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タイトル:公開特許公報(A)_非晶質シリコンの品質評価方法および装置
出願番号:2012208220
年次:2014
IPC分類:G01N 21/65


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須藤 和幸 中川 康幸 本谷 宗 今澤 貴史 JP 2014062818 公開特許公報(A) 20140410 2012208220 20120921 非晶質シリコンの品質評価方法および装置 三菱電機株式会社 000006013 高橋 省吾 100113077 稲葉 忠彦 100112210 村上 加奈子 100108431 須藤 和幸 中川 康幸 本谷 宗 今澤 貴史 G01N 21/65 20060101AFI20140314BHJP JPG01N21/65 4 1 OL 7 2G043 2G043AA03 2G043BA07 2G043CA07 2G043EA03 2G043FA06 2G043HA01 2G043HA02 2G043HA09 2G043JA04 2G043KA01 2G043LA03 この発明は、非晶質シリコンの品質を評価する方法、特に非晶質シリコン中の水素濃度を測定する方法、および、その装置に関するものである。 半導体材料として用いられることの多い非晶質シリコンは、その製造方法に起因して、内部に水素を多く含んでいる。また、非晶質シリコンが含有する水素量を評価することにより、非晶質シリコンの品質の評価が行われる。従来は、赤外分光法(FTIR)の一測定方法であるATR法(Attenuated Total Reflection)を用いた非晶質シリコンの品質評価、特に、非晶質シリコン中のSi−H結合量を算出することにより、水素濃度測定を実施している。FTIR−ATR法では、ATR結晶と試料を密着させ、ATR結晶内へ赤外光を入射させる。このとき、ATR結晶−試料密着面において全反射する条件を満たした角度である必要がある。入射光が全反射する際に、エバネッセント光がATR結晶から僅かに試料内へ侵入し、試料の最表面の情報を取得する。試料内へのエバネッセント光の侵入長は、入射光の波長、ATR結晶および試料の屈折率に依存している(非特許文献1参照)。 また、ラマン分光法を用いて微結晶シリコンの結晶化度の測定を実施している。ラマン分光法は、散乱光中に含まれるラマン散乱光の波長を測定する方法である。ラマン散乱光の発生には、物質固有の格子振動(フォノン)が深く関与している。物質表面において入射光が散乱する際に、入射光の波長がフォノンの振動エネルギーにより変化することから、物質の特定に有効である。また、同一元素の物質を測定する場合でも、結晶性の違いによりフォノン振動数が異なるため、物質中の結晶格子結合状態が判別可能である。 シリコン系材料のラマン分光測定では、結晶シリコンの縮退フォノンに由来する520cm−1付近のピークと、非晶質シリコンのLA、LO、および、TOフォノンに由来する300cm−1、400cm−1、および、480cm−1付近のピークが特徴である。結晶化度の測定には、結晶シリコンの縮退フォノンに由来する520cm−1付近のピーク強度Icと非晶質シリコンの代表的なフォノンピークである480cm−1のピーク強度IAの強度比を取り、Ic/(Ic+IA)で定義している(特許文献1参照)。H.Fujiwara,Y.Toyoshima,M.Kondo and A.Matsuda(Interface−layer formation mechanism in a−Si:H thin−film growth studied by real−time spectroscopic ellipsometry and infrared spectroscopy)Phys.Rev.B60,13598‐13604(1999)特開2011−054861号非特許文献1におけるFTIR−ATR法を用いた非晶質シリコンの品質評価では、測定原理上、試料がATR結晶と密着している必要があるため、試料表面に凹凸が存在すると、試料に対してATR結晶を密着させることができず、測定自体ができないという問題があった。 また、特許文献1におけるラマン分光測定では、結晶化度を測定する手法であるため、非晶質シリコン中の水素含有量の測定はできないという問題があった。