タイトル: | 公開特許公報(A)_潤滑油組成物 |
出願番号: | 2012240477 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C10M 169/04,C07D 339/06,C10M 101/02,C10M 107/02,C10M 105/32,C10M 105/18,C10M 107/34,C10M 105/04,C10M 135/34,C10N 30/00,C10N 40/04,C10N 40/06,C10N 40/08,C10N 40/25,C10N 50/10 |
羽生田 清志 長富 悦史 篠田 憲明 JP 2013032544 公開特許公報(A) 20130214 2012240477 20121031 潤滑油組成物 昭和シェル石油株式会社 000186913 亀川 義示 100081547 羽生田 清志 長富 悦史 篠田 憲明 C10M 169/04 20060101AFI20130118BHJP C07D 339/06 20060101ALI20130118BHJP C10M 101/02 20060101ALI20130118BHJP C10M 107/02 20060101ALI20130118BHJP C10M 105/32 20060101ALI20130118BHJP C10M 105/18 20060101ALI20130118BHJP C10M 107/34 20060101ALI20130118BHJP C10M 105/04 20060101ALI20130118BHJP C10M 135/34 20060101ALI20130118BHJP C10N 30/00 20060101ALN20130118BHJP C10N 40/04 20060101ALN20130118BHJP C10N 40/06 20060101ALN20130118BHJP C10N 40/08 20060101ALN20130118BHJP C10N 40/25 20060101ALN20130118BHJP C10N 50/10 20060101ALN20130118BHJP JPC10M169/04C07D339/06C10M101/02C10M107/02C10M105/32C10M105/18C10M107/34C10M105/04C10M135/34C10N30:00 ZC10N40:04C10N40:06C10N40:08C10N40:25C10N50:10 2 2007063706 20070313 OL 10 4C023 4H104 4C023NA03 4H104BA02A 4H104BA07A 4H104BB08A 4H104BB31A 4H104BB41A 4H104BG18C 4H104CB14A 4H104DA02A 4H104LA20 4H104PA02 4H104PA04 4H104PA05 4H104PA41 4H104QA18 本発明は、潤滑油組成物に関する。 潤滑油に耐摩耗性および極圧性を付与する為の有効な添加剤として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が、長期にわたり、広範な分野の潤滑油に対して用いられてきた。 一方、近年、内燃機関の排出ガスに対する規制は年々厳しさを増しており、排出ガスを浄化するための各種触媒やフィルターの装着が必須のものとなって来ている。例えば、ガソリンエンジンを搭載した車両には、炭化水素(HC)や窒素酸化物(NOx)の浄化を目的として三元触媒が装着されている。また、最近のディーゼルエンジンを搭載した車両には、粒子状物質(PM:Particle Material)の低減を目的として酸化触媒やDPF(Diesel Particulate Filter)が、NOxの浄化を目的としてNOx吸蔵触媒等の後処理装置が装着されるようになってきた。 更に、内燃機関においては燃料を燃焼させるが、燃料だけでなく使用される潤滑油(エンジン油)の一部も燃焼室内において燃焼することが避けられないために、エンジン油中に配合されているZnDTPも燃焼し、排出ガス中に亜鉛由来の灰分や、また硫黄分やリン分が含まれることになる。 排出ガスの浄化を目的として装着されている各種の後処理装置においては、排出ガスによる被毒や目詰まりなどによって浄化するための性能が次第に低下していくことが報告されている。例えば、三元触媒は硫黄やリンによる被毒により、また、酸化触媒やNOx吸蔵触媒も硫黄による被毒により著しく性能が低下することが知られている。さらに、DPFは灰分により目詰まりを起こし、車両の運行に悪い影響を及ぼしている。 そこで、エンジン油中に使用されているZnDTPの量を減少させることは、これら後処理装置を効果的に作用させ、その使用寿命を延長させ、また環境の保全を図る上で非常に重要であるが、ZnDTPの使用量を減少させた場合にも潤滑油の耐摩耗性を低下させないように維持することが同時に重要である。 こうした背景からZnDTPをはじめとする既知の亜鉛及びリンを含有する添加剤の上記したような欠点を考慮して、亜鉛もリンも含まない、少なくともそれらの含有量を減少させた潤滑油用の添加剤を得るための努力が払われてきた。 このようなものの一環として、無亜鉛(無灰)、無リンの潤滑油添加剤としては、例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールと不飽和モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドとの反応生成物(特許文献1)、ジアルキルジチオカルバメート誘導有機エーテル(特許文献2)、及び5−アルキル−2−チオン−1,3,4−チアジアゾリジン化合物などが挙げられる(特許文献3)。 また、上記した内燃機関用の潤滑油のみならず、機械油、油圧作動油、ギヤ油、グリース等においても、環境に対する負荷を低減するという観点から、亜鉛(Zn)やモリブデン(Mo)などの金属分、リン(P)を含有しないもの又はこれらを低減したものするという要請は一層強くなってきている。