タイトル: | 公開特許公報(A)_セリンプロテアーゼ阻害剤のスマートプロドラッグ |
出願番号: | 2012211523 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07K 5/06,A61K 38/55,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 3/04,A61P 29/00,A61P 35/00,A61P 37/02,A61P 25/00,A61P 1/00,C07K 5/08,C07K 5/10 |
バホフチン, ウィリアム, ダブリュー. JP 2013047229 公開特許公報(A) 20130307 2012211523 20120925 セリンプロテアーゼ阻害剤のスマートプロドラッグ トラスティーズ・オブ・タフツ・カレッジ 399127843 TRUSTEES OF TUFTS COLLEGE 水野 祐啓 100136630 バホフチン, ウィリアム, ダブリュー. US 60/376636 20020430 C07K 5/06 20060101AFI20130208BHJP A61K 38/55 20060101ALI20130208BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130208BHJP A61P 3/10 20060101ALI20130208BHJP A61P 3/04 20060101ALI20130208BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130208BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130208BHJP A61P 37/02 20060101ALI20130208BHJP A61P 25/00 20060101ALI20130208BHJP A61P 1/00 20060101ALI20130208BHJP C07K 5/08 20060101ALI20130208BHJP C07K 5/10 20060101ALI20130208BHJP JPC07K5/06A61K37/64A61P43/00 111A61P3/10A61P3/04A61P29/00A61P35/00A61P37/02A61P25/00A61P1/00A61P43/00 123C07K5/08C07K5/10 37 2004500790 20030430 OL 100 4C084 4H045 4C084AA02 4C084BA44 4C084CA62 4C084DC32 4C084NA14 4C084ZA022 4C084ZA662 4C084ZA702 4C084ZB072 4C084ZB112 4C084ZB262 4C084ZC352 4C084ZC802 4H045AA10 4H045AA30 4H045BA11 4H045BA12 4H045BA13 4H045BA50 4H045DA56 4H045EA20 4H045FA10発明の背景 プロテアーゼは、タンパク質を一箇所の特異的なペプチド結合で切断する酵素である。プロテアーゼは、セリン、チオール又はシステイニル、酸又はアスパルチル及びメタロプロテアーゼという4種類のクラスに分類することができる(Cuypers etal., J. Biol. Chem. 257: 7086 (1982) )。プロテアーゼは消化、血餅の形成及び溶解、生殖や、外来の細胞及び生物に対する免疫反応など、多種の生物活性に必須である。ヒト及び他の哺乳動物で、異常なタンパク質分解が数多くの疾患状態に関連づけられている。多くの場合、動物の治療的処理の過程で一種以上の蛋白質分解酵素の機能を破壊することが有益である。 ペプチド基質にとっての結合部位は、その酵素の表面全体に延びる一連の「特異性サブサイト」から成る。用語「特異性サブサイト」とは、酵素上で、当該酵素の基質の一部と相互作用することのできるポケット等の部位を言う。ペプチドと、セリン及びシステインプロティナーゼなどのプロテアーゼとの相互作用を論じる際に、本出願は、シェヒター及びバーガー[(1967)Biochem. Biophys. Res. Commun. 27: 157-162)] の命名法を用いる。ある基質又は阻害剤の個々のアミノ酸残基は、P1、P2等と指定され、そして当該酵素の対応するサブサイトは、切断反応で生じるカルボキシ末端残基から開始してS1、S2等と指定される。基質の劈開結合は、その基質のS1−S1'間のアミド結合である。従って、Xaa3 及びXaa4残基間で切断されるペプチドXaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4の場合、Xaa3残基がP1残基と言及され、酵素のS1サブサイトに結合し、Xaa2がP2残基と呼ばれ、S2サブサイトに結合し、等である。 例えばジペプチジルペプチダーゼ IV (DPIV)は、好ましくはプロリン残基を末位から2番目、例えばP1位など、に含有するペプチド鎖からN末端ジペプチドを切断するセリンプロテアーゼである。DPIVは、細胞膜関連ペプチダーゼのグループに属し、細胞表面ペプチダーゼの大半と同様に、タイプII一体膜タンパク質であり、細胞膜にそのシグナル配列で繋がれている。DPIVは、CD+4T細胞の表面上に特異的に見られるリンパ系由来のものを含め、多種の分化後哺乳動物上皮、内皮及び造血細胞及び組織に見られる。DPIVは、白血球分化マーカCD26として同定されている。 プロテオソームは、損傷した、酸化した、又は折り畳みの誤ったタンパク質のタンパク質分解や、細胞周期の進行など、多種の細胞機能に必要な鍵となる調節タンパク質のプロセッシング又は分解を含め、真核細胞における細胞内タンパク質ターンオーバーの大半を担うセリンプロテアーゼである。例えば、26Sプロテオソームは、多重触媒性プロテアーゼであり、その触媒性コアに、約700kDa分子量の多サブユニット複合体である20sプロテオソームを含む。重要な生理学的役割を果たす一方、該プロテオソームは、正常な細胞プロセスが調節を失うような病的状態の結果起きる、又はこのような病的状態の原因である、タンパク質分解の異常又は促進にも関係する。その顕著な一例が癌であり、癌では、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、及び腫瘍サプレッサ遺伝子を含む細胞周期調節タンパク質のプロテオソーム媒介性分解の調節異常の結果、有糸分裂の亢進及び制御不能が起きて、癌の成長及び転移が促進される(Goldberg etal. 1995 Chem. & Biol. 2: 503-508; Coux et al. 1996Annu. Rev. Biochem. 65: 801-847; Deshaies 1995 Trends Cell Biol. 5: 428-434)。プロテオソーム酵素機能の阻害は、癌又は炎症などの疾患状態の疾患の進行を停止又は鈍らせる上で、有望である。 ラクタシスチン及びその類似体などのプロテオソーム阻害剤が、マラリア原虫であるプラスモジウム種の前赤血球及び及び赤血球段階の発生を遮断することが示されている。その肝臓及び赤血球段階の両方で、この寄生虫は、形態上の大きな変化や、何回もの複製という、プロテオソームの活性を要するであろう事象を遂げる。ラクタシスチンは、プロテオソームの活性部位の触媒性N末端スレオニンを共有結合により修飾して、哺乳動物細胞、原虫及び始原生物のものを含め、調べられたすべてのプロテオソームの活性を阻害することが見出されている(Gantt et al. 1998 Antimicrob Agents Chemother. 42: 2731-2738)。 ヒト線維芽細胞活性化タンパク質(FAPα)は、そもそもモノクローナル抗体(mAb)F19で同定されたMr95,000の細胞表面分子である (Rettig et al. 1988Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 3110-3114 ;Rettig et al. 1993 Cancer Res. 53: 3327-3335)。FAPα cDNA は、大きな細胞外ドメインと、膜貫通部分と、短い細胞質側の尾とを持つタイプII一体型膜タンパク質をコードしている (Scanlan et al. 1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5657-5661 ;WO97/34927)。FAPαは、ジペプチジルペプチダーゼ活性を持つ膜結合タンパク質であるジペプチジルペプチダーゼ IV (DPPIV)としても知られるT細胞活性化抗原CD26に対して48%のアミノ酸配列同一性を示す(Scanlan et al.)。FAPαは酵素活性を有し、セリンプロテアーゼ・ファミリーの一員であり、そのセリン624位が酵素機能にとって重要である (WO 97/34927)。膜オーバーレイ検定を用いた研究では、FAPα二量体が、Ala-Pro-7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、Gly-Pro-7-アミノ-4-トリフルオロメチルIクマリン、及びLys-Pro-7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリンジペプチドを切断できることが明らかになった(WO97/34927)。 FAPαは、数多くの組織学的種類のヒト上皮癌、治癒中の創傷の肉芽組織、及び特定の骨の悪性腫瘍及び軟組織肉腫、の反応性間質性線維芽細胞で選択的に発現する。正常な成人組織には、一般に、検出可能なFAPαはないが、いくつかの胎児性間葉組織は、当該分子を一時的に発現する。対照的に、乳房の非小細胞性肺及び結腸直腸の癌の90%を越えるものを含め、よくある種類の上皮癌の大半が、FAPα反応性間質性線維芽細胞を含有する(Scanlan et al.)。これらのFAPα+線維芽細胞には、新たに形成された腫瘍血管が伴い、腫瘍の毛管内皮と、悪性の上皮細胞集団の基底部との間に介在する顕著な細胞区画を形成している (Welt etal. 1994 J Clin. Oncol. 12 (6): 1193-1203)、FAPα+間質性線維芽細胞は、原発性及び転移性癌の両方で見られるが、例えば乳房の線維線腫及び結腸直腸腺癌など、検査された良性及び前癌性の上皮病変 (Welt et al.)は、FAPα+間質細胞を僅かに含有しただけだった。FAPαは正常組織では限定された分布パターンを見せるが、多くの悪性腫瘍の支援性間質内では均一に発現していることに基づき、131Iで標識されたmAbF19 を用いた臨床治験が、転移性結腸癌患者で開始されている (Welt et al.) 。発明の概要 本発明は、プロテオームDPP IV、FAPα等のプロテオームの阻害剤など、プロテアーゼ阻害剤のプロドラッグに関する。これらの「プロ阻害剤」は、「活性化プロテアーゼ」により活性化、即ち切断されて、活性阻害剤部分を「標的プロテアーゼ」の近傍に遊離させる。活性化プロテアーゼ及び標的プロテアーゼの種類が同じであっても(例えばプロ阻害剤は「標的活性化スマートプロテアーゼ阻害剤」又は「TASPI」と言及される)、又は異なっていても(例えば「標的指向性スマートプロテアーゼ阻害剤」又は「TDSPI」)よい。プロ阻害剤の活性化後、当該の活性阻害剤部分は、例えば分子内環化又はcis-trans異性化などにより、自己失活することができる。 本発明のこれらのプロ阻害剤は、高い効力、長い作用時間、高い安定性、及び/又は、低い毒性を含め、驚くべき特徴を示す。 いくつかの好適な実施態様では、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ IV (DPP IV)の阻害剤など、プロリン後切断酵素を阻害するプロ阻害剤や、その医薬組成物、並びにこのような阻害剤を用いる方法を提供するものである。本発明のこのようなプロ阻害剤は、DPP IVが媒介するものなど、多種の異常/状態の治療の一部として使用することができる。例えば、本阻害剤を用いて、例えばGIP及びGLP-1の半減期を向上させることにより、これらのホルモンの活性を、糖レベル及び/又は代謝を調節するための治療の一部として上方調節することができ、こうして例えばインシュリン耐性を低下させる、高血糖症、高インシュリン血症、肥満、高脂血症、高リポタンパク血症(例えばカイロミクロン、VLDL及びLDL)を治療したり、そして体脂肪、より一般的には脂質貯蔵を調節したり、そしてより一般的には、代謝異常、特に、糖尿病、肥満及び/又はアテローム性硬化症に関連するもの、を向上させることができる。 特定の理論に縛られることを望むわけではないが、DPP IVを阻害する化合物は、必ずしもDPP IV 阻害に関与する機序自体を通じてではないが、相関的に糖耐性を高めることができることが観察されている。実際、本出願人は、以前に、GLP-1受容体欠損マウスにおける効果を実証しており、本方法は、GLP-1自体が直接関係する作用機序を含んでいない可能性を示唆したが、GLP-1が他の受容体を有する可能性も度外視していない。しかしながら、DPP IV 阻害との相関を鑑みれば、好適な実施態様では、本方法は、DPP IV阻害に関するKiが50.0nm 以下、より好ましくは10.0 nm以下、そしてさらにより好ましくは1.0、0.1 又はさらに0.01 nM以下の薬剤を用いる。実際には、Ki 値がピコモル、そして更にフェムトモル範囲の阻害剤が考察されている。このように、プロ阻害剤のいくつかは、ここで便宜上「DPP IV阻害剤」として解説されているが、このような名称は、本発明を特定の作用機序に限定することを意図していないことを理解されたい。 当該化合物のいくつかは長い持続期間を有する。従って、いくつかの好適な実施態様では、一回の用量後少なくとも4時間、さらにより好ましくは一回の用量後少なくとも8時間又はさらに12もしくは16時間、血清DPP IVレベルを少なくとも50パーセント阻害する投薬量を提供するように、本阻害剤を選択し、阻害剤量を調合する。 例えば、いくつかの実施態様では、本方法は、糖代謝異常(例えば糖不耐性、インシュリン耐性、高血糖症、高インシュリン血症及びI及びII型糖尿病など)に関連する一種以上の異常な指数を向上させるのに有効な量、好ましくは24時間中の所定の時間、DPP IVプロ阻害剤を投与することに関する。 他の実施態様では、本方法は、肥満に関する異常な指数を向上させるのに有効な量、DPP IVプロ阻害剤を投与することに関する。脂肪細胞はレプチンというホルモンを放出するが、このホルモンは血流にのって脳まで輸送され、そこでレプチン受容体を通じてGLP-1の産生を刺激する。こうしてGLP-1は満腹感を生じる。有力な説は、大半の肥満者の肥満細胞は、おそらく充分なレプチンを産生してはいるが、レプチンが脳内のレプチン受容体に適切に結合できず、GLP-1の産生を刺激できないのではないか、というものである。従って、GLP-1製剤を食欲抑制剤として用いることに、膨大な研究がなされている。本方法は、肥満に関連する異常の治療において、内因性及び異所的に付加されたGLP-1の両方の半減期を上昇させる手段を提供するものである。 より広い意味では、本発明は、DPP IV もしくは何らかの他のタンパク質分解活性による一種以上のペプチドホルモンの蛋白質分解を阻害することにより、多種の様々なポリペプチドホルモンの薬物動態を変化させる方法及びプロ阻害剤組成物を提供する。分泌後代謝は調節性ペプチドの全体的恒常性において重要な要素であり、これらのプロセスに関与するその他の酵素は、本方法による薬理学的介入にとって適切なターゲットであろう。 例えば本方法は、グリセンチン (PG1-69に相当する)、オキシトモジュリン (PG 33-69)、グリセンチン関連膵ポリペプチド(GRPP、PG 1-30)、介在ペプチド-2 (IP-2、PG 111-122アミド)、及びグルカゴン様ペプチド-2 (GLP-2、PG126-158)など、他のプログルカゴン由来ペプチドの半減期を上昇させるために用いることができる。 例えばGLP-2は、腸上皮の増殖の誘導を担う因子として同定されている。例えばDrucker et al. (1996) PNAS 93: 7911を参照されたい。当該の DPP IV プロ阻害剤は、例えばクローン病又は炎症性腸疾患(IBD)の治療においてなど、腸粘膜上皮の成長亢進及び修復が望ましいような、腸管組織の損傷、炎症又は切除の治療のための計画の一部として用いることができる。 DPP IVは、さらに、成長ホルモン放出因子(GHRF)の代謝及び不活性化にも関与していることが示唆されている。GHRFは、グルカゴン、セクレチン、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、胃抑制ペプチド(GIP)及びヘロデルミンを含む相同なペプチドファミリーの一員である。Kubiak etal. (1994) Peptide Res 7: 153。GHRFは視床下部から分泌され、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の放出を刺激する。このように、本方法を、特定の成長ホルモン欠損児の臨床治療や、成人において栄養を向上させるためや、体組成(筋肉対脂肪)を変える臨床治療を向上させるために用いることができる。さらに本方法は、例えば乳の産出量を高めたり、痩せた家畜でも高い産出量を開発するためなど、獣医学的実用でも用いることができる。 同様に、本発明のDPP IV プロ阻害剤を用いてセクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIP 及び/又はヘロデルミンの血漿半減期を変化させることができる。加えて、DPP IV は、これらのペプチドのプロセッシングに、受容体の選択性を変化させる態様で関与していることが示されているため、本方法を用いて、膵ポリペプチドファミリの両方のメンバーであるペプチドYY及びニューロペプチドYの薬物動態を変化させることができる。 他の実施態様では、本DPP IV プロ阻害剤を用いて造血を刺激することができる。 さらに他の実施態様では、本DPP IV プロ阻害剤を、腫瘍の成長及び転移に関連するものなど、細胞増殖を阻害したり、また、異常な増殖性細胞塊の血管新生を阻害するなどのために、形質転換細胞/組織の成長又は血管新生を阻害するために使用できる。 さらに他の実施態様では、本DPP IV プロ阻害剤を、免疫抑制剤などとして、免疫応答を低下させるために用いることができる。 さらに他の例では、本発明に基づくDPP IV プロ阻害剤を、卒中、腫瘍、虚血、パーキンソン病、記憶喪失、聴力喪失、視力喪失、偏頭痛、脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病及び(中枢神経系成分を有する)筋萎縮性側索硬化症(などの中枢神経系の疾病を治療するために用いることができる。加えて、本DPP IV プロ阻害剤を、多発性硬化症及び糖尿病性ニューロパチーを含め、より末梢性を有する異常を治療するために、用いることができる。 本発明の別の局面は、本プロリン後切断酵素阻害剤、特にDPP IV プロ阻害剤の医薬組成物と、ペプチドホルモンの恒常性を変えることにより向上させることのできる異常を治療及び/又は予防する際のそれらの使用と、に関する。ある好適な実施態様では、このようなDPP IVプロ阻害剤は、血糖降下活性及び抗糖尿病活性を有し、(貯蔵を含む)異常な糖代謝を特徴とする異常の治療に用いることができる。具体的な実施態様では、本方法の組成物は、インシュリン分泌剤として有用であるか、あるいは、GLP-1などの分子のインシュリン分泌作用を増強するために有用である。この点では、本組成物のいくつかの実施態様は、高脂血症、高血糖症、肥満、糖耐性不足、インシュリン耐性及び糖尿病合併症のうちの一つ以上を含め、多種の異常の治療及び/又は予防に有用であろう。発明の詳細な説明I.概観 タイプXaa-boroPro(但し式中、Xaaとはいずれかの天然もしくは非天然型アミノ酸を言い、そしてboroProとは、C末端カルボキシル基がボロニル基に置換されているプロリン類似体を言う(図1))のジペプチドボロン酸阻害剤は、ジペプチジルアミノペプチダーゼタイプIV (DPPIV)の大変強力な阻害剤である。しかしながら、これらの阻害剤は、開放鎖型と環状の型との間でpH依存的なコンホメーション平衡をとっている(図2)。酸性条件下では開放鎖型が優勢であるが、中性及び塩基性条件下では環状型が優勢になる。開放鎖型は、酵素阻害剤として活性な形であり、環状の型は、酵素阻害剤としては実質的に不活性である。同様な可逆的な変換が、ニトリル、アルデヒド等の他のジペプチド阻害剤でも、そのジペプチドが遊離アミノ末端を含有する場合に起きる。生理的pHで起き得る環化反応の正味の結果は、これらの分子の酵素阻害剤としての有効性、効力及び作用期間の低下であり、ひいては潜在的な薬物としてのそれらの魅力も減少する。 開放型及び環状型間の変換間速度や、平衡定数(Keq = [環状]/ [開放]) は、部分的にはpHに依存する。例えばboroアラニン、boroロイシン、boroアルギニン、又は、そのC末端カルボキシル基の代わりにボロニル基を有するいずれかの天然もしくは非天然型のアミノ酸も、ジペプチド又はジペプチド様構造に組み込まれたとき(例えばNH2-Xaa-boroAla、NH2-Xaa-boroLeu、NH2-Xaa-boroArg)に、固有の速度及び平衡位置は様々であろうが、環化を起こすであろう。変換間の反応に関するT1/2は、boroXaa がboroGly又はboroAlaである場合に数秒から数分までの幅があり、またboroProである場合には数時間までの幅がある。(Pro-boroPro は環化及び脱環化反応についてそれぞれ2及び8時間のT1/2を有する)。平衡定数Keq は、pH2.0のときの0.01乃至0.001(開放型に有利)から、pH7.2(即ち生理的pH)のときの100乃至1000(環状型に有利)と変化する。図3は、Ala-boroPro、Pro-boroPro及びVal-boroPro に関するこの現象を示し、それから実証されるように、三種類の分子すべてが、高いpHよりも低いpHで予備インキュベートされたときに、DPP IV の阻害剤としてより有効であることを示している。重要なことに、これらの分子は、たとえ不活性な型が優勢に存在するような条件下でも、比較的に低い分解速度を有する。開放鎖型の阻害活性は、高いpHでインキュベートされたその分子を、低いpH平衡を確立し直すのに充分な時間、低いPHの緩衝液中で再平衡させれば、回復させることができる。完全な活性を回復するのに必要な時間は、数時間から数日まで様々である。 本発明のいくつかの実施態様では、ボロニル基の代わりに他の電子不足官能基を持つジペプチド及びジペプチド様遷移状態類似体の阻害剤も、同様な可逆的環化反応を示すであろうが、その結果それらの効力は減衰するであろう。これらには、例えば、ニトリル(CN)、アルデヒド(CHO)、トリフルオロメチルケトン(COCF3)、及びアルファケトアミド(COCONH2)(図4)、がある。加えて、可逆的自己失活現象も、おそらく程度は低いが、cis/trans 異性体化が、特にプロリンをP1位に含有するジペプチド及びジペプチド様遷移状態類似体の阻害剤の場合に、原因であると考えることができるだろう。このように、その詳細は、ある求電子性の遷移状態ミメティックと別のものではかなり異なるだろうが、環化又はcis-trans異性体化反応は、いずれの場合でも、環化又はcis-trans異性体化が起きなかった場合の有効性に比較して、対応する阻害剤の有効性を低下させるだろうと、予測できる。有効性の低下、即ち活性な阻害剤の自己失活後阻害剤に対するKi比、は、2ほどという小さな因子から、数千、そしてそれ以上の因数まで、様々であろう。 本発明のいくつかの好適な実施態様では、酵素阻害剤としてのジペプチド遷移状態構造の、環化反応を原因とする不足又はハンディキャップはなくされており、と同時に、これらの物質の薬物としての特異性、安全性及び貯蔵寿命をさらに高めるために該環化反応が利用されている。本発明の新規な分子は、大変好ましい性質を、今までにない組合せで有し、従って我々が「スマート」プロテアーゼ阻害剤と呼ぶ完全に新しいクラスの分子となるものである。これらの性質には、標的酵素から拡散したときに環化してそれ自体を失活させるような、標的酵素の近傍で「ハイパー」活性阻害剤を遊離させる非阻害的プロドラッグが含まれる。II. 