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タイトル:特許公報(B2)_ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品
出願番号:2012504578
年次:2012
IPC分類:C08J 3/14,C08L 101/16,A61K 8/85,A61Q 1/12,A61Q 1/10


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竹崎 宏 小林 博 斎藤 真希子 浅野 到 JP 5110225 特許公報(B2) 20121019 2012504578 20111222 ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品 東レ株式会社 000003159 伴 俊光 100091384 細田 浩一 100125760 竹崎 宏 小林 博 斎藤 真希子 浅野 到 JP 2011018041 20110131 JP 2011145913 20110630 JP 2011256061 20111124 20121226 C08J 3/14 20060101AFI20121206BHJP C08L 101/16 20060101ALI20121206BHJP A61K 8/85 20060101ALI20121206BHJP A61Q 1/12 20060101ALI20121206BHJP A61Q 1/10 20060101ALI20121206BHJP JPC08J3/14C08L101/16A61K8/85A61Q1/12A61Q1/10 C08J A61K A61Q G03G 9 特開2004−269865(JP,A) 特開2009−242728(JP,A) 特開2009−144012(JP,A) 特開2012−011268(JP,A) 16 JP2011079776 20111222 WO2012105140 20120809 38 20120402 繁田 えい子 本発明は、ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品に関する。 ポリマー微粒子は、フィルム、繊維、射出成形品、押出成形品などのポリマー成形品とは異なり、比表面積が大きい点や、微粒子の構造を利用することで、各種材料の改質、改良に用いられている。主要用途としては、化粧品の改質剤、トナー用添加剤、塗料などのレオロジー改質剤、医療用診断検査剤、自動車材料、建築材料などの成形品への添加剤などが挙げられる。 一方、近年の環境問題への関心が高まるなか、環境負荷の低減の目的のため、非石油原料由来の材料を使用することが求められるようになっており、化粧品、塗料などポリマー微粒子が使用される分野も例外ではない。これら非石油原料由来ポリマーの代表的なものとしては、ポリ乳酸が挙げられる。 これまでポリ乳酸系樹脂微粒子または粉末の製造方法としては、凍結粉砕などに代表される粉砕法(特許文献1、2)、高温下の溶媒に溶解し、冷却して析出させたり、溶媒に溶解した後に貧溶媒を加えることにより析出させたりする溶媒溶解析出法(特許文献3、4)、2軸押出機等の混合機内でポリ乳酸系樹脂と非相溶の樹脂とを混合し、ポリ乳酸系樹脂を分散相に、ポリ乳酸系樹脂と非相溶の樹脂を連続相にもつ、樹脂組成物を形成させた後に、非相溶の樹脂を除去することによりポリ乳酸系樹脂微粒子を得る溶融混練法(特許文献5,6)などが知られている。 しかし、これら製法で作られるポリ乳酸系樹脂微粒子は、得られる粒子が真球形状ではない、粒子径が細かくならない、粒度分布が広い、場合によっては繊維状のものを含むなど球状を保つことができないなどの課題を抱えており、特に触感、質感を重視する化粧品分野、レオロジー制御が重要になる塗料などの分野では、現状のままでは、微粒子添加による効果は十分ではなかった。 一方、ポリマー微粒子の製造方法としては、エマルションを利用した方法として、特許文献7に記載の方法が知られている。しかしながら、特許文献7には、ポリ乳酸系樹脂について具体的な開示例はなく、ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造法は、明確ではなかった。特開2000−007789号公報特開2001−288273号公報特開2005−002302号公報特開2009−242728号公報特開2004−269865号公報特開2005−200663号公報国際公開2009/142231号 本発明は、ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、及び化粧品用途等に好適な平均粒子径が小さく、吸油量の高い多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子や、トナー用途等に好適な真球で粒子径分布の狭い表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子の提供を課題とする。 上記課題を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、下記発明に到達した。即ち、本発明に係るポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品は、以下の構成を有するものからなる。[1]ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)をエーテル系有機溶媒(C)に溶解させることにより、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相と、前記ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とする溶液相との2相に相分離する系を形成する溶解工程と、前記相分離する系に剪断力を加えてエマルションを形成するエマルション形成工程と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度がエーテル系有機溶媒(C)よりも小さい貧溶媒を前記エマルションに接触させることによりポリ乳酸系樹脂微粒子を析出させる微粒子化工程とを有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[2]前記エーテル系有機溶媒(C)の沸点が100℃以上である、[1]のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[3]前記エーテル系有機溶媒(C)がジエチレングリコールジメチルエーテルである、[2]のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[4]前記ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールのいずれかである、[1]から[3]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[5]前記貧溶媒が水である、[1]から[4]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[6]前記ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが5J/g以上である、[1]から[5]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[7]前記貧溶媒の接触温度が前記ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶化温度以上である、[6]のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[8]前記ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが5J/g未満である、[1]から[5]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。[9]数平均粒子径が1〜25.1μmであり、アマニ油吸油量が90ml/100g以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子。[10]数平均粒子径が1〜30μmであり、アマニ油吸油量が100ml/100g以上であり、真球度が85以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子。[11]融解エンタルピーが5J/g以上であるポリ乳酸系樹脂を用いてなる、[9]または[10]のポリ乳酸系樹脂微粒子。[12]粒子径分布指数が1〜2である、[9]〜[11]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子。[13]真球度が90以上であり、粒子径分布指数が1〜1.8であり、アマニ油吸油量が70ml/100g未満であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子(ただし、中空微粒子を除く)。[14]融解エンタルピーが5J/g未満であるポリ乳酸系樹脂を用いてなる、[13]のポリ乳酸系樹脂微粒子。[15]数平均粒子径が1〜100μmである、[13]または[14]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子。[16][9]から[15]のいずれかのポリ乳酸系樹脂微粒子を用いてなる化粧品。 本発明のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法により、簡便にポリ乳酸系樹脂微粒子を製造することが可能となり、さらには、吸油性や吸湿性に優れた多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子や、滑り性の良好な表面が平滑な真球形状のポリ乳酸系樹脂微粒子など、用途に応じた所望の形態のポリ乳酸系樹脂微粒子を製造することが可能となる。本発明により得られたポリ乳酸系樹脂微粒子は、ファンデーション、口紅、男性化粧品用スクラブ剤などの化粧品用材料、フラッシュ成形用材料、ラピッドプロトタイピング・ラピッドマニュファクチャリング用材料、プラスティックゾル用ペーストレジン、粉ブロッキング材、粉体の流動性改良材、潤滑剤、ゴム配合剤、研磨剤、増粘剤、濾剤および濾過助剤、ゲル化剤、凝集剤、塗料用添加剤、吸油剤、離型剤、プラスティックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、光沢調節剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面高硬度向上剤、靭性向上材等の各種改質剤、液晶表示装置用スペーサー、クロマトグラフィー用充填材、化粧品ファンデーション用基材・添加剤、マイクロカプセル用助剤、ドラッグデリバリーシステム・診断薬などの医療用材料、香料・農薬の保持剤、化学反応用触媒およびその担持体、ガス吸着剤、セラミック加工用焼結材、測定・分析用の標準粒子、食品工業分野用の粒子、粉体塗料用材料、電子写真現像用トナーなどに好適に使用することができる。実施例2で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。実施例4で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。実施例5で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。実施例7で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。実施例9で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。比較例3で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。比較例4で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。比較例5で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図である。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明におけるポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法は、ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)をエーテル系有機溶媒(C)に溶解させてなる系であって、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とする溶液相の2相に相分離する系を形成する溶解工程と、当該相分離する系に剪断力を加えてエマルションを形成するエマルション形成工程と、ポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度がエーテル系有機溶媒(C)よりも小さい貧溶媒をエマルションに接触させることによりポリ乳酸系樹脂微粒子を析出させる微粒子化工程とを有する。 