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タイトル:特許公報(B2)_乳酸塩の製造方法
出願番号:2012501053
年次:2012
IPC分類:C12P 7/56


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井手 深雪 伊藤 正照 胸組 豪 山田 勝成 JP 5088454 特許公報(B2) 20120921 2012501053 20111212 乳酸塩の製造方法 東レ株式会社 000003159 井手 深雪 伊藤 正照 胸組 豪 山田 勝成 JP 2010277026 20101213 20121205 C12P 7/56 20060101AFI20121115BHJP JPC12P7/56 C12P 7/56 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2010−057389(JP,A) 特開2010−189310(JP,A) 特開2009−201506(JP,A) 国際公開第2007/049736(WO,A1) 6 JP2011078655 20111212 WO2012081533 20120621 14 20120627 (出願人による申告)平成22年度新エネルギー・産業技術総合開発機構、「微生物機能を活用した環境調和型製造基盤技術開発/微生物機能を活用した高度製造基盤技術開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 鶴 剛史 本発明は、乳酸塩水溶液を晶析することによる乳酸塩の製造方法に関する。 乳酸は、食品用、医薬用などといった用途の他に、生分解性プラスチック(ポリ乳酸等)のモノマーとして工業的用途にまで広く適用され、需要が増加している。乳酸は、微生物による発酵により生産されることが知られており、微生物はグルコースに代表される炭水化物を含有する基質を乳酸に変換する。乳酸は、カルボニルα位の炭素に結合している置換基の立体配座により、(L)−体および(D)−体の光学異性体に分類されるが、微生物発酵によれば、微生物を適宜選択することにより(L)−体または(D)−体の乳酸を選択的に、または(L)−体及び(D)−体の混合体(ラセミ体)の乳酸を生産することができる。 微生物発酵による乳酸の生産は、一般に培養液中にアルカリ性物質を添加することで、微生物発酵に最適なpHに保持されながら行われるため、培養液中では乳酸の多くは乳酸塩として存在している。具体的には、培養液中に添加するアルカリ性物質として水酸化カルシウムがしばしば用いられるが、この場合、微生物発酵により生産された乳酸は培養液中では乳酸カルシウムとして存在している。なお、乳酸カルシウムは、カルシウム吸収性が高いことから、良質なカルシウム供給源として食品用途に注目されている。 また、乳酸を生分解性プラスチックのモノマーとして使用する場合、発酵終了後の培養液に酸性物質(例えば、硫酸)を添加後、膜分離、イオン交換、などといった通常の精製操作により得られるフリー体の乳酸が好ましく用いられるが、その場合、純度の高い乳酸が必要とされるため、発酵終了後の培養液に含まれる糖、タンパク質などの不純物を除去するため、酸性物質を添加する前に培養液を晶析して乳酸塩を固体として分離する方法が用いられる。 乳酸塩水溶液を晶析して乳酸塩を分離する方法としては、乳酸塩水溶液を加熱、減圧条件下、水を蒸発させて培養液中の乳酸塩濃度を飽和溶解度まで高めた後、温度を下げて晶析する方法が知られており(特許文献1および2)、培養液では乳酸生産酵母の発酵培養液を晶析して乳酸塩を回収する方法が知られているが(特許文献3)晶析の回収率を高めるためには固液分離後の母液を再度加熱濃縮、冷却を繰り返す必要があり、多大なエネルギーを要するため、効率が悪い。そのため、乳酸塩をエネルギー効率よく回収する方法として、晶析操作の前に乳酸塩水溶液(微生物発酵培養液)を逆浸透膜に通じて乳酸以外の有機酸(酢酸、ギ酸等)を除去しながら培養液中の乳酸を濃縮する方法が開発されたが(特許文献2)、必ずしも乳酸塩の回収率は十分ではなかった。特開昭60−217897号公報特開2009−201506号公報特開2010−57389号公報 本発明は、乳酸塩水溶液から乳酸塩を晶析する場合において、乳酸塩を高効率で回収する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、乳酸塩水溶液中にギ酸塩が一定量以上含まれていることで乳酸塩の過飽和が安定化され、飽和溶解度を超える濃度まで濃縮することが可能となり、晶析操作における乳酸塩の回収率を向上させる効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)から構成される。(1)乳酸塩に対してギ酸塩が7.0重量%以上含まれている乳酸塩水溶液を晶析して乳酸塩を回収する工程を含む、乳酸塩の製造方法。(2)前記乳酸塩水溶液が乳酸塩に対してギ酸塩が7.0〜40.0重量%含まれている乳酸塩水溶液である、(1)に記載の乳酸塩の製造方法。(3)前記乳酸塩が乳酸カルシウムまたは乳酸マグネシウムである、(1)または(2)に記載の乳酸塩の製造方法。(4)前記乳酸塩水溶液の乳酸塩濃度が10.0〜30.0重量%である、(1)から(3)のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。