定義 便宜上、本明細書、実施例及び付属の請求項で用いるいくつかの用語をここに集める。A.化学的下位部分 ここで、用語「脂肪族の基」とは、直鎖、分枝鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基を言い、例えばアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基などの飽和及び不飽和の脂肪族の基を包含するものである。 「アシル」とは、窒素原子をアリル化してアミド又はカルバメートを形成させる、炭素原子をアシル化してケトンを形成させる、硫黄原子をアシル化してチオエステルを形成させる、あるいは酸素原子をアシル化してエステル基を形成させるのに適した基を言い、例えばC (=O)-部分に付いた炭化水素である。好適なアシル基には、ベンゾイル、アセチル、t-ブチルアセチル、ピバロイル、及びトリフルオロアセチル、がある。より好適なアシル基には、アセチル及びベンゾイルがある。最も好適なアシル基はアセチルである。 用語「アシルアミノ」は当業で公知であり、好ましくは一般式:で表すことのできる部分を言い、但し式中、 RA 及びRB はそれぞれ個別に水素又は炭化水素置換基、例えばアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族、及び複素環式脂肪族など、を表す。 用語「アミン」及び「アミノ」は当業で公知であり、一般式:で表すことのできる非置換及び置換アミンの両者や、4級アンモニウム塩等を言い、但し式中、 RA、RC、及びRDはそれぞれ個別に、水素又は炭化水素置換基を表すか、あるいは、RA及びRCはこれらが結合したN原子と一緒に、環構造内に4乃至8個の原子を有する複素環を完成している。好適な実施態様では、RA、RC、及びRDのいずれもアシルではなく、例えばRA、RC、及びRD は水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族、及び複素環式脂肪族から選択される。用語「アルキルアミン」は、ここで用いられる場合、少なくとも一個の置換もしくは非置換のアルキルをそれに結合させて有する、上に定義したとおりのアミン基を意味する。正の電荷を持つ(例えばRDが存在する)アミノ基は、「アンモニウム基」と言及される。アンモニウム基以外のアミノ基では、アミンは好ましくは塩基性であるとよく、例えばその共役酸が7を越えるpKaを有するとよい。 用語「アミド」及び「アミド」は当業で、一般式:として表すことのできる部分など、アミノ置換カルボニルとして公知であり、但し式中、 RA 及びRCは上に定義した通りである。いくつかの実施態様では、当該アミドにイミドが含まれるであろう。 「アルキル」とは、1乃至18個の炭素原子、好ましくは1乃至12個、より好ましくは1乃至6個、より好ましくは1乃至4個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖を言う。アルキル鎖は直鎖(例えばn-ブチル)であっても、又は分枝鎖(例えばs-ブチル、イソブチル、又はt-ブチル)であってもよい。好適な分枝鎖アルキルは、一つ又は二つの分枝、好ましくは一つの分枝を有するものである。好適なアルキルは飽和したものである。不飽和アルキルは、一つ以上の二重結合及び/又は一つ以上の三重結合を有するものである。好適な不飽和アルキルは、一つ又は二つの二重結合、あるいは一つの三重結合、より好ましくは一つの二重結合を有するものである。アルキル鎖は非置換でも、あるいは1乃至4個の置換基で置換されていてもよい。好適なアルキルは非置換である。好適な置換アルキルは一置換、二置換、又は三置換されたものである。好適なアルキル置換基には、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリール(例えばフェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルキルオキシカルボニルフェニル、ハロフェニル)、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール、がある。 「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、長さが同様であり、上に説明したアルキルに置換があってもよいが、それぞれ少なくとも1つの二重又は三重結合を含むような不飽和脂肪族の基を言う。 他に明示しない場合、用語アルキル、アルケニル及びアルキニルとは、好ましくは、例えば1乃至8個の炭素を有するなど、それぞれ低級アルキル、アルケニル及び低級アルキニル基を言う。 用語「アルコキシル」及び「アルコキシ」はここで用いられる場合、O-アルキル基を言う。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t-ブトキシ等がある。「エーテル」は1個の酸素で共有結合により連結された2個の炭化水素である。従って、炭化水素をエーテルにするような炭化水素の置換基は、アルコキシル、又は別の部分、例えば-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロアルキル、-O-アラルキル、-O-ヘテロアラルキル、-O-炭素環式脂肪族、又は-O-複素環式脂肪族である場合がある。 「アルキルセレノ」又は「セレノアルキル」とは、-Se-アルキル基を言う。「セレノエーテル」は、より広くは、1個のセレン原子で連結された2個の炭化水素基を言う。従って、炭化水素をセレノエーテルにするような炭化水素の置換基はアルキルセレノ、又は別の部分、例えば-Se-アリール、-Se-ヘテロアリール、-Se-ヘテロアルキル、-Se- アラルキル、-Se-ヘテロアラルキル、-Se-炭素環式脂肪族、又は-Se-複素環式脂肪族である場合がある。 用語「アルキルチオ」とは、-S-アルキル基を言う。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ等がある。「チオエーテル」とは、2個の炭化水素置換基に結合した硫黄原子を言い、例えば、酸素が硫黄に置換されているエーテルである。このように、炭素原子に付いたチオエーテル置換基とは、例えばアルキルチオ又はアリールチオ等、炭化水素置換硫黄原子置換基を言う。 ここで用いる用語「アラルキル」とは、1個のアリール基で置換されたアルキル基を言う。 「アリール環」とは、芳香族炭化水素環系を言う。芳香族の環は、例えばフェニル、ナフチル等、単環式又は縮合した二環式の環系である。単環式の芳香族環は、約5乃至約10個の炭素原子、好ましくは5乃至7個の炭素原子、そして最も好ましくは5乃至6個の炭素原子を環内に含有する。二環式の芳香族環は、8乃至12個の炭素原子、好ましくは9又は10個の炭素原子を環内に含有する。用語「アリール」は、さらに、環の一方のみが芳香族であり、例えば他方の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、又はヘテロシクリルであるような二環式の環系も包含する。芳香族の環は、置換されていなくても、あるいは、環の上で1乃至約5個の置換基で置換されていてもよい。好適な芳香族環の置換基には、ハロ、シアノ、低級アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ、又はこれらのいずれかの組合せ、がある。より好適な置換基には、低級アルキル、シアノ、ハロ、及びハロアルキル、がある。 「生物加水分解可能なアミド」とは、生理条件下で切断される(例えばヒドロキシル及びカルボン酸を形成するなど)アミド部分を言う。生理条件には、消化管(例えば胃、腸管など)、酵素切断、代謝、及び他の生物学的プロセスの酸性及び塩基性環境が含まれ、好ましくは、哺乳動物などの脊椎動物の生理条件を言う。 「生物加水分解可能なエステル」とは、生理条件下で切断される(例えばヒドロキシル及びカルボン酸を形成する)エステル部分を言う。生理条件には、消化管(例えば胃、腸管など)、酵素切断、代謝、及び他の生物学的プロセスの酸性及び塩基性環境が含まれ、好ましくは、哺乳動物などの脊椎動物の生理条件を言う。 「生物加水分解可能なイミド」とは、生理条件下で切断される(例えばヒドロキシル及びカルボン酸を形成する)イミド部分を言う。生理条件には、消化管(例えば胃、腸管など)、酵素切断、代謝、及び他の生物学的プロセスの酸性及び塩基性環境が含まれ、好ましくは、哺乳動物などの脊椎動物の生理条件を言う。 「炭素環式脂肪族の環」とは、飽和又は不飽和炭化水素環を言う。炭素環式脂肪族の環は芳香族ではない。炭素環式脂肪族の環は、単環式であるか、あるいは、縮合環、スピロ環、又は架橋した二環式の環系である。単環式炭素環式脂肪族の環は、約4乃至約10個の炭素原子、好ましくは4乃至7個の炭素原子、そして最も好ましくは5乃至6個の炭素原子を環内に含有する。二環式炭素環式脂肪族の環は、8乃至12個の炭素原子、好ましくは9乃至10個の炭素原子、を環内に含有する。炭素環式脂肪族の環は、置換されていなくても、あるいは、環の上で1乃至4個の置換基で置換されていてもよい。好適な炭素環式脂肪族の環の置換基には、ハロ、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ又はこれらのいずれかの組合せ、がある。より好適な置換基には、ハロ及びハロアルキルがある。好適な炭素環式脂肪族の環には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル、がある。より好適な炭素環式脂肪族の環には、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル、がある。 用語「カルボニル」は当業で公知であり、一般式:で表すことのできるような部分を包含し、但し式中、 RXは一個の結合であるか、又は、一個の酸素又は硫黄を表し、そしてREは一個の水素、炭化水素置換基、又は薬学的に許容可能な塩を表し、RFは一個の水素又は炭化水素置換基を表す。RXが一個の酸素であり、そしてRE又はRFが水素でない場合、当該の式は「エステル」を表す。RXが一個の酸素であり、そしてREが上に定義した通りである場合、当該の部分をここではカルボキシル基と言及し、特にREが一個の水素である場合、当該の式は、「カルボン酸」を表す。RXが一個の酸素であり、そしてRFが水素である場合、当該の式は「ギ酸」を表す。一般的には、上記の式の酸素原子が硫黄で置換された場合、当該の式は「チオカルボニル」基を表す。RXが硫黄であり、そしてRE又はRFが水素でない場合、当該の式は「チオエステル」を表す。RXが硫黄であり、そしてREが水素である場合、当該の式は「チオカルボン酸」を表す。RXが硫黄であり、そしてRFが水素である場合、当該の式は「チオギ酸」を表す。他方RXが一個の結合であり、REが水素でなく、そして当該のカルボニルが炭化水素に結合している場合、上の式は「ケトン」基を表す。RXが一個の結合であり、REが水素であり、そして当該のカルボニルが炭化水素に結合している場合、上の式は「アルデヒド」又は「ホルミル」基を表す。 「Ciアルキル」は、i個の数の員原子を有するヘテロアルキル鎖である。例えばC4アルキルは4個の炭素員原子を含有する。C4アルキル含有は、飽和していても、あるいは、一つ又は二つの二重結合 (cis 又はtrans)又は一つの三重結合を有して不飽和であってもよい。好適なC4アルキルは飽和したものである。好適な不飽和C4アルキルは一つの二重結合を有するものである。C4アルキルは置換されていなくても、あるいは、一つ又は二つの置換基で置換されていてもよい。好適な置換基には、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、シアノ、ハロ、及びハロアルキル、がある。 「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基を言う。好適なハロゲンはフルオロ、クロロ及びブロモである。より好適なものはクロロ及びフルオロである。 「ハロアルキル」とは、一つ以上のハロ置換基で置換された直鎖、分枝鎖、又は環状の炭化水素を言う。好適なハロアルキルはC1-C12である。より好適なものはC1-C6である。さらにより好適なものはC1-C3である。好適なハロ置換基はフルオロ及びクロロである。最も好適なハロアルキルはトリフルオロメチルである。 「ヘテロアルキル」は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子から成る飽和もしくは不飽和の鎖であり、このとき2つのヘテロ原子はいずれも隣り合っていない。ヘテロアルキル鎖は、1乃至18個の員原子(炭素及びヘテロ原子)を鎖内に含有し、好ましくは1乃至12個、より好ましくは1乃至6個、さらにより好ましくは1乃至4個を含有する。ヘテロアルキル鎖は、直鎖でも、又は分枝鎖でもよい。好適な分枝鎖ヘテロアルキルは、一つ又は二つの分枝、好ましくは一つの分枝を有するものである。好適なヘテロアルキルは飽和したものである。不飽和ヘテロアルキルは、一つ以上の二重結合及び/又は一つ以上の三重結合を有する。好適な不飽和ヘテロアルキルは、一つ又は二つの 二重結合あるいは一つの三重結合、より好ましくは一つの二重結合、を有するものである。ヘテロアルキル鎖は、そうでないと明示しない限り、置換されていなくても、又は、1乃至約4個の置換基で置換されていてもよい。好適なヘテロアルキルは非置換のものである。好適なヘテロアルキル置換基には、ハロ、アリール(例えばフェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルコキシカルボニルフェニル、ハロフェニル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、がある。例えば、以下の置換基で置換されたアルキル鎖は、ヘテロアルキルである:アルコキシ (例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、 ブトキシ、ペントキシ)、アリールオキシ(例えばフェノキシ、クロロフェノキシ、トリルオキシ、メトキシフェノキシ、ベンジルオキシ、アルコキシカルボニルフェノキシ、アシルオキシフェノキシ)、アシルオキシ(例えばプロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ、アセトキシ)、カルバモイルオキシ、カルボキシ、メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(例えばフェニルチオ、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニルチオ、ベンジルチオ、アルコキシカルボニルフェニルチオ)、アミノ(例えばアミノ、モノ-及びジ-C1-C3アルキルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ、C1-C3アルキルアミド、カルバムアミド、ウレイド、グアニジノ)。 「ヘテロ原子」とは、例えば硼素、リン、珪素、窒素、硫黄、又は酸素原子などの多価の非炭素原子を言い、好ましくは窒素、硫黄、又は酸素原子である。2個以上のヘテロ原子を含有する基は異なるヘテロ原子を含有していてもよい。 「ヘテロアリール環」とは、炭素と、1乃至約4個のヘテロ原子とを環内に含有する芳香族の環系を言う。複素環式芳香族の環は、単環式又は縮合した二環式の環系である。単環式の複素環式芳香族環は、約5乃至約10個の員原子(炭素及びヘテロ原子)、好ましくは5乃至7個、そして最も好ましくは5乃至6個を環内に含有する。二環式の複素環式芳香族環は、8乃至12個の員原子、好ましくは9 又は10個の員原子を環内に含有する。用語「ヘテロアリール」は、さらに二環式の環系も包含し、このとき環の一方のみが芳香族であり、例えば他方の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、又はヘテロシクリルである。複素環式芳香族環は、置換されていなくても、あるいは、環上で1乃至約4個の置換基で置換されていてもよい。好適な複素環式芳香族環の置換基には、ハロ、シアノ、低級アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ又はこれらのいずれかの組合せ、がある。好適な複素環式芳香族の環には、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、プリニル、ピリミジル、ピリジル、及びフラニル、がある。より好適な複素環式芳香族の環には、チエニル、フラニル、及びピリジル、がある。 「複素環式脂肪族の環」は、炭素と、1乃至約4個のヘテロ原子を環内に含有する、芳香族以外の飽和もしくは不飽和の環であり、このとき、2つのヘテロ原子はいずれも環内で隣り合っておらず、そして好ましくは、ヘテロ原子に結合した環内の炭素はいずれも、ヒドロキシル、アミノ、又はチオール基をそれに結合させて有していないとよい。複素環式脂肪族の環は、単環式であるか、あるいは、縮合もしくは架橋した二環式の環系である。単環式複素環式脂肪族の環は約4乃至約10個の員原子(炭素及びヘテロ原子)、好ましくは4乃至7個、そして最も好ましくは5乃至6個の員原子を環内に含有する。二環式複素環式脂肪族の環は、8乃至12個の員原子、好ましくは9又は10個の員原子を環内に含有する。複素環脂肪族の環は、置換されていなくても、又は、環の上で1乃至約4個の置換基で置換されていてもよい。好適な複素環式脂肪族の環の置換基には、ハロ、シアノ、低級アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ又はこれらのいずれかの組合せ、がある。より好適な置換基には、ハロ及びハロアルキルがある。複素環の基には、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、ヒダントイン、オキサゾリン、イミダゾリントリオン、トリアゾリノン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノン及びピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトン等がある。好適な複素環式脂肪族の環には、ピペラジル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル及びピペリジル、がある。さらに複素環は多環式であってもよい。 用語「ヒドロキシル」は-OHを意味する。 「低級アルキル」とは、1乃至4個、好ましくは1乃至3個の炭素員原子、より好ましくは1又は2個の炭素員原子から成るアルキル鎖を言う。低級アルキルは飽和していても、又は不飽和であってもよい。好適な低級アルキルは飽和したものである。低級アルキルは、置換されていなくても、あるいは、一つ又は約二つの置換基で置換されていてもよい。低級アルキル上の好適な置換基には、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、アミノ、及びヒドロキシル、がある。本出願全体を通じ、好適なアルキル基は、低級アルキルである。好適な実施態様では、ここでアルキルと指定される置換基は、低級アルキルである。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は同様な鎖長を有するものである。 「低級ヘテロアルキル」とは、1乃至4個、好ましくは1乃至3個の員原子、より好ましくは1又は2個の員原子から成るヘテロアルキルを言う。低級ヘテロアルキルは、一つ又は二つの非隣接ヘテロ原子員原子を含有する。好適な低級ヘテロアルキルは一つのヘテロ原子員原子を含有するものである。低級ヘテロアルキルは飽和でも、又は不飽和であってもよい。好適な低級ヘテロアルキルは飽和したものである。低級ヘテロアルキルは置換されていなくても、あるいは1又は約2個の置換基で置換されていてもよい。低級ヘテロアルキル上の好適な置換基には、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、及びヒドロキシル、がある。 「Mi ヘテロアルキル」は、i個の員原子を有するヘテロアルキル鎖である。例えば、M4 ヘテロアルキルは一つ又は二つの非隣接ヘテロ原子員原子を含有する。1個のヘテロ原子員原子を含有するM4ヘテロアルキルは、飽和していても、又は、一つの二重結合 (cis又はtrans) あるいは一つの三重結合を持つ状態で不飽和であってもよい。2個のヘテロ原子員原子を含有する好適なM4ヘテロアルキルは飽和したものである。好適な不飽和M4 ヘテロアルキルは一つの二重結合を有するものである。M4ヘテロアルキルは置換されていなくても、あるいは、一つ又は二つの置換基で置換されていてもよい。好適な置換基には、低級アルキル、低級ヘテロアルキル、シアノ、ハロ、及びハロアルキル、がある。 「員原子」とは、ある一つの鎖又は環の一部を成す該鎖又は環系内の多価原子(例えば、C、O、N、又はS 原子)を言う。例えば、クレゾールにおいては、6個の炭素原子が環の員原子であり、そしてそのメチル置換基の酸素原子及び炭素原子は当該環の員原子ではない。 ここで用いる場合の用語「ニトロ」とは-NO2を意味する。 「フェニル」は、1乃至5個の置換基で置換されていても、又は置換されていなくてもよい6員環の単環式芳香族環である。該置換基は、フェニル環上のオルト、メタ又はパラ位あるいはこれらのいずれかの組合せの位置にあってもよい。好適なフェニル置換基には、ハロ、 シアノ、低級アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ又はこれらのいずれかの組合せ、がある。フェニル環上のより好適な置換基には、ハロ及びハロアルキルがある。最も好適な置換基はハロである。 用語「ポリシクリル」及び「多環式の基」とは、一つの環の2つ以上の員原子が、第二の環の員原子であるような2つ以上の環(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、アリール及び/又はヘテロシクリル)を言う。隣り合っていない原子を介して接合された環は、「架橋」環と呼ばれ、隣り合った環を介して接合された環は「縮合」環である。 ここで用いる場合の用語「溶媒和物」とは、溶質又はその塩もしくは薬学的に機能的な誘導体と、溶媒とで形成される可変の化学量論的錯体を言う。本発明の目的のための、このような溶媒は、溶質の生物活性に干渉してはならない。溶媒の例には、限定はしないが、水、メタノール、エタノール、及び酢酸、がある。好ましくは、用いる溶媒が、薬学的に許容可能な溶媒であるとよい。薬学的に許容可能な溶媒の例には、水、エタノール、及び酢酸、がある。 用語「スルフヒドリル」とは、-SHを意味し、そして用語「スルホニル」は-SO2-を意味する。 用語「スルファモイル」は当業で公知であり、一般式:で表される部分を包含し、但し式中、 RA及びRCは上に定義した通りである。 用語「スルフェート」は当業で公知であり、一般式:で表すことのできる部分を包含し、但し式中、 RCは上に定義した通りである。 用語「スルホンアミド」は当業で公知であり、一般式:で表される部分を包含し、但し式中、 RA及びRBは上に定義した通りである。 ここで用いられる用語「スルホキシド」及び「スルフィニル」は当業で公知であり、一般式:で表される部分を包含し、但し式中、 RAは上に定義した通りである。 低有機分子上の「置換」又は「置換基」とは、一般に、例えば、ある鎖又は環上の、その鎖又は環の員原子以外の位置など、水素以外の部分に結合した多価原子上の位置を言う。このような部分には、ここで定義するものや、当業で公知の他のもの、例えばハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アジド、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボニル (例えばカルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、ケトン、又はアシル)、チオカルボニル (例えばチオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミン、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、シリル、エーテル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニル、ヘテロアラルキル、アラルキル、アリール又はヘテロアリール、がある。