タイトル: | 公開特許公報(A)_4級アンモニウム塩を含有するブロック剤解離触媒及びその用途 |
出願番号: | 2012235698 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C08G 18/80,C07C 211/63 |
藤原 裕志 木曾 浩之 JP 2014084426 公開特許公報(A) 20140512 2012235698 20121025 4級アンモニウム塩を含有するブロック剤解離触媒及びその用途 東ソー株式会社 000003300 藤原 裕志 木曾 浩之 C08G 18/80 20060101AFI20140415BHJP C07C 211/63 20060101ALN20140415BHJP JPC08G18/80C07C211/63 4 OL 16 4H006 4J034 4H006AA03 4H006AB40 4J034CA02 4J034CA04 4J034CB03 4J034CB07 4J034CC03 4J034DA01 4J034DB03 4J034DB07 4J034DF01 4J034DF02 4J034DG01 4J034DP18 4J034HA01 4J034HA07 4J034HA09 4J034HC03 4J034HC12 4J034HC35 4J034HC61 4J034HD03 4J034HD04 4J034HD05 4J034HD12 4J034KA01 4J034KB02 4J034KB07 4J034KD12 4J034KE02 4J034RA07 本発明は、ポリイソシアネートのブロック剤を解離するための触媒(以下、「ブロック剤解離触媒」と称する場合がある。)、及びそれを用いた熱硬化性組成物に関する。 ポリウレタン樹脂塗料は非常に優れた耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性を有している。一般的なポリウレタン樹脂塗料はポリオール成分とポリイソシアネート成分からなる二液型であり、それぞれを別々に貯蔵し塗装時に混合して使用する。しかしながら、一旦混合した塗料は短時間で硬化してしまうため可使時間が短く、塗装時の作業性の点で問題があった。また、ポリイソシアネートと水とが容易に反応するため、電着塗料の様な水性塗料での使用は不可能であった。このように、従来の二液型のポリウレタン樹脂塗料はその使用に際して多くの制限を有していた。 上記の問題点を改善するために、ポリイソシアネートを活性水素基含有化合物(ブロック剤)と反応させて不活性化したブロックイソシアネートを用いる方法が知られている。このブロックイソシアネートは、常温ではポリオールと反応しないが、加熱されることでブロック剤が解離してイソシアネート基を再生し、ポリオールとの架橋反応が進むものである。このため、可使時間が制限されることがなく、塗料に予め両者を配合して一液とすることや水性塗料への適用も可能となる。 ポリイソシアネートのブロック剤として使用される化合物としては、例えば、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、フェノール等が知られている。しかしながら、これらを用いたブロックイソシアネートはブロック剤を解離させるのに140℃以上の高い焼付け温度を必要とするため、エネルギー的に不利であり、耐熱性の低いプラスチック基材には適用できないという問題があった。 このため、触媒(ブロック剤解離触媒)の使用によって焼付け温度を低くする試みが従来から行われている。このような触媒としては、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫が公知であるが(例えば、非特許文献1参照)、毒性の問題からその使用は好ましいとはいえない。また、特定の4級アンモニウムカルボン塩が触媒として報告されているが(例えば、特許文献1参照)、解離温度の低下は充分とはいえず、低温での解離効果が高いブロック剤解離触媒が要望されている。特許第2732239号明細書Progress in Organic Coatings 36巻、148−172頁(1999年) 本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温での解離効果の高いブロック剤解離触媒及びその用途を提供することである。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、n−オクチル基を有する特定の4級アンモニウム塩を含有する触媒が、低温での解離効果の高いブロック剤の解離触媒となること、また、当該触媒の熱硬化性組成物に対する溶解性が上昇し、触媒効果が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下に示すとおりの4級アンモニウム塩を含有するブロック剤解離触媒、及びそれを用いた熱硬化性組成物である。 [1]下記一般式(1)[式中、Xb−は炭酸水素基、モノアルキル炭酸基、及び炭酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、aは1〜2の範囲の整数、bは1〜2の範囲の整数である。]で示される4級アンモニウム塩を含有するブロック剤解離触媒。 [2]4級アンモニウム塩が、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸水素塩、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩、及びトリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の4級アンモニウム塩であることを特徴とする上記[1]に記載のブロック剤解離触媒。 [3]上記[1]又は[2]に記載のブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート、及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物。 [4]イソシアネート反応性基を有する化合物がポリオールであることを特徴とする上記[3]に記載の熱硬化性組成物。 本発明のブロック剤解離触媒は、有機錫等の公知触媒を上回るブロック剤解離触媒活性を示すため、産業上極めて有用である。 また、本発明の熱硬化性組成物は、低温での解離効果が高いブロック剤解離触媒を使用しているため、エネルギー的に有利であり、耐熱性の低い基材にも適用可能である。 以下、本発明をさらに詳しく述べる。 本発明のブロック剤解離触媒は、上記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩を含有することをその特徴とする。上記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩は、n−オクチル基を有することで、触媒の熱硬化性組成物に対する溶解性が上昇し、触媒の効果が向上する。 上記一般式(1)において、Xb−は、炭酸水素基、モノアルキル炭酸基、及び炭酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、特に限定するものではないが、モノアルキル炭酸基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基を有するモノアルキル炭酸基が挙げられる。これらのうち、モノメチル炭酸基、モノエチル炭酸基、モノプロピル炭酸基、モノブチル炭酸基が特に好ましい。 本発明において、4級アンモニウム塩の調製法としては、特に限定するものではないが、例えば、4級アンモニウムヒドロキシドと二酸化炭素とを反応させる調製法(1)や、3級アミンと炭酸ジエステルを反応させて得られた4級アンモニウムモノアルキル炭酸塩と、二酸化炭素又は水とを反応させる調製法(2)等によって、調製することができる。 上記調製法(1)の反応条件としては特に限定するものではないが、水、エタノール等の溶媒中で、常温又は加熱下で行うことが好ましい。 上記調製法(1)で使用される4級アンモニウムヒドロキシドは、下記式(2)で示されるトリメチルモノn−オクチルアンモニウムヒドロキシドである。 上記調製法(2)の反応条件としては特に限定するものではないが、3級アミンと炭酸ジエステルの反応は、メタノール、エタノール等の溶媒中又は溶媒の非存在下で、常温又は加熱下で行うことが好ましい。また、4級アンモニウムモノアルキル炭酸塩と、二酸化炭素又は水との反応は、メタノール、エタノール等の溶媒中又は溶媒の非存在下で、常温又は加熱下、必要に応じて適宜発生する炭酸ガスを反応系から除去しながら行うことが好ましい。 上記調製法(2)で使用される3級アミンとしては、例えば、ジメチルモノn−オクチルアミンが挙げられる。 上記調製法(2)で使用される炭酸ジエステルとしては、例えば、炭酸ジメチルが挙げられる。 本発明のブロック剤解離触媒は、上記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩を含有するものであるが、これらのうち、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸水素塩、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の4級アンモニウム塩等を含有することが好ましい。 本発明のブロック剤解離触媒は、必要に応じて、溶媒を含有するができる。溶媒としては、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トルエン、ベンゼン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の熱硬化性組成物が水性の場合は、親水性の溶媒が好適に使用され、本発明の熱硬化性組成物が非水性の場合は、親油性の溶媒が好適に使用される。 次に、本発明の熱硬化性組成物について説明する。 本発明の熱硬化性組成物は、上記した本発明のブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート、及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する。 本発明の熱硬化性組成物において、ブロックイソシアネ−トとしては、例えば、非水性ブロックイソシアネート、水性ブロックイソシアネート等を挙げることができる。 非水性ブロックイソシアネートとしては、例えば、公知のブロック剤(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、ニトロフェノール、クロロフェノール、レゾルシノール等のフェノール類、ベンゼンチオール等のチオール類、ε−カプロラクタム等のカプロラクタム類、エチルカーバメイト等のカーバメイト類、アセチルアセトン等のケトエノール類、メチルエチルケトンオキシム等のケトオキシム類、ジイソプロピルアミン、トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール等のアミン類、重亜硫酸曹達等)を用いて、公知のイソシアネート化合物又はそれらのプレポリマーをブロックした化合物を挙げることができる。 ここで、公知のイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。 脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。 脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI、イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。 芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製MDI、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。 芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。 