タイトル: | 公開特許公報(A)_マイタケ抽出物由来の単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療剤 |
出願番号: | 2012227312 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 36/07,A61P 31/12,A61P 17/00 |
林 京子 田中 昭弘 JP 2014080373 公開特許公報(A) 20140508 2012227312 20121012 マイタケ抽出物由来の単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療剤 株式会社雪国まいたけ 593084915 平木 祐輔 100091096 安田 徹夫 100107168 藤田 節 100118773 林 京子 田中 昭弘 A61K 36/07 20060101AFI20140411BHJP A61P 31/12 20060101ALI20140411BHJP A61P 17/00 20060101ALI20140411BHJP JPA61K35/84 AA61P31/12A61P17/00 3 OL 10 4C088 4C088AA02 4C088AC16 4C088AC17 4C088BA05 4C088CA05 4C088CA06 4C088MA63 4C088NA10 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZB33 本発明はマイタケ由来抽出物の単純ヘルペスウイルス感染症に対する予防および治療効果に関する。 マイタケの抽出物については、本出願人等の開発努力により多彩な作用が知られている。例えばAIDS症改善効果については特開平7−69913号公報(特許文献1)に、抗腫瘍作用については特開平9−238697号公報(特許文献2)に、活性酸素消去活性については特開2000−119650号公報(特許文献3)に、NO産生誘導作用については特開2001−172194号公報(特許文献4)に、抗インフルエンザウイルス活性を有する物質については特開2005−145934号公報(特許文献5)および特開2008−106018号公報(特許文献6)等で報告されている。また、インフルエンザ等感冒の予防・治療に関する高分子α−グルカンについては、特願2011−180642号(特許文献7)で報告されている。 単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、初感染の場合は、感染後4〜7日で感染部位が赤くなり、後に水疱が多く発現する。単純ヘルペスウイルス感染症では、皮膚や粘膜にとても小さな水疱が集団で出現する。一度治まっても、ウイルスは、感染部位へ神経線維を供給する神経細胞が集まった神経節の中で休眠(潜伏)状態になって存在し続け、周期的に再活性化し、増殖を始め、神経線維を伝わって、皮膚へ戻り、以前の感染部位と同じ部位に水疱を出現させる。見た目に明らかな水疱がなくても、皮膚や粘膜にウイルスが存在することもある。単純ヘルペスウイルス感染症には、口唇ヘルペス、咽頭炎、顔面炎、性器ヘルペス、角膜ヘルペス、脳炎、新生児ヘルペスなどがある。水疱の発現時には近傍のリンパ節が腫れて痛みを伴い、発熱、倦怠感、頭痛などの症状も表れ、乳幼児では、ヘルペス性歯肉口内炎という、口腔内に多数の口内炎ができることがある。 初感染ではウイルスの型に関係なく、体のどのような部位にも感染し、一度感染すると一生涯、知覚神経節に潜伏し、再発の場合は、感染部位が初めは痛がゆく、数時間後に赤い発疹や小さな水疱が現れ、その水疱が破れ糜爛(びらん)し、後に瘡蓋(かさぶた)となり、1〜2週間で治癒する。顔や体に表れる水疱や赤い発疹は、よく目立ち、美容上も良くない。 アトピー性皮膚炎患者の場合は、皮膚の防御機能が低下しているため、単純ヘルペスウイルスが皮膚に付着すると容易に感染し、顔や体の広範囲に水疱が現れる。これをカポジ水痘様発疹症といい、初感染、再発のいずれでも生じるが、とくに初感染の場合はウイルスに対する免疫がないために重症化し、死亡することもある。 知覚神経節に潜んだウイルスは発熱、過労、胃腸傷害、精神的ストレス、日光照射、寒冷、性交渉、時差などの誘因によって、再び活性化し、神経を伝わって皮膚にさまざまな炎症を起こし、最近ではエイズウイルス(HIV)の感染拡大因子としての役割も注目されている。また、免疫機能が低下している人では、陰部ヘルペスや口内ヘルペスが再発すると、びらんが徐々に大きく広がり、治るのに何週間もかかることがある。