当業者であれば、アリール、ヘテロアリール、ポリシクリル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、 ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニルなどの特定の置換基は、適当であればそれら自体を置換することもできることは理解されよう。本発明が、有機化合物の許容可能な置換基によって限定を受けるとは、いかなる態様でも意図されていない。「置換」又は「で置換される」には、このような置換が、置換された原子及び置換基の許容原子価に従ったものであり、その置換の結果、例えば再配置、環化、消失、加水分解等の変化を自発的には行わないなどの安定な化合物ができるという暗黙の前提を包含するものであることを、理解されよう。 ここで用いられる場合、いずれかの構造において2箇所以上あるような、例えばアルキル、m、n等の各表現の定義は、同じ構造の他の箇所でのその定義とは独立であることが意図されている。 Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、及びMsという略語は、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、及びメタンスルホニルを表す。当業の有機化学者が用いる省略のより包括的なリストは、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリの各巻の第一版に見られるが、このリストは典型的には、スタンダード・リスト・オブ・アブリビエーションズという標題の表で表されている。前記リストに含まれた略語、及び当業の有機化学者が用いるすべての略語を、引用をもってここに援用することとする。 オルト、メタ及びパラという用語はそれぞれ1,2-、1,3-、及び1,4-二置換ベンゼンに用いられている。例えば1,2-ジメチルベンゼン及びオルト-ジメチルベンゼンという名称は同義である。 ここで用いられる「アミノ末端保護基」という用語は、有機合成、特にペプチド合成に典型的に用いられる末端アミノ保護基を言う。公知の分類のいずれの保護基も使用することができ、その中には、アシル保護基、例えばアセチル、及びベンゾイル;芳香族ウレタン保護基、例えばベンジルオキシカルボニル;及び脂肪族ウレタン保護基、例えばt-ブトキシカルボニル、がある。例えばThe Peptides, Gross andMienhoffer,eds., Academic Press, New York (1981), Vol. 3, pp. 3-88; and Green,T. W. & Wuts, P. G. M. , Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd edition,John Wiley and Sons, Inc. , New York (1991)を参照されたい。好適な保護基にはアリール-、アラルキル-、ヘテロアリール-及びヘテロアリールアルキル- カルボニル及びスルホニル部分、がある。 本発明の目的のためには、化学元素は、ハンドブック・オブ・ケミストリー・アンド・フィジックス、第67版、1986−87、表紙内側のCASバージョンの元素周期表に基づいて表されている。さらに本発明の目的のために、「炭化水素」という用語は少なくとも一つの炭素−水素間の結合を有するあらゆる許容可能な化合物又は部分を含むものとして考察されている。広い意味では、この許容可能な炭化水素には、非環式及び環式、枝分かれ式及び非枝分かれ式、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の、置換された又は置換されていなくともよい有機化合物が含まれる。 本発明のいくつかの化合物は、特定の幾何学的もしくは立体異性学的形状で存在していてもよい。本発明は、cis-及びtrans-異性体、R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、これらのラセミ混合体、及びこれらの他の混合体を含め、あらゆるこのような化合物を、本発明の範囲に入るものと、考える。更なる非対称の炭素原子がアルキル基などの置換基に存在していてもよい。このような異性体や、それらの混合物はすべて、本発明に包含されるものと、意図されている。 例えば、本発明のある化合物の特定のエナンチオマーを欲しい場合、これは非対称合成又はキラル補助による誘導法で作製することができ、この場合、その結果得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断して所望の純粋なエナンチオマーを得る。あるいは、分子がアミノなどの塩基性の官能基を含有する場合、又はカルボキシルなどの酸性の官能基を含有する場合、適した光学的に活性な酸又は塩基でジアステレオマーの塩を形成した後、このように形成されたジアステレオマーを、当業で公知の分別晶出又はクロマトグラフィーで分解した後、精製されたエナンチオマーを回収してもよい。エナンチオマはさらに、「キラル・カラム」、即ち固体の支持体に結合したキラル分子を用いてエナンチオマをクロマトグラフィにより分離する方法、を用いても、分離できよう。 上述した化合物の考え得る均等物には、当該化合物の効果に悪影響を与えない範囲で、一箇所以上の置換基に簡単な変更が行われたような、しかし他の点でそれに相当する化合物や、それらと同じ一般的性質を有する化合物が含まれる。一般的には、本発明の化合物は、例えば以下に解説した通りの概略的反応スキームに示した方法や、又は、その変更法により、容易に入手できる開始材料、試薬、及び従来の合成法を用いて調製できよう。これらの反応では、ここでは言及しないが、それ自体公知である変種を利用することもできる。B. 一般的な用語 用語「アミノ酸類似体」とは、天然型アミノ酸に構造上同様であるが、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基又は側鎖官能基のいずれかが化学修飾された化合物を言う。例えば、アスパラギン酸(ベータ-メチルエステル)は、アスパラギン酸のアミノ酸類似体であり;N-エチルグリシンはグリシンのアミノ酸類似体であり;あるいはアラニンカルボキサミドはアラニンのアミノ酸類似体である。 用語「ED50」は、ある薬物の最大応答又は効果を生じるその用量を意味する。 用語「胃腸管の炎症」、「炎症性腸疾患」、及び「胃腸管の炎症」は、ここでは、食道から、直腸のS状曲部又は結腸終端までのいずれかの胃腸管部分の炎症を意味するために、交換可能に用いられている。当該の炎症は急性であってもよいが、本発明の組成物は一般に慢性状態を治療するために用いられる。 用語「健康管理者」とは、個人又はコミュニティ等に健康管理サービスを提供する個人又は機関を言う。「健康管理者」の例には、医師、病院、継続看護型退職後コミュニティ、熟練した看護機関、準急性看護機関、診療所、多専門型診療所、移動型救急センター、家庭健康代理店、及びHMO、がある。 用語「IC50」は、生物活性を50%阻害する、薬物の用量を意味する。 用語「LD50」は、検査対象の50%で致死的な、薬物の用量を意味する。 「単回経口投薬量調合物」とは、少なくとも最大で当該薬物のEC50、しかしLD50未満の血清中濃度を生じるような薬物量を提供する投薬量である。単回経口投薬量調合物の別の尺度は、少なくとも最大でその薬物のIC50、しかしLD50未満の血清中濃度を生じるのに必要な薬物量をそれが提供することである。いずれの尺度であっても、単回経口投薬量調合物は、好ましくは、LD50の少なくとも10パーセント少ない、そしてさらにより好ましくは当該薬物のLD50の少なくとも50パーセント、75パーセント又はさらに90パーセント少ない血清中濃度を生じる薬物量であるとよい。 本方法で治療しようとする「患者」又は「対象」は、ヒト又はヒト以外の対象のいずれを意味する場合もある。 「薬学的に許容可能な」という文言は、ここでは、妥当な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題又は合併症を起こすことなく、ヒト及び動物の組織に接触させて用いるのに適した、健全な医療上の判断の範囲内にある、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を言うために用いられている。 ここで用いられている「薬学的に許容可能な担体」という文言は、本発明のプロ阻害剤を身体の一臓器又は一部分から、身体の別の臓器又は一部分に運ぶ又は輸送することに関与する、例えば液体又は固体の充填剤、希釈剤、医薬品添加物、溶媒又は封入剤などの薬学的に許容可能な材料、組成物又は伝播体を意味する。各担体は、その調合物中のその他の成分に対して適合性があり、かつ、患者にとって有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として役立てることのできる材料のいくつかの例には、(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類、(2)コーンスターチ及びいもでんぷんなどのでんぷん、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートなど、セルロース及びその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバター及び座薬用ろうなどの医薬品添加物、(9)ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油脂類、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリル酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)無発熱源水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、及び(21)薬剤調合に用いられるその他の非毒性の適合性物質、が含まれる。 これらの場合の「薬学的に許容可能な塩類」という用語は、本発明の化合物の、比較的に非毒性の無機及び有機塩基添加塩類を言う。 用語「薬学的に機能的な誘導体」とは、哺乳動物に投与されたときに本プロ阻害剤を提供(直接又は間接的に)できる、エステル又はアミドなど、本発明のプロ阻害剤の薬学的に許容可能な誘導体を言う。このような誘導体は、不要な実験を行うことなく、当業者の知るところであろう。しかしながら、参考までにBurger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1を引用しておく。 ここで用いる場合の「生理条件」とは、生きた生物と適合性ある、及び/又は、生きた哺乳動物細胞の細胞内に典型的に存在する、温度、pH、イオン強度、粘性等の生化学的パラメータを言う。用語「プロドラッグ」は、ここで用いる場合、生理条件下で治療上活性な薬剤に転化するような化合物を包含するものである。プロドラッグを作製するための通常の方法は、生理条件下で加水分解して所望の分子が現れるような所定の部分を含めることである。他の実施態様では、プロドラッグはホスト動物の酵素活性により転化される。 文言「保護基」は、ここで用いられる場合、望ましくない化学的変換から一個の潜在的反応性官能基を保護するような一時的な置換基を意味する。このような保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、及び、それぞれアルデヒド及びケトンのアセタル及びケタルがある。例えば、ここで用いられる場合の文言「N末端保護基」又は「アミノ保護基」とは、望ましくない反応に対してアミノ酸又はペプチドのN末端を保護するために利用できる多種のアミノ保護基を言う。適した基の例には、アシル保護基、例えば例を挙げると、ホルミル、ダンジル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル及びメトキシスクシニル;芳香族ウレタン保護基、例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz);及び脂肪族ウレタン保護基、例えばt-ブトキシカルボニル(Boc)又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、がある。保護基化学の分野は レビューがなされている(Greene, T.W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in OrganicSynthesis, 2nd ed.; Wiley: New York,1991)。 用語「可逆的コンホメーション依存的失活」とは、pH依存的コンホメーション変化など、標的プロテアーゼの阻害に関して異なる効力を有する2つの型が生じるような、生理条件下で起きるコンホメーション変化を言う。好ましくは、型の一方(「不活性な型」)が活性な型の阻害活性の50%未満、そしてより好ましくは25、10、5パーセント未満、又はさらに1パーセント未満を有するとよい。さらに描出すると、可逆的pH依存的環化の場合、環状の型の有する標的プロテアーゼを阻害するKi(阻害定数)は、直線状型よりも少なくとも5倍大きく、そしてさらにより好ましくは少なくとも10、100、1000 又は10,000 倍大きいとよい。 用語「貯蔵寿命」とは、典型的に、プロ阻害剤の性能上の特徴がピークに留まる期間を言う。ここで用いられる場合の用語「T90」とは、本プロ阻害剤の製剤が、開始試料の活性の90パーセントを有する時点、例えば10パーセントの喪失など、まで分解するのにかかる時間量を言う。同様に、用語「T50」とは、本プロ阻害剤の製剤が、開始試料の活性の50パーセントを有する時点、例えば50パーセントの喪失など、まで分解するのにかかる時間を言う。プロ阻害剤の医薬製剤に関する貯蔵寿命は、T90又はT50で報告されるに関係なく、健康管理者又は患者による使用に向けて製剤が梱包されたときにそれに関して測定される。 用語「低」とは、ここで定義する場合、10原子以下の群を言う。 用語「統計上有意な」とは、ここで用いられる場合、得られた結果が、特定の確率レベルでの偶然の変動が原因ではないと思われることを意味する。最もよく用いられている2つの具体的な有意水準は、0.05 (p=0.05) 及び0.01 (p=0.01)である。0.05 及び0.01 に等しい有意水準は、誤りの確率がそれぞれ100のうち5、及び100のうち1である。例えば効力、貯蔵寿命の向上等、ここで差と判断されたものに関しては、このような差は、少なくとも統計上有意であるものと、理解されよう。 ここで用いる場合の用語「実質的に可溶性の」とは、吸入性推進薬混合物内に溶解して、室温で少なくとも24時間、攪拌せずに放置したときに層に分離しないか、又は、沈殿物を形成しないような実質的に透明から濁りを帯びた溶液を形成することのできるプロ阻害剤を言う。 「経皮用パッチ」とは、口内に見られるものなどの粘膜を含め、皮膚又は適した外部表面を通じて患者に薬物を送達することのできる系を意味する。このような送達系は、一般に、柔軟性の裏材と、接着材と薬物保持マトリックスとを含み、前記裏材は前記接着剤及びマトリックスを保護し、また前記接着剤はこの全体を患者の皮膚上に保持するものである。皮膚への接触時、前記薬物保持マトリックスはプロ阻害剤を皮膚へ送達し、次に前記薬物が皮膚を通過して患者の身体内へ至る。 用語「クォーターナイジング(原語:quarternizing)剤」とは、3個以下の置換基を持つ窒素原子を、4個の置換基を持つ正の電荷を持つ窒素原子に転化させる化合物を言う。クォーターナイジング剤の例には、ハロゲン化低級アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、及び塩化、臭化、及びヨウ化ブチル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、及びジアミルなどの硫酸ジアルキル、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルなどの長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及びフェネチルなどのハロゲン化アラルキル等がある。 用語「治療指数」とは、LD50/ED50で定義される薬物の治療指数を言う。 本治療法に関して、本発明のジペプチジルペプチダーゼ阻害剤などの化合物の「治療上有効量」とは、所望の投薬計画の一部として(哺乳動物、好ましくはヒト)に投与されたときに、治療しようとする異常又は状態にとって、又は、美容目的にとって、例えばいずれかの医学的処理に適用可能な妥当な利益/リスク比でなど、臨床上許容可能な標準に従って、症状を軽減する、状態を改善する、又は、疾患状態の開始を遅らせるような、一製剤中の化合物量を言う。 本治療法に関して、本発明のプロ阻害剤など、ある化合物の「治療上有効な一日当たりの投薬量」とは、所望の毎日の投薬計画の一部として(哺乳動物、好ましくはヒト)に投与されたときに、治療しようとする異常又は状態にとって、又は、美容目的にとって、例えばいずれかの医学的処理に適用可能な妥当な利益/リスク比でなど、臨床上許容可能な標準に従って、症状を軽減する、状態を改善する、又は、疾患状態の開始を遅らせるような、一製剤中の化合物量を言う。III. 化合物の例 いくつかの実施態様では、本方法は、一般式(I):で表される「プロ阻害剤」又はその溶媒和物、薬学的に機能的な誘導体もしくは薬学的に許容可能な塩を提供するものであり、但し式中、 A は、例えば活性化プロテアーゼの基質であるペプチジル部分など、「アドレス部分」を表し; A 及びG は、活性化プロテアーゼで切断される結合により共有結合的により連結しており;そして G は、標的プロテアーゼのタンパク質分解活性を阻害するなど、「阻害剤部分」を表し、但し前記阻害剤部分Gは、活性化セリンプロテアーゼによりAから切断されたときに、可逆的なコンホメーション依存的失活(例えば分子内環化又はcis/trans異性体化)を起こす、及び/又は、100nM以下のKiで標的プロテアーゼを阻害する。 好適な実施態様では、前記アドレス部分Aは、例えば2乃至10アミノ酸残基、より好ましくは2乃至4残基の、活性化酵素にとって基質であるC末端連結ペプチド又はペプチド類似体を表す。いくつかの好適な実施態様では、A はジペプチジル又はトリペプチジル部分である。いくつかの実施態様では、Aは天然型アミノ酸又はその類似体を由来とし、そしていくつかの好適な実施態様では、Aのうちの少なくとも1つの残基は非天然型アミノ酸類似体である。 いくつかの好適な実施態様では、例えばアドレス部分AがDPPIVの基質である場合など、当該ペプチド又はペプチド類似体のアミノ末端は、アミノ末端保護基、好ましくはメチル基などの低級アルキルで遮断されている。 好適な実施態様では、阻害剤部分G は、ジペプチジル部分と、該ジペプチジル部分のカルボキシル末端を置換するプロテアーゼの活性部位中の残基と共有結合付加物を形成することのできる求電子性官能基とである。例えば、前記阻害剤部分Gは、一般式(II:で表すことができ、但し式中、 Xaa1及びXaa2 はそれぞれ個別に、例えば天然型アミノ酸又はその類似体由来の一個のアミノ酸残基を表し; W は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば-CN、-CH=NR5、であり、但し式中、 R5は、H、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、-(CH2)m- R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、- (CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、-(CH2)n-S-アルケニル、-(CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、-C(O)C(O)NH2、-C(O)C(O)OR7を表し; R6 は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7 は、それぞれ個別に、水素、又は一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し;そして Y1及びY2は、個別に又は一緒に、OHであるか、あるいは、Y1及びY2が、5乃至8個の原子を環構造内に有する一個の環を介して接続しているような環状の誘導体(例えばピナコール等)を含め、加水分解してヒドロキシル基になることのできる基であってよく、 R50はO又はSを表し; R51はN3、SH2、NH2、NO2 又は-OR7を表し; R52 は水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは、R51及びR52はこれらが結合したリン原子と一緒になって環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を形成し、 X1は一個のハロゲンを表し; X2 及びX3はそれぞれ、一個の水素又は一個のハロゲンを表し; m はゼロ又は、1乃至8の範囲内の整数であり;そしてn は1乃至8の範囲内の整数である。 本発明のプロ阻害剤は、それら自体は環化又は他の形の可逆的コンホメーション依存的失活を起こさず、また、活性化プロテアーゼによって切断される前には、所定の標的酵素又は他の酵素を大きく阻害しないように、構築することができる。即ち、本プロ阻害剤はそれら自体では不活性であるが、アドレス部分Aがプロ阻害剤から除去されたときに、活性型の阻害剤部分Gを身体内で生じる。 しかしながら、本発明の分子は、従来から理解及び定義された通りのプロドラッグ以上のものである。従来のプロドラッグの「活性」成分は、前駆プロドラッグから遊離したときに、非プロドラッグ実施態様中に調製された場合の「活性」成分とは、化学的にも、又は機能的にも、異ならない。対照的に、本阻害剤部分Gは、本プロ阻害剤A-Gから遊離したときには、すべて活性型としてのみ、見られる。 例えば、可逆的pH依存的失活を起こす阻害剤部分は、たとえばそれが、環状の不活性型にとって通常は甚だ有利であろうpHである生理的pH(即ち-7.2)で身体内で遊離したとしても、開放鎖型として生じる。本プロ阻害剤のデザインが意図するように、標的酵素の近傍で遊離したとしても、本阻害剤部分Gは、単独で投与された阻害剤部分に比較して高い見かけの効力を有するであろう。なぜなら、本阻害剤の後者の投与経路の結果、生理pHでは活性型及び不活性型の間で平衡が起きる結果、不活性な環状型の量が実質的に多くなるからであろう。これはpH値がより高いときに特に真実である。しかし、別々に調製された阻害剤Gでは、低いpH値のときでも、何らかの量の環状構造も存在する。 本発明のプロ阻害剤分子が典型的なプロドラッグと異なる2番目の特徴は、本訴外在部分は、標的の近傍で活性型で生じたときに、例えば標的酵素から拡散していくなど、時間と共に可逆的なコンホメーション依存的失活を起こすことで、患者の他の部分で酵素阻害があった場合に有害な副作用が起きる可能性を低減できることである。このように、遊離が「ハイパーな」又は「超活性な」、「開放鎖」型で標的酵素の近傍で起きることと、この「プログラムされた」失活機序とが組み合わされたことで、本発明の分子は、単独で用いられた場合の阻害剤部分よりも、より特異的、効果的、かつ安全(即ち副作用が小さい)ものになる。 いくつかの実施態様では、本阻害剤部分Gは、例えば天然型アミノ酸又はアミノ酸類似体を由来とするなどのジペプチジル部分である。 いくつかの実施態様では、本阻害剤部分Gは、活性化プロテアーゼによりプロ阻害剤から切断されたときに、標的プロテアーゼを100nM(10-7M) 以下のKi、そしてさらにより好ましくは、25nM、10nM(10-8M)、1nM(10-9M)、又は0.1 nM(10-10M)以下のKiで阻害するような標的プロテアーゼ阻害剤である。いくつかの実施態様では、10-11M そしてさらに10-12M 未満のKiが当該の阻害剤部分について測定又は推定されている。 いくつかの実施態様では、不活性型のKiは、活性型の阻害剤部分のKiよりも少なくとも5倍大きく、そしてさらにより好ましくは少なくとも100倍、1000倍又はさらに10,000倍大きい。 いくつかの好適な実施態様では、環化反応などの可逆的コンホメーション依存的失活に関する平衡定数(Keq)は、少なくとも5:1で不活性型に有利、そしてさらにより好ましくは10:1、100:1又はさらに1000:1である。 いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤の治療指数は、阻害剤部分単独の治療指数の少なくとも2倍大きく、そしてさらにより好ましくは5、10、50又は100倍大きい。 本プロ阻害剤の多くの場合、阻害剤部分自体に比べたときのもう一つの向上点は、例えば溶液、油類、又は固体調合物などの医薬製剤中でのその安定性の向上である。このような安定性は、貯蔵寿命で表すことができる。いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は、少なくとも7日間、そしてさらにより好ましくは少なくとも20日間、50日間、100日間又はさらに200日間のT90を有する。いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は、少なくとも20日間、そしてさらにより好ましくは少なくとも50日間、100日間、200日間、又はさらに400日間のT50を有する。いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は、固体の単回経口投薬調合物の場合に、少なくとも20日間、50日間、100日間又はさらに200日間のT90を有する。いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は、液体の単回投薬懸濁液の場合に、少なくとも20日間、50日間、100日間又はさらに200日間のT90を有する。 好適な本プロ阻害剤の医薬製剤は実質的に発熱源を含まないとよい。例えば、いくつかの好適な実施態様では、当該製材のエンドトキシン濃度は、(エンドトキシン指針の付録Eで示された、最大許容FDA限界に比較する限界検査としての)ゲル−クロット法で検定したときに、10 EU/mL又はEU/単回投薬調合物未満、そしてさらにより好ましくは5、1、又はさらに0.1 EU/mL もしくはEU/単回投薬調合物未満、であるとよい。 いくつかの実施態様では、大量注射、経口投薬又は吸入投薬などの本プロ阻害剤の単回投与により、少なくとも4時間、そしてさらにより好ましくは少なくとも8、12又はさらに16時間という時間、本阻害剤部分Gを治療上有効量(≧ED50濃度)提供できるなど、持続的なin vivo効果を生じることができる。 いくつかの好適な実施態様では、遊離する阻害剤部分G、特に不活性型の有する、血清中又は他の生物学的に関連する流体中での半減期(例えばより低分子量のフラグメント及び/又は非可逆的な型への分解に比較してなど)は10時間を越え、そしてさらにより好ましくは24、48又は120時間を越える。このような半減期は、コンホメーション依存的な失活を逆行させる条件に試料が移行したときに生じることのできる活性型の量などを判定することにより、測定することができる。例えば、不活性型に有利なpH−7.2でインキュベートした試料を低いpHに移行させて、ある一定の時間にわたる相対的な阻害剤活性レベルを判定することができる。 本発明の調合物には、経口、口腔内、非経口、経皮、吸入、鼻内、経粘膜、インプラント、又は直腸投与に特に調合されたものが含まれる。 いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は経口的に利用可能であり、ヒトの患者への経口投与に適した固体の投薬調合物の形で提供することができる。 いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は経皮的に活性であり、局所用クリームもしくは懸濁液又は経皮用パッチの形で提供することができる。 本発明の別の局面は、一種以上の本プロ阻害剤と、当該調合物の患者への投与を解説した指示(書面及び/又は図面)とを含む医薬梱包物を提供するものである。描出のみを目的とすると、梱包物の例は、代謝異常、胃腸管の異常、ウィルス性の異常、炎症性異常、糖尿病、肥満、高脂血症、皮膚又は粘膜の異常、乾癬、腸管の不全、便秘、自己免疫異常、脳脊髄炎、補体媒介性の異常、腎炎、脂肪異栄養症;組織損傷、心身障害、抑うつ障害、及び神経精神障害、HIV感染、アレルギ、炎症、関節炎、移植片拒絶、高血圧、うっ血性心不全、腫瘍、及びストレス性流産の治療又は予防の一つ以上のために適宜調薬され、関する指示を含む。 好ましくは、本梱包物は、単回の経口投薬調合物として提供された一つ以上のプロ阻害剤を含むとよい。 本プロ阻害剤が一つ以上のキラル中心を含む場合、好適な実施態様では、本プロ阻害剤が、当該プロ阻害剤の(ジストマ(原語:distomer)に比較して)うち少なくとも75モルパーセント、そしてさらにより好ましくは少なくとも80、90、95又はさらには99モルパーセント、がユートマ(原語;eutomer)である状態で提供されるとよい。一般的には、あるアミノ酸又はアミノ酸類似体のL-エナンチオマ(Cα位炭素について)になったユートマである。 いくつかの実施態様では、本プロ阻害剤は、一般式(III):で表されるテトラペプチジル部分であり、但し式中、 Xaa'1、Xaa"2、Xaa1及びXaa2はそれぞれ個別に、例えば天然型アミノ酸又はその類似体などの一個のアミノ酸残基を表し; Wは、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば-CN、-CH=NR5、であり、但し式中、 R5 はH、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、-(CH2)m-R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、- (CH2)n-S-アルケニル、-(CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、-C (O)C(O)NH2、-C(O)C(O)OR7を表し; R6は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換の アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7 は、それぞれ個別に、水素、又は一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、 シクロアルケニル、又は複素環を表し;そして Y1 及びY2は、個別又は一緒に、OHか、又は、加水分解して、Y1及びY2 が環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の環(例えばピナコール等)で接続されているような環状の誘導体を含むヒドロキシル基になることのできる基であってよく、 R50 はO 又はSを表し; R51 はN3、SH2、NH2、NO2又は-OR7を表し; R52 は水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは R51及びR52はこれらが結合したリン原子と一緒になって、環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を完成し、 X1 は一個のハロゲンを表し; X2 及びX3はそれぞれ一個の水素又は一個のハロゲンを表し;mはゼロ又は1乃至8の範囲の整数であり;そしてn は1乃至8の範囲の整数である。 いくつかの好適な実施態様では、Xaa'1は一個のアミノ末端保護基を含む。 いくつかの好適な実施態様では、Xaa'1 は、例えばそのいずれも水素ではない4個の置換基を有する炭素など、四置換Cβ炭素を有するアミノ酸類似体である。例えば、Xaa'1は、一般式:で表されるアミノ酸類似体であってよく、但し式中、 R8及びR9はそれぞれ個別に一個の低級アルキル又は一個のハロゲンを表し;R10は一個の低級アルキル、 一個のアリール、一個のヒドロキシル基又は-(CH2)m-COOHを表し;Z は一個の水素又は一個のアミノ末端保護基を表し;そしてm=0、1又は2である。いくつかの好適な実施態様では、R8及びR9はそれぞれ個別に一個の低級アルキル、より好ましくはメチル、エチル又はプロピル、そしてさらにより好ましくはメチル、を表す。いくつかの好適な実施態様では、R10は一個の低級アルキル、より好ましくはメチル、エチル又はプロピル、そしてさらにより好ましくはメチル、を表す。他の好適な実施態様では、R10は、一個のアリール、例えばフェニル又はヒドロキシフェニル (好ましくはパラ-ヒドロキシ)を表す。さらに他の好適な実施態様では、R10は一個のヒドロキシル基を表す。いくつかの好適な実施態様では、R10は-(CH2)m-COOHを表し、但し式中、m=0、1又は2であり、そして好ましくはmは0 又は1である。 一般的には、本プロ阻害剤は、当該の阻害剤部分の標的酵素と同じ酵素で活性化するか、又は異なる酵素で活性化するかに基づき、2つの別々の種類に分類することができる。一番目の種類をここではタイプ1又は標的活性化スマート・プロテアーゼ阻害剤(TASPI)と言及し、二番目をタイプ2又は標的指向性スマート・プロテアーゼ阻害剤(TDSPI)と言及することとする。本プロ阻害剤の両方の実施態様とも、例えば標的酵素へ「ハイパー活性」型などで活性成分を特異的に送達したり、また、標的酵素から当該阻害剤部分が拡散するときの阻害活性を弱めることに役立ち、従って、純粋な形の阻害剤部分単独に比較して、特異性、効力及び安全性での利点を提供するものである。 本発明のTDSPIは、標的酵素の組織、又は細胞特異的阻害のための更なる予想を提供するものである。換言すれば、TDSPIは、ある特定の細胞又は組織種では特定の酵素を阻害するが、別のところではしないという予想をもたらす。例えば、身体のいずれの細胞もプロテオソームプロテアーゼ複合体を含有する。プロテアソーム機能の阻害には、数多くの実際的な治療上及び予防上の用途がある。しかしながら、細胞又は組織種選択的な方法でプロテオソーム活性を阻害することは困難である。本発明のいくつかの実施態様では、目的の標的細胞又は組織の中又は近傍で発現するプロテアーゼを狙ったアドレス部分を有するプロ阻害剤を用いることにより、プロテオソーム阻害剤部分を選択的に送達できるように、TDSPIを構築することができる。実例を挙げると、それはFAP又は前立腺特異抗原(PSA)で活性化させることができ、その結果できる阻害剤部分Gはプロテオソームの阻害剤となる。 TDSPIの好適な実施態様では、アドレス部分Aは、標的プロテアーゼにとって有効な基質ではない。例えば、基質として、アドレス部分Aの有する、標的プロテアーゼの基質としてのターンオーバー回数は、1/秒未満、そしてさらにより好ましくは0.1/秒未満、0.001/秒又はさらに0.0001/秒未満であるとよい。 本プロ阻害剤のいくつかの実施態様では、当該のアドレス部分は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼから選択される活性化プロテアーゼの基質である。同様に、当該の阻害剤部分は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼから選択される標的プロテアーゼのジペプチジル阻害剤であってよい。いくつかの好適な実施態様では、当該の標的プロテアーゼはセリンプロテアーゼである。 本発明のプロ阻害剤は、限定はしないが、 ジペプチジルペプチダーゼ-11 (DPP-XI)、ジペプチジルペプチダーゼ IV (DPP IV)、ジペプチジルペプチダーゼ (DPPV III)、ジペプチジルペプチダーゼ 9 (DPP IX)、アミノペプチダーゼ P、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(セプラーゼ)、プロリルトリペプチジルペプチダーゼ、プロリルオリゴペプチダーゼ (エンドプロティナーゼ Pro-C)、アトラクチン(可溶性ジペプチジル-アミノペプチダーゼ)、アシルアミノアシル-ペプチダーゼ(N-アシルペプチドヒドロラーゼ;fMet アミノペプチダーゼ)及びリソソームPro-X カルボキシペプチダーゼ (アンギオテンシナーゼC、プロリルカルボキシペプチダーゼ)を含む、標的及び活性化セリンプロテアーゼと一緒に働くようにデザインすることができる。 本発明のプロ阻害剤は、膜Pro-Xカルボキシペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼ P)、アンギオテンシン−転化酵素(ペプチジル-ジペプチダーゼ Aマルチペプチダーゼ]、コラゲナーゼI (間質性コラゲナーゼ;基質メタロプロティナーゼ 1;MMP- 1;Mcol-A)、ADAM10 (アルファ-セクレターゼ、ミエリン関連ジスインテグリンメタロプロティナーゼ)、ネプリリシン(アトリオペプチダーゼ;CALLA;CD10;エンドペプチダーゼ 24.1 1; エンケファリナーゼ)、マクロファージエラスターゼ(メタロエラスターゼ;基質メタロプロティナーゼ 12;MMP-12]、マトリリシン(基質メタロプロティナーゼ 7;MMP-7)、及びニューロリシン(エンドペプチダーゼ 24.16;ミクロソームエンドペプチダーゼ; ミトコンドリアオリゴペプチダーゼ)を含む、標的及び活性化メタロプロテアーゼと一緒に働くようにデザインすることができる。 いくつかの好適な実施態様では、前記活性化プロテアーゼはプロリル後切断プロテアーゼであり、例えばDPPIV、DPPII、プロリルオリゴペプチダーゼ (PO)、線維芽細胞活性化タンパク質 (FAP)、及びプロリルカルボキシペプチダーゼから成る群より選択されるものなどである。プロリル後切断プロテアーゼがエンドペプチダーゼであるいくつかの実施態様では、Aのアミノ末端は、アミノ末端保護基、好ましくはメチル基などの一個の低級アルキルなど、で遮断されている。 他の実施態様では、前記活性化プロテアーゼは、スロンビン(ファクターX)、マトリプターゼ、ファルシペイン、前立腺特異抗原(PSA)及びこれらに相同なプロテアーゼ、から成る群より選択される。 いくつかの好適な実施態様では、前記標的プロテアーゼは、プロリル後切断プロテアーゼであり、例えばDPP IV、DPPII、プロリルオリゴペプチダーゼ (PO)、線維芽細胞活性化タンパク質 (FAP)、及びプロリルカルボキシペプチダーゼ、から成る群より選択されるものなどである。 いくつかの好適な実施態様では、本プロ阻害剤は一般式(IV):で表され、但し式中: Aは、N 及びCα位炭素を含む一個の4乃至8員複素環を表し;W は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成する官能基を表し、例えば-CN、-CH=NR5、などであり、但し式中、 R1 は、活性化酵素の基質であるC末端連結ペプチド又はペプチド類似体を表し; R2は、存在しないか、あるいは、そのそれぞれが個別に一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、一個の低級アルキニル、一個のカルボニル (例えばカルボキシル、エステル、ホルメート、又はケトン)、一個のチオカルボニル (例えばチオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、一個のアミノ、一個のアシルアミノ、一個のアミド、一個のシアノ、一個のニトロ、一個のアジド、一個のスルフェート、一個のスルホネート、一個のスルホンアミド、-(CH2)m-R6、-(CH2)m-OH、-(CH2)m-O-低級アルキル、-(CH2)m-O-低級アルケニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)m-SH、-(CH2)m-S-低級アルキル、-(CH2)m-S-低級アルケニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6であってよい、環Aの一個以上の置換を表し; R3は、それぞれ個別に、一個の水素、又は、例えば一個の低級アルキルなど、自らが側鎖として延びる元の窒素の電子対と共役しない一個の置換基、を表し; R4は、水素、又は、例えば一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、あるいは一個の低級アルキニルなどの小さな疎水性の基、を表し; R5は、H、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、- (CH2)m-R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、-(CH2)n-S-アルケニル、- (CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、-C(O)C(O)NH2、-C(O)C(O)OR7を表し; R6 は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7は、それぞれ個別に、水素、又は、一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し;そして Y1 及びY2 は、個別に又は共に、OH、又は、Y1及びY2が環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の環(例えばピナコール等)を介して接続されているような環状の誘導体を含め、加水分解して一個のヒドロキシル基になることができる基であってよく、但しこの場合; R50は、O又はSを表し; R51 は、N3、SH2、NH2、NO2 又は-OR7を表し; R52は、水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは、R51及びR52は、これらが結合したリン原子と一緒になって、環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を完成し、 X1は一個のハロゲンを表し; X2 及びX3はそれぞれ一個の水素又は一個のハロゲンを表し; m はゼロ又は1乃至8の範囲の整数であり;そしてnは1乃至8の範囲の整数である。 いくつかの好適な実施態様では、R2は存在しないか、又は、小さな疎水性の基を表す。 いくつかの実施態様では、本プロテアーゼ阻害剤は一般式(V):で表され、但し式中、 R1、R3、R4 及びW は上に定義した通りであり、そしてp は1から3までの整数である。いくつかの好適な実施態様では、p は1であり、そしてR3はそれぞれ一個の水素である。 上記の本プロ阻害剤構造II−Vのいくつかの好適な実施態様では、Wは:を表す。いくつかの好適な実施態様では、R5は一個の水素又は-C(X1)(X2)X3であり、但しこの場合、X1はフッ素であり、そしてハロゲンの場合のX2及びX3もフッ素である。 本プロ阻害剤構造IV及びVのいくつかの好適な実施態様では、R4は一個の低級アルキルである。 本プロ阻害剤構造IV及びVのいくつかの好適な実施態様では、R4 は、Gly、Ala、Val、Ser、Thr、Ile及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸残基の側鎖を表す。 本プロ阻害剤構造IV及びVのいくつかの好適な実施態様では、R4は、一般式:で表されるアミノ酸残基の側鎖を表し、但し式中、 R4a及びR4bはそれぞれ個別に、R4a及びR4bの両者が水素であるか、又はいずれも水素でないことを警告としつつ、一個の水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキサミド、カルボニル、又はシアノを表し; R4c は一個のハロゲン、 一個のアミン、一個のアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキサミド、カルボニル、又はシアノを表し:そしてzはゼロ又は0乃至3の範囲の整数である。 本プロ阻害剤構造IV及びVのいくつかの好適な実施態様では、R4は、一般式:で表されるアミノ酸残基の側鎖を表し、但し式中、 R8及びR9はそれぞれ個別に一個の低級アルキル又は一個のハロゲンを表し;R10は一個の低級アルキル、一個のアリール、一個のヒドロキシル基又は-(CH2)m-COOHを表す。いくつかの好適な実施態様では、R8及びR9はそれぞれ個別に一個の低級アルキル、より好ましくは メチル、エチル又はプロピル、そしてさらにより好ましくは一個のメチルを表す。いくつかの好適な実施態様では、R10は一個の低級アルキル、より好ましくは メチル、エチル又はプロピル、そしてさらにより好ましくは一個のメチルを表す。他の好適な実施態様では、R10は一個のアリール、例えばフェニル又はヒドロキシフェニル (好ましくはパラ-ヒドロキシ)など、を表す。さらに他の好適な実施態様では、R10は、一個のヒドロキシル基を表す。いくつかの好適な実施態様では、R10は -(CH2)m-COOHを表し、但し式中 m = 0、1又は2であり、そして好ましくはm=0又は1であるとよい。 本プロ阻害剤構造IV及びVのいくつかの好適な実施態様では、R1はプロリン後切断酵素の基質であるペプチジル部分である。IV.医薬組成物 本発明の化合物を単独で投与することも可能であるが、本化合物を医薬調合物(組成物)として投与することが好ましい。本発明によるプロテアーゼ阻害剤を、ヒト又は獣医学での使用にとって便利な方法で投与できるように調合してもよい。いくつかの実施態様では、本医薬製剤中に含められる化合物はそれ自体活性であっても、又は、例えば生理条件下で活性化合物に転化可能であるなど、プロドラッグであってもよい。 このように、本発明の局面の一つは、治療上有効な量の、上に解説した化合物のうちの一種以上を、一種以上の薬学的に許容可能な担体(添加剤)及び/又は希釈剤と一緒に調合して含む薬学的に許容可能な組成物を提供するものである。以下に詳述するように、本発明の医薬組成物を、以下に適合させたものを含め、固体形又は液体形での投与に向けて特に調合してもよい。即ち、(1)経口投与、例えば飲薬(水溶液又は非水性の溶液、又は懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、舌への塗布用のペースト、(2)例えばエーロゾル、ネブライザ、又は乾燥粉末など、吸入による投与、(3)皮下、筋肉内又は静脈内注射を例えば無菌の溶液又は懸濁液として行う非経口投与、(4)例えば皮膚に塗布されるクリーム、軟膏又はスプレーなど、局所投与、(5)眼への投与;又は(6)例えばペッサリ、クリーム又はフォームなどの膣内又は直腸内投与。しかしながら、いくつかの実施態様では、本化合物を単に無菌の水に溶解又は懸濁させてもよい。いくつかの実施態様では、本医薬製剤は発熱源を含まず、即ち、患者の体温を上昇させない。 本発明の別の局面は、本プロテアーゼ阻害剤プロドラッグ及び薬学的に許容可能な不活性な担体を単一の投薬調合物に配合することにより、このような医薬組成物を調製する方法を提供するものである。これらの調合物又は組成物を調製する方法には、本発明の化合物を担体と、そして選択に応じて一種以上の付属成分と結び付けるステップが含まれる。一般的には、本調合物は、本発明の化合物を液体の担体と、又は微細に分割された固体の担体、又は両者と均一かつ密接に結び付けた後に、必要に応じて生成物を成形することにより、調製される。 経口投与に適した本発明の調合物は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(多くの場合スクロース及びアカシアゴム又はトラガカントである着香した基剤を用いて)、粉末、顆粒の形で、又は水性又は非水性の液体に溶かした溶液又は懸濁液として、又は水中油又は油中水式の液体乳濁液として、又は、エリキシル又はシロップとして、又は、香錠(例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアゴムなどの不活性の基剤を用いて)として、及び/又は、口内洗剤等として、それぞれが所定量の本発明の化合物を活性成分として含むようなものであってもよい。本発明の化合物をさらに巨丸剤、舐剤又はペーストとして投与してもよい。 経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣剤、粉末、顆粒等)の場合、活性成分を、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど、一つ又はそれ以上の薬学的に許容可能な担体、及び/又は、以下のうちのいずれかと一緒に混合する。