タイトル: | 公開特許公報(A)_水溶性大豆多糖類コハク酸誘導体エステル及びその製造方法 |
出願番号: | 2012226467 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C08B 37/00,A61K 8/73,A61K 47/36,A23L 1/00,A23L 2/66,A23C 9/152,A23L 1/035 |
佐藤 みなみ 吉田 靖彦 中村 彰宏 JP 2014025048 公開特許公報(A) 20140206 2012226467 20121012 水溶性大豆多糖類コハク酸誘導体エステル及びその製造方法 不二製油株式会社 000236768 佐藤 みなみ 吉田 靖彦 中村 彰宏 JP 2012139994 20120621 C08B 37/00 20060101AFI20140110BHJP A61K 8/73 20060101ALI20140110BHJP A61K 47/36 20060101ALI20140110BHJP A23L 1/00 20060101ALI20140110BHJP A23L 2/66 20060101ALI20140110BHJP A23C 9/152 20060101ALI20140110BHJP A23L 1/035 20060101ALI20140110BHJP JPC08B37/00 JA61K8/73A61K47/36A23L1/00 MA23L2/00 JA23C9/152A23L1/035 9 OL 15 4B001 4B017 4B035 4C076 4C083 4C090 4B001AC03 4B001AC06 4B001BC03 4B001EC53 4B017LC08 4B017LK18 4B017LL09 4B035LC04 4B035LE03 4B035LG19 4B035LG20 4B035LG44 4B035LG54 4B035LK12 4B035LK13 4B035LK17 4B035LP21 4C076AA17 4C076EE30 4C076EE30F 4C076EE30H 4C076EE30Q 4C076FF16 4C076FF21 4C083AD211 4C083AD212 4C083CC01 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC12 4C083CC23 4C083CC25 4C083CC32 4C083CC36 4C083CC38 4C083DD33 4C083EE01 4C083FF01 4C090AA02 4C090AA05 4C090BA69 4C090BB09 4C090BB12 4C090BB13 4C090BB16 4C090BB21 4C090BB52 4C090BB65 4C090BB71 4C090BB94 4C090BC12 4C090BD02 4C090CA38 4C090DA04 4C090DA23 4C090DA26 4C090DA27 4C090DA31 本発明は、改質された水溶性大豆多糖類に関する。詳細には、従来の水溶性大豆多糖類に比べて水溶液中での蛋白質分子等の粒子の分散安定力が向上した水溶性大豆多糖類に関する。特に本発明は、高い分散安定化力を発揮するのに適した、分子内にコハク酸誘導体エステル構造を有することを特徴とするエステル化水溶性大豆多糖類並びにそれを用いた分散安定剤に関する。 牛乳または豆乳等の蛋白質飲料について、これらを乳酸菌等の微生物により発酵させる食品、並びに、これらに果汁,無機酸または有機酸を添加してなる食品等は酸性蛋白飲食品と呼ばれ、酸性蛋白飲料,酸性冷菓,酸性デザート等が例示できる。これら酸性蛋白飲食品、特に酸性蛋白飲料では、含まれる乳蛋白質や大豆蛋白質が、その等電点であるpH4.5付近において凝集するという問題があり、蛋白質が凝集して沈殿、又は分離した飲料は商品価値が大きく損なわれる。 そこで、等電点に近い酸性条件下で蛋白質を分散させるために分散安定剤が添加される。水溶性大豆多糖類は、4.2未満のpH域において蛋白質分散安定化効果を示し、粘度の低いすっきりとした飲み口の飲料を与えることを特徴とする(特許文献1)。等電点に近い酸性条件下で蛋白質を分散させる他の分散安定剤としては、高メトキシルペクチン(HM-ペクチン)やカルボキシメチルセルロース(CMC)等があり、これらはpH4.2〜4.6において蛋白質を分散安定化することができる。 一方、等電点よりも高いpH5付近においては、例えばイモ類由来のペクチンや(特許文献2)、微生物由来ポリグルタミン酸の添加(特許文献3)が提案されている。しかし、イモ類由来ペクチンは共存する澱粉の分離が難しく、また、微生物由来ポリグルタミン酸は調製した飲料の加熱安定性が低く、食品加工上非常に重要な加熱殺菌工程に耐えないことがあり、どちらも実用性が低い。