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タイトル:公開特許公報(A)_有機溶剤水溶液からイソプロピルアルコールを回収する方法
出願番号:2012270372
年次:2014
IPC分類:B01D 71/02,B01D 61/36,C07C 31/10,C07C 29/76


特許情報キャッシュ

青山 武嗣 高木 一樹 JP 2014113558 公開特許公報(A) 20140626 2012270372 20121211 有機溶剤水溶液からイソプロピルアルコールを回収する方法 東亞合成株式会社 000003034 青山 武嗣 高木 一樹 B01D 71/02 20060101AFI20140530BHJP B01D 61/36 20060101ALI20140530BHJP C07C 31/10 20060101ALI20140530BHJP C07C 29/76 20060101ALI20140530BHJP JPB01D71/02B01D61/36C07C31/10C07C29/76 5 1 OL 12 4D006 4H006 4D006GA25 4D006GA28 4D006HA22 4D006HA28 4D006HA41 4D006HA77 4D006KA31 4D006KA63 4D006KB30 4D006KE12R 4D006KE13R 4D006MA02 4D006MA03 4D006MB06 4D006MC05 4D006PB12 4D006PB14 4D006PB32 4D006PB65 4H006AA02 4H006AD19 4H006FE11 本発明は、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液からイソプロピルアルコールを回収する方法に関するもので、さらに詳しくは、炭素膜を利用して有機溶剤水溶液からメタノールと水を選択的に分離することで、イソプロピルアルコールを回収する方法に関するものである。 また、イソプロピルアルコールおよびメタノールを含む有機溶剤からメタノールを選択的に分離することで、イソプロピルアルコールを回収する方法に関するものである。 有機溶剤水溶液から有機溶剤あるいは水を分離させる方法としては、蒸留塔を用いた蒸留法、膜分離方法、またはこれらを組合せた方法が知られている。 蒸留法による分離方法は、蒸留塔を用いるため大規模な設備が必要となり、エネルギー消費量が多いとの問題点がある。また、有機溶剤水溶液を蒸留法により分離精製する方法は、例えば、イソプロピルアルコールと水が共沸組成を形成するなど単純な蒸留法が適用できない場合も多い。 一方、省エネルギーの観点から、大規模な設備を必要としない膜分離方法が注目されている。分離膜としては高分子膜、ゼオライト膜および炭素膜が広く使用されているが、いずれの膜も水の分離のみに使用されている。例えば、水およびイソプロピルアルコールの2成分からなる有機溶剤水溶液から水のみを分離し、イソプロピルアルコール濃度が95%以上の濃縮液を得ることは公知である。また、バイオエタノール製造工程においてエタノール含有発酵液から得られる水蒸気を含んだエタノール蒸気の脱水用途に膜による脱水が実施されている。 分離膜の中で、高分子膜は加工性に優れる特徴をもつが、熱や化学物質や圧力により劣化して分離性能が低下することが知られている。 一方、ゼオライト膜の中でも、A型膜が最も一般的な分離膜として使用されているが、A型ゼオライト膜は、水分の影響を受けやすく、結晶間隙のない膜にすることが難しいと言われている。さらに、ゼオライト膜は水熱反応で製造されるため多量の微結晶が成長しやすく、多量の微結晶が成長すると、多数の微結晶及び粒界(隙間)が存在する不均質なゼオライト層が形成され、得られるゼオライト膜の分離能が低くなる。 上記の欠点を解決すべく結晶隙間のないゼオライトの細孔のみからなる理想的なゼオライト膜の製造方法が提案されているが、まだ実用化の段階には至っていない(特許文献1、特許文献2)。 特許文献3には、ゼオライト膜により分子量90未満の物質を透過させることにより分離する技術の開示がある。しかしながら、特許文献3に記載された技術では分子量32.04のメタノールと分子量60.10のイソプロピルアルコールは、いずれも分子量が90未満であるため、メタノールおよびイソプロピルアルコールの両方がゼオライト膜を透過する。そのため、メタノールとイソプロピルアルコールを膜により分離することはできない。 一方、炭素膜はゼオライト膜と材質および製造方法が全く異なるため、結晶隙間が発生しないと考えられる。炭素膜は、例えば、特許文献4に記載の方法で製造される。具体的にはアルミナの多孔質支持体をポリイミド樹脂前駆体ワニス、またはフェノール樹脂をN−メチル−ピロリドンに希釈させた溶液にディップコートした後、真空または窒素雰囲気下で500〜1200℃で1時間熱処理して得られる。 