即ち、(1)でんぷん、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又は、ケイ酸などの充填剤及び増量剤、(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又は、アカシアゴムなどの結合剤、(3)グリセロールなどの湿潤薬、(4)寒天、炭酸カルシウム、いも又はタピオカでんぷん、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、などの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤、(6)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤、(7)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)カオリン及びベントナイト・クレイなどの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの潤滑剤、及び、(10)着色剤、である。カプセル、錠剤及び丸剤の場合には、当該医薬組成物はさらに緩衝剤を含んでいてもよい。同様な種類の固体組成物を、さらに、ラクトース又は乳糖などの医薬品添加物や、高分子量ポリエチレングリコール等を用いて軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いてもよい。 錠剤は、選択に応じて一つ又はそれ以上の付属成分と一緒に圧縮又は鋳込みによって作製してもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばでんぷんグリコール酸ナトリウム、又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤などを用いて調製してよい。成形された錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿潤させた粉末状の化合物の混合物を適した機械で成形することによって作製してもよい。 例えば糖衣剤、カプセル、丸剤及び顆粒など、本発明の医薬組成物の錠剤及びその他の固体剤形には、選択に応じて切り込みを入れたり、又は、腸溶コーティング及びその他の、製薬業で公知のコーティングなど、コーティング及びシェルと一緒に調製してもよい。これらはさらに、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で用いるなどして、所望の放出曲線、その他のポリママトリックス、リポソーム、及び/又は、マイクロスフィアを提供できるように、活性成分の放出が遅延又はコントロールされるように調合してもよい。これらは、例えば細菌保持フィルタを用いた濾過や、又は溶解可能な無菌の固形組成物の形で滅菌剤を無菌水に組み込んだり、又は何らかのその他の無菌の注射可能な媒質に使用直前に組み込んだりして滅菌してもよい。さらにこれらの組成物は、選択に応じ、乳白剤を含んでいてもよく、胃腸管の特定の部分でのみ、又は、胃腸管の特定の部分で優先的に、選択によっては遅延的な態様で、活性成分を放出するような組成物としてもよい。利用可能な封埋組成物の例には、ポリマ物質及びろうがある。さらに活性成分は、適切であれば上述した一つ又はそれ以上の医薬品添加物と一緒の、マイクロ封入形としてもよい。 本発明の化合物の経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容可能な乳濁液、マイクロ乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。活性成分に加え、この液体剤形には、例えば水又はその他の溶媒や、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油脂類(特に綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びに、これらの混合物などの可溶化剤及び乳化剤など、当業で通常用いられている不活性の希釈剤を含めてもよい。 不活性の希釈剤の他に、経口用組成物にはさらに湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、着香料、着色剤、芳香剤及び保存剤などのアジュバントを含めることができる。 懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにこれらの混合物など、懸濁剤を含んでいてもよい。 本発明の活性化合物の動物飼料への添加は、好ましくは、当該活性化合物を有効量含む適切な飼料プレミックスを調製し、このプレミックスを完全な糧食になるように組み込むことで達成されるとよい。 あるいは、本活性成分を含有する中間の濃厚飼料又は飼料補助剤を飼料中に混合することもできる。このような飼料プレミックス及び完全な糧食を調製し、投与することのできる方法は参考文献に説明されている(例えば、"Applied Animal Nutrition", W.H. Freedman and CO., San Francisco, U.S.A.,1969 又は "Livestock Feeds and Feeding" O and Bbooks, Corvallis, Ore., U.S.A.,1977)。 本発明に基づく吸入又はエーロゾル調合物に入れて投与してもよい医薬には、吸入治療に有用であり、所定の推進系中で可溶性又は実質的に可溶性の形で提供してもよいプロテアーゼ阻害剤プロドラッグがある。 微粒子医薬の粒子サイズは、エーロゾル調合物を投与すると実質的に医薬のすべてが肺内に吸入可能なものでなければならず、従って好ましくは20ミクロン未満、好ましくは1乃至10ミクロンの範囲内、例えば1乃至5ミクロンであろう。医薬の粒子サイズは、例えば粉砕又は超微粉砕など、従来の手段で低下させてよい。 最終的なエーロゾル調合物は、好ましくは、当該調合物の総重量に対して0.005-10% w/w、好ましくは0.005- 5% w/w、特に0.01-1. 0% w/wの医薬を含有するとよい。 本発明の調合物が、成層圏のオゾンの分解を引き起こすであろう成分を含まないことが好ましい。具体的には、本調合物が、CCl3F、CCl2F2及びCF3CCl3などのクロロフルオロカーボンを実質的に含まないことが好ましい。ここで用いられる「実質的に含まない」とは、推進系に基づいて1% w/w 未満、特に0.5%未満、例えば0.1%以下であることを意味する。 医薬の投与は、軽度、中度又は重度の急性もしくは慢性症状の治療又は予防的処理に関して示されよう。投与される精確な用量は、患者の年齢及び状態、用いる特定の微粒子医薬、及び投与頻度に応じ、最終的には担当医の裁量に委ねられることは理解されよう。医薬の組合せを用いる場合、その組合せの各成分の用量は、一般的に、単独で用いられた場合の各成分に用いるものとなるであろう。典型的には、投与は、例えば各回に1、2、3又は4回の噴射を行うなど、1日当たり1乃至8回など、一回以上であってよい。好ましくは、投与は一日に一回であろう。 投与に関しては、薬物を、ネブライザから、加圧された定用量吸入器から、又は、乾燥粉末吸入器(例えばTURBUHALER(R)として販売中のもの)からの乾燥粉末として、あるいは、ゼラチン、プラスチック又は他のカプセル、カートリッジ又はブリスタ・パックを用いた乾燥粉末吸入器から、適宜吸入させる。 例えば乳糖、デキストラン、マンニトール、グルコース、又は、当該医薬に所望の味を与えるいずれかの添加剤など、一般的に非毒性であり、かつ当該医薬にとって化学的に不活性である希釈剤又は担体を、粉末状の本医薬に加えることもできる。 超微粉砕された混合物を、液体の推進薬混合物中に懸濁又は溶解させてもよく、これを、定量バルブで密封され、プラスチック製操作部に嵌合させた容器内に保存してもよい。用いる推進薬は、様々な化学式のハロゲン化炭素であってよい。最もよく用いられているハロゲン化炭素推進薬は、トリクロロフルオロメタン(プロペラント11)、ジクロロジフルオロメタン(プロペラント12)、ジクロロテトラフルオロエタン(プロペラント114)、テトラフルオロエタン(プロペラント134a)及び1,1-ジフルオロエタン(プロペラント152a)である。低濃度の界面活性剤、例えばトリオレイン酸ソルビタン、レシチン、ジソジウムジオクチルスルホスクシネート又はオレイン酸など、を用いて物理的安定性を高めてもよい。 非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、一つ又はそれ以上の本発明に基づく化合物を、一つ又はそれ以上の薬学的に許容可能な無菌の等張性水溶液又は非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳液と組み合わせて、又は、使用直前に無菌の注射可能な溶液又は分散液に溶かして再構成できるような無菌粉末と組み合わせて含み、その中には抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤や、当該調合物を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質や、又は懸濁剤又は増粘剤を含めてもよい。 本発明の医薬組成物中に用いてよい適した水性及び非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、等)、及びこれらの適した混合物、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがある。適した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料を利用したり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、界面活性剤を用いるなどして維持することができる。 これらの組成物には、さらに、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などのアジュバントを含めてもよい。微生物の作用を防止するには、多様な抗菌剤、及び抗カビ剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めて確実にしてもよい。さらに、糖類、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物中に含めるのも好ましい場合がある。加えて、注射可能な薬剤形の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を含めれば可能であろう。 ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳濁剤及び潤滑剤や、着色剤、はく離剤、コーティング剤、甘味料、着香料及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤も組成物中に存在してもよい。 薬学的に許容可能な抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、二硫化ナトリウム、重二硫化ナトリウム、硫化ナトリウム等の水溶性抗酸化剤、(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤、及び、(3)例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等といった金属キレート剤、がある。 場合によっては、薬物の作用を長引かせるために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが好ましい。これは、水溶性の乏しい結晶質又は非晶質物質の懸濁液を利用することによって可能であろう。こうすれば、薬物の吸収速度は、その溶解速度、ひいては、結晶の大きさ及び結晶の形状に左右されることになる。あるいは、非経口投与される薬物形の吸収の遅延は、薬物を油性の伝播体中に溶解又は懸濁させることによって、なされる。 注射可能なデポー形は、本発明の化合物のマイクロ封入マトリックスをポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解可能なポリマに形成することによって作製される。薬剤のポリマに対する比、及び用いる特定のポリマの性質に応じて、薬剤放出の速度をコントロールすることができる。その他の生分解可能なポリマの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)がある。さらにデポー型の注射可能な調剤は、身体組織と適合性のあるリポソーム又はマイクロ乳濁液中に当該薬剤を捕捉することでも調製される。 本発明の化合物の局所又は経皮投与に向けた剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤がある。活性化合物は無菌条件下で薬学的に許容可能な担体に混合してもよく、そして、必要であれば何らかの保存剤、緩衝剤、又は推進薬に混合してもよい。 軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明の活性化合物に加え、例えば動物性油脂及び植物性油脂、油脂、ろう、パラフィン、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物などの医薬品添加物を含んでいてもよい。 粉末及びスプレーには、本発明の活性化合物に加え、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの医薬品添加物を含めることができる。さらにスプレーには、例えばクロロフルオロハイドロカーボン、及び、ブタン及びプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素などの通常の推進薬をさらに含めることができる。 経皮用パッチには、本発明の化合物の身体への送達をコントロールできるという長所がさらにある。このような剤形は、本プロテアーゼ阻害剤プロドラッグを適した媒質中に溶解又は分散させることによって作製できる。吸収相乗剤を用いて、皮膚を通る本プロテアーゼ阻害剤プロドラッグの流束を高めてもよい。このような流束の速度は、速度調節膜を提供したり、又は当該化合物をポリママトリックス又はゲル中に分散させることによってコントロールすることができる。 眼用調剤、眼用軟膏、粉末、溶液等も、本発明の範囲内にあると考察されている。 直腸用又は膣投与用の、本発明による医薬組成物の調剤は座薬として提供してもよく、この座薬は、本発明に基づく一つ又はそれ以上の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬用ろう又はサリチル酸塩などを含む、一種以上の適した非刺激性の医薬品添加物又は担体に混合して調合してもよく、このときこの座薬は、室温では固形であるが、体温では液体となって直腸又は膣腔で融解して本プロテアーゼ阻害剤プロドラッグを放出することとなる。 膣投与に適した本発明の調剤には、さらに適していることが当業で公知である担体を含有するペッサリ、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー調剤が含まれる。 一回分の剤形を作製するのに担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療しようとするホスト、及び特定の投与形態に応じて様々であろう。一回分の剤形を作製するのに担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、一般的には、治療効果を生じる化合物量となるであろう。概して、100パーセントのうち、この量は約1パーセントから約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントの範囲になるであろう。 本発明の化合物を、ヒト及び動物に医薬として投与する場合、それらは、単独で与えられても、又は、薬学的に許容可能な担体と組み合わされた、例えば0.1から99.5%(より好ましくは0.5から90%)の活性成分を含む医薬組成物として与えることができる。 好適な実施態様では、本組成物は無菌かつ無発熱源であるとよい。V. 医薬梱包物及び製造 本発明の局面の一つは、一個の薬学的に許容可能な医薬品添加物中に調合された本発明の一種以上のプロ阻害剤を、患者に対する本調合物の推奨される投薬量及び/又は投与を解説した指示(書面及び/又は図面)と組み合わせて含む梱包された医薬を提供するものである。このような指示には、疾患を治療又は防止するための詳細や、選択に応じて、可能性のある副作用及び薬物対薬物又は薬物対食物の相互作用の警告を含めてもよい。 本発明の別の局面は、本阻害剤部分Gによる標的プロテアーゼの阻害が治療上の利益を患者にもたらすような異常の治療のための医薬の製造における本プロ阻害剤の使用に関する。異常の例を下に列挙する。 本発明のさらに別の局面は、 a.本プロ阻害剤のうちの一種以上を製造するステップと、 b.本製剤を用いて、ここに引用された疾患又は示唆のいずれかを治療又は予防する利益を健康管理者に市販するステップと、を含む医業を行う方法に関する。 いくつかの実施態様では、本事業法に、本製剤を販売する流通網を提供するステップを含めることができる。さらに、本製剤を用いて、ここに引用された疾患又は適応症のいずれかを治療又は予防するために、患者又は医師に指示材料を提供するステップも含めてよい。VI. 使用法A. プロリン後切断酵素 本プロ阻害剤のいくつかの実施態様には、哺乳動物のDPP IV、DPP II、プロリルオリゴペプチダーゼ (PO)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、又はプロリルカルボキシペプチダーゼ 活性の阻害により治療(軽減又は減少させる)することのできる、哺乳動物の異常の治療のための治療化合物を提供する阻害剤部分を含めることができる。 いくつかの実施態様では、本プロ阻害剤にDPP IVの阻害剤部分を含めることができる。このような実施態様においては、本プロ阻害剤を用いてGLP-1、GIP、GLP-2、GRP、血管作用性腸管ペプチド、ペプチドヒスチジンメチオニン、PYY、サブスタンスP、β-カソモルフィン、NPY、PACAP38、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、アプロチニン、副腎皮質刺激ホルモン様中葉ペプチド、脳下垂体アデニリルシクラーゼ活性化ペプチド、(Tyr)メラノスタチン、LD78β(3-70)、RANTES、エオタキシンプロコリパーゼ、エンテロスタチン、バソスタチン1、エンドモルフィン、モルフィセプチン、間質細胞由来因子、マクロファージ由来ケモカイン、顆粒球走化性タンパク質2、及びGHRH/GRFなどのポリペプチド因子のタンパク質分解を調節することができる。 従って、DPP IV指向性プロ阻害剤を用いて、限定はしないが、糖尿病、肥満、高脂血症、皮膚もしくは粘膜の異常、乾癬、腸管の不全、便秘、自己免疫異常、例えば脳脊髄炎、補体媒介性の異常、例えば腎炎、脂肪異栄養症、及び組織損傷、心身障害、抑うつ障害、及び神経精神障害、例えば不安、抑うつ、不眠症、統合失調症、てんかん、けいれん、及び慢性の疼痛、HIV感染、アレルギ、炎症、関節炎、移植片拒絶、高血圧、うっ血性心不全、腫瘍、及びストレス性流産、例えばサイトカイン媒介性のマウスの流産、を含め、多種の代謝、胃腸管、ウィルス性及び炎症性疾患を治療することができる。 本DPPIVプロ阻害剤のいくつかは、満腹、体重減少、及びGLP-1の抗糖尿病効果を促進することができる。 本DPP IV プロ阻害剤のいくつかは、腸管の機能不全及び粘膜の異常を治療するために有用であろう。 (i). 血糖値を調節する 本発明のいくつかのプロ阻害剤は、血糖値を下げる、肥満を緩和する、糖耐性不全を軽減する、肝臓の糖新生を抑制する、及び、血液の脂肪値を下げ、アルドースレダクターゼを阻害する能力を有する。従ってこれらは、高血糖症、肥満、高脂血症、糖尿病合併症(網膜症、腎症、ニューロパチー、白内障、冠状動脈疾患及び動脈硬化を含む)や、さらには肥満に関連する高血圧及び骨粗鬆症の予防及び/又は治療に有用である。 糖尿病は、インシュリン分泌量の相対的もしくは絶対的低下、インシュリン感受性又はインシュリン耐性の低下が原因で起きる高血糖を特徴とする疾患である。この疾患の罹患性及び死因は、血管、腎臓、及び神経学的合併症から来る。口内糖耐性検査が、糖尿病を診断するために用いられている臨床検査である。口内糖耐性検査では、糖付加又は刺激に対する患者の生理学的応答が評価される。糖摂取後に、糖刺激に対する患者の生理学的応答が評価される。一般的には、これは、患者の血糖値(患者の血漿、血清、又は全血中の糖濃度)を複数の所定の時点で判定することにより、行われる。 ある実施態様では、本発明は、GLP-1の作用を作動させる方法を提供するものである。腸管及び後脳のプレプログルカゴンを由来とするGLP-1(GLP-1 (7-37)及びGLP- 1 (7-36) )のアイソフォームがインシュリン分泌活性を有すること、即ち、これらが糖代謝を調節すること、が判明している。DPP IVはこれらアイソフォームを切断して、ペプチドを失活させる。このように、いくつかの実施態様では、本発明の阻害剤は、生物活性GlP-1ペプチドの分解に干渉することにより、インシュリン分泌活性を作動させることができる。 (ii)他のペプチドホルモンの効果の作動作用 別の実施態様では、本プロ阻害剤のいくつかは、例えばGLP-2、GIP及びNPYなどのペプチドホルモンの活性を作動させるために用いることができる。 さらに実例を挙げると、本発明は、GLP-2の作用を作動させる方法を提供するものである。GLP-2は栄養物質として作用して胃腸管組織の成長を促進することが判明している。GLP-2の効果は、特に小腸の成長促進で著しいため、ここでは「腸管栄養」効果と言及されている。DPPIVはGLP-2を切断して生物学的に不活性なペプチドにすることが知られている。従って、ある実施態様では、DPP IVの阻害によりGLP-2の分解に干渉して、このホルモンの血漿半減期を上昇させる。 さらに他の実施態様では、本方法を用いて、他のプログルカゴン由来ペプチド、例えばグリセンチン、オキシントモジュリン、グリセンチン関連膵臓ポリペプチド(GRPP)、及び/又は介在ペプチド-2 (IP-2)など、の半減期を上昇させることができる。例えば、グリセンチンは、腸管粘膜の増殖を起こさせることが実証されており、また胃の蠕動運動を阻害することから、消化管疾患の治療薬として有用であることが解明されているため、本発明につながる。 このように、ある局面では、本発明は、胃腸組織、特に小腸組織の成長及び増殖を促進するための、プロ阻害剤の治療薬及び関連する使用に関するものである。例えば、本方法を、腸管粘膜上皮の成長及び修復の促進が望まれる場合など、腸管組織の損傷、炎症又は切除後を治療する計画の一部として用いることができる。 小腸組織に関して言えば、このような成長は、未処理のコントロールに比較したときの小腸質量及び長さの増加として便利に測定される。本阻害剤が、小腸に及ぼす効果は、さらに、陰窩及び柔突起の高さの上昇としても現れる。このような活性をここでは「腸管栄養」活性と言及する。本方法の効験は、さらに、陰窩の細胞増殖の増加、及び/又は、小腸上皮アポトーシスの低下、としても検出可能であろう。これらの細胞効果は、遠位空腸を含む空腸、特に近位空腸、そしてさらに遠位回腸に関して最も目立ってみとめられるであろう。ある化合物で処理された(又はそれ自体を発現するように遺伝子操作された)検査動物が、小腸重量の増加、陰窩及び柔突起の高さの上昇、又は陰窩の細胞増殖の増加、又は小腸上皮アポトーシスの減少、を有意に示した場合には、その化合物は「腸管栄養効果」を有すると考えられる。このような胃腸管成長を判定するために適したモデルは米国特許第5,834, 428号に解説されている。 一般的に、小腸の質量増加、そしてその結果の小腸粘膜機能の向上のいずれかがあると有益であろう患者は、本方法による治療の候補である。治療が可能と思われる具体的な状態には、コムギ由来□-グリアジンに対する有毒反応が原因であり、腸管の絨毛の大幅な消失を特徴とする腹腔スプルー;感染が原因であり、絨毛の部分的な平坦化を特徴とする熱帯性スプルー;後天性免疫グロブリン血症又は低γグロブリン血症の患者に通常見られ、柔突起の高さの著しい低下を特徴とする低γグロブリン血症性スプルー、を含む多種の形のスプルーが含まれる。