タイトル: | 公開特許公報(A)_ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルの製造方法 |
出願番号: | 2012231058 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 315/04,C07C 317/22,C07C 315/06,C07B 61/00 |
三多 貴之 橋本 直也 濱田 太郎 JP 2014080407 公開特許公報(A) 20140508 2012231058 20121018 ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルの製造方法 三洋化成工業株式会社 000002288 三多 貴之 橋本 直也 濱田 太郎 C07C 315/04 20060101AFI20140411BHJP C07C 317/22 20060101ALI20140411BHJP C07C 315/06 20060101ALI20140411BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140411BHJP JPC07C315/04C07C317/22C07C315/06C07B61/00 300 6 OL 12 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC41 4H006AC43 4H006AD11 4H006AD17 4H006BA02 4H006BA29 4H006BA69 4H006BB11 4H006BB14 4H006BB15 4H006BB16 4H006BB17 4H006BB20 4H006BB21 4H006BB22 4H006BB31 4H006BB49 4H006BC35 4H006BC52 4H006BD20 4H006TA02 4H006TB13 4H006TB42 4H039CA60 4H039CA61 4H039CF90 本発明は、ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルの製造方法に関する。 従来、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂等の原料としてビスフェノール類が使用されているが、ビスフェノール化合物が有するフェノール性の水酸基は多塩基酸等との反応性が低いため、反応性を改善する目的でビスフェノール化合物にアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する場合がある。)を付加してアルコール性の水酸基とし、多塩基酸等との反応性を高めたものが前記樹脂の原料として知られている(特許文献1)。 ビスフェノールSは融点が約250℃と非常に高い。ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルを得る際は、主に、水性媒体中でアルカリ金属塩を用いる方法(特許文献2、3、4)がとられてきた。 しかしながら、水溶媒中でアルカリ金属触媒を用いる方法(特許文献2)では、エチレンオキサイドを用いて反応を行う場合にはエチレンオキサイドはビスフェノールSだけではなく、水とも反応するため多量のエチレングリコールの副生が避けられず、反応時のエチレンオキサイドのロスが多くなることや、副生エチレングリコールを除去する必要があるという問題や、エチレンオキサイド付加後のビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル2モル付加物の含有量が低いため、多数の水洗や再結晶等を行う必要があり、工数が増え、収率が悪くなるといった問題がある。 多量のエチレングリコールの副生の問題を解決するためにアルコール類やその他の有機溶媒を使用した方法(特許文献3、4)で製造されているが、一般有機溶媒単独では水溶媒中と比べて反応速度が非常に遅く、生産性が非常に悪い。特開2006−227540号公報特公昭60−2303号公報特公昭57−7633号公報特開昭61−225162号公報 本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル2モル付加物を高選択的に、簡便な精製方法により高収率で得ることができる効率の良い工業的製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは上記の目的を達成すべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明はビスフェノールSに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して、ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)を製造する方法において、塩基性触媒(B)の存在下、25℃における比誘電率が1〜50である溶媒(S1)と25℃における比誘電率が51〜200である溶媒(S2)との混合溶媒(S)中で反応させる工程(I)並びに工程(I)の後、混合溶媒(S)及び触媒(B)を除去する工程(II)を含むことを特徴とするビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)の製造方法である。 本発明は反応後に再結晶、水洗等の精製を行うことがないため、廃液が少なく、工程時間の短縮を図ることができ、工業化するにあたって効率的であり、純度の高いビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルが得られる。