タイトル: | 公開特許公報(A)_グアニジン構造を有する化合物及びそのオルガノポリシロキサン重縮合触媒としての使用 |
出願番号: | 2012223328 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08G 77/08,C07C 279/04,C08K 5/3467,C08L 83/06,C07C 279/16 |
ジョルジュ・バランドン デルフィーヌ・ブラン クリスチャン・マリベルニー エルヴェ・パリゾ JP 2013064132 公開特許公報(A) 20130411 2012223328 20121005 グアニジン構造を有する化合物及びそのオルガノポリシロキサン重縮合触媒としての使用 ブルースター・シリコーンズ・フランス 507421304 アクシス国際特許業務法人 110000523 ジョルジュ・バランドン デルフィーヌ・ブラン クリスチャン・マリベルニー エルヴェ・パリゾ FR 0801707 20080328 C08G 77/08 20060101AFI20130315BHJP C07C 279/04 20060101ALI20130315BHJP C08K 5/3467 20060101ALI20130315BHJP C08L 83/06 20060101ALI20130315BHJP C07C 279/16 20060101ALI20130315BHJP JPC08G77/08C07C279/04C08K5/3467C08L83/06C07C279/16 3 2011510912 20090324 OL 31 4H006 4J002 4J246 4H006AA01 4H006AB40 4J002CP061 4J002ER026 4J002FD156 4J246AA03 4J246BA02X 4J246BB02X 4J246BB021 4J246CA34M 4J246CA34X 4J246FB212 4J246FB222 4J246GC02 4J246HA28 本発明は、重縮合によって架橋し、かつ毒性の問題を示すアルキル錫系触媒を含有しない、エラストマーに室温で硬化できるオルガノポリシロキサン組成物に関するものである。 また、本発明は、シリコーン化学物質における、グアニジン構造を有する新規な重縮合触媒、及びそのオルガノポリシロキサンの重縮合反応用の触媒としての使用に関するものでもある。 重縮合により架橋するエラストマー処方物は、概して、ヒドロキシル末端基を有し、随意にアルコキシ末端を有するようにシランで予め官能化されていてよいシリコーンオイル、一般にはポリジメチルシロキサンと、架橋剤と、重縮合触媒と、従来通り錫塩又はアルキルチタネートと、補強充填剤と、増量剤、接着促進剤、着色剤、殺生物剤など他の随意の添加剤とを含む。 これらの室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は周知であり、2つの異なる群に分類される:単一成分(RTV−1)組成物及び2成分(RTV−2)組成物。 用語「RTV」は、「室温硬化性:Room Temperature Vulcanizing」の頭文字である。 架橋中に、水(RTV−1組成物の場合には大気水分によって与えられ、又はRTV−2組成物の場合には該組成物の一部分に導入される)が重縮合反応を可能にし、これによってエラストマーネットワークが形成される。 一般に、単一成分(RTV−1)組成物は、空気からの湿気に曝されたときに架橋する。すなわち、これらは、密閉された媒体中では架橋できない。例えば、シーラント又は低温硬化性接着剤として使用される単一成分シリコーン組成物は、アセトキシシラン、ケチミノキシシラン、アルコキシシランなどのタイプの反応性官能基の加水分解、その後、形成したシラノール基と他の残余の反応性官能基との縮合反応の機構に従う。この加水分解は、通常、大気に露出した表面からこの材料に拡散する水蒸気により実施される。一般に、この重縮合反応の速度は極めて緩やかである。つまり、これらの反応は、好適な触媒によって触媒される。使用される触媒としては、錫、チタン、アミンを主成分とする触媒又はこれらの触媒の組成物が最も頻繁に使用される。錫を主成分とする触媒(特に仏国特許第2557582号参照)及びチタンを主成分とする触媒(特に仏国特許第2786497号参照)は、非常に効果的な触媒である。−Si(OR)末端を有する単一成分シリコーンエラストマーをアルコキシエラストマーという場合がある。 2成分組成物について、これらは、基本重合体材料を含有する第1成分及び触媒を含有する第2成分の2成分の状態で販売され、かつ、保存されている。これら2成分は使用時に混合され、そしてその混合物は、比較的硬質のエラストマーの状態に架橋する。これら2成分組成物は周知であり、かつ、特に、Walter Noll「Chemistry and Technology of Silicones」1968,第2版,第395〜398頁に記載されている。これらの組成物は、4種の異なる成分を本質的に含む:・α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサン反応性重合体、・架橋剤、一般にはシリケート又はポリシリケート、・錫触媒、及び・水。 通常、縮合触媒は、有機錫化合物を主成分とする。実際に、多くの錫系触媒がこれらRTV−1又はRTV−2組成物用の架橋用触媒として既に提案されている。従来の重縮合触媒は、ジアルキル錫化合物、特に、ジアルキル錫ジカルボキシレート、例えばジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫ジアセテート、チタン酸アルキル化合物、例えばチタン酸テトラブチル錫又はチタン酸テトライソプロピル、並びにチタンキレートを含む(EP−A−0885933、US−5519104、US−A−4,515,932、US−A−4,563,498、US−A−4,528,353)。 しかしながら、アルキル錫系触媒は、非常に効果的で、通常は無色であり、液体でしかもシリコーンオイルに可溶ではあるものの、毒性があるという欠点を有する(生殖に対するCMR2毒性)。 しかして、国際公開第WO2004/020525号には、シーラント又は接着剤として使用され、空気中の湿気にさらされると低温架橋し、しかも通常の成分の他に以下のものを含む単一成分(RTV−1)シリコーン組成物が記載されている:・従来の架橋剤よりも反応性が強いことが知られている、1−メチルビニルオキシ官能基を有するシランである特定かつ本質的な架橋剤(D)、及び・以下の式(I)又は(II)を有する、イミン官能基を含む有機誘導体である触媒:ここで、Rは、次の群:メチル、イソプロピル、フェニル及びo−トリルから選択される特定の基である。これらのイミン型有機誘導体の例は、好ましい誘導体である1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジメチルグアニジン及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジンである。これらの誘導体は、非置換イミン官能基、すなわちC=NH型の官能基を有するという特殊性を有する。 トリアルコキシシラン型の従来型架橋剤である成分(E)は、依然として、1−メチルビニルオキシ型官能基の存在のため反応性が強いことが知られているシラン架橋剤(D)と併用されていることに留意すべきである。 