上記ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法は、使用する有機溶媒がエーテル系有機溶媒(C)であることを特徴とする。エーテル系有機溶媒(C)を使用することで、ポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒を接触させた際に発生するポリ乳酸系樹脂微粒子同士の融着を防ぐことができる。エーテル系有機溶媒(C)以外の有機溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジプロピルアセタール、ジオキソランなどのアセタール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸系溶媒を使用した場合は、ポリ乳酸系樹脂を良く溶解するため、ポリ乳酸系樹脂の析出能が十分でなく、粒子形成がしにくく、またポリ乳酸系樹脂の貧溶媒を接触した際に、析出したポリ乳酸系樹脂微粒子内部に溶媒が残存し、ポリ乳酸系樹脂微粒子同士が融着しやすくなり、粒子形状、粒度分布に悪影響を及ぼす可能性が高くなる。 上記エーテル系有機溶媒(C)としては、具体的には、脂肪族鎖状エーテルであるジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジイソアミルエーテル、tert−アミルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、1−メトキシエタン(モノグライム)、1−エトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールジエチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、脂肪族環状エーテルであるテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、2,2,5,5−テトラメチルヒドロフラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、3−メチルテトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、芳香族エーテルであるアニソール、フェネトール(エチルフェノール)、ジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン、p−トリルエーテル、1,3−ジフェノキシベンゼン、1,2−ジフェノキシエタン等が挙げられる。中でも、工業的な利用しやすさの観点から、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1−エトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールジエチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソールが好ましい。 さらに、上記ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造する際、固液分離工程で分離されたエーテル系有機溶媒(C)及びポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)からポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒を除去し、エーテル系有機溶媒(C)を回収する工程が簡便になる観点から、上記エーテル系有機溶媒(C)は沸点が100℃以上であることがより好ましい。このようなエーテル系有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらのエーテル系有機溶媒は、単独、または混合して使用しても良いが、エーテル系有機溶媒を回収する工程が簡便になる観点から、単独での使用が好ましい。 また、エーテル系有機溶媒(C)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機溶媒を加えてもよい。エーテル系有機溶媒(C)を100質量部とした場合、他の有機溶媒の添加量は、通常100質量部未満であり、好ましくは、75質量部以下、より好ましくは、50質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下、特に好ましくは、20質量部以下、最も好ましくは、10質量部以下である。他の有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジプロピルアセタール、ジオキソランなどのアセタール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸系溶媒などが挙げられる。これらの他の有機溶媒は、単独、または混合して使用しても良い。 上述のポリ乳酸系樹脂(A)とは、L−乳酸およびD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーである。ポリ乳酸系樹脂(A)の主たる構成成分がL−乳酸およびD−乳酸であるとは、ポリ乳酸系樹脂(A)中の共重合体を構成するモノマー単位のうち、L−乳酸およびD−乳酸モノマー単位の合計が、モル比率で50モル%以上であることをいう。L−乳酸およびD−乳酸モノマー単位の合計のモル比率は、好ましくは、60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、さらに好ましくは、80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。上限としては通常100モル%である。 ここで、LまたはDとは、光学異性体の種類を表しており、乳酸のうち天然型の立体配置を持つものをL−乳酸あるいはL体乳酸、非天然型の立体配置を持つものをD−乳酸あるいはD体乳酸と表記する。 上記ポリ乳酸系樹脂(A)において、その乳酸モノマー単位の配列様式に特に限定はなく、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでも良い。融着時の温度をより低温化させる観点からは、ランダム共重合体が好ましい。 本発明のもう一つの特徴は、結晶性から非晶性まで幅広い種類のポリ乳酸系樹脂(A)からポリ乳酸系樹脂微粒子を製造可能な点であり、さらには、結晶性や非晶性のポリ乳酸系樹脂(A)を選択することで、ポリ乳酸系樹脂微粒子の形状を制御することが可能な点である。 ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶性が高いと、多孔質のポリ乳酸系樹脂微粒子を製造することが可能となる。ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶性は、融解エンタルピーで表すことができ、融解エンタルピーが高いほど結晶性であり、融解エンタルピーが低いほど非晶性のポリ乳酸系樹脂である。 ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが5J/g以上である場合、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶性が高くなり、表面が多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子が得られる。ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶性がより高くなると、より多孔質な形状のポリ乳酸系樹脂微粒子が得られるようになり、ポリ乳酸系樹脂微粒子の吸油性や吸湿性など、多孔質構造を利用した性能が向上する。従って、表面が多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子を製造する場合、融解エンタルピーの下限値としては、10J/g以上がさらに好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上が最も好ましい。また、その上限値は、特に制限はないが、100J/g以下であることが好ましい。 一方、ポリ乳酸系樹脂(A)が非晶性の場合、表面が平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子を製造することが可能となる。明確な理由は不明であるが、非晶質の状態でポリ乳酸系樹脂(A)が析出する場合、部分的な結晶化は抑制され、均質な状態で粒子が析出するため、表面が平滑になると考えられる。 表面が平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子を製造する場合、ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが小さいほど、より均質な状態で析出しやすくなるため、融解エンタルピーの上限値としては、5J/g未満が好ましく、3J/g未満がさらに好ましく、2J/g未満がより好ましく、1J/g未満が最も好ましい。また、その下限値は0J/gであり、これは、ポリ乳酸系樹脂(A)が完全に非晶性であることを示す。 なお、融解エンタルピーとは、示差走査熱量測定(DSC)にて、昇温速度20℃毎分の条件で200℃まで昇温した際、160℃付近の融解熱容量を示すピーク面積から算出したものを指す。 融解エンタルピーを調整する方法としては、ポリ乳酸系樹脂(A)を構成するL−乳酸およびD−乳酸の共重合比率(L/D)を調整する方法、ポリ乳酸系樹脂(A)に結晶化を促進する添加剤を加える方法、ステレオブロック構造を形成する方法など、公知の方法を用いることができる。中でも、ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーの調整しやすさから、L/Dの共重合比率を調整する方法が好ましい。L/Dが95/5以上の場合、融解エンタルピーが5J/g以上となり、結晶性のポリ乳酸系樹脂となる。L−乳酸の共重合比率が高いほど、結晶化しやすくなるため好ましく、L/Dが97/3以上がより好ましく、最も好ましくは、98/2以上である。L/Dの上限は、100/0未満である。また、L/Dが95/5未満の場合、融解エンタルピーが5J/g未満となり、非晶質のポリ乳酸系樹脂となる。L−乳酸の共重合比率が低いほど、非晶化しやすくなるため好ましく、92/8未満がより好ましく、89/11未満が最も好ましい。また、L/Dの下限は、50/50以上である。なお、D,Lなどの光学活性体は、その分子構造が鏡像関係にある物質であり、物理的特性は全く変わらないことから、上記L/DをD/Lと置き換えても融解エンタルピーは同じであり、本発明では、L/DをD/Lに置き換えた範囲についても包含される。 さらに、ポリ乳酸系樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲において、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などから生成する単位が挙げられる。このような他の共重合単位の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)の全単量体単位を100モル%としたときに、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下が最も好ましい。 ポリ乳酸系樹脂(A)の分子量や分子量分布は、実質的にエーテル系有機溶媒(C)に溶解可能であれば、特に限定されるものではないが、粒子構造を維持しやすく、耐加水分解性が向上するという観点からは、ポリ乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量の下限値としては、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、さらに好ましくは10万以上、特に好ましくは20万以上である。重量平均分子量の上限値は特に制限されないが、100万以下であることが好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。 ポリ乳酸系樹脂(A)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の重合方法を用いることができ、たとえば乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを用いることができる。 上述のポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)としては、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマーのうち、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられるが、エーテル系有機溶媒(C)に溶解しやすいという観点からは、熱可塑性樹脂が好ましい。 ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)としては、具体的には、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体であってもよい)、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンラウリン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジニウムクロライド、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、アミノポリ(アクリルアミド)、ポリ(パラビニルフェノール)、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリビニルホルマール、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(オキシエチレンアミン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアミノスルホン、ポリエチレンイミン等の合成樹脂、マルトース、セルビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖類、セルロース、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、アミロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、アルギン酸ナトリウムおよびその誘導体等の多糖類またはその誘導体、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン、フィブロイン、ケラチン、フィブリン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、アラビアゴム、寒天、たんぱく質等が挙げられ、粒子径分布が狭くなることから、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体であってよい)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、より好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、特に好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ヒドロキシプロピルセルロースである。 ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の分子量については、好ましくは、重量平均分子量で1,000〜100,000,000の範囲であり、より好ましくは、1,000〜10,000,000の範囲であり、さらに好ましくは、5,000〜1,000,000の範囲であり、特に好ましくは、10,000〜500,000の範囲であり、最も好ましくは、10,000〜100,000の範囲である。 ここでいう重量平均分子量とは、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を指す。なお、水で測定できない場合においては、溶媒としてジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合においては、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合においては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いるものとする。 上述の「ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)をエーテル系有機溶媒(C)に溶解させてなる系であって、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とする溶液相との2相に相分離する系」とは、ポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)(以下、ポリマーBと称することもある)とをエーテル系有機溶媒(C)に溶解させた溶液からなる系であって、これらを混合したときに、ポリ乳酸系樹脂(A)を主として含む溶液相と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主として含む溶液相の2相に分かれる系をいう。 このような相分離をする系を用いることにより、相分離する条件下で混合して、乳化させ、エマルションを形成させることができる。 なお、上記において、ポリマーが溶解するかどうかについては、溶解工程を実施する温度、即ちポリ乳酸系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)とをエーテル有機溶媒(C)中に溶解混合して、2相分離させる際の温度において、エーテル有機溶媒(C)に対し1質量%超溶解するかどうかで判別する。 このエマルションにおいては、ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相が分散相に、ポリマーB溶液相が連続相になる。そして、このエマルションに対し、ポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒を接触させることにより、エマルション中のポリ乳酸系樹脂(A)溶液相から、ポリ乳酸系樹脂微粒子が析出し、ポリ乳酸系樹脂(A)で構成されるポリマー微粒子を得ることが出来る。 上述のポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒とは、ポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度が上述のエーテル有機溶媒(C)よりも小さく、ポリ乳酸系樹脂(A)をほとんど溶解させない溶媒のことをいい、具体的には、ポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度が1質量%以下である溶媒のことをいう。この貧溶媒に対するポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度の上限値は、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。 上述の製造方法において用いるポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒としては、ポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒であり、かつ、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を溶解する溶媒であることが好ましい。これにより、ポリ乳酸系樹脂(A)で構成されるポリ乳酸系樹脂微粒子を効率よく析出させることができる。また、ポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒は、ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を溶解させる溶媒と均一に混合する溶媒であることが好ましい。 上記貧溶媒としては、用いるポリ乳酸系樹脂(A)の種類、望ましくは用いるポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)両方の種類に応じて最適なものを適宜選択すればよく、具体的に例示するならば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、水からなる群から選ばれる少なくとも1種類の溶媒などが挙げられる。ポリ乳酸系樹脂(A)を効率的に粒子化させる観点から、ポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒としては、好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、水であり、より好ましいのは、アルコール系溶媒、水であり、最も好ましくは、水である。 上記ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)、これらを溶解するエーテル系有機溶媒(C)およびポリ乳酸系樹脂(A)の貧溶媒を適切に選択して組み合わせることにより、効率的にポリ乳酸系樹脂を析出させてポリマー微粒子を得ることが出来る。 ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)、これらを溶解するエーテル系有機溶媒(C)を混合溶解させた液は、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とする溶液相の2相に相分離することが必要である。この際、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相のエーテル系有機溶媒(C)と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とするエーテル系有機溶媒(C)とは、同一でも異なっていても良いが、実質的に同じ溶媒であることが好ましい。 2相分離の状態を生成する条件は、ポリ乳酸系樹脂(A)またはポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の種類、ポリ乳酸系樹脂(A)またはポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の分子量、エーテル系有機溶媒(C)の種類、ポリ乳酸系樹脂(A)またはポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の濃度、発明を実施しようとする温度、圧力によって異なってくる。 相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の溶解度パラメーター(以下、SP値と称することもある)の差が離れていた方が好ましい。 この際、SP値の差の下限値としては、好ましくは1(J/cm3)1/2以上、より好ましくは2(J/cm3)1/2以上、さらに好ましくは3(J/cm3)1/2以上、特に好ましくは5(J/cm3)1/2以上、最も好ましくは8(J/cm3)1/2以上である。SP値がこの範囲内であれば、容易に相分離しやすくなり、また相分離がしやすくなることから、よりポリ乳酸系樹脂成分の含有率の高いポリ乳酸系樹脂微粒子を得ることができる。ポリ乳酸系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の両者がエーテル系有機溶媒(C)に溶けるのであれば、特に制限はないが、SP値の差の上限値としては、好ましくは20(J/cm3)1/2以下、より好ましくは、15(J/cm3)1/2以下であり、さらに好ましくは10(J/cm3)1/2以下である。なお、ここでいうSP値とは、Fedorの推算法に基づき計算されるものであり、凝集エネルギー密度とモル分子量を基にした計算方法(以下、計算法と称することもある。)によるものである(山本秀樹著、「SP値 基礎・応用と計算方法」、株式会社情報機構、平成17年3月31日発行)。また、上記計算方法により計算できない場合においては、既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による実験方法(以下、実験法と称することもある。)により溶解度パラメーター、すなわちSP値を算出し、それを代用する(ジェー・ブランド(J.Brand)著、「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」、ワイリー(Wiley)社、1998年発行)。 相分離状態になる条件を選択するためには、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)およびこれらを溶解するエーテル系有機溶媒(C)の3成分の比率を変化させた状態の観察による簡単な予備実験で作成できる、3成分相図を利用することが出来る。 相図の作成は、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)およびエーテル系有機溶媒(C)を任意の割合で混合溶解させ、静置を行った際に、界面が生じるか否かの判定を少なくとも3点以上、好ましくは5点以上、より好ましくは10点以上の点で実施することにより行う。このようにして作成した相図に基づいて2相に分離する領域および1相になる領域を峻別することにより、相分離状態になる条件を見極めることが出来る。 