生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ジオスシンを有効成分とする骨密度減少抑制医薬組成物及び食品添加剤
出願番号:2012226130
年次:2014
IPC分類:A61K 31/704,A61K 36/18,A61P 19/10,A23L 1/30,C07J 21/00


特許情報キャッシュ

柘植 信昭 星野 彰平 中屋 圭子 千葉 大成 JP 2014076972 公開特許公報(A) 20140501 2012226130 20121011 ジオスシンを有効成分とする骨密度減少抑制医薬組成物及び食品添加剤 ハウス食品グループ本社株式会社 000111487 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 大木 信人 100144794 柘植 信昭 星野 彰平 中屋 圭子 千葉 大成 A61K 31/704 20060101AFI20140404BHJP A61K 36/18 20060101ALI20140404BHJP A61P 19/10 20060101ALI20140404BHJP A23L 1/30 20060101ALI20140404BHJP C07J 21/00 20060101ALN20140404BHJP JPA61K31/704A61K35/78 CA61P19/10A23L1/30 ZA23L1/30 BC07J21/00 7 OL 12 特許法第30条第2項適用申請有り 研究集会名:第66回 日本栄養・食糧学会大会 主催者名:公益社団法人日本栄養・食糧学会 開催日:平成24年5月18日〜20日(発表日:平成24年5月20日) 刊行物名:第66回 日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集 発行日:平成24年4月27日 掲載頁:196頁(3H−06p) 掲載アドレス:http://eishok66.umin.jp/img/program_oral0520.pdf 掲載日:平成24年4月11日 4B018 4C086 4C088 4C091 4B018MD07 4B018MD48 4B018ME05 4B018MF12 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA10 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA97 4C088AB84 4C088AC04 4C088BA13 4C088BA32 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA08 4C088CA25 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA97 4C091AA01 4C091BB06 4C091CC01 4C091DD01 4C091EE06 4C091FF01 4C091GG01 4C091HH01 4C091JJ03 4C091KK01 4C091LL01 4C091MM03 4C091NN20 4C091PB10 4C091QQ07 4C091QQ15 4C091QQ18 4C091RR13 本発明は、骨粗鬆症等の骨密度の低下に起因する疾患を予防、治療、及び/又は改善するのに有効な骨密度減少抑制医薬組成物及び食品添加剤に関する。 骨粗鬆症は、加齢、閉経、極端なダイエット、運動不足、喫煙など様々な要因により、破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を大幅に上回り、その結果、骨密度が減少し、骨が折れやすくなる疾患である。 これまでに、骨粗鬆症を予防する効果があるとして、骨密度の減少を抑制する効果を有する物質がいくつか見出されており、このような物質として例えば、ジオスゲニンや、植物由来のサポニンであるメチルプロトジオスシン、及びフェヌグリーク抽出物が挙げられる(非特許文献1,2及び特許文献1)。 また、本発明者らはこれまでに、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子、及び苦味成分であるサポニンを酵素処理した苦味低減化フェヌグリーク種子が骨密度の減少を抑制する効果を有することを報告している(非特許文献3)。 しかしながら、これら物質が有する効果は十分であるとはいえず、当該分野においては依然として、骨密度の減少を抑制することが可能な新たな手段の開発が切望されている。特開2005-112832号公報Kent Higdon et al., Biomed Sci Instrum. 2001;37:281-6.Jun Yin et al., Planta Med. 2004 Mar;70(3):220-6.千葉大成ら、3E-05p「苦味低減化フェヌグリークシードに着目した骨粗鬆症予防効果」、日本栄養食糧学会2009年度大会要旨、195項、平成21年5月1日発行 そこで本発明は、骨密度の減少を抑制することが可能な新規手段を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ジオスシンが骨密度の減少を抑制する効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の発明を包含する。