しかしながら、国際公開第WO2004/020525号に記載されたイミン官能基を有する有機触媒の使用に関わる問題は、該触媒を、非常に反応性がありかつ高価な特定の架橋剤(1−メチルビニルオキシ官能基を有するシラン)の存在下で使用しなければならないというものである。すなわち、RTV−1又はRTV−2処方物に非常に幅広く使用されている、単純な構造を有する従来型架橋剤、例えばアルキルトリアルコキシシラン、ケイ酸アルキル又はポリ(ケイ酸アルキル)は、1−メチルビニルオキシ官能基を有するシランなどの反応性の非常に高い架橋剤が必ず存在しなければこれらと併用できない。これは、この反応性の非常に高いシランが存在しなければ、該組成物のエラストマーへの架橋が不十分なものとなり、良好な機械的性質を得ることができないからである。例えば、本願の好ましい実施形態で提供する1,1,3,3−テトラメチルグアニジン誘導体は、単一成分RTV(RTV−1)において、従来の架橋剤、例えばポリ(ケイ酸アルキル)と共に使用する場合、メチルビニルオキシ官能基を有する反応性シランが存在しなければ、該系の架橋が不十分なものとなり、シリコーンエラストマーを生成することができない。 例えば単一成分(RTV−1)シリコーン組成物における架橋剤の反応性に関わるこれらの問題は、当業者にはよく知られていることである。実際に、最も広く使用されているアルコキシシラン架橋剤は、それらの固有の反応性としてメトキシ基を有するものである。しかしながら、このタイプのアルコキシシランの使用に関わる問題の一つは、メタノールが発生し、そしてこれが安全衛生の点で問題の原因となるというものである。 そのため、持続可能な開発のためには、単一成分エラストマー組成物と2成分エラストマー組成物の両方の架橋に使用できるオルガノポリシロキサン重縮合反応用の、他の非毒性の触媒を開発することが必要であると思われる。さらに、これらの触媒は、使用される架橋剤の種類にかかわらず利用できると考えられる。 オルガノポリシロキサン重縮合反応触媒についての別の重要な側面は、作業時間(ポットライフ)、すなわち、該組成物を混合後に硬化することなく使用できる時間である。この時間は、その使用を可能にする程に十分に長くなければならないが、ただし、遅くとも製造後数分又は数時間の取り扱いが可能な成形物を得る程度に十分に短くなければならない。つまり、触媒は、触媒された混合物を使用できる時間と、その後成形物を取り扱うことができる時間との間でまずまずの妥協を可能にしなければならない(これらの時間は、目的の用途、例えば、成形又はシール製造に依存する)。さらに、触媒は、触媒される混合物に、保管時間に応じて変化しない塗布時間を付与しなければならない。 また、同時に次の特性を有する2成分(RTV−2)オルガノポリシロキサン組成物を提供することが必要であると思われる:(1)周囲温度で迅速に硬化する(表面及び内部)と同時に、使用を可能にする程度に十分に長い(およそ数分の)ポットライフを維持すること、(2)架橋後の良好な機械的性質、(3)良好な押出性、及び(4)該組成物の架橋により得られたエラストマーの良好な「解重合」抵抗性。これは、これらのエラストマーをその架橋後直ちに又は架橋後しばらくして熱にかけた場合に、専門家が「解重合」と呼ぶ現象が頻繁に生じるからである。この加熱中に、エラストマーは液化する(特に中心部が液化する)。この「解重合」は、80℃よりも高い温度ではすでに生じている可能性がある。しかしながら、ほとんどの場合、これは100℃よりも高い温度で生じ、また、エラストマーを完全に又はほぼ完全に空気の無い状態で加熱した場合、すなわち、加熱中にエラストマーが完全密閉系にある場合に特に顕著になる。この解重合により、まず、第一段階でショアA硬度が失われ、次いで、熱処理を維持すると、第二段階で、第一段階の間に生じた断片の残留架橋のためショアA硬度の増大が再度観察される。したがって、この「解重合」は、特に硬化したエラストマーを架橋後に加熱する場合や架橋後に短時間熱応力を加える場合の用途にとっては特に、その目的の用途のせいで非常に厄介な欠点となる。仏国特許第2557582号明細書仏国特許第2786497号明細書欧州特許第0885933号明細書米国特許第5519104号明細書米国特許第4515932号明細書米国特許第4563498号明細書米国特許第4528353号明細書国際公開第2004/020525号パンフレットWalter Noll「Chemistry and Technology of Silicones」1968,第2版,第395〜398頁 本発明の必須の目的の一つは、非毒性ではあるが、単一成分エラストマー組成物及び2成分エラストマー組成物という2タイプの組成物の保存、使用及び架橋の制約を同時に満足すると同時に、使用する架橋剤の種類にかかわらず使用できる触媒を提供することである。 そして、本発明の別の必須の目的は、空気中の湿気により、表面架橋だけでなく中心部の架橋も可能な限り完全に可能にする新規な非毒性触媒を提案することである。 本発明の別の必須の目的は、本発明に従う触媒を含み、上記の基準を満足し、しかも特に良好な解重合抵抗性を有するエラストマーを製造することを可能にする単一成分(RTV−1)及び2成分(RTV−2)オルガノポリシロキサン組成物を提供することである。 これらの目的は、とりわけ、まず第一に、任意の金属触媒を含有しないオルガノポリシロキサン組成物であって、第1に、重縮合反応により架橋してシリコーンエラストマーを形成することができる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンオイルを含むシリコーンベースBと、第2に、次の一般式(I)に相当する非シリル化有機化合物である、触媒として有効な量の少なくとも1種の重縮合触媒Aとを含むことを特徴とする組成物に関する本発明により達成される:(式中、 R1基は同一のものでも異なるものでもよく、互いに独立に、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基(ここで、その環は、置換されており又は非置換であり、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができるものとする)又はフルオルアルキル基を表し、・R2基は、水素原子、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、芳香族基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R3基は、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R2基が水素原子ではない場合には、該R2基と該R3基とは結合して、1個以上の置換基で置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができ、・ただし、追加の条件として、該R1、R2及びR3基は、珪素原子を含まないものとする。)。 この目的を達成するために、出願人は、その功績として、全く驚くべきことにかつ予期せぬことに、一般式(I)に相当する非シリル化化合物がオルガノポリシロキサン重縮合反応を触媒することができること、及び使用する架橋剤の種類にかかわらず、単一成分エラストマー組成物及び2成分エラストマー組成物の両方の架橋に使用できることを実証した。 