感染が体内で進行し、食道から肺へ広がることもある。食道に潰瘍(かいよう)ができると、食べものを飲みこむときに痛み、肺が感染すると、せきや息切れを伴う肺炎になる。このウイルスは皮膚と体表のみに感染するのが普通だが、まれに脳などの内臓にも感染する(ヘルペス脳炎)。ヘルペス脳炎は、錯乱、発熱、けいれん発作などで始まり、致死的な病気である。1型は主に上半身、2型は下半身に再発を繰り返し、2型は1型と比べて再発頻度が高く、月に1〜2回再発する人もいる。 単純ヘルペスウイルス感染症を根絶できる抗ウイルス薬は今のところなく、また、口や陰部のヘルペスウイルス感染症では、初回感染のときに治療しても、神経への慢性感染を予防することはできないが、抗ウイルス薬で治療を施すことにより再発時の不快感をある程度緩和し、病気の期間を1〜2日短縮することは可能で、頻繁に痛みが起こる場合には、抗ウイルス薬による持続治療で再発の回数を抑制できることがある。しかし、抗ウイルス薬は、長期に渡って使用すると必然的に薬剤耐性ウイルスを生じるという問題がある。加えて、アシクロビル(ACV)には重大な副作用として、急性腎不全、肝機能障害、間質性肺炎、肺炎、血小板減少症、せん妄(意識障害)、てんかん発作、無顆粒珠症、呼吸抑制、中毒性表皮壊死症などがある。 単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、接触感染することにより水疱、びらん等の皮膚症状とともに、激しい痛みを伴い、また、一度感染すると、ウイルスが神経節に潜伏し、頻繁に症状を繰り返し、また、免疫機能が低下している場合、その症状は劇化する。このウイルスを根絶する治療法はないので、既存の予防法、治療法に満足することなく、入手が可能な天然物もしくはその抽出物から単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効な物質を探索することは非常に意義あることと考え、大量に人工栽培されているマイタケ中に含まれる、単純ヘルペスウイルス感染症に対して有効な物質の研究探索を継続して進めてきた。 マイタケ中に含まれる、単純ヘルペスウイルス感染症に対する予防及び治療に有効な物質に関する先行文献としては、キノコの菌糸体の熱水抽出物を主成分とすることを特徴とするウイルス又は病原菌由来の不活化抗原に対するアジュバントにより、分泌型IgA抗体の産生が誘導され、ヘルペスウイルス等の病原体に免疫防御を発揮する旨が記されている(特許文献8)。しかしながら、特許文献8記載のアジュバントは、ウイルス又は病原菌由来の不活化抗原(ワクチン)と共に投与することにより、ウイルス又は病原菌に特異的な分泌型IgA抗体の産生を多量に誘導できるといったものであり、本願発明のように物質そのものに、単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療効果があるものではない。さらに、効果確認しているのは、インフルエンザウイルスに対してのみである。 このたび本発明者等は、単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療において、(1)マイタケの菌糸体もしくは子実体を水で熱抽出処理する工程、(2)得られた抽出水溶性画分にアルコールを20〜70%の最終容量濃度になる様添加し、1〜25℃の温度で放置し、液面もしくは液中に浮遊または容器の壁面に付着する物質を除去する工程、(3)得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を採取する工程によって製造したマイタケの抽出画分が単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であることを見出し、本発明を完成した。特開平7−69913号公報特開平9−238697号公報特開2000−119650号公報特開2001−172194号公報特開2005−145934号公報特開2008−106018号公報特願2011−180642号特開2008−273846号公報 本発明は、マイタケより抽出した画分が単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であることを見出し、その抽出・精製方法を開発し、有効な作用を探索し、更にヘルペスウイルスの感染した皮膚、粘膜に適用する外用剤として利用することを課題とする。 