また、上記以外のイソシアネート化合物として、例えば、イソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物、これら化合物の反応物(例えば、アダクト型ポリイソシアネートや、アロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化反応、イソシアヌレート化反応、ウレトンイミン化反応、ビウレット化反応等によるイソシアネート変性体等)、又はこれらの混合物等を挙げることができる。 一方、水性ブロックイソシアネートは、例えば、ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個以上有する親水性基とを反応させ、これを公知のブロック剤でブロックすることにより得ることができる。親水性基としては、例えば、カチオン、アニオン等のイオン性基、ノニオン性基等が挙げられる。ポリイソシアネートにノニオン性基を導入するためのノニオン性化合物としては、例えば、ポリアルキレンエーテルアルコール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。 本発明の熱硬化性組成物において、イソシアネート反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリオールが挙げられる。本発明において、ポリオールとは、イソシアネート基に対して反応性を有する水酸基を2個以上含む化合物をいい、具体的には、非水性ポリオール、水性ポリオール等が例示される。 非水性ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等が挙げられる。 アクリルポリオールとしては、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を持つ重合性モノマーと、これに共重合可能なモノマーの共重合物が挙げられる。 一分子中に1個以上の活性水素を持つ重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等のアクリル酸ヒドロキシエステル類、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル等のメタクリル酸ヒドロキシエステル類、グリセリンのアクリル酸モノエステル若しくはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステル若しくはメタクリル酸モノエステル、又はこれらの活性水素にε−カプロラクトンを開環重合させることにより得られるモノマー等が挙げられる。 上記重合性モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。 ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール等が挙げられる。 縮合ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のジオール類と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸との反応物が挙げられる。 具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール等のアジペート系縮合ポリエステルジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール等のアゼレート系縮合ポリエステルジオール等を例示できる。 ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のジオール類と、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネートとの反応物等が挙げられる。具体的には、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ3−メチルペンタメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が例示される。 ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物の開環重合物等が挙げられる。具体的にはポリカプロラクトンジオール等が例示される。 ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の活性水素原子を2個以上含む化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のモノマーを付加重合させた反応物が挙げられる。モノマーを2種以上付加重合させた反応物の場合、ブロック付加、ランダム付加又は両者の混合系でも良い。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が例示される。 エポキシポリオールとしては、例えば、ノボラック型、β−メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、ハロゲン化型、レゾルシン型等のエポキシポリオールが挙げられる。 また、上記した以外の非水性ポリオールとして、例えば、これらのポリオールにイソシアネート化合物を反応させることによって生成したOH末端プレポリマーも同様に使用することができる。 一方、水性ポリオールとしては、例えば、上記した非水性ポリオールを、水に乳化、分散又は溶解させた化合物が挙げられる。水に乳化、分散又は溶解させる方法としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等を導入し中和させる方法等が挙げられる。ここで中和剤としては、例えば、アンモニアや、水溶性アミノ化合物であるモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。これらの中でも第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が好適に使用される。 