現在のところ、pH5付近で良好な酸性蛋白飲料を調製できる実用的な分散安定剤は存在していない。 ところで、単糖,オリゴ糖,多糖類や澱粉といった糖類をコハク酸誘導体エステル化する技術が知られているが、最もよく用いられるものがオクテニルコハク酸澱粉である。これは加工澱粉の一種であり、オクテニルコハク酸エステル化によって疎水度が増し界面活性が向上することから、乳化剤や油分の多い食品での粘度安定剤等として用いられる(非特許文献1)。コハク酸誘導体エステル化された他の糖類も、高い界面活性能を生かして洗浄剤や起泡安定剤等の用途で用いられるが(特許文献4)、コハク酸誘導体エステル化した糖類を蛋白質同士の凝集沈殿を防ぐ目的で使用することは知られていない。特開平7−59512号公報特開2004−41239号公報特開2007−259807号公報特開平6−72823号公報工業技術会編「食品乳化剤と乳化技術」(1995年) 264頁-273頁 本発明は、酸性下、特に乳蛋白質や大豆蛋白質の等電点よりも中性に近いpH5付近のpH域で蛋白質の凝集沈殿を抑える分散安定剤を提供することを目的とした。 本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、エチレン基に炭化水素鎖が結合したコハク酸によってエステル化した水溶性大豆多糖類が、pH5付近において乳蛋白質粒子を分散安定化できることを見出し、更に検討を重ねる中で、最適な炭化水素鎖の鎖長や含量を特定した。また、得られたエステル化多糖類は、乳蛋白質の分散能に留まらず、高い乳化能をも有することを見出し、本発明を完成させた。 即ち、本発明は、(1)以下の構造式で表される、コハク酸またはコハク酸誘導体のエステルを分子内に含む、エステル化水溶性大豆多糖類。但し、式中Rは水素原子または炭化水素鎖である。(2)Rの炭素数が2から18である、(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。(3)Rがオクテニル基である、(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。(4)コハク酸エステルまたはコハク酸誘導体エステル量が、エステル化水溶性大豆多糖類に対する遊離酸の重量%として0.01〜40%である、(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。(5)水溶性大豆多糖類と、コハク酸無水物またはコハク酸誘導体無水物を反応させる、(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類の製造方法。(6)(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類を用いた分散安定剤。(7)(6)に記載の分散安定剤を用いることを特徴とする、酸性蛋白飲食品。(8)(1)に記載のエステル化水溶性大豆多糖類を用いた乳化剤。(9)(8)に記載の乳化剤を用いることを特徴とする、食品、化粧品及び化成品。である。 本発明によれば、pH5付近において蛋白質を分散安定化し凝集沈殿を抑制する水溶性大豆多糖類を得るとともに、当該の水溶性大豆多糖類を用いることで、従来調製できなかった酸性蛋白飲料又は酸性蛋白食品を提供することができる。また、高い乳化能を有する新たな乳化剤を提供することもできる。(水溶性大豆多糖類) 以下、本発明を具体的に説明する。本発明における水溶性大豆多糖類とは、大豆より種々の方法で得られる水溶性大豆多糖類を用いることができるが、例えば、特許第2599477号に記載された様な水溶性大豆多糖類を用いることができる。製造の一例を示せば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白質の製造時に副産物として得られるオカラや、脱脂大豆粕(ミール)を原料として、水系下で大豆蛋白質の等電点付近である弱酸性域、好ましくはpH4〜6で高温抽出し、固液分離により水溶性大豆多糖類を得ることができる。油分,蛋白質が共に少ない、分離大豆蛋白質製造時のオカラが原料に好ましい。抽出温度は100℃ を超えると抽出効率が高いために好ましく、130℃以下が更に好ましい。この様に得られた水溶性大豆多糖類は、主要な構成糖として少なくともラムノース,フコース,アラビノース,ガラクトース,グルコース及びウロン酸を含むものであり、好ましくはラムノース1〜7重量%、フコース2〜8重量%、アラビノース15〜50重量%、キシロース2〜10重量%、ガラクトース25〜60重量%、ウロン酸10〜35重量%の組成を有するものが適当である。ウロン酸は6位のカルボキシル基がメチルエステル化されたものを含むことがあるが、その割合は特に制限されない。(マメ科種子多糖類のウロン酸) 本発明に用いる水溶性大豆多糖類のウロン酸含量は、重量当たり2〜50%が好ましく、5〜35%が更に好ましい。