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タイトル:公開特許公報(A)_着色防止剤組成物、材料組成物、及び着色防止方法
出願番号:2012210270
年次:2014
IPC分類:C08L 101/00,C07D 215/04,C07D 215/20,C07C 211/51,C08K 5/00,C08F 2/44,C08F 2/00


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田辺 剛 八巻 大輔 JP 2014065767 公開特許公報(A) 20140417 2012210270 20120925 着色防止剤組成物、材料組成物、及び着色防止方法 精工化学株式会社 000195616 渡邉 一平 100088616 木川 幸治 100089347 佐藤 博幸 100154379 小池 成 100154829 田辺 剛 八巻 大輔 C08L 101/00 20060101AFI20140320BHJP C07D 215/04 20060101ALI20140320BHJP C07D 215/20 20060101ALI20140320BHJP C07C 211/51 20060101ALI20140320BHJP C08K 5/00 20060101ALI20140320BHJP C08F 2/44 20060101ALI20140320BHJP C08F 2/00 20060101ALI20140320BHJP JPC08L101/00C07D215/04C07D215/20C07C211/51C08K5/00C08F2/44 BC08F2/00 Z 13 OL 16 4C031 4H006 4J002 4J011 4C031DA04 4H006AA03 4H006AB83 4J002AA001 4J002AC031 4J002AC061 4J002AC071 4J002AC081 4J002AC091 4J002BC031 4J002BD041 4J002BF021 4J002BG011 4J002BG041 4J002BG051 4J002BG101 4J002BL011 4J002BL021 4J002EN077 4J002EU037 4J002EW016 4J002EX076 4J002FD076 4J002FD077 4J002FD206 4J002FD207 4J011AA05 4J011AC05 4J011PA36 4J011PA46 4J011PA47 4J011PB24 4J011PB40 4J011PC02 本発明は着色防止剤組成物、材料組成物、及び着色防止方法に関する。更に詳しくは、アミン系安定剤に起因する着色を防止する着色防止剤組成物及び着色防止方法、並びにアミン系安定剤に起因する着色が防止された材料組成物に関する。 従来から、重合体やその単量体組成物に対する酸化防止剤や重合禁止剤として、ハイドロキノン、メトキシフェノール、tert−ブチルカテコール、メチルハイドロキノン等のフェノール系化合物やアミン系化合物が広く用いられている。しかしながら、これらの化合物は発色を伴うことが多く、それに伴い重合体製品に着色を引き起こす場合があった。また、無色の重合体製品であっても、高温下での使用や、日光からの紫外線による劣化、排気ガスによる変質等により着色される場合があった。このような着色された重合体製品は、用途によっては使用できない場合があった。 このような重合抑制剤又は酸化防止剤を使用することによる着色の防止を目的として、アリールホスフィン化合物やシラザン化合物を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特に、特許文献1には、重合体の単量体組成物として、アクリル系重合性単量体又はその部分重合体を使用できることが開示されている。しかしながら、アミン系化合物の具体例としては、フェノチアジンやジフェニルアミン等の無置換の芳香族アミン化合物しか開示されていない。また、実施例として用いられている重合抑制剤又は酸化防止剤は、アニソール、ハイドロキノン、カテコール等のフェノール系化合物であり、アミン系化合物に実際に適用し、その効果が発現することは示されていない。特開2009−249308号公報 アミン系化合物にアルキル基等を置換した場合、化合物の分子量が増加することから、揮発温度が上昇すると考えられる。このような化合物を含む単量体組成物や重合体製品は、耐熱性の上昇等の有利な効果を奏することが期待される。また、アミン系化合物にアルキル基等を置換した場合、一般的な有機基質への親和性は高くなることが期待される。このような化合物は、無置換のアミン系化合物が溶解度不足や分散不良等の理由で使用できないような基質に対しても使用することができる。そのため、アルキル基等で置換された芳香族アミン化合物等は、無置換の芳香族アミン化合物に比べて、ゴム材料等に使用される材料組成物としての利用が期待される。 しかしながら、アルキル基等を置換すると、芳香族アミン系化合物はより容易に酸化され易くなることが想定される。また、一般に、芳香族アミン系化合物は、フェノール系化合物に比べて着色が濃い。そのため、アルキル基等で置換された芳香族アミン系化合物を用いた場合には、よりいっそう着色し易くなることが予想される。そのため、このような芳香族アミン系化合物を使用した場合であっても、着色を有効に防止することができる技術の開発が切望されている。 本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。その課題とするところは、アルキル基等で置換された芳香族アミン系化合物やその重合物を用いた場合であっても、着色を防止することができる着色防止剤組成物を提供することにある。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の芳香族アミン化合物にアリールホスフィン化合物やシラザン化合物を添加することによって、上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、以下に示す着色防止剤組成物、材料組成物、及び着色防止方法が提供される。 [1]アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物と、アミン系安定剤と、を含有し、前記アミン系安定剤が、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された、芳香族アミン化合物、又は前記芳香族アミン化合物の重合物からなるものである着色防止剤組成物。 [2]前記アミン系安定剤が、下記一般式(1)で表されるパラフェニレンジアミン系化合物、重合度が2〜5であり、下記式(2)で表されるキノリンの重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及び下記一般式(3)で表されるジフェニルアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記[1]に記載の着色防止剤組成物。 (前記一般式(1)中、R1はフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2は炭素数3〜10のアルキル基を示す。なお、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。) (前記一般式(3)中、R3は、水素原子、炭素数が4〜9のアルキル基、又はアラルキル基を示し、R4は、炭素数が4〜9のアルキル基又はアラルキル基を示す。なお、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよい。) [3]前記アミン系安定剤が、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンからなる群から選択された少なくとも1種である前記[2]に記載の着色防止剤組成物。 [4]前記着色防止化合物が、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の着色防止剤組成物。 [5]前記着色防止化合物の含有量が、前記アミン系安定剤100質量部に対して、外配で1〜200質量部である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の着色防止剤組成物。 [6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の着色防止剤組成物と、重合性単量体又は前記重合性単量体の部分重合体若しくは重合体と、からなる材料組成物。 [7]前記重合性単量体が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種である前記[6]に記載の材料組成物。 [8]重合性単量体又は前記重合性単量体の部分重合体若しくは重合体と、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された芳香族アミン化合物又は前記芳香族アミン化合物の重合物からなるアミン系安定剤と、からなる配合物に対して、アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物を添加する着色防止方法。 [9]前記アミン系安定剤が、下記一般式(1)で表されるパラフェニレンジアミン系化合物、重合度が2〜5であり、下記式(2)で表されるキノリンの重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及び下記一般式(3)で表されるジフェニルアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記[8]に記載の着色防止方法。 (前記一般式(1)中、R1はフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2は炭素数3〜10のアルキル基を示す。なお、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。) (前記一般式(3)中、R3は、水素原子、炭素数が4〜9のアルキル基、又はアラルキル基を示し、R4は、炭素数が4〜9のアルキル基又はアラルキル基を示す。なお、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよい。) [10]前記アミン系安定剤が、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンからなる群から選択された少なくとも1種である前記[9]に記載の着色防止方法。 [11]前記着色防止化合物が、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種である前記[8]〜[10]のいずれかに記載の着色防止方法。 [12]前記着色防止化合物の含有量が、前記アミン系安定剤100質量部に対して、外配で1〜200質量部である前記[8]〜[11]のいずれかに記載の着色防止方法。 [13]前記重合性単量体が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種である前記[8]〜[12]のいずれかに記載の着色防止方法。 本発明の着色防止剤組成物は、これを配合した材料組成物等の着色を防止することができるという効果を奏するものである。 本発明の材料組成物は、着色が防止されたものであるという効果を奏するものである。 本発明の着色防止方法は、配合物の着色を防止することができるという効果を奏する。 以下、本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれることが理解されるべきである。1.着色防止剤組成物: 本発明の着色防止剤組成物は、アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物と、アミン系安定剤と、を含有するものである。そして、アミン系安定剤は、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された、芳香族アミン化合物、又はその重合物からなるものである。 アリールホスフィン化合物又はシラザン化合物が着色防止効果を奏することは公知の事実である。しかしながら、これらの化合物の着色防止効果は、もともと着色しても色が薄いフェノール系化合物に対してのみが実証されているだけであり、アミン系化合物に対して着色防止効果を発現するか、とりわけ着色し易いアルキル基等で置換された芳香族アミン化合物に対して着色防止効果が発現するかについては本出願人の試行錯誤の鋭意検討により初めて見出された事実である。(1)着色防止化合物: 着色防止化合物は、アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかである。これらの化合物を含有することにより、本発明の着色防止剤組成物は、アミン系安定剤を含有することによる着色を有効に防止することができる。 アリールホスフィン化合物としては、従来公知の化合物を用いることができる。具体的には、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリナフチルホスフィン等のトリアリールホスフィン;モノシクロへキシルジフェニルホスフィン、モノプロピルジフェニルホスフィン、モノブチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィンを挙げることができる。