価アルコールが挙げられ、具体的には、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジエタノールである。また、R1がシクロアルキレン−直鎖状又は分岐鎖状アルキレン−シクロアルキレンに相当する2価アルコールである2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等も使用することができる。 ただし、上記以外の2価アルコールも使用することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のR1が酸素原子で置き換えられているアルキレン基であるものや、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等のR1が酸素原子で置き換えられている、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン−シクロアルキレン−直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるものや、2,5−テトラヒドロフランジメタノール等の、R1が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン−酸素原子で置き換えられているシクロアルキレン−直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるものも使用することができる。加えて、架橋炭素環の2価アルコールである2,7−ノルボルナンジオール等も使用することができる。 更に、p−キシリレンジオール、p−テトラクロロキシリレンジオール、ベンゼン−1,4−ジメタノール等の、R1が非置換か又はハロゲン原子で置換されている、2価の芳香族基で置き換えられたアルキレン基であるものも使用することができる。また、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等の、R1が1つ以上の酸素原子及び1つ以上の2価の芳香族基で置き換えられたアルキレン基であるものも使用することができる。R1が2価の芳香族基を有する2価アルコールは、2価アルコール全体に対して25重量%以下であることが好ましく、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。 本発明で使用されるポリカーボネートジオールにおいて、R1は同一であっても異なっていてもよい。即ち、ポリカーボネートジオールを、2価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応や、2価アルコールとクロロギ酸エステル又はホスゲンとの反応で得る場合、2価アルコールは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。また、ポリカーボネートジオールを環状炭酸エステルの開環重合で得る場合、環状炭酸エステルは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。 式(I)のポリカーボネートジオールは、取り扱い性が良い点から、好ましくはR1がプロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基、ベンゼン−1,4−ジメチレン基から選ばれる1種以上であるポリカーボネートジオールである。式(I)のポリカーボネートジオールは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。(アクリル酸ビニル化合物) 本発明で使用されるアクリル酸ビニル化合物は、式(II): 式中、 R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、 R3は、水素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であるで表されるアクリル酸ビニル化合物である。 R2が炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。R3が、炭素原子数1〜10の炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。 R2は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。R3は、好ましくは、水素原子又はメチル基、エチル基である。 式(II)のアクリル酸ビニル化合物としては、アクリル酸ビニルや、アクリル酸イソプロペニル等のアクリル酸アルケニルエステルや、メタクリル酸ビニルや、メタクリル酸イソプロペニル等のメタクリル酸アルケニルエステル等が挙げられる。中でも、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニルが好ましい。 式(II)のアクリル酸ビニル化合物は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。 アクリル酸ビニル化合物の使用量は、ポリカーボネートジオール1モルに対して0.5〜60モルとすることができ、0.5〜20モルであることが好ましい。なお、ポリカーボネートジオールのモル数は、1H−NMR(末端水酸基価)より求めた平均分子量より計算される(例えば、高分子実験学 18巻(高分子の磁気共鳴)283頁、共立出版(1975年刊)参照)。(加水分解酵素の範囲) 本発明で使用される加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼが挙げられるが、好ましくは豚肝臓由来のエステラーゼ(PLE)、豚肝臓由来のリパーゼ(PPL)、酵母又は細菌から単離可能な微生物のクチナーゼ、リパーゼ、より好ましくは、クリプトコッカス・エスピー(Cryptococcus sp)を起源とするクチナーゼ、バルクホルデリア・セパシア (Burkholderia cepacia )を起源とするリパーゼ(例えば、Amano PS(アマノエンザイム社製))、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ(例えば、Novozym 435(ノボザイム社製))、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor Miehei)を起源とするリパーゼ(例えば、Lipozyme RM IM(ノボザイム社製))、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)を起源とするリパーゼ(Lipase TL)、ムコール・ミエヘイ(Mucor Miehei)を起源とするリパーゼ(Lipase MM)であり、特に好ましくはCandida antarcticaを起源とするリパーゼである。 