また、例えば、今までRTV型の処方物を架橋させるためには1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジメチルグアニジン又は1,1,3,3−テトラメチルグアニジンなどの構造的に近い触媒と、非常に反応性が高くかつ高価な特定の架橋剤(1−メチルビニルオキシ官能基を含むシラン)とを併用しなければならないことを特許請求した国際公開第WO2004/020525号に教示されるような技術的な不利益を克服したことも本発明者の功績である。図1は、220℃での熱処理後の特性を示す図である。 一般式(I)に相当する本発明に従う非シリル化化合物は1,2,3−3置換及び1,2,3,3−4置換グアニジンであり、かつ、液体、無色、無臭及びシリコーンマトリックスに可溶であるという利点を有する。本発明に従う非シリル化グアニジンは、非常に低い含有量で架橋されるべきシリコーン系に使用され、かつ、その含有量に従って、ポットライフをその用途に調節させることが可能であると同時に、得られたエラストマーが優れた硬度のみならず、優れた熱安定性も有することを保証し、それによって解重合の現象に関連する問題を除去することを可能にする。 好ましい実施形態の一つによれば、重縮合触媒Aは、一般式(I)に相当する非シリル化有機化合物であり、式中、・同一のものでも異なるものでもよいR1、及びR3基は、互いに独立に、イソプロピル基、シクロヘキシル基及び直鎖又は分岐、1価C1〜C12アルキル基よりなる群から選択され、・R2基は、水素原子、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R2基が水素原子ではない場合には、該R2基とR3基とは結合して、1個以上の置換基で置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができる。 特に好ましい重縮合触媒Aは、次の化合物(A1)〜(A6)よりなる群から選択される非シリル化有機化合物である: 本発明に従う重縮合触媒Aの量は、単一成分の製造か2成分の製造かにかかわらず全質量の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1%〜5%である。 別の好ましい実施形態によれば、上記本発明に従う組成物は、触媒として有効な量の上記少なくとも1種の重縮合触媒Aと、次の物質:・重縮合により架橋してエラストマーを与えることのできる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンオイルC;・随意に、少なくとも1種の架橋剤D;・随意に、少なくとも1種の接着促進剤E;及び・随意に、少なくとも1種のケイ質充填剤、有機充填剤及び/又は非ケイ質無機充填剤Fを有するシリコーンベースBも含むことを特徴とする。 本発明の実施にあたって、該シリコーンベースBは、・α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサン反応性重合体であってそれらの有機基が炭化水素系基、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル;2〜8個の炭素原子を有するアルケニル及び5〜8個の炭素原子を有するシクロアルケニルよりなる群から選択されるものである、重縮合により架橋することのできる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンオイルCの100重量部に対して、・ポリアルコキシシラン、ポリアルコキシシランの部分加水分解により得られる生成物及びポリアルコキシシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤Dを0.1〜60重量部、・上記接着促進剤Eを0〜60重量部、・少なくとも1種のケイ質充填剤、有機充填剤及び/又は非ケイ質無機充填剤Fを0〜250重量部、好ましくは5〜200重量部、・水を0.001〜10重量部、・1分子当たり、同一のものでも異なるものでもよくかつ珪素原子に結合する1価の有機置換基がアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリーレン及びアリールアルキレン基から選択される直鎖状単独重合体又は共重合体からなる少なくとも1種の非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体Gを0〜100重量部、・着色基剤又は着色剤Hを0〜20重量部、・ポリオルガノシロキサン樹脂Iを0〜70重量部、及び・可塑剤、架橋遅延剤、鉱油、抗菌剤又は熱安定剤、例えば酸化チタン、酸化鉄又は酸化セリウムなどの、当業者に知られている助剤Jを0〜20重量部含むことができる。 少なくとも1種の本発明に従う上記重縮合触媒A0.1〜50重量部を前記シリコーンベースBに添加する。 また、本発明は、本発明に従う上記オルガノポリシロキサン組成物の前駆体である2成分系に関するものでもあり、該組成物は、重縮合反応によりシリコーンエラストマーを与えるように硬化することができるものであり、かつ、該組成物を形成させるように混合されることを目的とした2つの別個の部分P1及びP2の状態にあり、これらの部分の一方が、オルガノポリシロキサンの重縮合用反応の触媒としての本発明に従う上記重縮合触媒Aを含むのに対し、他方の部分が、上記の化学種を含まず、かつ、次の物質:・重縮合により架橋してエラストマーを与えることができるポリオルガノシロキサンオイルCの100重量部に対して、・水を0.001〜10重量部含むことを特徴とする。 本発明の別の主題は、湿気の非存在下では保存中に安定であり、かつ、水の存在下では架橋してエラストマーを与える単一成分ポリオルガノシロキサン組成物であって、・アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1種の架橋性直鎖ポリオルガノシロキサンオイルC、・少なくとも1種の架橋剤D、・少なくとも1種の充填剤F、及び・本発明に従う上記重縮合触媒Aである重縮合反応用の少なくとも1種の触媒を含むことを特徴とする組成物から構成される。 好ましい実施形態の一つによれば、上記単一成分ポリオルガノシロキサン組成物は、アルコキシ型の官能化末端を有する架橋性直鎖ポリオルガノシロキサンオイルCが、触媒として有効な量の水酸化リチウムの存在下で、珪素原子に結合したヒドロキシル基を各鎖の末端に有する直鎖ジオルガノポリシロキサンと、以下の式(II)の少なくとも1種のポリアルコキシシランとをその場で反応させることによって製造されることを特徴とする:(R4)c(R5)aSi(OR6)4-(a+c) (II)(式中、・aは、0、1又は2に等しく、・cは、0、1又は2に等しく、・a+cの合計は、0、1又は2に等しく、・R4は、脂肪族、脂環式又は芳香族、置換又は非置換及び飽和又は不飽和のC1〜C13炭化水素系1価基を表し、ここで、R4はR5と同一であることが可能であり、・R5は、エポキシ、第一級アミン、第二級アミン若しくは第三級アミン又はメルカプト官能基を有することができる脂肪族、脂環式又は芳香族、置換又は非置換及び飽和又は不飽和のC1〜C13炭化水素系1価基を表し、・R6は、特にアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、アルキルシアノ基及び7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選択される、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族有機基を表し、ここで、式(II)のシランのアルコキシ基は、それぞれ、R6とは異なる意味又は同一の意味を有することができるものとする。)