本発明の熱硬化性組成物において、ポリオールの水酸基価としては、特に限定するものではないが、固形分あたり10〜300mgKOH/gの範囲が好ましく、より好ましくは20〜250mgKOH/gの範囲である。水酸基価を10mgKOH/g以上にすることにより、得られる樹脂の強度が向上し、300mgKOH/g以下とすることにより、得られる樹脂の可塑性が向上する。 本発明の熱硬化性組成物において、ポリオール成分は、ポリオール(イソシアネート基に対して反応性を有する水酸基を2個以上含む化合物)、中和剤、酸化防止剤、及び水を含有する組成物として、通常使用されるが、これらのうち固形分とは、ポリオール、中和剤、及び酸化防止剤を意味する。 ポリオールの水酸基価は、JIS−K0070に規定された方法により測定することができる。すなわち、試料に無水酢酸及びピリジンを加えて溶解させ、放冷後、水、トルエンを加えて調製した滴定試料液を、水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定することで測定できる。水酸基価は、1gの試料に含まれる水酸基をアセチル化するために消費された酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。 本発明の熱硬化性組成物におけるポリオールの水酸基とイソシアネート基との当量比([水酸基]/[イソシアネート基])は、必要とする塗膜物性により決定され、特に限定するものではないが、通常0.2〜2の範囲である。 本発明の熱硬化性組成物における本発明のブロック剤解離触媒の使用量は、ブロックイソシアネートの使用量に対する上記した4級アンモニウム塩の使用量([4級アンモニウム塩の使用量]/[ブロックイソシアネートの使用量])として、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。4級アンモニウム塩の使用量をブロックイソシアネートの使用量に対して0.1重量%以上とすることで充分な低温硬化性が得られる。一方、4級アンモニウム塩の使用量がブロックイソシアネートの使用量に対して15重量%を越えても低温硬化性のそれ以上の向上は見られず、経済的には不利である。 また、本発明の熱硬化性組成物における本発明のブロック剤解離触媒の使用量は、固形分に対する上記した4級アンモニウム塩の使用量([4級アンモニウム塩の使用量]/[固形分])として、通常0.05〜10重量%、好ましくは0.25〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。本発明において、「固形分」とは、熱硬化性組成物中の溶媒以外の成分を表し、例えば、非水性熱硬化性組成物の場合、非水性ポリオール中の酢酸ブチル、メチルエチルケトン等の溶媒以外の成分と、非水性ブロックイソシアネート中のメチルエチルケトン等の溶媒以外の成分との合計を表し、水性熱硬化性組成物の場合、水性ポリオール中の水等の溶媒以外の成分と、水性ブロックイソシアネート中の水等の溶媒以外の成分との合計を表す。4級アンモニウム塩の使用量を固形分に対して0.05重量%以上とすることで充分な低温硬化性が得られる。一方、4級アンモニウム塩の使用量が固形分に対して10重量%を越えても低温硬化性のそれ以上の向上は見られず、経済的には不利である。 本発明の熱硬化性組成物においては、必要に応じて、当該技術分野で常用される添加剤、顔料、溶剤等を使用することができる。 添加剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、過塩素酸塩系、ヒドロキシルアミン系等の着色防止剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、錫系、亜鉛系、アミン系等のウレタン化触媒、その他、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤等が挙げられる。 顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、その他、炭素系顔料、金属箔状顔料、防錆顔料等の顔料が挙げられる。 溶剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の熱硬化性組成物は、自動車の上中塗り塗料、耐チッピング塗料、電着塗料、自動車部品用塗料、自動車補修用塗料、家電・事務機器等の金属製品等のプレコートメタル・防錆鋼板、建築資材用塗料、プラスチック用塗料、接着剤、接着性付与剤、シーリング剤等として使用することができる。 以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。 なお、以下の実施例において、熱硬化性組成物の焼付け、耐溶剤性の測定は以下に示すとおり実施した。 <熱硬化性組成物の焼付け> 熱硬化性組成物をアルミニウム板(パルテック社製、A1050)に塗布し、50℃のオーブンで30分間予備乾燥した後、所定の温度のオーブンに入れ30分間焼付けを行った。 <耐溶剤性の測定> 上記した焼付けを行った塗膜を常温まで冷却してから、メチルエチルケトンを染みこませた脱脂綿で擦り、塗膜表面に傷が付くまでの往復回数を測定し、耐溶剤性を評価した。 製造例1 (非水性ブロックイソシアネートの調製) 窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコに攪拌羽根を取り付け、当該容器内を窒素雰囲気にした後、容器内にコロネートHX(日本ポリウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、NCO 21.3重量%)50.2g、脱水したメチルエチルケトン114gを仕込み、40℃で5分間攪拌した。その後、容器に滴下ロートを取り付け、40℃に保ったまま、容器内にメチルエチルケトンオキシム22.2gを1時間掛けて滴下した。そして容器に還流冷却管を取り付け、70℃で1時間反応させ、イソシアネートが検出されなくなったところで室温に冷却し反応を停止し、非水性ブロックイソシアネートを得た。