これら加水分解酵素は、上記のような微生物から得られた加水分解酵素をコードする遺伝子を、酵母や糸状菌のような適切な宿主に導入して得られた組換え体の培養物から得たものであってもよい。 加水分解酵素の組換え発現のために使用される組換えDNA技術は、当該分野において公知である。加水分解酵素のアミノ酸配列は上記のものに限定されず、例えば、これらの配列において、1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ加水分解活性を有するタンパク質を本発明に好適に使用することができる。あるいは、これらの配列と、例えば90%以上、好ましくは95%、より好ましくは97%以上の配列同一性を示すアミノ酸配列からなり、かつ加水分解活性を有するタンパク質も本発明に好適に使用することができる。 これらの加水分解酵素の形態は、特に限定されず、天然又は固定化酵素の形態であってもよい。 固定化酵素は、固定化担体に加水酵素を吸着等により担持させたものをいう。固定化担体としては、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられるが、特に酵素の吸着力が高い点から疎水吸着樹脂が好ましい。また、疎水吸着樹脂の中でも、大きな表面積を有することにより酵素の吸着量を高くできるという点から、多孔質であることが好ましい。 加水分解酵素は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。 加水分解酵素の使用量は、効率的な反応速度を実現する点から、式(I)のポリカーボネートジオール1gに対して、好ましくは0.1〜1000mg、より好ましくは、1〜200mg、特に好ましくは1〜10mgである。 本発明において、反応方式は、特に限定されず、バッチ方式又は酵素を固定化したカラムを通過させる流通連続式をはじめとする、いかなる方式でも行なうことができる。(溶媒の範囲) 本発明の反応は、有機溶媒を使用して、又は無溶媒で行なうことができる。有機溶媒としては、基質を溶解でき、かつ、加水分解酵素を失活させない溶媒であれば特に限定されない。 有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、好ましくはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル又はテトラヒドロフラン、より好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、及びアセトニトリル、特に好ましくはシクロヘキサン、トルエン、t−ブチルメチルエーテルである。なお、これらの有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。 有機溶媒の使用量は、式(I)のポリカーボネートジオール1gに対して、好ましくは0.1〜100mL、より好ましくは、0.5〜50mL、特に好ましくは1〜10mLである。 本発明の反応は、アクリレート部位の重合を防ぐため、重合禁止剤を共存させて行うことが好ましい。重合禁止剤は通常に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンなどが使用できる。重合禁止剤の使用量は、ポリカーボネートジオール1モルに対して0.000001〜0.05モル、更には0.000002〜0.03モルであることが好ましい。(反応温度、圧力範囲) 本発明において、反応温度は、0〜100℃とすることができ、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは40〜80℃である。 本発明において、反応圧力は、特に限定されず、常圧下又は減圧下のいずれの条件でも行なうことができる。 また、本発明の反応は、流通連続式で行うこともできる。流通連続式にて反応を行う場合、反応溶液中のポリカーボネートジオール化合物の濃度は、反応系の全質量に対して10〜50質量%とすることが好ましく、アクリル酸ビニル化合物の濃度は反応系の全重量に対して5〜30質量%が好ましい。また、反応液の通液線速度は、好ましくは0.5〜400mm/分、更に1〜200mm/分であるのが好ましい。この通液線速度(mm/分)は、1分間当りの送液量(mm3/分)(又は送液速度(10-3mL/分)ともいう)を充填層断面積(mm2)で除した商で表わされる値をいう。通液線速度を上げることによる充填塔内圧力の増大に伴い、通液が困難となり、耐圧性の高い酵素充填塔が必要となる他に、固定化酵素が塔内圧力増加により破砕される場合が生じることもあるため、通液線速度は400mm/分以下とすることが好ましい。また、生産性の点から通液線速度は1mm/分以上とすることが好ましい。固定化酵素の発現活性は、通液線速度により変化するため、最適な通液線速度を選定して反応条件を決定することで、所望の生産能力、製造コストに見合った反応を行うことができる。反応容器中の反応溶液の流通時間は、30秒〜6時間の範囲とすることができる。(高純度のポリカーボネートジオールジカーボネート) 本発明は、また、末端アクリレート化率が97%以上である、式(III): 式中、 R1’は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、 R2’は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、 n’は、平均重合度を表し、1〜50の数であるで表されるポリカーボネートジオールジアクリレートに関する。 末端アクリレート化率は、式(III)で表されるポリカーボネートジオールジアクリレートの末端基に占める、アクリレート基の割合を示す。 末端アクリレート化率は、原料ポリカーボネートジオール、モノアクリレート化物等の反応副生成物の存在により、低下しうる。また、ポリカーボネートジオールとアクリル酸エステル化合物を、有機金属触媒存在下、生成するアルコールを抜き出しながら反応させる方法においては、末端アクリレート化率を高めるためには、アルコールを除去する必要があるところ、一般にアルコールとアクリル酸エステルの沸点が近く、アルコールのみの除去が困難という事情がある。さらには、有機金属触媒により、アルコールが、ポリカーボネートジオールのカーボネート結合と交換して、メトキシ末端が生成してしまうという事情もある。これらは、いずれも末端アクリレート化率を低下させる方向に働くものである。 本発明の製造方法を使用することにより、末端アクリレート化率が97%以上である、式(III)のポリカーボネートジオールジアクリレートを容易に得ることができる。末端アクリレート化率は、好ましくは98%以上である。 