なお、ウロン酸含量はBlumenkrantz法を用いた比色定量法によって求める。(水溶性大豆多糖類の分子量) 抽出された水溶性大豆多糖類は、任意の分子量のものをコハク酸またはコハク酸誘導体によるエステル化反応に用いることができるが、好ましくは平均分子量が5千〜150万、より好ましくは5万〜100万である。なお、この平均分子量は、標準プルラン(昭和電工(株)製)を標準物質としてTSK-GEL G-5000WXLカラムを用いたゲル濾過HPLCによって求めた値である。(エステル化水溶性大豆多糖類) 本発明においてエステル化水溶性大豆多糖類とは、上記の水溶性大豆多糖類の水酸基と、コハク酸またはコハク酸誘導体とのエステル結合を分子内に有する水溶性大豆多糖類である。エステル化水溶性大豆多糖類の調製方法としては、水溶性大豆多糖類の抽出濾液又は抽出濾液の精製物に対して、以下のコハク酸またはコハク酸誘導体によるエステル化反応を行っても良いし、抽出濾液又はその精製物を更に乾燥した物に対して、コハク酸またはコハク酸誘導体によるエステル化反応を行っても良い。(コハク酸またはコハク酸誘導体の構造) 本発明において水溶性大豆多糖類にエステル化させるコハク酸またはコハク酸誘導体は、以下の構造式で表される。なお、式中Rは水素原子または炭化水素鎖であるが、好ましくは炭素数2から18、より好ましくは6から12、最も好ましくは8の炭化水素鎖である。Rが炭化水素鎖の場合、その構造は、飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状等特に限定されないが、好ましくはアルキル基あるいはアルケニル基、より好ましくはアルケニル基である。(コハク酸またはコハク酸誘導体によるエステル化) コハク酸またはコハク酸誘導体によるエステル化は、種々の方法で行うことができるが、例えば、水溶性大豆多糖類の水溶液又は同水溶液とエタノール,イソプロパノール,アセトン等の親水性極性有機溶媒の混合溶液に、コハク酸無水物またはコハク酸誘導体無水物を反応剤として添加し、攪拌混合することで行うことができる。反応剤の添加は、全量の添加や反応剤を分割した上での逐次添加等、状況に応じて添加方法を選択できる。水溶性大豆多糖類の水溶液濃度は攪拌可能な濃度であれば特に限定されるものではないが、低濃度では反応効率が悪く製造コストが高くなるため実用的でなく、高濃度では粘度上昇により作業性が悪化することから、1〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。また、親水性極性有機溶媒と水の混合溶液であって、水溶性大豆多糖類が溶解し難い場合に於いても、水溶性大豆多糖類をスラリー化させて反応を行うこともできる。この場合の水溶性大豆多糖類のスラリー濃度は特に限定されるものではないが、作業性と生産効率を上げるためには1〜60重量%が好ましい。 反応は、溶液のpHを弱酸性からアルカリ性に維持しながら攪拌下に行われる。pH調整に用いる酸やアルカリ剤に特に制限はなく、酸としては、塩酸,硫酸,リン酸等の無機酸、酢酸,クエン酸,乳酸,アスコルビン酸等の有機酸等、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、クエン酸ナトリウム,シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機酸塩、リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属の無機酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等の2価金属の水酸化物、アンモニア等を例示できる。コハク酸無水物またはコハク酸誘導体無水物の添加によって反応溶液のpHは低下するため、反応中に上記の酸あるいはアルカリ剤を添加してpHを維持する。反応pHは6から10が好ましく、pH7から10がより好ましく、pH7から9が最も好ましい。反応温度は、反応溶液が凍結せず且つコハク酸無水物またはコハク酸誘導体無水物が溶解する温度に適宜調整すれば良いが、温度が低すぎると無水物の反応性が低く、高すぎると無水物の急激な加水分解が優位となるため、製造コストや生産効率を考慮した上で20〜90℃から選択するのが好ましい。反応時間は、基質や反応剤の濃度,pH,温度によるが、15分〜12時間、好ましくは30分〜6時間が例示できる。 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類は、多糖類にコハク酸またはコハク酸誘導体のエステルが結合したものである。水溶性大豆多糖類に対するコハク酸エステルまたはコハク酸誘導体エステルの含量は遊離酸換算すると、所望する機能によって0.01〜40重量%から適宜選択できるものが好ましい。