生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ゴーシェ病モデルショウジョウバエ
出願番号:2012203070
年次:2014
IPC分類:A01K 67/033,G01N 33/15,G01N 33/50,C12N 15/09,C12N 15/00


特許情報キャッシュ

石田 直理雄 鈴木 孝洋 JP 2014057525 公開特許公報(A) 20140403 2012203070 20120914 ゴーシェ病モデルショウジョウバエ 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 大野 聖二 230104019 森田 耕司 100106840 田中 玲子 100105991 松任谷 優子 100119183 北野 健 100114465 伊藤 奈月 100156915 石田 直理雄 鈴木 孝洋 A01K 67/033 20060101AFI20140307BHJP G01N 33/15 20060101ALI20140307BHJP G01N 33/50 20060101ALI20140307BHJP C12N 15/09 20060101ALN20140307BHJP C12N 15/00 20060101ALN20140307BHJP JPA01K67/033 501G01N33/15 ZG01N33/50 ZC12N15/00 AC12N15/00 2 5 OL 18 2G045 4B024 2G045AA29 4B024AA11 4B024BA11 4B024CA04 4B024DA20 4B024EA04 4B024GA12 4B024HA11 本発明は、ゴーシェ病モデルショウジョウバエおよびこれを用いたゴーシェ病治療薬のスクリーニング方法に関する。 ゴーシェ病(GD)患者は膜関連リソソーム酵素、グルコセレブロシダーゼ(GlcCerase)が欠損している。この細網内皮系蓄積障害は、臨床的に1型(慢性、非神経細胞障害性)、2型(急性、神経細胞障害性)、および3型(慢性、神経細胞障害性)に分類される(Ginnsら, 1985)。300近くの変異がヒトGlcCerase遺伝子(hGBA)で同定されている(Hruskaら, 2008)。R120W変異は軽度の疾患を引き起こすが(Wanら, 2006)、これに対してL444P変異は神経学的異常と関連があり(Tsujiら, 1987;Theophilusら, 1989;Dahlら, 1990;Idaら, 1999;Koprivicaら, 2000;Choyら, 2007)、複合型対立遺伝子RecNciI(L444P+A456P+V460V)は急性の神経学的異常に関与する(Idaら, 1999;Choyら, 2007)。 一般的な治療目標は、基質分解の促進またはその生成の低減のいずれかによって、グルコセレブロシド(GlcCer)基質の蓄積を低下させることである。主な治療戦略は静脈内酵素補充療法であり、これによって欠損した酵素能がある程度回復されうる(Aertsら, 2011)。しかしながら、この戦略は、おそらくは関係する酵素が血液脳関門を通過できないために神経学的異常を予防または治療することはできず(Schiffmannら, 1997)、現在の所GDに伴う神経学的異常を治療するための戦略は事実上存在しない。 GBAヌル対立遺伝子(Tybulewiczら, 1992)、点変異GBA対立遺伝子(Liuら, 1998)、またはGBAの条件付きノックアウト(Enquistら, 2006)の作製によってGDモデルマウスが樹立された(Farfel-Beckerら, 2011)。これらはGD表現型が蓄積されたGlcCerによって起こるという考えに基づいている。そのため、変異または欠失は動物モデルの内在性相同遺伝子において構築された。別の面では、GlcCerase変異体は、GD患者の細胞由来の小胞体(ER)中に種々の程度で含有される。それらはプロテアソームにおいてER介在型分解を受ける(Ronら, 2005)。これらの知見は変異GlcCeraseそのものが毒性を有することを示唆しているが、この点については動物モデルではまだ確認されていない。 ショウジョウバエは神経変性疾患の研究のためのフレキシブルかつ強力なモデルであり(Chanら, 2000;Takeyamaら, 2002;Sangら, 2005;Luら, 2009;Hirth, 2010)、これは、正常な発達および疾病に関与する遺伝経路のほとんどがショウジョウバエと哺乳動物の間で保存されているためである。従って、ショウジョウバエにおける神経変性の機構を理解することは、ヒトにおける神経変性のプロセスを明らかにするために役立ちうる(Fernandez-Funezら, 2000)。いくつかの神経変性疾患(例えばパーキンソン病)モデルが作製されてきたが(Feanyら, 2000)、GDモデルショウジョウバエは得られていない。Aerts, J.M., et al. (2011) J. Inherit. Metab. Dis. 34,605-619Bendikov-Bar, I., et al. (2011) Blood Cells Mol. Dis. 46,4-10Brady, R.O., et al. (1966) J. Clin. Invest. 