本発明で得られたビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルは各種樹脂原料として用いるのに実用的であり、特に樹脂成形時の作業性(流動性)が良好であるという効果を奏する。 本発明は、触媒(B)の存在下、25℃における比誘電率が1〜50である溶媒(S1)と25℃における比誘電率が51〜200である溶媒(S2)との混合溶媒(S)中で反応させる工程(I)を含む製造方法である。 本発明における製造方法によって得られるビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)[以下において、単に「ジオキシアルキレンエーテル(A)」又は「(A)」と表記する場合がある。]とは、ビスフェノールSが有する2つのフェノール性水酸基の両方に1モルずつ炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが付加した化合物(A2)[以下において、単に「AO2モル付加物(A2)」又は「(A2)」と表記する場合がある。]を主成分とし、好ましくは、AO2モル付加物(A2)を96モル%以上含むものである。 AOとしては、炭素数2のエチレンオキサイド[以下において、単に「EO」と表記する場合がある。]および炭素数3のプロピレンオキサイド[以下において、単に「PO」と表記する場合がある。]が好ましく、更に好ましいのは炭素数2のエチレンオキサイドである。 ジオキシアルキレンエーテル(A)におけるAO平均付加モル数(以下、AOavと略記する。)は1.90〜3.00モルであり、好ましいのは1.95〜2.25モルであり、更に好ましいのは2.00〜2.20モル、より好ましいのは2.05〜2.15モルである。AOavが1.90モル未満であると、ビスフェノールSのAO1モル付加物(A1)[以下において、単に「AO1モル付加物(A1)」又は「(A1)」と表記する場合がある。]の含有量が多くなり、AOavが3.00モルより多いと、ビスフェノールSのAO3モル以上付加物(A3)[以下において、単に「AO3モル以上付加物(A3)」又は「(A3)」と表記する場合がある。]が多くなり好ましくない。 前記AOavは、JIS K0070の方法に準じて水酸基価を測定し、以下の計算式から算出することができる。AOav=[(112,200/水酸基価)−250]/(AOの分子量) 本発明の製造方法において、AOav1.90〜3.00モル付加物を得るためのAOの仕込みモル数は、目的の付加モル数よりもやや多いモル数とすることが好ましい。好ましくは目的の付加モル数の1.01〜1.1倍モルである。 AO付加反応における塩基性触媒(B)としては、一般に使用されるAO付加反応触媒であればよい。例えば、3級アミン(トリメチルアミン及びトリエチルアミン等)及び四級アンモニウム塩(水酸化テトラメチルアンモニウム等)、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等)等が挙げられる。これらのうち、ジオキシアルキレンエーテル(A)中に含有するAO1モル付加物(A1)及びAO3モル以上付加物(A3)の含有量を更に少なくするという観点から3級アミン、四級アンモニウム塩又はアルカリ金属水酸化物が好ましい。触媒(B)の使用量は、ビスフェノールS1モルに対して0.1〜7モル%であり、好ましいのは0.2〜5モル%である。7モル%を越えると、触媒の除去工程に時間がかかり、また、0.1モル%未満であると、AO付加反応に時間がかかり好ましくない。 本発明において、反応後使用した触媒は、必要に応じて鉱酸もしくは有機酸で中和することができる。具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸等)、カルボン酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸等)等が挙げられる。 ビスフェノールSとアルキレンオキサイドとを反応させるAO付加反応において、ビスフェノールSは、その融点が約250℃であり、また、ジオキシアルキレンエーテル(A)の融点は約180℃であるため、AO付加反応を融点以下で行うために溶媒(S1)を使用する。更に、ジオキシアルキレンエーテル(A)中のAO2モル付加物(A2)の含有量を高くするため、溶媒(S2)を使用する。 溶媒(S1)の具体例としては、25℃における比誘電率(以下、ε25と略記する。)が1〜50であり、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、芳香族炭化水素、エーテル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物及びスルホン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。溶媒(S1)は、溶媒(S1)の重量に基づいてビスフェノールSを1重量%以上溶解させることのできる化合物であり、ビスフェノールSへの溶解度が高い程、ジオキシアルキレンエーテル(A)中のAO2モル付加物(A2)の含量が高くなる。また、ε25が50を超えるとAO3モル付加物(A3)が多く生成し、ジオキシアルキレンエーテル(A)中のAO2モル付加物(A2)の含量が低くなる。 