。 好ましい実施形態の一つによれば、架橋剤D又は式(II)のポリアルコキシシランを次の物質よりなる群から選択することが有益である:・ビニルトリエトキシシラン、・メチルトリエトキシシラン、・プロピルトリエトキシシラン、・1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、・C2H5Si(OC2H5)3及び・Si(OC2H5)4。 これは、このタイプの架橋剤では、従来のトリメトキシシランのように、もはやメタノールを放出することがなく、そのため多くの安全衛生問題を解決するからである。 本発明の別の態様によれば、その主題は、本発明に従う上記2成分系、本発明に従う上記単一成分ポリオルガノシロキサン組成物又は本発明に従う上記組成物の架橋及び硬化によって得られたエラストマーでもある。 本発明の別の主題は、次式の新規化合物からなる: 本発明の別の主題は、一般式(I)に相当する非シリル化有機化合物である重縮合触媒Aの、オルガノポリシロキサン重縮合反応を触媒するための使用からなる:(式中、・R1基は同一のものでも異なるものでもよく、互いに独立に、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基(ここで、その環は、置換されており又は非置換であり、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができるものとする)又はフルオルアルキル基を表し、・R2基は、水素原子、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、芳香族基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R3基は、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R2基が水素原子ではない場合には、該R2基と該R3基とは結合して、1個以上の置換基で置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができ、・ただし、追加の条件として、該R1、R2及びR3基は、珪素原子を含まないものとする。)。 好ましい実施形態の一つによれば、オルガノポリシロキサン重縮合反応を触媒するための本発明に従う使用は、次の化合物(A1)〜(A6)よりなる群から選択される非シリル化有機化合物である重縮合触媒Aを使用して実施される: 本発明に従う触媒は、アルキル錫系触媒とは異なり、非毒性である。さらに、これらの触媒は、単一成分組成物と2成分組成物との両方において、これらのアルキル錫系触媒と同程度に高い、さらにはそれよりも良好なシリコーン重縮合速度を達成することが可能である。シリコーンベースBの説明: 重縮合反応によって架橋及び硬化する本発明で使用するシリコーンベースは周知である。「シリコーンベース」という表現には、重縮合−架橋性シリカ含有基を有する有機重合体を含む組成物は含まれない。 本発明に従うシリコーンベースは、特に多数の特許文献で詳細に説明されており、しかも市販されている。 これらのシリコーンベースは、単一成分のベース、すなわち、単一の包装容器で包装され、かつ、湿気の非存在下では保存中に安定であり、湿気、特にその使用中に周囲の空気によって与えられる湿気や該ベース内で生じた水によって与えられる湿気の存在下で硬化し得る主成分であることができる。 単一成分のベースとは別に、2成分のベース、すなわち、本発明に従う重縮合触媒を取り入れるとすぐに硬化する、2個の包装容器に包装されるベースを使用することができる。これらのものは、触媒を取り入れた後に、2つの別個の部分、すなわち、該部分の一つが、例えば本発明に従う触媒又は架橋剤との混合物しか含有していなくてよいものに包装される。 本発明に従う組成物を製造するために使用されるシリコーンベースBは、・重縮合により架橋してエラストマーを与えることのできる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンオイルC;・随意に、少なくとも1種の架橋剤D;・随意に、少なくとも1種の接着促進剤E;及び・随意に、少なくとも1種のケイ質充填剤、有機充填剤及び/又は非ケイ質無機充填剤Fを含む。 ポリオルガノシロキサンオイルCは、好ましくは25℃で50〜5000000mPa.sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン重合体であり、架橋剤Dは、好ましくは珪素原子に結合した加水分解性基を1分子あたり3個以上保持する有機珪素化合物である。また、ポリオルガノシロキサンオイルCは、ヒドロキシル官能基を有する先駆物質と加水分解性基を保持する架橋シランとの縮合によって得られる加水分解性基によってその末端部分が官能化されていてもよい。 架橋剤(D)としては、・次の一般式のシラン: R1k Si(OR2)(4-k)(式中、記号R2は、同一のもの又は異なるものであり、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又は2−エチルヘキシル基、C3〜C6オキシアルキレン基を表し、記号R1は、直鎖状若しくは分岐状飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素系基或いは飽和若しくは不飽和及び/又は芳香族の単環式若しくは多環式の炭素環式基を表し、kは、0、1又は2に等しい。)、及び・このシランの部分加水分解生成物が挙げられる。 C3〜C6アルコキシアルキレン基の例としては、次の基が挙げられる:CH3OCH2CH2−CH3OCH2CH(CH3)−CH3OCH(CH3)CH2−C2H5OCH2CH2CH2−。 記号R1は、次のものを包含するC1〜C10炭化水素系基である:・C1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル又はデシル基;・ビニル及びアリル基;及び・C5〜C8シクロアルキル基、例えばフェニル、トリル及びキシリル基。 架橋剤Dはシリコーン市場で入手できる製品である;さらに、それらを室温硬化性の組成物に使用することが知られている;これは、特に仏国特許FR−A−1126411号、FR−A−1179969号、FR−A−1189216号、FR−A−1198749号、FR−A−1248826号、FR−A−1314649号、FR−A−1423477号、FR−A−1432799号及びFR−A−2067636号に見出される。 架橋剤Dのなかでは、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルシリケート及びアルキルポリシリケートであって、その有機基が1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であるものが好ましい。 