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タイトル:公開特許公報(A)_ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の製造方法
出願番号:2012219526
年次:2014
IPC分類:C07C 329/00


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波多野 貴史 森 俊樹 重松 正巳 JP 2014070062 公開特許公報(A) 20140421 2012219526 20121001 ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の製造方法 日本テルペン化学株式会社 000229254 野河 信太郎 100065248 甲斐 伸二 100159385 金子 裕輔 100163407 稲本 潔 100166936 冨田 雅己 100174883 波多野 貴史 森 俊樹 重松 正巳 C07C 329/00 20060101AFI20140325BHJP JPC07C329/00 6 OL 18 4H006 4H006AA02 4H006AC48 4H006AC60 4H006BB20 4H006BB31 4H006BB41 4H006BB44 4H006TN30 4H006TN60 本発明は、ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の製造方法に関する。 従来、末端にヒドロキシ基を有する重合体は、該ヒドロキシ基と反応し得る官能基、例えばイソシアネート、カルボキシルおよびエステルなどの官能基を有する化合物を架橋剤として用いることにより、上記重合体のヒドロキシ部分に架橋を形成させることができ、耐熱性、耐水性、耐候性、耐久性、相溶性等に優れる機能性材料となり得ることが知られている。 特に、重合体の両末端に官能基が導入されている場合、末端同士の架橋による鎖延長が効率的に起こり、使用する架橋剤によっては、直鎖状または網状の高分子量重合体を形成でき、優れた引張強度や伸び率を発現する樹脂を得ることができる。 特開2007−23094には、ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の合成について記載されている(特許文献1)。例えば、下記式(1)のビス[4−[N−エチル−2−(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートは、下記式(3)のN−エチル−エタノールアミンと下記一般式(2)の4−クロロメチルベンゾイルクロライドとを縮合させて下記一般式(4)のアミド誘導体水酸化物とする。ついで、この一般式(4)の水酸基をアセチル基で保護した後に、二硫化炭素/炭酸カリウムで縮合させ、次いで水酸化カリウムで脱アセチル化することによる全4工程の反応により一般式(1)で表される化合物を全収率72%で得ている。特開2007−23094号公報 しかしながら、上記方法では、最終目的物に必要のないアセチル体を経由しているため反応工程が長く、更に全4工程のうち3工程においてカラムクロマトグラフィーによる精製を必要とし、工業的な製造においてはその製造コストの面で問題があった。 本発明は、上記の問題を鑑み、工業的に実施可能で効率的に高純度のジベンジルトリチオカーボネート誘導体を短工程で製造する方法を提供することを目的とするものである。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カラムクロマトグラフィーによる精製を必要としない全2工程による、ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の高収率製造方法を見出した。 すなわち、本発明は、一般式(4)で表される化合物と用時調製したトリチオ炭酸塩を反応させて、一般式(1)のジベンジルトリチオカーボネートを得ることを特徴とするジベンジルトリチオカーボネート誘導体の製造方法を見出した。 かくして、本発明によれば、一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表されるアミド化合物を、アミド系溶媒中、トリチオ炭酸塩と反応させトリチオカーボネート化することを特徴とする、一般式(1):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表す]で表される、ジベンジルトリチオ炭酸誘導体の製造方法が提供される。 また、本発明によれば、一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表されるアミド化合物が、以下の、一般式(2):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物と、一般式(3):[式中、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表す]で表される化合物を、塩基の存在下で反応させて得られる、前記の製造方法が提供される。 また、本発明によれば、前記トリチオカーボネート化が、アミド系溶媒中のトリチオ炭酸塩を、一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物に滴下して行われる、前記の製造方法が提供される。 