処理の治療上の効験を、柔突起の形態を調べる腸生検、栄養吸収の生化学的評価、患者の体重増加、又は、これらの状態に伴う症状の寛解、により観察してよい。本方法により治療できると思われる、又は、本方法が予防上有用と思われる、他の状態には、放射線腸炎、感染性もしくは感染後腸炎、限局性腸炎(クローン病)、毒性又は他の化学療法薬を原因とする小腸の損傷、及び短小腸症候群患者、がある。 より広い意味では、本発明は、消化管疾患を治療するための治療法を提供するものである。ここで用いる用語「消化管」とは、胃及び腸を含め、中を食物が通過する管を意味する。ここで用いる用語「消化管疾患」とは、例えば潰瘍性もしくは炎症性疾患;吸収不良症候群を含む、先天性もしくは後天性の消化及び吸収の異常;腸管の粘膜障壁機能の消失により引き起こされる疾患;及びタンパク質喪失性胃腸症などを含め、胃腸管粘膜の質的もしくは量的異常を伴う疾患を意味する。潰瘍性疾患には、例えば胃潰瘍、十二指腸潰瘍、小腸潰瘍、結腸潰瘍及び直腸潰瘍、がある。炎症性疾患には、例えば、食道炎、胃炎、十二指腸炎、腸炎、大腸炎、クローン病、直腸炎、胃腸管のベーチェット病、放射線腸炎、放射線大腸炎、放射線直腸炎、腸炎及び薬物性の炎症、がある。吸収不良症候群には、本態性吸収不良症候群、例えばジサッカリド分解酵素欠損、グルコース-ガラクトース吸収不良、フラクトース吸収不良;二次性吸収不良症候群、例えば静脈内もしくは非経口栄養又は成分栄養を通じた消化管の粘膜萎縮により引き起こされる異常、短腸症候群など、小腸の切除及びシャントにより起きる疾患、ダグラス窩症候群;及び摂取性吸収不良症候群、例えばダンピング症候群など、胃の切除により引き起こされる疾患、がある。 ここで用いられる用語「消化管の疾患の治療薬」とは、消化管疾患の予防及び治療のための薬剤を意味し、その中には、例えば、消化管潰瘍の治療薬、炎症性消化管疾患の治療薬、消化管の粘膜萎縮の治療薬、及び消化管創傷の治療薬、粘膜障壁機能の回復のための薬剤を含む消化管機能の改善薬や、消化及び吸収機能の改善薬、がある。潰瘍には、消化性潰瘍及びびらん、急性潰瘍、即ち急性粘膜病変、がある。 本方法は、腸管粘膜の増殖を促進するために、消化及び吸収の不全という病的状態の治療及び予防、即ち、粘膜萎縮の治療及び予防、あるいは、外科的除去による消化管組織の形成不全及びこれらの組織の減少の治療や、消化及び吸収の向上に用いることができる。さらに、本方法は、腸炎、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患を原因とする病的な粘膜状態の治療や、術後の消化管の、例えばダンピング症候群などにおける機能低下の治療や、胃の蠕動運動の抑制や胃から空腸までの食物の急速な移動に関連した十二指腸潰瘍の治療に、用いることができる。さらに、グリセンチンは、外科的侵襲の治癒を促進したり、消化管の機能を向上させる上で、有効に使用することができる。このように、本発明は、消化管粘膜萎縮の治療薬、消化管の創傷の治療薬、及び、グリセンチンを活性成分として含む、消化管の機能を向上させる薬物、も提供する。 同様に、本発明のDPP IV プロ阻害剤のいくつかは、セクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIP及び/又はヘロデルミンの血漿半減期を変化させるために用いることができる。加えて、DPPIVは、膵臓ポリペプチド・ファミリの両メンバであるペプチドYY及びニューロペプチドYのプロセッシングに受容体選択性を変化させる態様で関与していることが示されているため、これらのペプチドの薬物動態を変化させるために用いることができる。 ニューロペプチド Y (NPY)は、血管平滑筋緊張の調節や、血圧の調節において働くと考えられている。NPYはさらに心臓収縮性を低下させる。NPYはまた、公知のもののなかで最も強力な食欲刺激剤である(Wilding et al., (1992)JEndocrinology 132: 299-302)。中心的に惹起される食物摂取(食欲刺激)効果は、主に、NPY Y1受容体によって媒介され、貯蔵体脂肪の増加及び肥満を引き起こす(Stanley et al.,(1989) Physiology and Behavior 46: 173-177)。 本発明によれば、食欲不振の治療法は、有効量の阻害剤をホスト対象に投与して食欲を刺激し、貯蔵体脂肪を増加させ、ひいては食欲不振の症状を実質的に緩和するステップを含む。 低血圧の治療法は、ホスト対象に有効量の本発明の阻害剤を投与して、血管収縮を媒介させ、血圧を上昇させ、ひいては低血圧の症状を実質的に緩和するステップを含む。 DPP IVはまた、成長ホルモン放出因子(GHRF)の代謝及び失活への関与が示唆されている。GHRFは、グルカゴン、セクレチン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド (PACAP)、胃抑制ペプチド(GIP) 及びヘロデルミンを含む、一ファミリの相同ペプチドの一員である。Kubiaket al. (1994) Peptide Res 7: 153。GHRFは、視床下部から分泌され、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の放出を刺激する。このように、本方法を用いると、特定の成長ホルモン欠損児の臨床治療を高めることができ、成人の栄養を高めたり、また身体組成(筋肉対脂肪)を変える臨床治療にも用いることができる。さらに本方法は、例えば乳の産出量が高い及び高収量の痩せた家畜を開発するためなど、獣医用途でも用いることができる。B. プロテオソーム阻害剤 他の実施態様では、本プロ阻害剤は、強力かつ選択性の高いプロテアソーム阻害剤である阻害剤部分を生じ、プロテアソーム機能を阻害するために用いることができる。プロテアソーム機能の阻害は、数多くの実用的な治療上及び予防上の用途を有する。しかしながら、プロテオソームは生存細胞に広汎にあるため、目的の標的細胞で、又は近傍で切断されるアドレス部分を用いてプロテアソーム阻害剤を放出するような実施態様の本プロ阻害剤を提供したいという要望がある。例えば、該プロテオソームプロ阻害剤の実施態様には、望ましくない増殖を起こしている腫瘍又は他の細胞に発現したプロテアーゼ、あるいは、腫瘍又は他の標的増殖細胞の周囲組織に発現したプロテアーゼ、にとっての基質であるアドレス部分を含めることができる。例えば、該アドレス部分は、腫瘍に隣接した間質層で発現したプロテアーゼにとっての基質であってもよい。 いくつかの実施態様では、本発明のプロテオソームプロ阻害剤は、p53及び他の腫瘍サプレッサの分解速度を低下させる方法を提供するものである。このようなプロ阻害剤は、例えば癌、再狭窄及び乾癬など、細胞増殖性疾患を治療する上で、重要な実用上の用途を有すると考えられる。 いくつかの実施態様では、プロテアソームプロ阻害剤は、動物において、内部移行した細胞内抗原又はウィルス性抗原の、MHC-I分子に結合する抗原性ペプチドへのプロセッシングを阻害するために用いることができ、従って、自己免疫疾患を治療したり、移植臓器又は移植片などの外来組織の拒絶を防ぐために、有用である。 最後に、本発明は、プロテアソーム機能により直接又は間接的に媒介される又は増悪する、動物における特定の状態を治療するための、プロテアソームプロ阻害剤の使用に関する。これらの状態には、炎症性状態、例えば組織拒絶、臓器拒絶、関節炎、感染、皮膚病、炎症性腸疾患、喘息、骨粗鬆症、骨関節症及び自己免疫疾患、例えば狼瘡及び多発性硬化症;細胞増殖性疾患、例えば癌、乾癬及び再狭窄;及び多種の生理学的及び病理学的状態を伴うと共に、神経損傷、絶食、発熱、アシドーシス、及び特定の内分泌障害に続く筋肉塊の消失(萎縮)に大きく関係する筋肉タンパク質分解の加速、がある。 本発明の化合物は癌細胞の成長を抑制する。従って、本化合物を用いて、癌、乾癬、再狭窄、又は、他の細胞増殖性疾患を、必要とする患者において治療することができる。 用語「癌の治療」又は「癌を治療する」とは、本化合物の活性の意図された記述であり、この場合前記活性は、「癌」として通常知られる病理に関連していることが当業で公知の特定の現象のいずれかを防止又は軽減又は改善するものである。用語「癌」とは、悪性腫瘍の開始、進行や転移に関連する病的状態の範囲を言う。用語「癌」は、例えば本発明の目的に関して言うと、細胞の増殖が制御不能かつ進行性となった組織の新成長であると意図されている。本発明に特に関連する腫瘍は、原発性腫瘍が浸潤又は転移の特性を有するか、あるいは、良性腫瘍よりも退形成の程度が高いような悪性腫瘍である。 このように、「癌治療」又は「癌を治療する」とは、当該疾患に関連する一次的な現象(開始、進行、転移)又は二次的な症状のいずれかを防止、軽減又は改善する行動を言う。治療可能な癌は、広い意味で、癌腫、リンパ腫及び肉腫というカテゴリーに分類される。本発明の組成物により治療可能な癌腫の例には、限定はしないが、アデノカルシノーマ、腺房細胞アデノカルシノーマ、副腎皮質カルシノーマ、肺胞細胞カルシノーマ、退形成性カルシノーマ、類基底細胞癌、基底細胞癌、細気管支癌、気管支癌、腎腺癌、胎児性癌、アノメトロイド(原語:anometroid)癌腫、フィブロラモラ(原語:fibrolamolar)肝細胞癌腫、濾胞状癌、巨細胞癌、肝細胞癌、表皮内癌、上皮内癌、レプトマニギオ(原語:leptomanigio)癌、髄様癌、黒色癌、メニギュアル(原語:menigual)癌、中後腎癌、燕麦細胞癌、スクアマル(原語:squamal)細胞癌、汗腺癌、移行上皮癌、及び尿細管細胞癌、がある。本発明の組成物により治療可能な肉腫には、限定はしないが、エナメル芽細胞肉腫、血管結石性肉腫、ブドウ状肉腫、子宮内膜間質部肉腫、ユーイング肉腫、線維束状肉腫、巨細胞肉腫、グラニュロシティック(原語:granulositic)肉腫、免疫芽球性肉腫、皮質近接部骨原性肉腫、矮林肉腫、白血球肉腫(白血病)、リンパ肉腫(リンパ肉腫)、髄様肉腫、骨髄性肉腫(顆粒球性肉腫)、オースチオゲンシ(原語: austiogenci )肉腫、骨膜肉腫、細網細胞肉腫(組織球性リンパ腫)、円形細胞肉腫、紡錘細胞肉腫、滑膜肉腫、及び血管拡張性聴原性肉腫、がある。本発明の組成物により治療可能なリンパ腫には、限定はしないが、ホジキン病及びリンパ球性リンパ腫、例えばバーキットリンパ腫、NPDL、NML、NH及びびまん性リンパ腫、がある。 他の実施態様では、本発明の実施において用いられるプロテオソームプロ阻害剤のいくつかは、NF-κBのこの活性化を防止することができる。NF-κB活性の遮断は、例えば炎症、敗血症、AIDS等、多種の医学領域で重要な実用的用途を持つものと考えられる。 いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、乾癬、皮膚炎、扁平苔癬、アクネ、及び皮膚細胞の過増殖を特徴とする異常、から選択される皮膚の異常の治療に、局所形に調合することができる。 いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、毛髪の成長の調節異常の治療用に局所形に調合することができる。C. 造血性アゴニスト さらに別の局面では、本発明は、培養又はin vivoにおいて、造血細胞を刺激する方法を提供するものである。いくつかの実施態様では、本DPPIV プロ阻害剤には、骨髄で発現するプロテアーゼの基質であるアドレス部分が含まれる。 本発明の局面の一つによれば、造血細胞をin vitroで刺激する方法が提供される。本方法は、(1)造血細胞を充分な量のDPP IV プロ阻害剤に接触させて、造血細胞数、及び/又はこのような造血細胞の分化を、造血細胞の数及び分化に対して増加させるステップを含む。 本発明の重要な局面の一つは、対象における造血細胞数の不足を回復又は防止することに関する。このような不足は、例えば、遺伝子異常、疾患、ストレス、化学療法(例えば細胞傷害性薬物治療、ステロイド薬治療、免疫抑制剤治療等)及び放射線治療から起こることがある。 本発明のプロ阻害剤は、単独で投与することも、あるいは、前記リンパ球又は造血細胞の活性化又は増殖を刺激する異なる物質など、当該状態を治療するための付加的な薬剤と併用することもできる。例えば、本プロ阻害剤を、特定の結果を達成するように特に選択された外因性成長因子及びサイトカインと組み合わせて投与することができる。例えば、特定の造血細胞種を刺激したい場合、このような細胞種の増殖及び分化を刺激する成長因子及びサイトカインを用いる。このように、インターロイキン1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13及び17がリンパ球分化に関与していることが公知である。インターロイキン3及び4はマスト細胞分化に関与している。顆粒球マクロファージコロニ刺激因子(GMCSF)、インターロイキン3及びインターロイキン5は、好酸球分化に関与している。GMCSF、マクロファージコロニ刺激因子(MCSF)及びIL-3はマクロファージ分化に関与している。GMCSF、GCSF及びIL-3は好中球分化に関与している。GMSCF、IL-3、IL-6、IL-11 及びTPOは血小板分化に関与している。Flt3リガンドは樹状細胞成長に関与している。GMCSF、IL-3、及びエリスロポエチンは赤血球分化に関与している。最後に、造血作用を維持することができる原始多能性前駆細胞の自己更新には、SCF、Flt3リガンド、G-CSF、IL-3、IL-6及びIL-11が必要である。所望の結果を達成するための多種の組合せは当業者に明白であろう。VII. 合成スキームの例VIII. コンビナトリアル・ライブラリ 本発明の化合物、特に多種の代表的なクラスの置換基を有するバリアントのライブラリは、コンビナトリアル化学及び他のパラレル合成スキームに適している(例えばPCT WO 94/08051を参照されたい)。その結果できる、例えば上記の化合物のふ入りのライブラリなど、関連化合物の大型のライブラリは、潜在的なプロテアーゼ阻害剤リード化合物を同定したり、リード化合物の特異性、毒性、及び/又は細胞傷害性−動態プロファイルを精密化するために、高スループット検定で高速スクリーニングすることができる。 単に実例を挙げると、本発明の目的のためのコンビナトリアル・ライブラリは、化学的に関連した化合物の混合体であり、この混合体を所望の性質についてまとめてスクリーニングすることができる。一回の反応で数多くの関連する化合物を調製できれば、実行せねばならないスクリーニング・プロセスの数を大きく減少させ、また簡便化することができる。適切な物理的特性に関するスクリーニングは、従来の方法で行うことができる。 ライブラリの多様性は多様な異なるレベルで創り出すことができる。例えば、当該のコンビナトリアル反応で用いられる基質アリール基は、コアであるアリール部分で多様であってもよく、例えば環構造の点でふ入りになっていてもよく、及び/又は、他の置換基の点で異なっていてもよい。 本プロテアーゼ阻害剤などの低有機分子のコンビナトリアル・ライブラリを作製するには、多種の技術が当業において利用可能である。例えば Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14: 83; アフィマックス社の米国特許第5,359, 115号及び第5,362, 899号:エルマン氏の米国特許第5, 288, 514号:スティル氏らのPCT公報WO 94/08051; ArQule社の米国特許第5,736, 412号及び第5,712, 171号;Chen et al. (1994) JACS 116:2661: Kerr et al.(1993) JACS 115: 252; PCT 公報W092/10092,W093/09668及びW091/07087 ; 及びラーナー氏らのPCT 公報W093/20242)を参照されたい。従って、本プロテアーゼ阻害剤の約100から1,000,000又はそれ以上といったダイバーソマに関する様々なライブラリを合成でき、特定の活性又は性質についてスクリーニングすることができる。 例示的な実施例では、加水分解可能又は光分解可能であり、選択的には候補アゴニストのある一つの位置又は合成中間体の置換基に位置する、分子団によって、ポリマ・ビーズに連結させるなど、スティル氏らのPCT公報WO 94/08051に説明された技術に適合させたスキームを用いて、候補プロテアーゼ阻害剤ダイバーソマのライブラリを合成することができる。このスティル氏らの技術によれば、ライブラリは一組のビーズ上で合成されるが、各ビーズは、そのビーズ上にある特定のダイバーソマを判別できるようにした一組のタグを含んでいる。こうしてビーズ・ライブラリを、探している阻害剤の標的であるプロテアーゼで「めっき」することができる。当該のダイバーソマは、例えば加水分解などにより、このビーズから遊離させることができる。 本発明で有用な化合物の構造は、効率的な合成を容易とするものである。上で概略的に記載した通りの本化合物の構造の性質により、このような化合物の高速なコンビナトリアル・アセンブリが可能となっている。例えば、下に記載するスキームのように、アリールスタナン(原語:stannne)又はアリールボロン酸を用いたスティルもしくはスズキ・カップリング法を行うことで、アリールトリフレート又はボロミドなどの活性化アリール基をビーズ又は他の固体の支持体に取り付けたものを別のアリール基に連結することができる。二番目のアリール基をアルデヒドで官能化させる場合、一個のアミン置換基を還元的アミン化により付加することができる。代替的には、二番目のアリール基が、トリフレート、トシレート、又はハリドなど、一個のアミンに置換させることのできる脱離基で官能化させられるかも知れない。又は、二番目のアリール基を、例えばCyKNH2など、一個のアミンによる還元的アミン化の可能な一個のアミン基で官能化させてもよい。他の可能なカップリング技術には、遷移金属媒介アミンアリール化反応がある。その結果できた第二アミンを、次に、アシル化、アルキル化、又はアリール化によりさらに官能化して、第三アミン又はアミドを生じさせ、次にこの第三アミン又はアミドを樹脂又は支持体から切り離すことができる。これらの反応は一般に大変穏和であり、コンビナトリアル固相合成スキームに成功裏に応用されてきた。さらに、幅広い基質及びカップリング相手がこれらの反応に適し、かつ利用可能であるため、ここで記載した通りの検定で検査するための大型で多様な化合物ライブラリの高速アセンブリが可能である。特定のスキーム、そして本化合物の多種の置換基に対する特定の置換については、当業者であれば、適した保護基で特定の官能基をマスキングする必要があることを認識されよう。このような技術は当業で公知であり、コンビナトリアル合成スキームに容易に応用される。 上記及び関連する経路に多種の変更を行うと、プロテアーゼ阻害剤として検査できる幅広い多様な化合物ライブラリの合成が可能である。IX. 実施例タイプ1又は標的活性化SPI(TASPI) 実施例1:DPP IVで活性化するDPP IV阻害剤 ジペプチジルアミノペプチダーゼ タイプ IV (DPP IV)はタイプII膜結合プロテアーゼであり、身体内に広く分布している。それは例えば腸管、肝臓及び腎臓に見られる。さらにそれは、CD4+ 及びCD8+ T 細胞表面上でも見られ、この場合はCD26として知られる。この酵素は、とりわけ、グルカゴン様ペプチド 1 (GLP-1)及び胃抑制ポリペプチド、又はグルコース依存的インシュリン分泌性ポリペプチド (GIP)を加水分解して失活させることが実証されている。これらのペプチドを分解するこの活性は、DPP IV 阻害剤は2型糖尿病の治療において有用であることを示唆しており、実際に、DPPIV阻害剤は、糖尿病の動物モデルを含む動物で、糖耐性を高めることが実証されている。DPP IV阻害剤は、さらに、造血幹細胞の増殖を刺激するという、治療上の用途を有する証左とも考えられる活性を有することも実証されている。しかしながら、この作用の基盤にある機序はよく理解されていない。いずれの場合でも、Xaa-boroPro's (図1) はDPPIVの最も強力な既知の阻害剤であり、このクラスの分子は、動物において造血幹細胞増殖効果及び抗糖尿病効果をinvivoで有することが実証されている。 DPP IVにより活性化され、DPP IVを標的とするタイプ1SPIは、DPP IVにより認識され、DPPIVが触媒作用を及ぼすR-A-G構造のR-A部分を、それが除去されてDPP IV 阻害剤部分を遊離させるように作製することにより、構築することができる。DPPIVを狙ったタイプ1SPI(TASPI)は、2:に示された一般構造を有するであろうが、但し式中、R-A-GのR-Aは2のNH2-Xaa1-Xaa2に相当する。DPP IV特異性のためには、Xaa2は好ましくはプロリン又はアラニンでなければならないが、Xaa1はいずれの天然もしくは非天然型アミノ酸であってもよく、しかし最も好ましくは遊離アミノ基を持つとよい。例えばXaa3-Xaa4-TはXaa-boroPro、Xaa-boroAla、又はXaa-Pro-CNであってよい。一般的に、Xaa4 は好ましくはPro又はAlaでなくてはならず、Xaa3 はいずれの天然もしくは非天然型アミノ酸であってもよいが、T はボロニル、ニトリル、アルデヒド、アルファケトアミド、トリフルオロメチルケトン等であってよい。 DPP IVにとって有効なTASPIの例には、シクロヘキシルグリシン-プロリン-バリン-boroプロリン、(CHG-Pro-Val-boroPro)(5)、及びシクロヘキシルグリシン-プロリン-Ala-boroプロリン(CHG-Pro-Ala-boroPro)、がある。ホモ-及びヘテロ-共役体に関する我々の以前の研究から、我々は、基質のP2側鎖及び阻害剤は、DPP IVとは接触しないが、代わりにこの酵素の反対側から溶媒側に向かって延びていなければならないことを知っている。このように、DPP IVは、ポリペプチドのN末端から、そのN末端が何であるかに関係なく、たとえそれがCHGなどの非天然型アミノ酸であっても、ジペプチドを切り取るであろう。従ってDPP IVは、5のN末端CHG-Pro配列を切り取って、抗力あるDPP IV阻害剤 Val-boroPro、7を遊離させることになる。重要なことに、遊離するVal-boroProは、開放鎖型であり、従ってDPP IVの近傍で放出された場合には、純粋な形で調製された場合の未修飾Val-boroProよりも質量単位当たりより効力があるであろう。CHG (又は他の同様の非天然型アミノ酸)をSPIのP4位に配置すると、いくつかの利点がもたらされる。一つは、アミノペプチダーゼに対する耐性である。なぜならこれらは、N末端非天然アミノ酸を認識せず、また切断しないであろうからである。もう一つは、他のプロリル後ペプチダーゼ及びジペプチジルアミノペプチダーゼによる分解への耐性であり、従って、DPP IVへの標的決定性が高いであろう。 図3は、Val-boroPro 及びAla-boroPro のSPI型が、対応するXaa-boroPro阻害剤の特徴であるDPP IV阻害におけるpH依存性をin vitro酵素検定で示さないこと、そして、それらの見かけ上の親和性が低pH型の遊離Xaa-boroPro誘導体のそれにより類似であることを示しており、予測通り、 開放鎖及びより活性なコンホメーションではXaa-boroPro 部分が遊離することを裏付けている(図3)。図3のx軸はSPIの濃度に言及するものであり、遊離したXaa-boroProの濃度ではないことに留意することが重要である。遊離するXaa-boroProの量は、SPIの開始濃度よりも実質的に低くなり、従って図3は実際には、遊離するXaa-boroProの実際の効力を低く見積もったものであろう。 表1は、SPU型のXaa-boroProの数を挙げており、基本的にすべてが、例えば切断及び活性化が起きるP3部位にAlaを有するものなど、「不良」なDPP IV基質を除き、pH独立性を示している。 図6及び7は、CHG-Pro-Val-boroProが大変経口的に活性であることを示しており、他方、図8は、それが血清DPP IV活性を阻害する上でVal-boroProをしのぐことを示している。この阻害は当該の総達成阻害を達成するには少し長く(30分の時点で比較)かかり、阻害時間の長さは、Val-boroProよりもSPI型のVal-boroPro型を用いた方が長く維持される(2、4 及び8時間での阻害レベルを比較)。さらにSPI型のVal-boroPro は、Val-boroProよりも毒性が低いようである。未知の理由からVal-boroPro はラットにとって大変毒性が高いが、しかし見かけ上はマウスには全く毒性ではない(表2)。