中でも、かつ末端アルコキシ化率が0.1%未満である、ポリカーボネートジオールジアクリレートである、式(III)のポリカーボネートジオールジアクリレートが好ましい。アルコキシ末端としてはメトキシ末端が考慮されうる。 末端アクリレート化率、末端アルコキシ化率は、1H−NMR分析により測定することができる。 本発明の製造方法を使用することにより、原料ポリカーボネートジオールに由来する末端水酸基を減じることができ、100%から末端アクリレート化率及び末端アルコキシ化率を差し引いた末端水酸基率が2%未満である、式(III)のポリカーボネートジオールジアクリレートを容易に得ることができる。 R1’が直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基の場合、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基からなる2価基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基からなる2価基、環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレンからなる2価基が挙げられる。 直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜25個であり、より好ましくは、3〜12個であり、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基、ヘプテン基、オクテン基、デセン基等が挙げられ、好ましくはブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基である。 環状のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3〜25個であり、より好ましくは3〜12個である。環状のアルキレン基としては、炭素原子数3〜12のシクロアルキレンが好ましく、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられ、好ましくはシクロへキシレン基である。 前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基からなる2価基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジメチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジメチレン基である。 上記の2価基は、置換基を有していてもよく(例えば、ベンゼン−1,4−ジメチレン基)、かつ/又は2価基(2価基が置換基を有する場合は、置換基を除く部分)の末端以外の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)、2価のヘテロ環式基(例えば、ピリダニル基)、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよい。 置換基としては、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、炭素原子数3〜12のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基)、炭素原子数6〜12のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基)、炭素原子数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)が挙げられる。 R1’は、架橋炭素環の2価の基であってもよい。ここで、「架橋炭素環」とは、隣り合わない2つの炭素が架橋基又は直接結合によって架橋された炭素環を指す。架橋炭素環の2価基としては、炭素原子数6〜10の架橋炭素環の2価基が好ましく、例えば、ビシクロ−[2.1.1]−ヘキサン−ジイル、ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン−ジイル、ビシクロ−[2.2.2]−オクタン−ジイル、ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−ジイル、ビシクロ−[4.3.0]−ノナン−ジイル、ビシクロ−[4.4.0]−デカン−ジイル、アダマンタン−ジイルが挙げられる。 R1’は、好ましくは、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、3−メチルペンテン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基、ベンゼン−1,4−ジメチレン基から選ばれる1種以上である。 式(III)において、n’は、平均重合度を表し、1〜50の数であり、好ましくは2〜25である。平均重合度は、1H−NMRによる末端基定量によって測定することができる。 R2’は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。R2’は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。 本発明のポリカーボネートジオールジアクリレートは、光重合開始剤と組み合わせ、これらを含む樹脂組成物とすることができる。このような樹脂組成物は、基材等に塗布し、その後、高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射して光硬化させることができる。また、有機過酸化物等のラジカル開始剤と組み合わせ、これらを含む樹脂組成物としても使用することができる。このような樹脂組成物は、基材等に塗布し、その後、熱硬化させることができる。本発明のポリカーボネートジオールジアクリレートは、インキ、塗料、コーティング材料、接着剤、光硬化性樹脂、架橋剤、電解質材料、その他の樹脂の原料として使用することができる。 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。 なお、ポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオールジアクリレートの平均分子量は、1H−NMR測定により算出した。更に平均分子量から重合度を算出した。また、1H−NMR測定により、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合を算出した。