タイトル: | 公開特許公報(A)_去痰剤を含有する医薬組成物 |
出願番号: | 2012224355 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/198,A61K 31/137,A61P 35/00,A61P 43/00,A61P 11/00,A61P 29/00,A61P 11/06,A61P 31/06,A61P 11/08,A61P 11/10 |
鳥住 保博 JP 2013035869 公開特許公報(A) 20130221 2012224355 20121009 去痰剤を含有する医薬組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 鳥住 保博 JP 2005327525 20051111 A61K 31/198 20060101AFI20130125BHJP A61K 31/137 20060101ALI20130125BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130125BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130125BHJP A61P 11/00 20060101ALI20130125BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130125BHJP A61P 11/06 20060101ALI20130125BHJP A61P 31/06 20060101ALI20130125BHJP A61P 11/08 20060101ALI20130125BHJP A61P 11/10 20060101ALI20130125BHJP JPA61K31/198A61K31/137A61P35/00A61P43/00 105A61P11/00A61P29/00A61P11/06A61P31/06A61P11/08A61P43/00 121A61P11/10 2 2006301036 20061107 OL 10 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA31 4C206JA26 4C206KA01 4C206KA14 4C206KA17 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA05 4C206NA14 4C206ZA59 4C206ZA61 4C206ZA62 4C206ZA63 4C206ZB11 4C206ZB21 4C206ZB26 4C206ZB35 4C206ZC75 本発明は、杯細胞の過形成を抑制するための医薬組成物に関する。 正常な気道の表面の多くは線毛上皮細胞で被われており、その中に気道粘液を産生する杯細胞が散在し、気道分泌液と線毛との協調作用により異物を排除している。しかし、気道分泌が亢進すると、気道分泌液又は気道分泌液と異物との混合物が気道内に貯留して、細菌増殖の温床となるため、気道感染を反復したり気道閉塞をきたしたりすることが知られている。また、喫煙、種々の大気汚染物質又はアレルゲンの吸入、気道感染等で、気道分泌亢進のみならず杯細胞の過形成等が惹起され、これが長引くと急性呼吸器疾患から慢性難治性呼吸器疾患へ移行してしまう恐れがある(以上、例えば、非特許文献1参照)。 このような悪循環を防ぐためには、急性期における通常の去痰剤による治療のみならず杯細胞過形成を抑制するための対処も必要である。これまでに、杯細胞過形成抑制作用を有する薬剤としてフドステインが知られている。フドステインは2001年に本邦で開発された薬剤であり、慢性気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核、塵肺症、肺気腫、びまん性汎気管支炎等の慢性気道疾患における去痰の適応症を有する薬剤である(以上、例えば、非特許文献2参照)。 これまでに、フドステイン含有医薬組成物として以下のものが報告されている。1)解熱鎮痛作用を有する薬剤との配合(特許文献1参照)。2)鎮咳作用を有する薬剤との配合(特許文献2参照)。 すなわち、現在のところ、フドステインと他の去痰剤との併用について報告又は示唆した文献は見当たらず、当然ながら、その併用効果については不明であった。 また、フドステイン以外の去痰剤、すなわち、塩酸アンブロキソール、塩酸ブロムヘキシン、塩酸L−システイン、カルボシステイン等には杯細胞過形成抑制作用は認められないことが動物試験により判明している(非特許文献3)。国際公開第2002/096406号パンフレット国際公開第2002/096405号パンフレット医薬ジャーナル,Vol.38,No.12(2002)p121 〜126呼吸,Vol.23,No.2(2004)p143〜148Jpn.J.Pharmacol.,Vol.77,No.1(19 98)p71〜77 本発明者は、杯細胞過形成抑制作用を有する医薬組成物について長年にわたって鋭意研究を行った結果、意外にも、単剤では杯細胞過形成抑制作用を持たないフドステイン以外の去痰剤と、フドステインとを併用することにより、フドステインの杯細胞過形成抑制作用が相乗的に高まるという結果を見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、(1)フドステインと他の去痰剤を含有する医薬組成物であり、好適には、(2)杯細胞の過形成を抑制するための(1)に記載の医薬組成物、(3)鎮咳又は去痰のための(1)又は(2)に記載の医薬組成物、(4)杯細胞の過形成の抑制と、鎮咳又は去痰とを同時に行うための(1)に記載の医薬組成物、(5)他の去痰剤が、ブロムヘキシン、アンブロキソール、L−カルボシステイン、L−メチルシステイン、アセチルシステイン、L−エチルシステイン及びその薬理上許容される塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の医薬組成物、(6)他の去痰剤が、塩酸ブロムヘキシン又は塩酸アンブロキソールである(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の医薬組成物、(7)感冒剤として用いるための(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の医薬組成物、(8)急性又は慢性気管支炎の治療又は予防に用いるための(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の医薬組成物、(9)フドステインと他の去痰剤とが配合剤である(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の医薬組成物及び(10)フドステインを含有する医薬組成物と他の去痰剤を含有する医薬組成物とからなるキットである(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の医薬組成物である。 