使用できる架橋剤Dの他の例としては、特に次のシランが挙げられる:・プロピルトリメトキシシラン、・メチルトリメトキシシラン、・エチルトリメトキシシラン、・ビニルトリエトキシシラン、・メチルトリエトキシシラン、・プロピルトリエトキシシラン、・テトラエトキシシラン、・テトラプロポキシシラン、・1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、・1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、及び・テトライソプロポキシシラン、或いはCH3Si(OCH3)3;C2H5Si(OC2H5)3;C2H5Si(OCH3)3CH2=CHSi(OCH3)3;CH2=CHSi(OCH2CH2OCH3)3;C6H5Si(OCH3)3;[CH3][OCH(CH3)CH2OCH3]Si[OCH3]2;Si(OCH3)4;Si(OC2H5)4;Si(OCH2CH2CH3)4;Si(OCH2CH2CH2CH3)4;Si(OC2H4OCH3)4;CH3Si(OC2H4OCH3)3;ClCH2Si(OC2H5)3。 架橋剤Dの他の例としては、エチルポリシリケート又はn−プロピルポリシリケートが挙げられる。 一般に、重縮合により架橋してエラストマーを与えることのできるポリオルガノシロキサンCの100重量部当たり0.1〜60重量部の架橋剤Dが使用される。 したがって、本発明に従う組成物は、少なくとも1種の接着促進剤E、例えば、(1)珪素原子に結合した1個以上の加水分解性基と、(2)窒素原子を含む基で置換された1個以上の有機基又は(メタ)アクリレート、エポキシ及びアルケニル基よりなる群から選択される1個以上の有機基との両方を有する有機珪素化合物、さらに好ましくは次の化合物から単独で又は混合物として構成される群:ビニルトリメトキシシラン(VTMO);3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、[H2N(CH2)3]Si(OCH2CH2CH3)3;[H2N(CH2)3]Si(OCH3)3;[H2N(CH2)3]Si(OC2H5)3;[H2N(CH2)4]Si(OCH3)3;[H2NCH2CH(CH3)CH2CH2]SiCH3(OCH3)2;[H2NCH2]Si(OCH3)3;[n−C4H9−HN−CH2]Si(OCH3)3;[H2N(CH2)2NH(CH2)3]Si(OCH3)3;[H2N(CH2)2NH(CH2)3]Si(OCH2CH2OCH3)3;[CH3NH(CH2)2NH(CH2)3]Si(OCH3)3[H(NHCH2CH2)2NH(CH2)3]Si(OCH3)3又はこのような有機基を20%を超える含有量で含むポリオルガノシロキサンオリゴマーを含むことができる。 単一成分のベース及び2成分のベースについて、無機充填剤Fとしては、非常に細かく微粉化された製品であって、その平均粒径が0.1μm未満のものが使用される。これらの充填剤としては、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが挙げられる;それらのBET比表面積は、通常、40m2/gを超える。また、これらの充填剤は、0.1μmを超える平均粒径を有する、粗く微粉化された製品の形態にあることもできる。このような充填剤の例としては、磨砕クオーツ、珪藻シリカ、炭酸カルシウム、焼成クレー、ルチル型酸化チタン、鉄、亜鉛、クロム、ジルコニウム又は酸化マグネシウム、様々な形態のアルミナ(水和又は非水和)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、硫酸バリウム及びガラスミクロビーズが挙げられる;これらの比表面積は、概して30m2/g未満である。 これらの充填剤は、この目的のために通常使用される様々な有機珪素化合物による処理で表面改質されていることができる。例えば、これらの有機珪素化合物は、オルガノクロルシラン、ジオルガノシクロポリシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン又はジオルガノシクロポリシラザン(仏国特許FR−A−1126884号、FR−A−1136885号及びFR−A−1236505号、並びに英国特許第GB−A−1024234号)であることができる。処理された充填剤は、殆どの場合、有機珪素化合物の重量の3〜30%を含有する。充填剤は、様々な粒度の数種の充填剤の混合物から構成できる;つまり、例えば、40m2/gを超えるBET比表面積を有する微粉化されたシリカ30〜70%と、30m2/g未満の比表面積を有する、それよりも粗く微粉化されたシリカ70〜30%とから構成できる。 充填剤を導入する目的は、本発明に従う組成物を硬化させることによって生じるエラストマーに良好な機械的性質及び流動学的性質を与えることである。 これらの充填剤と共に、無機顔料及び/又は有機顔料を使用することができ、また、 エラストマーの耐熱性を改善させる試剤(酸化セリウム(IV)及び水酸化セリウム(IV)といった希土類元素の塩及び酸化物)及び/又はエラストマーの耐火性を改善させる試剤も使用することができる。例えば、国際公開WO98/29488号パンフレットに記載された酸化物のカクテルを使用することが可能である。耐火性を改善させるための試剤としては、ハロゲン化有機誘導体、有機燐誘導体、白金誘導体、例えば塩化白金酸(アルカノール又はエーテルとの反応生成物)、又は二塩化白金・オレフィン錯体が挙げられる。これらの顔料及び試剤は、共に、充填剤の重量の多くとも20%を占める。 従来の他の助剤及び添加剤を本発明に従う組成物に取り入れることができる。これらは、該組成物を使用する用途に応じて選択される。 本発明に従う組成物を製造するために使用されるシリコーンベースは、・重縮合によって架橋してエラストマーを与えることができるポリオルガノシロキサンオイルCを100部;・架橋剤Dを0〜20部;・接着促進剤Eを0〜20部;及び・充填剤Fを0〜50部含むことができる。 これらの主成分の他に、非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体Gを、本発明に従う組成物の物性及び/又はこれらの組成物の硬化により生じるエラストマーの機械的性質に影響を与えることを目的として導入できる。 これらの非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体Gは周知である。これらは、特に、ジオルガノシロキシ単位及び多くとも1%のモノオルガノシロキシ及び/又はシロキシ単位から本質的に形成される、25℃で少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサン重合体を含み、ここで、その珪素原子に結合する有機基はメチル、ビニル及びフェニル基から選択され、これらの有機基の少なくとも60%がメチル基であり、多くとも10%がビニル基である。これらの重合体の粘度は、25℃で数千万のmPa.sに達し得る。つまり、これらは、液体〜粘稠な見掛け及び軟質〜硬質のガム質を有するオイルを含む。これらのものは、仏国特許FR−A−978058号、FR−A−1025150号、FR−A−1108764号及びFR−A−1370884号に具体的に記載された通常の技術に従って製造される。好ましくは、25℃で10mPa.s〜1000mPa.sの範囲の粘度を有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ジメチルポリシロキサンオイルが使用される。