45,1112-1115Brand, A.H., and Perrimon, N. (1993) Development 118,401-415Chan, H.Y., and Bonini, N.M. (2000) Cell Death Differ. 7,1075-1080Choy, F.Y., et al. (2007) Blood Cells Mol. Dis. 38,287-293Dahl, N., et al. (1990) Am. J. Hum. Genet. 47, 275-278Doyle, K.M., et al. (2011) J. Cell Mol. Med. 15,2025-2039Ellis, M.C., O'Neill, E.M., and Rubin, G.M. (1993) Development 119,855-865Enquist, I.B., et al. (2006) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 103,13819-13824Farfel-Becker, T., et al. (2009) Hum. Mol. Genet. 18,1482-1488Farfel-Becker, T., Vitner, E.B., and Futerman, A.H. (2011) Dis. Model Mech. 4,746-752Feany, M.B., and Bender, W.W. (2000) Nature 404,394-398Fernandez-Funez, P.,, et al. (2000) Nature 408,101-106Ginns, E.I., et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 82, 7101-7105Hirth, F. (2010) Drug Targets 9,504-523Hruska, K.S., et al. (2008) Hum. 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Acad. Sci. U S A 15,13705-13710Takeyama, K., et al. (2002) Neuron 35,855-864Theophilus, B., et al. (1989) Am. J. Hum. Genet. 45,212-225.Tsuji, S., et al. (1987) N. Engl. J. Med. 316,570-575Tybulewicz, V.L., et al. (1992) Nature 357,407-410Wan, L., et al. (2006) Blood Cells Mol. Dis. 36,422-425Wei, H., et al. (2008) Hum. Mol. Genet. 17,469-477 本発明の目的は、ゴーシェ病モデルショウジョウバエ、ならびにこれを用いたゴーシェ病治療薬のスクリーニング方法を提供することである。 本発明者らは、変異hGBA遺伝子、特に、ヒトにおける急性の神経学的異常に関係するRecNciI変異型遺伝子を導入したショウジョウバエが、GlcCer基質の過剰蓄積を伴わずに神経変性毒性を示すこと、およびこのモデルにおいてERストレス(Doyleら, 2011)が上昇していることを見いだした。 すなわち、本発明は、RecNciI変異を有するヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子を複眼で発現するゴーシェ病モデルショウジョウバエを提供する。 本発明はまた、ゴーシェ病治療薬の候補物質を選択する方法であって、本発明のショウジョウバエに試験物質を投与し、試験物質を投与したときに投与していないときと比較して、複眼の形態異常および/またはERストレスが低減している場合に、その試験物質をゴーシェ病治療薬の候補物質として選択する、の各工程を含む方法を提供する。図1は、トランスジェニック・ショウジョウバエ系統におけるヒトGBA mRNA発現およびタンパク質のレベルを示す。図2は、トランスジェニック・ショウジョウバエ系統におけるGlcCer蓄積を伴わない形態学的異常を示す。図3は、トランスジェニック・ハエにおける小胞体(ER)ストレスを示す。図4は、アンブロキソールと共にインキュベートしたトランスジェニック・ハエの複眼の形態およびERストレスを示す。図5は、ゴーシェ病(GD)の分子機構に関する仮説を示す。 ゴーシェ病(GD)は最も一般的なリソソーム蓄積症である。グルコセレブロシダーゼ(GlcCerase)欠損によって引き起こされ、その基質であるグルコセレブロシド(GlcCer)の蓄積がGDの主因であると考えられている。本発明においては、この機構とは異なり、GD患者の神経細胞障害に関係するヒト変異GlcCerase遺伝子(hGBA)の作るタンパク質がショウジョウバエの眼において神経変性を引き起こすことが見いだされた。一方、変異hGBAを保有するトランスジェニック・ショウジョウバエにおいて、GlcCerは蓄積されていなかった。 