0.035mg/kg の用量が、4匹のツッカー・ラットのうち4匹を殺したが、100倍を越える用量(即ち3.5 mg/kg) でも何の著明な毒性効果もマウスではないことに注目されたい。相当する用量のCHG-Pro-Val-boroPro(即ち0.35 mg/kgのVal-boroProに同等)は4匹のラットのうち1匹しか殺さなかった(図6)。これは、DPP IVの阻害はそれ自体ではラットにおける毒性の原因ではないことを示している。なぜなら血清DPP IVのより大幅な阻害が、Val-boroPro単独よりもCHG-Pro-Val-boroPro で、低い毒性で達成されたからである。 表3では、Val-boroProのマウスでの経口での活性をCHG-Pro-Val-boroPro及びCHG-Pro-Ala-boroProと比較している。この結果は、ラットの場合と同様に、CHG-Pro-Val-boroProはマウスでもVal-boroProをしのぐことを示している。 表3のdb/dbマウスは、2型糖尿病の動物モデルを表す。図9は、CHG-Pro-Val-boroPro は、経口糖刺激後の糖の急激な上昇を下げ、この上昇を正常まで戻すのを助ける上で、Val-boroProを遙かにしのぐことを示す。 このように、SPI型のVal-boroPro は、ラット及びマウスでDPP IVをin vivoで阻害する上でより有効であり、この阻害はより長時間続き、糖尿病マウスモデルでの経口糖刺激後の曲線下面積を減少させる上で著しくより有効であり、そして毒性も低いようである。 実施例2: FAPで活性化するFAP阻害剤 線維芽細胞活性化タンパク質は、プロリン後切断セリンプロテアーゼであり、腫瘍を直に取り巻く細胞や、場合によっては治癒中の創傷の細胞上にのみ見つかるようであるDPP IVにいくらかの相同性がある。この酵素活性を遮断しさえすれば、いくつかの形の充実癌を治療する上で有用であろうと考えられてきた。FAPの特異性はDPP IVのそれと似ている。FAPは、例えばXaa-Pro-pNAなどのDPP IVにとっての基質でもある多種のジペプチド色素産生性基質を切断する。しかしながら、FAPは、それがエンドペプチダーゼ活性を有するという点でDPP IVとは異なる。従ってそれは上記のXaa-Pro-pNa基質を、たとえそのN末端がCBZ又はアセチル基で遮断されていても、切断するであろう。DPP IVは、このような遮断されたジペプチドは切断せず、またXaa-boroPro阻害剤は、N末端が遮断されたDPP IVにあまり作用しないであろう。FAPで活性化されるFAP阻害剤は、FAPに特異的な、本発明の構造R-A-G の化合物のうちのR-Aを作製することで構築することができ、このときR-A-G部分のうちの部分G(Xaa-Xaa-T)は、DPP IVを阻害できればほとんど何でもよい。有用なはずのこのような変更の一例を構造8に示す。(化35) CBZ-Val-Pro-Val-boroPro 8 この分子は、FAPが遊離させるVal-boroProがDPP IVを阻害したとしても、DPPIvによっては活性化しないであろう。しかしながら、それがFAP標的部位から拡散するときに起きるであろう環化及び失活と共にFAP近傍で遊離することが、実体化(原語:substantiation)FAP特異性を、遊離するVal-boroProか、又はFAPを阻害するために用いられた他のG部分(Xaa-Xaa-T)にもたらすであろう。 実施例3: スロンビンで活性化するスロンビン阻害剤(又はファクターX) 血液凝固の機序は、抗凝固剤が標的とするスロンビン又はファクター10をデザインする場合に空間的な難しさを提供する。両者とも、通常は大変低濃度で活性型で存在する。しかしながら、必要な場合には、内因性又は外因性経路のカスケード機序により、高濃度の活性化スロンビン又はファクターXaが急速に生じる。これが抗凝固剤に提供する問題とは、凝固を防ぐには、高過剰量のスロンビン又はファクターXa阻害剤を投与しなければならず、活性化スロンビンのレベルが低い場合でも維持しなければならない点である。結合させるのに充分なスロンビン又はファクターXaが近くにないと、阻害剤は他のトリプシン様セリンプロテアーゼを遮断してしまい、望ましくない副作用を引き起こす。この問題は、本発明の適切にデザインされたSPI分子により、克服することができる。この場合、R-Aは、スロンビン又はファクターXaがそれを取り除いてスロンビン又はファクターXa阻害剤を遊離させるように、構築されねばならない。このような分子の具体的な一例を構造9に示す。(化36) R-Arg-Leu-boroArg 9 タイプ2又は標的指向性SPI ミレニアム・ファーマシューティカルズ社は、現在、多種の癌の治療に向けた最終段階の臨床治験中であるプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤を開発した。この薬物は、かつてはPS-341と呼ばれ、今ではLDP-341と呼ばれており、図11に示すようにジペプチドボロン酸阻害剤、R-Phe-boroLeuである。このR基は、主に環化を防いで効力を高める目的で付加された。 プロテオソームは身体のどの細胞にも見られる。それらの触媒活性は、基本的に細胞生存のためであり、従ってこの酵素の阻害は有毒である。LPD-341の癌治療としての可能性は、急速に増殖する癌細胞が、プロテオソーム阻害の毒性効果に対し、正常細胞よりも感受性が高いことに依存している。本発明は、効験が高く、副作用が少なく、また例えば感染性疾患に対してなど、治療上の用途を広げるに違いない「スマート」型のプロテオソーム阻害剤を包含するものである。タイプ2又は標的指向性クラスのSPIに属する例を下に概略する。 実施例4: FAPで活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤。 FAPは腫瘍のみに関連するため、FAPで活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤は、癌治療用に現在存在する非プロドラッグであるミレニアム社(及び他社の)プロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤に比べて効験及び安全性で実質的な向上を提供するはずである。構造10は、FAPで活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤の化学構造の一例を示すものである。(化37) CBZ-Ala-Pro-Phe-boroLeu 10 実施例5: DPP IVで活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤。 DPP IVは活性化したT細胞上で上方調節されるため、プロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤をこれらの細胞に指向させることは、多種の自己免疫、及び、望ましくない、しかし活性化したT細胞集団が引き起こす他の異常の治療において治療上有用であろう。DPP IVで活性化するプロテオソーム阻害剤の構造の一例を構造11に示す。(化38) NH2-Ala-Pro-Phe-boroLeu 11 実施例6: 前立腺特異抗原(PSA)で活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤。 PSAは前立腺細胞で豊富に見つかるセリンプロテアーゼである。それはキモトリプシン様特異性を有し、Phe、Tyr、Ser、Glnに続くポリペプチドを切断するであろう。最もよく起きる切断配列はSer-Tyr-Gln↓のようである。前立腺細胞内のプロテオソーム・プロテアーゼを特異的に狙い、従って前立腺癌の治療に有用なSPIの一例を構造12に示す。(化39) Ac-Ser-Try-Gln-Phe-boroLeu 12 実施例7: マトリプターゼで活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤。 マトリプターゼは、特定の種類の癌細胞の細胞表面上で特異的に見つかる最近発見されたセリンプロテアーゼである。その特異性は完全には解明されていないが、トリプシンと同様、それはArg後を切断する。マトリプターゼで活性化するプロテオソーム阻害剤の一例を構造13に示す。(化40) R-Arg-Phe-boroLeu 13 実施例8: 感染細胞で活性化するプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤。 数多くの細胞性病原体が、この病原体が必要とする多種の機能を行うためのプロテアーゼをコードしている。例えば、マラリアを起こす微生物である熱帯熱マラリア原虫は、赤血球に侵入し、その主要なエネルギ源としてヘモグロビンを分解する。 それは、ヘモグロビンを分解する目的でファルシパインと呼ばれる、カセプシン様特異性を持つシステインプロテアーゼを産生する。マラリア治療に有用なファルシパインで活性化するプロテオソーム阻害剤の一例を14に示す。(化41) Z-Phe-Arg-Phe-boroLeu 14 多くの病原体がそれらのポリペプチド遺伝子産物を機能タンパク質にプロセッシングするためにプロテアーゼに依存している。このような「成熟用」プロテアーゼを産生する病原体は、とりわけA、B、及びC型肝炎並びにHIVである。これらの物質に感染した細胞を標的とするSPIは、当該病原体のプロテアーゼが認識して切断する正しいR-Aをジペプチドプロテオソーム阻害剤に加えることにより、構築することができる。その結果できるSPIは、感染細胞を探し出し、選択的に致死させるが、同じ種類の非感染細胞にはそうしないはずである。 実施例9. 新しい化学的部分をオスのスプラーグ・ドーリー・ラットに単回経口投与した後のdppivの阻害の評価 検査品目No. 1: チロシン-プロリン--アラニン-プロリンボロン酸 外観: 分子量446.31g/モル の白色粉末 検査品目 No. 2: フェニルアラニン-プロリン-アラニン-プロリンボロン酸 外観: 分子量430.31 g/モル の白色粉末 検査品目 No. 3: アラニン-プロリンボロン酸 外観: 分子量186.02g/モルの白色粉末 検査品目は使用時まで室温で保存された。投薬調合物は実験デザイン(表1)に定義した通りに脱イオン(タイプ1)水中に経口投与用に調製した。46匹のオスのスプラーグ・ドーリー・ラットをチャールズ・リバー・カナダ社(カナダ、QC、セント-コンスタント)から受け取り、用量投与前の少なくとも96時間、動物施設に順応させた。目的の室内条件は、温度21±3℃;湿度:30乃至70%だった。実験実施中、この範囲からの逸脱が記録されたことはなかった。光周期は12時間の光及び12時間の暗であり、必要に応じて投薬時及び試料最終時は例外とした。 用量投与の前日に、動物を無作為に9つの実験群(4匹のラット/群)に、実験デザイン(表5)に従って指定した。1日目、そして一晩の絶食後に、動物の体重を計り(体重範囲:273-301 g)、一服の体積2 mL/kgを胃管栄養法により、それらの各々の調合物を経口投与した。用量投与後、血液試料(0.25乃至0.40 mL)を、各動物から、イソフラン麻酔をして頚静脈穿刺により最終した。血液試料を(リチウムヘパリンを抗凝固剤として用いて)、用量前及び用量後1、2、4、6、8及び24時間の時点で採取した。血液試料を遠心分離 (3200 g で10分間、公称4℃で)まで氷上に置いた。遠心分離後に血漿を採集し、分析に向けた梱包まで公称−20℃で保存した。 結果 この実験実施中、有害な臨床的兆候が観察されなかったことから、当該検査品目の単回用量では、投与された用量レベルでは実質的に無害であることが示唆された。実施例10. 4種類の治験化合物をオスのラットに単回経口投与した後のDPP IV阻害の評価 この実験の目的は、4種類のトリアッド・ファーマシューティカルズ社医薬の単回経口用量が酵素ジペプチジルペプチダーゼ IV (DPP IV) の阻害に及ぼす影響をオスのスプラーグ-ドーリー・ラットで判定し、その潜在的な毒性を判定することだった。検査品目のうち三種類はアラニンプロリンボロン酸のプロドラッグだった。本文献は、この実験実施中に用いられた存命中手法を解説した報告を成す。血漿試料中のDPP IV活性の評価は、該スポンサによって行われた。これらの調査の結果を別々に報告することとする。方法検査品目検査品目 1: L-2-Chg-PRO-ALA-PROボロン酸 投与量: ほぼ0.6 mL の93.75 mg/mL水溶液 分子量: 422.33 g/モル 保存条件:公称−20℃検査品目 2: N-Me-Phe-PRO-ALA-PROボロン酸 投与量: ほぼ 0.6 mL の82.5mg/mL水溶液分子量: 444.33 g/モル 保存条件:公称−20℃検査品目 3: N-Me-Gly-3, 4 デヒドロプロリン-ALA-PROボロン酸 投与量: ほぼ 0.6 mL の66.67mg/mL水溶液 分子量: 352.19 g/モル 保存条件:公称−20℃ 合計2本のバイアル(それぞれほぼ0.3 mLを含有する)を、検査品目1、2、3 のそれぞれに、受領後から使用時まで公称ほぼ−20℃で保存した。用量調合物はMDSPSの部門DMPKで調製された。調合物はすべて、表6の実験デザインに解説した通りに、経口投与用に脱イオン(タイプ1)水中に溶かして調製された。検査品目1、2、及び3の用量調合物は、136.02g/モルというALA-PROボロン酸分子量に基づいて親薬物の具体的な目的用量レベルが確実に投与されるように調製された。36匹のオスのスプラーグ-ドーリー・ラットをチャールズ・リバー・カナダ社(カナダ、QC、セント-コンスタント)から受け取り、用量投与前の少なくとも1週間、動物施設に順応させた。目的の室内条件は、温度21±3℃;相対湿度:30乃至70%だった。実験実施中、この範囲からの逸脱はなかった。光周期は12時間の光及び12時間の暗であり、必要に応じて投薬時及び試料最終時は例外とした。 用量投与の前日に、動物を無作為に12の実験群(3匹のラット/群)に、表6に解説された実験デザインに従って指定した。1日目(用量投与の日)、そして一晩の絶食後に、動物の体重を計り(体重範囲:265-292 g)、一服の体積2 mL/kgを、胃管栄養法により、それらの各々の調合物を経口投与した。用量投与後、血液試料(0.25乃至0.40 mL)を、各動物から、イソフラン麻酔をして頚静脈穿刺により最終した。血液試料を(リチウムヘパリンを抗凝固剤として用いて)、用量前及びやはり用量後1、2、4、6、8及び24時間の時点で採取した。血液試料を、3200 g で10分間、公称4℃での遠心分離まで、氷上に置いた。遠心分離後に血漿を採集し、梱包までドライアイス上で公称−20℃で保存し、分析に向けた。結果 有害な臨床的兆候及び/又は死亡が、3、5、6、8、及び9群の数匹の動物にしばしば観察された。動物番号3001 (3群)及び 8001 (8群)は、それぞれ用量後ほぼ5時間及び4時間目に、悪化状態のために人道的にと殺した。と殺前、これらの動物は、順に、耳及び前足の赤み、活動低下及び呼吸困難を示した。これらの兆候は、用量後ほぼ2時間で初めて観察された。さらに動物9001 (9群)番は用量後ほぼ7時間で死亡が確認された。この動物に関しては死亡前に臨床的兆候は何ら観察されなかった。他の主な臨床的兆候を表7に要約する。 上で引用した全ての特許、出願、及び公開済み参考文献の全文を、引用をもってここに援用することとする。図1は、 CD26/DPP IV 切断可能ペプチド基質とアライメントしたAlaboroPro 及びProboroProの構造を示す。図2は、Xaa-boroProのpH依存的コンホメーション平衡を示す。図3は、対応するスマート・ドラッグのpH独立性と比較したときの、Val-boroPro (一番上左側) 及びAla-boroPro (一番上右側)によるDPP IV阻害のpH依存性を示す。阻害剤を、pH2又はpH8の溶液中で一晩インキュベートした後に、pH8.0の酵素検定溶液に直接加えた。図4は、様々な電子不足官能基のpH依存的コンホメーション平衡の例を示す。図5は、シクロヘキシルグリシン-プロリン (又はプロリン類似体)-バリン-boroプロリンを示す。図6は、3種類の異なる用量のCHG-Pro-Val-boroProを経口投与した後のラットにおける血清中DPPIV活性を時間の関数で示す。結果は、CHG-Pro-Val-boro-Proは経口でも活性であることを示している。図7は、ラットの血清中DPP IV活性を、3種類の異なる用量のCHG-Pro-Val-boroProを皮下投与した後の時間の関数として示す。図8は、ラットの血清中DPP IV活性を、0.025mg/kgを単回経口投与した後の時間の関数で示す。図9は、検査薬剤を0.5 mg/kg Val-boroProで経口投薬してから4時間後に投与されたDB/DBマウスにおける経口糖耐性検査(OGTT)を示す。図10は、ラットの血清中 DPP IV活性を、0.05mg/kgを単回経口投与後1時間及び4時間目の時点での時間の関数として示す。図11は、ミレニアム社のLDP 341のプロテオソーム・プロテアーゼ阻害剤の構造を示す。図12は、Pro-boro-Pro 及びCBZ-Ala-boro-ProのIC50濃度グラフを示す。図13は、4-アミノメチルベンジルボロン酸及びエチルGly-boro-ProのIC50pH依存性を示す。図14は、プロピルGly-boroPro 及びt-ブチルGly-boroProのIC50pH依存性を示す。図15は、Pro-boro-ProのIC50濃度グラフを示す。図16は、所定のpHでのDPP IVに対するAspProGlyboroProの阻害プロファイルを示す。所定のpHでのキモトリプシンに対するSuc-AlaAlaProPheAlaboroProの阻害プロファイルを示す。図18aは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するHisAlaAspboroProの阻害プロファイルを示す。図18bは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するHisAlaAspboroProの阻害プロファイルを示す。図18cは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するHisAlaAspboroProの阻害プロファイルを示す。図19aは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19bは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19cは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19dは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19eは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19fは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図19gは、所定のpHでのDPP IVに対するPheProAlaboroProの時間分解阻害効力を示す。図20は、所定のpHでのDPPIVに対するLysProPheboroLeuの阻害プロファイルを示す。図21は、所定のpHでのDPPIVに対するTyrProSerboroProの阻害プロファイルを示す。図22aは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22bは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22cは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22dは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22eは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22fは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図22gは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するChgAla-tBugboroProの阻害プロファイルを示す。図23は、DPP IVに対するTyrProTyrProPheboroLeuの阻害プロファイルを示す。図24aは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24bは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24cは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24dは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24eは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24fは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図24gは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するGlypro-N-Me-Gly-BoroProの阻害プロファイルを示す。図25は、所定のpHでのDP IVに対するTyrProPheAlaboroProの阻害プロファイルを示す。図26は、所定のpHでのDP IVに対するtBugProAlaboroProの阻害プロファイルを示す。図27は、所定のpHでのDP IVに対するChgProChgboroProの阻害プロファイルを示す。図28は、所定のpHでのDPI Vに対するベータEBPの阻害プロファイルを示す。図29は、所定のpHでのDP IVに対するChgHypEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図30は、所定のpHでのDP IVに対するChgPipEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図31は、所定のpHでのDP IVに対するChgAzeEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図32gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz2EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33aは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33bは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33cは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33dは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33eは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図33fは、 所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgThz4EtgboroProの阻害プロファイルを示す。図34は、所定のpHでのDP IVに対するNH3-ChgProAbuN(me) boroGlyの阻害プロファイルを示す。図35aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図35bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図35cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図35dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図35eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図35fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するHisAlaEtgboroProの阻害プロファイルを示す。