タイトル: | 公開特許公報(A)_マイクロ流体デバイス |
出願番号: | 2012282615 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 35/08,G01N 37/00,C08L 71/00,C08L 83/05 |
山岡 竜介 鈴木 智志 JP 2014126435 公開特許公報(A) 20140707 2012282615 20121226 マイクロ流体デバイス 東海ゴム工業株式会社 000219602 上野 登 100095669 山岡 竜介 鈴木 智志 G01N 35/08 20060101AFI20140610BHJP G01N 37/00 20060101ALI20140610BHJP C08L 71/00 20060101ALI20140610BHJP C08L 83/05 20060101ALI20140610BHJP JPG01N35/08 AG01N37/00 101C08L71/00 AC08L83/05 1 1 OL 9 2G058 4J002 2G058DA00 4J002CH021 4J002CP042 4J002DD076 4J002FD142 4J002FD156 4J002GB00 4J002GE00 本発明は、バイオチップ、化学チップ、DNAチップ、検査チップなどのマイクロ流体デバイスに関するものである。 近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を用いて、試料調製、化学分析、化学合成などを行うための手段を微細化することが試みられている。これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオチップ、化学チップなどと呼ばれ、医療分野における検査・診断手段や、化学分野における合成・分析手段などとして期待されている。これに用いられるマイクロ流体デバイスは、基板内に所定の微細流路(マイクロ流路)を有するもので構成されている。マイクロ流体デバイスの形成材料としては、ガラスに比べて微細加工が容易であることなどから、シリコーン架橋体が用いられることがある。特開2006−292472号公報特公昭61−36783号公報 マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着すると、物質ロスや詰まりなどが発生する。シリコーン架橋体で形成された疎水性のマイクロ流路では、酵素、タンパク質などの生体物質などが非特異的に吸着するおそれがあり、これを防止するため流路表面の親水化処理が検討されている。 特許文献1では、微細流路の内壁に結合もしくは吸着する親水性ポリマー、両親媒性ポリマーまたは界面活性剤を含む溶液を微細流路に流すことにより微細流路の内壁をブロッキング処理することが行われている。また、マイクロ流体デバイスに関する技術ではないが、特許文献2には、シリコーン樹脂成形品を低温プラズマに曝した後、界面活性剤含有水性液で処理する親水化処理方法が開示されている。しかし、これらの技術は、成形品に対して所定の表面処理を行うものであり、親水性材料の成形品と比べて親水効果の持続性という面で劣る。また、これらの技術は、成形品に対して表面処理を行う後工程が必要である。 本発明が解決しようとする課題は、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えるマイクロ流体デバイスを提供することにある。 上記課題を解決するため本発明に係るマイクロ流体デバイスは、(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤と、を含有し、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比が0.5〜8.0の範囲内である組成物の架橋体を含むことを要旨とするものである。 本発明に係るマイクロ流体デバイスにおいては、以下の特徴を有することが好ましい。(1)(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤が、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンであって、ヒドロシリル基の濃度が0.5mmol/g以上である。(2)(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤が、分子構造内にさらにエーテル構造を有する。(3)JIS R3257に準拠して測定される水接触角が70度以下である。(4)JIS K7375に準拠して測定されるシート厚2mm、波長400〜800nmの全光線透過率が80%以上である。(5)(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーが、末端にアルケニル基を有するポリエーテルポリマーである。(6)上記(1)〜(5)の特徴のいずれか2つ以上の組み合わせの特徴を有する。 本発明に係るマイクロ流体デバイスによれば、成形される架橋体を構成する材料の分子構造中にエーテル構造を有するため、親水性の高い成形品であり、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えることができる。また、親水性材料の成形品であり、親水効果の持続性に優れる。そして、成形品に対して親水化の表面処理を行う後工程を省略できる。 また、(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤による架橋反応は、アルケニル基へのヒドロシリル基の付加反応であることから、本発明に係るマイクロ流体デバイスは、架橋速度が速く、生産性に優れる。 (b)ヒドロシリル基を有する架橋剤が、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンであって、ヒドロシリル基の濃度が0.5mmol/g以上であると、所望の架橋度を得るために必要な(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤の添加量を少なくできるため、相対的に(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーの割合が大きくなり、親水性の向上に寄与する。