相分離状態であるかどうかを判定するためには、溶解工程を実施しようとする温度および圧力条件下において、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)およびエーテル系有機溶媒(C)の量を任意の比に調整した後、ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)をエーテル系有機溶媒(C)に完全に溶解させ、十分な攪拌を行う。そして、3日間放置した後、巨視的に相分離をするかどうかを確認する。しかし、十分に安定なエマルションになる場合においては、3日間放置しても巨視的な相分離をしない場合がある。その場合は、光学顕微鏡・位相差顕微鏡などを用い、微視的に相分離しているかどうかで、相分離の有無を判別する。 相分離は、エーテル系有機溶媒(C)中でポリ乳酸系樹脂(A)を主とするポリ乳酸溶液相と、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とするポリマーB溶液相に分離することによって生じる。この際、ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相は、ポリ乳酸系樹脂(A)が主として分配された相であり、ポリマーB溶液相はポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)が主として分配された相である。この際、ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相とポリマーB溶液相は、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の種類と使用量に応じた体積比を有すると推定される。 相分離の状態が得られ、且つ工業的に実施可能な濃度として、エーテル系有機溶媒(C)に対するポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の濃度は、エーテル系有機溶媒(C)に溶解し得る可能な限りの範囲内であればとくに限定はされない。相分離の状態を得ることができ、しかも工業的に実施可能な濃度という観点からは、それぞれの濃度の下限値としては、全質量に対して好ましくは1質量%超であり、より好ましくは2質量%であり、さらに好ましくは3質量%であり、より好ましくは5質量%である。また、それぞれの濃度の上限値は、好ましくは50質量%であり、より好ましくは30質量%であり、さらに好ましくは、20質量%である。 上記ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相およびポリマーB溶液相の2相については、両相とも有機溶媒であることから、2相間の界面張力が小さくなり、その結果、生成するエマルションが安定に維持され、粒子径分布が小さくなると推定される。 上記2相間の界面張力は微小であるため、通常用いられる溶液に異種の溶液を加えて測定する懸滴法などでは直接測定することは出来ないが、各相の空気との表面張力から推算することにより、界面張力の大きさを見積もることが出来る。各相の空気との表面張力をr1、r2とすると、2相間の界面張力r1/2は、r1/2=|r1−r2|(r1−r2の絶対値)という計算式で推算することができる。 このr1/2の好ましい範囲について、その上限は、好ましくは10mN/mであり、より好ましくは5mN/mであり、さらに好ましくは、3mN/mであり、特に好ましくは、2mN/mである。また、その下限は0mN/m超である。 上記2相間の粘度比は、平均粒子径および粒子径分布に影響を与え、粘度比が小さい方が、粒子径分布が小さくなる傾向にある。 上記2相間の粘度比の好ましい範囲について、その下限としては、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.5以上であり、著しく好ましいのは0.8以上である。また、その上限としては、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは、3以下であり、特に好ましくは、1.5以下であり、著しく好ましくは、1.2以下である。なお、ここでいう2相間の粘度比は、溶解工程を実施しようとする温度条件下での、「ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相の粘度/ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)溶液相の粘度」と定義する。 このようにして得られた相分離する系を用い、相分離した液相を混合させ、エマルション化させたのち、ポリマー微粒子を製造する。 微粒子化を行うには、通常の反応槽内でエマルション形成工程および微粒子化工程を実施することができる。エマルション形成工程および微粒子化工程を実施する温度について、工業的な実現性の観点から、その下限値としては、通常は0℃以上であり、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。また、その上限値としては、ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)が溶解し、相分離する温度であって、所望の微粒子が得られるならば特に制限はないが、好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは、200℃以下であり、より好ましくは、160℃以下であり、特に好ましくは、140℃以下の範囲であり、著しく好ましくは100℃以下である。 エマルション形成工程を実施する際の圧力は、工業的な実現性の観点から、常圧から10気圧の範囲である。好ましい圧力の下限値としては、1気圧である。圧力の上限値としては、好ましくは5気圧であり、さらに好ましくは、3気圧であり、より好ましくは、2気圧である。 また、反応槽は不活性ガスを使用することが好ましい。不活性ガスとは、具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素であり、好ましくは、窒素、アルゴンである。 このような条件下にて、上述の相分離系を混合することにより、エマルションを形成させる。すなわち上記溶解工程で得られた相分離する系としての溶液に、剪断力を加えることにより、エマルションを生成させる。 エマルションの形成に際しては、ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相が粒子状の液滴になるようにエマルションを形成させるが、一般に相分離させた際、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)溶液相の体積がポリ乳酸系樹脂(A)溶液相の体積より大きい場合に、このような形態のエマルションを形成させやすい傾向にある。特に、ポリ乳酸系樹脂(A)溶液相の体積比としては、両相の合計体積1に対して0.5未満であることが好ましく、0.4〜0.1の間にあることが好ましい。 なお、上記相図を作成する際に、各成分の濃度における体積比を同時に測定しておくことにより、適切な体積比の範囲を設定することが可能である。 本製造方法で得られる微粒子は、粒子径分布の小さい微粒子になるが、これは、エマルション形成の段階において、非常に均一なエマルションが得られるからである。この傾向は、ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の両方を溶解可能な単一溶媒を用いる際に顕著である。このため、本製造方法においてエマルションを形成させるに十分な剪断力を得るためには、公知の方法による攪拌を用いれば十分であり、例えば、攪拌羽による液相攪拌法、連続2軸混合機による攪拌法、ホモジナイザーによる混合法、超音波照射等公知の方法で混合することが出来る。 特に、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の形状にもよるが、攪拌速度は、好ましくは50rpm〜1,200rpm、より好ましくは、100rpm〜1,000rpm、さらに好ましくは、200rpm〜800rpm、特に好ましくは、300〜600rpmである。 攪拌羽としては、具体的には、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、タービン型、ダブルコーン型、シングルコーン型、シングルリボン型、ダブルリボン型、スクリュー型、ヘリカルリボン型などが挙げられるが、系に対して十分に剪断力をかけられるものであれば、これらに特に限定されるものではない。また、効率的な攪拌を行うために、反応槽内に邪魔板等を設置してもよい。 また、エマルションを発生させるためには、必ずしも、攪拌機だけでなく、乳化機、分散機など広く一般に知られている装置を用いてもよい。具体的に例示するならば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、スタティックミキサーなどが挙げられる。 このようにして得られたエマルションは、引き続き微粒子を析出させる微粒子化工程に供する。 ポリ乳酸系樹脂(A)の微粒子を得るためには、ポリ乳酸系樹脂(A)に対する貧溶媒を、前記工程で製造したエマルションに接触させることにより、エマルション径に応じた径で、微粒子を析出させる。 貧溶媒とエマルションの接触方法は、貧溶媒にエマルションを入れる方法でも良いし、エマルションに貧溶媒を入れる方法でも良いが、エマルションに貧溶媒を入れる方法が好ましい。 貧溶媒を投入する方法としては、所望のポリマー微粒子が得られる限り特に制限はなく、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、貧溶媒添加時にエマルションが凝集・融着・合一し、粒子径分布が大きくなったり、1000μmを超える塊状物が生成しやすくならないようにするために、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するためには、最も好ましいのは、連続滴下法である。 貧溶媒を接触させる際の温度は、ポリ乳酸系樹脂微粒子が析出する範囲であれば特に制限はなく、下限値は、0℃以上、上限値は、300℃以下の範囲である。温度が低すぎると貧溶媒が固化し使用できなくなるため、温度の下限値は10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。また、温度が高すぎると、ポリ乳酸系樹脂(A)やポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)などの熱劣化が進行しやすくなるため、温度の上限値は、好ましくは、200℃以下、より好ましくは、100℃以下、さらに好ましくは、90℃以下である。 上記製造方法において、融解エンタルピーが5J/g以上の結晶性のポリ乳酸系樹脂(A)を使用した場合、通常は多孔質の形態のポリ乳酸系樹脂微粒子が製造されるが、貧溶媒の接触温度をポリ乳酸系樹脂(A)の結晶化温度以上にすることで、表面が平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子が製造されるように制御することも可能である。詳しい理由は不明であるが、結晶性のポリ乳酸系樹脂(A)を結晶化温度以上にすることで、溶融した非晶状態となり、表面が平滑化すると考えられる。 なお、ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶化温度とは、一度溶融したポリ乳酸系樹脂(A)を冷却する過程における再結晶化時の温度を示す。結晶化温度の測定方法としては、示差走査熱量測定(DSC)にて、速度20℃毎分の条件で200℃まで昇温後、速度1℃毎分の条件で降温する際の吸熱容量を示すピーク頂点の温度を測定する。また、降温時にピークが現れない場合は、速度0.5℃毎分の条件で200℃まで昇温時の吸熱容量を示すピーク頂点の温度として測定することも可能である。 融解エンタルピーが5J/g以上の結晶性のポリ乳酸系樹脂(A)を使用する場合、平滑な表面形状のポリ乳酸系樹脂微粒子を製造するための貧溶媒の接触温度は、上記で定義した結晶化温度以上であることが好ましい。結晶化温度以上にすることで、より非晶な状態となり、平滑な表面のポリ乳酸系樹脂微粒子になりやすいため、温度の下限値としては、好ましくは結晶化温度+10℃であり、より好ましくは結晶化温度+20℃であり、さらに好ましくは結晶化温度+30℃である。また、温度の上限値としては、特に制限はないが、結晶化温度+100℃であることが好ましい。 また、貧溶媒を加える時間としては、好ましくは10分以上50時間以内であり、より好ましくは、15分以上10時間以内であり、さらに好ましくは30分以上5時間以内である。この範囲よりも短い時間で実施すると、エマルションの凝集・融着・合一に伴い、粒子径分布が大きくなったり、塊状物が生成したりする場合がある。また、これ以上長い時間で実施する場合は、工業的な実施を考えた場合、非現実的である。この時間の範囲内で行うことにより、エマルションからポリマー微粒子に転換する際に、粒子間の凝集を抑制することができ、粒子径分布の小さいポリマー微粒子を得ることができる。 加える貧溶媒の量は、エマルションの状態にもよるが、好ましくは、エマルション総重量1質量部に対して、0.1質量部から10質量部であり、より好ましくは、0.1質量部から5質量部であり、さらに好ましくは、0.2質量部から3質量部であり、特に好ましくは、0.2質量部から2質量部であり、最も好ましくは、0.2質量部から1.0質量部である。 