さらに、小胞体(ER)ストレスマーカーであるdXBP1およびdBiPの測定により、変異hGBAを有するショウジョウバエではERストレスが有意に上昇していた。また、潜在的な変異hGBAの薬理学的シャペロンであるアンブロキソールを投与したところ、ERストレスの低減によって神経細胞障害表現型を緩和できることが見いだされた。すなわち、本発明により、GDモデルショウジョウバエにおいてヒトGlcCeraseによって誘発される新規のERストレス介在型神経変性機構が明らかになった。ゴーシェ病モデルショウジョウバエ 1つの観点においては、本発明は、ゴーシェ病モデルショウジョウバエを提供する。本発明のゴーシェ病モデルショウジョウバエは、RecNciI変異を有するヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子を複眼で発現することを特徴とする。変異型hGBA遺伝子を複眼原基で過剰発現する組み換えショウジョウバエは、当該技術分野においてよく知られるGAL4-UAS発現系を利用して作製することができる。 具体的には、GAL4結合配列であるUASの下流に変異型hGBA遺伝子を組み込んだベクターをショウジョウバエの胚に導入して、UAS-hGBAを発現する系統を樹立し、これを複眼でGAL4(UASに結合して転写を促進する)を発現する系統と交配させることにより作製することができる。 野生型hGBAの遺伝子配列は配列番号1に示される。本発明では変異型hGBA遺伝子として、RecNciI変異(L444P+A456P+V460V)(なお、本明細書においては、単にhGBAと称することがある)を用いる。変異型hGBA遺伝子を、例えばpUASTベクターを用いてショウジョウバエに導入する。hGBA遺伝子を組み込んだpUASTベクターをショウジョウバエの胚にマイクロインジェクションし、hGBA遺伝子を発現する個体を選択する。マーカーとしては、黄体色遺伝子(y)や白眼遺伝子(w)を利用することができる。この個体をさらにバランサーをもつ系統と交配させることにより、hGBA遺伝子を発現する系統を樹立することができる。 次に、この系統を複眼でGAL4を発現するショウジョウバエと交配させる。複眼でGAL4を発現するショウジョウバエの系統は当該技術分野で一般に広く知られており、容易に入手可能である。好適には、複眼原基特異的に発現するプロモーターであるGlassプロモーターと、その下流に連結された転写活性化因子GAL4を含む遺伝子が導入されたGMR-GAL4系統のショウジョウバエを用いることができる。 このようにして、hGBA遺伝子を複眼原基特異的に発現し、複眼の形態異常を示すモデルショウジョウバエを取得することができる。複眼の形態異常はラフ・アイ(rougheye)表現型と称され、個眼の不規則なサイズや融合、剛毛の欠損、凹凸のある外観、細胞の壊死などとして観察される。 本発明のモデルショウジョウバエは、マウスモデルと比較して、飼育が容易でありコストが安い、卵の状態で保存できる、世代交代が早いために研究の効率化を図ることができる、という利点を有する。スクリーニング方法 別の観点においては,本発明は,多様な試験物質から,ゴーシェ病治療薬の候補物質をスクリーニングする方法を提供する。この方法は,試験物質が本発明のモデルショウジョウバエにおいて、複眼の形態異常の程度を低下させるかまたはERストレスを低下させる能力を測定することにより評価することができる。試験物質を本発明のモデルショウジョウバエに投与したときに、投与していないときと比較して、複眼の形態異常の頻度や程度が低下しているか、またはxbp1遺伝子またはdBiP遺伝子の発現が抑制されていれば,その試験物質はゴーシェ病治療薬の候補物質であると考えられる。 試験物質は,種々の合成または天然の化合物ライブラリー,コンビナトリアルライブラリー,オリゴヌクレオチドライブラリー,ペプチドライブラリー等のライブラリーから得ることができる。また,細菌,真菌類,藻類,植物,動物等の天然物からの抽出物やその部分精製物を試験物質として用いてもよい。 試験物質をモデルショウジョウバエに投与するには、種々の濃度の試験物質または対照物質を培養基に加えてハエに摂取させればよい。 試験物質が複眼の形態を変化させるか否かは、複眼の形態、特にラフ・アイ表現型を肉眼でまたは顕微鏡下で観察することにより、容易に判定することができる。 試験物質がERストレスを低下させる能力は,ERストレスのマーカー遺伝子の発現量を測定することにより判定することができる。マーカー遺伝子としては、例えば、xbp1遺伝子およびdBiP遺伝子が挙げられる。遺伝子の発現を測定するためには,RT-PCR法,RNA増幅法などの,当該技術分野においてよく知られる遺伝子発現分析法を用いることができる。 このようにして,本発明のスクリーニング方法により選択された物質は,ゴーシェ病治療薬の候補物質として有用である。これをリード物質として、さらに効力の高い治療薬を開発することも可能である。 以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。