タイトル: | 公開特許公報(A)_アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 |
出願番号: | 2012255821 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 67/03,C07C 69/54,C07B 61/00 |
加門 良啓 村田 直志 JP 2014101331 公開特許公報(A) 20140605 2012255821 20121122 アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 加門 良啓 村田 直志 C07C 67/03 20060101AFI20140509BHJP C07C 69/54 20060101ALI20140509BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140509BHJP JPC07C67/03C07C69/54 ZC07B61/00 300 4 OL 8 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC48 4H006AD11 4H006AD17 4H006BA10 4H006BA32 4H006BA94 4H006BB31 4H006BD20 4H006BD60 4H006BP10 4H006KA03 4H039CA66 4H039CD10 4H039CD30 本発明は、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの高純度で効率よく製方法に関する。 メタクリル酸アリルは樹脂熱可塑性改質剤、樹脂表面硬度向上剤、ゴム改質剤、架橋剤等の透明な樹脂の原料として使われている。また、アリル基の末端二重結合に対する白金触媒によるヒドロシリル化反応で、メタクリル酸−3−トリス(トリメトキシ)シリルプロピル等の透明で高酸素透過性の(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導することもできる。 しかし、メタクリル酸アリルは、原料であるアリルアルコールが毒性を持ち製造時に危険を伴うという問題点がある。また、メタクリル酸−3−トリス(トリメトキシ)シリルプロピルは、ソフトコンタクトレンズの原料等の用途では、疎水性で高弾性率のために使いづらいことも指摘されている(特許文献1〜7)。なお、以後、アクリル酸又はメタクリル酸をあわせて(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルをあわせて(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶこともある。 メタクリル酸アリルのこのような問題を回避するために、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルが提案されている。アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルがメタクリル酸アリルより優れている点は、原料であるアリルエーテル基を持つアルコールがアリルアルコールよりも低毒性である点、アリル基が空気中の酸素と反応することで空気硬化性を持つ点(非特許文献1)、誘導体である(メタ)アクリル変性シリコーンがメタクリル酸−3−トリス(トリメトキシ)シリルプロピルより親水性で低弾性率のためソフトコンタクトレンズの原料として使いやすい点である(特許文献1〜7)。 アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルは、通常アリルエーテル基を持つアルコールと(メタ)アクリル酸誘導体とのエステル化で製造される。エステル化で用いられる(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルがある。 しかし、従来のエステル化でアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを製造した場合、高純度で効率よく製品を得ることは困難である。特に(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合、白金触媒によるヒドロシリル化反応を行なう必要があるが、反応成分中にスルフィド、メルカプタン等の硫黄系化合物、アミン等の窒素系化合物、ホスフィン等のリン系化合物、スズ系化合物、ヒ素系化合物が含まれていると、触媒毒となり、反応が著しく阻害される。また、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、カルボン酸等の酸が含まれていると、(メタ)アクリル変性シリコーンのシリコーン部分の分解を誘発する。以上を考慮してアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度で効率よく製造する方法を記載した文献は報告されていない。 例えば、(メタ)アクリル酸ハライドによるエステル化(特許文献3〜9)では、次のような問題点を抱えている。すなわち、原料として高価で刺激性の高い(メタ)アクリル酸クロリドが使用される点、副生物として塩酸が生成するが、比較的刺激性が高く、かつ製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行なった場合、(メタ)アクリル変性シリコーンのシリコーン部分の分解を誘発する点、塩酸を中和するための塩基としてトリエチルアミン、ピリジン等のアミン類が使用されるが、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行ない(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合、触媒毒となる点である。塩酸やアミン類は除去が可能であるが、そのために操作が煩雑になる。 (メタ)アクリル酸無水物によるエステル化では、次のような問題点を抱えている。すなわち、触媒としてトリエチルアミン、ピリジン等のアミン類が使用されるが、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行ない(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合、触媒毒となる点、副生物として(メタ)アクリル酸が生成するが、比較的刺激性が高く、かつ製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行なった場合、(メタ)アクリル変性シリコーンのシリコーン部分の分解を誘発する点である。