貧溶媒とエマルションとの接触時間は、微粒子が析出するのに十分な時間であればよいが、十分な析出を引き起こしかつ効率的な生産性を得るためには、接触時間としては、好ましくは貧溶媒添加終了後5分から50時間であり、より好ましくは、5分以上10時間以内であり、さらに好ましくは、10分以上5時間以内であり、特に好ましくは、20分以上4時間以内であり、最も好ましくは、30分以上3時間以内である。 このようにして作られたポリマー微粒子分散液を、ろ過、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ等の公知の方法で固液分離することにより、微粒子粉体を回収することが出来る。固液分離したポリマー微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。 上記製造方法においては、微粒子粉体を得る際に行った固液分離工程で分離されたエーテル系有機溶媒(C)及びポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を再度活用するリサイクルを行うことが可能である。 固液分離で得た溶媒は、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)、エーテル系有機溶媒(C)および貧溶媒の混合物である。この溶媒から、貧溶媒を除去することにより、エマルション形成用の溶媒として再利用することが出来る。貧溶媒を除去する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離などが挙げられるが、好ましくは単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留による方法である。 単蒸留、減圧蒸留等の蒸留操作を行う際は、ポリマー微粒子製造時と同様、系に熱がかかり、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)やエーテル系有機溶媒(C)の熱分解を促進する可能性があることから、極力酸素のない状態で行うことが好ましく、不活性雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素条件下で実施することが好ましい。また、酸化防止剤としてフェノール系化合物等を添加しても良い。 上記リサイクルをする際、貧溶媒は極力除くことが好ましい。具体的には、貧溶媒の残存量が、リサイクルするエーテル系有機溶媒(C)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の合計量に対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、特に好ましくは、1質量%以下である。貧溶媒の残存量がこの範囲を超える場合には、微粒子の粒子径分布が大きくなったり、粒子が凝集したりするおそれがある。 リサイクルで使用する溶媒中の貧溶媒の量は、公知の方法で測定でき、ガスクロマトグラフィー法、カールフィッシャー法などで測定できる。 貧溶媒を除去する操作において、現実的には、エーテル系有機溶媒(C)、ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)などをロスすることもあるので、適宜、初期の組成比に調整し直すのが好ましい。 続いて、本発明のポリ乳酸系樹脂微粒子について詳細に説明する。 本発明における多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の特徴は、数平均粒子怪が小さく、表面が多孔質な形状である点であり、その細孔内に、油分や水分を多量に保持することが可能であるため、親油性、親水性の向上を図ることができ、さらには、粒子径が小さいため、従来の孔質を有する微粒子では達成できない滑らかさを付与することが可能であるという点である。このような多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子は、化粧品などの、吸油性や平滑性の両立が要求される分野等において、好適に使用される。 上記多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の数平均粒子径については、用途に応じて、適正な数平均粒子径の範囲を決定することができる。例えば、化粧品などの用途においては、数平均粒子径が小さいほうが滑らかさが向上するため、数平均粒子径の上限値としては、通常90μm以下であり、好ましい態様によれば、50μm以下であり、より好ましい態様によれば、30μm以下である。また、化粧品などに使用した場合、数平均粒子径が小さすぎると粒子同士の凝集が起こりやすくなるため、数平均粒子径の下限値としては、通常1μm以上であり、1μm超が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が最も好ましい。 上記多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の粒子径分布を示す粒子径分布指数としては、2以下であると、化粧品などに使用した場合、粒子の流れが向上し、より滑らかな感触が付与されるため好ましい。粒子径分布指数の上限値としては、好ましい態様によれば、1.5以下であり、より好ましい態様によれば、1.3以下であり、最も好ましい態様によれば、1.2以下である。また、その下限値は、理論上1である。 なお、ここでいう多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から任意の100個の粒子の直径を測定し、その算術平均を求めることにより算出することが出来る。上記写真において、粒子の形状が真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも1000倍以上、好ましくは、5000倍以上の倍率で測定する。 また、粒子径分布指数は、上記測定で得られた粒子直径の測定値を用いて、下記数値変換式に基づき算出する。 なお、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数(=100)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。 本発明における多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の孔質の存在量は、直接的に測定することは難しいが、間接指標として、日本工業規格などに定められている顔料試験方法であるのアマニ油吸油量(精製あまに油法 JIS K5101)を指標とすることができる。 特に化粧品、塗料などでの用途では、アマニ油吸油量がより高い方が好ましく、アマニ油吸油量の下限値としては、好ましくは、90ml/100g以上、より好ましくは、100ml/100g以上、さらに好ましくは、120ml/100g以上、特に好ましくは、150ml/100g以上、著しく好ましくは、200ml/100g以上、最も好ましくは、300ml/100g以上である。アマニ油吸油量の上限値については、1000ml/100g以下であることが好ましい。 また、上記多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子は、融解エンタルピー5J/g以上であることが好ましい。融解エンタルピーが高いほど、結晶性であるため、耐熱性や耐久性が高くなる傾向にある。融解エンタルピーの下限値としては、10J/g以上が好ましく、20J/g以上がより好ましく、30J/g以上がさらに好ましい。また、その上限値は、100J/g以下であることが好ましい。なお、融解エンタルピーは、示差走査熱量測定(DSC)にて、昇温速度20℃毎分の条件で200℃まで昇温した際、160℃付近の融解熱容量を示すピーク面積から算出できる。 さらに、上記多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子の真球度は80以上であることが好ましく、85以上がより好ましく、90以上であることがさらに好ましく、92以上であることが特に好ましく、95以上であることが最も好ましい。また、その上限値は、理論上100である。真球度が上記範囲内であると、すべり性等の質感が向上する。なお、真球度は、走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意の30個の粒子について短径と長径を測定し、測定値を下記数式に代入して算出する。 なお、S:真球度、n:測定数(=30)、DS:粒子個々の短径、DL:粒子個々の長径とする。 一方、本発明における、表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子の特徴は、表面が平滑であり真球度の高い形状であること、および粒子径分布が狭い点である。このようなポリ乳酸系樹脂微粒子を粉体として使用する場合、流動性の向上、すべり性等の質感の向上、塗料等へ添加した場合の粘度コントロールの容易化などが実現可能となる。また、このような表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子は、基材表面において容易に流動し、しかも粒子径分布が狭く基材に均質に融着することから、とくに、トナーなどの高い流動性と低温融着特性が求められる分野において好適に使用される。 上記表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子の真球度は、90以上であることが好ましい。トナーとして使用した場合の流動性が向上する観点から、真球度の下限値としては、92以上がより好ましく、95以上が最も好ましい。また、その上限値は、理論上100である。なお、真球度は、走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意の30個の粒子について短径と長径を測定し、測定値を下記数式に代入して算出する。 なお、S:真球度、n:測定数(=30)、DS:粒子個々の短径、DL:粒子個々の長径とする。 上記平滑表面なポリ乳酸系樹脂微粒子の数平均粒子径については、用途に応じて、適正な粒子径の範囲を定めることができる。数平均粒子径の上限値としては、通常は100μm以下であり、好ましい態様によれば、50μm以下であり、より好ましい態様によれば、30μm以下である。また、トナーなどに使用した場合、粒子径が小さすぎると粒子同士の凝集が起こりやすくなるため、数平均粒子径の下限値としては、通常は1μm以上であり、1μm超が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が最も好ましい。 上記平滑表面なポリ乳酸系樹脂微粒子の粒子径分布を示す粒子径分布指数としては、2以下であることが好ましい。粒子径分布指数が小さいほどトナーが均質に基材に融着することから、粒子径分布指数の上限値としては、1.8以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましく、1.2以下が最も好ましい。また、その下限値は、理論上1である。 なお、ここでいう表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から任意の100個の粒子の直径を測定し、その算術平均を求めることにより算出することが出来る。上記写真において、粒子の形状が真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも1000倍以上、好ましくは、5000倍以上の倍率で測定する。 また、粒子径分布指数は、上記測定で得られた粒子直径の測定値を用いて、下記数値変換式に基づき算出する。 なお、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数(=100)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。 また、表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子の融解エンタルピーに特に制限はないが、融解エンタルピーが5J/g未満であると、融点が低くなるため、低温融着性が求められるトナーなどの用途で好適に使用することができる。融解エンタルピーの上限値としては、3J/g未満が好ましく、2J/g未満がより好ましく、1J/g未満が最も好ましい。また、その下限値は、理論上0であり、これは、ポリ乳酸系樹脂が完全に非晶性であることを示す。なお、融解エンタルピーは、示差走査熱量測定(DSC)にて、昇温速度20℃毎分の条件で200℃まで昇温した際、160℃付近の融解熱容量を示すピーク面積から算出できる。 さらに、上記平滑表面なポリ乳酸系樹脂微粒子の孔質の存在量は、日本工業規格などに定められている顔料試験方法であるのアマニ油吸油量(精製あまに油法 JIS K5101)を指標とする。 