この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、非接触で試料表面の凹凸の影響を受けずに非晶質シリコンの品質を評価する方法を得ることを目的としている。 この発明に係る非晶質シリコンの品質評価方法は、光を非晶質シリコンに照射する光照射工程と、非晶質シリコンからのラマン散乱光を測定する測定工程と、測定工程により得られたラマンスペクトルの領域を所定の閾値で分割するフィッティング工程と、フィッティング工程により得られるLOフォノンのピーク強度とTOフォノンのピーク強度との比に基づいて非晶質シリコン中の水素濃度を算出することで非晶質シリコンの品質を評価するものである。 この発明によれば、測定対象である非晶質シリコンの表面形状に依存せず、非接触で非晶質シリコンの品質を評価することができるといった従来にない顕著な効果を奏するものである。本発明の実施の形態1による非晶質シリコン品質評価装置の模式図である。本発明の実施の形態1による非晶質シリコンのラマンスペクトルの分布例を示すグラフである。本発明の実施の形態1による非晶質シリコンのフォノン成分毎に分割されたラマンスペクトルの分布とピーク強度の一例を示すグラフである。本発明の実施の形態1による非晶質シリコンのフォノン成分毎に分割されたラマンスペクトルの分布と面積強度の一例を示すグラフである。本発明の実施の形態1による非晶質シリコン中の水素濃度とITO/ILO比の関係を示すグラフである。本発明の実施の形態2に係る搬送装置部を示した模式図である。 実施の形態1. 次に、図面を用いて、この発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。 図1は本発明の実施の形態1による非晶質シリコン膜質評価装置を示す模式図である。図において、本装置は測定対象である非晶質シリコン1を配置するステージ2と、非晶質シリコン1に対して所定の波長の励起光3を照射する励起光源4と、励起光3の照射により非晶質シリコン1表面から発生した散乱光5を受光し、散乱波長毎に分光する受光部6と、分光スペクトルから非晶質シリコンに起因するピークを抽出し、そのピーク比から含有水素量を算出する演算装置7が主要な構成要素である。励起光源4の励起光波長は、非晶質シリコン1の厚みを考慮の上で選択する。例えば、非晶質シリコン厚み10nm程度であれば、波長325nm程度の波長光を用いる。励起光源4から発せられた励起光3は、ステージ2上の非晶質シリコン1方向へ導くための光軸調整用ミラー8および励起光3と散乱光5を切り分けるためのビームスプリッタ9を介して非晶質シリコン1に照射される。光軸調整用ミラー8は励起光源4と非晶質シリコン1の位置関係に応じて複数設置されてもよい。非晶質シリコン1は励起光3の照射を受け、散乱光5を発する。この散乱光5は弾性散乱成分と非弾性散乱成分の双方を含む。散乱光5は、効率よく散乱光5を受光するために設置された集光レンズ10を介して受光部6で分光スペクトルであるラマンスペクトルに変換される。受光部6は、散乱光5を散乱波長毎に分光する分光結晶12と、分光された散乱光5を受光するセンサー13からなる。センサー13は、選択した励起光3の波長により選択可能である。例えば、波長325nmの励起光3を用いた場合、CCD検出器を用いることができる。ラマンスペクトルとは、分光された散乱光5のうち、非弾性散乱成分に含まれるラマン散乱光の発光波長と強度の関係を、散乱光の発光波長を横軸、散乱光の強度を縦軸としたものである。このとき、ラマンスペクトルの横軸である散乱光の発光波長の単位は、慣例的に波数(cm−1)表記とし、その波数の通称をラマンシフトと呼ぶ。図2は、図1に示した装置を用いて取得した非晶質シリコンのラマンスペクトルの典型的な分布例を示すグラフである。非晶質シリコンのラマンスペクトルには、非晶質シリコンの格子振動に起因する300cm−1付近のLAフォノン21、400cm−1付近のLOフォノン22、480cm−1付近のTOフォノン23の各フォノンピークが含まれる。受光部6で得られたラマンスペクトルは演算装置7へ送られ、ラマンシフトについての特定の閾値、具体的には、300cm−1付近のLAフォノン21、400cm−1付近のLOフォノン22、480cm−1付近のTOフォノン23に分割するフィッティング処理を実施する。本発明の実施の形態1による非晶質シリコンのフォノン成分毎に分割されたラマンスペクトルの分布とピーク強度の一例を図3に示す。また、本発明の実施の形態1による非晶質シリコンのフォノン成分毎に分割されたラマンスペクトルの分布と面積強度の一例を図4に示す。