米国特許第5,512,190号米国特許第5,514,189号特表2004−528475 本発明は、亜鉛成分、リン成分を含まず、ZnDTPに替わる化合物を使用した潤滑油組成物を提供しようとするものである。 本発明において使用されるものは、下記の一般式(1)で示される化合物であって、 上記一般式(1)中のR1、R2は、炭素数2〜12の直鎖炭化水素である。 この化合物は、添加剤として潤滑油組成物中に含有されて使用され、通常、0.1質量%以上の添加量で使用される。 本発明によれば、ZnDTPに替わる化合物を含む潤滑油組成物、特にエンジン用の潤滑油組成物として有用であり、耐摩耗性及び酸化防止性能に優れ、排出ガスの浄化に効果的である。また、機械油、油圧作動油、ギヤ油、グリース等として有効に使用することができる。 上記した一般式(1)で示される化合物において、 式(1)中のR1、R2は、炭素数2〜12の直鎖の炭化水素である。 炭化水素としては、例えば、一般式(2)で表される飽和炭化水素がある。(化3) −CnH2n+1 (2) こうしたものとして、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどを挙げることができる。 上記のR1、R2は、それぞれ同一のものであってもよいし、異なっていてもよい。 この化合物は、潤滑油組成物の構成成分として添加されて使用される。その添加量は特に限定されるものではないが、通常、潤滑油組成物中の含有量として0.1質量%以上となる量で使用すると好ましい。 特に、エンジン用の潤滑油組成物に使用すると、高性能を得ることができるが、通常、下記する金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などと併用することによって、一層効果的に使用することができる。 また、この潤滑油組成物をギヤ油、機械油、油圧作動油またはグリースにする場合には、用途に応じた適宜の添加剤と併せて用いることができる。 上記金属清浄剤としては、例えば、アルカリ土類金属塩型清浄剤があり、こうしたものとしてCaサリシレート、Caスルフォネート、Caフィネート、Mgサリシレート、Mgスルフォネート、Mgフィネートなどを用いることができる。 無灰分散剤としては、例えば、モノイミド型あるいはビスイミド型のアルケニルコハク酸イミド若しくはアルキルコハク酸イミド、またはそれらのホウ素誘導体を使用することができる。また、必要に応じてさらに異なる種類の無灰分散剤を使用してもよく、こうしたものとして、例えば、ポリアルキレンアミド系、ベンジルアミン系、コハク酸エステル系のものがある。これらの分散剤は、ホウ素化されていてもよい。 これらの無灰分散剤は1種類を単独で用いたり、2種以上を併用してもかまわない。 上記した無灰分散剤として、分散性を有する添加剤、例えば、粘度指数向上剤等の分散性を付与することができる重合性化合物を併用したり、単独で用いることもできる。 上記酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤を使用することができる。 アミン系酸化防止剤としては、芳香族アミン系酸化防止剤があり、例えば、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミンなどのジアルキル−ジフェニルアミン類、モノ−t−ブチルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン類、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなどのビス(ジアルキルフェニル)アミン類、オクチルフェニル−1−ナフチルアミンなどのアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類、フェニル−1−ナフチルアミンなどのアリール−ナフチルアミン類、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、3,7−ジオクチルフェノチアジンなどのフェノチアジン類などが挙げられる。 また、フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−t−ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノールなどのアルコキシフェノール類、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテートなど、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL135)などのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類がある。(化合物1) 上記化学式(1)で示される化合物の一つとして、下記の化学式(3)で表される4,5−Bis(dodecathio)−1,3−dithiole−2−thione(DTTC12)がある。 この化学式(3)の化合物は次のようにして製造することができる。 合成に当りナスフラスコ、スターラーを準備し、ドラフト内に反応装置を用意する。ナスフラスコに、ビス(テトラ−n−ブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオレート)亜鉛錯体20.045g(21.256mmol)、1−ヨードドデカン25.180g(85.004mmol)、アセトニトリルを加え、スターラーチップを投入し、室温、窒素雰囲気下で8時間攪拌し反応を行った。 反応終了後、エバポレーターにて溶媒(アセトニトリル)を留去し、次に、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒は、ジクロロメタン:n−ヘキサン=2:3の混合溶液)により不純物を分離し、展開溶媒を留去した後、減圧乾燥し16.830g(収率74%)の黄色板状結晶の化学式(3)の化合物を得た。 この化合物について、質量分析を行い(EI+,70eV)、相対強度m/z=534〔M+,100%〕と、m/z=536〔(M+2)+,約26%)を確認し、同定した。