特に、上記表面平滑なポリ乳酸系樹脂微粒子をトナーなどの用途で使用する場合、アマニ油吸油量がより低い方が基材に均質に融着するため好ましい。アマニ油吸油量の上限値としては、70ml/100g未満が好ましく、65ml/100g未満がより好ましく、60ml/100g未満がさらに好ましい。また、その下限値は、30ml/100gであることが好ましい。 このように、粒子径が小さく、吸油量が高い本発明の多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子や、真球形状で、粒子径分布が狭い本発明の平滑表面のポリ乳酸系樹脂微粒子は、産業上、各種用途で、極めて有用かつ実用的に利用することが可能である。具体的には、洗顔料、サンスクリーン剤、クレンジング剤、化粧水、乳液、美容液、クリーム、コールドクリーム、アフターシェービングローション、シェービングソープ、あぶらとり紙、マティフィアント剤などのスキンケア製品添加剤、ファンデーション、おしろい、水おしろい、マスカラ、フェイスパウダー、どうらん、眉墨、マスカラ、アイライン、アイシャドー、アイシャドーベース、ノーズシャドー、口紅、グロス、ほおべに、おはぐろ、マニキュア、トップコートなどの化粧品またはその改質剤、シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア製品の添加剤、香水、オーデコロン、デオドラント、ベビーパウダー、歯磨き粉、洗口液、リップクリーム、石けんなどのアメニティ製品の添加剤、トナー用添加剤、塗料などのレオロジー改質剤、医療用診断検査剤、自動車材料、建築材料などの成形品への機械特性改良剤、フィルム、繊維などの機械特性改良材、ラピッドプロトタイピング、ラピッドマニュファクチャリングなどの樹脂成形体用原料、フラッシュ成形用材料、プラスティックゾル用ペーストレジン、粉ブロッキング材、粉体の流動性改良材、潤滑剤、ゴム配合剤、研磨剤、増粘剤、濾剤および濾過助剤、ゲル化剤、凝集剤、塗料用添加剤、吸油剤、離型剤、プラスティックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、光沢調節剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面高硬度向上剤、靭性向上材等の各種改質剤、液晶表示装置用スペーサー、クロマトグラフィー用充填材、化粧品ファンデーション用基材・添加剤、マイクロカプセル用助剤、ドラッグデリバリーシステム・診断薬などの医療用材料、香料・農薬の保持剤、化学反応用触媒およびその担持体、ガス吸着剤、セラミック加工用焼結材、測定・分析用の標準粒子、食品工業分野用の粒子、粉体塗料用材料、電子写真現像用トナーなどに用いることができる。 また、ポリ乳酸系樹脂微粒子は、非石油原料由来の材料であり、環境低負荷な材料としての特性を有することから、従来使用されていたポリマー微粒子を代替する可能性があり、上記の樹脂成形体、フィルム、繊維などの具体的用途としては、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、各種端子板、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、カメラ、VTR、プロジェクションTVなどの撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像機器関連部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレイヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクターなどの情報機器関連部品、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、タッチパネル用導光フィルム、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、エンジンオイルフィルターおよび点火装置ケースなどが挙げられ、これら各種の用途にとって極めて有効である。 以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(1)融解エンタルピー、結晶化温度の測定 示差走査熱量計(セイコーインスツル社製 ロボットDSC RDC220)を用い、窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で200℃まで測定し、160℃付近の融解熱容量を示すピーク面積から算出した。 また、結晶化温度は、上記装置にて、200℃まで同条件で昇温した後に、1℃/分の降温速度で測定し、80℃〜130℃付近に現れる降温結晶化温度ピークの頂点温度を結晶化温度とした。(2)重量平均分子量 (i)ポリ乳酸系樹脂(A)の分子量測定 重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)による校正曲線と対比させて分子量を算出した。 装置:ウォーターズ社製 LCシステム カラム:昭和電工株式会社製 HFIP−806M×2本 移動相:トリフルオロ酢酸ナトリウム10mmol/L ヘキサフルオロイソプロパノール溶液 流速:1.0ml/min 検出:示差屈折率計 カラム温度:30℃ (ii)ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の分子量測定 重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。 装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ カラム:昭和電工株式会社製 GF−7MHQ ×2本 移動相:10mmol/L 臭化リチウム水溶液 流速:1.0ml/min 検出:示差屈折率計 カラム温度:40℃(3)界面張力の測定法 協和界面科学株式会社 自動接触角計 DM−501を装置として用い、ホットプレート上で、ポリ乳酸系樹脂(A)の溶液相およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)の溶液相について、各相と空気との表面張力r1、r2を測定し、その差である(r1−r2)の絶対値から界面張力を算出した。(4)平均粒子径および粒子径分布測定方法 微粒子の個々の粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、微粒子を1000倍で観察し、測定した。なお、粒子の形状が真円状でない場合は、長径をその粒子径として測定した。 平均粒子径は、電子顕微鏡写真から任意の100個の粒子直径を測定し、その算術平均を求めることにより算出した。 粒子径分布を示す粒子径分布指数は、上記測定で得られた個々の粒子直径の値を用いて、下記数値変換式に基づき算出した。 なお、Ri:粒子個々の粒子直径、n:測定数(=100)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。(5)真球度の測定 真球度は、走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、任意の30個の粒子について短径と長径を測定し、測定値を下記数式に代入して算出する。 なお、S:真球度、n:測定数(=30)、DS:粒子個々の短径、DL:粒子個々の長径とする。(6)アマニ油吸油量の測定 ポリ乳酸系樹脂微粒子の多孔度の指標である、吸油性の評価にあたっては、日本工業規格(JIS規格) JIS K5101“顔料試験方法 精製あまに油法”を用いた。ポリ乳酸系樹脂微粒子約100mgを時計皿の上に精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ。試料の塊ができるまで滴下−練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とした。滴下に使用した精製アマニ油の量から吸油量(ml/100g)を算出した。製造例1 ポリ乳酸の製造方法1 L−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)70.2g、D−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)30.1gおよびオクタノール1.1gを、撹拌装置のついた反応容器中加え、窒素雰囲気下、150℃で均一に溶解させた後、オクチル酸錫(アルドリッチ社製)0.90gの乾燥トルエン10質量%濃度に調整したトルエン溶液を加え、6時間重合反応させた。重合反応終了後、反応物をクロロホルムに溶解させ、メタノール中で撹拌しながら再沈殿させ、モノマーおよび触媒を除去して、固形分を得た。得られた固形分を濾別し、80℃で加熱真空乾燥することにより、L/D=70/30の共重合比率、融解エンタルピーは、0J/g、Mw(PMMA換算)11200、を有するポリ乳酸系樹脂を得た。このポリマーのSP値は、上述の計算法より、23.14(J/cm3)1/2であった。製造例2 ポリ乳酸の製造方法2 L−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)49.9g、D−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)49.8gおよびオクタノール0.95g、オクチル酸錫(アルドリッチ社製)0.95gに変更した以外は、製造例1と同じ条件で、L/D=50/50の共重合比率、融解エンタルピーは、0J/g、Mw(PMMA換算)9800のポリ乳酸系樹脂を得た。このポリマーのSP値は、上述の計算法より、23.14(J/cm3)1/2であった。製造例3 ポリ乳酸の製造方法3 L−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)70.1g、D−ラクチド(アルドリッチ社製:光学純度98%ee以上)29.8gおよびオクタノール0.10g、オクチル酸錫(アルドリッチ社製)0.90gに変更した以外は、製造例1と同じ条件で、L/D=70/30の共重合比率、融解エンタルピーは、0J/g、Mw(PMMA換算)98000のポリ乳酸系樹脂を得た。このポリマーのSP値は、上述の計算法より、23.14(J/cm3)1/2であった。参考例1 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)0.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)0.5g、エーテル系有機溶媒としてテトラヒドロフラン9.0gを加え、50℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として5gのイオン交換水を、ピペットを使って滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を0.4g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、33.0μm、粒子径分布指数は、1.55、のポリ乳酸微粒子であった。実施例2 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてテトラヒドロフラン46.0gを加え、50℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.4g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、25.1μm、粒子径分布指数は、1.35、真球度は、89、アマニ油吸油量は、432ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、57.8J/gであった。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図1に示す。参考例3 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)2.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてテトラヒドロフラン45.0を加え、50℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、白色固体を2.2g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、59.5μm、粒子径分布指数は、11.5、アマニ油吸油量は、661ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。実施例4 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(3001D L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)2.