[1] ジオスシンを含有することを特徴とする、骨密度減少抑制医薬組成物。[2] ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、[1]の医薬組成物。[3] ジオスシンを含有することを特徴とする、骨密度減少抑制作用を有する飲食品添加剤。[4] ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、[3]の飲食品添加剤。[5] [3]又は[4]の飲食品添加剤を含む、飲食品。[6] 飲食品の材料にジオスシンを配合することを含む、骨密度減少抑制作用を有する飲食品の製造方法。[7] ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、[6]の方法。 本発明によれば、骨密度の減少を抑制することが可能な新規医薬組成物等が提供される。本発明の医薬組成物等を摂取することにより、骨粗鬆症等の骨密度の低下に起因する疾患を予防、治療、及び/又は改善することができる。図1は、各実験食を投与した被験動物の体重、飼料摂取量、子宮重量、及び白色脂肪重量の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図2−1は、各実験食を投与した被験動物の大腿骨の全骨骨密度の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図2−2は、各実験食を投与した被験動物の大腿骨の皮質骨骨密度(A)及び海綿骨骨密度(B)の測定結果をそれぞれ示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図3は、各実験食を投与した被験動物の大腿骨を用いた、3点折り曲げ試験での最大点荷重の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図4は、各実験食を投与した被験動物の大腿骨遠位部海綿骨の骨量(A)及び当該海綿骨の骨吸収速度(B)の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図5は、各実験食を投与した被験動物の血清中のI型コラーゲンC末端テロペプチド(CTx)濃度(A)及びオステオカルシン(OC)濃度(B)の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図6は、各実験食を投与した被験動物の血清中のsRANKL濃度(A)及び血清中のオステオプロテゲリン(OPG)濃度に対するsRANKL濃度の比率(B)の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。図7は、各実験食を投与した被験動物の血清中のTNF-α濃度(A)及びIL-1濃度(B)の測定結果を示す。結果は平均値±標準誤差(n=5)として表し、異なるアルファベットを有意差あり(P < 0.05)とした。 ジオスシンは、ジオスゲニンの配糖体の一種であり、例えば、ヤマノイモ科等の植物に含まれることが知られるステロイドサポニンである。 本発明において、骨密度減少抑制のための有効成分として用いられるジオスシンは、化学合成されたものであっても良いし、ジオスシンを含有することが知られる植物(例えば、ヤマノイモ科の植物)より抽出及び/又は精製されたものであっても良い。 あるいは、本発明において、ジオスシンは、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼで処理して得られたものであってもよい。より詳細には、フェヌグリーク種子に抽出溶媒を加えて、当該種子の成分(サポニンなど)を溶出させ、得られた抽出液をβ-グルコシダーゼで処理することによってジオスシンを生成することができる。 ここで、「フェヌグリーク種子」は、発芽前の種子だけでなく、発芽後の種子であってもよい。また、当該種子は、粉末や破砕物の形態であってもよい。 「抽出溶媒」としては、熱水又は水、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、あるいは、これらの混合物が挙げられ、特に好ましくは、熱水又は水とエタノールの混合液である。フェヌグリーク種子に加える抽出溶媒の量は、フェヌグリーク種子100重量部に対して30〜1000重量部、好ましくは30〜600重量部、より好ましくは60〜400重量部、更に好ましくは200〜300重量部である。なお、アルコール抽出エキスの場合、酵素反応前に、加熱等によりアルコールを蒸発させる必要がある。 「β-グルコシダーゼ」は微生物由来、植物由来等、特に限定されるものではないが、微生物由来のものを使用することの方が酵素活性の強さ、基質の適合性の点から好ましく、当該微生物としては、Trichoderma reesei(Trichoderma reesei RUT-C30(ATCC No.56765)、Trichoderma reesei QM9414(ATCC No.26921))を例示することができる。