本発明者等はマイタケ中の(1)マイタケの菌糸体もしくは子実体を水で熱抽出処理する工程、(2)得られた抽出水溶性画分にアルコールを20〜70%の最終容量濃度になる様添加し、1〜25℃の温度で放置し、液面もしくは液中に浮遊または容器の壁面に付着する物質を除去する工程、(3)得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を採取する工程によって製造したマイタケの抽出画分が単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であることを知見し、課題を解決した。 即ち本発明は(1)(i)マイタケの菌糸体もしくは子実体を水で熱抽出処理する工程、(ii)得られた抽出水溶性画分にアルコールを20〜70%の最終容量濃度になる様添加し、1〜25℃の温度で放置し、液面もしくは液中に浮遊または容器の壁面に付着する物質を除去する工程、(iii)得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を採取する工程によって製造された単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療剤、(2)上記(1)記載の予防・治療剤を配合してなることを特徴とする外用剤、(3)上記(1)記載の予防・治療剤を0.05〜5%配合してなることを特徴とする外用剤に関わる。 本発明において、マイタケは、狭義にマイタケとして一般に知られている〔Grifola frondosa〕、白マイタケ〔Grifola albicans〕、チョレイマイタケ〔Grifola umbellatus〕、トンビマイタケ〔Grifola gigantia 〕等マイタケ属キノコ〔Grifola〕を意味し、いずれも用いることができる。又これらマイタケ類の子実体、菌糸体いずれも用いることができる。最近ではマイタケ〔Grifola frondosa〕、白マイタケ〔Grifola albicans〕の子実体の人工栽培が可能となり、安定した原料確保の面から上記二者の子実体を使用するのが好ましい。 使用機器は機器の性能等考慮して適宜選択してよい。 抽出に先立って抽出を妨害するような成分や物質の除去処理は、抽出対象物の状況により適宜行うことができる。例えば脱脂を目的として、エタノール、ベンゼン、石油エーテル、アセトンまたはエーテル等による処理を行うこともできるが必ずしも必須ではない。 熱抽出処理の方法としては、50〜135℃で15分から3時間行う。短時間で行うには、圧力下100℃以上、例えば圧力釜を用いて1〜2気圧下120℃前後で30分〜1時間前後で抽出を行う。「水」とは水道水、脱イオン水(イオン交換水)、蒸留水、逆浸透水などを意味する。 抽出溶液としてはアルコールやアセトンなど有機溶媒による方法が知られており、これらの方法が可能であるが、特に、アルコールを使用するのが好ましく、アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等低級アルコールが使用できる。抽出液に対して最終容量濃度で20〜70%になるように添加する。この際、水分含量0〜50%アルコ−ルが使用できる。添加後は1〜25℃の温度で1〜20時間放置すると液面もしくは液中に浮遊又は容器の壁面に付着する物質が現れるので濾過、ピペッティング或いは網状のもので掬う等により採取除去する。浮遊物又は付着物を除去する事によって、単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療効果が高まることから、該物質を除去する工程は極めて重要なプロセスである。そして、そのためにはアルコ−ルの最終容量濃度が20〜70%、好ましくは30〜60%という低濃度にする段階を経ることが必須である。また、最後に得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を得ることで終了する。 以上得られた本発明の目的物の性質について記載する。外観:褐色系色調の吸湿性粉末溶解性:水、アルカリ性溶液及びジメチルスルフオキシドに溶解呈色反応:アンスロン反応及びニンヒドリン反応が陽性水溶液の液性:中性〜弱酸性分子量:数百万〜数千万前後に分布 本発明で得られた物質の分析の結果、主に糖質とタンパク質からなる。カラムクロマト法で精製したところ本発明によって得られる単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療効果を有する物質の主たる成分は糖―タンパク複合体であると認められ、糖とタンパク質の比率は主に50:50〜70:30の範囲である。 