図において、フィッティング処理で得られた各フォノン成分のうち、400cm−1付近のLOフォノン22のピーク強度ITO24と、480cm−1付近のTOフォノン23のピーク強度ILO 25の比ITO/ILO、または、LOフォノン22の面積強度ATO26と、TOフォノン23の面積強度ALO27の比ATO/ALOのいずれかを算出する。算出された強度比ないし面積強度比を基に、非晶質シリコン中の水素濃度を算出する。図5に、非晶質シリコン中の水素濃度とITO/ILO比の関係を示す。線形的な相関関係が認められ、非晶質シリコン中の水素濃度測定法として有効であることがわかる。 実施の形態2. 上記実施の形態1では、ステージ2を設けて、そこに非晶質シリコン1を1つずつ配置して水素濃度を測定していたが、ステージ2の代わりに、非晶質シリコン1を搬送する搬送装置上に上記実施の形態1で示した非晶質シリコン品質評価装置を設けることにより、非晶質シリコンの製造ラインにおいて、製造された非晶質シリコンの品質を管理することができる。 図6は、本発明の実施の形態2に係る搬送装置部を示した模式図である。図において、搬送装置31上に被測定対象物である非晶質シリコン33乃至35を配置し、順次励起光32を照射することで非晶質シリコン33乃至35中の水素濃度を算出することが可能である。なお、励起光32の照射装置他を含む品質評価装置の構成は、上記実施の形態1で説明したものと同様であるため、説明を省略する。 1 非晶質シリコン、2 ステージ、3 励起光、4 励起光源、5 散乱光、6 受光部、7 演算装置、8 ミラー、9 ビームスプリッタ、10 集光レンズ、11 ラマンスペクトル、12 分光結晶、13 センサー、21 LAフォノン、22 LOフォノン、23 TOフォノン、24 LOフォノンピーク強度、25 TOフォノンピーク強度、26 LOフォノン面積強度、27 TOフォノン面積強度、31 搬送装置、32 励起光、33〜35 非晶質シリコン 光を非晶質シリコンに照射する光照射工程と、前記非晶質シリコンからのラマン散乱光を測定する測定工程と、該測定工程により得られたラマンスペクトルの領域を所定の閾値で分割するフィッティング工程と、該フィッティング工程により得られるLOフォノンのピーク強度とTOフォノンのピーク強度との比に基づいて前記非晶質シリコン中の水素濃度を算出することで非晶質シリコンの品質を評価する非晶質シリコンの品質評価方法。 光を非晶質シリコンに照射する光照射工程と、前記非晶質シリコンからのラマン散乱光を測定する測定工程と、該測定工程により得られたラマンスペクトルの領域を所定の閾値で分割するフィッティング工程と、該フィッティング工程により得られるLOフォノンの面積強度とTOフォノンの面積強度との比に基づいて前記非晶質シリコン中の水素濃度を算出することで非晶質シリコンの品質を評価する非晶質シリコンの品質評価方法。 非晶質シリコンを配置するステージと、前記非晶質シリコンに所定の波長の励起光を照射する励起光源と、前記励起光の照射により非晶質シリコン表面から発生した散乱光と前記励起光とを分離するためのビームスプリッタと該ビームスプリッタを介して得られた前記散乱光を受光し波長毎に分光する受光部と、該受光部で得られたラマンスペクトルをフォノン成分毎に分割し、各フォノン成分のうち、400cm−1付近のLOフォノンのピーク強度と、480cm−1付近のTOフォノンのピーク強度との比を演算する演算部とを備え、該演算部の演算結果に基づき前記非晶質シリコン中の水素濃度を算出することで非晶質シリコンの品質を評価する非晶質シリコンの品質評価装置。 前記演算部が400cm−1付近のLOフォノンの面積強度と、480cm−1付近のTOフォノンの面積強度との比を演算する前記請求項3記載の非晶質シリコンの品質評価装置。 【課題】試料表面に凹凸が存在すると、試料に対してATR結晶を密着させることができず、測定自体ができない。【解決手段】この発明に係る非晶質シリコンの品質評価方法は、光を非晶質シリコンに照射する光照射工程と、非晶質シリコンからのラマン散乱光を測定する測定工程と、測定工程により得られたラマンスペクトルの領域を所定の閾値で分割するフィッティング工程と、フィッティング工程により得られるLOフォノンのピーク強度とTOフォノンのピーク強度との比に基づいて非晶質シリコン中の水素濃度を算出することで非晶質シリコンの品質を評価するものである。【選択図】図1


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