植物由来のものとしては、アーモンド由来のβ-グルコシダーゼが挙げられる。また、β-グルコシダーゼとしては、精製したβ-グルコシダーゼの他に、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤を用いることもできる。酵素製剤としては、微生物由来のMultifect BGL、SPEZYME CP(ジェネンコア協和)、ナリンギナーゼ(田辺製薬)、セルラーゼSS(ナガセケムテックス)等が挙げられる。なお、Multifect BGLやSPEZYME CP(ジェネンコア協和)は液状の酵素製剤であり、ナリンギナーゼは粉末状の酵素製剤である。β-グルコシダーゼの添加量は、用いるフェヌグリーク種子の形態やβ-グルコシダーゼの種類によって変わり得るが、例えば、反応原料としてフェヌグリーク種子の粉末を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、フェヌグリーク種子の粉末20gに対してSPEZYME CPを0.001mlから20ml添加すればよい。β-グルコシダーゼは、フェヌグリーク種子に加える前の抽出溶媒に予め添加しておいてもよいし、抽出溶媒を加えて当該種子の成分を溶出させて得られた抽出液に添加してもよい。 「β-グルコシダーゼ処理」は、例えば、20℃以上、好ましくは40℃〜60℃にて、48時間以下、好ましくは2時間〜24時間程度行うことができる。この処理により、抽出液中に含まれるプロトジオスシンの26位のグルコースが切断され、ジオスシンを生成することができる。当該処理後、β-グルコシダーゼを加熱失活させるべく、例えば80℃〜100℃で5分間〜10分間の加熱処理をすることができる。 β-グルコシダーゼ処理された抽出液を分画又は精製処理して、ジオスシンを得ることができる。分画又は精製処理は、当該抽出物中に含まれるジオスシンを分画し、またその精製度を高める方法であればよく、定法に従って濾過処理またはイオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸脱着処理等を行うことができる。得られたジオスシンは、乾燥(熱風乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等)させても良い。 本発明において用いられるジオスシンは、精製されていても良いし、精製されていていなくても良いが、好ましくは精製された状態のものである。「精製された状態」とは、ジオスシン以外の物質の含有率が10%以下、5%以下、1%以上、0.5%以下、0.1%以下、又はそれ以下である状態を意味する。 本発明は、ジオスシンを有効成分として含有する、骨密度減少抑制医薬組成物(以下、本発明の医薬組成物と記載)に関する。 本発明の医薬組成物は、骨密度の低下を抑制する効果、より詳細には、骨吸収を抑制する効果を有する。したがって、本発明の医薬組成物を投与することにより、例えば、加齢、閉経、極端なダイエット、運動不足、喫煙など様々な要因による骨粗鬆症等の骨密度の低下に起因する疾患を予防、治療、及び/又は改善することができる。 本発明の医薬組成物は種々の投与形態用に製剤化することができる。医薬組成物の製剤形態は特に制限はなく、液剤、錠剤、顆粒剤、細粒、散剤、チュアブル剤等の経口剤、注射剤等の非経口剤等の通常の製剤形態が挙げられ、経口剤であることが好ましい。上記製剤はジオスシンと、賦形剤等の製薬上許容される他の成分(例えば、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤等)とを使用して常法により調製することができる。 本発明の医薬組成物には、有効成分であるジオスシンを1日あたり0.01〜1mg/kg体重摂取することができるように配合することが好ましい。 本発明はまた、ジオスシンを有効成分として含有する、骨密度減少抑制作用を有する飲食品添加剤(以下、本発明の飲食品添加剤と記載)に関する。 本発明の飲食品添加剤は、飲食品に添加することにより、当該飲食品に骨密度の低下を抑制する作用、より詳細には、骨吸収を抑制する作用を付与することができる。したがって、本発明の飲食品添加剤が添加された飲食品を摂取することにより、上記骨粗鬆症等の骨密度の低下に起因する疾患を予防、及び/又は改善することができる。 本発明の飲食品添加剤は、ジオスシンと、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で、飲食品に通常添加配合される各種添加剤とを使用して常法により調製することができる。ジオスシンと共に添加配合される各種添加剤としては、例えば、各種ビタミン類、ミネラル類、香料、甘味料、着色料、風味物質、塩類等(これらに限定はされない)が挙げられる。 本発明の飲食品添加剤を添加することができる飲食品の形態としては、特に限定されることなく、例えば、飲料、固形食品、半固形食品等が挙げられる。飲料としては、具体的には、果汁飲料、清涼飲料、アルコール飲料等が挙げられる。固形食品としては、例えば、飴、トローチ等を含む錠剤(タブレット)や糖衣錠の形態、顆粒の形態、粉末飲料、粉末スープ等の粉末の形態、ビスケット等のブロック菓子類の形態、カプセル、ゼリー等の形態等、種々の形態が挙げられる。