また、本発明によれば、前記トリチオ炭酸塩が、以下の式:[式中、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムもしくはセシウムなどのアルカリ金属、またはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムなどのアルカリ土類金属を表す]で表されるトリチオ炭酸リチウム、トリチオ炭酸ナトリウム、トリチオ炭酸カリウム、トリチオ炭酸ルビジウムウム、トリチオ炭酸セシウム、トリチオ炭酸ベリリウム、トリチオ炭酸マグネシウム、トリチオ炭酸カルシウム、トリチオ炭酸ストロンチウムおよびトリチオ炭酸バリウムからなる群から選択される、前記の製造方法が提供される。 また、本発明によれば、前記アミド化合物が、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンの存在下で得られ、前記トリチオ炭酸塩が、水およびN,N−ジメチルアセトアミドの混合溶液として用いられる、前記の製造方法が提供される。 したがって、本願発明によれば、効率的に高純度のジベンジルトリチオカーボネート誘導体を短工程で製造する方法が提供される。N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドのIRスペクトルである。ビス[4−[N−エチル−2−(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートのIRスペクトルである。N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの1H−NMRスペクトルである。ビス[4−[N−エチル−2−(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの1H−NMRスペクトル 本発明による、一般式(1)のジベンジルトリチルカーボネート誘導体は、以下の反応スキームに従って製造できる。[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す] 上記一般式(2)におけるArとしては、フェニレン基およびナフチレン基が挙げられ、また、Xとしては、ハロゲン原子、すなわちフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が挙げられるが、反応性および入手の容易性の観点からArとしてはフェニレン基が好ましく、Xとしては塩素原子が好ましい。 上記の一般式(3)および/または(4)におけるArおよびXについては上記一般式(2)において定義したとおりであり、R1としては、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびt−ブチル基が挙げられ、R2としては、エチレンおよびプロピレン、ブチレン基が挙げられる。 上記の工程1は、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物を反応させ、一般式(4)で表される化合物を得る反応である。 上記の工程1は、一般式(2)で表される化合物と2当量以上の一般式(3)で表される化合物のみを用いることによって行なうことも可能であるが、溶媒中、適当量の有機または無機塩基を用いることにより、一般式(3)で表される化合物の使用量は概ね理論量ですみ、また反応副生成物を抑制できて生産コストの削減が可能となる。 上記の工程1に使用され得る有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどの3級アミンが挙げられる。 また、無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが挙げられる。 上記の工程1に使用され得る溶媒としては水、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒またはベンゼンおよびトルエンなどの非プロトン性非極性溶媒のような不活性溶媒または来られの混合溶媒が挙げられる。 上記の工程1の反応は、上記の溶媒の中でも、例えば無水テトラヒドロフランやトルエン等が好ましく、反応温度は−20〜50℃、好ましくは0〜30℃の範囲の温度で撹拌下に行うことができる。 上記の工程1の後処理は、反応終了後、反応物に食塩水を加え分液し、有機層を常法により乾燥し、減圧濃縮することにより行なわれる。なお、上記の反応物への食塩水の添加による分液が容易でない場合には、飽和食塩水を用いることができる。 使用する食塩水の濃度は特に限定されないが、食塩水の濃度低下に伴い収率が低下するため、食塩水濃度としては10〜20%が好ましく、更には15〜20%がより好ましいが、飽和食塩水を用いてもよい。また食塩水の使用量は添加する反応物の0.5〜5倍量、好ましくは0.8〜2倍量用いて、1〜2回有機層を洗浄するのが好ましいが、分離した食塩水を再度有機溶媒で抽出することにより目的物をほぼ定量的に得ることができて好ましい。 上記の反応終了後の抽出を2〜3回繰り返すことにより、目的とする一般式(4)で表される化合物を98%〜99%の収率で概ね定量的に得ることができるのも、本発明の特徴の1つである。 上記の工程1の反応は、後処理する事無く次工程に進めることが可能であるが、上記の工程2における反応率の低下や反応副生成物の生成による目的物の収率の低下の観点から、後処理することが好ましい。 上記の工程1で得られる一般式(4)で表される化合物は、蒸留、再結晶もしくはカラムクロマトグラフィーなどの常法により精製できるが、この化合物は反応物の減圧濃縮後に結晶化することから、再結晶による精製が、簡便で好ましい。 上記の工程1で得られる一般式(4)で表される化合物の再結晶溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのプロトン性極性溶媒、ベンゼンおよびトルエンなどの非プロトン性非極性溶媒のような不活性溶媒が挙げられるが、目的物の収率の観点からトルエンや酢酸エチルが好ましい。 