(化合物2) 同様の化合物の一つとして、下記の化学式(4)で表される4,5−Bis(octadecathio)−1,3−dithiole−2−thione(DTTC18)がある。 この化学式(4)の化合物は次のようにして製造することができる。 合成に当りナスフラスコ、スターラーを準備し、ドラフト内に反応装置を用意する。 ナスフラスコに、ビス(テトラ−n−ブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオレート)亜鉛錯体12.003g(12.728mmol)、1−ヨードオクタデカン19.375g(50.935mmol)、アセトニトリルを加え、スターラーチップを投入し、室温窒素雰囲気下で8時間攪拌し反応を行った。 反応終了後、エバポレーターにて溶媒(アセトニトリル)を留去し、次に、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒は、ジクロロメタン:n−ヘキサン=2:3の混合溶液)により不純物を分離し、展開溶媒を留去した後、減圧乾燥し11.1g(収率62%)の黄色板状結晶の化学式(4)の化合物を得た。 この化合物について、質量分析を行い(EI+,70eV)、相対強度m/z=702〔M+,100%〕と、m/z=702〔(M+2)+,約30%)を確認し、同定した。(実施例1:潤滑油組成物) 上記化学式(3)に記載の化合物を用いて実施例1及び比較例1、2の潤滑油組成物を調製するために、下記の組成材料を用意した。1 基油:GIII基油;API(American Petroleum Institute,米国石油協会)基油カテゴリーでGIII(グループ3)の基油(特性:100℃における動粘度 8.152mm2/s、 40℃における動粘度 47.92mm2/s、粘度指数 144である。)2 添加剤 2−1 Ca系金属清浄剤:Infineum M7101(インフィニアム社製);代表値として塩基価168mgKOH/g、硫酸灰分20%であるCaサリシレート 2−2 無灰系分散剤:OLOA5093(オロナイト社製);代表値として塩基価24mgKOH/g、ビスタイプ、窒素量:1.2%であるもの。 2−3 フェノール系酸化防止剤:IrganoxL135(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル 2−4 ZnDTP(セカンダリータイプ):Lubrizol Lz 1371(ルーブリゾール社製) 実施例1及び比較例1、2のエンジン用潤滑油組成物の配合組成は、表1に示すとおりである。 また、実施例1及び比較例1、2について、下記の性状値を同じく表1に表示した。 3−1 窒素分量(計算値) 3−2 リン分量(計算値) 3−3 硫酸灰分(計算値) 3−4 動粘度(40℃) 3−5 動粘度(100℃) 3−6 粘度指数(VI)(試験1) エンジン用潤滑油組成物の性能を評価するために、シェル4球試験をASTM D4172に準拠して下記の条件で行った。 (4−1)荷 重:392N(40kgf) (4−2)温 度:75℃ (4−3)回転数 :1800rpm (4−4)試験時間:30分(試験2) また、ホットチューブ試験(HTT)をJPI 5S−55−99(石油学会法)に準拠して下記の条件で行った。 (5−1)温 度 :280℃ (5−2)試験時間 :16時間 (5−3)空気送り量:10ml/min (5−4)油送り量 :0.3ml/hr(結果) 上記試験1、2の結果を表1に示す。(評価) 実施例1は、比較例1に比べてシェル4球試験において摩耗痕径が0.90mmから0.53mmに低下していることから判るように耐摩耗性の改善が図られており、HTTにおいては比較例1の評点5.0から8.0まで向上(JASO M355:2005規格では、合格点は7.0以上とされている)しており、清浄性が向上し、酸化劣化物の生成が抑制されたことが判る。 また、比較例2として示す市販ZnDTP(ジンクジチオフォスフェート)を使用したものでは、亜鉛金属分があるため硫酸灰分が増加しており、またリン(P)分も混入している。 実施例1は比較例2に比べてHTTの結果が優れていることから、酸化劣化物の生成が抑制されたことにより清浄性が向上したといえる。また、耐摩耗性は、シェル4球試験から判るように、実施例1は比較例2と同等の性能を有しており、ZnDTPの一部に代替使用することにより、組成中のリン分低減に寄与することが可能である。 従って、実施例1のものはZnDTPを使用した比較例2に替えて用いることができるもので、しかも清浄性が良好で、金属分、リン分を含有しない、環境面にも配慮したものであることが示されている。 鉱油、ポリアルファオレフィン、エステル、エーテル、フィッシャートロプッシュ合成油をも含める合成油の単独物または混合物である基油に、金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤から選ばれる少なくとも1つの添加剤を含有させてなる潤滑油組成物に、下記の一般式(1)で示される化合物を添加することを特徴とする潤滑油組成物。(式1中、R1、R2は、炭素数2〜12の直鎖炭化水素である。) 潤滑油組成物が内燃機関油、ギヤ油、機械油、油圧作動油またはグリースのいずれかの形態である請求項1に記載の潤滑油組成物。 【課題】亜鉛、リン成分を含まず、ZnDTPに替わる化合物を使用した潤滑油組成物を提供しようとする。【課題手段】 鉱油、ポリアルファオレフィン、エステル、エーテル、フィッシャートロプッシュ合成油をも含める合成油の単独物または混合物である基油に、金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤から選ばれる少なくとも1つの添加剤を含有させてなる潤滑油組成物を用意する。この潤滑油組成物に下記の一般式(1)で示される化合物を加える。一般式(1)中のR1、R2は、炭素数2〜12の直鎖炭化水素である。このR1、R2はそれぞれ同一でも異なってもよい。【化1】【選択図】なし