<実験手順>ヒトGBA cDNA ヒトGBA cDNA(WT、R120W、およびRecNciI)は東京大学のShoji Tsuji博士より供与された。トランスジェニック・ハエの作製 hGBA cDNAを有するpUASTベクターを用い、文献(Nishinokubiら, 2003)に基づいてトランスジェニック・ハエを作製した。トランスポーゼースをコードするヘルパープラスミド、pπ25.7wcを使用し、ベクターをywキイロショウジョウバエ胚に注入した。1つのhGBAWT系統、2つの独立したhGBAR120W系統、および3つの独立したhGBARecNciI系統を作製した。全ての組換えDNA実験は、(独)産業総合技術研究所(AIST)組換えDNA実験委員会の承認の下で行った。RNAの単離および定量RT-PCR ハエを25℃、LD(明:暗=12:12時間)下で同調させた後、3日齢のオス頭部(遺伝子型:w;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA)を分析した。hs-GAL4ドライバーを用いる実験では、通常、オスのハエを25℃、LD下で同調させ、継続的に毎日2回(9amおよび9pm)、37℃で0.5時間熱処理を行った。最終処理の3時間後、全てのオス(遺伝子型:w;hs-GAL4/CyO;UAS-hGBA/+)を回収した。ハエ頭部およびハエ全体をTRIzol試薬(Invitrogen社、カリフォルニア州カールスバッド)中でホモジナイズし、25%クロロホルムと混合した後、12,000 x g、15分間、4℃で遠心分離を行った。上清を等量の2-プロパノールと混合し、12,000 x g、10分間、4℃で遠心分離を行った後、ペレットを70%エタノールと混合し、7500 x g、5分間、4℃で遠心分離を行った。ペレットをdH2Oと混合した。相補的DNAの合成を、Prime Script RT Reagent Kit(Takara Bio社、日本 大津市)を製造者のプロトコルに従って使用して行った。hGBA、dBiP、およびdRpL32遺伝子のcDNAレベルの測定を、定量RT-PCRにより、LightCycler(Roche Applied Science社)をSYBR Premix Ex Taq(Takara Bio社、日本 大津市)と共に用いて行った。mRNAの量はdRpL32の量と相関関係があった。表1にプライマー対の配列を示す。 ヒトGBAプライマーの設計はUniversal Probe Library Assay Design Center(Roche Applied Science社)で行った。dBiP(Plongthongkumら, 2007)およびdRpL32(Takehanaら, 2002)のプライマーは、それぞれ文献に記載される通りである。ウェスタンブロッティング ウェスタンブロッティングは文献(Nishinokubiら, 2003)に基づいて行った。全ての系統を25℃、LD下で同調させた後、11:00amに回収したw;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA遺伝子型を有するハエの頭部を、以下を含有する抽出バッファー中でホモジナイズした:20mM HEPES(pH 7.5)、100mM KCl、5%グリセロール、100mM Na3VO4、0.5M EDTA、0.1% Triton-X、10mg/mL アンチパイン、10mg/mL ペプスタチン-A、10mg/mL ロイペプチン、24 TIU/mL アプロチニン、および0.1M フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)。サンプルを20000 x g、5分間、4℃で遠心分離した。BCAタンパク質定量試薬(PIERCE社、米国メリーランド州ロックビル)を用いて、各上清中のタンパク質濃度を測定した。抽出物を同量のSDS-PAGEサンプルバッファー(5%メルカプトエタノール含有)と混合し、3分間煮沸し、急冷した。抽出物からのタンパク質(30μg)を電気泳動により10%SDS-PAGEゲル上で分離させ、炭素電極(1 mA/cm2で90分間)を用いてECL Hybondメンブレン(Amersham社)に電気的に転写し、b55080 抗GBA抗体(Abcam社)(1:2000)を用いてhGBAを標識した。HRP標識した抗マウス2次抗体を1:10,000に希釈し、ECL+TM(Amersham社)を用いてシグナルを検出した。走査電子顕微鏡法 各実験系統からのw;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA遺伝子型を有する3日齢オスを、2%グルタルアルデヒド/0.1Mリン酸バッファー(PBS)中、4℃において12時間固定した。サンプルを0.1M PBSで洗浄し、50%-100%エタノールで連続的に脱水し、t-ブチルアルコールを用いて凍結乾燥した(VFD-20;Vacuum Device社、日本 水戸市)。乾燥サンプルを標本台に配し、PMC-5000プラズマイオンコーター(Meiwafosis社、日本 東京)を用いて四酸化オスミウムでコーティングした。