(5)前記乳酸塩を晶析する温度が30℃以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。(6)前記乳酸塩水溶液を30〜60℃で逆浸透膜に通じて得られる濃縮液を晶析する、(1)から(5)のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。 本発明により、乳酸塩水溶液中の乳酸塩の過飽和を安定化することができ、乳酸塩水溶液から乳酸塩を晶析する際に乳酸塩を高効率で回収することができる。乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムが0、2.5、7.2、14.5、25.0重量%含まれる乳酸カルシウムの保温時間1時間における溶解度曲線。乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムが0、2.5、7.2、14.5、25.0重量%含まれる乳酸カルシウムの保温時間3時間における溶解度曲線。乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムが0、2.5、7.2、14.5、25.0重量%含まれる乳酸カルシウムの保温時間6時間における溶解度曲線。 以下、本発明をより詳細に説明する。 本発明は、ギ酸塩を含む乳酸塩水溶液から乳酸塩を晶析することによる乳酸の製造方法であって、乳酸塩水溶液は乳酸塩に対してギ酸塩を7重量%以上含んでいることを特徴としている。 本発明における「乳酸塩水溶液」とは、乳酸塩を含む水溶液のことを意味する。乳酸塩が含まれている水溶液であれば特に限定されず、水に乳酸塩を添加した溶液であってもよく、また、当業者にとって公知の乳酸発酵微生物による乳酸発酵培養よって生産される乳酸発酵培養液に乳酸塩が含まれていれば、該乳酸発酵培養液であってもよい。 本発明において乳酸塩水溶液に含まれる乳酸塩は特に限定されないが、具体例として、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウムまたは乳酸アンモニウムが挙げられる。乳酸塩が乳酸カルシウムまたは乳酸マグネシウムである場合、溶解度が比較的小さいため、晶析操作における乳酸塩の回収率が高いため、好ましく、乳酸カルシウムである場合、より好ましい。 本発明における乳酸塩水溶液に含まれるギ酸塩は特に限定されないが、具体例として、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸ケイ素、ギ酸マンガン、ギ酸ニッケル、ギ酸スズ、ギ酸鉄、ギ酸銅、ギ酸コバルト、ギ酸カルシウム・マグネシウムまたはギ酸アンモニウムが挙げられるが、例えば、乳酸塩が乳酸カルシウムの場合はギ酸塩がギ酸カルシウム、乳酸塩が乳酸マグネシウムの場合はギ酸塩がギ酸マグネシウムなどのように、乳酸塩と同一の金属イオンを含むギ酸塩が好ましい。 乳酸塩水溶液として乳酸発酵微生物の乳酸発酵培養液または乳酸発酵培養液由来のものを使用する場合、発酵培養液のpH調整の際にアルカリ性物質、具体的には塩基性物質を添加すればよい。添加されるアルカリ性物質としては特に限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムまたはアンモニアが好ましく用いられ、その結果として培養液には、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウムまたは乳酸アンモニウムが形成される。なお、前述の通り本発明では乳酸塩が乳酸カルシウムまたは乳酸マグネシウムである場合において晶析操作における乳酸塩の回収率が高いことから、培養時に添加されるアルカリ性物質としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酢酸カルシウムまたは酢酸マグネシウムがより好ましく用いられ、水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムがさらに好ましく用いられる。 本発明における「乳酸塩に対してギ酸塩が7.0重量%以上含まれている乳酸塩水溶液」とは、乳酸塩水溶液中に含まれる乳酸塩に対してギ酸塩が7.0重量%以上含まれることを意味し、乳酸塩水溶液中の乳酸塩量およびギ酸塩量を測定した結果、乳酸塩に対するギ酸塩量が7重量%未満であれば適宜乳酸塩水溶液にギ酸塩を添加することで調製される。なお、乳酸塩水溶液に含まれる乳酸塩およびギ酸塩は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量することができ、乳酸塩水溶液に含まれる乳酸塩およびギ酸塩の重量から、乳酸塩水溶液における乳酸塩に対するギ酸塩量を測定することができる。 乳酸塩水溶液における乳酸塩に対するギ酸塩量は7.0重量%未満だと乳酸塩の過飽和の安定性が不十分であり、晶析操作における乳酸塩の回収率向上の効果が小さい。また、乳酸塩水溶液における乳酸塩に対するギ酸塩量の上限は、乳酸塩が過飽和で安定化する範囲においては特に限定されないが、40.0重量%を超えると、晶析操作において回収した乳酸塩結晶中にギ酸塩が巻き込まれてしまうことがあり、それにより乳酸塩の純度を向上するために乳酸塩結晶の洗浄を繰り返し行う必要があるため、好ましくは7.0〜40.0重量%であり、より好ましくは7.2〜30.0重量%である。 本発明における「乳酸塩水溶液を晶析して乳酸塩を回収する」とは乳酸塩が溶解した乳酸塩水溶液を冷却して乳酸塩スラリーを得て、得られた乳酸塩スラリーを固液分離により析出した乳酸塩を回収することを意味する。 