具体的には、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール[メタノール(ε25:33)、エタノール(ε25:25)、イソプロピルアルコール(ε25:20)及びイソブチルアルコール(ε25:18)、エチレングリコール(ε25:39)、プロピレングリコール(ε25:32)、グリセリン(ε25:43)等];芳香族炭化水素としては[トルエン(ε25:2)、キシレン(ε25:2)等];エーテル化合物[ジエチレングリコール(ε25:32)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(ε25:12)、1,2−ジメトキシエタン(ε25:7)、ジイソプロピルエーテル(ε25:4)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ε25:8)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(ε25:8)、テトラヒドロフラン(ε25:8)、2−メチルテトラヒドロフラン(ε25:6)、1,4−ジオキサン(ε25:2)、1,4−ジオキソラン(ε25:7)及び4−メチル−1,3−ジオキソラン(ε25:4)等];エステル化合物[酢酸メチル(ε25:7)、酢酸エチル(ε25:6)、酢酸イソプロピル(ε25:5)、酢酸ブチル(ε25:5)、プロピオン酸メチル(ε25:6)、γ−ブチロラクトン(ε25:42)及びα−メチル−γ−ブチロラクトン(ε25:43)等];ケトン化合物[アセトン(ε25:21)、2−ペンタノン(ε25:23)、アセトフェノン(ε25:17)、アセチルアセトン(ε25:26)、ヘキサンジオン(ε25:26)、メチルエチルケトン(ε25:22)、メチルイソブチルケトン(ε25:15)及びシクロヘキサノン(ε25:16)等];ニトリル化合物[アセトニトリル(ε25:36)、プロピオニトリル(ε25:29)、ブチロニトリル(ε25:25)、イソブチロニトリル(ε25:20)及びベンゾニトリル(ε25:25)等];アミド化合物[N,N−ジメチルホルムアミド(ε25:38)、N,N−ジメチルアセトアミド(ε25:38)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(ε25:38)、N−メチルピロリドン(ε25:32)等];スルホン化合物[スルホラン(ε25:43)、メチルスルホラン(ε25:44)及びジメチルスルホキシド(ε25:49)等]等が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールSへの溶解性及び副生成物量の観点から、好ましくは炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、芳香族炭化水素、水酸基を有さないエーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物であり、更に好ましくは、水酸基を有さないエーテル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物、特に好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド、より好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドンである。 溶媒(S2)の具体例としては、ε25が51〜200であり、水(ε25:78)、アミド化合物、有機カーボネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。このε25は好ましくは60〜150、更に好ましくは65〜100である。ε25がこの範囲であるとAO2モル付加物(A2)の含有量が高い、高純度のジオキシアルキレンエーテル(A)を得ることができる。 アミド化合物としては、ホルムアミド(ε25:110)、アセトアミド(ε25:65)、N−メチルホルムアミド(ε25:182)、N−メチルアセトアミド(ε25:191)及びN−メチルプロピオンアミド(ε25:172)等が挙げられ、有機カーボネート化合物としてはエチレンカーボネート(ε25:95)、プロピレンカーボネート(ε25:65)及びブチレンカーボネート(ε25:53)等が挙げられる。また、これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。 これらのうち、ジオキシアルキレンエーテル(A)の純度の観点から、好ましくは水、ホルムアミド、アセトアミド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートであり、更に好ましくは、ホルムアミド、アセトアミド、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選ばれる1種と水の併用であり、特に好ましくは、水とエチレンカーボネートの併用である。 本発明において、ε25は、JIS C2101:1999に準拠して誘電率(ε)を測定し[試料充填前の空の静電容量C0(pF)と、試料充填時の等価並列静電容量Cx(pF)を測定し、次式により誘電率(ε)を算出する。]、この誘電率(ε)と空気の比誘電率1.000585との積で与えられる。ε = Cx/C0 溶媒(S1)の使用量は、ビスフェノールSの重量に基づいて10〜1000重量%であることが好ましく、更に好ましくは30〜500重量%であり、特に好ましくは50〜300重量%である。10重量%よりも多いと反応後期の撹拌の観点から好ましい。また、溶媒(S1)が1000重量%より少ないとジオキシアルキレンエーテル(A)の生産性が向上するため、好ましい。 