アミン類や(メタ)アクリル酸は除去が可能であるが、そのために操作が煩雑になる。 (メタ)アクリル酸によるエステル化(特許文献1〜2、特許文献10)では、次のような問題点を抱えている。すなわち、原料として(メタ)アクリル酸が、触媒として硫酸、p−トルエンスルホン酸1水和物等が使用されるが、比較的刺激性が高く、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行なった場合、(メタ)アクリル変性シリコーンのシリコーン部分の分解を誘発する点である。(メタ)アクリル酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸1水和物等は除去が可能であるが、そのために操作が煩雑になる。 (メタ)アクリル酸エステルによるエステル化、いわゆるエステル交換反応で、これまで報告されている方法(特許文献11、非特許文献1)では、次のような問題点を抱えている。すなわち、触媒としてp−トルエンスルホン酸1水和物等が使用されるが、比較的刺激性が高く、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行なった場合、(メタ)アクリル変性シリコーンのシリコーン部分の分解を誘発する点である。また、触媒として、p−トルエンスルホン酸1水和物等の代わりに、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド等のジアルキルスズオキシド系化合物が使用されても、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行ない(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合、触媒毒となるという問題点を抱えている。p−トルエンスルホン酸1水和物等やジアルキルスズオキシド系化合物は除去が可能であるが、そのために操作が煩雑になる。 (メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルによるエステル化では、反応を加速するため、原料を混合した反応液を加熱し高温にする。高温による重合を防止するために、重合防止剤を使用しエアーバブリングを行うことが好ましいが、これまで報告されている方法では、次のような問題点を抱えている。すなわち、重合防止剤としてヒドロキノンが使用されるが、この方法で製造したメタクリル酸−2−アリルオキシエチルは蒸留精製したにもかかわらず黄色に着色していることが報告されていて、ヒドロキノンが反応中の加熱により経時的に着色し、着色の除去が容易でないという点である(特許文献10)。重合防止剤として、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、2,2'−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等のチオエーテル系化合物が使用されても、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行ない(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合、触媒毒となる点である(特許文献8)。特公平1−20408号公報特公平5−15724号公報特開2001−220394号公報特開2001−323024号公報特開2001−323025号公報特開2002−80538号公報WO03/042222号特開平05−86075号公報特開2012−209387号公報特開平05−112720号公報米国特許2572951号公報色材、第36巻、225〜231ページ、1963年 本発明は、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造することを目的とする。 前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、適切な触媒と重合防止剤を選択してエステル交換反応を行ない、適切な精製を実施することによって、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造することができることを見出した。 すなわち、本発明に係る方法は、アリルエーテル基を持つアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとを、触媒として金属アルコキシド系化合物を用いてエステル化するアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。 本発明によれば、特に(メタ)アクリル変性シリコーンの原料として好適な、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造することができる。 アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルはアリルエーテル基を持つアルコールを(メタ)アクリル酸誘導体でエステル化することにより得られる。 エステル化に用いられるアリルエーテル基を持つアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、2−アリルオキシエタノール(エチレングリコールモノアリルエーテル)、2−(2−アリルオキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールモノアリルエーテル)、2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エタノール(トリエチレングリコールモノアリルエーテル)、2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール(テトラエチレングリコールモノアリルエーテル)、2−(2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エトシキ)エタノール(ペンタエチレングリコールモノアリルエーテル)、3−アリルオキシプロパノール(1,3−プロピレングリコールモノアリルエーテル)等が挙げられる。