あるいは、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤のオルガノポリシロキサンの疎水性部分の割合が相対的に少なくなるので、親水性の向上に寄与する。 (b)ヒドロシリル基を有する架橋剤が、分子構造内にさらにエーテル構造を有すると、さらに親水性が向上する。 JIS R3257に準拠して測定される水接触角が70度以下であると、親水性に優れ、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑える効果が高い。 JIS K7375に準拠して測定されるシート厚2mm、波長400〜800nmの全光線透過率が80%以上であると、光学検査に適用できる。 (a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーが、末端にアルケニル基を有するポリエーテルポリマーであると、架橋速度がより速く、生産性に優れる。マイクロ流体デバイスの一例の模式図である。図1(a)は、その平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。 図1に示すように、マイクロ流体デバイス10は、基板12に少なくとも1つのマイクロ流路(微細流路)14が形成されており、マイクロ流路14の両端には入出力ポート16a,16bが形成されている。基板12の下面側には、透明あるいは不透明なガラスや樹脂、ゴムなどの材料からなる対面基板18が接着されている。この対面基板18により、入出力ポート16a,16bとマイクロ流路14の底部が形成されている。入出力ポート16a,16bは、マイクロ流路14へ流す試薬や検体の注入あるいは取り出しなどが行われる部位となる。本発明に係る架橋体は、少なくとも、マイクロ流路14が形成される基板12の材料として用いられる。 なお、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流路を有するものであればよく、マイクロ流体デバイス10のように2つの基板を接着等により一体化したものであってもよく、1つの材料により一体成形したものであってもよい。本発明に係る架橋体は、2つの基板を接着等により一体化したもののいずれか一方あるいは両方の材料として用いることができる。また、1つの材料により一体成形したものの材料として用いることができる。マイクロ流体デバイスは、例えば本発明に係る組成物を型成形することにより得ることができる。 本発明に係る架橋体は、(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤と、を含有し、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比が0.5〜8.0の範囲内である組成物の架橋体である。 ポリエーテルポリマーは、主鎖にポリエーテル構造(ポリオキシアルキレン構造)を有するポリマーであり、親水性を高める効果がある。親水性を高めるなどの観点から、主鎖は、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレン構造であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造としては、オキシエチレン単位(C2H4O)の繰り返し構造、オキシプロピレン単位(C3H6O)の繰り返し構造、オキシテトラメチレンやその異性体のオキシブチレン単位(C4H8O)の繰り返し構造、これらの単位の組み合わせによる繰り返し構造、これらの単位のいずれか1種以上とアルケニル基を有するオキシアルキレン単位の組み合わせによる繰り返し構造などが挙げられる。 アルケニル基は、ヒドロシリル基を有する化合物が付加反応するためのものである。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが挙げられる。架橋反応を目的とすることから、アルケニル基を2つ以上有するポリエーテルポリマーが含まれている必要がある。なお、低硬度を目的とする場合などには、アルケニル基を1つ有するポリエーテルポリマーが含まれていてもよい。アルケニル基は、主鎖の末端に存在していてもよいし、側鎖に存在していてもよい。主鎖の末端に存在する場合には、架橋速度がより速くなるため、マイクロ流体デバイスの生産性に優れる。 主鎖の末端にアルケニル基を有するポリエーテルポリマーとしては、オキシエチレン単位(C2H4O)の繰り返し構造、オキシプロピレン単位(C3H6O)の繰り返し構造、オキシテトラメチレンやその異性体のオキシブチレン単位(C4H8O)の繰り返し構造、これらの単位の組み合わせによる繰り返し構造などのポリオキシアルキレン構造の末端にアルケニル基を有するものなどが挙げられる。側鎖にアルケニル基を有するポリエーテルポリマーとしては、これらの単位のいずれか1種以上とアルケニル基を有するオキシアルキレン単位の組み合わせによる繰り返し構造を有するものなどが挙げられる。アルケニル基を有するオキシアルキレン単位を構成する化合物としては、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。 ヒドロシリル基を有する架橋剤としては、ヒドロシリル基を有する化合物が挙げられる。ヒドロシリル基を有する化合物としては、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)などが挙げられる。架橋反応を目的とすることから、ヒドロシリル基を2つ以上有する化合物が含まれている必要がある。 オルガノポリシロキサンは、有機基を有する。有機基は、1価の置換または非置換の炭化水素基である。非置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基などのアラルキル基などが挙げられる。置換の炭化水素基としては、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などが挙げられる。オルガノポリシロキサンとしては、一般的には、有機基としてメチル基を有するものが、合成のしやすさ等から多用される。オルガノポリシロキサンは、直鎖状のものが好ましいが、分岐状もしくは環状のものであっても良い。 ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンは、例えば下記の(化1)式によって表すことができる。下記の(化1)式によって表されるものは、ヒドロシリル基を有する単位構造(I)とヒドロシリル基を有さない単位構造(II)の組み合わせで構成される。単位構造(II)は、アルキル基やアリール基などの疎水性基を有する疎水性の高い部位であり、この部位の割合が大きいと、分子全体の疎水性が高くなりやすい。また、所望の架橋密度を得るために必要な添加量が多くなり、組成物全体の疎水性が高くなりやすい。したがって、所望の架橋度を得るために必要な(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤の添加量を少なくして組成物全体の親水性の向上に寄与する、あるいは、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤のオルガノポリシロキサンの疎水性部分の割合を相対的に少なくして親水性の向上に寄与するなどの観点から、ヒドロシリル基を有する単位構造(I)の割合を多くする、具体的には、ヒドロシリル基の濃度を0.5mmol/g以上とすることが好ましい。より好ましくは2.0mmol/g以上、さらに好ましくは4.0mmol/g以上である。なお、単位構造(I)の割合が1(単位構造(II)の割合が0)であってもよい。 (化1)式において、R1〜R3は、上記するアルキル基、アリール基、アラルキル基、置換の炭化水素基などの有機基を示し、R1〜R3において有機基は同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。mおよびnは、オルガノポリシロキサンの各単位構造の数を示すものであり、0および正の整数で表示される。 ヒドロシリル基を有する架橋剤は、分子構造内にさらにエーテル構造を有するものであってもよい。エーテル構造は、上記するオキシエチレン単位(C2H4O)などのオキシアルキレン構造であり、親水性を高める効果がある。オキシエチレン単位の炭素数を少なくする、導入するオキシエチレン単位の数を多くするなどにより、親水性をより高くすることができる。エーテル構造およびヒドロシリル基を有する架橋剤は、例えばヒドロシリル基を有する化合物とアルケニル基を有するエーテル化合物を反応させることにより得ることができる。アルケニル基を有するエーテル化合物としては、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテルなどが挙げられる。 (a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーは、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤の付加反応により架橋される。アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比(ヒドロシリル基/アルケニル基)が小さいと、架橋密度が低くなり、比較的柔らかい成形品が得られる。一方、このモル比(ヒドロシリル基/アルケニル基)が大きいと、疎水性部分の割合が相対的に多くなり親水性が悪くなる。よって、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比は0.5〜8.0の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.0〜4.0の範囲内である (a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーは、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤の付加反応により架橋される。付加反応には、ヒドロシリル化触媒を組み合わせて用いることができる。 ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒が挙げられる。白金系触媒としては、微粒子状白金、白金黒、白金担持活性炭、白金担持シリカ、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体などが挙げられる。 ヒドロシリル化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、白金系金属の金属量に換算して、通常、アルケニル基を有するポリエーテルポリマー100質量部に対して1〜1000ppmの範囲とされる。 本発明に係る組成物には、一般的な添加剤が添加されていても良い。添加可能な添加剤としては、充填剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、架橋助剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、軟化剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、防錆剤などが挙げられる。 本発明に係るマイクロ流体デバイスを光学検査用途に用いる場合には、透明性に優れることが好ましい。本発明に係る組成物は、透明材料によって構成されており、透明性に優れる。このため、光学検査用途に用いることができる。なお、透明性の観点から、本発明に係る組成物は、JIS K7375に準拠して測定されるシート厚2mm、波長400〜800nmの全光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上である。 透明性の高い材料とするには、(a)および(b)自体の透明性が高いことはもちろんであるが、例えば、(a)と(b)の相溶性をよくするため、(b)の添加量を少なくする、(b)のなかでも(a)との相溶性に比較的優れるもの(例えばフェニル基などのアリール基を有するもの)を用いるとよい。 本発明に係るマイクロ流体デバイスは、親水性に優れ、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えることができる。親水性の観点から、本発明に係る組成物は、JIS R3257に準拠して測定される水接触角が70度以下であることが好ましい。より好ましくは50度以下、さらに好ましくは40度以下である。