ショウジョウバエ頭部を走査電子顕微鏡(S-5000、Hitachi High-Technologies社、日本 東京)により、5kVで検査した(図2A)。 走査電子顕微鏡法は、文献に基づき(Inoueら, 2006)、JSM-6301F走査電子顕微鏡(JEOL社、日本 東京)を使用し、5kVで行った(図4D)。各実験系統からのw;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA遺伝子型を有する3日齢オスを両面テープで標本台に固定し、金でスパッタコーティングした。薄層クロマトグラフィー 全ての系統を25℃、LD下で同調させた後、w;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA遺伝子型を有する3日齢オスから頭部を回収した。クロロホルム/メタノール(2:1、v/v)を用いて抽出した総脂質を標準物質、GlcCer(Funakoshi社、日本 東京)と共にシリカゲル60 HPTLCプレート(Merck社、ドイツ ダルムシュタット)に手作業でスポットした(5mm幅)。クロロホルム/メタノール/0.02% CaCl2(120:70:16、v/v/v)を用いてスポット中の脂質を展開させた後、プレートにプリムリン試薬(Tokyo Chemical Industry社、日本 東京)をスプレーして浸漬し、風乾した。紫外線(366nm)で脂質のバンドを可視化した。ImageJを使用してバンドを定量した。免疫組織化学 全ての系統を25℃、LD下で同調させた後、w;GMR-GAL4/UAS-xbp1-EGFP;UAS-hGBA/TM6B遺伝子型を有する3幼虫齢の眼の成虫原基を、Mildform 10N(Wako Pure Chemical Industries社、日本 大阪)中4℃で12時間固定した。固定した原基をPBSTで洗浄し、A6455抗GFP抗体(invitrogen社)(1:2000)を用いてEGFPを標識した。Alexa Fluor 488抗ウサギ2次抗体を添加した後、原基を共焦点レーザー走査顕微鏡(Zeiss LSM700、Zeiss LSM5、OLYMPUS FV1000MPE)で測定した。ImageJを使用して、固定された発光強度を定量した。アンブロキソール処理 全ての系統を、アンブロキソール塩酸塩(WAKO 013-18943)/DMSO(WAKO 043-07216)(最終濃度0および1mM)を含有する酵母-グルコース-寒天培地上に継代した。培地中のDMSOの最終濃度は0.1%であった。全ての系統を25℃、LD下で同調させた。その後、w;GMR-GAL4/UAS-xbp1-EGFP;UAS-hGBA/TM6B遺伝子型を有する3幼虫齢の眼の成虫原基を免疫組織化学的に分析し(図4Aおよび4B)、w;GMR-GAL4/CyO;UAS-hGBA遺伝子型を有する3日齢オスの頭部を定量RT-PCRで分析し(図4C)、3日齢オスを走査電子顕微鏡で分析した(図4DおよびE)。統計的方法 単眼のサイズの差異は分散分析(Levene検定)を用いて検証した。定量RT-PCRの結果はスチューデントT-検定を用いて解析した。<実施例1>hGBAを保有するトランスジェニック・ハエ 野生型hGBA(hGBAWT)、並びに、R120WおよびRecNciI変異を有するhGBA(それぞれhGBAR120WおよびhGBARecNciI)をショウジョウバエに導入し、GDモデルを作製した。図1Aに正常および変異hGBAのアミノ酸配列を示す。R120WおよびRecNciI変異の位置が示されている。 R120W変異は軽度の作用を及ぼし(Wanら, 2006)、RecNciIは急性の神経学的異常に関係する(Idaら, 1999; Choyら, 2007)。UASプロモーターをhGBAにライゲートさせ、GAL4-UAS系を使用した。これにより、UASトランスジーンを保有するトランスジェニック・ハエとGAL4を発現するハエ系統とを交配した場合に、標的化された、組織特異的遺伝子発現が可能となる。1つのhGBAWT系統(hGBAWT L10。10は系統番号)、2つのhGBAR120W(系統hGBAR120W L19、hGBAR120W L21)、および3つのhGBARecNciI系統(hGBARecNciI L01、hGBARecNciI L04、hGBARecNciI L08)を作製した。 それぞれの系統をGMR-GAL4系と交配した。この系統は、溝(furrow)後部の全てのショウジョウバエ眼細胞(光受容ニューロンおよび色素細胞を含む)においてUASの下流遺伝子を誘導する(Ellisら, 1993)。 定量RT-PCRおよびウェスタンブロッティングの結果を図1BおよびCに示す。図1Bは、dRpL32を内部標準とし、定量RT-PCR(n=系統当たり約30検体のハエ頭部)で確認したhGBA mRNAの発現レベルを示す。エラーバーはSEを表す。図1Cは、ウェスタンブロッティング(n=系統当たり約100検体のハエ頭部)で確認したhGBAタンパク質レベルを示す。hGBAタンパク質の総量はhGBAWTに比較してhGBAR120Wで低下し、hGBARecNciI系統では顕著に低下した。 これらの結果から、トランスジェニック・ハエは種々のレベルのmRNAおよびタンパク質を発現することが明らかになった。