実施例1 ポリカーボネートジオールのアクリレート化 ポリカーボネートジオール(宇部興産製UH200、(ポリ(ヘキサメチレンカーボネート))ジオール:平均分子量2000(重合度14.6))1.0g(0.5mmol)に、アクリル酸ビニルエステル5mmol及び重合禁止剤として、p−メトキシフェノール1mgを加え、そこにトルエンを加えて10mlに定容したものを反応液とした。 ガラス試験管に前記反応液2mlと、リパーゼ(カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼを樹脂多孔体に固定化したNovozyme 435(ノボザイム社製))20mgを加え、攪拌下(1000rpm)、70℃にて、24時間反応させた。 反応終了後、反応液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ろ液についてロータリーエバポレーターにて溶媒を減圧留去した後、残渣を60℃デシケーター中、2時間、減圧下で乾燥させ、ポリカーボネートジオールジアクリレートを得て、1H−NMR分析に供した。 反応時間を48時間とした以外は、上記と同様にしてポリカーボネートジオールジアクリレートを得て、これを1H−NMR分析に供した。 分析結果を表1に示す。 表1に示すアクリル酸エステル、加水分解酵素を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4、比較例1〜6のポリカーボネートジオールジアクリレートを調製して、1H−NMR分析に供した。分析結果を表1に示す。Amano PS-CI(アマノエンザイム社製)は、バルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼを多孔性セラミック担体に吸着させた固定化触媒である。 アクリル酸エステルとしてアクリル酸メチルを使用し、加水分解酵素としてNovozyme435を使用した場合、顕著な重合度の低下と、副生したアルコールが主鎖カーボネートと交換したメトキシ末端が認められた(比較例1)。アクリル酸エステルとしてアクリル酸メチルを使用し、加水分解酵素としてAmanoPS-CIを使用した場合、末端アクリレート化率は低い値に留まった(比較例2)。 一方、アクリル酸ビニル又はメタクリル酸ビニルをアクリル酸エステルとし、Novozyme435又はAmanoPS-CIを加水分解酵素とした場合については、重合度の低下なく、高い末端アクリレート化率で、ポリカーボネートジオールジアクリレートが得られた(実施例1〜4)。特に、Novozyme435を使用した実施例1及び3の末端アクリレート化率は極めて高く、48時間後の末端水酸基率も1%未満であった。実施例5〜7 ポリカーボネートジオールのアクリレート化 表2に示すポリカーボネートジオール3.0gに、末端水酸基に対して2当量(実施例5(UH100)及び実施例6(UC100)ではそれぞれ1.35g、実施例7(UM90(1/1):1,6−ヘキサンジオール残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とを等モル有するポリカーボネートジオール)では、1.51g)のメタクリル酸ビニルと、重合禁止剤として、p−メトキシフェノール1mgを加え、そこにトルエンを加えて10mlに定容したものを反応液とした。 ガラス試験管に各反応液2mlと、リパーゼ(Novozyme435)5mgを加え、攪拌下(1000rpm)、70℃にて、表2に示す時間で反応させた。 反応終了後、各反応液を0.2μmフィルターでろ過し、各ろ液について、ロータリーエバポレーターにて溶媒を減圧留去した後、各残渣を60℃デシケーター中、2時間、減圧下で乾燥させ、各ポリカーボネートジオールジアクリレートを得て、1H−NMR分析に供した。結果を表3に示す。 実施例5〜7のいずれにおいても、高い末端アクリレート化率で、ポリカーボネートジオールジアクリレートが得られた。また、24時間後の末端水酸基率は、1%未満であった。実施例8〜10:固定化酵素を用いた連続反応によるポリカーボネートジオールのアクリレート化 ポリカーボネートジオール(UH100、表2参照)150gに、メタクリル酸ビニル67.5gと、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05gを加え、そこにトルエンを加えて500mlに定容したものを反応液とした。 ガラスカラム(内径5mm×50mm、孔径5μmガラスフィルター付)に、固定化リパーゼ(Novozyme435)0.42gを充填し、70℃に保温し、反応液を下から定量ポンプにて表4に示す流速にて送液した。 表4に示す時間ごとに反応液を分取し、得られた反応液について、ロータリーエバポレーターにて溶媒を減圧留去した後、残渣を60℃デシケーター中、2時間減圧下で乾燥させて、1H−NMR分析に供した。 実施例8〜10のいずれにおいても、高い末端アクリレート化率で、ポリカーボネートジオールジアクリレートが得られた。特に、実施例8の末端水酸基率はいずれの流通時間でも1%未満であった。 本発明によれば、プロトン酸や金属成分を用いず、加水分解触媒を用いて、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ビニル化合物から、ポリカーボネートジオールジアクリレートを製造できる。本発明の方法は、比較的低温にて反応を行うことができ、効率及び安全性の点で優れている。更に、本発明の方法により、末端アクリレート化率が高く、高品質のポリカーボネートジオールジアクリレートを得ることができる。即ち、本発明により、入手しやすい原料を使用して、高品質のポリカーボネートジオールジアクリレートを容易に製造することができる。 式(I): 式中、 R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、 nは、平均重合度を表し、1〜50の数であるで表されるポリカーボネートジオールと、式(II): 式中、 R2は、水素原子又はメチル基であり、 R3は、水素原子又はメチル基であるで表されるアクリル酸ビニル化合物を、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ又はバルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼの存在下、反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法。 リパーゼが、固定化リパーゼである、請求項1記載のポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法。 固定化リパーゼを充填した流通管式反応器中で反応させることによる、請求項2記載のポリカーボネートジオールジアクリレートの製造方法。


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