更に、本発明は、(11)フドステインと他の去痰剤とを同一の医薬組成物中に含有する(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法、(12)感冒剤を製造するための、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用、(13)フドステインと他の去痰剤とを同時に、順次又は別個に投与する方法及び(14)哺乳動物に(1)乃至(10)のいずれか1項に記載された医薬組成物の有効量を投与する、感冒の治療方法又は予防方法を提供する。 本発明における、「フドステイン」とは、(−)−(R)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシプロピルチオ)プロピオン酸であり、その薬理上許容される塩をも含むが、好適には、(−)−(R)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシプロピルチオ)プロピオン酸である。 本発明における、「他の去痰剤」とは、フドステイン以外の一般的に医薬の分野で使用される去痰剤であれば特に限定はないが、例えば、ブロムヘキシン、アンブロキソール、L−カルボシステイン、L−メチルシステイン、アセチルシステイン、L−エチルシステイン又はその薬理上許容される塩等であり、好適には、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、L−カルボシステイン、塩酸L−メチルシステイン、アセチルシステイン又は塩酸L−エチルシステインであり、更に好適には、塩酸ブロムヘキシン又は塩酸アンブロキソールである。 本発明における「薬理上許容される塩」とは、本発明の「フドステイン」又は「他の去痰剤」が、酸性基または塩基性基を有する場合に、塩基又は酸と反応させることにより、塩基性塩又は酸性塩にすることができるので、その塩を示す。 「塩基性塩」としては、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;N−メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4−ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩のような有機塩基塩類又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、好適には、アルカリ金属塩である。 「酸性塩」としては、好適には、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、更に好適には、塩酸塩、臭化水素酸塩又は硫酸塩である。 本発明の有効成分である「フドステイン」及び「他の去痰剤」は、大気中に放置したり又は再結晶をすることにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があるが、そのような水和物も本発明に使用される。 本発明において「配合剤」とは、複数の成分が混合された単一の組成物をいう。 本発明において「キット」とは、複数の別個の組成物を一式にして用いるものをいう。 本発明において、フドステインと他の去痰剤とは、同時に、順次又は別個に投与することができるが、一般に、臨床上は同時に投与するのが便利であり、それゆえ、フドステインと他の去痰剤とは、配合剤として投与することが好ましい。また、製剤技術上、当該両化合物を物理的に混合することが好ましくない場合は、それぞれの単剤を同時に、順次又は別個に投与することもできる。 本発明における、「同時に」投与するとは、全く同時に投与することの他、薬理学上許される程度に相前後した時間に投与することも含むものである。その投与形態は、ほぼ同じ時間に投与できる投与形態であれば特に限定はないが、単一の組成物であることが好ましい。 本発明における、「順次又は別個に」投与するとは、異なった時間に別々に投与できる投与形態であれば特に限定はないが、例えば、1の成分を投与し、次いで、決められた時間後に、他の成分を投与する方法がある。 本発明における、「治療する」とは、病気又は症状を治癒させること又は改善させること或いは症状を抑制させることを意味する。 本発明のフドステインと他の去痰薬を含有する医薬組成物は、杯細胞の過形成を顕著に抑制するとともに、優れた鎮咳及び/又は去痰作用を有することから有用である。 本発明のフドステインと他の去痰薬を含有する医薬組成物は、一般に考えられる感冒等の症状の治療又は予防に有用であるが、好適には、急性又は慢性気管支炎等の症状の治療又は予防に有用であり、更に好適には、急性呼吸器感染症患者における急性気管支炎等の症状又はCOPD、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核、塵肺症、肺気腫、びまん性汎気管支炎等の慢性気道疾患を有する患者における急性気管支炎等の症状の治療又は予防にも有用である。 本発明に用いられる去痰剤は、公知の方法によって容易に合成可能であり、また市販品を購入することによっても入手可能である。以下に、代表的な去痰剤について説明する。 塩酸ブロムヘキシン、L−カルボシステイン、塩酸L−エチルシステインは日本薬局方XIVに収載されている。 また、アセチルシステイン、塩酸L−メチルシステインは日本薬局方外医薬品規格2002に収載されている。 