水接触角が70度以下であると、親水性に優れ、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑える効果が高い。 親水性の高い材料とするには、例えば、(b)の添加量を少なくする、(b)のヒドロシリル基を有さない単位構造(II)の割合を小さくする、(b)の分子構造内にさらにエーテル構造を導入する、(a)のオキシアルキレン構造の炭素数を少なくするとよい。 以上より、本発明に係るマイクロ流体デバイスによれば、成形される架橋体を構成する材料の分子構造中にエーテル構造を有するため、親水性の高い成形品であり、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えることができる。親水性材料の成形品であり、親水効果の持続性に優れる。成形品に対して親水化の表面処理を行う後工程を省略できる。 また、(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤による架橋反応は、アルケニル基へのヒドロシリル基の付加反応であることから、本発明に係るマイクロ流体デバイスは、架橋速度が速く、生産性に優れる。 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。(実施例1〜5、比較例1) 表1に示す配合となるように、各種ポリマー、白金触媒、アセチレンアルコール、ヒドロシリル基含有化合物の順に配合し、羽根攪拌により混合後、減圧脱泡し、コンパウンドを調製した。(シート成形) 各コンパウンドを150℃×15分の条件でプレス成形し、2mm厚のシートを作製した。 実施例、比較例において用いた材料の詳細は以下の通りである。・アルケニル基含有ポリエーテル((a)成分):日油製ユニセーフPKA5018(両末端アリル変性ポリプロピレングリコール)・アルケニル基含有ポリシロキサン:Gelest製MDS−V21(両末端ビニル変性ポリジメチルシロキサン)・ヒドロシリル基含有化合物((b)成分、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン):Gelest製HPS−502(Si−H基濃度=5mmol/g、メチルフェニルシロキサンとメチル水素シロキサンの共重合体、共重合比=1:1)・エーテル変性ヒドロシリル基含有化合物((b)成分、エーテル変性ヒドロシリル基含有ポリシロキサン):合成品・白金触媒:Gelest製SIP6830.3・アセチレンアルコール(1−エチニル−1−シクロヘキサノール):遅延剤(エーテル変性ヒドロシリル基含有化合物の合成) ヒドロシリル基含有化合物(Gelest製HPS−502)200gとメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(日油製ユニオックスPKA−5006)50gとを白金触媒(Gelest製SIP6830.0)の存在下で反応させることにより合成した。(Si−H基濃度=3.4mmol/g) 尚、Si−H基濃度は、下記の方法で水素ガス発生量測定を行い、下記の計算式により求めた。 清浄な100mLマイヤーフラスコに試薬(架橋剤)1〜5gを正確に採り、次にn−ブタノール10mLに溶解した後、20%NaOH水溶液を20mL徐々に添加した際に発生したガス量をガスビュレットで測定する。この水素ガス発生量を0℃、1気圧における水素ガス発生量に換算する。 水素ガス発生量[mL/g]=〔0.359×(測定時の気圧)[mmHg]×(水素ガス発生量)[mL]〕/〔{273+(測定時温度)[度]}×(試料量)[g]〕 架橋剤のSi−H基濃度[mmol/g]=(水素ガス発生量[mL/g]/22400)×1000 作製した各シートを用いて、下記の評価を行った。配合割合(質量部)と評価結果を表1に示す。(全光線透過率) 透明性を評価するため、JIS K7375に準拠し、シート厚2mmで、波長400〜800nmの光を照射したときの透過した光の割合を測定した。(水接触角) 親水性を評価するため、JIS R3257に準拠して、液量2μlの水をシート表面に滴下し、水がシート表面に接触してから30分後の水接触角を測定した。(架橋速度) 150℃架橋完了時のトルクに対し、90%のトルクとなった時間(t90)から10%のトルクとなった時間(t10)を引いた、架橋に要した時間を算出した。 比較例1の架橋体を構成する材料の分子構造中にはエーテル構造がない。その結果、比較例1の架橋体は水接触角が大きく、疎水性に寄っている。したがって、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着するおそれがある。これに対し、実施例の架橋体を構成する材料の分子構造中にはエーテル構造があり、実施例の架橋体は水接触角が小さく、親水性に寄っている。したがって、マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えることができる。また、実施例の架橋体は、透明性に優れ、架橋速度も非常に速い。つまり、ポリマー主鎖にエーテル構造を導入することで、高速架橋・高透過率を備えつつ親水性にも優れることが確認できた。 以上、本発明の実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能なものである。10 マイクロ流体デバイス12 基板14 マイクロ流路 (a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤と、を含有し、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比が0.5〜8.0の範囲内である組成物の架橋体を含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス。 【課題】マイクロ流路へ流す試薬や検体中の物質がマイクロ流路内で非特異的に吸着することを抑えるマイクロ流体デバイスを提供する。【解決手段】マイクロ流体デバイス10が、(a)アルケニル基を有するポリエーテルポリマーと、(b)ヒドロシリル基を有する架橋剤と、を含有し、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル比が0.5〜8.0の範囲内である組成物の架橋体を含む。【選択図】図1