可塑剤として作用するこれらの重合体は、重縮合によって架橋できるポリオルガノシロキサンオイルCの100部当たり多くとも70部、好ましくは5〜20部の割合で導入できる。 有利には、本発明に従う組成物は、少なくとも1種のシリコーン樹脂Hをさらに含むこともできる。これらのシリコーン樹脂は、周知でかつ市販の分岐状オルガノポリシロキサン重合体である。これらは、1分子当たり、式:R'''3SiO1/2(M単位)、R'''2SiO2/2(D単位)、R'''SiO3/2(T単位)及びSiO4/2(Q単位)の単位から選択される少なくとも2つの異なる単位を有する。R'''基は、同一もの又は異なるものであり、かつ、直鎖又は分岐アルキル基又はビニル、フェニル若しくは3,3,3−トリフルオルプロピル基から選択される。好ましくは、該アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。特に、アルキルR基としては、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル基が挙げられる。これらの樹脂は、好ましくはヒドロキシル化されており、かつ、この場合には、5〜500meq/100gのヒドロキシル基重量含有量を有する。 樹脂の例としては、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂が挙げられる。 本発明に従う組成物を製造するためには、単一成分組成物の場合には、様々な基本的成分を、湿気のない環境内で、熱を供給しつつ又は熱を供給することなく、随意にこの成分に上記助剤及び添加剤を添加してよく混合させることを可能にする装置を使用することが必要である。これらの成分の全ては、任意の導入順序で装置に装填できる。例えば、まずオルガノポリシロキサンオイルCと充填剤Fとを混合し、次いで、得られたペーストに架橋剤Dと、化合物Eと、本発明に従う触媒とを添加することが可能である。また、オイルCと、架橋剤Dと、化合物Eと、充填剤Fとを混合させ、その後本発明に従う触媒を添加することも可能である。これらの操作の間に、揮発性材料の除去を促進させるためにその混合物を50〜180℃の範囲の温度で大気圧下又は減圧下において加熱することができる。 そのままで使用される(すなわち希釈されていない)又は希釈剤への分散液の状態の本発明に従う単一成分組成物は、水の非存在下では保存中に安定であり、かつ、水の存在下では低温で架橋(分散液の場合には溶媒の除去後)してエラストマーを形成する。 そのままの組成物を固体基材上に湿気のある環境中で付着させた後に、エラストマーを得るための硬化プロセスが生じ、硬化が付着した本体の外部から内部まで生じることが観察される。まずその表面に外皮が形成し、次いで架橋が深いところで生じる。表面の非粘着性の感触をもたらす外皮を完全に形成させるには、数分の時間が必要である。この期間は、組成物を取り巻く雰囲気の相対湿度の程度と該組成物の架橋性とによる。 さらに、形成されたエラストマーの離型及び取り扱いを可能にするのに十分なものでなければならない、付着層の内部硬化には、それよりも長い時間が必要となる。特に、この期間は、非粘着性の感触の形成について上記した要因のみならず、付着層の厚さ(この厚さは、一般に0.5mm〜数センチメートルの範囲にある)による。単一成分組成物は、建設業界における目地仕上げ、多様な材料(金属、プラスチック、天然ゴム及び合成ゴム、木材、板、陶器、レンガ、セラミック、ガラス、石材、コンクリート、組積ユニット)の組み立て、導体の絶縁、電子回路のポッティング、又は合成樹脂若しくは発泡体から作られた物品を製造するために使用される型の製造などの多数の用途に使用できる。 また、本発明に従う2成分組成物の製造は、様々な成分を適切な装置で混合させることによっても実施される。均質な組成物を得るためには、まず重合体Aと充填剤Cとを全て混合させることが好ましい。この混合物全体を少なくとも30分間にわたって80℃よりも高い温度で加熱して、オイルによる充填剤の湿潤を完全にすることができる。得られた混合物(好ましくは80℃よりも低い温度、例えば室温近辺にされたもの)に、他の成分、すなわち、架橋剤、触媒、随意に各種添加剤及びさらには水を添加することができる。 本発明に従う組成物は、建設産業若しくは運送業(例えば、自動車産業、航空宇宙産業、鉄道産業、海運産業及び航空産業)における目地仕上げ及び/又は結合、多様な材料(金属、プラスチック、天然ゴム及び合成ゴム、木材、板、ポリカーボネート、陶器、レンガ、セラミック、ガラス、石材、コンクリート及び組積ユニット)の組み立て、導体の絶縁、電子回路のポッティング及び合成樹脂若しくは発泡体から作られた物品を製造するために使用される型の製造などの多数の用途に使用できる。 しかして、本発明の別の主題は、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに硬化できる、上で定義した本発明に従うオルガノポリシロキサン組成物の先駆体である2成分系であって、該組成物を形成させるために混合されることを目的とした2つの別個の部分P1及びP2の状態にあり、しかも、これらの部分の一方がオルガノポリシロキサンの重縮合反応用の触媒として上で定義した本発明に従う触媒と架橋剤Dとを含むと同時に、他方の部分が上記成分を含まず、かつ、・重縮合により架橋してエラストマーを与えることができるポリオルガノシロキサンオイルCの100重量部に対して、・水を0.001〜10重量部含むことを特徴とするものからなる。 また、本発明の別の主題は、湿気の非存在下では保存中に安定で、かつ、水の存在下では架橋してエラストマーを与える単一成分ポリオルガノシロキサン組成物であって、・アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1種の架橋性直鎖状ポリオルガノポリシロキサンと、・充填剤と、・上で定義した本発明に従う重縮合反応触媒とを含むことを特徴とするものからなる。 単一成分のベースは、例えば、参考文献として引用されるEP141685、EP147323、EP102268、EP21859、FR2121289及びFR2121631に詳しく記載されている。 これらの単一成分のベースに、例えば、一方ではアミノ、ウレイド、イソシアネート、エポキシ、アルケニル、イソシアヌレート、ヒダントイル、グアニジノ及びメルカプトエステル基よりなる群から選択される基によって置換された有機基と、他方では加水分解性基、一般には珪素原子に結合したアルコキシ基とを同時に保持する有機珪素化合物から選択される接着促進剤Eを添加することが可能である。このような接着剤の例は、米国特許第3517001号、同4115356号、同4180642号、同4273698号、同4356116号並びに欧州特許第31996号及び同74001号に記載されている。 2成分のベースは、例えば、参考として引用される欧州特許第118325号、同117772号、同10478号、同50358号、同184966号、米国特許第3801572号及び米国特許第3888815号に詳しく記載されている。 本発明の他の利点及び特徴は、単なる例示として与えかつ決して限定ではない次の実施例を読めば明らかになるであろう。実施例:(I)本発明に従う触媒の製造(a)1−ブチル−2,3−ジイソプロピルグアニジン(A1): 33gのN−ブチルアミン(0.45モル)と19gのジイソプロピルカルボジイミド(0.15モル)との混合物を3時間30分にわたり還流させる。