特許文献4には、炭素膜による有機溶剤水溶液の分離例として、表3には水および酢酸からなる混合液からの水の分離、水およびイソプロピルアルコールからなる混合液からの水の分離に関する実施例等が示されている。また、表4には水およびエタノールからなる混合液からの水の分離の実施例等が示されている。 しかしながら、特許文献4に記載されているのは、水と有機化合物の2成分からなる混合液から、水を分離する技術のみである。 上記のとおり、これまでのところ、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液から炭素膜により、メタノールおよび水を分離することで、特にイソプロパノール濃度を90質量%以上で回収する方法に関する技術は開示されていない。特開2012−66242特開2007−61775WO 2007/080685号公報WO 2009/150903A1号公報 本発明は、上記の状況を鑑み、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液から、簡易な方法でイソプロピルアルコールを回収する方法を提供することを目的とする。特に、イソプロピルアルコールを高濃度で回収する方法を提供するものである。 また、イソプロピルアルコールおよびメタノールを含む有機溶剤からイソプロピルアルコールを高濃度で回収する方法を提供するものである。 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、炭素膜を利用して、有機溶剤水溶液からメタノールと水を選択的に分離することで、イソプロピルアルコールを回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。 また、炭素膜を利用して、イソプロピルアルコールおよびメタノールを含む有機溶剤からメタノールを選択的に分離することで、イソプロピルアルコールを回収できることを見出した。 すなわち、請求項1記載の発明は、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液を炭素膜の片面に接触させて、炭素膜の他面からメタノールおよび水を分離することを特徴とするイソプロピルアルコールの回収方法である。 請求項2記載の発明は、有機溶剤水溶液に含まれるイソプロピルアルコール濃度が50質量%以上である請求項1に記載のイソプロピルアルコールの回収方法である。 請求項3記載の発明は、炭素膜におけるメタノールおよび水の分離透過流束が、 0.40kg/m2h以上である請求項1または請求項2に記載のイソプロピルアルコールの回収方法である。 請求項4記載の発明は、回収されたイソプロピルアルコールの濃度が90質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のイソプロピルアルコールの回収方法である。 請求項5記載の発明は、イソプロピルアルコールおよびメタノールを含む有機溶剤を炭素膜の片面に接触させて、炭素膜の他面からメタノールを分離することを特徴とするイソプロピルアルコールの回収方法である。 本発明の回収方法によれば、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液を、炭素膜によりメタノールおよび水を分離することで、イソプロピルアルコールを高い濃度で回収・再利用することが可能であり、環境負荷の低減、および従来からの蒸留法よりも運転エネルギーコストが小さく、設備投資も抑制できるため、経済的にも有利な方法である。実施例1で用いた回収装置の概略図 以下、本発明についてさらに詳しく説明する。 本発明におけるイソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液は、例えば、イソプロピルアルコールを反応溶媒に使用する製造工程の回収工程で得られることが一般的であるが、これに限定されるものではない。 また、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含むものであれば、各成分の組成は限定されない。 しかしながら、イソプロピルアルコールを再使用する場合は、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水の有機溶剤水溶液の全量に対するメタノールおよび水を分離する量の比率が小さい方が、炭素膜の膜面積を少なくすることができるため、設備費用の低減の観点から、有機溶剤水溶液中のイソプロピルアルコール濃度が50質量%以上であることが好ましい。 なお、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水以外に不純物が混入していても、炭素膜によるメタノールおよび水の分離に影響を与えるものではない。 上記で回収されるイソプロピルアルコールを再利用するためには、メタノールおよび水を分離した後の回収液におけるイソプロプルアルコールの濃度は90質量%以上であることが好ましい。