上記の工程2は一般式(4)で表される化合物とトリチオ炭酸塩を反応させることにより、一般式(1)で表される化合物を得る反応である。 上記の工程2に用いられるトリチオ炭酸塩としては、トリチオ炭酸リチウム、トリチオ炭酸ナトリウム、トリチオ炭酸カリウム、トリチオ炭酸ルビジウムウム、トリチオ炭酸セシウム、トリチオ炭酸ベリリウム、トリチオ炭酸マグネシウム、トリチオ炭酸カルシウム、トリチオ炭酸ストロンチウムおよびトリチオ炭酸バリウムなどが挙げられる。 反応性の観点からトリチオ炭酸カリウム、トリチオ炭酸ナトリウムおよびトリチオ炭酸リチウムが好ましい。なかでも反応性の観点および入手の容易さからトリチオ炭酸カリウムが好ましい。 上記のトリチオ炭酸塩は市販品を用いることができる。 また、トリチオ炭酸塩は調製して用いることもできる。その場合には、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウムもしくは硫化セシウムなどの硫化アルカリ金属、または硫化ベリリウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウムもしくは硫化バリウムなどの硫化アルカリ土類金属硫化アルカリ金属のエタノール溶液もしくは水溶液に、二硫化炭素を加えて調製してもよい。 また、上記の硫化アルカリ金属または硫化アルカリ土類金属を用いる替わりに、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムもしくは水酸化セシウムなどの水酸化アルカリ金属、または水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムもしくは水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属を用いることもできるが、目的物の収率および製造コストの観点から水酸化カリウムが好ましい。 この場合、溶媒中、上記の水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属と二硫化炭素とを反応させることにより、トリチオ炭酸塩を調製できる。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の調製に使用され得る溶媒としては水、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリジンおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのプロトン性極性溶媒、ベンゼンおよびトルエンなどの非プロトン性非極性溶媒のような不活性溶媒またはこれらの混合溶媒が挙げられるが、目的物の収率の観点からN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の調製に使用されるN,N−ジメチルアセトアミドと水の使用量は特に限定されないが、トリチオカルボニル化反応における目的物の収率の観点より、一般式(4)で表される化合物に対してそれぞれ0.5〜4倍重量、好ましくは1.0〜3.0培重量、更には1.0〜1.5倍重量がより好ましい。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の調製に使用される水酸化カリウムのモル比は、一般式(4)で表される化合物に対して1.0〜3.0倍モル、更には1.5〜2.0倍モルがより好ましい。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の調製に使用される二硫化炭素のモル比は、一般式(4)で表される化合物に対しては1.0〜3.0倍モル、更には1.5〜2.25倍モルがより好ましく、また水酸化カリウムに対しては1.0〜2.0倍モル、更には1.0〜1.5倍モルがより好ましい。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の調製温度としては、0℃〜40℃の範囲の温度で行うことができるが、さらには30〜40℃の範囲の温度で行うのが好ましい。 生成されたトリチオ炭酸塩を反応液を減圧濃縮し析出した結晶を単離してトリチオカルボニル化に使用することもできるが、好ましくは用時調製したトリチオ炭酸塩の反応液を生成せずにそのままトリチオカルボニル化に使用できるのも、本発明の特徴の1つである。 上記の工程2のトリチオカルボニル化に使用され得る溶媒としては、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジンおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのプロトン性極性溶媒、ベンゼンおよびトルエンなどの非プロトン性非極性溶媒のような不活性溶媒が挙げられるが、目的物の収率や操作の容易性から、テトラヒドロフランが好ましい。 上記の工程2のトリチオカルボニル化の反応方法としては、目的物の収率や操作の容易性から、トリチオ炭酸塩溶液を滴下する方法が好ましい。 上記の工程2のトリチオカルボニル化において、上記のトリチオ炭酸塩溶液添加後に使用する水は、トリチオ炭酸塩溶液の添加終了後に加えることが好ましい。水を先に入れていた場合には副反応物の生成が促進され、目的物の収率低下に繋がる。トリチオ炭酸溶液の添加終了後に水を加えることにより、副反応物の生成が抑えられる。上記の後から加える水の量は特に限定されないが、操作性や効率化の観点から、一般式(2)で表される化合物に対し、1〜10倍重量、更には2〜5倍重量用いられるのが好ましい。 上記の工程2のトリチオ炭酸塩の滴下温度およびトリチオカルボニル化の反応温度としては、0〜40℃の範囲の温度で行なうことが出来るが、好ましくは0〜20℃、更には0〜10℃がより好ましい。