得られた非水性ブロックイソシアネートは固形分濃度40.0重量%、有効NCO 1.36mmol/gであった。 ここで、有効NCOとは、ブロックイソシアネートを加熱してブロック剤が解離することにより反応可能となるイソシアネート基(NCO)の量を意味する。そして、有効NCOが1.36mmol/gであるとは、ブロックイソシアネート1g中に、1.36mmolのイソシアネート基が潜在的に含まれる(ブロック剤が解離することにより再生される)ことを意味する。 製造例2 (水性ブロックイソシアネートの調製) 窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコに攪拌羽根、還流冷却管を取り付け、当該容器内を窒素雰囲気にした。次いで、容器内にコロネートHX(日本ポリウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、NCO 21.3重量%)49.0g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Aldrich社製、平均分子量550)13.7gを仕込み、80℃で9時間反応させた。その後、容器内にメチルエチルケトンオキシム18.6g、メチルエチルケトン20.0gを加え、80℃で3時間反応させ、イソシアネートが検出されなくなったところで室温に冷却し反応を停止した。 得られた組成物100gに水150gを攪拌しながら徐々に添加し、水中に乳化分散した。得られた乳化分散液からエバポレーターにて残留するメチルエチルケトンを除去した。得られた水性ブロックイソシアネートは固形分濃度39.0重量%、有効NCO 1.19mmol/gの安定な分散液であった。 製造例3 (4級アンモニウム塩の調製) 200mlのオートクレーブにジメチルモノn−オクチルアミン15.4g、炭酸ジメチル13.2g、メタノール31.4gを仕込み、110℃で12時間攪拌して反応させた。これを一口ナスフラスコに回収し(回収量57.9g)、エチレングリコール35.1gを加え、その後、容器内を30℃にし減圧にして未反応の炭酸ジメチル、メタノールを除去し、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩の40.0重量%エチレングリコール溶液を58.5g得た。 製造例4 (4級アンモニウム塩の調製) 製造例3で得たトリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩の40.0重量%エチレングリコール溶液30.0gをグリフィンビーカーに仕込み、二酸化炭素ボンベを使用し二酸化炭素をバブリングさせながら、25℃で攪拌して反応させた。5時間反応させ、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸水素塩の38.6重量%エチレングリコール溶液を29.3g得た。 製造例5 (4級アンモニウム塩の調製) 200mlのオートクレーブにジメチルモノn−オクチルアミン15.5g、炭酸ジメチル44.5gを仕込み、110℃で12時間攪拌して反応させた。これを一口ナスフラスコに回収し(回収量58.1g)、エチレングリコール29.0gを加え、その後、容器内を30℃にし減圧にして未反応の炭酸ジメチルを除去し、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸塩の40.0重量%エチレングリコール溶液を48.4g得た。 実施例1 (非水性熱硬化性組成物における4級アンモニウム塩の触媒活性評価) 表1に示す組成で、非水性アクリルポリオール(DIC社製、アクリディックA−801、固形分濃度50.2重量%、固形分に対する水酸基価102mgKOH/g)、製造例1で得られた非水性ブロックイソシアネートを混合した後、製造例3で得られたトリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩の40.0重量%エチレングリコール溶液を攪拌しながら添加し、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩を含有する非水性熱硬化性組成物を得た。 得られた非水性熱硬化性組成物を80℃、90℃、100℃、110℃、120℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った。 実施例2〜3. 表1に示す組成で、実施例1と同様の方法により、4級アンモニウム塩を含有する非水性熱硬化性組成物を得た。 得られた非水性熱硬化性組成物を80℃、90℃、100℃、110℃、120℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った。 以上の結果を表1に併せて示す。 比較例1 (非水性熱硬化性組成物における触媒無添加の硬化性評価) 表2に示す組成で、非水性アクリルポリオール(DIC社製、アクリディックA−801、固形分濃度50.2重量%、固形分に対する水酸基価102mgKOH/g)、製造例1で得られた非水性ブロックイソシアネートを混合し、触媒を含有しない非水性熱硬化性組成物を得た。 得られた非水性熱硬化性組成物を80℃、90℃、100℃、110℃、120℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表2に示す。 表1、表2から明らかなとおり、比較例1では120℃においてラビング回数は5回未満であり塗膜は硬化していないのに対し、実施例1〜3では90℃においてラビング回数が100回に達し、塗膜は硬化していることから、4級アンモニウム塩の添加によりブロック剤の解離温度が低下したことがわかる。 比較例2 (非水性熱硬化性組成物における公知触媒の硬化性評価) 表2に示す組成で、非水性アクリルポリオール(DIC社製、アクリディックA−801、固形分濃度50.2重量%、固形分に対する水酸基価102mgKOH/g)、製造例1で得られた非水性ブロックイソシアネートを混合した後、ジブチル錫ジラウレートの8重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を攪拌しながら添加し、公知触媒を含有する非水性熱硬化性組成物を得た。 