さらに好ましくは95質量%以上である。 また、回収されたイソプロピルアルコール中のメタノール濃度は、再利用される用途によるが、5質量%未満であることが好ましい。さらに好ましくはメタノール濃度が3質量%未満である。 一般的に、炭素膜の形状としては、管状膜、モノリス膜および平板状膜等があるが、本発明で使用する炭素膜はいずれの形状であっても良い。 例えば、管状膜を単独で使用してもよいし、膜面積を増加させるため、1つの膜格納容器に複数本の管状膜を設置することもできる。複数の管状膜を直列、あるいは並列に接続して使用することもできる。 モノリス膜は、蓮根のような形状の膜である。具体的には特開2011−201753号公報の図1に記載されている形状である。モノリス膜を単独で使用してもよいし、膜面積を増加させるため、1つの膜格納容器に複数本のモノリス膜を設置することもできる。複数のモノリス膜を直列、あるいは並列に接続して使用することもできる。 また、平板状膜についても管状膜およびモノリス膜と同様の膜の接続方法が選択できる。 有機溶剤水溶液からメタノールおよび水を分離する方法として、炭素膜の管の外側に加熱された有機溶剤水溶液を循環させ、管の内部を減圧状態に保持することで管の内側からメタノールおよび水を分離する方法、あるいは、逆に、炭素膜の管の内側に加熱された有機溶剤水溶液を循環させ、管の外側を減圧状態に保持することで管の外側からメタノールおよび水を分離する方法があり、いずれの方法も採用できる。 本発明におけるメタノールおよび水を分離する方法としては、浸透気化法および蒸気透過法のいずれも適用できるが、エネルギーコストの観点から、浸透気化法が好ましい。浸透気化法は、炭素膜の供給側に混合溶液を流し、透過側を真空に保つことで膜を通して供給液体を一部蒸発させる方法であり、本発明で使用する浸透気化法による膜分離装置の1例を図1に示す。 なお、メタノールおよび水の分離方法は、バッチ式および連続式のいずれの方法も適用できる。 前記浸透気化法におけるメタノールおよび水を分離する温度は、メタノールの沸点以下である64℃以下が好ましく、50℃〜64℃に設定することが好ましい。なお、メタノールおよび水の膜分離装置の耐圧性を高めれば、64℃〜100℃の温度でメタノールおよび水を分離することも可能である。 図1に示す膜分離装置において、循環ポンプの形式に特に限定はなく、具体的にはダイアフラムポンプ、キャンドポンプ、マグネットポンプおよび渦巻きポンプ等が使用できる。 有機溶剤水溶液の加熱用熱交換器の形式に限定はなく、具体的には多管式熱交換器、プレート式熱交換器およびスパイラル式熱交換器等が使用できる。また、熱交換器の替わりに電気式のヒーターを使用することができる。 炭素膜により分離された水蒸気およびメタノール蒸気を冷却凝集するための熱交換器の形式に限定はなく、具体的には多管式熱交換器、プレート式熱交換器およびスパイラル式熱交換器等が使用できる。また、ガラス製のトラップ管を用いることができる。 加熱用熱交換器に使用する熱媒に限定はなく、具体的には温水、水蒸気およびオイル等が使用できる。また、冷却凝集用熱交換器に使用する冷媒に限定はなく、工業用水、冷水およびブライン液等が使用できる。 炭素膜の2次側の真空度は0Torrから大気圧の範囲で使用できるが、好ましくは0〜100Torr、より好ましくは0〜50Torrである。 透過水槽でメタノールおよび水として凝縮させる必要があるので、低真空である方が冷媒の温度を高めることができるため、エネルギー的に有利である。 また、低真空で方が真空ポンプ等の設備費用が低減できるが、一方、炭素膜の透過水量を増大するには、高真空の方が有利である。 処理する有機溶剤水溶液が炭素膜を透過する速度を示す透過流束(kg/m2h)が高いほど、メタノールおよび水の分離効率が良く、0.4kg/m2h以上であることが好ましい。 また、イソプロピルアルコールとメタノールを含む有機溶剤の場合も、上記と同様な方法により、高濃度でイソプロピルアルコールが回収できる。 以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。実施例および比較例中の%は、特に断らない限り質量基準である。 なお、イソプロピルアルコール濃度およびメタノール濃度はガスクロマトグラフィー法で測定した。また、水分量については、カールフィッシャー法で測定した。測定条件は以下に示すとおりである。ガスクロマトグラフィー法の測定条件 島津製作所(株)製GC−1700 カラム:J&W製DB−WAX 30m×0.25mmID 膜厚0.5mm 検出器 FID 検出器温度 250℃ インジェクタ温度 240℃ 昇温プログラム 10℃/分で60℃から240℃まで昇温 サンプル注入量 0.4μlカールフィッシャー法の測定条件 キシダ化学(株)製水分測定装置CA−20 陽極液 シグマアルドリッチ製クーロマットAK ケトン用 陰極液 シグマアルドリッチ製クーロマットCG−K ケトン用 サンプル注入量 5μl 透過流束(kg/m2h)は下記の式(1)で計算され、浸透気化分離試験において炭素膜からの透過液をドライアイス/メタノールを冷媒としたトラップで捕集し、捕集した透過液量の質量をサンプリング時間と膜面積で割ることで求めた。