本発明の目的物質であるマイタケ由来の物質および製造方法の異なるマイタケ由来の物質、並びにアシクロビル、メカブフコイダンを対象として、BALB/cマウス、♀、6週齢に単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)を感染させ、その治療効果を評価したところ、本発明の目的物質は、単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であることが知見された。 以上の結果より、本発明の目的物質は単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であり、ウイルス等の感染予防、又は罹患後の症状軽減のための外用剤として用いることができる。 本発明における外用剤とは、皮膚又は粘膜における単純ヘルペスウイルス感染症に対して、感染予防、又は罹患後の症状軽減のためのものであって、ヘルペスウイルスの感染した、又はその可能性のある皮膚、粘膜に適用できるものであれば特に限定されない。皮膚や粘膜の位置は、例えば口腔、咽喉、鼻腔、眼瞼、肛門、直腸、尿道、膣等のような人体の開口部又は外傷部、ならびにその周辺である。従って、剤型としては、塗布剤(クリーム剤、軟膏剤、液剤、ゲル剤等)、貼付剤(パップ剤、プラスター剤、テープ剤、パッチ剤等)、エアゾール剤等全て包含され、口腔薬、坐薬として利用できる剤型も含まれる。 本発明の目的物質は食経験豊かなまいたけの抽出物である。また、上述のように抗腫瘍作用等の効果を有することは本発明者の研究努力により明らかとなっており、健康食品として販売されている実績もある毒性のない安全な物質である。これらの点を踏まえ、単純ヘルペスウイルス感染症の予防、又は罹患後の症状軽減のための外用剤としての応用が可能である。加えて、目的物質の皮膚や粘膜に対する刺激性も調査したが、安全性が確認されている。BALB/cマウスを用いて、実施例1で調製した各抽出物、及びアシクロビル、メカブフコイダンの局所投与による単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療効果を示す図。BALB/cマウスを用いて、実施例1で調製した各抽出物、及びアシクロビル、メカブフコイダンの局所投与による単純ヘルペスウイルス感染3日後の局所でのウイルス量を示す図。*:t−検定(*p<0.05、**p<0.01、*** p<0.001) 以下、本発明を具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。[実施例1]単純ヘルペスウイルス感染症に対する予防および治療効果を有する物質の製造(試験例) 乾燥マイタケ粉末3kgをイオン交換水30Lで、2気圧の加圧下121℃で30分処理し、その後フィルタープレス装置で濾過して、水可溶性画分として黒褐色液17Lを得る。該溶液を減圧下4.5L程度まで濃縮して室温でエタノール5Lを加え約16時間程度放置すると、液面および液中に浮遊または壁面に付着する茶褐色の物質が生成した。これら液面、液中に浮遊または壁面に付着する物質を金網によって除去し、褐色の溶液を得る。該溶液を減圧下にアルコールを除き、スプレードライによって噴霧乾燥し、褐色粉末500gを得た。得られた物質をMD Frとした。(比較例1) 凍結乾燥マイタケ粉末10kgを、あらかじめ80℃まで加熱しておいたイオン交換水210Lに投入し、121℃、30分間の熱水抽出を行った。抽出液はフィルタープレスを用いて濾過し、取得した抽出溶液を濃縮後、スプレードライによって乾燥粉末を得た。得られた物質をYM-6Aとした。(比較例2) 熱風乾燥マイタケ粉末13.5kgを、あらかじめ80℃まで加熱しておいたイオン交換水180Lに投入し、121℃、30分間の熱水抽出を行った。抽出液はフィルタープレスを用いて濾過し、取得した抽出溶液を濃縮後、スプレードライによって乾燥粉末を得た。得られた物質をYM-18Aとした。[実施例2]単純ヘルペスウイルス増殖阻害効果:インビトロ試験 実施例1で調製した各抽出物において、50%細胞増殖阻害濃度(Cytotoxicity;CC50)、50%単純ヘルペスウイルス増殖阻害濃度(Antiviral activity;IC50)を求めた。尚、各抽出物はウイルス感染と同時(A区)またはウイルス感染直後(B区)に添加し、選択指数(Selectivity index;CC50/IC50)を計算して、抗ウイルス活性を判定した。<結果> YM−6A、YM-18Aは、インビトロ試験で高い単純ヘルペスウイルス増殖阻害効果を示し、MD Frは増殖阻害効果は弱かった(表1)。