これらの中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。 シラザン化合物としては、従来公知の化合物を用いることができる。具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザン、N−トリメチルシリルアルキルアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリルウレア)、N−ベンジルトリメチルシリルアミン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルプロパンジシラザン及びその重合物、2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1,3−ジ−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシラザン、ビス(トリエチルシリル)アミン、2,2,6,6−テトラメチル−1−アザ−2,6−ジシラシクロヘキサン、ポリシラザン、メチルトリス(シクロヘキシルアミノ)シラン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ジブチルテトラメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、テトラフェニルジメチルジシラザン、2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラピペリジン、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラピロリジン等を挙げることができる。これらの中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンが好ましい。 着色防止化合物の含有量は、アミン系安定剤100質量部に対して、外配で1〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることが更に好ましく、50〜100質量部であることが特に好ましい。着色防止化合物の含有量が1質量部未満であると、着色防止効果が不十分となり、重合体製品がアミン系安定剤により着色される場合がある。一方、着色防止化合物の含有量が200質量部超であると、着色防止化合物が過剰に含有されることになり、経済上好ましくない。(2)アミン系安定剤: アミン系安定剤は、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された芳香族アミン化合物又はその重合物からなるものである。このような芳香族アミン化合物又はその重合物は、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換されているので、酸化され易いものである。そのため、より容易に着色するものである。なお、アミン系安定剤とは、酸化防止剤や重合禁止剤としての用途を総括した表現である。 アミン系安定剤は、前記一般式(1)で表されるパラフェニレンジアミン系化合物、重合度が2〜5であり、前記式(2)で表されるキノリンの重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及び前記一般式(3)で表されるジフェニルアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むものが好ましい。 一般式(1)中、R1として表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル、ヘプチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基がある。また、R2として表される炭素数3〜10のアルキル基としては、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル、ヘプチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル、ノニル基、デシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基がある。 一般式(3)中、R3又はR4として表される炭素数が4〜9のアルキル基としては、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基がある。また、R3として表されるアラルキル基としては、α,α−ジメチルベンジル基、メチルベンジル基、ベンジル基等がある。 アミン系安定剤として、より具体的には、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。2.材料組成物: 本発明の材料組成物は、「1.着色防止剤組成物」に記載の着色防止剤組成物と、重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体と、からなるものである。着色防止剤組成物にアミン系安定剤が含有されているので、重合性単量体又はその部分重合体が保存条件下等で重合反応を進行することを抑制することができるし、重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体が酸化することを有効に防止することができる。また、着色防止剤組成物に着色防止剤が含有されているので、アミン系安定剤の酸化等により生じる着色を防止することができる。そのため、重合体製品とした後でも、アミン系安定剤に起因する着色を防止することができる。(3)重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体: 重合性単量体や、部分重合体又は重合体を構成する単量体としては、特に限定されるものではなく、重合体製品に応じて適宣選択することができる。重合性単量体は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。 アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。また、メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。 重合性単量体の部分重合体又は重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、上記重合性単量体が1種類以上共重合した部分重合体又は重合体がある。 なお、本明細書にいう重合体とは、重合性単量体を重合させて得られた重合体そのものに加えて、例えば、ゴム材料のように、得られた重合体を架橋させた架橋生成物のような、得られた重合体に製品の用途に応じて所定の処理を施したものや天然物も含むものである。