次いで、GC分析により、ジイソプロピルカルボジイミドの99.5%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で20mbar下において2時間にわたり濃縮して、予想されるグアニジンに相当する、29gの無色で事実上無臭の低粘度液を得る(収率96.7%)。1H NMR/CDCl3(ppm):0.93(3H,t)、1.14(12H,d)、1.37(2H,sex)、1.52(2H,quint)、3.01(2H,t)、3.57(2H,m)。(b)1−ブチル−2,3−ジイソプロピル−1−メチルグアニジン(A3): 32.68gのN−ブチル−N−メチルアミン(0.375モル)と23.66gのジイソプロピルカルボジイミド(0.1875モル)との混合物を3時間にわたり還流させる。次いで、GC分析により、ジイソプロピルカルボジイミドの99.5%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で5mbar下において2時間にわたり濃縮して、予想グアニジンに相当する、40gの無色で実質的に無臭の低粘度液を得る(収率100%)。1H NMR/CDCl3(ppm):0.88(3H,t)、1.06(12H,d)、1.26(2H,sex)、1.46(2H,quint)、2.67(3H,s)、3.05(2H,t)、3.35(2H,m)。(c)1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシルグアニジン(A2)RN−CAS=60006−40−8 15.69gのN−ブチルアミン(0.214モル)と22.13gのジシクロヘキシルカルボジイミド(0.107モル)との混合物を2時間にわたり還流させる。次いで、GC分析から、ジシクロヘキシルカルボジイミドの99.6%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で1mbar下において2時間にわたり濃縮して、予想グアニジンに相当する、29.7gの無色で実質的に無臭の中粘度液を得る(収率99%)。(d)1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(A4): 17.78gのN−ブチル−N−メチルアミン(0.204モル)と21.05gのジシクロヘキシルカルボジイミド(0.102モル)との混合物を3時間にわたり還流させる。次いで、GC分析から、ジシクロヘキシルカルボジイミドの99.5%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で1mbar下において2時間にわたり濃縮して、予想グアニジンに相当する、29.9gの無色で実質的に無臭の中粘度液を得る(収率99.7%)。1H NMR/CDCl3(ppm):0.89(3H,t)、1−1.4(10H,m)、1.47(2H,quint)、1.5−2(12H,several m)、2.67(3H,s)、2.90(1H,m)、2.97(1H,m)、3.06(2H,t)。(e)1,2−ジシクロヘキシル−3−ピペリジルグアニジン(A5)RN−CAS60006−25−9: 11.69gのピペリジン(0.137モル)と14.16gのジシクロヘキシルカルボジイミド(0.0686モル)との混合物を3時間30分にわたり還流させる。次いで、GC分析から、ジシクロヘキシルカルボジイミドの99.7%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で1mbar下において2時間にわたり濃縮して、予想グアニジンに相当する、19.9gの無色で実質的に無臭の非常に粘稠な液体を得る(収率99.5%)。(f)1,2−ジシクロヘキシル−3−ピロリジルグアニジン(A6)RN−CAS60006−28−2: 19.2gのピロリジン(0.27モル)と18.6gのジシクロヘキシルカルボジイミド(0.09モル)との混合物を4時間にわたり還流させる。次いで、GC分析から、ジシクロヘキシルカルボジイミドの99.8%を超える転化率が示される。この無色の最終混合物を60℃で1mbar下において1時間にわたり濃縮して、予想グアニジンに相当する、24.9gの無色で実質的に無臭の中粘度液を得る(収率99.6%)。(II)単一成分組成物の製造(a)ペースト試験:ビニルトリメトキシシラン架橋剤 使用したペーストを次のように製造した:0.066%のOHを有する20000センチポイズの粘度のα,ω−ジヒドロキシル化オイル3464gと、ビニルトリメトキシシラン120gとの混合物に、撹拌しながら水酸化リチウムの2重量%メタノール溶液16gを添加し、次いで、5分後に、AE55ヒュームドシリカ400gを添加した。この混合物を真空下で液化させ、次いで、湿気のない環境中で保存した。 各試験について、試験した触媒をこのペーストの50gと混合し、ついで、その触媒能力を3つの方法で評価した:・外皮形成時間(SOT)、2mmのフィルム上で表面架橋が観察される時間の終了時間;・48時間での粘着的感触の存続;・調節された状態(23℃及び50%相対湿度)及び経時(2、3、4、7及び14日)での、また、室温(RT)で7日(7D)後、続いて100℃で7日後の6mmの厚さのビードの硬度(ショアーA硬度)。この結果の表において、記号「>」は、該ビードの上部で測定された硬度値に相当し、記号「<」は、該上部よりも周囲空気にさらされていない該ビードの下部で測定された硬度値に相当する。 本発明に従う様々な触媒を試験した。比較のため、上記のように、次のものも試験した:・錫系触媒:ジブチル錫ジラウレート(DBTDL);・国際公開第WO2004/020525号パンフレットに記載された1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)。結果を以下の表Iに与える: 1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)は、そのモル濃度が本発明に従うグアニジン(A1)〜(A4)よりもかなり高いにもかかわらず、シリコーンオイルの架橋ができない。1,2,3−3置換グアニジン(A1)及び(A2)では、非常に短い表皮形成時間とエラストマーが得られる。1,2,3,3−4置換グアニジン(A3)及び(A4)は、それらの含有量を非常に低い値に調節することによって、外皮形成時間の長さを調節することを可能にするだけでなく、熱的に非常に安定でかつ錫触媒(DBTDL)よりもわずかに高い架橋度のエラストマーを得ることも可能にする。これらの結果は、非毒性の本発明に従う触媒(A1)〜(A4)は、錫系触媒(DBTDL)及びテトラメチルグアニジン(TMG)よりも効果的な触媒となることを示している。したがって、有益なことに、既存の触媒の代わりに本発明に従う触媒を使用することができる。(b)ペースト試験:ビニルトリエトキシシラン架橋剤 使用したペーストを次のように製造した:0.066%のOHを有する20000センチポイズの粘度のα,ω−ジヒドロキシル化オイル857.5gと、ビニルトリメトキシシラン38.5gとの混合物に、水酸化リチウムの4重量%メタノール溶液4gを添加し、次いで、20分後に、AE55ヒュームドシリカ100gを添加した。この混合物を真空下で液化させ、次いで、湿気のない環境中で保存した。各試験について、試験した触媒をこのペーストの50gと混合し、ついで、その触媒能力を前記と同じ方法で評価した: 本発明に従う様々な触媒を試験した。 