分散安定剤としての使用においてはコハク酸誘導体エステル含量が遊離酸換算で2.0〜10.0重量%であることが好ましく、乳化剤としての使用においては、コハク酸誘導体エステル含量が遊離酸換算で0.2重量%以上であることが好ましく、0.3〜7.0重量%であることが更に好ましい。(精製処理) 原料の水溶性大豆多糖類またはエステル化処理後の水溶性大豆多糖類は、好ましくはエステル化処理後の水溶性大豆多糖類は、更に好ましくはエステル化処理後に中和を行った水溶性大豆多糖類に、必要に応じて精製処理を施す。予め原料の除蛋白を行っていない場合、夾雑蛋白質が機能に悪影響を及ぼす場合があるため、これを除去することが望ましい。除蛋白の方法として、酸やアルカリで大豆蛋白質の等電点付近にpH調整することで蛋白質を凝集させ、凝集物を圧濾分離,遠心分離,ろ過や膜分離等によって除去する方法、任意のプロテアーゼを用いて分解する方法、活性炭や樹脂を用いて吸着除去する方法等が挙げられる。これらの1種、あるいは2種以上を組み合わせて夾雑蛋白質を除去するのが望ましい。 脱塩精製の方法は、塩類が分離除去できるいずれの方法でも構わない。メタノール,エタノール,イソプロパノール,アセトン等の極性有機溶媒を用いて行う再沈殿法、活性炭処理、樹脂吸着処理、限外濾過法、逆浸透法、ゲル濾過法、透析法、イオン交換樹脂法、電気透析法およびイオン交換膜法が例示でき、これらの一種あるいは二種以上を組み合わせて行うことが望ましい。 上記の精製処理を行った、あるいは行っていないエステル化水溶性大豆多糖類の溶液は、必要に応じて濃縮処理、並びにプレート殺菌または蒸気殺菌等の殺菌処理を行った後、乾燥することができる。乾燥方法としては、凍結乾燥,スプレードライ,ドラムドライヤー乾燥等が例示でき、必要によって乾燥後に粉砕することもできる。これら方法は、処理前の水溶性大豆多糖類の状態によって任意に選択できる。(コハク酸誘導体エステルの定量方法) コハク酸誘導体によるエステル化の程度は、水溶性大豆多糖類にエステル結合しているコハク酸誘導体の遊離酸としての量を以下の式により計算し、エステル化水溶性大豆多糖類に対する重量%として求める。 コハク酸誘導体量(遊離酸換算) = 1.4×V2−V1 上式中のV1は、試料であるエステル化水溶性大豆多糖類を10mMリン酸緩衝液(pH7.2)に1重量%となるよう溶解した溶液5mlを分子量1万カットフィルター(Amicon Ultra Ultracel-10メンブレン:メルク(株)製)に通過させた液に含まれる遊離のコハク酸誘導体量を逆相クロマトグラフィーによって定量した値である。またV2は、同試料を10mMリン酸緩衝液(pH7.2)に1重量%となるよう溶解した溶液5mlに0.5N水酸化ナトリウム1mlを加え、40℃,20分間エステル加水分解処理を行った後0.5N塩酸1mlを添加して中和し、分子量1万カットフィルター(同)に通過させた溶液に含まれるコハク酸誘導体量を同様に定量した値である。 逆相クロマトグラフィーは、カラム:CAPCELL PAK C18 MG(資生堂製 φ2.0mm×150mm)、溶離液:0.1重量%リン酸/アセトニトリル混合溶液(アセトニトリル濃度はヘキセニルコハク酸測定の場合35体積%、オクテニルコハク酸測定の場合50体積%、ドデセニルコハク酸測定の場合60体積%)、流速:0.4ml/min、検出器:UV検出器(波長205nm)の条件にて行う。内部標準物質として、ヘキセニルコハク酸測定の場合カプリル酸モノグリセリド、オクテニルコハク酸測定の場合カプリン酸モノグリセリド、ドデセニルコハク酸の場合デカン酸を用いる。(分散安定剤) 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類は、水溶液中での蛋白質の凝集を抑制し、分散安定状態を維持する分散安定剤として機能する。その機能は、pH4.6〜5.2、好ましくはpH4.8〜5.0の範囲で効果的であり、酸性蛋白飲食品、特に酸性蛋白飲料に好適である。 本発明の分散安定剤は、従来実用的な安定剤が存在しなかったpH4.6〜5.2において、蛋白質が凝集沈殿することない良好な酸性蛋白飲料の調製を可能にした。調製する酸性蛋白飲食品の物性や性質に応じて、多糖類,蛋白質,その他の各種高分子あるいはそれらの加水分解物等と併用することができる。これら併用物としては、澱粉,加工澱粉,各種セルロース,デキストリン、イヌリン、寒天,カラギーナン,フコイダン、アルギン酸ナトリウム、ファーセラン,グアーガム,ローカストビーンガム,タマリンド種子多糖類,タラガム,アラビアガム,トラガントガム,カラヤガム,ペクチン,キサンタンガム,プルラン,ジェランガム、キチン、キトサン等の多糖類の他、ゼラチン,コラーゲン等の蛋白質の内の1種あるいは2種以上の組み合わせが例示できる。 本発明の分散安定剤は、分散相である蛋白質の濃度の下限に制限なく、蛋白飲食品において効果的に機能する。蛋白質濃度が2.5%以上の時は、十分な安定化に加え他の分散安定剤に比べて粘度の低いさっぱりとした飲食品を提供できる。