タンパク質発現は2つのhGBAR120Wおよび3つのhGBARecNciI系統間でほとんど差異が無かった。ウェスタンブロッティングは、hGBARecNciI系統でのhGBAタンパク質の総量が他の系統に比較して有意に低下していることを示し、これは、RecNciI変異がGD患者のタンパク質分解に関係するL444Pを有するためである(Bendikov-Barら, 2011)。<実施例2>hGBA中のRecNciI変異はトランスジェニック・ハエにおいて神経変性を誘発する 変異hGBAの役割を検討するために、走査電子顕微鏡法を用いてショウジョウバエの眼における異所性発現を確認した(図2A)。このモデルは神経変性疾患に関係する発現遺伝子の影響を観察するのに有用である(Chanら, 2000;Takeyamaら, 2002;Sangら, 2005;Luら, 2009;Hirth, 2010)。トランスジェニック・ショウジョウバエの眼におけるhGBAWT遺伝子およびhGBAR120W遺伝子の過剰発現は、眼の形態にわずかな影響を及ぼした。一方、hGBARecNciI系統は全て、極度のラフ・アイ(rough-eye)表現型を示した。 次に、分散分析により単眼のサイズを調べた。図2Bは、ハエ系統における単眼サイズのヒストグラム(n=系統当たり3-5検体のハエ、約100検体の単眼)を示す。分散分析では、単眼のサイズはhGBAWTおよびhGBAR120W系統で、コントロールに比較してわずかな差異しか見られなかった。全てのhGBARecNciI系統では、コントロールと顕著な差異が見られた。 すなわち、hGBARecNciI系統およびGMRコントロール間で、単眼のサイズに顕著な差異があることが明らかになった。これらの結果は、RecNciI変異を有するhGBAが最も重度の神経変性表現型を誘導することを示している。<実施例3>トランスジェニック・ハエはGlcCerを蓄積しない GD患者における神経学的異常を含む多くの異常は、GlcCerの蓄積によって起こると考えられている。そこで本発明者らは、薄層クロマトグラフィー法を用いてトランスジェニック・ハエ中のGlcCer含量を定量した。結果を図2Cに示す。それぞれの系統毎に1,000検体のハエ頭部中のGlcCerの量を薄層クロマトグラフィーで測定した。トランスジェニック・ハエはいずれも、GMRコントロールと比較してGlcCerの蓄積は見られなかった。エラーバーはSEを表す。*GMRコントロールと比較して有意な差異(p<0.05;スチューデントt-検定)。 その結果、いずれのトランスジェニック・ハエにおいてもGlcCerは蓄積されていなかった。むしろ、GlcCerの蓄積はhGBARecNciI L01およびhGBARecNciI L04以外の全てのトランスジェニック系統で低下していた。これらの知見は、hGBAの酵素活性がトランスジェニック・ハエの頭部において作用することを示唆している。一方、BLAST検索により、CG31414およびCG31148がショウジョウバエにおける推定hGBAホモログ遺伝子であることが明らかになった。薄層クロマトグラフィー法を用いて、転位因子Minosを挿入したCG31414遺伝子(CG31414[Mi])およびCG31148遺伝子(CG31148[Mi])を保有するハエ系統におけるGlcCerの蓄積を測定したところ、GlcCerの蓄積およびCG31414[Mi]系統が短寿命であったことから、ヒトおよびショウジョウバエで同様の代謝経路が保存されていることが示唆された。<実施例4>トランスジェニック・ハエにおける小胞体ストレス GlcCerase変異体は種々の程度まで保持され、ER関連分解(ERAD)はGD患者の特徴である。L444P変異タンパク質は広範なERADを引き起こし(Bendikov-Barら, 2011)、ER中の滞留によってERストレスが起こることを示している。そこで、xbp1-EGFP(ERストレス後にのみEGFPがインフレームで発現される(Ryooら, 2007))を用いてhGBAトランスジェニック・ハエがERストレスを誘導するか否かを検討した。 GMR-GAL4、UAS-hGBA、およびUAS-xbp1-EGFPから新規系統を作製した後、3幼虫齢の眼の成虫原基におけるEGFP蛍光レベルを測定した。xbp1-EGFP(ERストレス後にのみEGFPがインフレームで発現される(Ryooら, 2007))をERストレスマーカーとして使用した。結果を図3Aに示す。hGBAWT系統からわずかな蛍光が放射された。ヒトGBAR120W系統はhGBAWT系統より多くの蛍光を放射し、hGBARecNciI系統は最も高い強度の蛍光を放射した。蛍光発光の強度はhGBARecNciI>hGBAR120W>hGBAWT系統の順であった。図3Bは、発光強度を一定にした場合に種々の系統から得られる値(n=系統当たり7-15検体の、3幼虫齢の眼の成虫原基)を示す。エラーバーはSEを表す。*GMRコントロールと比較して有意な差異(p<0.05;スチューデントt-検定)。 これらの結果は、トランスジェニック・ハエの眼における形態学的異常のレベルと相関関係があり、ERストレスがGDに関係する神経学的異常の主因の一つであることを示している。 