上記の工程2のトリチオカルボニル化の後処理方法としては、2層に分離した反応液を分液し、有機層を塩化アンモニウム水溶液及び食塩水で洗浄後、乾燥し、溶媒を留去することにより目的物の粗生成物が得られる。 上記の工程2の後処理に用いる塩化アンモニウム水溶液の濃度は特に限定されないが、用いる塩化アンモニウムの量は、上記の工程2で用いられた金属水酸化物に対して、1.0〜2.0倍モル、更には1.0〜1.2倍モル用いることが好ましく、塩化アンモニウム水溶液の濃度は5〜29%、更には15〜25%で、洗浄する有機層の量の1〜5倍量用いることが好ましく、更には1〜2倍量がより好ましい。 上記の工程2の後処理に用いる食塩水の量及び濃度は前記工程1で用いる食塩水を同様に使用できる。 上記の工程2で得られる粗生成物は、蒸留、再結晶もしくはカラムクロマトグラフィーなどの従来法により精製して使用できるが、この化合物は反応物の減圧濃縮後に結晶化することから、再結晶による精製が、簡便で好ましい。 上記の工程2の再結晶による精製に用いられる溶媒としては、前記工程1で得られる一般式(4)で表される化合物の再結晶に用いられる溶媒を同様に使用できる。 したがって、本発明は、前記一般式(1)の製造方法において、一般式(4)で表される化合物を、二硫化炭素と金属水酸化物と反応させて調製されるトリチオ炭酸塩とそのまま反応させて、一般式(1)で表される化合物を得ることができるのも本発明の1つの特徴である。 尚、本発明によるジベンジルトリチオカーボネート誘導体は、RAFT重合に使用できる。実施例1N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの製造 攪拌器、還流冷却管、滴下ロートを備えた500mL三頚フラスコにN−エチルアミノエタノール14.8 g(166 mmol)、トリエチルアミン17.7 g(175 mmol)とトルエン210 gを加え、反応液を0〜20℃に保ちながら4−クロロメチルベンゾイルクロライド30 g(159 mmol)のトルエン30 g溶液を撹拌下に滴下し、更に1時間撹拌した。これに10%食塩水120 gを加え、加温溶解後に分液する操作を2回繰り返し、分離した食塩水をトルエンで抽出し、合わせたトルエン溶液を常法により乾燥し、溶媒を留去して標記化合物37.9 g(収率99%)を白色結晶として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm):1.15 (3 H, m, CH3), 3.33 (2 H, m, CH2CH3), 3.59 (1 H, s, OH), 3.70 (2 H, m, CH2CH2O), 3.89 (2 H, m, CH2CH2O), 4.60 (2 H, s, CH2Cl), 7.40−7.43 (4 H, ArH)。IR(KBr) (cm-1):3386、1601、1464、1272、1156、1064、1021。実施例2N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの製造 実施例1におけるN−エチルアミノエタノールの代わりにN−メチルアミノエタノール12.5 gを用いて、実施例1と全く同様にして標記化合物35.15 g(収率93%)を得た。 得られた化合物の構造は、実施例1と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。実施例3N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの製造 実施例1におけるN−エチルアミノエタノールの代わりにN−プロピルアミノエタノール17.1 gを用いて、実施例1と全く同様にして標記化合物39.9 g(収率94%)を得た。 得られた化合物の構造は、実施例1と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。実施例4N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの製造 実施例1におけるN−エチルアミノエタノールの代わりにN−メチルアミノプロパノール14.8 gを用い、実施例1と全く同様にして標記化合物38.1 g(収率95%)を得た。 得られた化合物の構造は、実施例1と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。実施例5N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの製造 実施例1におけるN−エチルアミノエタノールの代わりにN−エチルアミノブタノール19.5 gを用い、実施例1と全く同様にして標記化合物40.8 g(収率91%)を得た。 得られた化合物の構造は、実施例1と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。実施例6ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの製造 攪拌器、還流冷却管、滴下ロートを備えた200mL三頚フラスコに水酸化カリウム14.2 g(254 mmol)と水30 gを加え、反応液を0〜5℃に保ちながら二硫化炭素20.6 g(270 mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド30 g溶液を加え同温下で0.5時間撹拌した。更に25℃で1時間、40℃で2時間加温下撹拌し、トリチオ炭酸カリウム塩溶液とした。 