酸性蛋白飲食品に対して0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.2〜1.0重量%添加することにより、蛋白質の等電点よりやや中性に近い範囲で、良好な蛋白質分散安定性を示す。pH4.6〜5.2の酸性蛋白飲食品の調製に好適であり、特にpH4.8〜5.0では凝集抑制効果を良く示す。(酸性蛋白飲食品) 本発明における酸性蛋白飲食品とは、動植物性蛋白素材を含有する酸性の飲食品であって、動植物性蛋白素材を使用した飲食品に、柑橘類等の果汁、もしくはリン酸などの無機酸、その他の酸を添加するか、クエン酸,乳酸などの有機酸を添加もしくは微生物により発酵生産することで得られる。具体的には、乳製品等の動植物性蛋白素材水溶液を酸性にした酸性乳飲料、アイスクリームなどの乳蛋白成分入りの冷菓に果汁等を加えた酸性アイスもしくはフローズンヨーグルトなどの酸性冷菓、プリン,ババロア等のゲル化食品に果汁等を加えた酸性デザート、コーヒー飲料、生菌タイプもしくは殺菌タイプの乳酸菌飲料、並びに固体状もしくは液体状の発酵乳等が例示できる。なお、発酵乳は上記動植物性蛋白を殺菌後、乳酸菌やスターターを加えて発酵させた発酵乳を指すが、所望によりさらに粉末化し、又は糖を加えたものであっても良い。 また、動植物性蛋白素材とは、獣乳や豆乳等を由来とする蛋白素材であり、具体的には、牛乳,山羊乳,脱脂乳,豆乳、これらを粉末化した全脂粉乳,脱脂粉乳,粉末豆乳、さらに糖を添加した加糖乳、濃縮した濃縮乳、カルシウム等のミネラル,ビタミン類等を強化した加工乳を指す。(乳化剤) 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類は、高分子乳化剤として最も良く用いられるアラビアガム,加工澱粉,または従来の水溶性大豆多糖類に比べて、少ない配合量でより多くの疎水性物質を乳化し、水中油型(O/W型)乳化物を形成することができる。また、乳化物の破壊や乳化物同士の合一を防ぎ分散安定化する力に優れ、pH,温度,塩濃度等の変化、希釈、およびプロテアーゼ処理等に対して高い耐性を有した乳化物を与えるため、食品分野以外にも医薬品,医薬部外品,化粧品等において、乳化剤として使用することができる。 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類の用途として、食品としては、清涼飲料,乳飲料,果汁飲料,お茶,スポーツ飲料,ダイエット飲料,粉末飲料,アルコール飲料等の飲料、キャンディー,グミ,ゼリー,チューイングガム等の菓子、アイスクリーム等の冷菓、ドレッシング,マヨネーズ,ベーカリー製品,水産加工品,畜産加工品,レトルト食品,冷凍食品等の飲食品、油性香料ならびに油性色素等の乳化について、乳化剤として用いることができる。 また、食品分野以外の用途としては、洗顔料,保湿クリーム,化粧水,ファンデーション等の化粧品、シャンプー,カラーリング剤,スタイリング剤等のヘアケア用品、塗り薬,抗がん剤等の医薬品や医薬品のコーティング剤、入浴剤,衣料用洗剤,住居用洗剤等の日用品、殺虫剤,除草剤等の農薬、塗料,インキ,ワックス等の加工剤等の乳化について用いることができる。 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類は、溶液又は粉末状態で乳化剤として用いることもできるが、他の担体や添加剤を配合して乳化製剤とすることも可能である。この場合、使用する担体や添加剤は乳化剤を用いる製品の種類や用途により、適宜選択できる。例えば、エステル化水溶性大豆多糖類を、グリセリン等の多価アルコール、デキストリンもしくは乳糖等の糖類、アスコルビン酸等の酸化防止剤、または防腐剤等の添加物と混合して使用することも可能である。 本発明の乳化剤は、油相に対して4〜200重量%で用いることが好ましく、10〜100重量%で用いると更に好ましい。使用に際しては、当該乳化剤を予め水相に溶解もしくは分散させた上で、油相を混合し乳化処理を行うことが好ましい。乳化物のpHはpH2〜9が好ましく、pH3〜7が更に好ましい。 本発明のエステル化水溶性大豆多糖類は、必要に応じて、他の乳化剤と併用することもできる。併用できる乳化剤としては、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤,四級アンモニウム等のカチオン性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル,シュガーエステル等のノニオン性界面活性剤、レシチン等の両性界面活性剤等の低分子乳化剤、アラビアガム,カゼインナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,加工澱粉,カルボキシメチルセルロース等の高分子乳化剤が例示できる。