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)33.75g、その他の有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン11.25gを加え、80℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を維持したまま、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.82g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を2.4g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、13.7μm、粒子径分布指数は、1.24、真球度は、82、アマニ油吸油量は、524ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、58.2J/gであった。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図2に示す。実施例5 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=96/4、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=28.6J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてテトラヒドロフラン46.0g、を加え、60℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻し、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、10.0μm、粒子径分布指数は、1.10、真球度は、85、アマニ油吸油量は、96ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、34.3J/gであった。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図3に示す。実施例6 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=96/4、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=28.6J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)2.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル45.0g、を加え、80℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を維持したまま、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.82g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を2.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質の微粒子形状であり、数平均粒子径は、14.0μm、粒子径分布指数は、1.25、真球度は、93、アマニ油吸油量は、149ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、32.6J/gであった。実施例7 100mlのオートクレーブの中に、ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2、降温結晶化温度108℃)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル46.0gを加え、140℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を維持したまま、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、1.6μm、粒子径分布指数は、1.40、真球度は、95、アマニ油吸油量は、51ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、40.8J/gであった。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図4に示す。参考例8 100mlのオートクレーブの中に、ポリ乳酸(L/D=96/4、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=28.6J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2、降温結晶化温度108℃)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル46.0gを加え、140℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を維持したまま、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、1.8μm、粒子径分布指数は、1.82、真球度は、97、アマニ油吸油量は、58ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、30.4J/gであった。実施例9 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=88/12、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=0J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてテトラヒドロフラン46.0gを加え、60℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻し、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、4.5μm、粒子径分布指数は、1.1、真球度は、95、アマニ油吸油量は、58ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、0J/gであった。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図5に示す。参考例10 製造例1のポリ乳酸に変更した以外は、実施例9と同様の条件で粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、7.8μm、粒子径分布指数は、1.31、真球度は、91のポリ乳酸微粒子であった。参考例11 製造例2のポリ乳酸に変更した以外は、実施例9と同様の条件で粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、10.2μm、粒子径分布指数は、1.20、真球度は、94のポリ乳酸微粒子であった。参考例12 製造例3のポリ乳酸に変更した以外は、実施例9と同様の条件で粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、12.1μm、粒子径分布指数は、1.33、真球度は、90のポリ乳酸微粒子であった。実施例13 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(L/D=88/12、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=0J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)2.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル45.0gを加え、80℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を維持したまま、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、ポンプを使って1時間で滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を1.3g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、10.2μm、粒子径分布指数は、1.32、真球度は、94、アマニ油吸油量は、67ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、0J/gであった。比較例1 100mlのオートクレーブの中に、ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.5g、ポリ乳酸とは異なるポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業株式会社製、重量平均分子量118,000 、SP値29.0(J/cm3)1/2)2.5g、エーテル系有機溶媒の代わりとしてN−メチル−2−ピロリドン46.0gを加え、50℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻し、スターラーで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、滴下ポンプを使用して、0.41g/分のスピードで滴下した。全量の水を入れ終わった後に、さらに30分間攪拌した。このスラリー液を濾別したところ、取扱性が悪く、粉体として取り出すことは困難であった。スラリー状態での平均粒子径をレーザー回折式粒度分布計(株式会社 島津製作所 SALD−2100)を用い、体積平均粒子径、個数平均粒子径を測定したところ、平均粒子径(体積平均粒子径)24.3μm、粒子径分布指数9.1の微粒子であった。比較例2 100mlの4口フラスコの中に、ポリ乳酸(D体1.2%、Mw(PMMA換算)16万、融点168℃)5g、有機溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)50.0g加え、オイルバス中にて加熱還流条件下で溶解させた。オイルバスの電源を切り、徐冷させることにより2時間かけて室温まで冷却し、ポリ乳酸微粒子の懸濁液を得た。得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃、10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を4.88g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質な微粒子形状であり、数平均粒子径は、64.0μm、粒子径分布指数は、3以上、真球度は、50以下のポリ乳酸微粒子であった。比較例3 特許文献4(特開2009−242728号公報)の方法により、ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造した。オートクレーブにポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.0g、オルト−ジクロロベンゼン9.0gを加え、160℃に加熱し完全に溶解させた。その後30℃のオイルバス中にオートクレーブを浸し、15分間維持した。得られた粉体をろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を0.9g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、多孔質な微粒子形状であり、数平均粒子径は、234.3μm、粒子径分布指数は、1.10、真球度は、86、アマニ油吸油量は、86ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、21.2J/gであった。得られたポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図6に示す。比較例4 特許文献2(特開2004−269865号公報)の方法により、ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造した。ポリ乳酸(L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)24.0、オリゴ糖(三菱商事フードテック社製 還元でん粉糖化物PO−10)40.0g、ペンタエリスリトール16.0を200℃のラボプラストミルに加え、50回転/分の回転速度で、5分間混練を行った。冷却後、得られた塊状物をイオン交換水に加え、60℃で洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を21.0g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子形状であり、数平均粒子径は、6.1μm、粒子径分布指数は、17.1、真球度は、94、アマニ油吸油量は、56ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、38.8J/gであった。得られたポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図7に示す。比較例5 特許文献2(特開2004−269865号公報)の方法により、ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造した。ポリ乳酸((L/D=88/12、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=0J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)24.0、オリゴ糖(三菱商事フードテック社製 還元でん粉糖化物PO−10)40.0g、ペンタエリスリトール16.0gを200℃のラボプラストミルに加え、50回転/分の回転速度で、5分間混練を行った。冷却後、得られた塊状物をイオン交換水に加え、60℃で洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、粉体状の白色固体を21.5g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平滑表面な微粒子と繊維状の形状を含んでおり、数平均粒子径は、4.7μm、粒子径分布指数は、6.2、真球度は、79、アマニ油吸油量は、54ml/100gのポリ乳酸微粒子であった。また、本ポリ乳酸微粒子の融解エンタルピーは、0J/gであった。得られたポリ乳酸系樹脂微粒子の走査型電子顕微鏡による観察図を図8に示す。比較例6 特許文献3(特開2005−2302号公報)の方法により、ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造した。ポリ乳酸((L/D=98.8/1.2、Mw(PMMA換算)16万、融解エンタルピー=31.1J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.4gに、1,3−ジオキソラン12.6gを加え完全に溶解した後に酢酸エチル7.0gを加えた。ホモジナイザーを用い攪拌しながら、水21.0gを20分で滴下したが、塊状物が生成し、微粒子を得ることはできなかった。比較例7 特許文献3(特開2005−2302号公報)の方法により、ポリ乳酸系樹脂微粒子を製造した。ポリ乳酸(L/D=88/12、Mw(PMMA換算)15万、融解エンタルピー=0J/g、SP値23.14(J/cm3)1/2)1.4gに、1,3−ジオキソラン12.6gを加え完全に溶解した後に酢酸エチル7.0gを加えた。ホモジナイザーを用い攪拌しながら、水21.0gを20分で滴下したが、塊状物が生成し、微粒子を得ることはできなかった。 実施例2,4〜7,9,13、参考例1,3,8,10〜12および比較例1〜7について、製造条件を表1に、得られたポリ乳酸系樹脂微粒子に関する測定結果を表2に示す。実施例14(ファンデーション) 実施例2で得られたポリ乳酸微粒子5質量%、タルク35質量%、マイカ30質量%、合成金雲母10質量%、酸化チタン5質量%、水酸化アルミニウム3質量%、ステアリン酸4質量%、酸化鉄3質量%、ブチルパラペン0.2質量%、メチルパラペン0.1質量%、ジメチコン9質量%、メチコン1.7質量%、トリメチルシロキシケイ酸4質量%以上の処方で配合品を作成した。この配合品はすべり性がよく、しっとりした感触を有するものであった。参考例15 参考例3で得られたポリ乳酸微粒子に変更した以外は、実施例14と同様の条件で、配合品を作成した。この配合品はすべり性がよく、しっとりした感触を有するものであった。実施例16 実施例4で得られたポリ乳酸微粒子に変更した以外は、実施例14と同様の条件で、配合品を作成した。この配合品はすべり性がよく、しっとりした感触を有するものであった。実施例17 実施例5で得られたポリ乳酸微粒子に変更した以外は、実施例14と同様の条件で、配合品を作成した。この配合品はすべり性がよく、しっとりした感触を有するものであった。比較例8 ポリ乳酸微粒子を使用せず、実施例14と同様の条件で、配合品を作成した。この配合品はすべり性が悪く、感触もざらついていた。実施例18(パウダーアイシャドウ) 実施例9の方法で得たポリ乳酸微粒子7質量%、合成マイカ63.6質量%、二酸化チタン被覆マイカ15質量%、グリセリン6質量%、スクワラン4質量%、メチコン1.8質量%、シリカ0.2質量%、群青2.0質量%、有機顔料0.2質量%、エチルパラベン0.2質量%以上の処方で配合品を作成した。この配合品は滑り性が良く、光沢感を有するものであった。実施例19(ファンデーション) 実施例9の方法で得たポリ乳酸微粒子5質量%、タルク35質量%、マイカ30質量%、合成金雲母10質量%、酸化チタン5質量%、水酸化アルミニウム3質量%、ステアリン酸4質量%、酸化鉄3質量%、ブチルパラペン0.2質量%、メチルパラペン0.1質量%、ジメチコン9質量%、メチコン1.7質量%、トリメチルシロキシケイ酸4質量%以上の処方で配合品を作成した。この配合品はすべり性を有しているために伸びが良く、べたつきのない質感と光沢感を有するものであった。比較例9、比較例10 市販微粒子のアマニ油吸油量の評価を行った。その結果および実施例2、4、5、参考例3の結果を併せ、表3に示す。 使用微粒子:ナイロン微粒子 SP−500(東レ株式会社製)(比較例9) ナイロン微粒子 TR−1(東レ株式会社製)(比較例10)実施例20、参考例21〜23、比較例11、12(トナー基材としての評価) 実施例9および参考例10〜12で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子が、低温定着性能を有したトナー基材になりうるかどうかの判断を、粉体流動性、80℃加熱時溶融性の点から実施した。実施例2、比較例2で製造したポリ乳酸系樹脂微粒子も評価した。その結果を表4に示す。 実施例9および参考例10〜12のポリ乳酸系樹脂微粒子は、流動性がよくかつフィルム状に製膜された。実施例2のポリ乳酸系樹脂微粒子は、流動性が不十分であり、粉状体のままであり、また比較例2のものは、粒度分布が広く、さらに真球度も低いため、流動性がなく、また加熱時溶融性については、溶融し、部分的に膜状化したもののフィルム状にはならなかった。 粉体流動性:粉体ロート(ポリプロピレン製)から粉体をおとし、平面と粉末の稜線の作る角(安息角)を測定し、50°以下を合格とした。あわせて、ロートへの残存の状態を観察し、残存しないものを良好なものとした。 80℃加熱時溶融性:粉末を80℃のホットプレートの上に100mg配置し、5分後に粒子形状を維持せず、フィルム状になったものを合格、それ以外のものを不合格とした。 本発明の小粒子径で、吸油量が高い多孔質形状のポリ乳酸系樹脂微粒子や、真球形状で、粒子径分布が狭い平滑表面のポリ乳酸系樹脂微粒子は、産業上、各種用途で、極めて有用かつ実用的に利用することが可能である。具体的には、洗顔料、サンスクリーン剤、クレンジング剤、化粧水、乳液、美容液、クリーム、コールドクリーム、アフターシェービングローション、シェービングソープ、あぶらとり紙、マティフィアント剤などのスキンケア製品添加剤、ファンデーション、おしろい、水おしろい、マスカラ、フェイスパウダー、どうらん、眉墨、マスカラ、アイライン、アイシャドー、アイシャドーベース、ノーズシャドー、口紅、グロス、ほおべに、おはぐろ、マニキュア、トップコートなどの化粧品またはその改質剤、シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア製品の添加剤、香水、オーデコロン、デオドラント、ベビーパウダー、歯磨き粉、洗口液、リップクリーム、石けんなどのアメニティ製品の添加剤、トナー用添加剤、塗料などのレオロジー改質剤、医療用診断検査剤、自動車材料、建築材料などの成形品への機械特性改良剤、フィルム、繊維などの機械特性改良材、ラピッドプロトタイピング、ラピッドマニュファクチャリングなどの樹脂成形体用原料、フラッシュ成形用材料、プラスティックゾル用ペーストレジン、粉ブロッキング材、粉体の流動性改良材、潤滑剤、ゴム配合剤、研磨剤、増粘剤、濾剤および濾過助剤、ゲル化剤、凝集剤、塗料用添加剤、吸油剤、離型剤、プラスティックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、光沢調節剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面高硬度向上剤、靭性向上材等の各種改質剤、液晶表示装置用スペーサー、クロマトグラフィー用充填材、化粧品ファンデーション用基材・添加剤、マイクロカプセル用助剤、ドラッグデリバリーシステム・診断薬などの医療用材料、香料・農薬の保持剤、化学反応用触媒およびその担持体、ガス吸着剤、セラミック加工用焼結材、測定・分析用の標準粒子、食品工業分野用の粒子、粉体塗料用材料、電子写真現像用トナーなどに用いることができる。 ポリ乳酸系樹脂(A)およびポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)をエーテル系有機溶媒(C)に溶解させることにより、前記ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする溶液相と、前記ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)を主成分とする溶液相との2相に相分離する系を形成する溶解工程と、前記相分離する系に剪断力を加えてエマルションを形成するエマルション形成工程と、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の溶解度がエーテル系有機溶媒(C)よりも小さい貧溶媒を前記エマルションに接触させることによりポリ乳酸系樹脂微粒子を析出させる微粒子化工程とを有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記エーテル系有機溶媒(C)の沸点が100℃以上である、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記エーテル系有機溶媒(C)がジエチレングリコールジメチルエーテルである、請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記ポリ乳酸系樹脂とは異なるポリマー(B)が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記貧溶媒が水である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが5J/g以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記貧溶媒の接触温度が、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶化温度以上である、請求項6に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 前記ポリ乳酸系樹脂(A)の融解エンタルピーが5J/g未満である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法。 数平均粒子径が1〜25.1μmであり、アマニ油吸油量が90ml/100g以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子。 数平均粒子径が1〜30μmであり、アマニ油吸油量が100ml/100g以上であり、真球度が85以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子。 融解エンタルピーが5J/g以上であるポリ乳酸系樹脂を用いてなる、請求項9または10に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子。 粒子径分布指数が1〜2である、請求項9〜11のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子。 真球度が90以上であり、粒子径分布指数が1〜1.8であり、アマニ油吸油量が70ml/100g未満であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂微粒子(ただし、中空微粒子を除く)。 融解エンタルピーが5J/g未満であるポリ乳酸系樹脂を用いてなる、請求項13に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子。 数平均粒子径が1〜100μmである、請求項13または14に記載のポリ乳酸系樹脂微粒子。 請求項9〜15のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂微粒子を用いてなる化粧品。


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