透過流束(kg/m2h)=透過液量(kg)÷膜面積(m2)÷透過液量のサンプリング時間(h)(1)<実施例1> 図1に示す炭素膜分離装置を利用して、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液からイソプロピルアルコールの回収を実施した。 炭素膜として、日本碍子(株)製炭素膜(モノリス膜、製品番号:N11J−439、外径30mm×長さ160mm、膜面積0.069m2)を1本装着し、循環槽、循環ポンプを備えた。また、スチームを熱媒とする加熱用熱交換器、および冷却凝集用熱交換器としてドライアイス/メタノールを冷媒とした冷却凝縮用ガラス製トラップを用いた。炭素膜の外側を真空ポンプで真空調節器により0Torrに保持した。炭素膜の外側を真空状態に保持することで供給液中のメタノールおよび水のみが蒸気として炭素膜を介して内側から外側へ移動し、分離される。 炭素膜により分離されたメタノールの蒸気、および水の蒸気は冷却用熱交換器により冷却し、透過液として凝縮させた。凝縮させたメタノールおよび水は冷却凝縮用ガラス製トラップへ捕集される。 イソプロピルアルコール70%、メタノール15%および水15%の組成である混合液2000gを循環槽に投入した。循環ポンプで混合液を循環しながら、加熱用熱交換器で60℃まで加温した。混合液が60℃となった時点で、真空ポンプを起動させ、実験を開始した。減圧計は0Torrを示した。 炭素膜で分離したメタノールの蒸気、および水蒸気は、ドライアイス/メタノール(冷媒温度−70℃)を冷媒として冷却したガラス製トラップにて凝縮し、実験開始後10時間で透過液として、511.7gを捕集した。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.6%、メタノール42.3%および水57.1%であり、10時間平均の透過流束は0.74kg/m2hであった。 一方、炭素膜によりメタノールおよび水を分離した結果、循環槽において、濃縮液が生成し、実験開始後10時間後の濃縮液の一部を採取し、イソプロピルアルコール濃度、メタノール濃度および水分量を測定した。濃縮液の組成はイソプロピルアルコール95.0%、メタノール4.7%および水0.3%であった。結果は表1に示した。<実施例2> 実験時間を14時間に変更した以外は、実施例1同様の操作をした。透過液の組成はイソプロピルアルコール0.7%、メタノール45.2%および水54.1%であり、14時間平均の透過流束は0.56kg/m2hであった。 実験開始後14時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行ない、イソプロピルアルコール97.1%、メタノール2.8%および水0.1%であった。<実施例3> 循環槽に投入する混合液の組成をイソプロピルアルコール70%、メタノール25%および水5%の組成に変更した以外は、実施例2と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.8%、メタノール82.1%、水17.1%であり、14時間平均の透過流束は0.51kg/m2hであった。 実験開始後14時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行ない、イソプロピルアルコール96.0%、メタノール3.9%および水0.1%であった。<実施例4> 実験時間を18時間に変更した以外は、実施例3と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.9%、メタノール83.1%および水16.0%であり、18時間平均の透過流束は0.42kg/m2hであった。 実験開始後18時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行ない、イソプロピルアルコール98.1%、メタノール1.8%および水0.1%であった。<実施例5> 混合液の組成をイソプロピルアルコール70%、メタノール5%および水25%の組成に変更し、実験時間を5時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.4%、メタノール9.3%および水90.3%であり、5時間平均の透過流束は1.54kg/m2hであった。 実験開始後5時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行ない、イソプロピルアルコール95.0%、メタノール3.2%および水1.8%であった。