別に攪拌器、還流冷却管、滴下ロートを備えた500mL三頚フラスコにN−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミド36.4 g (150.6 mmol)とテトラヒドロフラン180 gとトルエン45 gを加え、反応液を0〜5℃に保ちながら、前述トリチオ炭酸塩溶液を滴下した。滴下後同温下で撹拌し、0.5時間後に水90 gを追加し、更に19時間撹拌した。反応液を分液し、更に23%塩化アンモニウム水溶液60 g、10%食塩水60 gで順次洗浄した後に。無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得た粗生成物を酢酸エチル60 gで精製することにより標記化合物34.5 g(収率87.8%、全2工程トータル収率87.0%)を淡黄色結晶で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm):1.15−1.25 (6 H, m, CH3), 3.33 (4 H, m, CH2CH3), 3.65 (2 H, s, OH), 3.70 (4 H, m, CH2CH2O), 3.89 (4 H, m, CH2CH2O), 4.64 (4 H, s, CH2S), 7.37 (8 H, m, ArH)。IR(KBr) (cm-1):3389、1602、1460、1302、1241、1071、1018。実施例7ビス[4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの製造 実施例6におけるN−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドの代わりにN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミド35.2 gを用い、実施例6と全く同様にして標記化合物33.1 g(2工程収率81%)を得た。 得られた化合物の構造は、実施例6と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。実施例8ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートを用いたアクリル酸ブチルのRAFT重合 撹拌器、還流冷却管、窒素導入管を備えた100mL三頸フラスコに実施例2で得られたビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネート2.0 g (3.90 mmol)、アクリル酸ブチル20.0 g (156.0 mmol)及びVA−086 56.0 mg(0.19 mmol)を加え、減圧脱気後、窒素ガス置換して、窒素気流下に110℃で24時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却して反応を停止した。 得られた重合体の分子量(Mn)及び分子量分布(Mw / Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した。ポリスチレン換算にて行い分析した結果、得られた重合体の分子量(Mn)は4,949であり分子量分布(Mw / Mn)は1.19であった。実施例9ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートを用いたスチレンのRAFT重合 撹拌器、還流冷却管、窒素導入管を備えた100mL三頸フラスコに実施例2で得られたビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネート2.0 g (3.84 mmol)、スチレン20.0 g (192.0 mmol)及びVA−086 55.4 mg(0.19 mmol)を加え、減圧脱気後、窒素ガス置換して、窒素気流下に110℃で24時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却して反応を停止した。 得られた重合体の分子量(Mn)及び分子量分布(Mw / Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した。ポリスチレン換算にて行い分析した結果、得られた重合体の分子量(Mn)は4,989であり分子量分布(Mw / Mn)は1.17であった。比較例1ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの製造 公開特許公報特開2007-230947号の実施例3に準拠した。 撹拌器、還流冷却管、滴下ロートを備えた200 mL三頚フラスコに炭酸カリウム6.29 g (45.5 mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド28 mLを加え、そこへ二硫化炭素3.46 g (45.5 mmol)を加えて油浴50℃で撹拌した。15分後にN-エチル-N-(2-アセトキシエチル)-4-(クロロメチル)ベンズアミド10 g (41.4 mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド35 mL溶液を加えて50℃でさらに24時間撹拌した。 反応液を冷水200 mLに加えて反応を停止し、酢酸エチル200 mLで2回抽出した。合わせた有機層を水200 mL、飽和食塩水100 mLで順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。常法に従って溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck 7734 100 g、溶出液:酢酸エチル)に付して精製し、標記化合物5.75 g (収率53.4%)を淡黄色結晶として得た。 