得られた非水性熱硬化性組成物を80℃、90℃、100℃、110℃、120℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表2に併せて示す。 表1、表2から明らかなとおり、比較例2では120℃においてラビング回数は100回に達していないのに対し、実施例1〜3では90℃においてラビング回数が100回に達することから、4級アンモニウム塩はジブチル錫ジラウレートより優れたブロック剤低温解離活性を持つことがわかる。 比較例3. 表2に示す組成で、比較例2と同様の方法により、特許文献1記載のトリエチルモノメチルアンモニウムオクチル酸塩(サンアプロ社製、U−CAT18X)を含有する非水性熱硬化性組成物を得た。 得られた非水性熱硬化性組成物を80℃、90℃、100℃、110℃、120℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表2に併せて示す。 表1、表2から明らかなとおり、比較例3では120℃においてラビング回数が100回に達するのに対し、実施例1〜3では90℃においてラビング回数が100回に達することから、本発明の4級アンモニウム塩はトリエチルモノメチルアンモニウムオクチル酸塩より優れたブロック剤低温解離活性を持つことがわかる。 実施例4 (水性熱硬化性組成物における4級アンモニウム塩の触媒活性評価) 表3に示す組成で、水性アクリルポリオール(亜細亜工業社製、WAP−768、固形分濃度40.0重量%、固形分に対する水酸基価57.5mgKOH/g)、製造例2で得られた水性ブロックイソシアネートを混合した後、製造例3で得られたトリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩の40.0重量%エチレングリコール溶液を攪拌しながら添加し、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩を含有する水性熱硬化性組成物を得た。 得られた水性熱硬化性組成物を110℃、120℃、130℃、140℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表3に示す。 実施例5〜6. 表3に示す組成で、実施例4と同様の方法により、4級アンモニウム塩を含有する水性熱硬化性組成物を得た。 得られた水性熱硬化性組成物を110℃、120℃、130℃、140℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表3に併せて示す。 比較例4 (水性熱硬化性組成物における触媒無添加の硬化性評価) 表3に示す組成で、水性アクリルポリオール(亜細亜工業社製、WAP−768、固形分濃度40.0重量%、固形分に対する水酸基価57.5mgKOH/g)、製造例2で得られた水性ブロックイソシアネートを混合し、触媒を含有しない水性熱硬化性組成物を得た。 得られた水性熱硬化性組成物を110℃、120℃、130℃、140℃で焼付けた後、耐溶剤性の測定を行った結果を表3に示す。 表3から明らかなとおり、比較例4では140℃においてラビング回数が100回に達するのに対し、実施例4〜6では120℃においてラビング回数が100回に達することから、4級アンモニウム塩の添加によりブロック剤の解離温度が低下したことがわかる。 本願発明のブロック剤解離触媒はポリイソシアネートのブロック剤を解離するための触媒として利用される可能性を有し、当該ブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート、及び、イソシアネート反応性基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物は、焼き付けて耐用媒性の優れた熱硬化性樹脂として使用される。下記一般式(1)[式中、Xb−は炭酸水素基、モノアルキル炭酸基、及び炭酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、aは1〜2の範囲の整数、bは1〜2の範囲の整数である。]で示される4級アンモニウム塩を含有するブロック剤解離触媒。4級アンモニウム塩が、トリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸水素塩、トリメチルモノn−オクチルアンモニウムモノメチル炭酸塩、及びトリメチルモノn−オクチルアンモニウム炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の4級アンモニウム塩である請求項1に記載のブロック剤解離触媒。請求項1又は請求項2に記載のブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート、及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物。イソシアネート反応性基を有する化合物がポリオールであることを特徴とする請求項3に記載の熱硬化性組成物。 【課題】 ポリイソシアネートのブロック剤として使用される化合物としては、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、フェノール等が知られている。しかしながら、これらはブロック剤を解離させるのに140℃以上の高い焼付け温度を必要とするため、エネルギー的に不利であり、耐熱性の低いプラスチック基材には適用できないという問題があった。【解決手段】 ブロック剤の解離触媒として、下記一般式(1)【化1】[式中、Xb−は炭酸水素基、モノアルキル炭酸基、及び炭酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、aは1〜2の範囲の整数、bは1〜2の範囲の整数である。]で示される4級アンモニウム塩を含有する触媒を用いる。【選択図】 なし