<実施例6> 実験時間を7時間に変更した以外は、実施例5と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.5%、メタノール10.6%および水88.9%であり、7時間平均の透過流束は1.10kg/m2hであった。 実験開始後7時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析の結果は、イソプロピルアルコール98.5%、メタノール0.7%および水0.8%だった。<実施例7> 循環槽に投入する混合液の組成をイソプロピルアルコール50%、メタノール25%および水25%に、投入量を1200gに、実験時間を10時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.3%、メタノール48.2%および水51.5%であり、10時間平均の透過流束は0.77kg/m2hだった。 実験開始後10時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行った結果、イソプロピルアルコール95.6%、メタノール4.3%および水0.1%であった。<実施例8> 循環槽に投入する混合液の組成をイソプロピルアルコール50%、メタノール40%および水10%に、実験時間を12時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.3%、メタノール81.8%および水17.9%であり、12時間平均の透過流束は0.66kg/m2hであった。 実験開始後12時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行った結果、イソプロピルアルコール95.0%、メタノール5.0%および水0%であった。<実施例9> 循環槽に投入する混合液の組成をイソプロピルアルコール50%、メタノール10%および水40%に、実験時間を7時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.2%、メタノール14.3%および水85.5%であり、7時間平均の透過流束は1.15kg/m2hであった。 実験開始後7時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析を行った結果、イソプロピルアルコール96.0%、メタノール3.9%および水0.1%であった。<実施例10> 最初に循環槽に投入する混合液の組成をイソプロピルアルコール32%、メタノール48%および水20%に、実験時間を12時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。 透過液の組成はイソプロピルアルコール0.2%、メタノール70.1%および水29.7%であり、12時間平均の透過流束は1.44kg/m2hだった。 実験開始後12時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成結果は、イソプロピルアルコール87.2%、メタノール12.5%および水0.3%であった。<実施例11> 実施例3において、最初に循環槽に投入する試薬から調整した混合液の組成をイソプロピルアルコール70%、メタノール30%の組成に変更し、投入量を1200gに変更した以外は同様の操作をした。透過液の組成はイソプロピルアルコール0.8%、メタノール99.2%だった。14時間平均の透過流束は0.30kg/m2hであった。 炭素膜によりメタノールを分離した結果、循環槽において、濃縮液が生成した。 実験開始14時間後の濃縮液の一部を採取し、イソプロピルアルコール濃度、メタノール濃度を測定した。濃縮液の組成はイソプロピルアルコール95.0%、メタノール5.0%であった。結果は表1に示した。<比較例1> 炭素膜の代わりにゼオライト膜として、A型ゼオライト膜(チューブラ膜:外径12mm×長さ40mm、膜面積0.0016m2)を1本装着したガラス製フラスコに、試薬から調製したイソプロピルアルコール70%、メタノール15%および水15%の組成である混合液220gを供給液した以外は、実施例1と同様な膜分離装置を利用した。 オイルバスにて内温が60℃になるように混合液をマグネティックスターラ―で攪拌しながら加温した。ゼオライト膜の内側を真空ポンプで真空調節器により0Torrに保持した。混合液の温度が60℃となった時点で実験を開始した。ゼオライト膜の内側を真空状態に保持することで供給液中のメタノールおよび水のみが蒸気としてゼオライト膜を介して外側から内側へ移動し、分離される。 ゼオライト膜により分離されたメタノールの蒸気および水の蒸気はドライアイスメタノールを冷媒とした冷却凝縮用ガラス製トラップで冷却し、透過液として回収した。 実験開始後15時間で透過液として16.2gを捕集した。透過液のイソプロピルアルコール濃度、メタノール濃度を測定した。透過液の組成はイソプロピルアルコール0.1%、メタノール1.3%および水98.6%であった。15時間平均の透過流束は0.68kg/m2hであった。 