また、寒天,カラギーナン,ペクチン,カラヤガム,グアーガム,ローカストビーンガム,キサンタンガム,ジェランガム,アルギン酸ナトリウム,ゼラチン,澱粉等を、乳化安定剤として併用することも可能である。 以下に実施例を記載することで本発明を説明するが、本発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。(製造例1)未処理またはアルカリ処理・水溶性大豆多糖類の調製 分離大豆蛋白製造時に副産物として生じる乾燥オカラを原料とし、固形分8.0重量%となるように加水し、pH5.0に調整後に120℃,90分間加熱抽出した。その後遠心分離(11,000×g,30min)して上清を得た。得られた上清の一部を凍結乾燥し水溶性大豆多糖類Y(未処理・水溶性大豆多糖類)を得た。上清の残余300gについて水酸化ナトリウムを用いてpH 8.0に調製し、pH8.0,40℃を保持した状態で1時間攪拌を続けた後に溶液に、塩酸を加えてpH5に調整し、エタノール600gを加えて多糖類を沈殿させた。単離した沈殿物をエタノール300gで2回洗浄した後風乾し、水溶性大豆多糖類Z(アルカリ処理・水溶性大豆多糖類)を得た。(製造例2)オクテニルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製(1) 水溶性大豆多糖類Yの10重量%溶液を300g調製し、40℃に加温した。水酸化ナトリウム溶液を用いてpH8.0に調整し、40℃を保持した状態で攪拌混合しながら対水溶性大豆多糖類30重量%のオクテニルコハク酸無水物(2-オクテニルコハク酸無水物:東京化成工業(株)製)を1/3量ずつ30分毎に添加した後、1時間攪拌を続けエステル化反応させた。反応中は水酸化ナトリウムの添加によってpH8.0を維持した。溶液に塩酸を加えてpH5に調整し、エタノール600gを加えて多糖類を沈殿させた。単離した沈殿物をエタノール300gで2回洗浄した後風乾し、エステル化水溶性大豆多糖類Aを得た。(製造例3)オクテニルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製(2) 製造例2の水溶性大豆多糖類Aの製造において、オクテニルコハク酸無水物の添加量を対水溶性大豆多糖類10,6.0,3.0,1.5重量%とする以外はエステル化水溶性大豆多糖類Aと同様の手順で、エステル化水溶性大豆多糖類B,C,D,Eを得た。(製造例4)ヘキセニルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製 製造例2〜3のエステル化水溶性大豆多糖類A,B,Dの製造において、オクテニルコハク酸無水物をヘキセニルコハク酸無水物(2-ヘキセン-1-イル-コハク酸無水物:東京化成工業(株)製)とした以外同様の手順で、エステル化水溶性大豆多糖類F,G,Hを得た。(製造例5)ドデセニルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製(1) 製造例2のエステル化水溶性大豆多糖類Aの製造において、反応温度を80℃とし、オクテニルコハク酸無水物をドデセニルコハク酸無水物(2-ドデセン-1-イル-コハク酸無水物:東京化成工業(株)製)とし、添加量を対水溶性大豆多糖類40重量%とし、更に反応時間を6時間とした以外同様の手順で、エステル化水溶性大豆多糖類Iを得た。(製造例6)ドデセニルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製(2) 製造例2〜3のエステル化水溶性大豆多糖類A,B,Dの製造において、反応温度を80℃とし、オクテニルコハク酸無水物をドデセニルコハク酸無水物とした以外同様の手順で、エステル化水溶性大豆多糖類J,K,Lを得た。(製造例7)n-オクチルコハク酸エステル化・水溶性大豆多糖類の調製 製造例2〜3のエステル化水溶性大豆多糖類A,B,Dの製造において、反応温度を70℃とし、オクテニルコハク酸無水物をn-オクチルコハク酸無水物(東京化成工業(株)製)とした以外同様の手順で、エステル化水溶性大豆多糖類M,N,Oを得た。(比較製造例1)オクテニルコハク酸エステル化・アラビアガムの調製(1) 製造例3の水溶性大豆多糖類Dの製造において、水溶性大豆多糖類をアカシア・セネガル種のアラビアガム(アラビックコールSS:三栄薬品貿易(株))とした以外同様の手順で、アラビアガムAを得た。しかし、オクテニルコハク酸エステル化は認められなかった。(比較製造例2)オクテニルコハク酸エステル化・アラビアガムの調製(2) 製造例3の水溶性大豆多糖類Dの製造において、水溶性大豆多糖類をアカシア・セイヤル種のアラビアガム(Gum Acacia 386A:Alland & Robert)とした以外同様の手順で、アラビアガムBを得た。しかし、オクテニルコハク酸エステル化は認められなかった。 