[実施例3]単純ヘルペスウイルス感染症に対する予防および治療効果:マウスへの感染試験 BALB/cマウスを用いて、実施例1で調製した各抽出物、及びアシクロビル(ACV)、メカブフコイダン(メカブFU)による効果を検証した。<方法>(1)BALB/cマウス(♀、6週齢)に、感染6日及び1日前に、ウイルスに対する感受性を高める目的で、medroxyprogesterone (3mg/0.1 ml/mouse)を皮下注射した。(2)ウイルス(単純ヘルペスウイルス2型:HSV-2、UW株、1x104PFU/20μl/mouse)を局所接種した。(3)各物質の投与(局所投与) 感染1時間前に、サンプルを初回投与し、以後、1日2回(am 9, pm 6)、感染7日後まで投与した。(4)3日後に、局所をPBSで洗浄し、その中のウイルス量を測定した。(5)発症の程度(スコア)および死亡例を2週間にわたって記録した(2週間以降には死亡例はない)。尚、発症の程度は表2のスコアで表し、投与量、投与方法は表3に示した。<結果>・発症経過及び死亡率 スコアの平均値を、図1に示した。 局所投与群では、YM-6AとMD Frに発症阻止効果がみられ、特にMD Frは強い発症阻止効果がみられた(図1)。また、マウスの死亡率を表4に示した。MD Frの局所投与時に5匹中3匹が生存した。・ウイルス産生量 感染3日後の局所でのウイルス量を測定した。MD Frはウイルス増殖抑制効果を示した(図2)。3.まとめ マウスへの感染試験(実施例3)において、ACVは高い発症阻止効果、ウイルス増殖抑制効果を示した。しかし、抗ウイルス薬であるACVは、上述のように使用することにより必然的に薬剤耐性ウイルスを生じ、実際にACV耐性ウイルスが臨床上問題となっている。加えて、ACVには重大な副作用として、急性腎不全、肝機能障害、間質性肺炎、肺炎、血小板減少症、せん妄(意識障害)、てんかん発作、無顆粒珠症、呼吸抑制、中毒性表皮壊死症などがある。本発明の目的物質であるMD Frは、マウスへの感染試験において、YM-6AあるいはYM-18Aと比較して高い発症阻止効果及びウイルス増殖抑制効果を示した。一方、インビトロ試験(実施例2)においてはMD FrはYM-6AあるいはYM-18Aと比較してウイルス増殖阻害効果が弱かった。このことから、MD Frは、ウイルスに対する直接作用よりも、生体側への作用により高い発症阻止効果及びウイルス増殖抑制効果を示すと考えられ、薬剤耐性ウイルスが生じることはない。さらに、MD Frは、上述のようにマイタケ自体が食品として長きに渡り食されており、健康食品として販売されている実績もある毒性のない安全な物質である。 本発明の目的物質は食経験豊かなマイタケの抽出物である。また、上述のように抗腫瘍作用等の効果を有することは本発明者の研究努力により明らかとなっており、健康食品として販売されている実績もある毒性のない安全な物質である。また、皮膚や粘膜に対する刺激性もなく、単純ヘルペスウイルス感染症の予防、再発或いは罹患後の症状軽減のための外用剤としての応用が可能である。 (1)マイタケの菌糸体もしくは子実体を水で熱抽出処理する工程と、(2)得られた抽出水溶性画分にアルコールを20〜70%の最終容量濃度になる様添加し、1〜25℃の温度で放置し、液面もしくは液中に浮遊または容器の壁面に付着する物質を除去する工程、(3)得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を採取する工程によって製造された単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療剤。 請求項1記載の予防・治療剤を配合してなることを特徴とする外用剤。 請求項1記載の予防・治療剤を0.05〜5%配合してなることを特徴とする外用剤。 【課題】本発明は、マイタケより、単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効な新規成分を見出し、その抽出・精製方法を開発し、有効な作用を探索し、更に外用剤として利用することを課題とする。【解決手段】本発明者等はマイタケ中の(1)マイタケの菌糸体もしくは子実体を水で熱抽出処理する工程と、(2)得られた抽出水溶性画分にアルコールを20〜70%の最終容量濃度になる様添加し、1〜25℃の温度で放置し、液面もしくは液中に浮遊または容器の壁面に付着する物質を除去する工程と、(3)得られた抽出液のアルコールを除去し、乾燥した物質を採取する工程によって製造したマイタケの抽出画分が単純ヘルペスウイルス感染症の予防・治療に有効であることを見出し、本発明を完成した。【選択図】なし