乳酸塩水溶液を冷却する温度としては、乳酸塩が析出する飽和溶解度以下の温度条件にコントロールすればよく、具体的には30℃以下が好ましい。また、低温であればあるほど乳酸塩回収率を上げることができるが、低温ほど多量の冷却エネルギーを必要とするため、10〜30℃の温度条件で晶析を行うことがより好ましい。 晶析により得られた乳酸塩スラリーは固液分離操作により結晶と母液に分離される。固液分離方法は特に限定されないが、具体例として、遠心分離、加圧濾過、吸引濾過、クロスフロー濾過などが挙げられる。なお、固液分離後の母液には、飽和溶解度以下の乳酸塩が含まれるため、母液を再度晶析操作に供することで乳酸塩の回収率を向上することができる。具体例として、母液を逆浸透膜に通じることで晶析操作によって回収できなかった乳酸塩を濃縮・回収できるので、該濃縮液を晶析操作に供することで母液に含まれる乳酸塩を回収することができる。 一方、ギ酸塩は溶解度が高いことから通常の乳酸塩晶析温度では結晶として析出せず、乳酸塩水溶液中に含まれるギ酸塩のほぼ100%が乳酸塩晶析母液側に含まれるため、母液をリサイクルすることで、連続晶析操作においても一定の乳酸塩回収率向上効果が得られる。 固液分離後の結晶にはギ酸および他の不純物、特に乳酸塩が微生物の発酵培養液由来である場合は、発酵培地成分や副産物が結晶に付着することがあるため、結晶を洗浄することで純度の高い乳酸塩を得ることができる。結晶の洗浄は、固液分離中、または固液分離後いずれの過程でもよい。洗浄剤としては、純水を使用してもよいが、純水洗浄の場合、乳酸塩が一部溶解し、回収率が低下する場合があるために、回収対象とする乳酸塩と同一の乳酸塩の飽和水溶液で洗浄することで、回収率の低下を抑制できる。また、純水または乳酸塩飽和水溶液で結晶を洗浄した後の洗浄液を再度晶析操作に供することでも乳酸塩回収率の低下を抑制できる。 晶析操作に供される乳酸塩水溶液の乳酸塩濃度は特に限定されないが、10.0〜30.0重量%が好ましい。10.0重量%以上であれば晶析による回収率高めることができるが、30.0重量%を超えると、スラリー化により晶析槽内部を均一に撹拌できない場合があり、操作性に問題が生じる場合がある。また、乳酸塩水溶液の乳酸塩濃度が10.0重量%未満の場合は、濃縮操作により乳酸塩濃度を10.0重量%以上に高めた後に晶析することが好ましい。 晶析操作に供される乳酸塩水溶液の液温は晶析操作前に乳酸塩がロスすることのない温度、即ち、乳酸塩が析出しない温度であれば特に限定されないが、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上に調整する。 乳酸塩水溶液を濃縮する方法は、エバポレーターに代表される濃縮装置で加熱、減圧により水を蒸発させたり、逆浸透膜によって乳酸塩濃度を高めることができるが、濃縮に要するエネルギーを低減できることから、逆浸透膜による濃縮方法が好ましい。乳酸塩水溶液の逆浸透膜による濃縮は、特開2010−57389号公報に記載の方法に準じて実施すればよい。 乳酸塩水溶液の逆浸透膜による濃縮時の液温は特に限定されるものではないが、好ましくは30〜60℃、より好ましくは35〜55℃に調整することが好ましい。逆浸透膜による濃縮は、通常、固形分が析出しない濃度まで濃縮できるが、乳酸塩の飽和溶解度は、温度が高くなるほど大きくなるため、乳酸塩を含んだ培養液の温度が30℃以上であれば、乳酸塩を析出させずに高濃度の濃縮液を調整することができる。一方、逆浸透膜に通じる操作温度が60℃を越えると、逆浸透膜の構造変化により次第に透水性が低下し、長期間の逆浸透膜濾過運転に支障をきたす場合がある。 乳酸塩を含んだ水溶液を逆浸透膜に通じる際の操作圧力は、1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、1〜8MPaの範囲であることが好ましい。また、濾過圧が1〜7MPa以下の範囲であれば、膜透過流束が高いことから、水を効率的に透過させることができ、膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことからより好ましく、2〜6MPa以下の範囲であることがさらに好ましい。 本発明で用いられる逆浸透膜の膜素材としては、一般に市販されている酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマー、ポリスルホンなどの高分子素材を使用することができるが、該1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。 本発明で好ましく使用される逆浸透膜としては、酢酸セルロール系のポリマーを機能層とした複合膜(以下、酢酸セルロース系の逆浸透膜ともいう)またはポリアミドを機能層とした複合膜(以下、ポリアミド系の逆浸透膜ともいう)が挙げられる。ここで、酢酸セルロース系のポリマーとしては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースの有機酸エステルの単独もしくはこれらの混合物並びに混合エステルを用いたものが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族および/または芳香族のジアミンをモノマーとする線状ポリマーまたは架橋ポリマーが挙げられる。また、とりわけポリアミド系の逆浸透膜は乳酸塩の阻止率が高く、乳酸塩の回収率が高いことから、本発明においてはポリアミド系の逆浸透膜がより好ましく用いられる。 