製造例1〜7、比較製造例1〜2で得られた各種多糖類、およびアラビアガム(アラビックコールSS、Gum Acacia 386A)、及びオクテニルコハク酸エステル化アラビアガム(Ticamulsion:TIC Gums製)を、前述の逆相クロマトグラフィーにて分析した値を表1に示した。エステル化水溶性大豆多糖類A〜Oにはコハク酸誘導体エステルが導入された。一方、アラビアガムA,Bにおいてはコハク酸誘導体エステルが導入されなかった。表1:各種多糖類の分析値(実施例1)エステル化水溶性大豆多糖類による酸性乳飲料の分散安定能の評価1○酸性乳飲料の調製(蛋白質濃度1.0重量%、安定剤濃度0.2重量%) エステル化水溶性大豆多糖類A,B,G,I,Mの中から選ばれる1種,脱脂粉乳,グラニュー糖,水を表2の配合で氷上にて混合し、50%乳酸溶液を用いて任意のpHに調整した後、高圧ホモジナイザー処理(150kgf/cm2)によって均質化した。調製した飲料は、4℃で一晩保存した。表2:酸性乳飲料の配合(蛋白質濃度1%)○酸性乳飲料の評価 調製した酸性乳飲料について、沈殿率と凝集の有無による安定性評価を行った。[沈殿率] 酸性乳飲料を750×gで20分間遠心し、上清をデカントによって除去した。沈殿の重量を測定し、以下の計算式で沈殿率を求めた。沈殿率(%) = 沈殿重量 / 調製した酸性乳飲料の重量 × 100[凝集] 溶液中の蛋白質の凝集の有無について目視で確認し、−:凝集無し〜極僅か、+:凝集有り とした。凝集が見られない場合であっても、蛋白質の溶解が生じ溶液の乳濁性が消失した状態は (溶解)と記し、不良と判断した。沈殿率が1%以下で且つ凝集−の場合を○:良好、それ以外の場合を×:不良として評価した。(比較例1)未エステル化水溶性大豆多糖類、ペクチン及びエステル化アラビアガムによる対比 実施例1の水溶性大豆多糖類を、未エステル化水溶性大豆多糖類Z、及びHM-ペクチン(SM-666:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)、及びオクテニルコハク酸エステル化アラビアガム(Ticamulsion:TIC Gums製)に置き換える以外は全く同様の方法で酸性乳飲料を調製し、評価した。表3: 酸性乳飲料(蛋白質濃度1%)の安定性 エステル化水溶性大豆多糖類A,B,G,I,Mを用いた場合、pH4.6〜5.2の範囲で蛋白質が分散安定化し、凝集もなく良好な飲料を調製できた。未エステル化処理品である水溶性大豆多糖類Zでは蛋白質が完全に凝集沈殿し、HM-ペクチンではpH4.6での安定化とpH4.8での弱い安定化が見られたが、それ以上のpHでは安定化することができなかった。アラビアガムは蛋白質の分散安定化能を有するものではないが、オクテニルコハク酸エステル化アラビアガムでも同様であって、いずれのpHでも安定化しなかった。(実施例2)エステル化水溶性大豆多糖類による酸性乳飲料の分散安定能の評価2○酸性乳飲料の調製(蛋白質濃度2.5重量%、安定剤濃度0.4重量%) 製造例2のエステル化水溶性大豆多糖類A,脱脂粉乳,グラニュー糖,水を表4の配合で氷上にて混合し、50%乳酸溶液を用いて任意のpHに調整した後、高圧ホモジナイザー処理(150kgf/cm2)によって均質化した。調製した飲料は、4℃で一晩保存した。表4:酸性乳飲料の配合(蛋白質濃度2.5%)○酸性乳飲料の評価 調製した酸性乳飲料について、沈殿率と凝集の有無による安定性評価を行った。また、飲み口の指標として粘度を測定した。[粘度] 調製した酸性乳飲料の10℃における粘度を、BM型粘時計(No.1 ローター、60rpm)で測定した。[沈殿率] 酸性乳飲料を750×gで20分間遠心し、上清をデカントによって除去した。沈殿の重量を測定し、以下の計算式で沈殿率を求めた。沈殿率(%) = 沈殿重量 / 調製した酸性乳飲料の重量 × 100[凝集] 溶液中の蛋 白質の凝集の有無について目視で確認し、−:凝集無し〜極僅か、+:凝集有り とした。凝集が見られない場合であっても、蛋白質の溶解が生じ溶液の乳濁性が消失した状態は (溶解)と記し、不良と判断した。沈殿率が6%以下で且つ凝集−の場合を○:良好、それ以外の場合を×:不良として評価した。(比較例2)ペクチン及びエステル化アラビアガムによる対比 実施例2のエステル化水溶性大豆多糖類を、HM-ペクチン(SM-666:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)及びオクテニルコハク酸エステル化アラビアガム(Ticamulsion:TIC Gums製)に置き換える以外は全く同様の方法で酸性乳飲料を調製し、評価した。表5: 酸性乳飲料(蛋白質濃度2.5%)の安定性 エステル化水溶性大豆多糖類Aを用いた場合では、pH4.6〜5.2の範囲で蛋白質が分散安定化し、飲料粘度は12〜15cpと低いものであった。