ゼオライト膜によりメタノール、および水を分離した結果、ガラス製フラスコにおいて、濃縮液が生成した。 実験開始後15時間後の濃縮液の一部を採取し、濃縮液の組成分析した結果、」イソプロピルアルコール75.1%、メタノール16.8%および水8.1%であった。<比較例2> 実施例12において、最初に循環槽に投入する試薬から調整した混合液の組成をイソプロピルアルコール70%、エタノール30%の組成に変更し、実験温度を70℃に変更し、実験時間を3時間に変更した以外は同様の操作をした。透過液の組成はイソプロピルアルコール0.2%、エタノール99.8%であり、3時間平均の透過流束は0.03kg/m2hだった。 実験開始3時間後の濃縮液の一部を採取し、イソプロピルアルコール濃度、エタノール濃度を測定した。濃縮液の組成はイソプロピルアルコール72.1%、エタノール27.9%であった。結果は表1に示した。<比較参考例1> イソプロピルアルコール69.3%、メタノール15.8%および水14.9% の混合溶液202.1gをリービッヒ冷却管付きのガラス製ナスフラスコに投入し、オイルバスにより加温した。大気圧において蒸留を実施した。 留出開始後、10分、45分、90分、115分の時点でそれぞれ、蒸留液をと分取した結果、イソプロピルアルコールと水が共沸組成物を形成するため、蒸留液を分取しても蒸留液に水が10.6〜13.8%も含有していた。 炭素膜でメタノールおよび水を分離した場合比較して、イソプロピルアルコール濃度が低く、蒸留法は、分離方法として劣っていた。 実施例1〜9は、イソプロピルアルコール、メタノール、水の3成分から構成される混合溶液を使用した場合である。いずれの組成であっても水およびメタノールの分離が可能で、イソプロピルアルコール濃度は95〜98.5%までの濃縮ができた。 また、混合液のイソプロピルアルコール濃度が50%以上であれば、短時間での水およびメタノールの分離が可能であった。 実施例10は、イソプロピルアルコール、メタノール、水の3成分から構成される混合溶液のイソプロピルアルコールの比率が32%である場合、水およびメタノールの分離に著しく時間がかかっていることを示している。 実施例11は、供給液として水を含まないイソプロピルアルコール、およびメタノールの2成分から構成される混合溶液を使用した場合である。水を含まない供給液であっても炭素膜によりメタノールの分離が可能で、分離後のイソプロピルアルコール濃度が95.0%までの濃縮ができた。 比較例1は、イソプロピルアルコール、メタノール、水の3成分から構成される混合溶液をゼオライト膜で分離した場合である。濃縮液にメタノールが多量に残留している。 比較例2は、供給液として水を含まないイソプロピルアルコールおよびエタノールの2成分から構成される混合溶液を使用した場合である。供給液にエタノールが含まれる場合は、炭素膜によるエタノールの分離速度が著しく遅く、工業的適用が不可能であることを示している。 具体的には、実施例11におけるメタノールの分離速度は実験開始の最初の1時間の透過流束が0.60kg/m2hであるのに対して、比較例2におけるエタノールの分離速度は実験開始の最初の1時間の透過流束は0.04kg/m2hと著しく小さい。 イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液を炭素膜の片面に接触させて、炭素膜の他面からメタノールおよび水を分離することを特徴とするイソプロピルアルコールの回収方法。 有機溶剤水溶液に含まれるイソプロピルアルコール濃度が50質量%以上である請求項1に記載のイソプロピルアルコールの回収方法。 炭素膜におけるメタノールおよび水の分離透過流束が、0.40kg/m2h以上である請求項1または請求項2のいずれかに記載のイソプロピルアルコールの回収方法。 回収されたイソプロピルアルコールの濃度が90質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のイソプロピルアルコールの回収方法。 イソプロピルアルコールおよびメタノールを含む有機溶剤を炭素膜の片面に接触させて、炭素膜の他面からメタノールを分離することを特徴とするイソプロピルアルコールの回収方法である。 【課題】本発明は、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液から、簡易な方法でイソプロピルアルコールを回収する方法を提供することを目的とする。また、イソプロピルアルコール、メタノールを含む有機溶剤から、イソプロピルアルコールを回収する方法を提供することを目的とする。【解決方法】イソプロピルアルコール、メタノールおよび水を含む有機溶剤水溶液を炭素膜の片面に接触させて、炭素膜の他面からメタノールおよび水を分離することを特徴とするイソプロピルアルコールの回収方法である。【選択図】図1


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