比較のため、上記のように、次のものも試験した:・錫系触媒:ジブチル錫ジラウレート(DBTDL); 結果を以下の表IIに与える: 錫触媒は良好な硬度を与えるものの、この反応性の少ない系ではもっぱら14日目で良好であるにすぎない。さらに、外皮形成時間は極めて長い。本発明に従う触媒では、外皮形成時間は短く、かつ、その含有量に応じて調節でき、しかも硬化速度は極めて速い:同等のレベルの硬度が得られる。したがって、実質的にエタノールのみを放出するエラストマーが本発明に従う触媒で可能になる。(III)2成分組成物の製造 本発明に従う触媒の活性と標準的な触媒(ジメチル錫ビスネオデカノエート:UL28、比較1)及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(比較2)の活性との比較を単純化された系で実施した:14000センチポイズの粘度を有し0.065%のOHを含有するα,ω−ジヒドロキシル化オイル25gと「新型」(=部分加水分解)珪酸エチル1.06gとを混合させ、次いで、同モル量の触媒(0.7mmol)と混合させた。ポットライフ又はゲル化時間、を測定し、次いで6mm厚のスラグの硬度を制御条件下(23℃及び50%相対湿度)で経時的に測定した。次の表において、記号「>」は、該スラグの上部で測定された硬度値に相当し、記号「<」は、該上部よりも周囲空気にさらされていない該スラグの下部で測定された硬度値に相当する。 4置換グアニジン(A4)は、ポットライフ及び硬化速度に関して特に効果的であり、これらは錫触媒の対照に完全に匹敵する。(IV)RTV−2:重縮合反応によって室温で架橋できるシリコーン組成物 表IVに詳細に記載した2成分組成物を製造する。以下に列挙する成分は、例1〜4並びに比較例1及び2のために使用した成分である:・a1:鎖末端のそれぞれが(CH3)2(OH)SiO0.5単位でブロックされ、25℃で14000mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル、・a2:鎖末端のそれぞれが(CH3)2(OH)SiO0.5単位でブロックされ、25℃で750mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル、・a3:鎖末端のそれぞれが(CH3)2(OH)SiO0.5単位でブロックされ、25℃で50mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル、・b1:200m2/gのBET比表面積を有し、HMDZで処理され、a1と鎖末端のそれぞれが(CH3)3SiO0.5単位でブロックされたポリジメチルシロキサンオイルとの混合物中に分散されたヒュームドシリカ、・b2:10μmの平均粒径を有する粉末石英、・c:水、・d1:本発明に従う触媒(A4)、・d2:本発明に従う触媒(A2)、・d3:本発明に従う触媒(A3)、・d4:比較1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)、・d5:比較Fomrez(商標)触媒UL−28:ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン=[C9H19COO]2Sn(Me)2、・e:ポリ(珪酸エチル)。(2)組成物の評価 表Vの結果は、特許請求した触媒系の有効性を実証するものである。さらに、実施例1は、毒性物質を含まずかつその用途に好適なポットライフ(すなわち、使用できるために十分に長いが、23℃で遅くとも24時間後に取り扱うことができる物品を得るのために十分に短いポットライフ)を使用する利点を実証するものである。・SAHと表されるショアA硬度:ASTM−D2240基準法の指示に従って、スラグの頂部及び底部で測定を実施した。 表VIにおける結果は、得られたエラストマーが、錫系触媒で得られた機械的性質と同様の良好な機械的性質を有することを示している。・引裂強度(N/mm、ASTM−D624A基準法の指示に従って測定を実施)。・TS=引張強度(MPa、ASTM−D412又はAFNOR−T−46002基準法の指示に従って測定を実施)。・EB=破断点伸び(%、ASTM−D412又はAFNOR−T−46002基準法の指示に従って測定を実施)。 上記表VII(図1も参照)も、特許請求した触媒系の存在下で架橋したエラストマーの良好な耐熱性を実証するものである:特に、これらのエラストマーのショアA硬度は、錫錯体で触媒されたエラストマー(220℃:ショアA硬度の損失、その後ショアA硬度の大きな増加)とは異なり、220℃での熱処理後も一定のままである。 これらの結果の全ては、本発明に従う触媒系により、工業生産速度と匹敵する非常に速い速度に付随して、特に耐熱性(220℃での長期熱処理後にショアA硬度は変化しない)に関して、対照と同等の又はそれよりも優れた特性を有するエラストマーが得られることを示している。 一般式(I)に相当する非シリル化有機化合物である重縮合触媒Aの、オルガノポリシロキサン重縮合反応を触媒するための使用:(式中、・R1基は同一のものでも異なるものでもよく、互いに独立に、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基(ここで、その環は、置換されており又は非置換であり、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができるものとする)又はフルオルアルキル基を表し、・R2基は、水素原子、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、芳香族基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R3基は、直鎖又は分岐1価アルキル基、シクロアルキル基、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる、置換された又は非置換の環で置換されたアルキル基、アリールアルキル基、フルオルアルキル基、アルキルアミン基又はアルキルグアニジン基を表し、・R2基が水素原子ではない場合には、該R2基と該R3基とは結合して、1個以上の置換基で置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができ、・ただし、追加の条件として、該R1、R2及びR3基は、珪素原子を含まないものとする。)。 次の化合物(A1)〜(A6):よりなる群から選択される非シリル化有機化合物である重縮合触媒Aの、オルガノポリシロキサン重縮合反応を触媒するための使用。 次式:の化合物。 【課題】非毒性であり、単一成分エラストマー組成物及び2成分エラストマー組成物の保存、使用及び架橋の制約を同時に満足し、しかも架橋剤の種類にかかわらず使用できる重縮合触媒の提供。【解決手段】化合物(I)をオルガノポリシロキサン重縮合反応触媒として使用する。(R1はヘテロ原子を含むことができる環で置換されてもよいアルキルを、R2並びにR3はH、ヘテロ原子を含むことができる環で置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、芳香族基、アルキルアミン又はアルキルグアニジンを表し、R2とR3とは結合して脂肪族3〜7員環を形成することができ、R1、R2、R3はSiを含まない)【選択図】なし