膜形態としては、平膜型、スパイラル型、中空糸型など適宜の形態のものが使用できる。 本発明で使用される好ましい逆浸透膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製のポリアミド系逆浸透膜UTC−70、SU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720P、SU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、SU−610、SU−620、TM800、TM800C、TM800A、TM800H、TM800E、TM800L、東レ株式会社製の酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工株式会社製のNTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製のRO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、NF99、NF99HF、GE製のA Series、GE Sepa、OSMO BEV NF Series、HL Series、Duraslick Series、MUNI RO Series、MUNI NF Series、MUNI RO LE Series、Duratherm RO HF Series、CK Series、DK Series、Seasoft Series、Duratherm RO HF Series、Duratherm HWS Series、PRO RO Series、PRO RO LE Series、SAEHAN CSM製のBLFシリーズ、BLRシリーズ、BEシリーズ、KOCH製のSelRO Series、Filmtec製のBW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040、NF45、NF90、NF200、NF400などが挙げられる。 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 参考例1 ギ酸カルシウムを含む乳酸カルシウム水溶液の飽和溶解度測定 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)50gに純水100g添加し、23.6重量%無水乳酸カルシウム水溶液を調整した。さらに、無水乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)が0重量%、2.5重量%、7.2重量%、14.5重量%、25.0重量%含まれる乳酸カルシウム水溶液を調製し、これらを試験液とした。調製した試験液を20℃、30℃、40℃、50℃で保温しながら、400rpmで攪拌した。各温度における保温時間1、3、6時間経過後の乳酸カルシウムスラリーを0.2μmフィルターで濾過し、濾液中の無水乳酸カルシウム濃度を測定し、飽和溶解度とした。なお、乳酸カルシウム水溶液中の乳酸カルシウム濃度およびギ酸カルシウム濃度は、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により以下の条件により測定した。カラム:Shim−Pack SPR−H(株式会社島津製作所製)移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)検出方法:電気伝導度温度:45℃。 結果は図1〜3に示す通りであり、乳酸カルシウムに対してギ酸を7.2重量%以上含んだ場合、保温時間6時間経過しても溶解度が低下しないことから、過飽和が安定化することが示された。即ち、過飽和の安定性を利用することで結晶の析出を抑制して高濃度に濃縮することができるため、晶析操作による回収率を高められることが示された。 実施例1、2 ギ酸カルシウムを7.5重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水250g、ギ酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)4.5g添加し、20.0重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は15.1重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は7.5重量%であった。回収した母液を試験液とし、これを2つに分けてそれぞれ20℃、30℃に冷却し、400rpm、2時間攪拌した。析出したスラリーを定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過によりウエット結晶と母液に固液分離した。ウエット結晶中の乳酸カルシウム量は、参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表1(a)、(b)に示す。 乳酸カルシウム回収率(%)=100×ウエット結晶中の乳酸カルシウム量(g)/試験液中の乳酸カルシウム量(g)・・・(式1)。 実施例3、4 乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムを14.5重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水240g、ギ酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)10g添加し、20.2重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は15.5重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は14.5重量%であった。