溶媒(S2)の使用量は、ビスフェノールSの重量に基づいて0.01〜800重量%であり、好ましくは0.1〜250重量%であり、更に好ましくは0.5〜120重量%である。溶媒(S2)が800重量%より少ないとジオキシアルキレンエーテル(A)の生産性が向上するため、好ましい。 溶媒(S2)の使用量は、ジオキシアルキレンエーテル(A)中のAO2モル付加物(A2)の含有量を高くする観点から、溶媒(S1)の重量に基づいて0.1〜80重量%であり、好ましくは0.3〜50重量%、更に好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは4〜30重量%である。溶媒(S2)が溶媒(S1)の重量に基づいて80重量%を越えると、AO3モル付加物(A3)が多く生成し、ジオキシアルキレンエーテル(A)の純度が悪くなるため好ましくない。 本発明のジオキシアルキレンエーテル(A)の製造時には、その特性を損なわない範囲で、添加剤を含有してもよい。添加剤としては消泡剤(シリコーン系消泡剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤及び鉱物油系消泡剤等)及び酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール及びベンゾトリアゾール類等)等が挙げられる。添加剤の含有量は、ビスフェノールSの重量に基づき、好ましいのは0〜0.5重量%である。 AO付加反応としては、ビスフェノールS、触媒(B)及び混合溶媒(S)を加圧反応容器に仕込みAOを吹き込み、常圧又は加圧下に1段階又は多段階で反応を行なう方法が挙げられる。通常、反応圧力は、安全性の観点から−0.1MPaG〜0.5MPaGであることが好ましく、反応時間としては、生産性の観点から0.5〜12時間であることが好ましいが、この限りではなく、AOの滴下速度、触媒量等を変更することで調節可能である。本発明は、工程(I)の後、触媒(B)、混合溶媒(S)および残存AOを除去する工程(II)を含む製造方法である。除去方法としては、減圧下で除去する方法やろ過助剤による処理方法等が挙げられ、生産効率の観点から減圧下で除去する方法であることが好ましい。例えば、触媒(B)としてアミン触媒を使用した場合、減圧下約190℃に昇温し、触媒(B)、混合溶媒(S)および残存AOを留去することができ、触媒(B)としてアルカリ金属触媒を使用した場合、酸でアルカリ金属触媒を中和し、減圧下約190℃に昇温し、濾過することで触媒(B)、混合溶媒(S)および残存AOを除去できる。 本発明により得られるジオキシアルキレンエーテル(A)中のビスフェノールS及びAO1モル付加物(A1)の含有量は2モル%以下であり、好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル以下である。 本発明により得られるジオキシアルキレンエーテル(A)中のAO2モル付加物(A2)の含有量は90モル%以上であり、好ましくは93モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、特に好ましくは96モル%以上である。 AO3モル以上付加物の含有量は10モル%以下であり、好ましくは7モル%以下、更に好ましくは5モル%以下である。 本発明のジオキシアルキレンエーテル(A)の製造方法は反応溶媒とアルキレンオキサイドが反応した副生成物量が少ない。また、水洗、再結晶等の精製を行う必要が無い為、従来の製法よりも工数が少なく、廃液が少なく、収率が良いという特徴がある。 前記(A1)、前記(A2)、前記(A3)、未反応のビスフェノールSの含有量(モル%)は、液体クロマトグラフィー(以下、LCと略記)分析により測定することができる。LC分析の測定条件としては、例えば下記の方法が挙げられる。<LCの測定条件> LC測定装置 : LC−20AD[島津製作所(株)製] カラム : ASAHIPAK GF−310HQ (7.5mmOX 300mm)[昭和電工(株)製] 溶離液 : メタノール/水=90/10(体積%) 流速 : 1.0ml/min 検出器 : SPD−M20A[島津製作所(株)製] 検出波長 : 275nm 注入量 : 1μl 以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%を示す。<実施例1> 撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にビスフェノールS250.0g(1モル)、メチルエチルケトン(S1−1)250.0g、水(S2−1)50.0g、水酸化カリウム(B−1)0.9g(ビスフェノールSに対して1.6モル%)を仕込み、窒素置換を行った後、115℃まで昇温し、ビスフェノールSを混合溶媒に溶解させた。 次いで、EO99.2g(2.25モル)を115℃、反応圧0.3MPaG以下の範囲で滴下し、反応させた。反応時間は5時間であった。 反応後、触媒をリン酸で中和して180℃まで徐々に昇温し、減圧下で溶媒等を留去し、濾過して本発明のジオキシエチレンエーテル(A−1)を338.0g(収率99.5%)得た。この(A−1)をLCにて分析したところ、ビスフェノールSは検出されず(表中、N.D.と略記する。)、EO1モル付加物(A1)が0.3モル%、EO2モル付加物(A2)が97.0モル%、EO3モル付加物(A3)が2.7モル%であった[(A−1)のAOavは2.25である。]。<実施例2〜29> 実施例1における触媒(B)、溶媒(S1)、溶媒(S2)、AO平均付加モル数及び反応温度を表1、表2の通り、変更する以外は同様にして行った。