これらのアリルエーテル基を持つアルコールは市販品を入手しても、文献記載の方法でアリルハライドとジオールから製造して入手もよく、単一の成分であっても複数の成分を含む混合物であってもよい。 エステル化で用いられる(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルがあるが、前述した、製品に残存すると、引き続き白金触媒によるヒドロシリル化反応を行ない(メタ)アクリル変性シリコーンに誘導する場合の問題点のほか、未反応原料や副生成物の回収性、廃棄物処理の問題を考慮すると、(メタ)アクリル酸エステルによるエステル化、すなわちエステル交換反応が最も好ましい。 エステル交換反応を行う際にはエステル交換反応用触媒が使用される。この際に用いるエステル交換反応用触媒としては金属アルコキシド系化合物が好ましく、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド等のチタンアルコキシド系化合物、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等のジルコニウムアルコキシド系化合物、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトラ−n−ブトキシド等のハフニウムアルコキシド系化合物、亜鉛ジメトキシエトシキド等の亜鉛アルコキシド系化合物、鉄トリエトシキド等の鉄アルコキシド系化合物、ランタントリイソプロポキシド等のランタンアルコキシド系化合物が挙げられる。このうち、価格や入手の容易さ、反応後の精製で製品を蒸留する場合や触媒を失活させて除去する場合の操作の容易さを考慮すると、チタンアルコキシド系化合物とジルコニウムアルコキシド系化合物が最も好ましい。 金属アルコキシド系化合物をエステル交換反応用触媒として使用する場合、アルコール:(メタ)アクリル酸エステル:触媒のモル比は1:1.5〜20:0.0001〜0.05が好ましく、特に1:2〜6:0.0005〜0.03が好ましい。この際に用いる(メタ)アクリル酸エステルとしては、副生するアルコールの回収性や入手の容易さを考慮すれば、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。反応温度は通常−30〜150℃であるが、副生するアルコールを除き、有意な反応速度を得るためには60〜150℃が好ましい。 なお、高温による重合を防止するために、重合防止剤を使用しエアーバブリングを行うことが好ましい。この際に用いる重合防止剤としては、反応後の精製で製品を蒸留する場合は、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系化合物が好ましく、反応後の精製で触媒を失活させて除去する場合は、例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物が好ましい。 このようにして得られたアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを、蒸留、あるいは反応液に水とセライトを加えて混合しチタンアルコキシド系化合物またはジルコニウムアルコキシド系化合物を失活させた上でろ過して除去する等により適宜精製することで、(メタ)アクリル変性シリコーン原料の原料として好適な、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造することができる。 本発明によって製造されるアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸−2−アリルオキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−(2−アリルオキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸−2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸−2−(2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸−3−アリルオキシプロピル等が挙げられる。 以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、各化合物の分析はガスクロマトグラフィー(以下GCという。)を用いて行なった。 純度はGCのピーク面積から次式により算出した。 純度(%)=(A/B)×100 ここで、Aは目的生成物のピーク面積の合計、Bは全ピーク面積の合計を表す。 また、実得収率は次式により算出した。 実得収率(%)=(C/D)×100 ここで、Cは得られた目的生成物のmol数、Dは基準となる原料のmol数を表す。 (実施例1) メタクリル酸メチル1702.24g[三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリエステルM、17mol]、2−アリルオキシエタノール(エチレングリコールモノアリルエーテル)694.48g[日本乳化剤株式会社製、商品名アリルグリコール、6.8mol]、触媒としてチタンテトラメトキシド8.356g[MRCユニテック株式会社製、70質量%、0.034mol]、重合防止剤として4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル[和光純薬工業株式会社製]0.58gを混合し、3000mlの三口フラスコに入れ、油浴につけて空気を吹込みながら反応液が還流する温度で5時間加熱することによりエステル交換反応を行なった。反応終了後、冷却して、反応液を減圧下に蒸留精製したところ、沸点77℃/4.0hPa、純度99.6%の透明な液体のメタクリル酸−2−アリルオキシエチル1048.2gを得た。2−アリルオキシエタノール基準の実得収率は90.1%であった。 (実施例2) メタクリル酸メチル30.04g[0.3mol]、2−(2−アリルオキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールモノアリルエーテル)17.54g[シグマアルドリッチジャパン株式会社製、0.12mol]、触媒としてチタンテトラメトキシド0.148g[70質量%、0.0006mol]、重合防止剤として4−ベンゾキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.01g[和光純薬工業株式会社製]を混合し、50mlの三口フラスコに入れ、油浴につけて空気を吹込みながら反応液が還流する温度で6時間加熱することによりエステル交換反応を行なった。