架橋生成物として、具体的には、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。また、天然物として、具体的には、天然ゴム等が挙げられる。 着色防止剤組成物の含有量は、重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体100質量部に対して、外配で0.0001〜20質量部であることが好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、5〜0.01質量部であることが特に好ましい。着色防止剤組成物の含有量が0.0001質量部未満であると、重合禁止性能や酸化防止性能の効果が不十分になる場合がある。一方、着色防止剤組成物の含有量が20質量部超であると、過剰に使用することになり、経済上好ましくない場合がある。3.着色防止方法: 本発明の着色防止方法は、「(3)重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体」に記載の重合性単量体又はその部分重合体若しくは重合体と、「(2)アミン系安定剤」に記載のアミン系安定剤と、からなる配合物に対して、「(1)着色防止化合物」に記載の着色防止化合物を添加する着色防止方法である。配合物は、アミン系安定剤が配合されているので、酸化により着色され易いものであるが、着色防止化合物の効果により、着色を防止することができる。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1〜5、比較例1〜17:NOx試験) NOx試験は、酸化やNOx変色に対する色相の堅ろう性を見るための促進試験である。NOx試験の操作を以下に記す。(1)表1に示す所定量のサンプルをスクリュー管にはかり、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と記載する)15gを加え、栓をして、超音波洗浄機にかけて溶解した。(2)NOx処理する前のサンプルのDMAc溶液の色数をガードナー比色計で標準液と比較し、求めた。(3)完全に溶解させたサンプルのDMAc溶液をバイアル瓶(30ml)に10gはかりとり、ゴムキャップとアルミホルダーで密栓した。(4)JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じる酸化窒素ガス発生装置で発生させたNOxガスを、シリンジを使って2mlとり、サンプルのDMAc溶液を入れたバイアル瓶に注入し、よく振ってNOxガスとサンプルのDMAc溶液を混ぜた。(5)室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求めた。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準ずるものである。結果を表1に示す。 なお、表1中、サンプルの種類の詳細を以下に示す。 オゾノン 6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン オゾノン 35:N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン ノンフレックス DCD:4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン ノンフレックス RD:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒロドキノリン重合物 HMDS:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン TPP:トリフェニルホスフィン BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール EBP:2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチル−フェノール) 表1からわかるように、本願発明の着色防止剤組成物は、シラザン化合物又はアリールホスフィン化合物を含有することで、フェノール系化合物を含有していた場合に比べて著しくNOx処理後の着色を防止することができることがわかる(同一種類の各サンプルにおける実施例と比較例参照)。また、置換基を有しない芳香族アミン化合物は、シラザン化合物又はアリールホスフィン化合物を含有しても、そもそもが着色され難いものなので、シラザン化合物又はアリールホスフィン化合物を含有させた場合の著しい着色防止効果はなかった(比較例13〜17参照)。一方、本願発明の着色防止剤組成物は、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された芳香族アミン化合物又はその重合体を含有するので、容易に着色されやすく、その着色防止効果も置換基を有しない芳香族アミン化合物に比べて著しく向上していた(△の値参照)。(実施例6、比較例18〜20:NOx試験) DMAcをアクリル酸2−エチルヘキシル15gに変更したこと以外は、実施例1及び比較例1〜3と同様にしてNOx試験を行った。サンプルの種類及び量、並びにその結果を表2に示す。 表2からわかるように、不活性溶媒であるDMAcの代わりに重合性単量体であるアクリル酸2−エチルヘキシルを用いても、結果は同じであった(実施例1と6、比較例1〜3と比較例18〜20参照)。そのため、本願の着色防止剤組成物の結果は、本発明の材料組成物に対しても同じ結果を与えるといえる。従って、表1に示す着色防止剤組成物の着色防止効果の結果は、重合性単量体を用いた材料組成物の着色防止効果と一致するものとみなすことができる。(実施例7〜8、比較例21) 下記の表3に示す配合からなる組成物に、下記の表4に示す割合で原料を加えて調製した組成物をゴム練りによりそれぞれゴム組成物試料を得た。ゴム練りについては公知の方法により1.7Lのバンバリー試験機及び直径約24cmの2本ロールにて混練りを行った。かくして得られた各未加硫ゴム組成物をプレス加硫により厚さが2.0mmの加硫ゴムシートをそれぞれ得た。これをJISK−6259に従って、静的オゾン試験を行った。即ち、静的オゾン試験は、10%伸長させた試験片をオゾン濃度50pphm、温度40℃の雰囲気に曝し、試験片の着色性を観察した。結果は、以下の表5に示した。なお、表5中の「△」は、わずかに着色が生じた結果を示し、「○」は、着色が生じなかった結果を示す。 なお、表3中の配合材料の詳細を以下に示す。 天然ゴム:商品名「Rss#1」 亜鉛華:商品名「酸化亜鉛」、関東化学社製 ステアリン酸:商品名「ルナックS−40T」、花王社製 炭酸カルシウム(1):商品名「白艶華CC」、白石工業社製 炭酸カルシウム(2):商品名「シルバーW」、白石工業社製 酸化チタン:商品名「SR−1」、堺化学工業社製 ナフテンオイル:商品名「SNH22」、三共油化工業社製 なお、表4中の原料の詳細を以下に示す。 