<比較例1>撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にビスフェノールS250.0g(1モル)、メチルエチルケトン(S1−1)250.0g、水酸化カリウム(B−1)0.9g(ビスフェノールSに対して1.6モル%)を仕込み、窒素置換を行った後、115℃まで昇温し、ビスフェノールSを溶媒に溶解させた。 次いで、EO91.3(2.08モル)を115℃、反応圧0.3MPaG以下の範囲で滴下し、反応させた。反応時間は40時間であった。 反応後、触媒をリン酸で中和して180℃まで徐々に昇温し、減圧下で溶媒等を留去し、濾過してジオキシエチレンエーテル(A’−1)を337.5g(収率99.4%)得た。この(A’−1)をLCにて分析したところ、EO2モル付加物79.6モル%であった[(A’−1)のAOavは2.08である。]。<比較例2〜9> 比較例1の触媒(B)、溶媒(S1)、溶媒(S2)、AO平均付加モル数を表2の通り、変更する以外は同様にして行った。 表1、表2中における化合物の略号は以下のとおりである。ビスS:ビスフェノールSEO:エチレンオキサイドB−1:水酸化カリウムB−2:トリエチルアミンB−3:水酸化テトラメチルアンモニウムB’−1:塩化カリウムB’−2:酢酸カリウムS1−1:メチルエチルケトンS1−2:N−メチルピロリドンS1−3:イソプロピルアルコールS1−4:アセトニトリルS1−5:トルエンS1−6:γ−ブチロラクトンS1−7:ジエチレングリコールジメチルエーテルS1−8:ジメチルスルホキシドS1−9:プロピレングリコールモノメチルエーテルS2−1:水S2−2:N−メチルアセトアミドS2−3:ホルムアミドS2−4:エチレンカーボネートS2−5:プロピレンカーボネート 本発明の製造法により得られるビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルは、水洗、再結晶などの精製を行わず、高収率でAO2モル付加物の純度が高いものが得られることがわかる。 本発明の製造法で得られたビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルは、AO2モル付加物の含有量が高いため、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の樹脂改質剤として有用である。ビスフェノールSに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して、ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)を製造する方法において、塩基性触媒(B)の存在下、25℃における比誘電率が1〜50である溶媒(S1)と25℃における比誘電率が51〜200である溶媒(S2)との混合溶媒(S)中で反応させる工程(I)並びに工程(I)の後、混合溶媒(S)及び触媒(B)を除去する工程(II)を含むことを特徴とするビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)の製造方法。工程(II)が減圧下で混合溶媒(S)及び触媒(B)を除去する工程である請求項1に記載の製造方法。溶媒(S1)が、炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、芳香族炭化水素、水酸基を有さないエーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物及びスルホン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の製造方法。 溶媒(S1)が水酸基を有さないエーテル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物及びスルホン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3いずれか1項に記載の製造方法。 溶媒(S2)が、水、アミド化合物及び有機カーボネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4いずれか1項に記載の製造方法。 溶媒(S1)の使用量がビスフェノールSの重量に基づいて10〜1000重量%であり、溶媒(S2)の使用量が溶媒(S1)の重量に基づいて0.1〜80重量%である請求項1〜5いずれか1項に記載の製造方法。 【課題】ビスフェノールSからビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルを製造する方法において、工業化にあたって効率的であり、純度の高いビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテルの製造方法を提供する。【解決手段】ビスフェノールSに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して、ビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)を製造する方法において、塩基性触媒(B)の存在下、25℃における比誘電率が1〜50である溶媒(S1)と25℃における比誘電率が51〜200である溶媒(S2)との混合溶媒(S)中で反応させる工程(I)並びに工程(I)の後、混合溶媒(S)及び触媒(B)を除去する工程(II)を含むことを特徴とするビスフェノールSのジオキシアルキレンエーテル(A)の製造方法である。 【選択図】 なし