回収した母液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表1(c)、(d)に示す。 実施例5、6 乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムを25重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水230g、ギ酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)17.0g添加し、20.4重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は19.5重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は25.0重量%であった。回収した母液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表1(e)、(f)に示す。 比較例1、2 乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムを0重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水254g添加し、20.0重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は12.5重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は0重量%であった。回収した母液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表1(g)、(h)に示す。 比較例3、4 乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムを2.5重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水252g、ギ酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)1.7g添加し、20.0重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は12.5重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は2.5重量%であった。回収した母液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表1(i)、(j)に示す。 表1の実施例1〜6に示すように、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム濃度が高いほど試験液中の乳酸カルシウム濃度が高く、晶析操作による乳酸カルシウム回収率が高いことが示された。一方、比較例1〜4に示すように、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム濃度が0、2.5重量%においては試験液中の乳酸カルシウム濃度に変化はなく、晶析操作による乳酸カルシウムの回収率は変わらないことが示された。 比較例5、6 乳酸カルシウムに対して酢酸カルシウムを14.5重量%含む乳酸カルシウム水溶液の晶析 乳酸カルシウム・5水和物(シグマアルドリッチ社製)100gに純水240g、酢酸カルシウム(シグマアルドリッチ社製)10g添加し、20.2重量%乳酸カルシウム水溶液を調整した。50℃、400rpmで2時間攪拌し、定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により固液分離し、溶解していない乳酸カルシウムを除去し、母液を回収した。回収した母液中の乳酸カルシウム濃度、酢酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した母液中の乳酸カルシウム濃度は12.4重量%であり、乳酸カルシウムに対する酢酸カルシウム量は14.5重量%であった。回収した母液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果は表2に示す通りであり、酢酸カルシウムを含んだ乳酸カルシウムを晶析しても、試験液中の乳酸カルシウム濃度に変化はなく、乳酸カルシウム回収率の向上に効果がないことが示された。 参考例2 L−乳酸菌によるL−乳酸発酵培養液の製造 L−乳酸菌として、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)NRIC1941株を選定した(以下、LC株という。)。LC株を試験管で5mLの窒素ガスでパージした前々々培養培地(100g/L ケーンジュース、10g/L 酵母エキス)で24時間30℃の温度で静置培養した(前々々培養)。該培地は高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して用いた。前々々培養液を窒素ガスでパージした同培地50mLに植菌し、24時間30℃の温度で静置培養した(前々培養)。