得られた化合物の構造は、実施例6と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。比較例2ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの製造 トリチオ炭酸塩溶液を調製する際に使用する溶媒をN,N−ジメチルアセトアミドからテトラヒドロフランに変更した以外は、反応及び後処理方法を実施例1及び実施例6と全く同様にして、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミド10gを用い粗生成物を得た。尚、得られた粗生成物は再結晶による精製が困難であったため、カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck 7734 100 g、溶出液:酢酸エチル)による精製を行い淡黄色結晶として標記化合物(3.73g)を収率34.6%で得た。 得られた化合物の構造は、実施例6と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。比較例3ビス[4−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−ベンジル]トリチオカーボネートの製造 反応方法において、トリチオ炭酸塩溶液を滴下する方法から、トリチオ炭酸塩溶液にN−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミドを加える方法に変更した以外は、反応及び後処理方法を実施例6と全く同様にして、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(クロロメチル)ベンズアミド10gを用い粗生成物を得た。尚、得られた粗生成物は再結晶による精製が困難であったため、カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck 7734 100 g、溶出液:酢酸エチル)による精製を行い淡黄色結晶として標記化合物(6.52g)を収率60.5%で得た。 得られた化合物の構造は、実施例6と同様にしてIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルにより確認した。 本願発明によれば、ジベンジルトリチオカーボネート誘導体の効率的かつ高収率の製造方法が提供される。 一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表されるアミド化合物を、アミド系溶媒中、トリチオ炭酸塩と反応させトリチオカーボネート化することを特徴とする、一般式(1):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表す]で表される、ジベンジルトリチオ炭酸誘導体の製造方法。 一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表されるアミド化合物が、以下の、一般式(2):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物と、一般式(3):[式中、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表す]で表される化合物を、塩基の存在下で反応させて得られる、請求項1に記載の製造方法。 前記トリチオカーボネート化が、アミド系溶媒中のトリチオ炭酸塩を、一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物に滴下して行われる、請求項1または2に記載の製造方法。 前記トリチオ炭酸塩が、以下の式:[式中、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムもしくはセシウムなどのアルカリ金属、またはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウムなどのアルカリ土類金属を表す]で表されるトリチオ炭酸リチウム、トリチオ炭酸ナトリウム、トリチオ炭酸カリウム、トリチオ炭酸ルビジウムウム、トリチオ炭酸セシウム、トリチオ炭酸ベリリウム、トリチオ炭酸マグネシウム、トリチオ炭酸カルシウム、トリチオ炭酸ストロンチウムおよびトリチオ炭酸バリウムからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。 前記アミド化合物が、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンの存在下で得られる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。 前記トリチオ炭酸塩が、水およびN,N−ジメチルアセトアミドの混合溶液として用いられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法。 【課題】工業的に実施可能で効率的にジベンジルトリチオカーボネート誘導体を製造する方法を提供する。【解決手段】一般式(4):[式中、Arはフェニレンまたはナフチレン基を表し、R1は(C1〜C4)アルキル基を表し、R2は(C2〜C4)アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表されるアミド化合物を、アミド系溶媒中、トリチオ炭酸塩と反応させトリチオカーボネート化することを特徴とする、一般式(1):で表される、ジベンジルトリチオ炭酸誘導体の製造方法。【選択図】なし


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