フドステイン及び塩酸アンブロキソールも既に医薬品として販売されており、また、公知の方法で製造することもできる。 フドステインの1回投与量は、適応症、年齢及び体重等により異なるが、通常、120mg乃至1200mgであり、これを1日に、1乃至3回投与する。 固形製剤の場合において、1日投与量中のフドステインの含有量は、通常、60mg乃至2400mgであり、好適には、120mg乃至1200mgであり、塩酸アンブロキソールの含有量は、通常、2mg乃至90mgであり、好適には、4.5mg乃至45mgであり、塩酸ブロムヘキシンの含有量は、通常、0.6mg乃至24mgであり、好適には、1.2mg乃至12mgであり、L−カルボシステインの含有量は、通常、75mg乃至3000mgであり、好適には、150mg乃至1500mgであり、塩酸L−エチルシステイン、塩酸L−メチルシステイン又はアセチルシステインの含有量は、通常、15mg乃至600mgであり、好適には、30mg乃至300mgである。 液剤の場合において含有されるフドステインの含有量は通常、1mg/mL乃至1200mg/mLであり、好適には、5mg/mL乃至800mg/mLであり、塩酸アンブロキソールの含有量は、通常、0.03mg/mL乃至45mg/mLであり、好適には、0.2mg/mL乃至30mg/mLであり、塩酸ブロムヘキシンの含有量は、通常、0.001mg/mL乃至12mg/mLであり、好適には、0.05mg/mL乃至8mg/mLであり、L−カルボシステインの含有量は、通常、1.2mg/mL乃至1500mg/mLであり、好適には、6mg/mL乃至100mg/mLであり、塩酸L−エチルシステイン、塩酸L−メチルシステイン又はアセチルシステインの含有量は、通常、0.3mg/mL乃至300mg/mLであり、好適には、1mg乃至200mgである。 本発明においては、上記有効成分の他、必要に応じて解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、鎮咳薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、交感神経興奮薬、副交感神経遮断薬、消炎酵素類、ビタミン類、生薬類等を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。 これらの具体的な剤形としては、例えば、錠剤、細粒剤(散剤を含む)、カプセル、液剤(シロップ剤を含む)等をあげることができ、各剤形に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。 上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される各種添加剤を使用することもできる。例えば、賦形剤、安定化剤、コーテイング剤、滑沢剤、吸着剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、着色剤、pH調節剤及び香料等を添加することができる。 以下に、実施例及び試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。(実施例1)錠剤 (1)成分 (表1)1乃至2錠中(mg) (1a) (1b) (1c) (1d)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−フドステイン 400 400 400 400塩酸アンブロキソール 15 − − −塩酸ブロムヘキシン − 4 − −L−カルボシステイン − − 500 −塩酸L−メチルシステイン、 − − − 100アセチルシステイン、又は、塩酸L−エチルシステイン乳糖 120 130 80 100ステアリン酸マグネシウム 8 8 10 9ヒドロキシプロピルセルロース 25 25 30 27トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (2)製法 上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製造する。(実施例2)顆粒剤 (1)成分 (表2)1包中(mg) (2a) (2b) (2c) (2d)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−フドステイン 400 400 400 400塩酸アンブロキソール 15 − − −塩酸ブロムヘキシン − 4 − −L−カルボシステイン − − 500 −塩酸L−メチルシステイン、 − − − 100アセチルシステイン、又は、塩酸L−エチルシステイン乳糖 900 500 80 400ポリビニルピロリドン 25 25 35 30トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (2)製法 上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製造する。(実施例3)カプセル剤 (1)成分 (表3)1乃至2カプセル中(mg) (3a) (3b) (3c) (3d)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−フドステイン 400 400 400 400塩酸アンブロキソール 15 − − −塩酸ブロムヘキシン − 4 − −L−カルボシステイン − − 500 −塩酸L−メチルシステイン、 − − − 100アセチルシステイン、又は、塩酸L−エチルシステイン乳糖 500 500 60 300ポリビニルピロリドン 25 25 35 30トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (2)製法 上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製造した後、カプセルに充てんして硬カプセル剤を製造する。