前々培養液を窒素ガスでパージした同培地1Lに植菌し、24時間30℃の温度で静置培養した(前培養)。前培養液を同培地に植菌し、30℃、300rpmで水酸化カルシウムを添加してpH調整しながら培養終了まで振とう培養した。pH調整した結果、培養液中には、乳酸カルシウム、ギ酸カルシウムが生成した。90時間の発酵試験を行い、発酵培養液に含まれる乳酸カルシウム濃度およびギ酸カルシウム濃度を測定した結果、乳酸カルシウム濃度は4.5重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は2.7重量%であった。 実施例7、8 LC株によるL−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例2で得られた乳酸発酵培養液30Lを、精密濾過膜(“マイクローザ”、旭化成株式会社製)で菌体を濾過し、得られた清澄濾液にギ酸カルシウム120g添加後、50℃に保温し、スパイラル型の4インチ逆浸透膜エレメント(“TM−810”、東レ株式会社製)で乳酸カルシウム濃度15重量%に濃縮した。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は15.0重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は10.5重量%であった。回収した濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(a)、(b)に示す。 参考例3 D−乳酸菌によるD−乳酸発酵培養液の製造 D−乳酸菌として、スポロラクトバチルス・ラエボラクティカス(Sporolactobacillus laevolacticus)ATCC23492株を選定した(以下、SL株という。)。SL株を試験管で5mLの窒素ガスでパージした本培養培地(5g/L 炭酸カルシウム、10g/L ポリペプトン、3g/L 酵母エキス、0.5g/L リン酸カリウム、0.5g/L リン酸二水素カリウム、0.3g/L 硫酸マグネシウム7水和物、0.01g/L 塩化ナトリウム)で24時間30℃の温度で静置培養した(前培養)。前培養液を同培地で植菌し、37℃、120rpmで水酸化カルシウムを添加してpH調整しながら培養終了まで振とう培養した。ppH調整した結果、培養液中には、乳酸カルシウム、ギ酸カルシウムが生成した。160時間の発酵試験を行い、発酵培養液に含まれる乳酸カルシウム濃度およびギ酸カルシウム濃度を測定した結果、乳酸カルシウム濃度は6.0重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は0.8重量%であった。 実施例9、10 SL株によるD−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例3で得られた乳酸発酵培養液30Lを、精密濾過膜(“マイクローザ”、旭化成株式会社製)で菌体を濾過し、得られた清澄濾液にギ酸カルシウム276g添加後、50℃に保温し、スパイラル型の4インチ逆浸透膜エレメント(“TM−810”、東レ株式会社製)で乳酸カルシウム濃度15.0重量%に濃縮した。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は15.0重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は10.0重量%であった。回収した濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(c)、(d)に示す。 参考例4 L−乳酸発酵酵母によるL−乳酸発酵培養液の製造 WO2009/099044号に記載のL−乳酸発酵酵母HI003株(以下、HI003株という。)を用いて、原料糖培地(70g/L “優糖精”(ムソー株式会社製)、1.5g/L 硫酸アンモニウム)を用い、バッチ発酵試験を行った。該培地は高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して用いた。生産物である乳酸の濃度の評価には、参考例1に示したHPLCを用いて評価し、グルコース濃度の測定には“グルコーステストワコーC”(和光純薬工業株式会社製)を用いた。参考例2の運転条件を以下に示す。 反応槽容量(乳酸発酵培地量):30(L)、温度調整:32(℃)、反応槽通気量:0.1(L/min)、反応槽攪拌速度:200(rpm)、pH調整:1N 水酸化カルシウムによりpH6.5に調整。 まず、HI003株を試験管で5mlの原料糖培地で一晩振とう培養した(前々培養)。前々培養液を新鮮な原料糖培地100mlに植菌し500ml容坂口フラスコで24時間振とう培養し(前培養)、温度調整、水酸化カルシウムによるpH調整を行いながら発酵培養を行った。pH調整した結果、培養液中には、乳酸カルシウム、ギ酸カルシウムが生成した。培養した結果、50時間で乳酸カルシウム濃度は4.5重量%であった。また、ギ酸カルシウムは検出されなかった。 実施例11、12 L−乳酸発酵酵母によるL−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例4で得られた発酵培養液30Lを、精密濾過膜(“マイクローザ”、旭化成株式会社製)で菌体を濾過し、得られた清澄濾液にギ酸カルシウム190g添加後、50℃に保温し、スパイラル型の4インチ逆浸透膜エレメント(“TM−810”、東レ株式会社製)で乳酸カルシウム濃度15.0重量%に濃縮した(乳酸カルシウム濃度に対するギ酸カルシウム濃度は10重量%)。