HM-ペクチンを用いた飲料はpH4.4〜4.6で安定化し、エステル化水溶性大豆多糖類Aを用いた場合に比べ5倍から6倍の粘度を有する重い飲み口のものであった。オクテニルコハク酸エステル化アラビアガムは、いずれのpHでも安定化しなかった。(実施例3)エステル化水溶性大豆多糖類による乳化能の評価○乳化組成物の調製 エステル化水溶性大豆多糖類B〜E,G,J,Oの中から選ばれる1種,pH4緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH4.0),グリセリンからなる水相と、レモンオイル,中鎖脂肪酸トリグリセリド,ショ糖酢酸イソ酪酸脂肪酸エステルを2:3:5(重量比)で混合した油相を表6の配合でそれぞれ予め混合した。油相を水相の上に加え、氷上で30秒の超音波処理を2回行って乳化した。得られた乳化物は、4℃で一晩保存した。表6:乳化組成物の配合(重量部)○乳化組成物の評価 実施例3で得られた乳化物について、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2000A:島津製作所(株)製)を用いて、メディアン粒子径を測定した。また調製から4℃で7日保存した後の乳化物のメディアン粒子径も併せて測定し、乳化粒子径に大きな変化がない場合安定性が良好と判断した。(比較例3)未エステル化水溶性大豆多糖類およびアラビアガム等による対比 実施例3のエステル化水溶性大豆多糖類を、未エステル化水溶性大豆多糖類Z、市販のアラビアガム(アラビックコールSS:三栄薬品貿易(株)製)、オクテニルコハク酸エステル化アラビアガム(Ticamulsion:TIC Gums製)及び加工澱粉(エマルスター500A:松谷化学工業(株)製)に置き換える以外は全く同様の方法で乳化組成物を調製し、評価した。表7: 乳化組成物のメディアン粒子径 エステル化水溶性大豆多糖類B〜E,G,J,Oは、自重の2〜8倍の疎水性物質を乳化し、メディアン粒子径1.0μm以下の水中油型乳化物を形成できる高い乳化活性を有していた。また、7日保存後にも粒子径が殆ど変化しない高い乳化分散安定性を有していた。未エステル化水溶性大豆多糖類Zに比べて乳化活性が著しく改善されており、アラビアガム,加工澱粉と比べても特に高油分系における乳化能が大きく優れていた。アラビアガムは、オクテニルコハク酸エステル化された後も、エステル化水溶性大豆多糖類のように著しく乳化能が向上することはなかった。また、比較例の高分子乳化剤では乳化組成物の均一な粒度分布が得られないことに対し、本発明の水溶性大豆多糖類では均一な粒度分布が得られた。粒度分布と乳化粒子径は4℃で30日保存した後においても変化なく、保存安定性は良好であった。 本発明は、pH5付近において蛋白質粒子を分散安定化し凝集沈殿を抑制する水溶性大豆多糖類を提供するものであり、当該の水溶性大豆多糖類を用いることで、従来調製できなかったpH4.6〜5.2の酸性蛋白飲料又は酸性蛋白食品を調製することができる。以下の構造式で表される、コハク酸またはコハク酸誘導体のエステルを分子内に含む、エステル化水溶性大豆多糖類。但し、式中Rは水素原子または炭化水素鎖である。Rの炭素数が2から18である、請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。Rがオクテニル基である、請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。コハク酸エステルまたはコハク酸誘導体エステル量が、エステル化水溶性大豆多糖類に対する遊離酸の重量%として0.01〜40%である、請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類。水溶性大豆多糖類と、コハク酸無水物またはコハク酸誘導体無水物を反応させる、請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類の製造方法。請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類を用いた分散安定剤。請求項6に記載の分散安定剤を用いることを特徴とする、酸性蛋白飲食品。請求項1に記載のエステル化水溶性大豆多糖類を用いた乳化剤。請求項8に記載の乳化剤を用いることを特徴とする、食品、化粧品及び化成品。 【課題】 酸性下、特に蛋白質の等電点付近よりも中性に近いpH5付近のpH域で蛋白質の凝集沈殿を抑える分散安定剤を提供することを目的とする。【解決手段】 コハク酸の2位の炭素に炭化水素鎖が結合したコハク酸誘導体またはコハク酸によってエステル化された水溶性大豆多糖類を用いると、pH5付近において蛋白質粒子を分散安定化し、酸性蛋白食品を調製することができる。コハク酸誘導体の炭化水素鎖は、炭素数2〜18であることが好ましく、オクテニル基が最も好ましい。また、エステル化多糖類は、併せて高い乳化能も有する。【選択図】なし