上記の知見を確認するため、別のERストレスマーカー、dBiP(主要なERシャペロンである)(Plongthongkumら, 2007)の発現を測定した(図3C)。小胞体ストレスマーカー遺伝子、dBip(主要なERシャペロン)mRNAのhGBAR120WおよびhGBARecNciI系統における発現は亢進的に調節された(n=系統当たり約30検体のハエ頭部)。dRpL32を内部標準とした。エラーバーはSEを表す。*GMRコントロールと比較して有意な差異(p<0.05;スチューデントt-検定)。すなわち、定量RT-PCRにより、hGBAR120WおよびhGBARecNciI系統におけるdBiP mRNA発現が1.3-1.7倍に亢進的に調節されていることが明らかになった。 これらの知見を確認するために、別のドライバーを使用し、hs-GAL4ドライバーを有するハエを、UAS-hGBAハエと交配させた(図3D)。高レベルのhGBAが熱処理したハエの全身で発現される。hGBAR120WおよびhGBARecNciI系統のdBiP mRNAの発現レベルも亢進的に調節された(n=系統当たり約30検体のハエ)。dRpL32を内部標準とした。エラーバーはSEを表す。*GMRコントロールと比較して有意な差異(p<0.05;スチューデントt-検定)。すなわち、dBiP mRNAの発現レベルは、コントロールおよびhGBAWT系統に比較して、hGBAR120WおよびhGBARecNciI系統では2.5-4.2倍高かった。これらのデータは、変異hGBAがショウジョウバエの眼のみでなく全身にもERストレスを起こすことを示唆している。 GDの主な異常は、リソソーム酵素、GlcCeraseの活性の顕著な欠損である(Bradyら, 1966)。GlcCeraseの欠損により、マクロファージのリソソーム中でその脂質基質であるGlcCerの蓄積が起こる(Aerts, 2011)。GDに伴う異常はGlcCer蓄積によって起こると考えられている。本発明においては、ヒトにおける急性の神経学的異常に関係するRecNciI変異を有するhGBAが、ショウジョウバエの眼において、基質であるGlcCerの蓄積を伴わずに重度の神経変性を引き起こすことが明らかになった。この知見は、変異GlcCeraseがGDの新規治療標的となり得ることを示唆している。 小胞体ストレスは広範な神経変性疾患において神経変性に寄与し(Doyleら, 2011)、また、hGBAでトランスフェクトしたショウジョウバエの眼においても、特にそれらがGD患者における急性の神経学的異常に関係するRecNciI変異(Idaら, 1999;Choyら, 2007)を有する場合、神経変性に関与しうる。2008年に発表された報告によれば、ERおよび酸化ストレスは神経変性型および非神経変性型リソソーム蓄積障害(GDを含む)のいずれにおいても共通するアポトーシス・メディエータである(Weiら, 2008)。神経障害型GD患者から誘導される線維芽細胞における小胞体ストレス応答活性は、神経変性型リソソーム蓄積障害における共通のアポトーシス・メディエータでありうる。しかしながら、ある研究は、小胞体ストレス応答が培養ゴーシェ神経細胞、星状膠細胞、およびモデルマウスの脳領域において活性化されないことを明らかにしている(Farfel-Beckerら, 2009)。その研究では、GlcCeraseの活性な部位特異的阻害剤を使用して培養ゴーシェ病モデル細胞が作製された。更に、GBA条件付きノックアウトモデルマウスも使用している。しかしながら、いずれの系のERでも変異GlcCeraseは存在しなかった。本発明においては、変異hGBAがショウジョウバエの眼においてERストレスおよび神経変性障害を引き起こすことが明らかとなった。このことは、GlcCeraseのタンパク質産物そのものがERに対して毒性を有しうることを示している。<実施例5>アンブロキソールはトランスジェニック・ハエにおいて形態学的異常を回復し、ERストレスを低下させる アンブロキソールはFDAで認可された去痰薬であり、GD患者の線維芽細胞において、変異GlcCeraseの安定性および輸送を向上させ薬理学的シャペロンとして作用する(Maegawaら, 2009; Bendikov-Barら, 2011)。このため、アンブロキソールによって、変異GlcCeraseによって起こるERストレスを低下することもできると考えられる。この概念を検討するために、アンブロキソールを含有する培地でトランスジェニック・ハエを飼育した。3幼虫齢の眼の成虫原基におけるEGFP蛍光強度および3日齢オス成虫頭部におけるdBiP mRNA発現を測定した。 結果を図4A−Cに示す。1mMアンブロキソールで処理したhGBARecNciI系統は未処理のものより放射される蛍光が少なかった(図4A)。図4Bは、発光強度を一定にした場合に種々の系統から得られる値(n=系統当たり12-43検体の、3幼虫齢の眼の成虫原基)を示す。エラーバーはSEを表す。*コントロール(アンブロキソール未処理の全て)と比較して有意な差異(p<0.05;スチューデントt-検定)。アンブロキソール(1mM)により、hGBARecNciI系統におけるdBiP mRNAの発現レベルは低下した(n=系統当たり約30検体のハエ頭部)(図4C)。