反応終了後、冷却して、反応液を減圧下に蒸留精製したところ、沸点92℃/4.0hPa、純度99.3%の透明な液体のメタクリル酸−2−(2−アリルオキシエトキシ)エチル22.99gを得た。2−(2−アリルオキシエトキシ)エタノール基準の実得収率は88.8%であった。 (実施例3) メタクリル酸メチル1852.22g[18.5mol]、2−アリルオキシエタノール(エチレングリコールモノアリルエーテル)と2−(2−アリルオキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールモノアリルエーテル)と2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エタノール(トリエチレングリコールモノアリルエーテル)の混合物775.76g[日本乳化剤株式会社製、商品名アリルグリコール−H]、触媒としてチタンテトラメトキシド9.09g[70質量%、0.037mol]、重合防止剤として4−ベンゾキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.63gを混合し、3000mlの三口フラスコに入れ、油浴につけて空気を吹込みながら反応液が還流する温度で7時間加熱することによりエステル交換反応を行なった。反応終了後、冷却して、反応液を減圧下に蒸留精製したところ、沸点77℃/4.0hPaのメタクリル酸−2−アリルオキシエチルと、沸点92℃/4.0hPaのメタクリル酸−2−(2−アリルオキシエトキシ)エチルと、沸点112℃/4.0hPaのメタクリル酸−2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エチルの混合物である透明な液体1029.2gを得た。この混合物を合計した純度は99.3%であった。2−アリルオキシエタノールと2−(2−アリルオキシエトキシ)エタノールと2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エタノールの混合物基準の実得収率は81.7%であった。 (実施例4) テトラエチレングリコール97.1g[和光純薬工業株式会社製、0.5mol]、水酸化ナトリウム23.0g[関東化学株式会社製、0.58mol]を混合し、200ml三口フラスコに入れ、室温で1時間撹拌した。この混合液に塩化アリル23.0g[和光純薬工業株式会社製、0.5mol]を滴下した。滴下終了後、反応液が還流する温度で3時間反応させた。反応終了後、テトラヒドロフラン150mlを加え、固形分をろ過して、テトラヒドロフラン[関東化学株式会社製]を留去した。残渣を減圧下に蒸留精製したところ、沸点140℃/4.0hPa、純度98.7%の透明な液体の2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール(テトラエチレングリコールモノアリルエーテル)78.5gを得た。テトラエチレングリコール基準の実得収率は66.1%であった。 メタクリル酸メチル75.09g[0.75mol]、2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール(テトラエチレングリコールモノアリルエーテル)70.29g[0.3mol]、触媒としてジルコニウムテトラ−n−ブトキシド0.719g[シグマアルドリッチジャパン株式会社製、80質量%、0.0015mol]、重合防止剤としてp−メトキシフェノール[和光純薬工業株式会社製]0.045gを混合し、200mlの三口フラスコに入れ、油浴につけて空気を吹込みながら反応液が還流する温度で8時間加熱することによりエステル交換反応を行なった。反応終了後、冷却して、セライト2gと水1gを加え、70℃で1時間攪拌した。固形分をろ過して過剰なメタクリル酸メチルを留去し、テトラヒドロフラン200mlを加え、10質量%水酸化ナトリウム水溶液120gで2回洗浄し、中性になるまで水で洗浄した。テトラヒドロフランを留去したところ、純度98.1%の透明な液体のメタクリル酸−2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル75.28gを得た。2−{2−[2−(2−アリルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール基準の実得収率は81.4%であった。 本発明の製造方法によれば、アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造することができる。 アリルエーテル基を持つアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとを、触媒として金属アルコキシド系化合物を用いてエステル化するアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 エステル化する際に重合防止剤としてN−オキシル系化合物を用いて、蒸留により精製する請求項1に記載の方法。 エステル化する際に重合防止剤としてフェノール系化合物を用いて、反応液に水とセライトを加えて混合し触媒を失活させた上でろ過して除去することにより精製する請求項1に記載の方法。 金属アルコキシド系化合物がチタンアルコキシド系化合物またはジルコニウムアルコキシド系化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 【課題】アリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを高純度、高品質で製造する方法を提供する。【解決手段】アリルエーテル基を持つアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとを、触媒として金属アルコキシド系化合物を用いてエステル化するアリルエーテル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルの製造方法:金属アルコキシド系化合物としてはチタンアルコキシド系化合物またはジルコニウムアルコキシド系化合物が好ましい。【選択図】なし