図36aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図36gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgAib-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図37aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図37gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroAla の阻害プロファイルを示す。図38aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38えは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図38gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgCpg-エチルGly-boroProの阻害プロファイルを示す。図39は、所定のpHでのDP IVに対するChgAla-Etg-boroProの阻害プロファイルを示す。図40aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図40gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するTyr-(D)-ProPheboroProの阻害プロファイルを示す。図41aは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41bは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41cは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41dは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41eは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41fは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図41gは、所定のpHでの様々な時点におけるDP IVに対するChgPro-tBug-boroProの阻害プロファイルを示す。図42は、所定のpHでのDP IVに対するPhePro-Ala-boroProの阻害プロファイルを示す。図43は、所定のpHでのDP IVに対するTyrProAlaboroProの阻害プロファイルを示す。図44は、所定のpHでのDP IVに対するProProProboroProの阻害プロファイルを示す。図45は、所定のpHでのDP IVに対するAlaProProboroProの阻害プロファイルを示す。図46は、所定のpHでのDP IVに対するGlyProProboroProの阻害プロファイルを示す。図47はスマート・ドラッグ化合物を示す。図48はスマート・ドラッグ化合物を示す。図49はスマート・ドラッグ化合物を示す。図50はスマート・ドラッグ化合物を示す。図51aは、様々な投薬レベルでのChgProAlaboroPro、N-Me- PheProAlaboroPro 及びSarDhpAlaboroProによるDPPIVのin vivo時間分解阻害を示す。図51bは、様々な投薬レベルでのChgProAlaboroPro、N-Me- PheProAlaboroPro 及びSarDhpAlaboroProによるDPPIVのin vivo時間分解阻害を示す。図51cは、様々な投薬レベルでのChgProAlaboroPro、N-Me- PheProAlaboroPro 及びSarDhpAlaboroProによるDPPIVのin vivo時間分解阻害を示す。図52aは、様々な投薬レベルでのPheProAlaboroProによるDPPIVのin vivo時間分解阻害を示す。図52bは、様々な投薬レベルでのPheProAlaboroProによるDPPIVのin vivo時間分解阻害を示す。図53は、PheProAlaboroProで処理後の糖尿病マウスの血糖レベルを示す。図54は、DPP IVに対するN-Me-PheProAlaboroProの阻害プロファイルを示す。図55は、所定のpHでのN-Me-PheProAlaboroProによるDPP IVの時間分解阻害を示す。図56aは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56bは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56cは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56dは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56eは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56fは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56gは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図56hは、所定のpHでの様々な時点におけるDPP IVに対するSarDhpAlaboroPro の阻害プロファイルを示す。図57は、PheProAlaboroPro のinvivo活性を示す。図58は、DPP IV-/-マウスにおける糖刺激性インシュリン及びGLP-1の増加を示す。図59は、GLP-1シグナル伝達が、DPP IV阻害剤の作用に必要でないことを示す。図60は、マウスにおける多種のDPP IV阻害剤の時間分解効力の比較を示す。図61は、マウスにおいてin vivoでDPPIV触媒活性を遮断する上でのChgProValboroPro及びValboroPro間の比較を示す。図62は、ラットにおいてValboroProよりもChgProValboroPro はより効力があり、より長時間作用し、そしてより安全であることを示す。各棒は、4匹の動物の平均を表す。図63は、0.05mg/kgの単回経口用量時のdb/dbマウスにおける経口糖耐性検査で、 ChgProValboroPro はValboroProよりも効果が高いことを示す。検査品目は、上のグラフでT=0の時点での経口糖刺激から3時間前に投与された。各辞典は、5匹のマウスの平均を表す。図64は、スマートプロ阻害剤分子型の効力あるDPP IV阻害剤が、in vitro DPPIV阻害検定において高pH及びpH独立性で高い効力を示すことを示す。図65は、db/dbマウスで絶食時の血糖を低下させる上で ChgProValboroPro はGLP-1をしのぐことを示す。1.7 mg の用量は、0.05 mg/kg 用量に相当する。図66は、ChgProValboroProが糖尿病マウスにおいて絶食時血糖を低下させる上で、エキセンジン-4 と同程度に有効であることを示す。図67は、高血糖の程度が大きいほど、絶食時血糖を低下させる上でエキセンジン-4 が果たす効果が大きいことを示す。図68は、DPP IV阻害剤のKi値を示す。図69は、所定のDPP IV阻害剤の活性プロファイルを示す。 一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって: 但し式中、 Aが、2−4個の長さのアミノ酸残基であり、C末端のアミノ酸部分がProである、ペプチジル部分を含み;前記化合物が、線維芽細胞活性化タンパク質の基質であり、 A及びGは、線維芽細胞活性化タンパク質で切断される結合である共有結合により連結されており;そして Gは、線維芽細胞活性化タンパク質によりAから切断されたときに100nM以下のKiでプロテオソームのタンパク質分解活性を阻害する、ジペプチジルプロテオソーム阻害部分を表し、但し前記ジペプチジルプロテオソーム阻害部分Gは、前記線維芽細胞活性化タンパク質によりAから切断されたときに可逆的な環化に依存する不活性化を経時的に経る、化合物又はその薬学的に許容可能な塩 Aが、ジペプチジル部分又はトリペプチジル部分である、請求項1に記載の化合物。 Aが、トリペプチジル部分である、請求項1に記載の化合物。 Aのアミノ末端が、アミノ末端の保護基で保護されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物。 Aのアミノ末端が、アシル基で保護されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物。 Aのアミノ末端が、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル、及びメトキシスクシニルからなる群から選ばれるアシル基で保護されている、請求項5に記載の化合物。 前記ジペプチジルプロテオソーム阻害部分Gが、一般式(II)で表され、但し式中、 Xaa1及びXaa2は、それぞれ個別に一個のアミノ酸残基を表し; Wは、-CN、-CH=NR5、を表し、但し式中、 R5は、H、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、-(CH2)m-R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、-(CH2)n-S-アルケニル、-(CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、-C(O)C(O)NH2、又は-C(O)C(O)OR7を表し; R6は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7は、それぞれ個別に、水素、又は一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; Y1及びY2は、個別に又は一緒に、OHであるか、あるいは、Y1及びY2が、5乃至8個の原子を環構造内に有する一個の環を介して接続している環状の誘導体を含め、加水分解されてヒドロキシル基となることができる基であってよく、 R50はO又はSを表し; R51はN3、SH、NH2、NO2又は-OR7を表し; R52は水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは、R51及びR52は、これらが結合したリン原子と一緒になって環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を形成し、 X1は一個のハロゲンを表し; X2及びX3はそれぞれ、一個の水素又は一個のハロゲンを表し; mは0又は、1乃至8の範囲内の整数であり;そしてnは1乃至8の範囲内の整数である、請求項1に記載の化合物。 Wは、式:であり、そしてY1及びY2はOHである、請求項7に記載の化合物。 Xaa1又はXaa2が、非天然型アミノ酸アナログである、請求項7に記載の化合物。 前記ジペプチジルプロテオソーム阻害剤のG部分が、NH2−Xaa−boroAla又はNH2−Xaa−boroLeu(式中、Xaaがアミノ酸残基である)で表される、請求項1に記載の化合物。 前記ジペプチジルプロテアソーム阻害剤のG部分が、NH2−Xaa−boroLeu(式中、Xaaがアミノ酸残基である)で表される、請求項1に記載の化合物。 Xaaが、非天然型アミノ酸残基である、請求項10又は11に記載の化合物。 Aが、トリペプチジル部分であり、Gが、NH2−Xaa−boroLeuであり、かつXaaが、非天然型アミノ酸残基である、請求項1に記載の化合物。 前記可逆的な環化に依存する不活性化が、直鎖形及び環状形との間の相互変換を経る、前記ジペプチジルプロテオソーム阻害剤部分Gを含み、前記環状形が、前記直鎖形よりも少なくとも5倍大きい、前記プロテオソームを阻害するKiを有する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物。 前記環状形が、前記直鎖形の10倍のKiを有する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物。 前記環状形が、前記直鎖形の100倍のKiを有する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物。 前記化合物が、単独で投与した場合前記ジペプチジルプロテオソーム阻害剤部分Gの治療係数よりも少なくとも2倍大きい治療係数を有する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物。 薬学的に許容可能な担体と、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物。 グルコース代謝異常、肥満症、炎症疾患、細胞増殖疾患、自己免疫疾患、中枢神経系(CNS)疾患、腸不全、粘膜障害、消化管疾患又は癌の治療のための医薬製造における、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の化合物の使用。 一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって: 但し式中、 Aは、DPPIVの基質である、C−末端に結合したペプチドを表し; A及びGは、DPP IVで切断される結合である共有結合により連結されており;そして Gは、前記ジペプチジル部分のC末端を置換する、プロテアーゼの活性部位における残基と、共有結合による付加物を形成することができる親電子性官能基を有するジペプチジル部分であり、但しGは、DPP IVによりAから切断されたときに、可逆的なコンホメーション依存的失活を起こし、及び/又は、標的プロテアーゼを100nM以下のKiで阻害し、及び前記標的プロテアーゼがDPP IV、DPP II、プロリルオリゴペプチダーゼ(PO)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、及びプロリルカルボキシペプチダーゼからなる群より選択される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。 Aがジペプチジル部分又はトリペプチジル部分である、請求項20に記載の化合物。 Gが、一般式(II)で表され、但し式中、 Xaa1及びXaa2は、それぞれ個別に一個のアミノ酸残基を表し; W が-CN、-CH=NR5、を表し、但し式中、 R5は、H、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、-(CH2)m-R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、-(CH2)n-S-アルケニル、-(CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、又は-C(O)C(O)NH2、-C(O)C(O)OR7を表し; R6は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7は、それぞれ個別に、水素、又は一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; Y1及びY2は、個別に又は一緒に、OHであるか、あるいは、Y1及びY2が、5乃至8個の原子を環構造内に有する一個の環を介して接続している環状の誘導体を含め、加水分解されてヒドロキシル基となることができる基であってよく、 R50はO又はSを表し; R51はN3、SH、NH2、NO2又は-OR7を表し; R52は水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは、R51及びR52はこれらが結合したリン原子と一緒になって環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を形成し、 X1は一個のハロゲンを表し; X2及びX3はそれぞれ、一個の水素又は一個のハロゲンを表し; mは0又は、1乃至8の範囲内の整数であり;そしてnは1乃至8の範囲内の整数である、請求項20に記載の化合物。 前記不活性型のKiが、活性型のGのKiの少なくとも5倍である、請求項20乃至22のいずれかに一つに記載の化合物。 前記化合物の治療指数が、単独で投与されたGの治療指数の少なくとも2倍である、請求項22乃至22のいずれか一つに記載の化合物。 発熱源を含まない医薬製剤に入れて提供される、請求項20乃至22のいずれか一つに記載の化合物。 前記化合物の単回投与により、少なくとも4時間にわたって、治療上有効量のGを生じることができる、請求項20乃至25のいずれか一つに記載の化合物。 Gが可逆的pH依存性失活を起こす、請求項20に記載の化合物。 Aのアミノ末端が、アミノ末端保護基で遮断されている、請求項20に記載の化合物。 下記の式:で表され、但し式中: Aは、N及びCα位炭素を含む一個の4乃至8員複素環を表し; Wは、-CN、-CH=NR5、を表し、但し式中、 R1は、DPP IVの基質である、C末端連結ペプチド又はペプチド類似体を表し; R2は、存在しないか、あるいは、それぞれ個別に一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、一個の低級アルキニル、一個のカルボニル、一個のカルボキシル、一個のエステル、一個のホルメート、一個のケトン、一個のチオカルボニル、一個のチオエステル、一個のチオアセテート、一個のチオホルメート、一個のアミノ、一個のアシルアミノ、一個のアミド、一個のシアノ、一個のニトロ、一個のアジド、一個のスルフェート、一個のスルホネート、一個のスルホンアミド、-(CH2)m-R6、-(CH2)m-OH、-(CH2)m-O-低級アルキル、-(CH2)m-O-低級アルケニル、-(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)m-SH、-(CH2)m-S-低級アルキル、-(CH2)m-S-低級アルケニル、又は-(CH2)n-S-(CH2)m-R6であってよい、環Aの一個以上の置換基を表し; R3は、それぞれ個別に、一個の水素、又は一個の低級アルキルを表し; R4は、水素、又は、一個のハロゲン、一個の低級アルキル、一個の低級アルケニル、又は一個の低級アルキニルを表し; R5は、H、一個のアルキル、一個のアルケニル、一個のアルキニル、-C(X1)(X2)X3、- (CH2)m-R6、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-O-アルキル、-(CH2)n-O-アルケニル、-(CH2)n-O-アルキニル、(CH2)n-O-(CH2)m-R6、-(CH2)n-SH、-(CH2)n-S-アルキル、-(CH2)n-S-アルケニル、- (CH2)n-S-アルキニル、-(CH2)n-S-(CH2)m-R6、-C(O)C(O)NH2、-C(O)C(O)OR7を表し; R6は、それぞれ個別に、一個の置換もしくは非置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し; R7は、それぞれ個別に、水素、又は、一個の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又は複素環を表し;及び Y1及びY2は、個別に、OH、又は、Y1及びY2が環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の環を介して接続されている環状の誘導体を含め、加水分解されて一個のヒドロキシル基となることができる基であってよく; R50は、O又はSを表し; R51は、N3、SH、NH2、NO2又は-OR7を表し; R52は、水素、一個の低級アルキル、一個のアミン、-OR7、又は一個の薬学的に許容可能な塩を表すか、あるいは、R51及びR52は、これらが結合したリン原子と一緒になって、環構造内に5乃至8個の原子を有する一個の複素環式の環を形成し、 X1は一個のハロゲンを表し; X2及びX3は、それぞれ一個の水素又は一個のハロゲンを表し; mは0であるか、又は1乃至8の範囲の整数であり;及び nは1乃至8の範囲の整数である、請求項20に記載の化合物。 R2が存在しない、請求項29に記載の化合物。 Wが式:を表す、請求項22に記載の化合物。 R5が水素又は-C(X1)(X2)X3であり、但しこの場合、X1はフッ素であり、そしてX2及びX3は、個別に水素又はフッ素である、請求項31に記載の化合物。 薬学的に許容可能な担体と、請求項20乃至32のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物。 グルコース代謝異常、肥満症、炎症疾患、細胞増殖疾患、自己免疫疾患、中枢神経系(CNS)疾患、腸不全、粘膜障害、消化管疾患又は癌の治療のための医薬製造における、請求項20に記載の化合物の使用。 薬学的に許容可能な医薬品添加物中に調合された請求項20に記載の化合物を、患者に対する前記調合物の推奨される投薬量及び/又は投与を解説した指示(書面及び/又は図面)と組み合わせて含む梱包された医薬。 (Ac)Val-Ala-Pro-boroArg、Aib-Ala-Val-boroPro、Ala-Ala-Pro-boroPro、Ala-Ala-Val-boroPro、Ala-Pro-Pro-boroPro、Ala-Pro-Val-boroPro、Asp-Pro-Gly-boroPro、(Cbz)Ala-Pro-Phe-boroLeu、(Cbz)Val-Pro-Val-boroPro、Chg-Ala-Etg-boroAla、Chg-Ala-Etg-boroPro、 Chg-Ala-Pro-boroPro、Chg-Ala-tBug-boroPro、Chg-Ala-Val-boroPro、Chg-Ala-Val-boroPro、Chg-Aze-Etg-boroPro、Chg-Cpg-Etg-boroPro、Chg-Dhp-Etg-boroPro、Chg-Hyp-Etg-boroPro、Chg-Hyp-Etg-boroPro、Chg-Pip-Etg-boroPro、Chg-Pro-Abu-(N-Me)boroGly、Chg-Pro-Ala-boroPro、Chg-Pro-Chg-boroPro、Chg-Pro-Chg-boroPro、Chg-Pro-Etg-boroPro、Chg-Pro-tBug-boroAla、Chg-Pro-tBug-boroPro、Chg-Pro-Val-boroPro、Chg-Thz-2Etg-boroPro、Chg-Thz-4Etg-boroPro、Chg-Val-Pro-boroPro、Gly-Pro-(N-Me)Gly-boroPro、Gly-Pro-Pro-boroPro、Gly-Pro-Val-boroPro、His-Ala-Asp-boroPro、His-Ala-Etg-boroPro、Lys-Pro-Phe-boroLeu、(N-Me)Gly-(3,4-dihydro)Pro-Ala-boroPro、(N-Me)Phe-Pro-Ala-boroPro、Phe-Pro-Ala-boroPro、Pro-Pro-Pro-boroPro, Sar-Dhp-Ala-boroPro、tBug-Pro-Ala-boroPro、Tyr-(D)Pro-Phe-boro-Pro、Tyr-Pro-Phe-boro-Pro、Tyr-Pro-Ala-boroPro、Tyr-Pro-Phe-boroPro及びTyr-Pro-Ser-boroProからなる群から選ばれる化合物。からなる群から選ばれる化合物。 【課題】プロテオソーム、DPOP IV、FAPα等の阻害剤など、プロテアーゼ阻害剤のプロドラッグの提供。【解決手段】当該「プロテアーゼ阻害剤」は活性化して、即ち「活性化プロテアーゼ」により切断されて、「標的プロテアーゼ」の近傍で活性阻害剤部分を遊離させる。活性化プロテアーゼ及び標的プロテアーゼの種類は同じ(例えばプロ阻害剤が、「標的活性化スマート・プロテアーゼ阻害剤」又は「TASPI」と呼ばれる場合)でも、又は異なって(例えば「標的指向性スマート・プロテアーゼ阻害剤」又は「TDSPI」)いてもよい。プロ阻害剤の活性化後、活性阻害剤部分は、例えば分子内環化又はcis-trans異性体化などにより自己失活することができる。【選択図】なし配列表