dRpL32を内部標準とした。エラーバーはSEを表す。 以上のように、アンブロキソールにより、hGBARecNciI系統におけるEGFP蛍光強度およびdBiP mRNA発現が低下した。これらのデータは、アンブロキソールによって、RecNciI変異を有するショウジョウバエにおいてGlcCeraseに起因するERストレスを低下させることができることを示唆している。 次に、アンブロキソールがhGBARecNciI系統における形態学的異常に影響を及ぼすか否かも検討した。図4Dは、アンブロキソール未含有または1mMアンブロキソールと共にインキュベートしたhGBARecNciI系統の眼の表現型を示す。1mMアンブロキソール処理したものは、単眼のサイズおよび形状が均一であり、配置の均一性は正常ハエ眼のものとより類似していた。図4Eは、1mMアンブロキソール処理または未処理hGBARecNciI系統における単眼のサイズヒストグラム(n=系統当たり6-10検体のハエ;系統当たり約400検体の単眼)。分散分析では、1mMアンブロキソール処理および未処理系統の単眼のサイズに顕著な差異が見られた。 以上のように、アンブロキソール中で飼育したhGBARecNciI系統の単眼のサイズ、形状、および配置はより均一であり、このことはアンブロキソールによって形態学的異常を治療しうることを示している。これらの結果は、ERストレスがhGBARecNciI系統における形態学的異常の主因の一つであることを示している。<考察> リソソーム中のGlcCerの蓄積がGDに伴う神経変性異常を起こすと考えられている。一方、上記の実施例1〜5から得られた結果は、ER中の変異GlcCeraseそのものの貯留がERストレスおよび神経変性に介在することを示している。これらの結果に基づき、本発明者らは、図5に示すようなゴーシェ病の分子機構に関する仮説を提唱する。 GD患者は網膜異常を発症する(Seidovaら, 2009)。従って、この点で症状は変異hGBAを有するトランスジェニック・ハエおよびGD患者間で類似している。したがって、本発明のGDモデルショウジョウバエは、網膜異常を含む神経変性の研究のための強力な手段ともなりうる。 hGBAのヘテロ接合病原性変異株はパーキンソン病の発症リスクを高め(Neumannら, 2009;Kalinderiら, 2009;Mitsuiら, 2009)、また、ERストレスはいくつかのヒト神経疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、およびプリオン病)に関与しうる(Lindholmら, 2006)。これらのデータを考慮すると、変異hGBAによるERストレスは神経変性疾患(例えばパーキンソン病)のリスク因子でありうる。そこで本発明者らは、ERストレスマーカー、xbp1-EGFP(ERストレスが適用された後にのみEGFPがインフレームで発現される(Ryooら, 2007))を使用してパーキンソン病モデルショウジョウバエ(Feanyら, 2000)におけるERストレスレベルを測定した。眼においてxbp1-EGFPおよびヒト野生型または変異αシヌクレインを過剰発現するショウジョウバエを作製した。いずれの系統でも蛍光は増加せず、このことはヒト野生型または変異αシヌクレインの過剰発現がERストレスを増加させないことを示している。従って、パーキンソン病のリスクが高くなるのは、おそらく変異hGBAによって誘導されるERストレスの増加によるものである。すなわち、本発明のGDモデルショウジョウバエは、パーキンソン病を初めとする神経変性疾患の分子機構を研究するための強力な手段となりうる。 本発明のゴーシェ病モデルショウジョウバエは、ゴーシェ病の分子機構の研究およびゴーシェ病治療薬のスクリーニングに有用である。RecNciI変異を有するヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子を複眼で発現するゴーシェ病モデルショウジョウバエ。ゴーシェ病治療薬の候補物質を選択する方法であって、請求項1のショウジョウバエに試験物質を投与し、試験物質を投与したときに投与していないときと比較して、複眼の形態異常および/またはERストレスが低減している場合に、その試験物質をゴーシェ病治療薬の候補物質として選択する、の各工程を含む方法。 【課題】 ゴーシェ病モデルショウジョウバエおよびこれを用いたゴーシェ病治療薬のスクリーニング方法を提供すること。【解決手段】 RecNciI変異を有するヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子を複眼で発現するゴーシェ病モデルショウジョウバエが開示される。また、本発明のショウジョウバエに試験物質を投与し、試験物質を投与したときに投与していないときと比較して複眼の形態異常および/またはERストレスが低減している場合に、その試験物質をゴーシェ病治療薬の候補物質として選択する、の各工程を含む、ゴーシェ病治療薬の候補物質を選択する方法も開示される。【選択図】 図5配列表


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