半固形食品としては、例えばカレールウのようなペーストの形態が挙げられる。 本発明はさらに、飲食品の材料にジオスシンを配合することを含む、骨密度減少抑制作用を有する飲食品の製造方法(以下、「本発明方法」と記載)に関する。本発明方法において、飲食品の材料にジオスシンを配合することによって、得られた飲食品に骨密度の低下を抑制する作用、より詳細には、骨吸収を抑制する作用を付与することができる。したがって、当該飲食品を摂取することにより、上記骨粗鬆症等の骨密度の低下に起因する疾患を予防、及び/又は改善することができる。飲食品の形態としては、上記のものが挙げられる。 本発明方法において、飲食品の材料に配合するジオスシンの量は、当該飲食品の摂取により、1日あたり0.01〜1mg/kg体重のジオスシンを摂取することができる量であればよい。 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。1:実験方法 被験動物として、8週齢ddY雌性マウスを20匹用い、偽手術(Sham)又は卵巣摘出術(OVX)を施した。卵巣摘出マウスは、閉経後骨粗鬆症モデルマウスとして、一般的に用いられている。その後、基準食であるAIN93G組成(表1)にて予備飼育を行い、投与する実験食にしたがって下記の6群に分けた。すなわち、(i)基準食を投与したSham群(以下、「Sham群」と記載する場合がある)、(ii)基準食を投与したOVX群(以下、「OVX群」と記載する場合がある)、(iii)0.0028重量%のジオスシンを含む基準食(表1)を投与したOVX群(以下、「OVX+DC群」と記載する場合がある)、(iv)0.0034重量%のプロトジオスシンを含む基準食(表1)を投与したOVX群(以下、「OVX+PDC群」と記載する場合がある)、(v)ポジティブコントロールとして、0.0013重量%のジオスゲニンを含む基準食(表1)を投与したOVX群(以下、「OVX+DG群」と記載する場合がある)、(vi)0.006重量%の粗サポニン画分を含む基準食(表1)を投与したOVX群(以下、「OVX+SP群」と記載する場合がある)に分け、8週間飼育した。 なお、ジオスシン、プロトジオスシン、及び、ジオスゲニンは市販のものを利用した。ジオスシンは、Canfo chemicals(中国)から購入した。プロトジオスシンは、Aktin chemicals(中国)から40%含有粉末を購入し、、Lichroprep RP-18樹脂を用いた中圧クロマト法により精製して使用した。ジオスゲニンは、和光純薬から購入した。 粗サポニン画分は、プロトジオスシンを主成分とするフェヌグリークのサポニン類から成る混合物である。具体的には、フェヌグリーク粉末を含水エタノールで抽出後、濃縮し、ODP-400樹脂を用いた中圧クロマトで精製後、分取用ODSカラムで精製して、凍結乾燥することで得た。 なお、ジオスシンとジオスゲニン、プロトジオスシンはmol数を揃えて、基準食に添加した。粗サポニン画分は、骨量低減を抑制するポジティブコントロールとして設定しており、他の群と用量で揃えていない。 8週間飼育したマウスを採血した後、屠殺して解剖し、大腿骨骨密度(BMD)の測定、大腿骨骨質評価、及び、大腿骨骨形態計測を行った。なお、大腿骨骨密度(BMD)は、qCT(LaTheta LCT-100, ALOKA)で測定することによって、大腿骨骨質評価は、3点折り曲げ試験により評価し、そして、大腿骨骨形態計測は、大腿骨遠位部海綿骨の骨量、及び骨吸収速度を測定することによって行った。 さらに、採血した血清中の骨代謝マーカー(骨吸収マーカー:I型コラーゲンC末端テロペプチド(CTx)、骨形成マーカー:オステオカルシン(OC))、骨代謝調節因子(sRANKL、オステオプロテゲリン(OPG))、及び、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1)の濃度をそれぞれELISAによって測定した。2:結果(1)実験食の投与による影響 図1に示すとおり、被験動物において、実験食の投与による体重、試料摂取量、及び白色脂肪重量への大きな影響はみられなかった。子宮重量はOVX処理により低下したが、実験食投与による影響はみられなかった。(2)BMDの測定結果 Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、大腿骨の全骨骨密度(図2−1)、皮質骨骨密度(図2−2(A))及び海綿骨骨密度(図2−2(B))は、OVX処理により顕著な低下を示した。 これら骨密度の低下は、ジオスシン、ジオスゲニン、又は、粗サポニン画分を投与することによって抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。一方、プロトジオスシンの投与では、これら骨密度の低下を抑制できないことが示された(各図における「OVX+PDC群」)。(3)骨質の評価結果 図3に示すとおり、Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、3点折り曲げ試験での最大点荷重は、OVX処理により低下を示した。