(実施例4)シロップ剤 (1)成分 (表4)30mL中(mg) (4a) (4b) (4c) (4d)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−フドステイン 400 400 400 400塩酸アンブロキソール 15 − − −塩酸ブロムヘキシン − 4 − −L−カルボシステイン − − 500 −塩酸L−メチルシステイン、 − − − 100アセチルシステイン、又は、塩酸L−エチルシステイン安息香酸ナトリウム 70 70 80 80グリセリン 100 100 150 20ポリビニルアルコール 80 80 100 10白糖 1200 1200 1200 1200精製水 残部 残部 残部 残部−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(2)製法 上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「シロップ剤」の項に準じてシロップ剤を製造した後、褐色ガラス瓶に充てんしてシロップ剤を製造する。(試験例)杯細胞形成抑制効果試験 (1)被験物質 塩酸ブロムヘキシンは(株)三洋化学研究所製のものを、塩酸アンブロキソールは(株)ワイ・アイ・シー製のものを使用した。また、フドステインは三菱ウエルファーマ(株)のクリアナール錠(商品名)を乳鉢内で粉砕して使用した。 各被験物質は投与液量が5mL/Kgになるように、試験当日に0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)液を加えて調製した。 (2)動物 F344/DuCrj雄性ラットの10週齢を日本チャールズリバー(株)から購入し、温度20〜26℃、湿度30〜70%、照明時間7時〜19時に制御されたラット飼育室内でラット用ブラケットテーパーケージに5匹ずつ入れ、飼料(マウス・ラット飼育用F−2、船橋農場製)および水フィルターを通した水道水を自由に摂取させて約1週間予備飼育した。試験開始日に肉眼で動物の健康状態を観察し良好なことを確認して体重を測定し無作為に1群5匹に群分けして用いた。 (3)気道粘膜障害モデルの作製方法 ラットにペントバルビタール50mg/Kgを腹腔内投与して麻酔させ、仰臥位に固定し、頚部喉頭側皮膚を正中に切開して、筋肉を鈍性に分離し気管を露出させた。口腔からラット用の液体気管内投与器具を用いて、気管露出部から確認しながら気管内に挿入し、1%リポポリサッカライド(LPS)溶液を100μL投与した。直ちに、気管周囲筋肉を縫合して切開部皮膚をアロンアルファで接着させて気道粘膜障害動物を作成した。 (4)試験 試験開始日の午前中に被験物質(対象群にはCMC液)を経口投与した後に、上述の方法でLPS溶液を気管内投与し、その日の夕刻に再度被験物質(対象群にはCMC液)を経口投与した。2日目と3日目は1日2回(午前と夕刻)被験薬(対象群にはCMC液)を経口投与した。 4日目に体重を測定した後、ペントバルビタール麻酔下で頚動脈を切断して放血安楽死させてから、喉頭蓋部より肺までの気管を採取し、生理食塩水で洗浄後、10%中性緩衝ホルマリン液に親せき浸漬し充分に固定した。 充分に固定後、気管を左右主気管支分岐部より上部約10mmで横断し、さらに上方に6mm以上の長さで横断し、管状の気管を切り出し観察材料とした。 常法により、管状の気管を縦断して短冊状の薄切気管標本を作製し、これをアルシアン青・PAS染色で染色後、6mm長の範囲内の杯細胞数を顕微鏡下で計測した。なお、1例について2本の短冊状気管組織標本の杯細胞合計数を計測数とした。 杯細胞形成抑制率(%)を次式より求めた。 (式1) 杯細胞形成抑制率(%)=[1−B/A]×100 A:CMC投与群の杯細胞数の平均値 B:被験物質投与群の杯細胞数の平均値 (4)試験結果 得られた杯細胞形成抑制率の結果を表5に示す。なお、各値とも1群7匹の平均値である。(表5)被験物質(投与量:mg/Kg) 杯細胞形成抑制率(%)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−フドステイン(100) 9.4塩酸アンブロキソール(5) 13.2塩酸ブロムヘキシン(1) 9.0フドステイン(100)+塩酸アンブロキソール(5) 21.4フドステイン(100)+塩酸ブロムヘキシン(1) 38.0−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 表5より、フドステインに、塩酸アンブロキソール又は塩酸ブロムヘキシンすると、さらに優れた杯細胞形成抑制効果が得られることがわかった。 本発明の、フドステインと他の去痰薬を含有する医薬組成物は、杯細胞の過形成を顕著に抑制するとともに、優れた鎮咳及び/又は去痰作用を有することから有用である。 本発明のフドステインと他の去痰薬を含有する医薬組成物は、一般に考えられる感冒等の症状の治療又は予防に有用であるが、好適には、急性又は慢性気管支炎等の症状の治療又は予防に有用であり、更に好適には、急性呼吸器感染症患者における急性気管支炎等の症状又はCOPD、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核、塵肺症、肺気腫、びまん性汎気管支炎等の慢性気道疾患を有する患者における急性気管支炎等の症状の治療又は予防にも有用である。 フドステインと塩酸ブロムヘキシンを含有する、杯細胞過形成を抑制するための医薬組成物。 請求項1に記載の医薬組成物を含有する、気管支炎、COPD、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核、塵肺症、肺気腫、又はびまん性汎気管支炎の予防又は治療剤。 【課題】気管支炎、COPD、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核、塵肺症、肺気腫、又はびまん性汎気管支炎の予防又は治療に有効な、杯細胞過形成を抑制するための医薬組成物の提供。【解決手段】(−)−(R)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシプロピルチオ)プロピオン酸であるフドステインと去痰剤である塩酸ブロムヘキシンとを含有する、杯細胞過形成を抑制するための医薬組成物。単剤では杯細胞過形成抑制作用を持たない去痰剤と、フドステインとを併用することにより、フドステインの杯細胞過形成抑制作用が相乗的に高まる効果を有する。【選択図】なし