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は15.0重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は10.2重量%であった。回収した濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(e)、(f)に示す。 比較例7、8 LC株によるL−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例2で得られたL−乳酸発酵培養液30Lを、精密濾過膜(“マイクローザ”、旭化成株式会社製)で菌体を濾過し、ギ酸カルシウムを添加せずに50℃に保温してスパイラル型の4インチ逆浸透膜エレメント(“TM−810”、東レ株式会社製)で濃縮を行ったが、乳酸カルシウム濃度12.8重量%に達した時点で乳酸カルシウムの析出が見られたため、濃縮を終了した。回収した濃縮液を50℃に保温したまま定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により濾過し、析出した乳酸カルシウム結晶を除去した。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は12.8重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は0.3重量%であった。濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(g)、(h)に示す。 比較例9、10 SL株によるD−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例3で得られたD−乳酸発酵培養液30Lを、比較例7、8と同様にギ酸カルシウムを添加せずに濃縮を行ったが、乳酸カルシウム濃度12.5重量%に達した時点で乳酸カルシウムの析出が見られたため、濃縮を終了した。回収した濃縮液を50℃に保温したまま定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により濾過し、析出した乳酸カルシウム結晶を除去した。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は12.4重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は0.4重量%であった。濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(i)、(j)に示す。 比較例11、12 L−乳酸発酵酵母によるL−乳酸発酵培養液からの乳酸カルシウムの晶析 参考例4で得られたL−乳酸発酵培養液30Lを、比較例7、8と同様にギ酸カルシウムを添加せずに濃縮を行ったが、乳酸カルシウム濃度12.0重量%に達した時点で乳酸カルシウムの析出が見られたため、濃縮を終了した。回収した濃縮液を50℃に保温したまま定性濾紙No2(アドバンテック社製)で吸引濾過により濾過し、析出した乳酸カルシウム結晶を除去した。回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度、ギ酸カルシウム濃度は参考例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、回収した濃縮液中の乳酸カルシウム濃度は12.1重量%であり、乳酸カルシウムに対するギ酸カルシウム量は0重量%であった。濃縮液を試験液として、実施例1、2と同様の方法で乳酸カルシウムを晶析・固液分離し、乳酸カルシウム回収率を式1の方法で算出した。結果を表3(k)、(l)に示す。 表3に示すように、乳酸発酵培養液から乳酸カルシウムを晶析する場合においても、乳酸発酵培養液中の乳酸カルシウムに対してギ酸カルシウムが7重量%以上含んでいれば、晶析操作による乳酸カルシウム回収率が高いことが示された。また、微生物による乳酸発酵培養液にギ酸塩が含まれていない場合は、濃縮前にギ酸塩を添加することで、晶析操作により乳酸カルシウム回収率を高めることができることが示された。 本発明により得られた乳酸塩は、食品用、医薬用などといった用途の他に、生分解性プラスチックの原料として利用することができる。 乳酸塩に対してギ酸塩が7.0重量%以上含まれている乳酸塩水溶液を晶析して乳酸塩を回収する工程を含む、乳酸塩の製造方法。 前記乳酸塩水溶液が乳酸塩に対してギ酸塩が7.0〜40.0重量%含まれている乳酸塩水溶液である、請求項1に記載の乳酸塩の製造方法。 前記乳酸塩が乳酸カルシウムまたは乳酸マグネシウムである、請求項1または2に記載の乳酸塩の製造方法。 前記乳酸塩水溶液の乳酸塩濃度が10.0〜30.0重量%である、請求項1から3のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。 前記乳酸塩を晶析する温度が30℃以下である、請求項1から4のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。 前記乳酸塩水溶液を30〜60℃で逆浸透膜に通じて得られる濃縮液を晶析する、請求項1から5のいずれかに記載の乳酸塩の製造方法。


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