この最大点荷重の低下は、ジオスシン、ジオスゲニン、又は、粗サポニン画分を投与することによって抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。一方、プロトジオスシンの投与では、この最大点荷重の低下を抑制できないことが示された(各図における「OVX+PDC群」)。(4)大腿骨骨形態の計測結果(4−1)大腿骨遠位部海綿骨の骨量(図4(A)) Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、当該骨量はOVX処理により顕著な低下を示した。 当該骨量の低下は、ジオスシン、ジオスゲニン、又は、粗サポニン画分を投与することによって抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。一方、プロトジオスシンの投与では、これら当該骨量の低下を抑制できないことが示された。(4−2)大腿骨遠位部海綿骨の骨吸収速度(図4(B)) Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、当該骨吸収速度はOVX処理により顕著な増大を示した。 当該骨吸収速度の増大は、ジオスシン、ジオスゲニン、又は、粗サポニン画分を投与することによって顕著に抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。(5)骨代謝マーカーの測定結果 Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、血清中のCTx(図5(A))及びOC(図5(B))の濃度は、OVX処理により顕著な増加を示した。一方、これらの血清中濃度の増加は、ジオスシン等を投与することによって顕著に抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+PDC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。(6)骨代謝調節因子の測定結果 Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、sRANKLの血清中濃度(図6(A))は、OVX処理により顕著な増加を示した。また、血清中OPG濃度に対するsRANKLの割合(図6(B))は、OVX処理により顕著な増加を示した。 これらの値の増加は、ジオスシンを投与することによって顕著に抑制することができた。一方、ジオスシン以外の投与では、これらの値の増加を顕著に抑制できないことが示された(各図における「OVX+PDC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」))。(7)炎症性サイトカインの測定結果 Sham群とOVX群との比較より明らかなとおり、血清中のTNF-α(図7(A))及びIL-1(図7(B))の濃度は、OVX処理により増加を示した。一方、これらの血清中濃度の増加は、ジオスシン等を投与することによって抑制することができた(各図における「OVX+DC群」、「OVX+PDC群」、「OVX+DG群」及び「OVX+Sp群」)。3:ジオスシンの効果 以上の結果より、ジオスシンを投与することにより、骨粗鬆症における骨密度の低下、骨質の低下、骨量の低下、及び骨吸収速度増大を抑制できる、骨密度減少抑制効果が示された。また、ジオスシンを投与することにより、血清中の骨代謝マーカーであるCTx、骨代謝調節因子であるsRANKL、並びに、炎症性サイトカインであるTNF-α及びIL-1の濃度の上昇を抑制できることが示された。これらの因子は一般的に、破骨細胞による骨吸収に関与していることが知られている。したがって、ジオスシン投与による骨密度減少抑制効果は、骨吸収の抑制によるものであることが示唆された。 一方、ジオスゲニンの配糖体であるプロトジオスシンの投与によっては、上記骨密度減少抑制効果が得られなかった。これは、骨密度減少抑制効果があることが知られるジオスゲニンの配糖体が一様に骨密度減少抑制効果を有するものではないことを示す。 ジオスシンを含有することを特徴とする、骨密度減少抑制医薬組成物。 ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、請求項1に記載の医薬組成物。 ジオスシンを含有することを特徴とする、骨密度減少抑制作用を有する食品添加剤。 ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、請求項3に記載の食品添加剤。 請求項3又は4に記載の食品添加剤を含む、飲食品。 飲食品組成物の材料にジオスシンを配合することを含む、骨密度減少抑制作用を有する飲食品組成物の製造方法。 ジオスシンが、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum L.)種子の抽出物をβ-グルコシダーゼ処理して得られたものである、請求項6に記載の方法。 【課題】骨密度の減少を抑制することが可能な新規手段を提供すること。【解決手段】ジオスシンを含有することを特徴とする、骨密度減少抑制医薬組成物。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る