促進剤D:商品名「サンセラーD−G」、三新化学工業社製 促進剤DM:商品名「サンセラーDM−G」、三新化学工業社製 粉末硫黄:商品名「微粉硫黄」、細井化学工業社製 HMDS:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン オゾノン6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン 表5からわかるように、本発明の着色防止剤組成物を含有する材料組成物は、天然ゴムを配合した場合であっても酸化による着色を有効に防止することができることがわかる。 本発明の着色防止剤組成物は、アルキル基等で置換された芳香族アミン化合物を用いた場合でも、着色を有効に防止することができる。そのため、耐熱性等が要求されるゴム材料に使用する場合に、酸化防止剤等としての有用な利用が期待される。 アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物と、 アミン系安定剤と、を含有し、 前記アミン系安定剤が、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された、芳香族アミン化合物、又は前記芳香族アミン化合物の重合物からなるものである着色防止剤組成物。 前記アミン系安定剤が、 下記一般式(1)で表されるパラフェニレンジアミン系化合物、重合度が2〜5であり、下記式(2)で表されるキノリンの重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及び下記一般式(3)で表されるジフェニルアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の着色防止剤組成物。 (前記一般式(1)中、R1はフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2は炭素数3〜10のアルキル基を示す。なお、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。) (前記一般式(3)中、R3は、水素原子、炭素数が4〜9のアルキル基、又はアラルキル基を示し、R4は、炭素数が4〜9のアルキル基又はアラルキル基を示す。なお、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよい。) 前記アミン系安定剤が、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項2に記載の着色防止剤組成物。 前記着色防止化合物が、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色防止剤組成物。 前記着色防止化合物の含有量が、前記アミン系安定剤100質量部に対して、外配で1〜200質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色防止剤組成物。 請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色防止剤組成物と、 重合性単量体又は前記重合性単量体の部分重合体若しくは重合体と、からなる材料組成物。 前記重合性単量体が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種である請求項6に記載の材料組成物。 重合性単量体又は前記重合性単量体の部分重合体若しくは重合体と、 少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された芳香族アミン化合物又は前記芳香族アミン化合物の重合物からなるアミン系安定剤と、からなる配合物に対して、 アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物を添加する着色防止方法。 前記アミン系安定剤が、 下記一般式(1)で表されるパラフェニレンジアミン系化合物、重合度が2〜5であり、下記式(2)で表されるキノリンの重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及び下記一般式(3)で表されるジフェニルアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項8に記載の着色防止方法。 (前記一般式(1)中、R1はフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2は炭素数3〜10のアルキル基を示す。なお、R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。) (前記一般式(3)中、R3は、水素原子、炭素数が4〜9のアルキル基、又はアラルキル基を示し、R4は、炭素数が4〜9のアルキル基又はアラルキル基を示す。なお、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよい。) 前記アミン系安定剤が、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項9に記載の着色防止方法。 前記着色防止化合物が、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項8〜10のいずれか一項に記載の着色防止方法。 前記着色防止化合物の含有量が、前記アミン系安定剤100質量部に対して、外配で1〜200質量部である請求項8〜11のいずれか一項に記載の着色防止方法。 前記重合性単量体が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、及び酢酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種である請求項8〜12のいずれか一項に記載の着色防止方法。 【課題】酸化防止剤等としての広範な利用が期待される、アルキル基等で置換された芳香族アミン化合物を用いた場合でも、着色を有効に防止することができる着色防止剤組成物を提供すること。【解決手段】アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物の少なくともいずれかの着色防止化合物と、アミン系安定剤と、を含有し、アミン系安定剤が、少なくとも1つのアルキル基若しくはアラルキル基で置換された、芳香族アミン化合物、又は芳香族アミン化合物の重合物からなるものである着色防止剤組成物である。【選択図】なし


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